モバP「殺生石」 (54)
モバマスSSです。
杏「飴くれ」
P「あげるから働け」
杏「ん。飴次第だね」
P「今なら特別に二個あげるぞ」
杏「むむ。最近いいように使われてる気がするんだけど…」
P「むしろそれは俺のセリフなんだけどな」
杏「そうかな」
P「そうだよ」
杏「まぁ、飴二個貰ったわけだし、その分は頑張るよ」
P「そうだ。その意気だ。印税生活まで付き進め」
杏「言われなくても分かってるよ。それじゃ行ってくる」
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P「行ってらっしゃい」
P(行ってくるって言っても、すぐに帰ってくるだろうけどな。振付を完璧に覚えて…)
ちひろ「あ、お花に水やっときますねー」
P「あ、ありがとうございます」
ちひろ「さてとっ!お仕事を片づけちゃいましょうか」
P「いいですね」
楓「そして、お酒飲みたいですね」
ちひろ「はい?あ、楓さん」
P「お帰りなさい楓さん」
楓「ただいまです。お二人とも今日はお仕事終わりそうですか?」
P「えぇ、今日はそこまで遅くはならないかと。杏が帰ってくれば終わりですし」
ちひろ「そこまで急務もありませんしね」
楓「なら、お酒を飲みに行けますね。わくわくしてます」ワクワク
P「別に構いませんけど…」
楓「あ、今日はPさんも飲んで下さい。私はタクシーで帰ろうと思うので」
P「それなら平気ですね」
楓「日本酒も焼酎もしょっちゅう飲めるわけじゃないですしね。ふふ…」
ちひろ「たまにはいいですかね」
楓「ありがとうございます。それじゃ、私も出来るだけお手伝いしたいんですが…」
P「言っておきますが、わくわくするものはないですよ?」
楓「流石に、分かってますって」プー
楓(セリフ取られちゃった…)
P「そっち終わりましたかー?」
ちひろ「あとは、勤怠表の確認で終わりです」
楓「……♪」ツンツン
P「楓さん、書類の整理を頼んだはずなんですけど、なんで俺にちょっかい出してるんですか?」
楓「だって、終わりましたもの」
P「…流石です」
P(仕事が早いなぁ)
P「俺の方はもう終わりました」
楓「まだ残ってますよ」
P「え…?」
楓「ちひろさんのお仕事が終わるまで私と遊ぶお仕事です」フンス
P「あ、そうですね。どうしましょう、とりあえず頭でも撫でておきますね」ナデナデ
楓「あ、はい。どうも…」
ちひろ「お二人さん、私も終わりましたんで!そのお仕事は終わってくださいね!」
楓「むー…。それじゃ行きましょうか」
居酒屋
P「考えてみればですね」
楓「はい?」
P「アイドルと一緒に居酒屋に入る事務員とプロデューサーって結構珍しいですよね」
ちひろ「そうですね…」
楓「いいんです。私が二人と一緒にいたいんですから」
P「ありがとうございます」
ちひろ「なんかジーンと来ました。プロデューサーさん梅酒のおかわりを」
P「はい。分かりました。楓さんは何か飲まれますか?」
楓「私は芋焼酎をロックで。そちらは?」
P「あ、それじゃ、俺も同じものを。すみませーん」
P「いやぁ、久しぶりにお酒飲むといいですね」
楓「そうですね。やっぱりお家で一人で飲むより全然いいです」
ちひろ「私もそう思いますよぉ。あ、プロデューサーさん、そっち行っていいですか?」
P「え、あ、はい。どうぞ…?」
ちひろ「…やったぁ。隣だぁ」
楓「大分回ってるみたいですね」
P「みたいですね。梅酒だけのはずなのに」
楓「雰囲気酔いみたいなものもあるでしょうし…」
ちひろ「ふふふ。気持ちいいですね。たまにお酒飲むのも」
P「どうしましょうか…」
楓「まぁ、なにもなさそうですし、平気じゃないですか?」
P「そうしておきましょうかね。それじゃ、改めて乾杯ということで」
楓「はい。乾杯…♪」カンッ
ちひろ「……」スー
P「寝ちゃいましたね」
楓「ですね…。それじゃ、そろそろ行きましょうか。おっと…」フラッ
P「あ、大丈夫ですか?」
楓「少し飲みすぎましたかね…」
P「お水でも頼みますか?」
楓「そうですね。お願いします」
*
P「それじゃ、ちゃんと帰ってくださいよ?」
楓「はい。帰ったら連絡しますね。こう、写メをパシャって撮りますね」
P「なんでもいいですけど、頼みますよ」
楓「はい。それじゃ、失礼しますね」
P「さてと…ちひろさんを送ってと」
P(タクシー捕まるかな。あ、いたいた)
P「ちひろさん起きてください」ユサユサ
ちひろ「ふぁい……あ、す、すみません」
P「今から家まで送りますんで」
ちひろ「あ、え、そのすみません…」
P「いえいえ…気にしないで下さい」
ちひろ「それですけど、お二人に合わせて飲んでしまう私が悪くて…それにこうもフラフラの姿を見せるのは恥ずかしくてですね…」カァァ
P「大丈夫ですから。それじゃ、もう少しで家に着くと思うのでそれまで寝ててもいいですよ?」
ちひろ「大丈夫です。目は覚めましたから」
P「そうですか?ならいいですけど…」
ちひろ「それじゃ、本当にありがとうございました。また明日からも頑張りましょうね!」グッ
P「はい。おやすみなさい」
ちひろ「あれ?プロデューサーさんも降りちゃうんですか?」
P「えぇ、ちひろさんがちゃんと帰れるか不安でして」
ちひろ「すみません。もうそこですけど、上がっていかれますか?」
P「いえ、帰りますよ。もう時間が時間ですし」
ちひろ「そうですか。それじゃ、今日は本当にありがとうございました」
P「いえいえ。おやすみなさい」
P「さて、帰るか…」
P(ここからだと歩いて帰れるな)
P「お、こっちの方が近道っぽいな。暗いけど」
P「こんな道なんてあるんだな。知らなかった」
P(まぁ、ちひろさんの家から歩くなんてことそんなにしないしなぁ…)
P「しかし、街灯もほとんどないと少し怖いな……あれ?」
P「こんな場所あったのか」
P(神社って言うのかよく分からないけど…)
P「でも、向こうに俺の家の近くのコンビニの明かりが見えてるから近道なんだよなぁ」
P「夜の神社ってなんだか不気味だな。とっと帰ろうっと。……ん?」
P(なんだろうこの石?)
P「ご神木みたいな感じなのかな?とりあえず拝んどこう」パンパン
P「それじゃ、さっさと帰るか」
翌日
事務所
P「おはようございます」
P(体が重いな。寝不足かな…)
ちひろ「あ、おはようございます。スタドリあげますよ」
P「あ、ありがとうございます」
ちひろ「いえいえ。昨日はお世話になりましたし…」
P「それじゃ、ありがたくいただきますね」ゴクゴク
周子「おはよー」
杏「おはよう…」
P「相変わらずテンション低いな杏は」
杏「昨日、なんか外がうるさくてさ」
P「そうだったか?」
杏「なんかね、工事って感じじゃなかったんだけど動物の鳴き声みたいのが聞こえてたんだよ」
P「それはお疲れだったな。ほれ、飴やるよ」
杏「ん。うぇ、はっか飴じゃん」
P「目は覚めるだろ?」
杏「まぁねー」コロコロ
周子「あたしはそんな音聞こえなかったけどね」
P「まぁ、気づかなかっただけかもしれないけどな。周子もいるか?飴」
周子「いいや。別に。それじゃ、レッスン行ってくる」
P「行ってらっしゃい」
杏「……ねぇ」
P「ん?どうした?飴か?」
杏「そうじゃないけどさ、いや、勿論飴は貰うよ?たださー…」
P「要領を得ないな。ほれ、飴な」
杏「ん。そういやさ、周子はどこ行ったの?」
P「さっき、レッスン行くって言ってたろ」
杏「そうだったね。軽く意識飛んでた。それじゃ、杏も行ってこようかな」
P「お、自主的に行くなんてな」
杏「え?仮眠室にだよ」
P「前言撤回だ。俺がレッスン場まで連れていってやる」
杏「あー、楽チンだね。これ。それじゃ出発だー」
レッスン場
P「ほら、ちゃんとやれよ」
杏「飴分の働きはするよ」
泰葉「あ、プロデューサーさんおはようございます」
P「お、泰葉は直接こっちに来てたのか」
泰葉「はい。少しでも練習しようと思いまして」
P「そうか。根詰めすぎないようにとだけ言っておくよ。それとこいつが真面目にやるか見といてくれ」
泰葉「あ、はい。分かりました」
P「それじゃあな」
泰葉「はい。お仕事頑張ってください」
周子「あ、Pさん来てたの?」
泰葉「もう帰っちゃいましたけどね」
杏「周子さ、飴食べる?」
周子「あたし?今はいいかな」
杏「そ」
泰葉「あ、それじゃ、私に下さい」
杏「分かった。はい」
泰葉「ありがとうございます。それじゃ頑張りましょうか」
杏「げ、杏の賄賂が効かないだと」
泰葉「それとこれとは話が別ですよ。頑張りましょうね」ニコッ
杏「うぇぇ」
事務所
P「ん?んー…?」
ちひろ「どうかされましたか?」
P「いやですね。やけに肩と首が重いんですよね」
ちひろ「疲れが溜まってるんでしょうか…?」
P「そうなんですかね。とりあえず営業に行ってきます」
ちひろ「無理はしないで下さいね」
P「えぇ。分かっています」
テレビ局
ディレクター「あー、この間言ってた子いるじゃない?」
P「双葉杏のことですか?」
ディレクター「そうそう。その子。今度連れてこれる?」
P「構いませんけど…」
ディレクター「そっちにはこの間もちょっと無理を聞いて貰ったし、あなたが売り込みに迷う子ってのを見てみたくなってね」
P「分かりました。才能は十分ですから!」
ディレクター「そこまであなたが推すのも珍しいね」
P「それだけのことがあるんですよ」
ディレクター「なら、今度よろしくね」
P「はい。ありがとうございます。それでは失礼します」
P「ふぅ。何とか杏もこれでテレビに出れるようになりそうだな」
P(夢の印税生活への第一歩ってところか)
P「…そう言えば、昨日の神社はなんだったんだろう。あの石がなんだったか気になるし行ってみるか」
神社?
P「…神社じゃないなこれ」
P(ただ、ちょっと拓けた所に石と祠みたいのがあるだけだ)
P「暗かったから見間違えたんだな」
P「しかし、本当になんだろうなこの石は」
P(看板もなにもないし…)
P「あ、そろそろ帰らないとな」
事務所
幸子「あ、お帰りなさい」
P「おう、幸子か。何してるんだ?」
幸子「ノートの清書ですね。今日の授業はちょっと特殊でノートが汚くなってしまったので。可愛いボクには綺麗なノートが似合いますからね」
P「どんな授業だったんだ?」
幸子「校外学習ののための授業なんですけど…」
P「うん」
幸子「何か舞台を見に行くらしくてですね…」
P「…殺生石か」
幸子「よく分からなかったんですけどどういう話ですか?」
P「うん。えーとな、簡単に言うと悪いことしたって言われてる狐が石に封じられててだな」
幸子「はい」
P「お坊さんに会って成仏する話だ」
幸子「やけにあっさりとした説明ですね」
P「まぁ、そこまで覚えてないからな。詳しい話は頼子辺りに聞いてみたらどうだ?」
幸子「分かりました。まぁ、この舞台を見に行けるとは限らないんですけどね…」ハァ
P「いつだ?」
幸子「えーと、一か月後ですかね」
P「分かった。何とか日程調整してみるな」
幸子「平気なんですか?」
P「分からないけど、幸子も友達とそういうの行きたいだろ?」
幸子「え、あ、まぁ、そうですけど…」
P「アイドルである前に学生だからな」
幸子「あ、ありがとうございます。あ、ちょっといいですか?」
P「ん?どうした?」
幸子「ついでにここも教えて欲しいんですけど…」
P「俺が出来る範囲ならな…どこだ?」
幸子「えぇ、ここなんですが——」
P「お疲れ様です」
ちひろ「お疲れ様でした。明日も頑張りましょうね」
P「えぇ、そうですね」
ちひろ「あれ?今日は歩きなんですか?」
P「そうなんですよ。あ、近くまで送っていきますね」
ちひろ「なんだかすみません。いつもいつも」
P「気にしないで下さい。好きでやってるんで」
ちひろ「ありがとうございます」
*
P「それじゃ、お疲れ様でした」
ちひろ「ありがとうございました」バタンッ
P「…さて、今日も行ってみるか」
P(昼間に幸子のノート見た時に思ったが、まさかな…)
神社?
P「夜に来ると本当に雰囲気あるな」
P「俺は徳のあるお坊さんじゃないから何か出来るわけじゃないからなぁ」
P(殺生石か…周りの生物を恨みで[ピーーー]んだっけな)
P「体の不調はこの石の恨みに当てられたのが原因かもな」
P「とりあえず、もう一回拝んどこう」パンパン
…シャラン
P「……ん?」
?「〜♪」
P(誰かいる…?)
P「え……」
?「こんばんは。こんな所で会うなんてね」
P「しゅ、周子…?」
P(いつからいたんだ…?)
周子「そうそうシューコだよ。こんな所で会うなんて奇遇だね」
P「いや、奇遇と言うか、なんというか…こんばんは?ってかなんだその恰好」
周子「こんばんは。どう?似合う?」クルクル
P「いや、似合うけどさ」
P(どことなく狐っぽい衣装だなぁ…)
周子「それより、どしたのこんな所になんか来てさ」
P「いや、偶然だけど…ってむしろそっちこそなんでいるんだよ」
P「それと危ないから石の上から降りなさい」
周子「平気だよ。そんな高さないし」
P「怪我してからじゃ遅いんだよ」
周子「はいはい。分かったよ」
P「どうしてここに?」
周子「んー、なんとなく」
P「落ち着くのか?」
周子「まぁね。それとPさんがいる気がしてさ」
P「俺がか?」
周子「うん。予感がしてね。一緒にいたかったし」
P「凄い予感だな。そんなことしなくても、いつでも会えるだろうに」
周子「うーんとね、なんか違うんだよねぇ…」
P「違う?それよりさ、その石に乗ってたけど大丈夫か?」
周子「何が大丈夫って?」
P「いや、この石の近くにいると体が重くなったりしないか?」
周子「そんなことはないけど」
P「そ、そうか…?」
周子「疲れ溜まってるんじゃない?」
P「言われてみればそうかもしれないけど…」
P(殺生石ってのは勘違いだったのか…)
P「それじゃ、帰るか」
周子「え?帰るの?もうちょっと話してようよ」ギュ
P「え?あ、いや、疲れてるかもしれないしさ、周子も帰るぞ」
周子「えー、あたしはもう少しここにいようかなって」
P「いや、お前も明日早いだろうに」
周子「なんとなくまだここにいたいんだよね」
P「…ちゃんと早く帰れよ?」
周子「うん。バイバイ」
P宅
P「さてと…寝る前に」ガチャ
P(そろそろ帰ってくるか…?)
P「一応連絡してみるか」ピポパ
プルルル
ガチャ
周子『寝てるんだから…電話なんてしてこないでよ…おやすみ』ガチャ
P「あ、あぁ」
P(俺が気づかないうちに帰ってきてたのか)
P「明日謝っとくか…」
事務所
P「さて、今日も一日頑張るか」ガチャ
P「珍しく一番乗りだな…」
P(まだ、体重いんだよなぁ…)
P「まだ、始業時間には余裕があるな…よし」
P(本当はネットサーフィンすると怒られるんだけど)
P「えーと…殺生石と…」カタカタ
周子「おはようございまーす」
P「おっ、早いな。珍しい」
周子「昨日の晩に誰かに起こされたからね」
P「ごめんな。昨日はあれから、すぐに帰ったのか?」
周子「ん?昨日?仕事終わったらすぐに帰ったよ」
P「いや、そうじゃなくて、昨日の夜会ったろ?」
周子「会ってないよ。最近Pさん帰ってくるの遅いじゃん」
P「まぁ、そうだけど…」
P「いや、そうじゃなくて会ったろ、深夜にさ」
周子「え?昨日は家に帰ってご飯食べてすぐに寝たよ」
P「そうか…」
周子「なんかあったの?」
P「いや、昨日さ、周子に会ってさ」
周子「どこで?」
P「えーと…説明しづらいんだけどちょっと祠があるところでさ」
周子「行ってないよそんなところ」
P「ありがとな。疲れてるのかもしれないな」
周子「大丈夫?たまには早く帰ったら?」
P「そうだな。杏とか、周子とかとご飯でも食べるか」
周子「うん。それがいいんじゃない?杏に言っておくよ」
P「そうか。ありがとな」
周子「別にいいって。まだ、レッスンまで時間があるからソファに座ってていい?」
P「おー、いいぞ」
カタカタカタ
P「あ、そうだ周子」
周子「んー、なに?」
P「最近どうだ?」
周子「仕事は楽しくやってるよ。みんなとも仲良くしてるし」
P「それは良かった」
周子「ようやく一人暮らしにも慣れてきたしね」
P「それは良かった」
周子「こんな風に話すのも久々だね」
P「最近は忙しいもんな。あ、そう言えば一ついいか?」
周子「ん?なになにー?」
P「玉藻の前って知ってるか?」
周子「知らなーい。あーでも、伏見の方で聞いたことあるかも」
P「そうか」
周子「それがどうかしたの?」
P「いや、ちょっと気になってさ」
周子「ふーん、ちなみになにそれ?」
P「絶世の美人だよ」
周子「そうなんだ。なにその人があたしに似てるとか?」
P「あ、なるほど、そういう考え方もあるかぁ…」
周子「…いや、冗談で言ったのに真面目に受け取られると困るんだけど…」
P「いや、それもアリだと思ってさ」
P(あれ?でも、周子って言ってたな自分で…)
周子「それってさ、その…あたしが美人ってことなの?」
P「そういうことになるな」
周子「……っ!ちょっとお茶淹れてくるね」
P「お、おう。あ、ありがとう…?」
ちひろ「あ、おはようございます。早いですね」
P「たまたまですよ」
周子「あ、ちひろさんだ」
ちひろ「おはよう周子ちゃん。今日は早いわね」
周子「ちょっとそこのプロデューサーに夜中に叩き起こされてね」
ちひろ「…なにしてるんですか」
P「いえ、ちょっと色々ありまして…」
ちひろ「そうだとしても、夜にアイドルを起こすのは止めましょうね」
P「はい…。反省しています…」
周子「あ、そろそろ時間だ。仕事行かなきゃだねPさん」
P「あ、そうだな…。あ!」
ちひろ「ど、どうしましたか…?」
P「ちょっと忘れ物をですね…」ピポパ
周子「誰に電話してるの?」
P「出てくれよ…あ、出た」
P「起きてるかー!杏」
P「今日お前仕事あるって言ったろ?」
P「どのくらいで着く?え?一時間?こっちから迎えに行くから家で待ってろよ?」
ちひろ「杏ちゃんが忘れ物ですか?」
P「えぇ、今日周子と一緒に現場に行くことになっていまして、今から拾ってそのまま現場に行こうかと思います」
周子「間に合うの?」
P「丁度道中だから問題ないよ」
周子「それじゃ、早く行こうよ」
P「そうだな」
杏「お迎えご苦労さん」
P「もうこれっきりだぞ」
杏「昨日も寝れなかったんだよー。二人とも平気なの?」
周子「あたしは最近よく寝れてるよ?」
P「俺もよく寝れてるな」
杏「二人とも耳栓でもしてるの?」
周子「してないよ」
P「してないな。急の電話でも反応出来るようにな」
杏「二人ともなんかに守られてそうだね」
P「そんなこと言ってないで今日も頑張るぞ」
杏「おー」
P「頑張ってこいよー」
周子「任せて」
杏「ん。まぁちょっとは頑張ってみるよ」
*
P「お疲れ様」
杏「あー疲れた。飴くれ」
P「ほれ」
杏「ん。甘いね。うまうま」
P「とりあえず一回事務所に帰るぞ」
周子「うん。そうしようか」
杏「杏は帰っていい?」
P「事務所までは寝てていいぞ」
杏「それじゃ、おやすみ」
P「なぁ、周子?」
周子「なに?」
P「夜中に動物の声とか聞こえるか?」
周子「あぁ、杏の話?」
P「そうそう」
周子「寝つきいいから気づかないね。本当だからね?」
P「そうかー。ありがとな」
周子「別にいいけど。あ、今日三人で食べに行こうよ」
P「悪い。今日は泰葉の仕事がちょっと遅くまであるから…」
周子「ふーん。そっか…」
P「ごめんな…」
周子「謝らなくてもいいってば」
周子「それじゃあ、今日も杏と一緒に食べようかな」
P「今度予定合わせるからな」
周子「うん。約束ね」
周子「お疲れ様でした」
杏「やっと帰れる…」
P「気を付けて帰れよ」
ちひろ「お疲れさまでした」
P「さて、最後の仕事頑張ろうか」
泰葉「はい、プロデューサーさん」
*
P「それじゃ、お疲れ様」
泰葉「わざわざ家まで送ってもらってすみません」
P「いやいや、当たり前のことだから気にしないで」
泰葉「はい。それじゃ、おやすみなさい」
車内
P「……」
P(どうも気になる…)
P「ちょっと遠いけど行ってみるか…」
神社?
周子「あ、Pさんじゃん♪」ギュー
P「…誰なんだあんたは?」
周子「ん?シューコだって」スリスリ
P「いや、今日あいつに会ってきたがそんな恰好してなかったぞ」
周子「Pさんに会うためにお洒落してきたんだ。似合う?」
P「いや、似合うけどさ…。その恰好でテレビに出したいくらいだ」
周子「出てもいいよ?」
P「その前にこっちの質問に答えてくれよ」
周子「いや、周子だよ。塩見周子。京都から出てきた女の子だよ」
P「……あなたは玉藻の前ですか?」
周子「……あ、あらまぁ。凄いわね」
P「バレたというかなんというか…」
玉藻の前「でも、私が周子って子なのは事実だけどね」
P「どういうことですか?」
玉藻の前「傾国は人の心を読むのが得意なのよ」
P「九尾、そして殺生石そのままですね」
玉藻の前「まぁ、そんなものよ。空飛ぶ鳥を恨みで殺せるからね」アハハ
P「まぁ、名前からしたらそうですけど…」
周子「……Pさん?」
P「え?」
玉藻の前「あら、こんばんは」ニコリ
周子「え、あたしがいる…?」
P「周子を呼んだんですか?」
玉藻の前「さぁ?雲や水に心誘われて来たんでしょう。それじゃあね」
P「え…」
玉藻の前「本人も来たことだし、私が話すよりいいでしょう。偶には大事にしてあげなよ。それじゃ」
P「あっ」
玉藻の前「なに?それじゃ、最後に一つ。忍ぶれどってね。平兼盛よ。それじゃ、今度こそさよなら」
P「消えた…」
P(体のダルさもどこかに行ったな…)
周子「どういうこと?説明してよ」
P「いやな——」
周子「そんなことがあったんだ…」
P「それでさ、玉藻の前が言うにはあの周子は周子らしいんだ」
周子「どういうこと?」
P「さぁ…?」
周子「ちなみにあたしはなにしてたの?」
P「えーと…抱き付いてきたり、甘えてきたり…」
周子「え、いや、ちょっ、それホント…?」カァァ
P「いや、ああいう周子も可愛げがあって悪くないと…ってどうした?」
周子「いや、ちょっと待って…」
周子(確かにやりたいことって言うか、なんていうか、いや、それよりもなんで、どうして…?)
P「それにもっと構ってやれとも言われたよ。ごめん」ナデナデ
周子「だっ、ちょっ、止めてよ!ニヤケちゃうから!」カァァ
P「そんな顔するの初めてだな」
周子「ううう…。それ以外に何か言ってたの?」
P「他に?そうだなぁ、人の心を読むのが得意とか言ってたな」
周子「人の心?」
P「傾国は人の心を読むのが得意なんだってさ」
周子「ふーん。分からないや」
周子(なるほどそういことねぇ…)
P「多分悪ふざけなんじゃないかな」
周子「狐につままれたって奴ね」
P「もしかしたら、杏が聞いた動物の声って狐の鳴き声かもな」
周子「あ、そうかもね」
P「……なぁ、周子」
周子「なに?」
P「こっち向いて喋ってくれ」
周子「……今は無理かな」
周子(恥ずかしすぎて死んじゃうって…)
P「なぁ、周子さっきのあれってさ」
周子「まぁ、そういうことだよね。いやぁ恥ずかしいったらありゃしないよ」
P「ごめん。正直飄々としてるお前に頼りすぎてる節があったかもしれない。いや、頼ってた。おざなりになってたかもしれない」
周子「…やれやれだよ。ホントにさ。さてと帰ろっか。明日も早いし」
P「そうだな…」
周子「はい」
P「ん?」
周子「今だけ、手繋いでよ」
P「おう」ギュ
周子「……ん」
二日後
事務所
杏「おはよー。あ」
P「どうした杏。飴か?」
杏「違う違う。いや、飴は貰うからね。周子と何かあったの?」
P「いや、特に」
周子「別にないけど…」
杏「良い顔してると思ったんだけど気のせいか」
P「今日は眠くないのか?」
杏「ようやく飼い主が鎮めてくれてみたいで夜啼きがなくなったからね。あ、でも、寝てきていいなら…」
P「今日は仕事だぞ」
P(なんだかんだで事務所には来るようになったんだな…)
杏「うぇぇ」
ちひろ「プロデューサーさんなにか届いてますけど、アイドルの衣装ですか?」
P「えぇ、そうですよ。無理言って突貫で作って貰ったものです」
ちひろ「へぇ、誰の衣装ですか?」
P「周子のです」
周子「ん?あたしの?」
P「ほら、九尾を模した衣装だぞ」
ちひろ「わ、可愛いですね。周子ちゃんの雰囲気とも合ってますし」
P「ですよね」
周子「…ちょっと」クイクイ
P「ん?なんだ?」
周子「あの衣装ってあの時狐が着てた奴に似てない?」ヒソヒソ
P「勿論。それをイメージしてオーダーしたからな。本当に似合ってるんだって」ヒソヒソ
周子「まぁ、そこまで言うなら着てあげるよ」
周子「どうかな…?」
P「うん。良いと思う」
周子「そっか…。うん。Pさん」ギュ
P「え、ちょっと、しゅ、周子?」
周子「まぁまぁ、狐に化かされたと思って。ね?」
周子(ふふっ。いつか虜にしてあげるからね。Pさん♪)
終わりです。
文中に出てくる衣装は今回のSR+のものです。
それでは読んで下さった方、ありがとうございました。
追記
話自体は繋がっていないのですが、以前書いたものとして。
モバP「石の下の蛇」
モバP「石の下の蛇」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370785320/)
モバP「瑠璃柳の約」
モバP「瑠璃柳の約」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371136818/)
それでは失礼します。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません