小鳥「もうお嫁にいけません……」 (56)

小鳥「ふあぁ、おはようございますぅ……」

P「音無さん、おはようございます」

律子「おはようございます。なに、あくびしながら入ってきてるんですか」

小鳥「あはは……ゆうべ、なんだか妙に寝苦しくて……」

P「急に暑くなりましたからねぇ」

律子「仕事は仕事ですよ。しっかりしてください」

律子「……って、え?」

小鳥「?」

律子「小鳥さん!? 頭になにか生えてますよ!?」

P「おいおい、なにが……って、ええ!?」

小鳥「はい?」


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http://imgur.com/d7O62RM.jpg

P「ツノ……だな」

律子「ですよね、やっぱり」

小鳥「ツノなんて、蘭姉ちゃんじゃないんだから」

P「あれは違う」

小鳥「私より律子さんのほうが、よっぽどツノが生えそうですよ」

律子「は?」

P「確かに……」

律子「……何か言いました?」

P「いいえ、なにも」

律子「私のことはいいんですよ。小鳥さんです小鳥さん」

小鳥「だから私はツノなんて……」

P「いや、ツノ以外の何物でもないかと」

小鳥「二人して私をからかってるんですか? いくら私でも怒りますよ?」

律子「側頭部を触ってみてください」

小鳥「側頭部? ……って、いたっ! なにか刺さりましたよ!?」

律子「それがツノですって」

小鳥「……鏡あります?」

P「どうぞ」

小鳥「……」

P「……」

律子「……」

小鳥「なんで私の頭にこんな立派なツノが生えてるんですか!?」

律子「こっちが聞きたいですよ!」

P「今まで気が付かなかったんですか?」

小鳥「今朝は寝坊気味で、慌てて出てきたので……」

律子「それにしたって、なにか違和感とかは」

小鳥「あ~……なんか、寝癖がひどいなぁとは」

P律子「「いや、気づけよ!」」

小鳥「二人がかりでつっこまなくてもいいじゃないですか」

律子「で、いつも通り出勤してきたわけですよね?」

小鳥「ええ、電車で」

P「まわりの反応は?」

小鳥「そういえば、私の周りだけ妙にすいてたような」

P「もし、頭にツノ生やした人が電車にいたらどうします?」

小鳥「あはは、そんな危ない人、近寄らないですよ」

小鳥「……って、あれ?」

P「……」

律子「……」

小鳥「やだっ! 私ってば恥ずかしい!///」

律子「今更なんのアピールですか、鬱陶しい」

P「あはは……」

小鳥「ん~……」

小鳥「ツノ系女子……いける?」

律子「鏡見ながらなに言ってるんですか」

小鳥「わりと需要あるかなって!」

律子「なんでそんな無駄にポジティブなんですか……」

小鳥「ん、あれ?」

P「どうしました?」

小鳥「このツノ、どこかで見覚えがありません?」

P「ああ、言われてみると確かに」

律子「?」

小鳥「ん~……?」

P「んん~……?」

律子「……」

P小鳥「「あっ!」」

P小鳥「「ギニュー隊長だ!」」

律子「は?」

小鳥「この硬くて黒光りする立派なモノは間違いありません!」

律子「……」

律子「なっ……///」

P「おいこら、堂々とセクハラすんな」

小鳥「なんのことですかぁ?」ニヤニヤ

小鳥「あれぇ? 律子さん、どうかしましたぁ?」ニヤニヤ

律子「うるさいっ!///」

小鳥「でも、どうせ生えるならコルド大王のツノのほうがいいですよね」

小鳥「グレートマジンガーみたいでかっこいいし!」

P「そのポジティブさをいつもの音無さんに見習わせてやりたいですね」

律子「念のため確認ですが、被り物ではないんですよね?」

小鳥「いくら私でも、それだったら気づきますよ」

律子「……どうだか」

P「外せないですかね?」

小鳥「ん~……」グイッ

P「どうですか?」

小鳥「外れない……っていうか、握られてる感触までありますね」

律子「神経が通ってるってことですか?」

小鳥「ええ、たぶん」

P「思ったより深刻な事態ですね」

律子「本人はそうでもなさそうですが」

小鳥「そんなことないですよ。せっかくUSJまで行って買った承太郎の帽子が被れないじゃないですか」

律子「……」

P「ああ、うん。そうですね」

小鳥「あ、でも!」

P「?」

律子「?」

小鳥「律子さんがペロペロスリスリしてくれたら治りそうな気がします!」

P「……」

律子「……」

小鳥「……」

律子「包丁でいけますかね?」

P「ノコギリのほうがよくないか?」

小鳥「ごめんなさい冗談です許してください」

律子「まったく、自分のことなのに……」

小鳥「あれ? ちょっと待ってください」

律子「はい?」

P「なんですか?」

小鳥「あ、あぁぁ……」ワナワナ

律子「こ、小鳥さん?」

P「どうしたんですか?」

小鳥「こんなのが生えてたら……」ワナワナ

P「え?」

小鳥「もうお嫁にいけないじゃないですかぁ!」

律子「……」

P「……」

小鳥「ちょっと? なんでそこで黙るんですか?」

貴音「ふむ、なんとも面妖な」

律子「え!?」

P「貴音!?」

小鳥「あら、貴音ちゃんおはよう」

貴音「おはようございます」

律子「音もなく必殺の間合いに入るのはやめてほしいんだけど……」

貴音「はて、そのようなつもりは」

P「ちょうどよかった。貴音ならなにかわかるんじゃないか」

貴音「?」

小鳥「そうね、律子さんがペロペロしてくれないから、あとは貴音ちゃんだけが頼りよ」

律子「……」イラッ

貴音「ふむ……もう少し観察してみる必要はありますが」

貴音「そうですね、考えられるとすれば……」グゥ~

貴音「おや」グゥ~

P「……」

律子「……」

小鳥「……」

貴音「3分経ったようですね」

P「3分? カップ麺か?」

貴音「はい、わたくしの体内たいまぁが報せてくれました」

P「便利な腹の虫だな、おい」

貴音「のびてしまっては困るので、先にいただいておきます」ズズズ……

小鳥「もう食べてる!?」

律子「ちょっと、貴音。食べ過ぎはダメだっていつも言ってるでしょ」

貴音「まだ一杯目ですが?」ズズズ……

律子「……まだ?」

P「まあまあ、貴音には俺から言っておくから」

律子「そうやって、プロデューサーが甘やかすから……」

貴音「ズズズ……」

貴音「ゴクゴク……」

貴音「ふう……」

貴音「ごちそうさまでした」

律子「言ってるそばからスープまで完飲するなー!」

小鳥「相変わらず見事な食べっぷりね~」

律子「アイドルなんだから、もっと厳しく自己管理してくれないと……」

貴音「問題ありません。わたくし、食べても太りませんので」

律子「……」

小鳥「……」

P「お、おい……」

律子「今、なんて言った?」

貴音「ですから、食べても太らないと」

小鳥「まあ、知ってはいたけど」

律子「ふ、ふふふ……」

P「律子? 落ち着け、な?」

律子「はい? 私は落ち着いてますよ?」

P「お、おう」

律子「でもね……私は食べたら太りますよ! いけませんか!?」

P「いやいや、俺もそうだみんなそうだ」

小鳥「太らないボディ……ねぇ」

貴音「?」

P「?」

小鳥「ねえ、プロデューサーさん?」

P「はい?」

小鳥「ギニュー隊長のツノが生えたってことは、もしかしてアレができるってことじゃないですか?」

貴音「アレとは?」

P「まさか……」

律子「太らないはずがない、太らないはずが……」ブツブツ

律子「必ず太るはずだ、人間ならば……」ブツブツ

P「ああ、こっちはこっちで……」

小鳥「貴音ちゃん、ちょっとそこを動かないでね」

貴音「はあ」

P「ほんとにやるつもりですか?」

小鳥「いきますよ~……」

小鳥「チェンジ!」バチッ!

http://imgur.com/wQbvQNM.jpg

P「うっ……!」

律子「な、なに今の……!?」

小鳥?「……」

貴音?「……」

P「ど、どうなった?」

小鳥?「これはいったい……なぜわたくしが目の前に?」

律子「?」

P「!?」

貴音?「そして、私が目の前にいるということは……」

貴音?「ボディチェンジ、成功です!」

小鳥?「なんと……」

律子「ど、どういうこと?」

P「マジかよ……」

 ※以降、名前は中の人で表記

 小鳥 → 貴音ボディ
 貴音 → 小鳥ボディ


律子「つまり、マンガと同じ技が使えたってことですか?」

P「で、音無さんと貴音の体が入れ替わったと」

小鳥「やってみるものですね!」

貴音「面妖なこともあるものです」

律子「そんなバカな……」

P「まあ、朝起きたらツノ生えてた人がいる時点で……」

小鳥「これが食べても太らないボディ……」

小鳥「よ~し、好きなもの食べ放題しちゃうぞ~!」

貴音「ふふふ」

律子「仕事はどうするんですか」

小鳥「え?」

P「貴音の代わりに収録行きますか?」

小鳥「貴音ちゃんは、今日は歌番組の?」

P「ええ、完璧に貴音として振舞ってくれるなら、それで構いませんが」

小鳥「そ、それは……」

律子「小鳥さんのアイドル活動ですか。それは楽しみですね~」

小鳥「うぅ、律子さんのイジワル……」

小鳥「もう、わかりましたよ。戻りますよ」

律子「あら残念、うふふ」

小鳥「あれ? 貴音ちゃんは?」

貴音「呼びましたか?」ズズズ……

律子「また食べてる!」

律子「……って、今は小鳥さんの体だったか」

小鳥「私の健康も、少しは心配してくれていいんですよ?」

貴音「む」

小鳥「なに? どうしたの貴音ちゃん?」

貴音「大変です、小鳥嬢」

小鳥「な、なにが?」

貴音「麺だけで満腹になりました。どこか具合が悪いのでは」

小鳥「うん、朝から大盛サイズじゃ無理もないわね」

貴音「なんと」

貴音「ですが、この四条貴音、一度口を付けたからにはすぅぷの一滴たりとも残すわけにはいきません」ゴクゴク……

小鳥「貴音ちゃん? 私のボディは結果にコミットするからやめて?」

貴音「くふぅ……ごちそうさまでした」

小鳥「戻るのが怖くなったんだけど……」

 ドクン

小鳥「えっ?」

律子「どうしました?」

小鳥「今、なにかお腹のあたりで……」

 グゴゴゴゴゴ……!

P「な、なんだこの音?」

律子「地鳴り……じゃないですよね?」

小鳥「私……貴音ちゃんの体から……?」

P「貴音の?」

貴音「始まりましたか……」

小鳥「な、なに……この異常な空腹感」

小鳥「違う、これは飢餓感……?」

貴音「……」

小鳥「こんなの、耐えられない……」

貴音「『それ』はわたくしではありません」

小鳥「え?」

P「……」

律子「……」

貴音「わたくしの中に眠る、あの……」

小鳥「ええ!?」

P「中二か」

貴音「わたくしの体を通して供物を摂取することで力を抑えていましたが……」

貴音「このままでは、大変なことになります」

小鳥「大変な……?」

貴音「ええ、彼の者が目覚めてしまうでしょう」

律子「中二ですね」

小鳥「目覚めたら、どうなるの……?」

貴音「それは……この事務所を中心に……」

小鳥「な、なにが……」

貴音「……」

小鳥「そこで黙らないでー!」

貴音「心配には及びません」

小鳥「え?」

貴音「とっておきの供物(特盛カップ麺)があります。これを」サッ

小鳥「く、供物……」ゴクッ

貴音「遠慮はいりませんよ。さあ」

小鳥「い、いただきます!」

律子「ああ、また!」

 ─ 完食 ─

小鳥「ふぅ……収まりました!」

貴音「そのようですね」

小鳥「貴音ちゃんがたくさん食べるのは、こういうことだったのね」

貴音「ふふっ、あまり人には知られたくありませんでしたが」

P「……」

律子「釈然としないんですけど……」

貴音「ところで小鳥嬢」

小鳥「え、なに?」

貴音「今日に限らず、日常的に睡眠不足ではありませんか?」

小鳥「そ、そんなこと……」

貴音「わたくしにはわかります」

小鳥「う……ちょっとだけ、そうかも」

貴音「睡眠に勝る休養はありませんよ。もっとご自愛してください」

小鳥「気をつけます……」

貴音「これは自覚症状はないかもしれませんが……」

小鳥「な、なに?」

貴音「臓腑……特に肝臓に負担がかかっていますね。思い当たることは?」

小鳥「そ、そこまで暴飲は……」

貴音「体はそのように言っていません。ほどほどにされるべきです」

小鳥「はい……」

律子「……」

P「貴音こえー……」

貴音「それから……」

小鳥「まだなにか!?」

貴音「腹囲の締め付けがきついですね。すかぁとをもうひとまわり大きいさいずに……」

小鳥「いやあぁぁぁ! もうやめてえぇぇぇぇぇ!///」

律子「もう懲りたでしょ。そろそろ元の体に戻ってください」

小鳥「はい……」

小鳥「……と見せかけて、プロデューサーさんとチェンジ!」バチッ

P「俺!?」

律子「!?」

貴音「なんと」


 小鳥 → Pボディ
  P  → 貴音ボディ


P「お、俺が目の前に……」

小鳥「ふふふ、これが妄想(ゆめ)にまで見たプロデューサーさんの……!」

律子「なんで、さらにややこしい状況にするんですか!」

小鳥「せっかくだから、プロデューサーさんのボディも堪能しておきたいじゃないですか」

律子「だったら、先に貴音の体を戻せばいいでしょ!?」

小鳥「だって、プロデューサーさんが私のボディに入るなんて……」

律子「……」

小鳥「恥ずかしいですぅ///」

律子「プロデューサー、殴っていいですか?」

P「お願いだからやめて」

小鳥「プロデューサーさん、貴音ちゃんのボディはどうですか?」

P「肩がおも……」

貴音「……」

律子「……」

P「いや、なんでもないです……」

小鳥「もう、プロデューサーさんったら。セクハラですよ?」

P「音無さんにだけは言われたく……」

 ……

P「え?」

律子「?」

小鳥「?」

P「音無さん、なにか言いましたか?」

小鳥「セクハラですか?」

P「そうじゃなくて……」

 ……

P「……律子か?」

律子「私も違いますよ」

P「いや、だって」

P「さっきから、なにか声が……」

貴音「……」

小鳥「声なんて聞こえませんよ?」

律子「や、やめてくださいよ、そういうの」

P「3人、4人……いや、もっと……」

律子「だから、そんなのいませんって」

P「違う……俺じゃ……」

小鳥「え?」

P「やめてくれ……やめ……」

小鳥「ええ?」

律子「なにが……」

P「たか……」

小鳥「たか? 貴音ちゃんですか?」

貴音「ふむ……」

P「あ、あぁ……」

P「光が、拡がっていく……」

小鳥「!?」

律子「!?」

P「……」

小鳥「ど、どうしちゃったんですか? しっかりしてください」

律子「貴音! どうなってるの!?」

貴音「おそらく、これは……」

P「……」

P「あ……大きな星がついたり消えたりしている」

P「あはは、大きい。彗星かな?」

律子「す、彗星?」

小鳥「え? これって……」

P「いや、違う……違うな。彗星はもっとバァーって動くもんな」

律子「え、えぇ?」

小鳥「やっぱり……」

貴音「やはり……」

律子「やっぱりなんなのよ!?」

律子「ダメだ、ここにいたら危険だ……」

小鳥「律子さん、どこにいくんですか?」

律子「え? あ……あずささんを迎えに行かないと」

小鳥「あずささんは午後からですよ?」

律子「そ、そうでしたっけ?」

小鳥「それより……ふふふ、律子さんもどうですか」

律子「な、なにが」

小鳥「とぼけなくてもいいですよぉ」

律子「私は遠慮します!」

小鳥「何事も経験ですよ?」

小鳥「ね、貴音ちゃん」

貴音「ふむ……ここをこうすれば……」ブツブツ

小鳥「貴音ちゃん?」

律子「よ、よくわからないけど今のうちに……」

貴音「なるほど、理解しました」

小鳥「え?」

貴音「わたくしにも出来そうです」

律子「ちょっ、まさか……」

貴音「ちぇんじ!」バチッ!

小鳥「!?」

律子「ひゃあ!?」

 貴音 → 律子ボディ
 律子 → 小鳥ボディ


貴音「ふむ、これが律子嬢の……」

貴音「どうやら無事にぼでぃちぇんじ出来たようですね」

律子「逃げられなかった……」

小鳥「見よう見まねで再現できるなんて、さすが貴音ちゃんね」

律子「感心してる場合じゃないでしょ……」

貴音「律子嬢」

律子「なに?」

貴音「ここ数週間……いえ、数か月ほどでしょうか、だいえっとをされていますね?」

律子「いっ!?」

貴音「ですが、すとれすを伴うような食事制限は逆に」

律子「余計なこと言わなくていいから!」

貴音「はあ」

小鳥「へ~、律子さんがねぇ」ニヤニヤ

律子「くっ、だから嫌だったのよ……!」

小鳥「私のボディはどうですか、律子さん?」

律子「ノーコメント!」

小鳥「いいですよ~だ。あんなことやこんなことまで妄想しちゃいますから」

律子「か、勝手にしてください」

小鳥「ん? でも、なにか足らないわね……」

小鳥「あっ」

律子「?」

小鳥「貴音ちゃん、メガネいい?」

貴音「構いませんよ。どうぞ」サッ

小鳥「じゃあ、これは律子さんに」

律子「私っていうか小鳥さんの体ですよ。メガネなんかかけても」

小鳥「またまたぁ」

律子「?」

小鳥「メガネっ娘がメガネをかけなくてどうするんですか」

律子「それは時と場合によりますよ」

小鳥「え?」

律子「え?」

小鳥「……」

律子「……」

小鳥「はぁ……なんてこと」

律子「なにか?」

小鳥「まさか律子さんが……」

小鳥「肝心なシーンでメガネを外すようなファッションメガネっ娘と同類だったなんて……」

律子「ファッションメガネっ娘ってなに!?」

律子「うぅ、世界が回る……」

貴音「おお、世界がぼやけています」

小鳥「それでもメガネをかけてくれる律子さん、マジ律子さん」

律子「ただでさえ誰が誰だかわからなくなってるのに……」

小鳥「え~と……今はプロデューサーさんが貴音ちゃんのボディで」

小鳥「貴音ちゃんが律子さんのボディ?」

貴音「そうですね」

小鳥「私のボディには律子さんが」

律子「ええ、不本意ながら」

小鳥「そして、私はプロデューサーさんのボディ……」

小鳥「待って! 大事なことだからワンスモア」

律子「?」

小鳥「律子さんが私のボディ」

小鳥「私がプロデューサーさんのボディ……?」

小鳥「これは……」

律子「……」

小鳥「既成事実しかない……!」

律子「はあ!?」

律子「おかしな言葉が聞こえたけど、気のせいですよね?」

小鳥「律子さん……」

律子「はい?」

小鳥「子作りしましょう!」

貴音「なんと」

律子「できるかー!」

律子「ていうか、直球にもほどがあるでしょ!」

小鳥「どうせ私のボディじゃないですか」

律子「そういう問題じゃない!」

律子「プロデューサー、いいんですか!?」

小鳥「プロデューサーさん?」

律子「あれ? どこに……」

貴音「といれから声がしますね」

小鳥「トイレ?」

P「暑っ苦しいな、ここ。出られないのかな?」

P「おーい、出してくださいよ。ねえ」ドンドン

小鳥「……」

律子「……」

小鳥「ドアの調子が悪いみたいね!」

律子「えぇ……」

小鳥「このチャンス……逃してなるものですか」ジリジリ

律子「冗談ですよね? シャレになりませんよ?」

小鳥「そう思うなら、逃げなくてもいいじゃないですか」

律子「ま、待って……」

律子「ちょっ……この体、重くて鈍い!?」

小鳥「ふふっ、不摂生しまくってるそのわがままボディで、プロデューサーさんのボディを駆る私から逃げられるとでも?」

律子「自分で言ってて悲しくならないんですか!」

小鳥「もう後がないですよ?」ジリジリ

小鳥「いいんですね? 合意の上ってことでいいんですね!?」ジリジリ

律子「誰が……!」

律子「……って、体が動かない!?」

小鳥「ふふふ、そうでしょうとも」

小鳥「私のボディなら、いざとなったらヘタれて動けなくなるはずです」

律子「ドヤ顔で言うことですか!」

小鳥「つ~かまえた♪」

律子「ひぃっ!?」

小鳥「どこをどうすればいいか、全部わかってますよ?」

小鳥「自分の体だから……うふふ」

律子「た、貴音が見てるでしょ!?」

律子「それに、誰か来たら……」

小鳥「目撃証言で既成事実の完成ですね!」

律子「うわっ、最悪だ、この人!」

小鳥「大丈夫! 必ず結果にコミットしますから!」

律子「わけわかりませんよ!」

律子「貴音! 見てないで助けて!」

小鳥「ええい、往生際の悪い」

貴音「助けるといっても、この体では力ずくというわけにも」

律子「お願いだから!」

貴音「わかりました」

貴音「では……ちぇんじ!」バチッ!

小鳥「なっ、私!?」

律子「だからって、それはやめろー!」

 ───

 ──

 ─

 ─ 30分経過 ─

 全員、本人のボディに


律子「やっと元に戻れた……」

小鳥「最後のほうは、自分が誰なのかもわからなくなりそうでしたよ。あはは」

貴音「ふふふ、次はもう元に戻れないかもしれませんね」

律子「おい、そこの二人。少しは反省しろ」

小鳥「わかってますって。悪用厳禁ですね!」

貴音「そうですね。妄りに使うにはあまりにも危険な力です」

律子「こいつら、どの口が……」

律子「ああもう、さっさとそのツノをなんとかしてください」

小鳥「無くなるなら無くなるで、ちょっと名残惜しいですねぇ」

律子「日常生活にも支障が出るでしょ」

小鳥「は~い。貴音ちゃん、お願いできる?」

貴音「わかりました。少し準備が必要ですが」

小鳥「よろしくね」

律子「……」

律子「うっ、貴音の体の中にいた感覚がぶり返してきた……」

小鳥「あれはもう異次元ですね、異次元」

小鳥「ね、プロデューサーさん?」

P「……」ブツブツ

P「命は……命は力なんだ……」ブツブツ

P「命は、この宇宙を支えているものなんだ……」ブツブツ

小鳥「……」

律子「……」

小鳥「えっと……大丈夫?」

律子「ダメそうなんですけど……」

貴音「ふむ……そうですね」

貴音「心が夢を見ているような状態ですから、覚醒を促すほかにないかと」

小鳥「どうやって?」

貴音「荒療治ですが、再度ぼでぃちぇんじを試みてください」

律子「余計悪化したりしないでしょうね?」

貴音「わたくしならありえますが、小鳥嬢であれば大丈夫でしょう」

小鳥「わかったわ」

律子「これで最後にしてくださいよ……」

小鳥「でも、その前に……」キョロキョロ

律子「なにしてるんですか?」

小鳥「間違ってカエルにでも入れ替わっちゃったら大変ですから、安全確認です!」

貴音「そ、それはわたくしも遠慮したいところです」

律子「事務所にカエルは入ってこないでしょ」

律子「それよりも……」

 カサッ……

小鳥「なんですか?」

律子「いえ、なんでも」

律子「駆除したばかりだし、まあ……」ボソッ

 カサッ……

小鳥「ふふっ、ヘンな律子さんですね」

 カサカサカサッ……



おわり


 ─ お姫ちん、765ASのボディで一言 ─

 双海亜美

貴音「とかしつくして。発音できますね」

亜美「うあうあっ! それは言っちゃダメっしょ!」

 双海真美

貴音「甘酸っぱくもあり、ほろ苦くもある……これが思春期の味」

真美「ち、違うし!///」

 水瀬伊織

貴音「プロデューサー……ちょっと、いい? な、なによ! この伊織ちゃんが話しかけてるのに、その態度は! 私だって! 私だって、ほんとは……ううん、なんでもない! なんでもないってば、もう……バカ///」(演技指導・音無小鳥)

伊織「ちょっと! 人の体でなにやってんのよ!」

 高槻やよい

貴音「なにやら殺気が……」

やよい「さっきってなんですか?」

http://imgur.com/5PLBNd4.jpg

 我那覇響

貴音「ふふふ……今ならにょろにょろも恐るるに足りま」バターン

響「だから、やめたほうがいいって……」

 星井美希

貴音「すぅすぅ……」zzz

美希「すゃすゃ……」zzz

 三浦あずさ

貴音「はて? ここはどこですか?」

あずさ「あら? 貴音ちゃんどこに行っちゃったのかしら?」

 菊地真

貴音「程よく締まっていながらも硬くはない、とても上等な肉質ですね」

真「ひっ!?」

 萩原雪歩

貴音「スコップをどこに収めているのか、やっと謎がとけ」雪歩「ああ、四条さんが私の……私が四条さんの……幸せですぅ。このしなやかな指も麗しいお顔も艶やかな髪も四条さんの……四条さん四条さんふあぁぁぁ幸せすぎて〇んじゃいそうですぅ!ううんダメ!今は四条さんの体なのにこんなこと考えるなんてやっぱり私はダメダメで救いようのないちんちくりんですこんなダメダメな私が四条さんのお体をお借りするなんて恐れ多くてもう顔向けできません穴掘って埋ま…………掘れない!?うそ、どうして!?掘れない掘れないなんでなんでなんでなんでなん」

 如月千早

貴音「……ふふっ」

千早「くっ」

 天海春香

貴音「普通ですね」

春香「それだけ!?」

遅れ馳せながら、祝「朝焼けは黄金色」連載開始ということで、おまけ

 ─ 早朝、通勤中 ─


P「くあぁ……ねむ」

P「昨日、何時に帰ったっけ……?」

P「あ、昨日じゃないか。あはは……」

小鳥「あ、プロデューサーさん! おはようございまーす!」

P「音無さん。おはようございます」

小鳥「いつも朝早いですねー」

P「それはお互い様ですよ」

小鳥「あはは、そうですねっ」

P「どうしたんですか、今日は。朝から妙にテンションが高……」

P「……って、なんだと!?」

小鳥「ふふふ……やっと気づきましたか?」

小鳥「私が高校時代のボディに若返っていることに!」

http://imgur.com/d0OAYHu.jpg

P「えぇ……」

小鳥「どうですか? どうですか!?」

P「どうって、髪型と服装以外はなにも……」

小鳥「もう、ちゃんと見てくださいよぉ」

P「いや、何度見ても……」

小鳥「プロデューサーさんったら、そんなに見られたら照れちゃいますよ///」

P「めんどくせえ……」

小鳥「JKですよ、JK! JK!」

P「こっちが恥ずかしくなるから、連呼しないでください」

小鳥「プロデューサーさんったら、おかしなこと言いますね」

P「で、なんでそんな奇特なことになったんですか?」

小鳥「聞きたいですか? 聞きたいですよね!?」

P「あーそーですねー」

小鳥「実は、ちょっとした儀式……」

小鳥「じゃなくて、おまじないの成果です!」

P「ぎ、儀式?」

小鳥「え~、小鳥そんなこと言ってないですぅ」キャピ

P「……」イラッ

小鳥「おまじないですってば、おまじない!」

P「若返りのおまじないですか?」

小鳥「そうです! 結局、朝までかかって徹夜になっちゃいましたけどね」テヘッ

P「社会人の自覚ゼロですね」

小鳥「あ、徹夜ぐらい余裕ですよ、Jkですから! JKですから!」

P「テンションと言動はおかしいですが」

小鳥「すぐに慣れますよ! この生まれ変わった音無小鳥に!」

P「……」

小鳥「ほら! もっと、なんでも聞いてください!」

P「あ~……髪が伸びてるのは、せめておまじないの成果なんですよね?」

小鳥「あ、これはエクステです!」

P「はい?」

小鳥「暑いから取っちゃっていいですか?」バサッ

P「設定ガバガバじゃないですか。もう少しがんばりましょうよ」

小鳥「髪型だけは、なぜかそのままでしたね」

P「あくまで若返ってる設定は譲らないんですね」

小鳥「妄想でも、願い続けていればいつかは叶うものなんですね……」

P「たぶん、ただの現実逃避では」

小鳥「びっくりですよね」

P「びっくりっていうか、キツイっすね」

小鳥「べ、別にウェストきつくなんかないですよ!」

P「へー」

小鳥「……」

P「……」

小鳥「え~と……」

P「……」

小鳥「徹夜明けの朝焼けは黄金色ですね!」

P「やかましいわ」

小鳥「ん? 朝焼けは黄金色……?」

P「?」

小鳥「今、なにかティンときましたよ?」

P「気のせいですよ、気のせい」

 ─ 765プロ事務所 ─


小鳥「さあ、今日もお仕事頑張りましょう!」

P「……」

小鳥「あれ? どうしました?」

P「あ、いえ」

P「徹夜で儀……おまじないしてまで、若返りたいものなのかなぁと」

小鳥「それで若返るなら、誰でも徹夜ぐらいしますよ」

P「そういうものですか」

小鳥「そういうものです!」

P「俺からすると、全然そんな必要ないというか」

小鳥「?」

P「音無さんは綺麗だし、もともと若く見えますから」

小鳥「え……」

P「……」

小鳥「も、もう! そんな見え透いたお世辞を言っても、婚姻届(記入捺印済み)しか出ませんよ!///」サッ

P「なんでそんなもの持ち歩いてるんですか」

小鳥「こんなこともあろうかと、です!」

P「ああ、じゃあ俺のところ記入すればいいんですね」サラサラ

小鳥「はい! あとは捺印を……」

P「はいはい、これでいいですか」ポン

小鳥「……」

P「……」

小鳥「……あれ?」

P「まだなにか?」

小鳥「い、いえ……いつもならもっとこう適当にあしらうというか」

P「それでいいなら、そうしますよ」

小鳥「そ、そういうわけではなくて……」

P「……」

小鳥「……」

小鳥「わ、私……徹夜明けのテンションでとんでもないことしてる!?」

P「高校の制服着てることですか?」

小鳥「言わないでくださいぃ!///」

P「なにを今さら」

小鳥「今になって恥ずかしくなってきました……」

小鳥「もうお嫁にいけません……」

P「……」

小鳥「うぅ、見なかったことにしてください……」

P「これもですか?」

小鳥「え?」

P「婚姻届ですよ。嫁にいけないということだし」

小鳥「それは、その……」

P「あとは提出するだけですけど、どうします?」

小鳥「どうするって……///」

P「……」

小鳥「プロデューサーさん……からかってます?」

P「俺は冗談や徹夜の勢いでこんなことはしませんよ」

小鳥「ぐぬっ」

P「書くものを書いた以上、責任は取ります」

小鳥「責任……本気にしちゃいますよ?」

P「その前に着替えたほうがいいですよ。そろそろ律子が来るだろうし」

小鳥「え?」

P「……」

小鳥「ああぁ……///」

小鳥「今すぐ着替えてきますー!」

P「あ、音無さん」

小鳥「な、なんですか?」

P「制服、似合ってて可愛いですよ」

小鳥「は?」

P「……」

小鳥「う……///」

小鳥「プロデューサーさんのバカぁーーー///」


おわり

時代が違うけど、JKことりつ

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