【艦これ】飛んで火にいる夏の虫 (125)

艦これSS、三作目の投稿です。

暑いので書いてみました。
特に誰にフォーカスをあてたわけではありません。

だいぶ久しぶりなので、ちょっと変な部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1502000509

ー午後2時 鎮守府執務室ー

荒潮「うぅ…ん……あはぁ……はぁぁ~ん…」

提督「………」カリカリカリ…

荒潮「…んぅ……はぅぅ…」

提督「……」カリ…カリ…

荒潮「うふふ…かいかぁ~ん♪ステキだわぁ…」

提督「………」ピタッ

提督「…オイ…荒潮?」

荒潮「あらぁ……な・あ・に、提督?うふふふ~…」

提督「とぼけるな。なにをそんな色気の含んだ声を出す」

荒潮「だってぇ…ふふ、分かってるクセにぃ、私の口から、言わせたいの?底意地が悪いわねぇ~」


提督「誤解されるような事を言うな、ただ冷房の風にあたってるだけだろうが!」

荒潮「それだけじゃないわよ。ふわふわのソファで横になって、サイダーを飲んで、提督がお仕事してるのを眺めてるの。最高に贅沢ねぇ」

提督「いくら今日が休みだからって、だらけすぎじゃないか?」

荒潮「いいのよぉ、どうせ明日になれば、イヤでも体が動くから。働くのって怖いわね~、頭が拒否しても体が言うことを聞いてくれないのよぉ」

提督「……まあそれは同意するがな」

荒潮「うふふふぅ、だからたまの休みくらいは、こうやってのんびりしてても文句言われる筋合いはないわよぉ」

荒潮「ところで提督、エアコンの温度、もう少し下げるわねー」ピッピッ

提督「ったく、ちゃんと腹は温めとけよ」

荒潮「はぁ~い♥」

ピッ…ピッ…

エアコン温度【21度】


ー同時刻 鎮守府 脱衣室ー

陸奥「~~♪」

陸奥「よし、オッケー♪」

陸奥「ふふん…少し遠出した甲斐があったわね。このオイル、お肌の保湿にはもってこいだわ」

ガラララララ

暁「うわあああぁあっっつーーいぃ~!!もう響ったら、百まで数えないと大人になれないだなんて!騙されたわ、あんなの我慢できるわけないじゃい、もう!」

陸奥「あら暁ちゃん。体真っ赤よ、大丈夫?」

暁「む、陸奥さん!?ふわぁ!あ、大丈夫よ!平気よ?だって私、大人だもの」

陸奥「へぇ~、あのお湯に耐えられるなんて、なかなかやるじゃない」

暁「当然よ。私、ごぞうろっぷ?に温もりが染み渡っているもの。えっへん!」

陸奥「あらあら、粋な言葉を知ってるのね。さすが淑女だわ、私もうかうかしてられないわねぇ」

暁「やったぁ、陸奥さんに認められたわ!嬉しい!(そりゃそうよね、見くびってもらっちゃ困るわ)」

陸奥「本音と建前が逆になってるわよ」


暁「と、ところで陸奥さん。お風呂上がりのスキンケアっていうやつかしら、それって?」

陸奥「そう!これスゴいのよ?美容専門店に行ってね、椿とかオリーブとか調合してもらって、私の肌状態に合わせた必殺兵器なのよ。とっても効果があるの」

暁「えぇぇ~すっごーい!?」

陸奥「ふふ、ちょっと費用がかさんだけど、女の美しさはそれ以上のモノよ。暁ちゃんも、もう少ししたら分かるわ」

暁「さすが陸奥さん、忙しい日々でもばっちりね!大人の女、レディー!」

陸奥「そうでしょうそうでしょう!やだもう暁ちゃんったら、誉めてもなにも出ないわよ?」ドャア

暁「そっか、やっぱり姉妹ね。長門さんもお肌とってもつるつる!やっぱり陸奥さんと一緒にお高いものを使ってるのね?憧れるなぁ~」

陸奥「あっ…長門は別に何もしてなくてアレなんだけどね…ホント羨ましいわ…はは、あはははぁ…」


陸奥「あら暁ちゃん?髪の毛の乾かしかたが良くないわね。そんなにバサバサやっちゃダメよ」

暁「ふぇ?」

陸奥「こっちへいらっしゃい。ドライヤーを使った方がいいわ」

暁「え!いいの!?」

陸奥「当然よ。暁ちゃんに秘伝の送風術を教えてあげるわ」

暁「やった!……あ、コホン…ありがとう。よ、よろしくね?」

陸奥「はぁい♪よろしくされたわ」

ドライヤー「」ブオォォォォ

ブゥゥゥゥゥゥゥ……

ドライヤー【1200W】

ボイラー【フル稼働】

エコキュート【タンク空っぽ】


ー同時刻 工廠 準備室ー

スィィィ~~

夕張「あぁはあああぁぁ…ふああぁぁぁ…」

夕張「すーずしー…やっぱエアコン最高だわあ」

明石「いままではエアコン壊れてるも同然だったもんねえ。ちょっとだけ予算に余裕ができてホントよかったぁ!あぁもう仕事やる気でなーいー…」

夕張「ま、どうせ大してやることないわよぅ。いつも通りにやってりゃあ、問題ないわ」

明石「だーよねー!これでお金貰えるってさいこう!あっはははは、人類ばんざーい!」

夕張「ばんざーい。いぇーい!」

夕張「あっ、だったらこの時間を使ってアニメの消化しとかないと!今期も三十本近くあるからねー。はいパソコン起動~」ポチ

明石「お、じゃあ私もパソコンつけよっと。…ふふ…もう排熱を気にしなくてもいいのね…食堂まで保冷剤をとりに往復しなくても済むのね…しゃーわせ…」ホロリ

夕張「あぁそっか。ここから食堂までスッゴい遠いんだっけ。歩いてる間に溶けて死んじゃうわね」

夕張「良かったじゃない。もう辛い思いはしなくて済むわね」

明石「そうだねえ……」グデーン


由良「よくなあああああぁぁいっ!!」

明夕「「うわぁっ!?」」

由良「こんなのダメ、ダメよ二人とも!堕落してるわ、ふしだらよ!おへそまで出しちゃってもう…ばかっ!」

夕張「は…由良?驚いたぁぁ~…」

明石「勢い余って首が…いたい…」

夕張「もう由良ったら、なにを怒ってるの?」

由良「部屋を見てみなさい!至るところで電気を使ってるでしょう?暑いのは分かるけど、さすがに使いすぎよ!もう少し自制しないと」

夕張「ムリ」キッパリ

明石「うん、ムリだね♪」

由良「無理って言わないの、もう」


明石「だってぇ~、せっかくエアコン買ったのに、使わないともったいないじゃない?」

夕張「もったいない精神は大切だもん。私たちは悪くないわよ」

由良「発揮するところが間違ってるわ」

由良「まず、エアコン!こんな広い部屋なのに全部涼しくしてどうするの!?しかも二人しかいないじゃない。扇風機でなんとかなるわ」

夕張「んなぁっ!?生命線断たれるのはちょっと…」

由良「パソコンも!二台も使ってなにするの。二人で一つを使えばいいでしょう?無駄を減らすことで、塵も積もって山脈よ。そんなんじゃ重巡洋艦になれないわ」

明石「いやいや由良ちゃん?パソコンってのは普通一人が一台なもんで、パーソナルと謳われているからにはやっぱ一人一台だから、それだけは認めるわけにはいかない聖なるテリトリーとかなんとかって…」

由良「言い訳無用。めっ!です。地球に優しく、ね?」

由良「もう、みんな電気使いすぎよ!もう、どうしてなのかしら、もう。怒るわよ?」プクー

明石(怒ってるの可愛い…)

夕張「怒ってるの可愛い」

由良「えぇっ!?」


由良「とにかく!もっと節電を心掛けないと…お金も無限にあるわけじゃないんだから」

夕張「うぅ~ん…」

明石「………」

明石「……ふぅ。仕方ないわね。そこまで言われちゃったら、無下にはできないわ」

夕張「そうだねぇ…妥協は必要かも」

由良「ほっ…良かったわ…ありがとう二人とも。分かってくれて」

夕張「じゃあ古い方のエアコンは消しとくわね。たいして役に立ってないし」

明石「古いタイプの家電は電力食うのよねー」

由良「ほか!他の家電も!」


夕張「ふっふーん…ちなみに由良?これが最新のリモコンよ~」ヒラヒラ

由良「それね。力づくでも奪うわ、えぇーい!」

明石「夕張ぱーす!こっちこっちー!」

夕張「そーおれーい!」ポーイ

由良「あぁっ、ちょ!?投げたら危ないわ!」

明石「大丈夫大丈夫、壊れてもすぐに直せるし。ほらほらこっちですよ~」

由良「むむむむぅ…なんとしても電気のムダを止めさせるわ!」

アハハハハハ…

コッチダヨ―…

PCデスクトップ【70W】×2

ノートPC【50W】

スマートフォン 【6.9Wh】×2 充電中

液晶テレビ【490W】※付けっぱなし

業務用エアコン【14kW・冷房20度】

各種工作機械・電源接続済み

明石のスペシャル工作教室(瑞雲稼働中)【???kW】


ー食堂ー

赤城「あついです…食堂は冷房がついていないのですね…」

加賀「この時間は人がほとんどいないからね」

赤城「正直言うと、つらいです…今すぐに文明の叡智を享受しに行きたいです…」

赤城「でも、それも言外のアクセントとなりえます。そう!この屋台で買った焼きそばの前にかかれば!」ジャーン

赤城「いやぁ、そこまで美味しいとは思わないんですけどねえ~。けれどこの独特な匂いはたまらないです。青のりも紅しょうがも、縁日の記憶を思い出させるには十分です。昨日の晩に買い込んだ甲斐がありましたぁ」

赤城「ささ♪電子レンジでぱぱっと温めましょう♪あぁ~楽しみです」ガチャ

加賀「屋内で食べるのも、それなりに味がありそうね」

ピッピッ

電子レンジ「」ヴィーーーーン

赤城「わあ、回ってますね~」

電子レンジ【1100W】


ー同時刻 近郊スーパーマーケットー

萩風「ナストマトきゅうり枝豆茗荷生姜にんにくカラシ、豚肉豆腐お蕎麦そうめん卵山芋あさりシジミはまぐりさーん。後はカレーの具材にニンジン玉ねぎじゃがいもクミンチリパウダーフェネグリーグコリアンダーターメリック。あとはお漬け物を…」

嵐「はぎぃ~~…呪文の詠唱みたいだぜ。こえーよ」

萩風「あら、夏場は体調を崩しやすいんだから、これくらいたくさん食べなきゃダメよ?」

嵐「言葉のこと言ってんだけど。まあいいや」

萩風「この時期に美味しい夏野菜は、やっぱりトマトね。栄養満点で、そのままかぶりつけるの。塩をかけても美味しいわ」

嵐「あーあー、外に出てまで講釈は勘弁だぜ」

萩風「大丈夫よ。嵐も食べられるようにフルーツトマトも買うから。トマト缶はスパゲティにして食べましょう!」

嵐「聞けよ!まあフルーツトマトは好きだけど…」


舞風「はーあぁ~い二人とも♪こっちはたくさん収穫あったよー」

野分「大人数でも満足できるよう量を重視したわ。4号、2号、3号!最近は随分とカラフルなのね」

嵐「サンキュー、まい、のわっち。おぉ~~!?すっげぇ、これ音もでるのか!こっちは延びるし、これは打ち上げられるのか?こんなちっちゃいのにスゴいんだな!」

嵐「ほら見ろよ、はぎぃ!同じ火薬でもこっちは楽しそうだろ?健康のことばっかり気にしてないで、こっちも見てくれよ!」

萩風「……嵐は、そっちのほうが好きなの?」

嵐「え」

萩風「私は…私は…鎮守府のみんなに健康になってもらいたくて、舞風も野分も、もちろん嵐の事だってそう。元気で一日を過ごしてもらうために、風邪を引かない丈夫な体を作るには、日々の食事が一番大切だと思って」

萩風「嵐なら分かってくれると思ったけどな…やっぱり嵐は遊びのほうが大事なのね」

嵐「あ、あれ?」


萩風「いいの!これは私のワガママだから。嵐が見向きもしなくたって、私はこれからも皆の健康に気を配るわ。だから…私のこと、忘れないでね」

嵐「な、なに言ってんだよ!俺がはぎぃの事を忘れるわけねーだろ!?そんな寂しいこと言うなよ!」

萩風「だって、私と一緒にいる嵐、あんまり楽しそうじゃなかった…舞風達と一緒のほうが良かった?」

嵐「バカ、そんなこと誰も言ってないだろ!でも…つまんなそうにしてたのは悪かった。それは俺が悪かったよ。ちょっと目移ろいしちまって…」

萩風「いいの。私怒ってないから。…でも、少し傷ついたな」

嵐「うっ。…わりぃ、お詫びにはぎぃの言うこと聞くよ。だから機嫌を直してくれ」


萩風「大丈夫よ。どうせ口だけだもの。今までもそうだった」

嵐「いや、今度は本気だ!じゃあ、はぎぃの言うことを今すぐに実行に移して見せるよ。なんでもいい、言ってくれ、はぎぃ!」

萩風「…今度は本気?嘘じゃない?」

嵐「本気だ。さあ、言ってくれ」

萩風「じゃあ…」ススッ

嵐(うっ…はぎぃの顔がちょー近い…か、可愛いなやっぱこいつ、睫毛が長くて…)

萩風「私が嵐にしてほしいのは…」

嵐「……」ゴク

萩風「……私が作ったトマト、た・べ・て♥」ボソ

嵐「っ!」ゾクッ


萩風「なんでもしてくれるのよね?ね、食べてくれるんでしょ?」

嵐「くっ…それは普通のトマトだよな?」

萩風「うん♥太陽たーっくさん浴びた、私の血液みたいに真っ赤な真っ赤なトマト。嵐にも食べてもらいたいの」

嵐「ちっ……分かったよ。約束だ。はぎぃのトマト、食べるよ」

萩風「やったぁ♥」


舞風「なんか盛り上がってるねー、あははは!」クルクル

野分「結局これ、どうするの?たくさん持ってきたけど、全部買うのかしら」

舞風「気にしない気にしない~、私が踊ってる間にじゃんじゃん入れちゃえ!そーれあんどぅ、とろわぁ!」バサバサドサドサ-

野分「お金足りるかしら……」

小計【35120円也】


ー同時刻 喫茶店ー

熊野「……」

鈴谷「……」ズズズー

熊野「……」

鈴谷「……ジンジャーエールうまっ!もう一杯たのも」

熊野「…同じものばかりで飽きないのかしら?」

鈴谷「いやぁ、美味しいものはいくら飲んでも食べても飽きないじゃん?へへへ~、熊野は人生損してるね」

熊野「そりゃあジンジャー以外にも美味しい飲み物はありますから、そちらを飲みますわ」

鈴谷「ちぇー、それっぽいこと言って達観しちゃってさあ。空母に改装したら、お高くとまるようになったっての?そんなん熊野らしくないなあ~」

熊野「そんな事はありませんわ。わたくしはいつも通りでしてよ」

鈴谷「にゃははは~、じょーだんじょーだん!でさあ、どうしたの?なんか神妙な顔して黙ってて、なんか用があるんでしょ?」

熊野「…そう…話があるからこそ、呼び出したのですわ…」

鈴谷「?」ズズズー


熊野「単刀直入に尋ねますわ」

鈴谷「うん」

熊野「鈴谷、あなた、変態ですの?」

鈴谷「!?!?!?」フブブゥホッ!

鈴谷「ゲエッゥッッほげほ、げほ!な、な、な、なんんんっ!?」

熊野「聞き方を変えると、鈴谷、あなた痴女ですの?」

鈴谷「バっカじゃないの!?お店に連れ出してわざわざ言うことぉ!!?」

熊野「だって、気になりますわ!急に下着が黒になったり紫になったり、以前はもっと地味な柄で控えめでローテーション回してて、安心してましたのよ?」

鈴谷「チェックしてんのッ!?そっちが安心できないよ!」

熊野「相部屋なんですからイヤでも目に入りますわ。うっすい生地でしたわね」

鈴谷「余計なお世話じゃん!可愛いから買ったに決まってんでしょ!?つーか触ってんじゃん…興味津々すぎでしょ」


熊野「誰かに見せる予定でも?」

鈴谷「なーいよーだ。見せない見せない。勝手に下着漁るような子には教えてやんないもんね!」

熊野「ムッ……」

熊野「ふーん?どーせ殿方に見せる勇気もないのに、何を気遣っているのやら。不思議ですわね~」

鈴谷「かっちーん。言ってくれるじゃん?」

鈴谷「やたらとお尻に拘るようになった子が大口叩くとはね~?下着よりもお尻に宇宙の真理が宿ってるとでも?」

熊野「はぁッ!?な、そそそ、それは誰のことですの!?」

鈴谷「熊野に決まってんでしょうが!バレてないとでも思った?」


鈴谷「経緯も知ってる。提督にお尻丸出しを見られたときだ。大破して帰って来て新しい服に着替える前だった」

熊野「ドキュメンタリー風に解説しなくてもいいですわ!」

鈴谷「変態」

熊野「違いますわ!」

鈴谷「目覚めたんでしょ?お尻見られてさあ、興奮したんでしょ?だから拘り始めたんでしょ?もっと見られていたいんでしょ?」

熊野「そそそ、そんなエッチな漫画の男性キャラみたいなセリフやめてくださる!?」

鈴谷「へぇ~、そんなつもりで言ったんじゃないのにな~?そっかあ、エッチな本にはこんなセリフが載ってるのか~」

熊野「ち、違いますわ!ていうか今のセリフ、聞いたことがあると思ったら、昔鈴谷が隠し持ってた本にあったワンシーンじゃなくって!?」

鈴谷「ちっっがーーーうもんね!そんなの鈴谷は一度も持ったことないし!?で、デタラメ言わないでよさあ!」


熊野「まったく…鈴谷があんなにイヤらしい本を所持していたとは驚きでしたわ。提督似の殿方に犯されてるページで折り目がついてましたが、そういうことですの?」

鈴谷「がっつり見てんじゃん…やだこの子、ムッツリ過ぎでしょ」

熊野「さりげにセックスアピールしてる鈴谷に言われたくありませんわ!」

鈴谷「大胆にお尻見せつけるより健全でしょ!?」

熊野「……はぁ……はぁ…ッ…」

鈴谷「ゼェ……ハァ……」

熊野「…この話、やめましょう。お互いにダメージが大きいですわ」

鈴谷「…さんせーい」

店員「あの…お客様?店内にて、そのような卑猥な会話はお控えいただきたいのですが…」

鈴熊「「ッッ!!??」」

乙女のバイタリティー【無限大】


ー??? ???ー

大淀「……コホン…」

大淀「さて…と言って始まる会議はろくなものではありませんが…とりあえず、秘密の定例会議の開会を宣言いたします」

青葉「でも、相変わらず二人だけなんですね…」

大淀「そうです。都合よく動いてくれそうな駒と、それを料理するマスタ。それさえあれば十分です」

青葉「ちぇー。青葉は入りたくて入ったんじゃないんだけどな~」

大淀「ご託は無用。それで、首尾はいかほどに?」

青葉「あ、バッチリですよ~!たっくさん写真取れましたぁ!」バサバサー

大淀「ありがとうございます。さすがに大量ですね。どれどれ…」

大淀「…ふーむ…なるほど…へ~え…おやおやおや…」

青葉(一枚一枚なめ回すみたいに眺めてる…ちょっと怖いよぉ…)


大淀「なるほど…よく分かりました。青葉さんはどう思われますか?」

青葉「そーですねー。青葉的には、熊野さんももっとエッチな下着持ってると思うんですけど、頑なに証拠を抑えることが出来なくて…本人に直接訊いてみようかなーなんて!あははは!」

大淀「そっちじゃないです。なんのために貴女を遣わしたと思ってるんですか?」

青葉「え~?少しくらい電気使ってもいいじゃないですか~。青葉もカメラの充電に必要ですし。パソコンだって使いますし」

大淀「別に私は使うな、と言ってるんじゃないですよ。限度、節度、限界というものが世の中にはあります。それを考えてほしいと言ってるんです」

青葉「でもでも、エアコンを我慢するのは熱中症の危険がありますし~、パフォーマンスや士気の低下にも繋がりますし~」

大淀「……はぁ…分かってはいましたが、貴女も節電意識は低そうですね…」

青葉「いやあ、それほどでも~」

大淀「褒めてないです」

大淀「いやでも、しかし…うーん。そうですか…」

青葉「なにか問題でもあるんですか?」

大淀「そりゃ大有りですよ」


青葉「あ、分かりました!青葉分かっちゃいました!お金ですね?電気代がどんどん膨れ上がってくのが気になると!」

青葉「それなら心配いりません!提督の写真を適当に刷って売り付けましょう!最近はクールビズ始めたらしく、薄着な写真が撮れそうですよ」

大淀「あー…残念ながら、そうではないんですよねぇ。あ、でも予算は増えるに越したことはないので、今の案は実行に移してくださいね」

青葉「お金の問題じゃないんですか?」

大淀「えぇ…この辺りを管轄してる電力会社で働いてる知り合いから連絡が来まして…」

青葉「ほうほう」

大淀「今日一日、電気を止めるんですって。エネルギーがもたないからって」

青葉「ほーう。……ん?」

ブッッッツゥゥンッッ!!

青葉「あれ!?電灯が壊れました!不吉な予感です!」

大淀「違いますよ。大本の電気が絶たれたんです。明日の午前七時まではこの調子だそうです」

青葉「えぇーーーっ!」


ー午後3時 執務室ー

荒潮「あらぁ~?」

荒潮「……」ピッピッ

荒潮「?」

荒潮「???」

荒潮「へぇ…最近のエアコンは反抗期も実装されてるのねぇ~。ちょっと愛着わいちゃうかも~」

提督「なんだ荒潮。エアコンを止めたのか?」

荒潮「違うわよ~。勝手に止まったの。もしかして故障かしら?」

提督「故障?この前の点検では異常は報告されなかったが…」

ドタバタドバ…

霞「ちょっと、司令官!?なんなのよこれ、どうなってんのよ!」バァン

提督「うわ、なんだ霞お前、なんでそんな汗だくに?」


霞「クソ暑い廊下を急いで走ってきたに決まってるでしょ!?緊急事態よ、エアコン壊れたわ!点検はすんでるはずでしょ?まさか予算が勿体ないからって私たちの部屋のエアコンを放っておいたんじゃないでしょうね?」

提督「やれやれ、ヒドイ言い掛かりだな。そしてなんとも奇遇だ。ちょうど執務室のエアコンも送風を停めたばかりだ」

霞「はぁ?どういうことよ、それ」

荒潮「ブレーカーでも落ちたんじゃないの~?」

提督「ブレーカーなら工廠の近くにあるが…まさか明石のやつ、変な実験で電気を独り占めしてないだろうな?」

霞「じょ~~~~だんじゃないわっ!!こちとら28度で我慢してるっつーのに、セミの声を聞きながら流れる汗を眺めて拭って水で濡らして!あーー、もう!直接殴り込みに行ってやる!!」

荒潮「あらあらぁ…霞ちゃんったらご立腹ねぇ。あとでお供え物をしとかないとぉ。おなかなでなで~♪」

提督「そんな扱いでいいのか…」


リリリリリリリリン リリリリリリリリン

提督「ん?電話か…もしもし?」ガチャ

明石『提督!?明石です!どうして急に電気を止めたんですか?聞いてないですよ!』

夕張『私たちに蒸して[ピーーー]っていうことですかッ!?圧力鍋でも提督ほど圧力加えてこないですよ!朧ちゃんのカニでも連れてきてください!』

提督「開口一番にうるさい連中だなぁ…というか、お前たちの仕業じゃないのか?」

明石『ぜっったいに違いますよっ!なにか問題が起こったら私たちのせいと決めつけないでください!五割方は違うんですからね?』

提督「自覚があるだけ進歩を認めなくもない」

提督「だが、そうか…そうなると霞のカチコミは徒労に終わるな…」

夕張『えっ?霞ちゃんがどうかしたんですか?』


霞『こ・の・ハゲーーーーーーっ!!なにやってんのよアンタたちはーー!?』

明石『ひゃぁぁぁあッ!?』

夕張『わーードア蹴破らないで!あ、パソコンあるから気を付けて!』

霞『うるっさい!人のささやかな癒しさえも奪い取る卑しいやつら…軍法会議にかけるまでもないわ、今すぐに死刑ね!』

明石『えぇぇ?死刑は困るな…でも霞さんからの死刑宣告、そんな悪くない響きが…うぇへへへ』

夕張『まあまあ霞ちゃん?そんな頭から湯気を出さないで、お腹で茶釜を沸かしましょっか!なーんてね』

霞『へぇ…減らず口は健在ねぇ。工作要員は口も器用じゃなきゃ出世できない規則なの?』


明石『ふふん。まあ私たちは、なにに於いても優秀な整備員だしぃ?当然ですね!』

夕張『そうそう!どんな問題もたちどころに解決してみせる、[たぬき]のような頼もしさ!…を目指してるわ』

夕張『まあ過ぎたことは謝るけどさ…ていうか霞ちゃんが何を怒ってるのかよく分かんないけどさあ…だからね?』

明石『うん…だから…霞さん?いいから、ね?その手に持ってるもの、こっちに渡してちょうだい』

霞『ハッ!アンタたちが精神的にバイタルパート敷いてるのは知ってんのよ。だったらそれ以外でダメージ与えるしかないじゃない?』


霞『パソコンって、静電気ひとつでダメになるらしいじゃない?夜な夜な何を怪しげな画面開いてるのか知らないけどさぁ…』パチパチ

霞『アンタらのおかしな企みは今日で終わりよ!スタンガン食らえーーっ!!』バチバチバチ!

明石『させるかああああああああぁぁっっ!!!』

夕張『死なばもろともぉぉぉぉおぉぉっ!!』

クァwセdrftgyフジコlp ピーーー ガーーー!!

ブツッ!プッ ツー ツー ツー ツー

提督「………」

荒潮「あらあらぁ。霞ちゃんたら、暑さで頭がやられちゃったのかしらぁ?」

提督「……朝潮型の部屋のエアコンは優先して新しいものに変えるよ」

荒潮「まぁ!ほんと?嬉しいわぁ、ありがと~提督♥」

提督「さしあたっては、工廠のエアコンとすげ替えとくか…」

なんかいろいろ文字が変わるんですね。
この辺りはどうすれば無効にできるのかよくわからないので、方法があるのか分かりませんがとりあえず今回はこのままで進めます。


荒潮「それにしても、停電してても電話って繋がるのねぇ~」

提督「あぁ。重要な設備は予備電源に繋がっているはずだ。まあそうでなくとも、停電していても電話だけは使えるというものが世の中にはある。便利なものだな」

荒潮「へぇ~?文明様々ね~。便利すぎてダメになっちゃいそ~」

提督「既に手遅れな気もするがな」

コンコン

由良「提督。由良です。失礼します」ガチャ

由良「あの、工廠の電気が落ちてしまって。というか、もしかして鎮守府全体が落ちてません?」

提督「もしかして、さっきまで工廠にいたか?」

由良「え?えぇ、そうです」

提督「そうか。問題が起こったらすぐに上長に報告するのは良いことだ。日頃の行いが運命を分けたようだな」

由良「?」


提督「いや、構わん。こっちの話だ」

由良「そうですか…あの、それで一体どういう状況に?」

提督「詳しい事は俺も分からんが、どうやら電気が断たれているようだな」

荒潮「ちょっと暑くなってきたわねぇ…はふぅ…」

ガチャ!

摩耶「オイ!提督!?どうなってやがるんだ!エアコンつかねーぞ!」

長門「提督。全ての電化製品が動かないぞ。なにか聞いていないか?」

伊58「せっかくの休みなのにクソ暑いところで過ごせっていうことでちかあ!?提督は鬼でち!変態でち!ばーかばーか!」

提督「……」

提督「はぁ……今日はもう業務にならんな……」


ー食堂ー

赤城「あああああぁぁぁぁ、うわあぁぁぁぁァァァ、アアアアっ!!」

赤城「どうして電子レンジが動かないんですかぁぁあああっ!!?」ガシガシ!

加賀「赤城さん落ち着いて!レンジを叩いても事態は変わらないわ!」

鳳翔「物に罪はありません。一回冷静になってください!」

赤城「やあぁぁきぃいそおぉばあああっ!どうして冷たいままなんですかああ!」


赤城「初めて会った時はね…地味だなって思ったんですよ。だって焼きそばなんて、自分でも作れるじゃないですか。それよりもぽっぽ焼きとかりんご飴とか、お祭りに来たんだなって思えるものはたくさんあるじゃないですか…」

加賀「何を語り始めるの…」

赤城「でも!少しだけ、少しだけって誘惑に負けて、手を出したんですよ。みんな食べてるんですもん!私は悪くないんです」

赤城「そうしたら、妙にクセになる味にひかれて、気がつけばお祭りの代名詞のような錯覚にまで陥ってしまって…いけないと思いつつも、ソースの香りに誘われて…」

赤城「それが…どうですか…こんなに冷たくなっちゃって…あぁ、昨晩までの情熱が嘘みたいです…所詮はお祭り、神様を喜ばせるための娯楽に過ぎないのですね…」

赤城「裏切られた思いです…もう私、生きていけないです!」

鳳翔「落ち着いて!」バシーン!

赤城「いたいっ!…はっ!?私は何をして…あぁ、焼きそばぁ!?」

鳳翔「キリがありませんね…加賀、赤城を連れていってください」

加賀「えぇ、了解したわ。フンッ!」ドスッ

赤城「ぐべっ!?……」チーン


鳳翔「はぁ…困りました、腐る前に冷蔵庫の中身を早く処理しないといけませんね」

蒼龍「あついよ~…鳳翔さ~ん、なんか冷たいのなーいー?」

鳳翔「すみません、緊急事態ですので氷の類いは使用を控えさせていただきます」

蒼龍「そ~ん~な~!?」

飛龍「ちょっと蒼龍?暑いのはみんな同じなんだから我が儘言わないの!」

蒼龍「や~だー!汗でべたべたなんだもん、せめて内側から冷やさないとホントびしょびしょだよー?」

飛龍「いっそのことそうなっちゃえば?」

蒼龍「バカ言わないでよ!提督もいるのにそんなアホなことできるわけないじゃん。不潔な女って思われちゃう」

提督「俺がどうかしたか?」

蒼龍「うぇぇっ!?な、提督いつのまにいたのよ!?」

提督「たった今だが、どうかしたか?」


飛龍「いえいえ、何でもないですよ。暑いなーって鳳翔さんとお話ししてたんだよー?」

蒼龍「そ、そうそう!あついもん…暑いし…て、提督?あの…あんまり私に近づかないでね?」

提督「うっ……すまない、汗臭かったか?善処する」

蒼龍「いえいえ!?そうじゃないの、そうじゃないんですよ!じゃなくて、私の方が汗臭いから~、…ってなに言ってんのよ私は!?ホントバカだー…」

提督「なんだ、そういうことか…別に臭いとも思わんぞ。そもそも鎮守府中が基本的に潮の匂いが漂ってるし、匂いなんて分かるわけもなかろう」

蒼龍「うそぉ!そう言って誤魔化して、心の中では違うこと思ってるんだぁ!」

提督「いや本当だって!なにか柑橘類のような香りがするし…うん。何時までも嗅いでいたいな。蒼龍の方向から流れてきてるぞ?」

蒼龍「へんたいだ…」

提督「多少の謗りは甘んじて受けるさ、お前の名誉の為ならな」

蒼龍「……ホント?私、臭くない?」

提督「あぁ、本当だ。臭いわけがなかろう」


蒼龍「そっかぁ…あははは、ならいいや。ありがとう提督!」

飛龍「……」

飛龍「うーん…クサい!蒼龍ちょー汗臭い!提督もセリフがクサい!」

蒼龍「はぁ!?」

飛龍「やっぱここは制汗剤だよねー。シーブリーズがいい?エイトフォーでもいいよ。あ、ファブリーズが効果的かも!これとかどーよ!?」ブシューー

蒼龍「ちょっとやめてよね!?こらーーー飛龍待てえぇぇ!」ドタバタドバ…

提督「……どんな状況でも変わらんなあ二人は」


鳳翔「提督、お疲れ様です」

提督「鳳翔か。ご苦労様。……なにやら疲れているな?」

鳳翔「えぇ。冷凍庫の氷を全部クーラーボックスに移したので、腕が辛くて…食材も早く処理しないと。提督、すみませんが手伝ってもらえませんか?」

提督「構わんぞ。何をすればいい?」

鳳翔「ジップロックが棚の中にあるので、塩をコップ一杯ほど敷いておいてもらえますか?五十個くらいあれば足りると思うのですが」

提督「五十個!?そんなに何をするんだ?」

鳳翔「塩漬けですよ。お肉と魚を全部。ナマ物はこうして保存しておけば、数ヵ月はもつんです」

提督「ほう…それは知らなかった。梅干しとかきゅうりだけじゃないんだな」

鳳翔「はい。色味は落ちますが、代わりに風味が強調されて美味しくなります。召し上がるときはちゃんと塩抜きをしてくださいね」


鳳翔「ではまず、豚肉を」

提督「うむ…うわ、ぬめぬめするな」

鳳翔「はい、ナマ物ですからね。全体が塩で覆われるようにしてください」

提督「えーと、これをこうしてまぶして…こうか?」

鳳翔「そうです。お上手ですね。で、香草を何枚か加えて蓋をします。あとは時々水分の様子を見ておいて、完成です♪」

提督「へえぇ、早いもんだな。たったこれだけでいいのか?」

鳳翔「私だともう少し時間がかかります。提督は手のお力が強いので、塩の刷り込みが早いんですよ」


鳳翔「では次を。豚肉です」

提督「おう。……できたぞ。次は?」

鳳翔「豚肉です」

提督「豚肉が多くないか?」

鳳翔「夏ですからねぇ、バテを防止するのに効果的なんですよ。栄養もありますし、皆さん食べられますからね」

鳳翔「それに……その、集中力を高めるとも言いますし、野菜よりは精も付きますし、提督に合うのではと……」

提督「……」

鳳翔「……」

鳳翔「……あ、あら…私ったら何を言っているのかしら…おかしいですね…」

提督「いや…暑いからな。多少の事は、暑いからで今なら説明がつくさ」

鳳翔「そ、そうですか!なら、大丈夫です…えへへへ…」


鳳翔「あ、冷蔵庫から追加分のお肉をとってこないと…ひゃっ!?」コケッ

提督「うぉっ!?危ない!」ドサ!

鳳翔「あぅ……す、すみません提督、足を滑らしてしまって……ッ!!?」

鳳翔(か、顔が…御尊顔が近いですぅ!)

提督「大丈夫か鳳翔?すまない、手がヌメヌメで使えなくてな、自力で立てるか?」

鳳翔「……」ドキドキ…


鳳翔「あの…提督?今なら…大体の事は暑さで説明できるんですよね?」

提督「あ、あぁ…?…いや待て、それは少々の範疇を越えていると思うが…」

鳳翔「いいんです。少し唇が触れるだけです。不慮の事故です。Iowaさんがいつも提督の頬にしているのと…大差ないですよ?」

提督「そ、そうなのか?いやでも、うーん…」

鳳翔「ふふ…ね、少しだけ…もう少しだけ、熱さに溺れてみませんか?」

鳳翔「私もたまには…一夏の思い出がほしいです…」スッ

提督「……っ」


瑞鶴「うわぁぁあああん!どうなってんのよこれぇぇ!?鳳翔さん助けて!何でもいいから冷たいの頂戴!熱さなんてうんざりよ!」

翔鶴「もう瑞鶴ったら、そんなシャツ一枚で歩き回って…鳳翔さん?こちらにおられますか?もしいらっしゃったら、この子に…氷を…一粒でも……め、ぐ…んで?」

瑞鶴「えっ」

鳳翔「ッッ!!??」

提督「なっ……」

瑞鶴「提督さん…ナニしてんの?」

提督「…熱さゆえの過ち?」

瑞鶴「……」

瑞鶴eye【ぬめぬめの両手・二人の異常に熱い吐息・塩だらけのキッチン】ピピピピピ

RESULT 爆☆撃☆敢☆行


瑞鶴「て…提督さんが鳳翔さんとローションプレイしてるうぅぅぅっ!?」

提督「待て瑞鶴!これは不慮の事故だ!?」

翔鶴「瑞鶴!?貴女、ローションプレイなんて言葉をどこで覚えたの!」

瑞鶴「えぇーい不埒もの、私が成敗してやるわ!覚悟してよね、提督さん!」

提督「くそう!一旦逃げるしかないのか。すまない鳳翔、埋め合わせは必ずする!」ダッ

瑞鶴「あぁっ!?待ぁぁてえええぇぇ!!」


鳳翔「……」

鳳翔「…はぁ…しそこないました」

翔鶴「鳳翔さん、大丈夫ですか?立てますか?」

鳳翔「えぇ、大丈夫です。……すみませんが翔鶴さん、手伝ってもらえますか?あまり時間をかけるわけにもいかなくて」

翔鶴「え、えぇ。もちろん構いませんよ。私でよければ、喜んで」

鳳翔「お肉や魚を全部塩漬けにするので、刷り込みをお願いします。豚肉からやってるので」

翔鶴「豚肉…精がつきそうですね」

鳳翔「!!??」


ー鎮守府 廊下ー

ガングート「畜生…なんて暑さだ…茹だるような熱気とはこの事か。ウォッカを全身に被ったようだ…」

ガン「日本に来たはいいが…湿度は高いし、照り返してくるし、ロクな目に合ってないな…本気で死ぬ前にどうにかしなければならん」

ガン「そもそも!?なんなんだ急に!人が涼んでいる所に、急にエアコンを止めるとは!新人いびりか?このガングートに向かっていい根性をしている。両手両足を縛って海に叩き落とすだけで勘弁してやろう」

ガン「まったく…何もやる気にならん…ん?」

暁「ちょっと響!?アンタ裸のままどこに行くつもりよ!ちゃんとタオルで拭かないと風邪引くわよ!?」

響「なに、問題ないさ。これだけ暑ければすぐに乾くよ」

暁「そうじゃなくて…わっ!?ががが、ガングートさん!?」

ガン「なんだ、ちっこいのがたくさんいるな」


響「やあ、同志ガングート。ご機嫌はどうだい?」

ガン「あぁ、最高の気分だよ。ありがとう同志デカブリスト」

ガン「ふむ…その格好は、我が祖国ではお目にかかる機会は少ないな」

響「日本だからこそ出来るんだよ。とっても気分がいい。開放的だからね」

ガン「ふん。祖国では、開放するのは魂だけだと相場が決まっている。ついでに領土もな。全ては党の労働者へと平等に還元されるのだ。分かるか黒いちびっこ?」

暁「えっ!?も、もちろんよ!とう…とう…糖…?あ、お菓子の話をしているのね?甘いものは大事よ。そっか、ガングートさんもお菓子が好きなのね!」

ガン「くっ…はははははッ!!そうだな、こんなサビついた過去の話ではなく、目の前の食べ物に気を使った方がよっぽど有意義だ。やるな、黒いの。後で赤く塗ってやってもいいぞ」

暁「??」


響「ところでガングート。なにかイライラしているようだけど、どうしたんだい?」

暁「えぇっ!?そうだったの?は…早く言いなさいよ響ぃ…」

ガン「どうもこうも。冷房機が止まった。冗談にしては悪質だな。この私に、汗だくまみれで過ごせとは。ここの提督は肝が座っている。おまけにアナウンスの一つも無いときた。ハハッ!」

暁「なんか怒ってるよぉ…」

響「なるほど。暑いのが解決できず、十月革命のように猛り狂っていると。それなら簡単さ、ガングート。君も私と同じように、すっぽんぽんになればいい」

暁「なに言ってんのよアンタは!?」

ガン「……響よ。残念だが今の私はその手に冗談にノリで付き合えるほど、エネルギーが足りていないみたいだよ」

ガン「必要なのは確実な政策だ。弱りきった民衆を導くのが強い指導者であるのと同じように、我らはレーニンのごとき強硬な手段であっても実を得なければならない」

ガン「ま、実際は後付けの話が多いらしいが…今はそんなのはどうでもいい。私が求めているのはバイカル湖のような平穏だ。それ以外は興味などない」


響「……」

暁「ほら響…うちわでも持ってきてあげましょうよ。ガングートさんをこれ以上怒らせたらダメよ」

響「……そうか…」シュン

ガン「!」

響「君なら私と同じ考えを持ってくれると期待していたのにな…仕方ない…不本意だけど、私も服を着ることにするよ…」

ガン「うぐ…そんな悲しい目をするな…」

暁「ていうか服を着るのが普通なのよ!」

響「いいんだガングート。第二の故郷の同胞である君に甘えすぎていたんだ…私が間違っていたよ」


響「……」

ガン「……」チラ

響「……はぁ…」

ガン「~~~っ!」

ガン「ええい、分かった分かった!お前の意見を、我が物としよう。どうせ女だらけで、男も一人しかいない。問題なかろう」

響「本当かい!?」キラキラ

ガン「私は嘘は言わん。必要がなければな。今は…必要ない」

響「おおおぉぉぉ!」

暁「ウッソでしょぉ…」


ー鎮守府 潜水艦娘用プールー


加賀「なるほど…電力会社が電気の供給を中断しているのね」

提督「先ほど確認もとった。事前に連絡がなかったことについても抗議済みだ。まったく、どれだけ関係先調達に時間がかかると…」

龍驤「は~ん。まぁまぁ細かいんは気にしてもしゃーなし、これからの事をかんがいーや!」

提督「これからと言ってもなぁ…電気が無ければ何も出来ないのがこの短時間でよく分かったよ。文明様々だな」

赤城「うぅ…やきそば…いえ、もういいんです…一度冷めた言葉には無限の距離しか感じられません…」イジイジ

提督「…で、コイツはどうした?」

加賀「失恋したのよ。しばらくは放っておいて構わないわ」

提督「そうか…」

龍驤「いつものことやろ~、食いたいもんが食えなかったなんて」


龍驤「それにしても皆、蜂の巣を叩いたようにわらわら部屋から出てきおったな!ははは、それはウチも同じやったわ!」

加賀「で、考えることは同じね。水を浴びればいいという」

提督「それで潜水艦の子たちのテリトリーにお邪魔したわけだが…ブギャブル!?」バシャアアン!

ゴーヤ「あ、ごめんなさいでち提督!」

呂500「お水、とっても気持ちいいですって!海のお水とは全然違いますって!」

提督「……そのようだな」ピチャ…ポチャ…


提督「で、なんで俺は目隠しをさせられているんだ?」

瑞鶴「鳳翔さんとの淫行疑惑はまだ消えてないんだから、その罰よ!」

提督「疑惑の段階で刑を科せられるとは、ヒドい裁判官だな」

瑞鶴「だまらっしゃい!ここでは私刑がまかり通るの。疑惑あるところに証拠あり。みんなの水着姿は見せてあげないんだから!」

加賀「…なぜわざわざ、淫行なんて言葉を使ったのかしら。分かりにくいわね」

瑞鶴「はぁ!?そそそ、そんなのどうでもいいことでしょ!淫行は淫行よ。意味としては間違ってないわ!」

加賀「確かにそうだけど…」

龍驤「瑞鶴ちゃん必死やねぇ。微笑ましいわ、なんてな!ははは~!」


加賀「まあいいわ。私もせっかく水着に着替えたのだし、提督、私も少し泳いでくるわ」

龍驤「お、ウチも出るで~。ここのプールは案外広いんやなぁ。加賀、どっちが先に向こうまで着けるか競争や!」

加賀「望むところよ」

瑞鶴「……提督さん?私もちょっと行ってくるけど…すぐ戻ってくるから。目隠し取っちゃダメだからね?」

提督「はいはい、了解したよ。そんな警戒しなくてもいいだろうに」

瑞鶴「警戒してるとかじゃないんだけどさあ…」

瑞鶴「……」


瑞鶴「ねぇ提督さん。ちょっと!」

提督「なんだ…おわ!?なんだ瑞鶴、急に目隠しを捲って…!?」

瑞鶴「いいから、よく見てよ!」グイ

提督「…お、水着だな…そりゃそうだが」

瑞鶴「私の水着姿、可愛い?どう?」

提督「……か、可愛いぞ。うん」

瑞鶴「どういう風に可愛い?」

提督「どうって…俺は水着はよく知らんが…瑞鶴らしい快活さが溢れでているな。似合ってると思うが」

瑞鶴「なにそれ。誉めてるの?」プクー

提督「誉めてるさ!瑞鶴の魅力がよく分かるというか、色も派手すぎずに目立つ可愛さというか…」

瑞鶴「……」ジーーー

提督「えーと……あ、瑞鶴。お前、ツインテからポニテに髪型を変えてあるな」

瑞鶴「……えへへ~、合格!」


提督「うがッ!」パシン

瑞鶴「その目隠し、私がいいって言うまで絶対にとっちゃダメだからね!?じゃ、じゃあ私も泳いでくるから!」

提督「……はは、可愛いやつだな、ホントに…」

赤城「そうですねぇ…青春ですねぇ~」

提督「あおわぁっ!?あ…赤城!お前もう少し人間の声を出せ!」

赤城「あ、ひどいです…私だって幸せになる権利くらいはあります」


提督「焼きそばを食べられなかったくらいでどんだけへこんでいるんだ…」

赤城「くらい、と提督は仰いますが、私にとっては一大事です。日々の食事は私にとってはなによりも活力となるのに」

提督「件の焼きそばはどうした?」

赤城「あ、レンジの中にしばらくおいといたら、傷みました。もう食べられません」

提督「そうか…他にお前の食指を満足させるものは?」

赤城「残念ながら、なにも。焼きもろこしは食べちゃいましたし、あんずあめもフランクフルトもたこ焼きも、もう全部食べちゃいました」

提督「なるほどなぁ…祭りに行った気分になれる食べ物が欲しかったと」

赤城「そうなんです」

提督「うーむ…今は食材が自由に使いにくいからなあ、お前の要望を満たすものは難しいな」

赤城「ふぇぇぇ……」


提督「電気が戻るのは明日の朝だ。そうしたら鳳翔になにか作ってもらえるよう、こっちから頼んでみるよ」

赤城「はい…ありがとうございます」

赤城「私はいったん戻りますね。あまり泳ぐ気分ではないので。それでは…」トボトボ…

提督「……うーむ、重症だな」


ー同時刻 潜水艦娘用プールー


ガン「……」

響「………」

ガン「おい、ちび。失礼を承知で提言するが」

ガン「私は貴様に騙されたのではと、そんな疑問がふつふつと沸いてきているんだ」

響「何故だい?」

ガン「全員水着を着ているじゃないか…」

Iowa「HAHAHAHAHAHA~!?へーい、Gangut!その格好はどうしたのよ!ヌーディストビーチでも見つけたの!?」ケラケラケラ

Bismarck「あはははは!違うわよアイオワ!暑さで頭がやられて八甲田山みたいに脱ぎ始めたのよ!もしくはウォッカの飲みすぎね!」プゲラー

ガン「ほおおう?貴様ら、私に喧嘩を売っていると解釈して、いいんだな?」

アイ「まったく迫力がnothingネー」

ビス「天下の共産党も、これではねぇ…プクク…」


Warspite「NO、二人とも!そんな風にガングートを笑ってはいけないわ!人道的配慮が欠けているわ!」

アイ「W、Wow…スパ子、そんなTerrerFaceはノーサンキュー。落ち着いて落ち着いて!」

ビス「どうしたって言うのよ。普段の大人しめなアナタらしくないわね」

スパ子「これにはれっきとしたワケがあるのよ。そのワケを聞いたら、二人とも口が裂けても彼女を笑うことなんて出来ないハズだわ」

ガン「ふん。その通りだ。別に私は好きにこんな格好をしたんじゃない。話の分かるやつがいて助かる」

スパ子「ガングートは、可哀想な子なのよ。二人ともその事をきちんと分かってあげて」

ガン「そうだ……ん?なに!?」


スパ子「Iowa、Bismarck。貴女たち二人には、栄光ある祖国がいつでも帰りを待っているわ。私も同じ。愛すべき国が今も繁栄を続けている」

スパ子「けれど、ガングートは…彼女が忠誠を誓ったソ連はもう存在しないのよ…」

アイ「あ……」

ビス「む……」

ガン「おいこらちょっと待て!?貴様らも何を納得しかけている!」

スパ子「彼女は着の身着のまま、スズメみたいにその日暮らしでシベリア平原を渡り歩いてきて…水着なんて持っているハズがないわ」

スパ子「心の拠り所を失い、それでも戦うと決めた彼女の霜に覆われた姿は、何よりも美しい武勲艦よ!」

ガン「待てと言っとろうに」


スパ子「そんな逞しく生きてきたガングートに、どうして私たちが嘲りを向けられるというの?謝りなさい、二人とも」

アイ「…I’m sorry Gangut…私が間違っていたわ。貴女が苦労してきたこと、何も想像なんてしなかった。許してちょうだい…」ホロリ…

ビス「ごめんなさい。貴女を傷付けてしまったわ。なんの詫びにもならないかもしれないけど…今度一緒にお店に行きましょう。貴女にぴったりの水着を買わせていただくわ」

アイ「Nice idea!それはいいわね。とびっきりのモノを買いましょう!」

ガン「き、貴様らは感情だけで生きているのか…?」


アイ「oh…でもそうなると、今はどうする?ガングートが一人だけすっぽんぽんじゃあ可哀想だわ」

ガン「一人だけ?そういえば響は何処に行った…あ!?アイツ、ちゃっかり暁から水着を着せられてやがる!」

ビス「ふふん。簡単よ。私たちもすっぽんぽんになればいいわ。この国の諺になぞらえれば、赤信号皆で渡れば怖くない、ってヤツね」

アイ「SO COOL!平等と博愛に満ちた、素晴らしい言葉ね。よーし!」ババババッ

ビス「私も脱いだわ。よし、三人で肩を組んで突撃ね」ガシ

ガン「やめろ!貴様ら私に触るな単細胞が移る!肩を組むな!さりげに胸を触るなあああぁぁ!!」ガーー

アイ「目標、広大なバルト海の彼方へ!」

ビス「鎌と鎚のシンボルは不滅よ、ガングート!」

アイ「Let’s paaaaaaartyyyyy!!Yeahhhhhhh!」

ビス「そこ退けええええぇぇぇ赤い巨星のお通りよっ!!」

ガン「この三枚舌あああぁぁ!!覚えてやがれぇぇぇッ!!」

バッッッシャァァァァァンッ!!!

スパ子「……ふふ、これで三人とも、少しは仲好くなってくれるかしらね」


ー夕方 鎮守府 男性更衣室ー


ジジジジジ…ミーーーンミンミンミンミンミンミーーーーー……


鈴谷「アッッッヅイィィィ……あり得ないし、なんで急に電気止まってるワケぇ?」

熊野「街全体がこうなっているとは…鎮守府も電気が落ちてますし…救いがないですわねぇ…」

鈴谷「ジンジャーの水分もう全部とんだわコレ…あーーっ、アッツイぃ!」

熊野「はぁ…服もびしょびしょで、気持ち悪いですわ。早く着替えましょ」スルッ

鈴谷「浴衣かぁぁ……こんなん着て涼しくなんのかねぇ…」スルッ

熊野「赤城さんが持ってきてくだすったのですから、ありがたく着ることにしましょう。他に涼の手立てが思い付きませんわ…」


熊野「……っ!?鈴谷、あなたなんですの、その下着は!」

鈴谷「あーー?…!?いや、別にコレはさぁ…あははは…」

熊野「やっぱり黒の下着じゃないの!私の言った通りですわね。まったくハレンチですわ!」

鈴谷「ぐぬぬ…べ、別に下着くらいどんな色でもいいでしょ!?」

鈴谷「熊野だって、なんなのこのお尻は!?ぷりっぷりじゃん!オスを誘ってんじゃん!?」ギューー

熊野「にゃっ!?ちょ…やめてくださる!?はぅ…んぅ!!」ピクン!

鈴谷「おぉう、良い感触してんじゃん…このハリ、弾力、旨味たっぷり詰まってる証拠だねぇ…じゅるり」

熊野「やぁ…舌なめずりなんてやらしいですわ…ていうか今のもエッチな本のセリ「うるさああぁぁぁい!」」


ガラララ!

提督「結局プールも追い出された…なぜ急にみんな水着を脱ぎ始めたんだ?」

提督「んあ?」

鈴谷「」

熊野「」

提督「なにやってんだお前ら!?」

鈴谷「んなああああああぁぁぁ!?!?」

熊野「覗き見ですわぁぁああ!!」


提督「バカを言うな!ここは男用の更衣室だ!お前らが間違えているんだぞ!?」

鈴谷「うっそぉ!?」

熊野「鈴谷ぁ!いくら欲求不満だからってわざと間違えましたわね!?ここなら下着を堂々と見せつけられるから!…策士ですわね」

鈴谷「そんなつもりじゃないし!」

提督「っていうか鈴谷!?お前、なんだその派手な下着は!どこで買ったんだ!」

鈴谷「はぁ!?」

提督「許さん、許さんぞ!いったい誰に見せるつもりだ!変な虫でもできたんじゃなかろうな!?」

鈴谷「見せねーーーーよっ!?見せる予定なんかねーーよ!アンタは私の父親か!?ていうかいつまでそこにいんの!?さっさと出てけーーッッ!」ポイッ

提督「ぐおっ!」ガン!


鈴谷「バカ、エッチスケッチワンタッチ!すけべぇ!!」ガラララピシャ!

鈴谷「~~~」

鈴谷「バーーカ!」

熊野「ぁぉぁぁぁ…見られた…もろに見られてしまいましたわ…パンもろですらない、ケツもろですわ…」ズーン…

鈴谷(あ、でも見せといたほうが後々良かったかも…いやでも、まだ心の準備ができてないじゃん!まごころのこもってないパンツ見せても仕方ないっしょ)

鈴谷「…」

鈴谷「なにバカなこと考えてんだろ……」

鈴谷「……」

鈴谷「うーーーん……ん~~…」

鈴谷「~~~~っ」

鈴谷「だーーやっぱダメ!やっぱ恥ずかしい!ノリで買うんじゃなかった、提督には見せてやんないもんね!」


ー夕刻 執務室ー


提督「ヒドい目にあった…理不尽だ理不尽。なぜ俺が追い出されなければならん」

提督「あぁクソ、さっきまでの夢心地な冷房が嘘みたいだ…いや、この暑さもある意味では真実か。文明の力と脆さ。神でもない人間が営む栄華の、数ある局面の一つか…」

提督「空しいな…」

コンコン ガチャ

舞風「たっだいまぁぁーー提督!舞風、帰還したよー!」

野分「買い物、終了しました。抜かりはありません」

提督「おかえり。舞風、野分。他の二人は?」

野分「生鮮食品を抱えているので、食堂に。今夜は野菜たっぷりカレーを作る予定…だったのですが」

舞風「なーんか鎮守府が真っ暗で静かなんだよね~。寂しいな~」

提督「電気が止まっているからな…」


提督「お前たち、外は暑かったろう。鳳翔に言って氷を使って飲み物を冷やせ。四人分くらいなら影響はないはずだ」

舞風「えーー?大丈夫だったよ。ずっと木陰で休んでたもんねー♪」

野分「途中でまいが休憩したいとダダをこねて…すみません、小川で涼んでおりました」

舞風「ああーっ!?私のせいにしようとしてるー!のわっちもだらけてたクセにー!」

野分「だらけてません。目を閉じていただけです」

舞風「ぷえー。花火たくさん買い込んでたのものわっちなのになー」

野分「違うわ!提督、違いますからね?あくまでも皆が楽しめるようバリエーションを揃えたのであって、決して私の興味のために何十個も買ったわけでは…」

提督「はは…わかってるよ、野分。お前が仲間想いなのは知っている。ありがとうな」ナデナデ

野分「あ…いえ…というか頭…ありがとうございます…」


舞風「ああ~いいないいなー!提督、私にも~!」

提督「分かってる分かってる。舞風もありがとうな」ナデナデ

舞風「へへ~♪どーいたしましてー!」

野分「ええと…それで提督?今日はどうします?なんかいろいろ忙しない感じですし…花火はまた後日に開けますか?」

提督「いや、せっかくだから楽しもう。真っ暗闇な時間なんてそうそうないからな。良く映えるだろうさ」

舞風「やったー、花火だー!」

野分「ふふん。やっぱりたくさん買ってきて正解でしたね」

舞風「そうだよのわっちー、えらいえらーい!ご褒美にキスしてあげるよ~♪」

野分「あ、それはいいです」

舞風「ガーン!」


ー夕方七時 鎮守府 縁側ー


リーン リリーン リーン ピョロロロ ピーピー


赤城「虫ってどれくらい美味しいのかしら」


シーー……ン……


赤城「はぁ…お腹が空きました…」

赤城「あぁ、アジサイの葉っぱがとても美味しそうです…コンフリーも立派に育って…あれはスイセンでしょうか、確かにニラと似てますね…」

赤城「……」

赤城「全部毒性の食べ物じゃないですか!」

赤城「はあぁぁ~…もうやる気が出ないです」バタリ


赤城「……星がキレイだなあ。真っ暗だからですね」

赤城「まあお腹は膨れませんけど。やだもう私ったら、食べ物のことばかり考えているみたいじゃないですか」

Graf Zeppelin「違うのか?」

赤城「あ、グラーフさん。お疲れ様です」

グラ「お疲れ…廊下に寝そべって、汚くはないのか?」

赤城「大丈夫ですよ。みんなで常に掃除してますからね。この鎮守府に汚い場所など存在しません」

グラ「そうか」

グラ「隣…いいか?」

赤城「ええ、どうぞどうぞー」


赤城「ふふ、グラーフさんが誰かに話し掛けるのは珍しいですね」

グラ「別に岩ではないのだから、私だって会話くらいする」

赤城「そうですね、失礼しました」

グラ「…なにやら落ち込んでいると聞いてな。慰めよう、という腹積もりはないが…どんな様子かと。この分なら心配はなさそうだな」

赤城「そりゃそうですよ。私は一航戦の誉れです。多少の動乱程度で心を揺さぶっていたら、とてもじゃないですが深海棲艦との戦いには…」

グウゥゥゥ…ゥゥゥ キュルルル…

赤城「………」

グラ「…空腹か?」

赤城「グラーフさん。世の中には、殺しても文句を誰にも言われない虫がいるんですよ。腹の虫です。グラーフさんも精を出して腹の虫を踏み潰していってください」

グラ「あ、あぁ…助言感謝する」


グラ「しかし、日本には腹の虫は二種類いるそうだな。腹減りの虫と、立腹の虫か。まだまだいるんじゃないのか?」

赤城「虫なんていくらでもいますよ。えぇ、そこら辺の草むらにも。グラーフさんが今仰ったのが喩えなら、物理的に腹の虫を作ることもできます。イナゴでもハチノコでも」

グラ「昆虫食は趣味ではないが…セミの声なら遠くで聞こえるな。けたたましいことこの上ない。こんなうるさいだけの羽虫が日本中にいるのか…」

赤城「みんみん鳴いているだけのうちは、まだまだ夏は始まったばかりと言えますね~。ほどよく手を抜いて、暑さを乗り越えるのがコツです」

グラ「一航戦の誉れがそんな体たらくでいいのか」

赤城「いいんです。暑さと空腹と眠気には誰も逆らえません。潔く諸手をあげるのが吉と偉い人も言ってますよ」


赤城「というわけでグラーフさんも、レジスタンスを解体しましょう。まずは手始めに、廊下にごろっと寝そべってみましょうか♪」

グラ「いや、私は別に…」

赤城「あ、木目がイヤなら畳部屋に移りましょう。そ~れゴロゴロ~♪」ゴロロー

赤城「ここなら床も柔らかいです。ささ、グラーフさんも寝そべりましょう♪新たな境地が目覚めますよ」

グラ「……なるほど、では」ゴロー

グラ「……」コロコロ…

グラ「……」コロロー

グラ「……」ゴロゴロー

グラ「……うん。悪く…ない。ワラのような感触がする…」

赤城「はい。それっぽい植物を使ってますからね」


赤城「畳、気持ちいいですよねー。非常時には食べることも出来るんですよ。我が日本が誇る最強の安眠装置です」

グラ「うむ。思った以上に心地よいな…」

赤城「気に入ったようで何よりです」

赤城「あぁ良かった。断られたらどうしようかと思いましたけど…そんなことはありませんでしたね。嬉しいです」

グラ「ん?何がだ。赤城と同じ行動をとっただけだろうに」

赤城「いえ、以前のグラーフさんだったら、こんな風に接触してきてくれることもなかっただろうなーって」

グラ「そうか?」

赤城「そうですよ。ドイツからやってきて、色々と不安もあったのでしょうが、ちょっと気難しいところがありましたもの。仏頂面ばかりお見かけしていたものですから」

グラ「あぁ…あの時はここの雰囲気にまだ慣れなくてな。プリンツから日本の事を教わって、多少は馴染めるようになったと思うよ」

赤城「違いますよ。違います。そうではなくて…文化的な違いではなく、グラーフさん自身のことです」

グラ「私の?」


赤城「以前はこんな風に、床にねっころがるなんてこと、意地でもしないような人だったのに。今は私と一緒に横になっています」

赤城「それって、変わったとは言えませんか?」

グラ「…そうだな。確かにそうかもしれない」

赤城「それが嬉しいんです。私は」

赤城「性格が柔らかくなったということですね。漬け物と同じです。長く塩に揉まれていると、なんでも柔らかくなります。しんなり、はんなりします」

グラ「……その塩とは、お前たちのことか?」

赤城「そうであれば尚、嬉しいわ」

赤城「こうしてグラーフさんと一緒にお話しできるのも、戦えるのも、ご飯を食べるのも。一瞬毎の繋がりが連続して、やがて大きな絆になっていったのなら。私はそれを何よりも大切に思います」


グラ「……」

グラ「日本人は口下手だという認識があったが…そうでもないな。とりわけお前は情熱的だ…何故だろうな」

赤城「伝えたい想いがあるのなら。それは今すぐにでも伝えなければ。躊躇う気持ちは後悔を呼びますからね」

赤城「たった今グラーフさんに語った全てが、私の全力の気持ちですよ」

グラ「っ……そ、そうか…ありがとう…」

赤城「おや、照れてます?」

グラ「照れてなどない」

赤城「顔が赤いですよ」

グラ「この暗闇で見えるものか!」


赤城「ふふふ…こうしてみれば分かります。お、グラーフさんのほっぺも柔らかいですね~」プニプニ

グラ「や…やめないかっ…!」モゾモゾ

赤城「これはクセになりそうです。つんつんつーん♪」

グラ「くそう…いい加減に…」

グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

赤城「………」

グラ「……腹の虫だな」

赤城「……グラーフさんのほっぺ、おもちみたいで美味しそうですね。食べられそうですか?」

グラ「そんな虫の良い話があるものか…」

赤城「はうぅ……あははは、どうしようもないですね、これは…あぁ何か食べたいです…」

グラ「頼むから私は食べないでくれよ」

すみません、一旦切り上げます。
今日中には全て投稿する予定です。

戻りました。

saga だとフィルターがかからない、ということでしょうか。
よく見たら説明文がうっすらと書いてありますね。sagaだと特殊変換が無効になるようです。

ご指摘いただきありがとうございました。


ー午後7時 鎮守府 中庭ー


加賀「ようやく夕食の目処が立ちました」モグモグ

翔鶴「せっかくなので、中庭で食べましょうという事に決まりました♪」

鳳翔「加えて、皆さんの分の浴衣も用意してありますよ」

雪風「わあああ、膝下がすっごい長いです!倒れそうです!下駄も痛いです!こんなの服じゃないです、しれぇ!」フラフラ

提督「大丈夫か雪風?ほら、もう少し下駄の鼻緒を軽めに挟んで…帯も少し緩めてもらえ。立てそうか?」

雪風「あ、はい!立てました、立ててます!ありがとうございます、しれぇ!」トテトテトテ…

提督「ふぅ…いやはや、皆可愛らしいな。浴衣が揃い踏みで豪勢なことだ」

鳳翔「すみません提督、相談もなしに勝手に決めてしまって…」

提督「構わんさ。良い案があるならその方がいい」


萩風「は~い、みなさーん。野菜が焼けましたよー。お肉も順次足していくので、ちゃんとバランスよく食べていってくださいねー」

暁「やったー!もうお腹ぺこぺこよ…ピーマン、違うわ…カボチャ、これも違うわ…あれ、お肉はどこにいったの?」

響「むぐむぐむぐ……もぐもぐ……この豚肉、少ししょっぱいね」

暁「あーーっ!?なに全部食べてるのよ!わ、私のお肉うぅぅ!」

夕立「ゆっくりしてたら奪われるっぽい!最早戦争っぽい~」モグモグ

暁「ぐぬぬぬ…ま、負けないんだからぁ!えい、ぱく!……これナスだったわ!?」ブフォー

萩風「まだまだたくさんあるから、ゆっくり食べてください~。さて、トマトも焼けてきたわ…はい嵐、あーん♥」

嵐「あ、あーん…すっぺぇ…」

萩風「うふふふふ…たーんとお食べ♪」


大淀「…意外ですね。もっとみなさんへばっているかと思ったのですが…元気なものです」

提督「みんなたくましいからな。エアコンがないならないで、代替手段を見つけるまでさ」

大淀「……なるほど。普段の様子からは想像もつきませんが…提督の仰る通りのようです」

大淀「では、今後は電気代を削っても大丈夫ですね♪」

提督「それはまかりならん!」

加賀「そんなことをすれば、暴動よ」

大淀「くっ…けど、経費を管理する身にもなってくださいね。好き勝手に節制もなく資源を貪り尽くされるのは、やっぱりキツイんですから」

提督「……分かった、そこは俺からも周知していこう。加賀も、いいな?今後は少しだけ、エアコンの使用を控えていこう」

加賀「う…し、承知したわ。そのように努めます」

大淀「お願いしますよ、本当に」


鈴谷「チィーッス、提督~♪元気してるー?」バシ

提督「いて。なんだ、鈴谷か」

鈴谷「なんだとは失礼しちゃうな~?この鈴谷の浴衣姿を見てもそう言ってられんの?」

提督「どれどれ…ほう、柳をあしらったデザインか。似合ってるぞ。可愛いじゃないか」

鈴谷「でっしょぉ!?もっと褒めてよ、もっと見てよ~♪」ドヤァ

熊野「さっきまでの落ち込み具合はどこへやら…もう大丈夫ですの?」

鈴谷「あー、さっきまでの鈴谷は死んだから。骨はエアーズロックからバラまいといてよ」


熊野「で、下着はそのままですの?」

鈴谷「だって鈴谷たちの部屋暑すぎて入りたくないし…替えの下着取りに行ってないし」

熊野「汗かいたままの下着ですの?」

鈴谷「うん。…あ、いや違うし!別に汗かいてないから!」

熊野「はあぁぁぁ。淑女にあるまじき行為ですわ…」

鈴谷「くっ…熊野の巧妙な誘導に引っ掛かるとは、やられたね…」

熊野「人聞きが悪いですわね!」


鈴谷「うむむむ…男の人は多少の汗くさいのでも興奮するとか書いてあったけど、違ったのかなぁ?」

熊野「知りませんわ…ていうかたばからなくなりましたわね」

鈴谷「いーじゃん!鈴谷がそういう本読んでたって!熊野だってちょっとは興味あるでしょ多感な女子には一服の清涼剤だよむしろ人間として正常な欲望に忠実なんだから鈴谷が普通なんだからねこういうのを恥ずかしいと思ってたら子孫繁栄は夢のまた夢であって生物としての意義も果たさないんじゃ深海棲艦なんかと戦ってる意味もないしそれから!」

熊野「やっかましいですわ!早口で聞き取れませんわ!」

鈴谷「はあー…熊野はむっつりだから仕方ないね。未成熟な桃の実はまだ食べ頃ではない~てきな?」

熊野「……なんかバカにされているような…。ていうかあんまり大きな声出してると提督に聞こえますわよ?」


瑞鶴「え?鈴谷、今のセリフって…」

熊野「っ!?ず、瑞鶴さん!今のは違いますわ!ハレンチな妄想を語っていたのは鈴谷一人であって、わたくしは別に…」

瑞鶴「第12号の特集にあった小説だっけ?睦月影郎の。懐かしいなぁー」

熊野「へ?」

鈴谷「ん?」

瑞鶴「え、てことは鈴谷、もしかしてあの雑誌読んでたんじゃ…」

鈴谷「………」

瑞鶴「………」


鈴谷「」ガシ

瑞鶴「」グワシッ

鈴谷「同志だね」カタイアクシュ

瑞鶴「心の理解者ね」カタクミ

鈴谷「いやあのね、視姦されてるのも悪くないかなって話を……うんそう…」

瑞鶴「個人的にローションが…さっき提督さんがさ…そんなに使わなくてもいいけど…」

鈴谷「うおマジ?ずいずいなかなかエグいところ突くじゃん…」

瑞鶴「鈴谷こそマニアプレイが捗るじゃない…」

鈴谷「……」

瑞鶴「……」

鈴鶴「「wwwww」」

熊野「なんなのこの人たちは…」

翔鶴「瑞鶴…」

熊野「ひゃ!?いつの間に後ろに…!?」


ー午後8時 中庭ー


バシュ!バシュゥゥゥ!


島風「わーい花火花火!私これやる~。いっちばんお先~♪」バシュー

時津風「じゃあ私はこれ~。このプラスチックの持ち手可愛いよねー。かわいいかわいい~♪」

天津風「花じゃなくてそっちなの?あ、私は紙が持ち手のやつ貰うわね」

初風「え、私はどうしようかしら…えーとえーと…」

島風「初風ちゃんはこれがいいんじゃない?蛇花火だって!おもしろそ~!」

初風「へぇ~、どれどれ…うわ!?なんか延びてきた!うわ、どんどん成長してる!?なにこの変なの!や、ちょ、やだあ!」

時津風「あははははは~!初風おもしろ~い!もっとやって~!」

初風「笑ってないで助けてよ!?やー、こっち来ないで!」ゲシ

天津風「もう、落ち着きがないわね。まがりなりにも火を扱ってるんだから、少しは大人しくしなさい」

連装砲くん「」キュイキュイ

天津風「わー!?ちょっと待って連装砲くん!あ、連装砲ちゃんも!?暴発したらダメだから!待って待って!」

時津風「天津風も人のこと言えないじゃん~。やっぱ花火は楽しいな~」


ー同時刻 中庭ー


由良「…すすき、か。すすきみたいに火薬が花開くから、すすき。良い名前よね」


パシューー


朝潮「はい。他にも、スパークや変色花火、最近では音が出たり匂い付きだったりおみくじが付属しているタイプもあり、少しずつ飽きさせない工夫を凝らしていっているようです」


パシューー パチパチ


荒潮「あら~。さすが朝潮ちゃん、最新のトレンドにも敏感だわ~」

朝潮「ググったらのっていたわ」

由良「同じ火薬でも、使い方一つでこうも綺麗になるんだもの。感慨深いよね」

荒潮「いっそのこと、これを砲身に摘めて戦いあえば、世界はもっと平和になるかもしれないわね~。ふふ、想像したら楽しくなってきちゃったわ~」

由良「それいいわね。今度、演習でやってみようか」

荒潮「さんせい~♪」

朝潮「……」


由良「…朝潮ちゃん?どうしたの?」

朝潮「いえ…前に誰かが言っていたことを思い出して」

荒潮「あらあら、どんなの~?」

朝潮「…世界中の火薬を花火にしてしまえば、争いなんて起こることはないんだって、人がむやみに亡くなることもないと。そんな内容です」

由良「あぁ、私も聞いたことがあるわ。どこだったかは忘れたけど…でも、似たような言葉を聞いたのは間違いないわね」

荒潮「ん~…私はー、ないかも~。でも、言おうとしていることは伝わるわ~」

由良「そうね。とっても素晴らしい考えだと思うわ。ギリシャでは、お祭りで数千発のロケット花火を打ち合うらしいけど…争うとしたら、あんな感じになるのかしら。悲惨さは全く無くなってしまうかもしれないわね」

朝潮「はい。確かに素晴らしい考えです。非情な兵器などなくしてしまえば、この世界はもっと穏やかに手を取り合えるかもしれません。無用な悲しみを生み出す道理が無くなれば、人はもっと信じあえるかもしれません。ですが……」

由良「でも…なに?」


朝潮「……なんだか、私たちの存在意義を否定されている気がしてしまって」

朝潮「別に誰かから褒められるために、艦娘になったのではありません。何よりも守りたいものがあるからこそ、艦娘になったのですから」

朝潮「けれど…実情を知らない人々から見れば、やはり私たちは、平和をかき乱すだけの存在なのかと、ふと思ってしまって」

荒潮「……ふふ、やっぱり朝潮ちゃんて真面目よねぇ。そこが好きなんだけどね~」


パチパチ……パチ…パチ…


由良「……この花火みたいに、私達が誰からも愛されるというのは、やはり難しいことだと思うわ。たとえ祖国の為に命を懸けていてもね」

由良「けれど、たとえいつかは燃え尽きる存在だとしても、朝潮ちゃんが信じたものが嘘になるわけじゃないわ」

由良「花火が人々を感動させる為にあるのなら、私達の砲弾はその花火を作ってもらう為にあるの。同じようで違う。違うようで同じ。曖昧で揺らぐ存在だからこそ、理解されるのは難しいわ」

由良「所詮は私達の、自己満足よ」


朝潮「……割り切る、ということですか?」

由良「違うわ。理解するの。他人をね。理解されないとして、それをきちんと理解するの。面倒くさいけど、私はそうしているわ」

由良「…まあでも、今日夕張たちに電気を使いすぎないように強制しちゃったんだけどね。あはは、やっぱり難しいわ。偉そうなこと言っても格好つかないわね」

荒潮「そんなことないわ~。とってもかっこいい考えよ、きゅんきゅんしちゃう♪」

朝潮「そうですよ。さすが、軽巡洋艦の先輩です。尊敬します!」

由良「ふふ、ありがとう」

由良「さあ、辛気臭い話は終わりにしましょう!まだまだ花火はたくさんあるわ。今日は目一杯楽しみましょう」

朝潮「はい!楽しみます!」

荒潮「……そういえば、夕張さんはどうしちゃったの~?明石さんも霞ちゃんも、あれから姿を見かけないわ~」

由良「あー、えーっとね、三人ともドックに運ばれていって…あ、でもさっき復活したって聞いたような…?」


ー同時刻 中庭ー


照月「花火…キレイだね~。ね、秋月姉、初月!」

秋月「ええ。こんな贅沢な遊びができるなんて…私たちは幸せ者ね」

初月「まったくだ。皆に感謝しないとな…お、松葉がでてきたぞ」

照月「秋月姉上手~!器用だね!」

秋月「ふふふ。線香花火だけは自信があるの。他の人がやっていたのをずっと見てたからね」

照月「すごーい!これならいつまでも楽しめるね!」

初月「さすがは僕たちの姉さんだ」

青葉「……あの~、お三方?線香花火まで三人で一本じゃなくてもいいんじゃ…」


青葉「ていうか、そんなんじゃ明かりが弱いです!写真映えがしないです!三人とも一本ずつ持ってください!」

初月「な、な、なにぃ!?一人一本なんてそんな、恐れ多い!」

照月「神様に祟られちゃうよ!」

青葉「祟られないです!まだまだたくさんありますから、もっとパーッと楽しんじゃってください!」

秋月「けど、そんな…提督からいただいた貴重な物資を無闇に使うわけには……」

青葉「うぅぅぅ…どう言えば彼女らはわかってくれるのでしょう…」

青葉「……あ、そうだ!」ピコーン


青葉「三人とも。よく聞いててくださいね。実はですね…」

三姉妹「?」

陸奥「えーと…中庭に置いてある花火、実は廃棄品なんですよ。使わないと捨てられちゃうので、使ってもらったほうがいいんですよ」

照月「えーっ!?勿体ないよ!」

青葉「そうなんです。勿体ないんです。だから、鎮守府のためと思って、全部使っちゃってください」

秋月「そ、そうだったんですね」

照月「じゃあ全部使いきっても、大丈夫なのね!」

初月「そうか…そういう事情なら、早く使いきってしまおうか」

照月「私、取りに行ってくるね!」トテトテトテ

青葉「はひ~…ま、良い写真の為にはこれくらいの嘘は許されますよね」


青葉「いや~あははは。みなさん素直で助かりました。この鎮守府はいい人が多いですねえ、ホント」

青葉「さて、後撮り残したのは……熊野さんのパンツ、激写できるかなぁ…?」

照月「持ってきたよー!」ガサガサ

秋月「こ、こんなにたくさん…!?でも、今だけは贅沢しても大丈夫だから…えへへへ」

初月「秋月姉さん、顔がこれ以上ないくらいににやけてるぞ。ふへ…ふふふ…」

照月「みんな笑顔だね!わーい!」


バシュー パチパチパチパチ!


青葉「……あ~、花火にはやっぱり可愛い女の子の笑顔が欠かせないですねぇ…」パシャパシャ!


ー同時刻 中庭ー


明石「天が呼ぶ!地が呼ぶ!数多の星がミルキーウェイとなって私たちに叫び語りかけるぅ!!」

夕張「不毛な電気ショックにもめげずに立ち向かう!道理が無ければ切り開けばいいじゃなーい。霞食ってるようなやつには負けないわ!」

赤夕「「何度パソコンを壊されても私たちは立ち上がるんだから!!マッドサイエンティスター・ダブル!見参!」」


ブーブー ウルサイゾー カエレー


明石「ふふふ…せっかく皆が喜びそうな花火をこしらえてきたというのに、そんな態度でいいのかしら?」

夕張「ここに取り出したるは、じゃじゃん。ロケット花火~!…の改造品種よ」

明石「これが天の星をも砕く最高の花火よ。刮目せよ!」

霞「ちょっとアンタたち!なにやってんのよ!また醜態晒すつもり!?」

夕張「霞ちゃん…私たちは止まらない…止まれないのよ!己の信念を貫き通して軽巡洋艦・夕張を世界に轟かせたいの!!」

明石「っていうのは建前で、本当は楽しみたいだけですよ~」


夕張「平和とか戦争とか関係ないわ、私は私の道をゆく!火薬はそのためにあるのよ!」

霞「くっ…さっき自爆したからこれ以上下手に動けないわ…」

由良「夕張!火薬は人に迷惑をかけるためのものじゃないの!」

夕張「出たわね、私の親友にして最大のライバル!多少生足を出したからって、まだまだストッキングの勢力は弱まらないんだから!」

由良「あ、足は関係ないわ!」

夕張「そうかしら!?人間、何かを追い求めるにはまず足からと言うでしょう!足と太ももと付け根のバランスはとっても大事なのよ!」

由良「それは捜査の基本だと思うわ」

霞「負けないで、由良さん。コイツらに対抗できるのはもう貴女だけよ…」


夕張「由良。あなたはこう言ったわ。他人に迷惑かけるような使い方はダメだと。要するにそれって、迷惑かけなきゃいいってことよね?」

由良「ま、まあ、そうなるわね」

夕張「その点なら大丈夫!私達の花火は、天空をひっくり返す花火よ!そんじょそこらの打ち上げ花火とも違うわ。つまり、何も問題なんてない!」

霞「言ってる意味がわかんないわ!」

由良「…ん、ん~……なら、大丈夫かな?」

霞「由良さあぁぁぁぁんッ!!?」

明石「点火用意!十、九、とばして二、一!!」

夕張「うち上がれええぇぇぇぇぇっ!!」


パヒュゥゥゥゥゥゥ

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira143014.jpg

画像が無駄に大きかった・・・


ー同時刻 縁側ー


ドドン ドン ドン


赤城「花火の音…みなさん楽しんでいるかしら」

赤城「あぁ、晩御飯おいしかった。ごちそうさまです」パン

赤城「……」

赤城「屋台的ななにかを食べたかった、と言っても贅沢ですね。非常時にはわがままを言ってはなりません。欲しがりません、電気が戻るまでは」

赤城「……」

加賀「赤城さん」

赤城「あら…加賀さん」


鳳翔「お疲れ様です、赤城。ここにいたんですね」

赤城「あ、はい。お疲れ様です。鳳翔さん」

蒼龍「赤城さんお疲れさまー!もー探したよー!」

飛龍「一人で食べてないで、赤城さんも中庭に来なよ!」

赤城「ふふ、ありがとうございます。どうしたんですか?みなさん揃い踏みで」

鳳翔「いえ、我が鎮守府では報恩を是としていますので…浴衣を人数分見繕ったり、食材や器具を用意してくれた人には、何かしら報いるところがあってもと思いましてね」

赤城「?…あ、私のことですか?」


グラ「お前以外にいないだろう。もっと誇れ」カチャカチャ

赤城「グラーフさん…って、そのお盆に乗せているものは…」

鳳翔「ただ、空腹を誤魔化すのに水をがぶがぶ飲むのはやめてくださいね。汗をかいたとはいえ、やはり体に良くありませんから」

赤城「あ…あはははは…ついつい、アイガモの境地に達してしまって…」

加賀「それでまあ、お水でお腹を満たした人にはくどいかもしれないけど…用意したわよ」

赤城「用意って…え、それですか?ほ、本当ですか!?」

加賀「本当よ。屋台的なもの、所望でしょ?」


赤城「こ…こここ、これ…かき氷ですか?」

鳳翔「そうですよ。これも十分に屋台的ではないですか?」

赤城「いちごシロップが…これでもかと氷にかかってます!ここここ、これ、妙に安っぽい紙の器も再現してありますね!」

鳳翔「あとは、はい。スプーン付きのストローです。これもかき氷くらいにしか使いませんね」

赤城「ふわあああっ!い、いいんですか!?」

グラ「ああ。好きなだけ食べていいぞ。頭痛には注意してな」

赤城「いただきます!はむ、はむ!」シャクシャク

赤城「お…おいしい…おいしいです!はむ…はむ…ふええぇぇぇ、嬉しくて涙が出てきます…!」シャクシャクシャクシャク

グラ「大袈裟なやつだなあ、まったく。赤城らしいと言えば、らしいがな」


蒼龍「よかったね赤城さん!ほらほら、口のまわりにシロップついてるよ」フキフキ

赤城「ありがとうございますぅぅ…」シャクシャク

飛龍「やっぱり美味しそうに食べるな~。ただのかき氷なのにすっごい美味しそうに見えてきちゃった…」

飛龍「……」ウズウズ

飛龍「あ、あの、鳳翔さん。使えそうな氷って、まだあったりとか…?」

鳳翔「大丈夫です。おかわりは出来ませんが、人数分くらいならなんとか確保できますよ。食堂に用意してありますので、お手伝いお願いできますか?」

飛龍「やったぁ!食べる食べる!」

蒼龍「デザートはかき氷だあ~♪」

加賀「ブルーハワイでもたっぷりかけて食べてみようかしら」

赤城「おいひい…おいひい……あ、痛い…いたいいたい頭痛いです!いたーい!」

グラ「やっぱりこうなったな。どれ、私も…あむ…うっ!?頭が……」


―同時刻 中庭―


ドン パラパラパラ……


ドン


熊野「キレイですわね…派手なだけの打ち上げ花火も、真下から見るとなかなかに面白いものですのね」

鈴谷「ね~、角度によって見方が変わるんだから、こんな面白いものもなかなかないよね~」


ドドン パラパラパラ…


熊野「そうですわね。火花一つ一つが良く見えますわ」

青葉「……」ウズウズ

青葉(あぁー知りたい!熊野さんはどんな下着をはいてるんだろう?ガーターとか、透け透けとか、ソックスベルトとか、紐だったら大事件ですよ!)

熊野「あ、また上がりましたわ」

鈴谷「たーーまやーー!!」


ドン!


熊野「たーーまやー」

青葉「たーーまやーーーっ!!」ガバァ

熊野「っ!!??」

青葉「エッッッ」


熊野「なぁっ!?青葉さ…!?」

青葉「は…は…は…」

鈴谷「え、なになにどうしたの?青葉っちくしゃみ出そうなの?」

青葉「……はいてないんですかああぁぁぁぁぁっ!?!?」

熊野「ち、違いますわ!下着のラインが見えないようにしてるからで…普段はちゃんとはいてますわ!」

青葉「写真一枚お願いします!」

熊野「誰が撮らせると思いますの!?」

青葉「いーじゃないですか、減るもんじゃないですし!提督に売り付けてお金の半分を約束しますから!」パシャパシャ!

熊野「いりませんわ!ちょっ…本当にやめてくださる!?」

青葉「これはスクープだあぁぁっ!!」パシャパシャ

熊野「くっ…不覚ですわ……」


―同時刻 中庭―

Zara「はいガングートさん♪特性ボンゴレパスタの秋刀魚添え、いっちょうあがりよ!」

Aquila「こっちも出来たわ、ピロシキシチリア風味、召し上がれ♪」

プリンツ「ロシアもジャガイモ食べるって聞いたから、クヌーデルだよ。たくさん食べて!」

コマ「ウォッカを使ったシャトーブリアンです。今だけは貴女のために全力を尽くすわ」

Pola「グルジアワインもいいですねぇ~ゴクゴクいけちゃいます♪」

ビス「さあガングート!たくさん食べなさい。私たちは永遠の同志なのだから、遠慮することはないわ!」

アイ「Bigburger にCheeseburger, French friesにChicken nugget、さあ好きなものを選んでちょうだい!Refill もOKよ!」

ガン「……一生のお願いだ、提督。こいつらの誤解を解いてほしい…お願いします…」

提督「………」


花は散り咲き夜は更け、思い思いに少女達は煉獄の涼を楽しみます。
こうして、鎮守府の束の間の騒乱は過ぎ去っていきました。

翌日の朝、大淀の言っていた通りに電気が復旧し、
またいつも通りの日常が帰ってきました。


ー執務室ー


荒潮「~♪~♪」

荒潮「提督~?少しの間エアコンの温度戻すわね~」

提督「ああ分かった」


ピッピッ


エアコン【27度】

けれど、電気のありがたみを知った彼らは、
ほんの少しだけ、我慢することを覚えました。


ー工廠ー


ブィィィィィィィィィィ


夕張「あぁ~…扇風機もまあ、悪くないわねー」

明石「こっちにも回してよ~…あーすーずしー…汗かいてなきゃこの風の心地よさは分かんないわね」

夕張「そうね~」

日向「おい夕張。明石。稼働中の瑞雲はどうした?見当たらないのだが」

夕張「あー。電気バカ食いしてたんで、提督から禁止令食らいました」

日向「なんだとっ!!?」


おわり

以上で終わりとなります。
ありがとうございました。

途中の花火の画像は、本当は去年の長岡花火で撮った写真を載せようと思ったのですが、
どこにいったのやら、フォルダを探しても見当たらず・・・あえなくフリー素材を使用させていただきました。

次に何を作ろうかまだ決まっていないのですが、折りを見てまた投稿したいとおもいます。
それでは。

html化依頼、出してきます。

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