ことり「恋人は真姫ちゃん」 (43)

ことまき、あと下手

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1.乱暴な告白


廊下


真姫「ことり!」

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「あなたに伝えたいことがあるの」

ことり「部室じゃダメ? 廊下で立ち話もなんだし・・・」

真姫「ダメに決まってるでしょ」

ことり「そうなの?」

真姫「ふたりきりじゃないといけないのよ」

ことり「よくわからないんだけど」

真姫「とにかく今から私が言うことをよく聞きなさい。いいわね?」

ことり「は、はい」

真姫「私の恋人になって」

ことり「・・・え?」

真姫「なによ」

ことり「よくわからないんだけど、どういうこと?」

真姫「言葉のままよ」

ことり「・・・つまり、ことりに本気で真姫ちゃんの恋人になってほしいってこと・・・?」

真姫「そう言ってるでしょ?」

ことり「突然だね・・・」

真姫「好きだから告白しただけよ。あなたはとにかくイエスと言えばいいの。わかる?」

ことり「待って。一旦事実の確認をさせて?」

真姫「事実の確認?」

ことり「いろいろいきなりすぎるから、整理させてほしいの。ことり混乱しちゃってて・・・」

真姫「よくわからないけど好きなようにしてちょうだい」

ことり「えっと、まずは、真姫ちゃんはことりのことが好き・・・なんだよね? って自分で言ってて恥ずかしいよ///」

真姫「好きよ」

ことり「?!///」

真姫「なに絶句してるのよ。ことりから質問してきたのに」

ことり「ご、ごめん・・・やっぱりそんなにまっすぐ言われると恥ずかしいから・・・///」

真姫「恥ずかしいかしら」

ことり「恥ずかしいよ・・・今更恥ずかしくなってきちゃった・・・/// まさか真姫ちゃんがことりのことを好きだったなんて・・・///」

真姫「好きだもの」

ことり「だ、だってことりのどこが好きかもわからないし、で、でもことりは真姫ちゃんのこと好きだよ? 真姫ちゃんかわいくて、かしこいし・・・で、でも恋人は早すぎる気もするしっ・・・」

真姫「なんでもいいけど私への事実確認はもういいのかしら」

ことり「そ、そうだったね! 次! 次の質問ね!///」

真姫「ええ」

ことり「真姫ちゃんはことりが真姫ちゃんの告白をオッケーすると思ってる?」

真姫「そんなの私の知ったことじゃないわ」

ことり「えぇっ!?」

真姫「な、なにをそんなに驚いてるのよ・・・」

ことり「だって真姫ちゃんの告白の言い方からしてことりが絶対に断るはずないって確信してるでしょ?」

真姫「ことりが私のことを好きかは知らないわ。だってそれはことり個人の話だもの」

ことり「じゃあどうしてあんなに自信満々に告白できたの?」

真姫「でも私はことりと付き合いたいって思ってるし、絶対に恋人としてことりを退屈にさせない自信がある」

ことり「・・・真姫ちゃん・・・そんな風に考えてたんだね・・・」

真姫「そうよ。絶対にことりを惚れさせてみせるわ」

ことり「・・・ま、真姫ちゃん・・・///」

真姫「だから私の恋人になりなさい、ことり」

ことり「・・・」

真姫「ことり?」

ことり「・・・は、はい・・・」ボソッ

真姫「え?」

ことり「・・・こ、こんなことりで良ければ、お願いします///」

真姫「ええ!」

ことり「そのかわり絶対にことりを幸せにしてね///」





2.初デート


ことり「お待たせ~」

真姫「ちょっと遅刻よ」

ことり「えへへ、ごめんね」

真姫「なんでもいいんだけど、今日のことりめちゃくちゃカワイイわね」

ことり「ホント!?」パァッ

真姫「な、なによ。ホントよ」

ことり「それならよかった♪」

真姫「いったいなんなのよ」

ことり「真姫ちゃんはカジュアルな感じなんだね」

真姫「別に好きでやってるわけじゃないわ。家の人がやたらとお譲さまみたいなワンピースとかすすめてくるから、その反抗よ」

ことり「え~、真姫ちゃんのお嬢様ファッション見たいな~」

真姫「嫌よ、なんか窮屈だしこっちのほうが楽」

ことり「今度のデートでは絶対お嬢様ファッションしてきてね♪」

真姫「・・・じゃあそのかわりことりは遅刻してこないこと、いいわね?」

ことり「うん。待たせちゃってごめんなさい」

真姫「ひとりで待つってけっこうつらいのよ?」

ことり「寂しい思いさせてごめんね」

真姫「さ、寂しかったワケじゃないけど!」

ことり「ホントに~? えへへ。それで、まずはどこに連れていってくれるの? プラン考えてくれてるんでしょ?」

真姫「プラン? そんなもの考えてないわよ」

ことり「えぇー!? だ、だって真姫ちゃんが考えててくれてるものだと
ばっかり・・・」

真姫「だって私は普通の女子高生がどんなデートをするのか知らないし、それならことりのほうが知ってそうだから・・・」

真姫「私はとにかくことりと一緒にいられればなんだっていいのよ」

ことり「・・・も、もう・・・/// しょうがないなぁ・・・/// ことりがなにか考えてみるよ」

真姫「ええ。頼むわ」



動物園

ことり「デートと言えばなんといってもここだよねっ! いろんな動物たくさん見ようねっ!」

真姫「獣臭いわね」

ことり「・・・そんなこと言わないで?」ジイッ

真姫「ご、ごめんなさい」

ことり「うん! いっぱい楽しもうねっ!」

真姫「そうね。ほら、手を出して?」サッ

ことり「え?」

真姫「デートと言えば手を繋ぐんでしょ」

ことり「う、うん。そうだね///」

ギュッ

真姫「ことりの手柔らかいわ」

ことり「へ、変なこと言わないでよっ///」

真姫「行きましょうか」

ことり「う、うん///」

ことり「真姫ちゃん見て見て! きれいな色の鳥さんがたくさんいるよっ!」

真姫「ほんと。鳴き声もかわいい」

ことり「なんていう鳥さんなんだろ」

真姫「あれがアカショウビンであそこにいるのがコンゴウインコね。で、あれがアオゲラ」

ことり「さっすが真姫ちゃんっ! 物知りだね」

真姫「全部看板に書いてあるわよ」

ことり「あそこにいるのライオンだ!」

真姫「そうね」

ことり「おっきいねー! 怖そう」

真姫「でもずっと寝てて動かないわよ」

ことり「おっきいネコちゃんみたい。真姫ちゃんに似てるね」

真姫「そうかしら」

ことり「周りを気にせず自由に振る舞ってるところが」

真姫「どういう意味よ」

パオーン!!

ことり「!?」

真姫「大きな音ね。爆発音みたい」

ことり「あそこだ。ゾウさん!」

真姫「体も大きいわね。怪物みたいだわ」

ことり「そうだね。可愛らしいイメージとちがう」

真姫「まるでことりみたい」

ことり「ことり?」

真姫「イメージとちがうところをちらほら見かけるわよ」

ことり「えへへ。私のことをよく見てくれてるんだね」

真姫「こ、恋人なんだから当たり前でしょ!?///」


おしゃれなレストラン


ことり「お昼ご飯はここ!」

真姫「いいお店ね」

ことり「話題のお店でずっと行きたかったんだ。恋人と来れたら素敵だなって思ってたから嬉しい!」

真姫「それはよかったわ」


ことり「おいしー!」モグモグ

真姫「へぇ。ほんとに美味しいわね。さすがことりの選んだお店ね」

ことり「ことりがあーんしてあげるねっ!」

真姫「な、なんでそんな子どもみたいな扱い受けないといけないのよっ!」

ことり「いいから黙って口を開く!」

真姫「・・・あ、あーん///」

ことり「はい♪」

パクッ

ことり「どう? ドキドキした?」

真姫「わ、悪くはないわね///」

ことり「あーん」

真姫「わ、私にもやれって?」

ことり「」コクッ

真姫「は、はい///」

パクッ

ことり「うーん。おいしい! 真姫ちゃんの手で食べさせてもらっちゃった♪」

真姫「・・・もう一回あーんさせて」

ことり「え?」

真姫「なんかあーんさせるの癖になっちゃった///」

ことり「真姫ちゃんって物好きなんだね」



水族館


ことり「デートと言えばやっぱりここだよね! かわいいお魚たくさん見ようねっ!」

真姫「動物園のときもおんなじこと言ってなかった?」

ことり「行きたいところたくさんあるのっ! ほら、あそこキラキラのお魚いっぱいだよ!」

真姫「ことり元気ね・・・」



遊園地


ことり「やっぱり遊園地もはずせないよねっ!」

真姫「疲れた・・・」

ことり「どんどん行くよっ! お化け屋敷! ジェットコースター! メリーゴーランド!」

真姫「まずはベンチで座らせて」グッタリ

ことり「なに言ってるの! 時間は限られてるんだよ!」

真姫「そうよ。なんて夕方から遊園地なんて行くのよ。もうへとへとなんだけど」

ことり「死ぬ気で楽しむのっ!」

真姫「ウソでしょ・・・」



高級レストラン


真姫「ここだけはあらかじめ予約しておいたの」

ことり「夜景の見えるレストラン? お、大人な感じだね・・・」

真姫「普通高校生が二人で来れるようなところじゃないんだけど、特別にパパにお願いしたの」

ことり「こ、こんなひらひらの服で大丈夫なのかなぁ」

真姫「店の人とは知り合いだし大丈夫よ」

ことり「す、すごい・・・」


ウェイター「前菜のなんたら野菜のかんならサラダうんたら添えでございます。フランスどこどこ産のものをふんだんに使用した・・・」ペラペラ

ことり「ほぇー・・・」

真姫「早く食べなさいよ」

ことり「う、うん」パクッ

ことり「おいしいけど、私いったい今何を食べてるんだろう・・・」


ウェイター「なんたら肉のなんたら炒め~なんたらを添えて~でございます」

ことり「・・・お、お肉の炒めものかな?」

ウェイター「どこどこ産の・・・」ペラペラ

ことり「お、おいしいけど」

真姫「喜んでくれてるならなによりだわ」


ウェイター「メインディッシュのうんたら豚のうんたらステーキうんたら風でございます」

ことり「す、すごそう」

ウェイター「うんたら豚はどこどこでなんたら米だけを食べさせて育てた──」ペラペラ

ことり「テレビでよく見る高級食材・・・初めて食べる」

真姫「おいしいわ」

ことり「・・・これって豚肉なの? 私が普段食べてる豚肉とちがう・・・」


ウェイター「食後のデザートはうんたらイチゴのうんたらタルトか、なんたら季節のフルーツなんたらケーキかお選び頂けます」

ことり「なにとなにを選ぶって?」

真姫「私はイチゴタルト」

ことり「じゃ、じゃあことりはもうひとつのほうで・・・」

ウェイター「かしこまりました」

真姫「どう? 気に入ってくれた?」

ことり「気に入ったというより、緊張するよ」

真姫「そう? お店もきれいだし素敵でしょ?」

ことり「きれいだけど、広い店内に私たちだけしかいないし、なんか遠くの方からお店の人がずっと見てくるんだけど・・・」

真姫「呼んだらすぐ来てくれるわよ? なにかある?」

ことり「よ、呼ばないで!」

ウェイター「おまたせしました。食後のデザートになります」

ことり「!」

ことり「おいしそう!!」

真姫「おいしいわよ」

ことり「わぁ~、おいしいよぉ~」モグモグ

真姫「ええ」

ことり「こんなにおいしいケーキ食べたの初めてー! フルーツも知ってるものと全然ちがう!」

真姫「またふたりで来ましょうね」

ことり「しばらくはいいかな・・・」

真姫「どうして? デートに高級レストランって定番でしょ?」

ことり「たしかにあこがれだったけど、ことりにはまだ早かったみたい」

真姫「そんなことないわよ」

ことり「たしかに憧れだったけど、ことりにはまだ早かったみたい」

真姫「そんなことないわよ」

ことり「ことりは真姫ちゃんにあーんがしたいの」

真姫「た、たしかにここではしにくいわね。じゃあ次はもっと気楽なところにするわね」

ことり「でも連れてきてくれてありがとう。感謝してるよ」

真姫「またデザートを美味しそうに食べてることりのかわいい顔がみたいわ」

ことり「えへへ」

真姫「高級料理に戸惑ってることりもかわいかったけどね」

ことり「も、もう! 真姫ちゃんのイジワル///」




3.ファーストキス


帰り道


ことり「今日はとっても楽しかった。ありがとう」

真姫「いえ、私の方こそなんの準備もしてなくてことりに任せっきりだったわ」

ことり「いろいろ振り回しちゃってごめんね」

真姫「でもデートを味わえてよかった。これが恋人とのデートなんだってわかったわ」

ことり「真姫ちゃんとのデートすっごく楽しかったし、ドキドキした」

真姫「私も。ことりのかわいいところをたくさん知ることができたし」

ことり「えへへ」

真姫「・・・」

ことり「・・・」

真姫「デートのお別れって寂しいものなのね」

ことり「楽しかったもんね」

真姫「まだことりと一緒にいたい」

ことり「でももう帰らないと」

真姫「・・・」

ことり「また今度の休みの日にデートしようよ」

真姫「ええ」

ことり「うん」

真姫「・・・」

ことり「・・・」

真姫「ことり・・・」グイッ

ことり「真姫ちゃん──」


チュッ


真姫「さようなら」

ことり「うん。バイバイ」

おわり

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