・アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
クロスっぽく見える要素がありますが、クロスではないです。
よろしくお願いします。
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―――事務所
幸子「どうしたんですか晶葉さん、いきなりボクたちの事を呼び止めたりして」
晶葉「すまない。だが少し、気になることがあってな。今、事務所中のアイドルたちに聞いて回っていたんだ」
輝子「フヒッ……じ、事務所中……?」
小梅「じゃあ……えっと、全部で183人も確認してるの……?た、大変そう……」
晶葉「それで幸子たちにも聞きたいんだが、いいか?」
幸子「フフーン!いいでしょう、ボクは心が広いですからね!答えらえることなら何でも答えてあげますよ!」
輝子「わ、私も、いいぞ……」
小梅「うん……大丈夫、だよ……」
晶葉「ありがとう。それで、聞きたいことというのは、プロデューサーに関することなんだ」
幸子「プロデューサーさんですか?」
晶葉「ああ。私は『助手』と呼んでいるが……。みんな知っての通り、プロデューサーは、事務所などの大勢の人が集まる前では、スーツ姿で『P』の形をした被り物をしている」
輝子「そ、そうだな……」
小梅「あの被り物、わ、私も探してるんだけど……どこに行っても、見つからない……」
幸子「どう見ても需要がなさそうですからね。変わったものが好きなプロデューサーさんらしいですけど」
晶葉「まあ、あれの出所についても気になるが、今話したいのはその点についてじゃない。問題は、私たちとPが二人っきりになった時だ」
幸子「二人きりですか?」
晶葉「ああ。私もそうだし、今までに確認したアイドルも例外なくそうだったんだが、アイドルと二人で居るときのプロデューサーは、あの被り物を外して、素顔で接してくれるんだ。幸子たちもそうじゃないか?」
輝子「う、うん……私は、そうだな……」
小梅「わ、私も……」
幸子「ボクもです!」
晶葉「ふむ、やはりその点はみんな一緒なんだな。それで聞きたいんだが、幸子たちが見ている素顔のプロデューサーは、一体どんな人物だ?」
小梅「どんなって……晶葉ちゃんも、二人の時にはいつも見てるんじゃ……?」
晶葉「その点については後で説明しよう。とにかく、三人から見た素顔のプロデューサー像について教えてほしい」
幸子「そうですねえ。中々二人きりになれることも少ないんですけど、被り物を外した時のあの可愛さは、アイドル級と言っても過言ではありません!あ、もちろんボクの方がカワイイですけど!」
輝子「そ、そうだな……親友は……可愛い……」
小梅「えっ……た、たしかにプロデューサーさんは可愛い所もあるけど……どっちかって言えば、かっこいい要素の方が強いかなって、思うんだけど……」
幸子「そうですね。一度ギターを弾いているところを見せてもらったときは、意外とカッコイイなあとも思いました!」
輝子「う、うん……カッコ可愛いっていうのかな……そういう所、たしかにあるな……でも、親友って、ギター弾けたのか……」
幸子「え?だって、いつも持ち歩いているじゃないですか」
小梅「わ、私もプロデューサーさんがギター持ってるの、見たことない……」
幸子「そうなんですか?二人で居るときはいつも肌身離さず持っている印象なんですけど、おかしいですね」
輝子「フヒッ……そうなのか……」
小梅「えっと、本当にギター持ってる所は、見たことないよ……水晶やお経だったら、いつも見せてもらってるけど……」
幸子「お経!?」
輝子「わ、私は、親友が持ち歩いてるのは、キノコとか箒だと思ってたんだけど……」
小梅「な、なんだか、話がかみ合ってない感じがするね……」
晶葉(やっぱりこうなったか)
都「晶葉ちゃん!」
晶葉「都、戻ったか。首尾はどうだった?」
都「晶葉ちゃんの推理通りでした!皆さんの証言をこのノートにメモしてきたんですが……これは事件の予感ですよ!」
晶葉「どれどれ……ふむ、これは思った以上にすごいな」ペラペラ
晶葉「あー。みんな、いいか?」
幸子「な、何ですか?ボク、何だか頭が混乱しちゃってるんですけど……」
輝子「う、うん……」
小梅「私も……」
晶葉「いや、みんなが混乱するのも無理のない話なんだ。同じ人物について話しているはずなのに、これだけ話がかみ合わないんだから」
晶葉「それで、あらためて一人ずつ聞いていきたいんだが、みんなと一緒にいる時の、素顔のプロデューサーはどんな人物だ?今度はなるべく詳細に教えてほしい」
輝子「そ、それじゃあ、私から話そうか……。親友は、私と同じか少し上くらいの年に見える、すごく可愛らしい女の子で……」
幸子 コクコク
小梅 !?
輝子「綺麗な金髪に、ちょっと蘭子ちゃんっぽい白黒の服装がよく似合ってるんだ……でも、話し方とか少し男の子っぽい所があったりするし、性格も、私の事をぐいぐい引っ張ってくれるタイプだし……そういう所はかっこいいと思う……」
幸子 !?
輝子「あ、それと、キノコについては私と同じくらい、詳しいな……よく、森で収集してる、らしい……」
晶葉「なるほど。幸子はどうだ?」
幸子「ぼ、ボクの見てるプロデューサーさんも、輝子さんと同じで、すごくカワイイ女の人ですけど……髪の色は茶色っぽいですし、服も『ドアノブ』とか『しめじ』とか書かれた、よく分からないTシャツを着てることが多いです」
小梅(ドアノブ!?)
輝子(しめじ!?)
幸子「さっきも言ったように、普段から愛用のギターを持ち歩いていて、お友達とバンド活動もされているそうです。ギターボーカルで、学園祭の舞台にも立ったというお話でした」
幸子「それから、甘いものとカワイイものが大好きなんですよ!ボクのことも、二人っきりになる度にカワイイカワイイって抱きしめてくれるんです!」フンス
小梅「ね、ねえ……二人とも、おかしいって、思わない……?」
幸子「何がですか?」
小梅「だって……みんなと居るときの、スーツにPの被り物をしてるプロデューサーさんの声……」
小梅「どう聞いても……男の人の声だよね……?」
輝子・幸子「……」
輝子・幸子「ほ……本当だ!(ですね!)」ガーン
小梅「今気づいたの……!?」
晶葉「ということは、小梅が見ている素顔のプロデューサーは男性なんだな」
小梅「う、うん……私が見てるプロデューサーさんは、ワイシャツ姿の事が多くて、年は20代位かな……。すごい霊能力を持ってて、あの子の事も、ちゃんと見えてるの」
小梅「あんまり普段からお金なんて持ち歩いてないのに、気前が良いから、周りの人にごはんをおごったりしすぎて金欠になったりとか……そういうドジな部分もあるんだけど、そこは可愛いかなって思う……。で、でも、危険な悪霊と闘ったりすることもあって……その時は、すごく、かっこいい……」
輝子「き、危険な悪霊……!?」
幸子「小梅さん、そんな目に遭ってたんですか!?」
小梅「うん……私とプロデューサーさんで、ちょっと危ない心霊スポットへ行っちゃった時に……。で、でも、絶対プロデューサーさんが守ってくれるって信じてたから、怖くなかったよ……」
幸子「小梅さん……」
晶葉「ここまでの話をまとめると、輝子と幸子がいつも見ているプロデューサーは可愛い女の子。小梅は20代の男性。都の場合は?」
都「男の方ですね!黒縁の眼鏡がよく似合う、とっても聡明な方です!いつも、私がどこに行ってたとか、何を食べてきたとか、些細な事から当てられちゃって……悔しいですけど、探偵度は私よりも少し上ですね!」
輝子「あ、頭の良い人、なんだな……」
幸子「ちなみに、何歳くらいの人なんですか?」
都「そうですね、千佳ちゃんよりも背が低いくらいですから、6歳か7歳くらいじゃないでしょうか!」
都以外「」
幸子「いやいやいや!それはおかしいですって!」
輝子「ろ、6歳や7歳じゃ、どうやっても、プロデューサーになれない……」
小梅「うん……それに、体格も、被り物してるプロデューサーさんと違いすぎるし……」
都「それについては私も疑問に思って聞いたことがあるんですが、普段は自分の事を普通のプロデューサーに見せるために、あの姿へ変装しているとのことでした」
幸子「あんな被り物してる人が『普通のプロデューサー』なんですか!?」
輝子「た、体格まで変える変装って、どんなのだ……レベル高すぎないか……?」
都「何でも、風邪薬を飲むと体格が変わる体質らしくて」
晶葉「風邪薬で体格が!?」
小梅(す、すごい……都さんの見てるプロデューサーさん、ツッコミどころしかない……)
晶葉「ま、まあ色々と都の見ているプロデューサーについても気になることはあるが、それは一旦置いておこう。それより、みんな分かっただろう?今日私が呼び止めた理由が」
小梅「う、うん……アイドルによって、一人一人見えてるプロデューサーの姿が、全然違うから……」
輝子「そのことに気づいた晶葉ちゃんと都さんで、詳しく調査してたんだな……」
晶葉「その通りだ。そして私は、こんなことが一人の人間に出来る芸当の訳がない、と考えている。もっと言えば、アイドルの数だけ、プロデューサーもいるのではないか、とな」
幸子「つまり晶葉さんは、プロデューサーさんが実は183人いるんではないかと言いたいんですか?」
晶葉「ああ」
小梅「な、なるほど……」
晶葉「まあ、我ながら馬鹿な仮説だと思ってたんだが……このノートを見て、確信に至ったよ。都」
都「はいっ。こちらが私の調査メモです!」ペラッ
―――――――――――――――
調査項目「アイドルと二人きりの時のプロデューサー像について」
杏「青髪で、杏とそんなに年も身長も変わらないくらいの女の子だよ。ゲームやアニメが大好きで、暇さえあれば一緒に遊んでるね。そのくせ、スポーツも得意で、足がめちゃくちゃ速いんだよ。仕事の時にサボって逃げようとしてもどうせ逃げ切れないから、杏も渋々働かざるを得なくて、困ってるんだ」
ほたる「胸に大きく"大吉"と書かれた赤いスーツを着て、額に茶柱の立ったお茶を付けた、福耳の印象的な男性の方です。事務所の皆さんに良くしてもらっているのも勿論嬉しいんですけど、プロデューサーと出会えたおかげで、私も少し笑顔になれるようになったかなって思います」
茄子「動物が大好きなのに動物からまったく好かれなかったり、よく川に落ちてしまったりして、傍から見るととっても不運な女の子です。でも、本人はそんなこと一切気にせずに、いつも素敵な笑顔を見せてくれるんですよ。時々落ち込む時があっても、プロデューサーの笑顔と頑張りを見ていると、私も頑張らなきゃなって思えるんです♪」
芳乃「じょにー・でっぷ殿に似ているという方と、立川市で二人暮らしをしているという殿方でしてー。手塚治虫殿の『ブッダ』の大ファンで、どこか神聖な気を感じる故にか、一緒にいると必ずと言っていい程動物たちが寄ってくるのでして―」
仁奈「"おねえちゃん"って呼ばれることと、モフモフしたものが大好きな、とっても優しいおねーさんです!特にうさぎさんのきぐるみがお気に入りみたいで、いっつも仁奈に着てほしーって言ってくるです。あと、みちるおねーさんに負けない位美味しいパンを焼けやがります!今度お願いして、都おねーさんの分も焼いてきてもらうですよ!」
文香「……藍色の、ショートの髪にメガネをかけた、落ち着いた雰囲気の女性の方です。実は小説家でもあって、単行本も出されているらしいのですが、恥ずかしいからと中々見せてもらえないんです……。でも、いつか私がトップアイドルになったら見せてくれると約束しているので、それが私の頑張れる理由の一つになっています……」
紗南「赤い帽子に髭とオーバーオールがトレードマークのおじさんだよ。バカデカい亀にさらわれたお姫様を助けたとか、バカデカい亀とレースやテニスで勝負したとか、バカデカい亀と協力して世界を救ったことがあるとか、そういうゲームみたいに面白い話をいつもしてくれるんだ」
麗奈「バカデカい亀よ」
―――――――――――――――
都「どうですか!私の調査メモは!」
幸子「まともなプロデューサーさんが殆どいないんですが!?」
小梅「そ、そうだね……」
輝子「れ、麗奈ちゃんは、亀にプロデュースされてるんだな……フヒッ」
幸子「でも、たしかにこれではっきりしましたね。一人の人が、性別も年齢も超えて、こんなに色んな変装ができるなんて、ありえませんよ!」
晶葉「ああ、そうだな!よし、そうと分かれば、より詳細な情報と手がかりを得るためにも聞き込みの続きを」
小梅「ちょ、ちょっと待って……」
幸子「どうしました?小梅さん」
小梅「ま、まだ、晶葉さんと一緒にいるときのプロデューサーさんが、どんな人か聞いてない……」
輝子「そ、そういえば、そうだったな……」
晶葉「む、そうだったか?」
幸子「そうですね!せっかくだから、晶葉さんの話も聞いてみたいです」
晶葉「まあ、たしかに、私と一緒にいるときのプロデューサーも、中々個性的な人物だが……そうだな。調べたところ、身長は129.3センチ、体重129.3キロ。青色のボディに、お腹のポケットから色々と不思議な道具を繰り出す―――」
ガチャ
全員「!?」
晶葉「じょ、助手か……お疲れ様……」
小梅「ぷ、プロデューサーさん……お疲れ様です……」
幸子「お、お疲れ様ですプロデューサーさん!ふ、フフーン、事務所へ戻ってくるなりカワイイボクに会えるなんて、ラッキーで……ひっ!?」
輝子「し、親友……な、何でバットなんて持って……!?」
都「ち、違いますよプロデューサーさん!私たち、プロデューサーさんの秘密をこの手で見事に暴いてみせようなんて、そんなこと考えてたわけじゃ……」
小梅「み、都さん……ご、ごめんなさい、プロデューサーさん……」
幸子「ごめんなさいごめんなさい!謝りますから、そんなもので叩かないでください!」
晶葉(い、いや……あのバットは、以前に助手が見せてくれた、叩かれるとその時に何をしようとしていたか忘れてしまう、特殊な……)
ポコッ ポコッ ポコッ
・
・
・
幸子「……あれ?小梅さん、輝子さん、ボクたち、何をしようとしていたんでしたっけ?」
小梅「え、えっと……レッスンに行こうと思ってた時に、晶葉さんに呼び止められて……」
輝子「何か、大事な話をしてたような……えっと、晶葉ちゃん、何の話をしてたんだっけ……?」
晶葉「……すまない。何か聞きたいことがあって声をかけたはずだったんだが……また今度、思い出せたら聞くことにするよ」
幸子「そうですか!何かすっきりしない気もしますけど、分かりました。さあ、お二人ともレッスンへ行きましょう!」
小梅「う、うん……晶葉さん、また今度……」
輝子「じゃ、じゃあ、また……フヒッ」
都(……私は事務所で何をしていたんでしたっけ?誰かに頼まれて、何か大事なことを調べていたような気がするんですが)
都(何をしていたのか全く思い出せません……おまけに、愛用の探偵手帳は、一部明らかに、何者かの手で切り取られた跡がありますし……誰が何のために、こんなことを……)
都(でも、こんなことではくじけていられません!この一連の出来事の謎は、私が必ず解明してみせますよ!)オーッ!
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ガチャッ
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
ちひろ「……ええ、見てました♪ダメですよ?無闇に女の子の頭を叩いたりしちゃ」
ちひろ「なーんて。まあ、プロデューサーさんが、アイドルの子をケガさせるほど強く叩いたりしないって、そこについては信頼していますけどね」
ちひろ「それにしても……アイドル一人一人に合わせて姿を変えたり、不思議な道具を色々持っていたり……」
ちひろ「もう長い付き合いになりますし、アイドルのことを真摯に考えてくださってるのは十分に分かっているので、詳しくは聞きませんけど……本当に、貴方は一体、何者なんですか……?」
ちひろ「……ふふっ。『禁則事項』ですか……まあ、誰にだって秘密の一つや二つ、付き物ですよね」
ちひろ「大丈夫ですよ。さっきも言いましたけど、プロデューサーさんの事は信頼していますから。これからもよろしくお願いしますね、プロデューサーさん♪」
ちひろ「……え?光ちゃんが、プロデューサーさんの事を呼んでるんですか?私には、何も聞こえませんけど……」
ちひろ「って、何ですか?そのベルト……えっ!?ぷ、プロデューサーさん!?その姿は一体……」
ちひろ「な、何建物の中でバイクに乗ろうとしているんですか!?というか今そのバイク、どこから出てきたんですか!?」
ちひろ「ぷ、プロデューサーさん~!?」
以上になります。
きっと、このプロデューサーは悪い奴じゃない……はず。
正体不明でも、不思議な道具を持ってても、変身できても、それは全部アイドルのため、みたいな。
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