天海春香「私、やっとわかったの。叶えたい願い事見つけたの」 (17)

P「さあ天海春香、その魂を代価にして君は何を願う?」

春香「私…」

春香「すべての巨乳を、育つ前に消し去りたい」

春香「すべての宇宙、過去と未来の巨乳を、この手で」

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P「その祈りは、そんな祈りが叶うとすれば、それは貧乳なんてレベルじゃない!おっぱいそのものに対する反逆だ!」

P「君は本当に72になるつもりかい?」

春香「72でもなんでもいい」

春香「今日まで巨乳と戦ってきたみんなを、(おっぱいが大きくなる)希望を信じた千早ちゃんを、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい」

春香「それを邪魔する巨乳なんて壊してみせる、変えてみせる」

春香「これが私の祈り、私の願い」

春香「さあ!叶えてよ、プロデューサー!!」

春香「あなた達のおっぱい体操を、絶望で終わらせたりしない」

春香「あなた達は、誰も呪わない、祟らない。巨乳はすべて、私が受け止める。だからお願い、最後まで、貧乳を信じて」

春香「もういいの」

春香「もう、いいんだよ」

春香「もう誰も恨まなくていいの。誰も、呪わなくていいんだよ。そんな姿になる前に、あなたは、私が受け止めてあげるから」

P「春香」

P「これで君のアイドル人生は、始まりも、終わりもなくなった」 

P「この世界に生きたプロフィールも、そのバストサイズも、もう何処にも残されていない」 

P「君という存在は、一つ上の領域にシフトして、ただのリボンモブに成り果ててしまった」 

P「もう誰も君を認識できないし、君もまた、誰にも干渉できない」 

P「君はこのステージの一員では、なくなった」

千早「何よそれ…」 

千早「これが春香の望んだ結末だって言うの?こんな終わり方で、春香は報われるの!?冗談じゃないわ!」 

千早「これじゃ、貧乳よりも…もっとひどい…ひどい…」

春香「ううん。違うよ、千早ちゃん」 

春香「今の私にはね、過去と未来の全てが見えるの。かつてあった巨乳も、いつかあり得るかもしれない貧乳も、みんな」

千早「春香…」

春香「だからね、全部わかったよ。いくつもの時間で千早ちゃんが、乳のためにがんばってくれたこと、何もかも」

春香「何度も泣いて、傷だらけになりながら、それでも乳のために」

春香「ずっと気づけなくてごめん…ごめんね」

春香「今の私になったから、本当の貧乳を知ることができた。私には、こんなにも大切な友達がいてくれたんだって。だから嬉しいよ」

春香「千早ちゃん、ありがとう」

春香「あなたはわたしの、最高の友達だったんだね」

千早「春香、行かないで!」

春香「ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと」

春香「いつかまた、もう一度千早ちゃんとも会えるから。それまでは、ほんのちょっとだけお別れだね」

千早「春香あぁぁぁっ!!」

浩司「はるか、はるか!」

千早「うん、そうだね。そっくりだよ」

やよい「こらっ、だめでしょ浩司。女の人の髪を引っ張ったらメッ、だよ」

浩司「はるかはるか!はるかぁ!」

やよい「えっとすみません、大丈夫でしたか?」

千早「いえ、こちらこそお邪魔してしまって」

千早「春香、だね」

浩司「はい!」

やよい「その、浩司が一人遊びするときの見えないお友達っていうんですか?小さい頃はよくあることらしいんですけど」

千早「ええ。私にも覚えがあります」

やよい「はるか、ってあなたも知っているんですか?テレビのアイドルか何かとか?」

千早「さあ…どうだったかしら。聞き覚えがあるような、ないような」

やよい「そうですかー。私もどこかで浩司と一緒にみたのかもしれません」

やよい「たまに、すごーく懐かしい響きだなって思うんですよ。はるか、さん」

千早「そうですか」

やよい「うっわぁー!そのリボン、すっごくかわいいですね!とっても似合ってます!」

千早「あなたの方が似合うと思うわ。差し上げましょうか」

やよい「わたしは、お気に入りの髪留めなので、これが一番かなーって」

P「ふうん、なるほどね」

P「確かに君の話は、一つの仮説としては成り立つね」

千早「仮説じゃなくて、本当のことよ」

P「だとしても、証明しようがないよ」

P「君が言うように、ステージのルールが書き換えられてしまったのだとすれば、今の僕らにそれを確かめる手段なんてない訳だし」

P「君だけがその記憶を持ち越しているのだとしても、それは君の頭の中にしかない夢物語と区別がつかない」

ほむら「ふん」

P「まあ確かに、発散しきれなくなった女性ホルモンが、何故消滅してしまうのか。その原理は僕たちでも解明できてない」

P「その点、君の話にあった『おっぱい』の概念は、中々興味深くはある」

P「人間の欲望エネルギーを収集する方法としては、確かに魅力的だ」

P「そんな上手い方法があるなら、僕たちのプロデュースも、もっと違ったものになっただろうね」

ほむら「そうね。あなたたちはそういう奴らよね」

P「君が言う、『巨乳』のいた世界では、今僕らが戦っているような『デカ尻』なんて、存在しなかったんだろう?」

P「欲望を集める方法としては、余程手っ取り早いじゃないか」

ほむら「そう簡単じゃなかったわ。あなたたちとの関係だって、かなり複雑だったし」

P「ふうん」

P「やっぱり理解できないなあ、人間の価値観は」

千早(たとえ、巨乳が生まれなくなった世界でも、それで人の欲望が消え失せるわけではない)

ほむら(世界の歪みは形を変えて、デカ尻という形となって、今も欲望の底へと人々を狙っている)

P「今夜はつくづく熱気がすごいね」

オシリチーン! コッチニデカシリムケテー! シリガサイコーニユレテルゼ!

P「デカ尻スキーどもも、次から次へと湧いてくる。幾ら通報倒してもキリがない」

千早「ボヤいたって仕方ないわ。さあ、行くわよ」

千早(DLCと課金ばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど)

千早(だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとしたステージなんだ)

千早(それを、覚えてる)

千早(決して、忘れたりしない)

千早(だから私は、歌い続ける)


春香「がんばって」

魔法アイドル はるか☆マギカ

―完―

千早「私たちは、歌い続ける」

♪「カラフル」ClariS

貴音「こんな回りくどい手口を使って、いったい何が目的なのです」

美希「また自分だけの歌に逃げ込むつもりなの?」

響「これは、幻覚か何かか?」

貴音「いつかわたくし達を導く、円環(バスト)の断り」

春香「ひとりぼっちになったら、ダメだよ」

劇場版
魔法アイドル はるか☆マギカ
[ 新 編 ] 乳 逆 の 物 語

P「信じられない、72が起きているんだ」

なんだこれ

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