幼馴染「――そんなの当たり前でしょ」
男「でも、ラッキースケベは偶然起きるものであって、主人公はヒロインに何もしていないじゃないか」
ヒロイン『いやあ~ん、スカートが風でめくれちゃった//』ピラーン
ヒロイン『主人公くんのえっち!』
主人公『お、俺は見てねえからな』
男「この場合、どう考えても主人公は何もしていないだろ」
幼馴染「でもヒロインは嫌がってるし、お互いに合意がないんだからセクハラになるのは当然だと思う。最近はそれも拡大解釈されて、視界に入っただけでセクハラにする人もいるから毎年100万人を超える男性が逮捕されているのよ」
男「そんな事をされたら、街から男性が消えてしまうじゃん」
幼馴染「それは男性がルールを守らないからでしょ。ちなみに、この条例の話をするのもセクハラなんだからね」
(注1)男と幼馴染はお互いに合意をしています。
男「ところでさあ、昼休みが終わったら男子のクラスは体育なんだ。話したいことがあるなら、早くして欲しいんだけど」
幼馴染「……ごめん、実は女子のクラスも次は体育なの。消去申請もしたいし、その話はまた今度するわね」バイバーイ
男「お、おうっ。俺も更衣室に行くとするか」
トテトテトテ...
美少女「男くん! どいてどいて~」タタタタッ
男「えっ?!」
美少女「きゃあっ!!」ドンガラガッシャーン!
男「むぎゅうっ」モミモミ
美少女「はうんっ//」ドッキーーン//
(注2)美少女は男子生徒です。
(注3)女性に着替えを連想させる言葉を使用するとセクハラになります。
美少女「痛っててて……」
男「大丈夫か?」
美少女「男くん、ごめんなさい//」
男「それはまあ良いんだけど、どうして女子の制服を着ているんだよ」
美少女「さっきまで演劇部の練習をしていたの」
男「そ……そうなのか」
美少女「次は水泳だよねえ」
男「おう。その格好で更衣室に入ったら、みんなびっくりするかも」
美少女「あはは、そうだね」
(注4)美少女は女性用衣類の着用を認められています。
~更衣室~
モブ「うおぉぉっ?!」
ナンダ…ビショウジョカ
ビックリサセルナヨ
ざわざわ・・・
美少女「な、何だかみんなに見られてる//」ドキドキ
男「演劇部員なら、これくらいで恥ずかしがるなよ」
美少女「そ……そうだよね//」ヌギヌギッ
男「待てまて~っ! 何で下着も女物なんだよ」
美少女「うふふ// 似合ってる?」アッハーン
男「し、知らねえよっ! 変なこと言ってないで、早く着替えろよ」ドキッ
美少女「あはは~、照れてる照れてる//」
(注5)美少女は女性用下着の着用を認められています。
~男子プール~
美少女「きらめく太陽……」ドンッ
美少女「灼けるプールサイド……」ポヨン
美少女「夏が呼んでる~っ!」キラリーン☆
モブ男「うおおぉぉっ! 美少女きゅん、かわいいっ!!」
ガリ男「最高に燃え萌えだぜっ」
美少女「あっは~// きゅるる~ん♪」
男「いや、、分かっているんだろうけど、こいつオトコだから!」
(注6)サービスシーンはすべて男性です。
(注7)美少女は男子生徒ですが女性用水着の着用義務があります。
教師「それじゃあ、自由形25メートルのタイムを計るぞ。用意、スタート!」
ジャッバーン
バタバタバタ…
男(俺は魚だ。行ける、世界新記録樹立ぅっ!)プハアッ
教師「18秒42、もっと頑張れ」
男「……」ショボン
美少女「ドンマイ!」
モブ男「そうそう。溺れるかのように泳ぐのも一種の才能だぜ!」
男「そうだよな、さんきゅ……」
モブ男「ところでさあ、昔は女子も一緒に泳いでいたんだろ。そんな時代があったなんて信じられないよな」
男「そういう話はしないほうが良い。合意がない女子に聞かれたらセクハラになるぞ」
モブ男「おっと、そうだったな」
(注8)女子生徒の水泳シーンはありません。
~更衣室~
マエハカクセヨ
キニスンナヨ
がやがや・・・
男「美少女って、体育が終わった後も女物の下着を着るんだな」
美少女「恥ずかしいから、あまり見ないでよ//」キュン
男「おっと、すまねえ」
美少女「いいよ、これは自分で選んだことだから――」
男「ラッキースケベ禁止条例か」
美少女「……うん」
男「偶発的な事象によって女性が性的な被害にあった場合、それがお互いの合意によるものでなければ性犯罪に該当することを定めた条例だっけ」
美少女「そうそう。ラッキースケベは広義の痴漢行為に相当するから、男性はその損害を賠償しなければならない。だけど、いくつか例外規定があるのは知っているでしょ」
男「年長の女性親族や配偶者、またはそれに類する女性の同伴によりその管理下におかれている場合だよな。あと、事前に合意が得られている相手も除外される」
美少女「そうそう。男くんと幼馴染さんがそれに該当するんだよねえ」
男「まあ、近所住民の関係を維持できるレベルだけどな。所詮その程度だから、昼休みに幼馴染のラッキースケベに遭遇したときは大変だったよ」
美少女「そうなんだ――」
バタンッ!
きゃあああぁぁっ!!
モブ男「女子生徒がどうしてここに?!」
淑女「あ……ぁあ…………!」
清楚「ちん……ち……ん///」カオマッカ
ガリ「やべえ! 逆ラッキーだ!!」
ニゲロッ
ドタバタ
美少女「男くんも早く逃げないと! 彼女たちと合意はないはずでしょ!!」
男「でも、逃げるってどこに?!」
モブ男「待つんだみんな! 裸で外に出ると公然わいせつ罪だぞ!」
ガリ「馬鹿やろう! ここにいても強制わいせつ罪だろうが!!」
メガネ「さっさと着替えないから逆ラッキーに遭うんだ。愚民どもめ」キリッ
(注9)ラッキースケベは犯罪です。絶対に真似をしないでください。
男「くそうっ! こうなったら……」
美少女「わわっ//」バタン
男「……」
美少女「……」
美少女「どうして、ボクもロッカーの中に?!」
男「黙ってろ」
カンリキョクガキタゾ!
オレハフクヲキテイタ
オレハミセテナイッ!
美少女「……//」モゾモゾ
男「頼むから動かないでくれ……」ドキドキ
美少女「……っ//」ビクンッ//
管理局「ロッカーの中に隠れている男子生徒も出て来なさい!」
男「くそっ!!」ギリッ
~教室~
男「ふうっ……。死角になっていたおかげで助かったぜ」
美少女「でも、これでクラスメイトが残り6人になっちゃったね。最初は40人もいたのに……」
メガネ「危機管理がなっていない奴らが悪いんだ。自業自得だ」クイッ
陽キャ「うっえ~い。清楚のおかげでマジ助かったぜ~い↑」キラリン
陰キャ「女はくそだな。こんなの無理ゲー過ぎる」ボソッ
キーンコーンカーンコーン
教師「それでは授業を始めるぞ――と言いたい所だが、その前に話しておかなければならないことがある」
男「……!」ゴクリ
教師「お前たちも知っているだろうが、女子生徒に男性の着替えを見せるなどの精神的な苦痛を与えたという理由で14人のクラスメイトが逮捕された。今後は細心の注意を払って行動するように!」
(注10)親族間のラッキースケベは例外規定により除外されます。
(注11)婚約者の同伴により管理下にある男性は例外規定により除外されます。
男「あのっ! 間違えて入ってきた女子生徒は悪くないんですか?!」
メガネ「女性が主権の現代社会に旧時代の概念を持ち出すとは、救いようがない男だな」キリッ
男「……くっ」
陽キャ「まあ、心配すんなって。俺が彼女に一言添えて、罪が軽くなるように頼んでおいてみるよ」ウエーイ
陰キャ「くそ女がエロ漫画の表現を現実に持ち込んだから、こんなことに――」
男「それってどう意味なんだ」
陰キャ「知らないのか? 有名な話だぞ」
メガネ「少年漫画の性表現において、ラッキースケベは合意がないという点でセクハラである。そして、その性暴力は誰によって引き起こされたものなのか――。旧時代の論争だな」クイッ
陰キャ「いかにも。少年漫画の性表現をしたのは作者なので、それを刑法や条例によって罰することが出来るはずだ。それがラッキースケベ禁止条例の始まりなんだ」
男「そ……そんなことがあったのか」
陽キャ「うっえ~い↑ そんなことを知っているなんて、これだから童貞は!」
教師「――その話はもう終わりだ! 授業を始めるぞっ!!」
>>12訂正します
男「それってどう意味なんだ」
↓
男「それってどういう意味なんだ」
今日はここまでにします。
~休み時間~
男「集まってもらったのは他でもない。逮捕されたみんなのことなんだけど、どうにかして助け出すことは出来ないかな」
陰キャ「陽キャくんが『罪を減免してくれるように頼んでみる』と言っていただろ。俺たちに出来ることは何もないんじゃないのか?」
メガネ「まさか、みんなを脱獄させようとでも言うつもりなのかい?」クイッ
男「そうじゃなくて、ちゃんと話し合えば分かってくれると思うんだ!」
陰キャ「女子のクラスは女性専用施設内だ。俺たちは近付くことが出来ないし、合意がない相手に話しかけると即逮捕されるかもしれないぞ」
美少女「だったら、ボクが行く!」
男「美少女が?!」
美少女「ボクはラッキースケベで逮捕されないから、被害に遭った女子生徒と話し合う出来るでしょ」
メガネ「ふっ! 条例で定める女性化手術を済ませているのなら、美少女は俺の恋愛対象だな」クイッ
美少女「はわわっ// それじゃあ、制服を着替えて行って来るね!」タタタタッ
(注12)美少女は男子生徒ですが、身体は女性です。
(注13)条例制定後、毎年10万人を超える男性が女性化手術を受けています。
メガネ「愛する美少女が動くなら、俺も一つ調べてみよう」
男「調べるって何をだよ」
メガネ「更衣室の入り口は女性優先通路に面している。恐らく安全カメラが設置されているはずだ。それを陰キャにクラッキングさせる」クイッ
陰キャ「それ、調べるのは俺じゃないかっ!」
メガネ「捕まるのもお前だ」
陰キャ「お前だ、じゃねえよ!」ドンッ
男「それじゃあ、安全カメラは任せたぞ。俺は幼馴染に話を聞いてみる!」
スルスル
PiPoPa...
幼馴染『もしもし、男?』
男「少し聞きたいことがあるんだけど――」
(注14)クラッキング行為は犯罪です。絶対に真似をしないでください。
(注15)女性優先施設等の録画映像等を男性が許可なく見ることは禁止されています。
~女性優先区域・中庭~
幼馴染「こんなところに呼び出して聞きたいことって、何なの?」
男「今日の体育の授業が終わった後、更衣室に女子生徒が入ってきてクラスメイトたちが逮捕されたんだ」
幼馴染「まさか、逆ラッキースケベ?!」
男「俺たちと同じ時間に体育の授業があったのは、幼馴染の女子クラスだろ。だから、何か知っているんじゃないかと思って」
幼馴染「ねえ、イケメンくんはどうなったの! 彼も逮捕されちゃったの?!」
男「イケメンは学校を休んでいるから大丈夫だ」
幼馴染「あ……ああ、そうだったわね」ホッ
男(なんだ? この反応は――)
男(幼馴染とイケメンの間で何かあったのか?)
妹「お兄ちゃ~~んっ!」ギュッ//
男「おわあっ、びっくりしたあ~!」
妹「びっくりしたのは私だよっ! 淑女さんと清楚ちゃんが更衣室に入ったって聞いて、お兄ちゃんが逮捕されちゃったんじゃないかって気が気じゃなかったんだから!」
男「心配掛けてごめん。俺は大丈夫だ」
妹「私、お兄ちゃんを守れるように頑張るから、それまで気を付けてね」ウリュッ
幼馴染「……ふうん、そういう関係なんだ」
妹「別におかしくないですよねえ。私たちは兄妹なんだから――」
幼馴染「ま、まあ……それは分かってるよ。でも、ちょっと安心したかも」ニコッ
男「それはそうと、更衣室に入ってきた女子と同じクラスなのか?」
妹「そうだよ。それがどうかしたの?」
男「今、逮捕されたみんなを助けようと頑張っているんだ。その人と話をすることは出来ないかな」
妹「悪いことをしたなら、罪を償わせてあげないとその人のためにならないと思う」
男「そうかもしれないけど、納得が出来ないんだ」
妹「……」
妹「私にはまだ同伴の管理権限がないから、お兄ちゃんを二人に会わせたくない。だけど、私が知っている範囲で教えてあげるね」
妹「聞いた話では、場所がよく分からなくて間違えてしまったみたいなの」
男「間違えるって、どうやってだよ! 女性専用の更衣室は女性専用施設内にあるのが普通だろ」
妹「そんなことを言われても、間違えてしまったものは仕方ないんじゃないかなあ。悪いのは、着替えを見せたりした男子だと思う」
男「こんな理不尽な条例、なくすことは出来ないのかよ!」
妹「それは性暴力やセクハラを認めてもいいって言っているのと同じことだよ。うかつに言葉にしないほうが良いと思う」
幼馴染「そうそう。心を許していない人に触れられたり、恥ずかしい姿を見られてしまったり。それが女性にとってどれだけ苦しい事なのか、分かっていないと思われるよ」
男「それは分かるけど、こんなの一方的過ぎるじゃないか!」
幼馴染「仕方ないじゃない。旧時代とは社会の仕組みが変わったんだよ――」
男「でもっ!」
妹「お兄ちゃん、声が大きいよ」シーッ
男「……ごめん」
妹「合意がない女子にこの話を聞かれたら大変なことになっちゃう。条例に関する内容は環境型のセクハラになりうることを忘れないでね」
男「はあっ、社会の仕組みが変わった――か」
幼馴染「……」
幼馴染「ねえ、男」
幼馴染「今日のお昼休みに話したいことがあったんだけど、ちょうどいいから今言うわね」
男「そういえば、その話が途中になっていたっけ」
幼馴染「私ね――」
幼馴染「卒業したら、イケメンくんと結婚するの」
男「イケメンと結婚?!」
妹「わあぁっ// おめでとうございます!」
幼馴染「妹さん、ありがとう♪」
幼馴染「彼が今日休んでいるのはね、少しいろいろあって正規の婚約手続きに不備があったことが分かったからなの」
男「そ、そうだったのか。幼馴染、結婚……するんだ」
(注16)結婚可能年齢に達した女性は、条例で定める婚約手続きを行うことが出来ます。
妹「幼馴染さんは恋愛結婚なんですか?」
幼馴染「……ううん。恋愛結婚じゃなくて従兄妹婚だよ」
妹「やっぱり、普通はそれですよね……」
幼馴染「彼は弁護士の卵だから、ラッキースケベで逮捕される訳にはいかないの。だから、従兄妹の私が彼と結婚することになったんだよ」
幼馴染「私が同伴して彼を管理下に置けば、ラッキースケベの例外規定で除外されるからね」
男「例外規定……か」
幼馴染「もしこんな時代じゃなかったらさあ、私は男と楽しく笑いあったり恋愛をしたりして、もっと違う関係になれていたのかもね――」
男「幼馴染……」
(注17)条例制定後、男女交際が困難になり近親婚が増加しています。
幼馴染「な~んて。もしかして、真に受けちゃった?」
男「えっ?」
幼馴染「私は婚約しているんだよ。そんなこと、本気で言うわけないじゃない」
男「くそっ! これだから女は!」
妹「……」
男「ところでさあ、配偶者が一緒にいれば除外されるっていうのは、ラッキースケベが偶然起きるものだからだよな」
幼馴染「はあっ、何言ってるの? 配偶者が一緒にいれば、すぐに謝罪することが出来るからでしょ」
妹「そうだよ。お兄ちゃん、そんなことも知らなかったの?!」
男「ふと疑問に思っただけだろ」
幼馴染「今のは訴えてもいいレベルで引いたかも。妹さん、頑張ってね」
妹「そうですね」ハァッ…
~教室~
キーンコーンカーンコーン
男「自習で暇だから話を聞きたいんだけど、例の件の首尾はどうなった?」
陰キャ「安全カメラを調べたら面白いことが分かったぜ。あの女子二人は、更衣室の鍵を開けて入っていたんだ」
男「何だって?!」
陰キャ「とりあえず、管理局に許可をもらって動画をコピーしてきたぞ」
男「クラッキングはどうなったんだよ」
陰キャ「俺にそんな都合のいいスキルがあると思うか?」ドンッ
メガネ「ふっ、違法行為で手に入れた物証に証拠能力などない。これだから愚民は困る」クイッ
男「そっか。とりあえず、動画を見せてくれ」
陰キャ「分かった」ポチッ
(注18)特別な許可を得ている場合は男性も見ることができます。
男「――ここからが問題のシーンだな」
タブレット『……ジジッ…………』プチッ
男「何だそりゃあ! 肝心の場面だけ写ってないじゃん!」
メガネ「男にヒントをやろう。逆ラッキースケベが起きたとき、なぜ陰キャは逮捕されなかったのか」
男「俺みたいに死角にいたとか?」
陰キャ「実は俺、体育の授業をサボっていたんだ」ドンッ
美少女「そういえば、陰キャくんは更衣室にいなかったもんね」
陰キャ「一度は更衣室に行ったんだけど、中に入れなかったから保健室で寝て過ごすことにしたんだ。ほらここ、動画にも写ってる」
男「ほんとだ! と言うか、職員室から鍵を取ってきて中に入れよ」
メガネ「しかし、陰キャのおかげで更衣室のドアが閉まっていたことが証明された。これは大きな成果だ」キリッ
美少女「そうだよね!」
(注19)女性優先施設等でラッキースケベがあった場合、女性は記録映像等の消去申請をすることが出来ます。だって、恥ずかしいもん//
男「この動画を見せれば、みんなを助けられるんじゃないかな!」
メガネ「それは無理だ。ドアが閉まっていたら、真面目な生徒は鍵を開けて中に入るだろ。そうしないと、授業に参加できないからな」クイッ
男「それもそうか。俺の妹が『間違えてしまったものは仕方がない』って言っていたけど、こんなの理不尽だよな」
陰キャ「そうだよな。くそ女どもめっ!」
メガネ「女子生徒が男性の着替えを連想しないように、『男子更衣室』という言葉は使用されていないんだ。女子生徒が誤って『更衣室』に入ってしまったとしても、別に不思議なことは何もない」
男「環境型のセクハラとかいうやつか……」
陽キャ「うっえ~い。美少女は女性専用施設に行っていたんだろ。何か聞き出せたかい↑」
美少女「うん。少し興味深い話を聞いたから、イケメン君に連絡して返事を待っているところなんだ」スルスル
陽キャ「イケメンが関係あることなのか?」
美少女「恐らく――ね」
(注3)女性に着替えを連想させる言葉を使用するとセクハラになります。
ブルブルブル・・・
陽キャ「イケメンか?!」
美少女「――イケメン君、話しても良いって!」スルスル
メガネ「では、聞かせてもらおうか」クイッ
美少女「さっき更衣室で逆ラッキースケベの被害に遭った淑女さんなんだけど、この前の日曜日、市街地でラッキースケベの被害に遭っていたそうなんだ」
男「ラッキースケベ?」
美少女「詳しいことは言えないんだけど、お昼過ぎにゲリラ豪雨に遭遇して、そのときに恥ずかしい姿をイケメン君に見られてしまったらしいんだ」
陰キャ「それなら、どうしてイケメンは逮捕されていないんだよ。まさか、ただしイケメンに限るって奴なのか?!」ガタッ
美少女「例外規定だよ。イケメン君は婚約していて、その女性が一緒にいたから和解が成立して罪に問われなかったんだ」
陽キャ「あいつ、やるじゃねえか!」キラーン
美少女「だけど、淑女さんはそのときのことを根に持っているみたいだね」
(注20)ラッキースケベの二次被害に配慮するため、詳細な解説は行いません。
男「幼馴染が言っていたのは、そのことだったのか――」
美少女「彼女が何か言ってたの?」
男「幼馴染がイケメンの婚約者なんだけど、イケメンが休んでいるのは婚約手続きに不備があることが分かったかららしいんだ」
美少女「つまり、婚約手続きに不備があったせいで話がこじれてしまったってこと?」
男「恐らく、そうだと思う」
メガネ「なるほど。どうやら、今回の逆ラッキーは意図的に引き起こされたもののようだな」クイッ
陽キャ「どういうことだよ。俺にも分かるように説明してくれ!」
メガネ「彼女は知っていたんだよ。このドアの向こう側に裸の男子生徒がいることを――」
メガネ「だから、彼女は陽キャの婚約者と一緒に更衣室に入った。イケメンとその婚約者に復讐をするためとはいえ、友達の婚約者である陽キャを巻き込むことには良心が咎めたのだろう」
陽キャ「うえーい↓ そうだったのか……」
陰キャ「このことを管理局に言えば、みんなを助けられる!」
メガネ「いや、動機はあっても意図的に入ったことを証明することが出来ない」
男「聞いてくれ。俺にいい考えがある!」
~女性優先区域・中庭の物陰~
管理局「――それで彼らの無罪を証明するつもりなのかい? もし出来なければ、男くんを逮捕することになりますよ」
男「分かっています」
陽キャ「うぇ~い。彼女を説得して、友達と一緒に中庭を通るように伝えたぜ」
男「ありがとう。イケメンが一人で中庭に立っていれば、必ずラッキースケベが発生するはずだ」
幼馴染「本当に起きるの?」
男「多分な」
イケメン「俺と幼馴染のせいでみんなが逮捕されたとなると、黙って見過ごすわけには行かない。持ち場に就いてくる」スッ
男「ああ、頼んだぜ!」
管理局「……それでは見届けさせてもらいましょう」
清楚「それでね、彼がすごくおかしくて……」ケラケラ
淑女「そうなんだ~」クスクス
イケメン「……」
淑女「……!」
清楚「どうしたの?」
淑女「……うきゃあぁっ!」
ドテーン
オパOツ、ピラーン♪
淑女「あ……ぁあ…………//」
イケメン「お怪我はありませんか?」スッ
淑女「いやああぁぁぁっっ…………!!」バシッ
清楚「淑女ちゃん、どうして――」
(注21)女子生徒の下着は謎の光で見えません。
淑女「……管理局!」
管理局「淑女さんと言いましたね。一部始終を見させていただきましたよ」
淑女「は……はいっ! 今、この男性にセクハラをされましたっ!!」
幼馴染「イケメン、大丈夫だった?」
イケメン「幼馴染、心配掛けてすまない。俺は大丈夫だ」
陽キャ「うっえ~い!」
清楚「……うぅっ、淑女ちゃん」ポロポロ
淑女「な……なにっ?! これって、どういうこと……」
管理局「あなたは今、ラッキースケベを意図的に引き起こしましたね!」
淑女「そんなこと、し……していません!」
男「俺たちはずっと見ていたんですよ。意図的に引き起こしたラッキースケベは男性に対する性暴力だ!」
淑女「くっ……」ギリッ
イケメン「淑女さん。俺たち男性は、女性にとってラッキースケベが恥ずかしいことだということは分かっています。しかし、性暴力やセクハラと偶発的な事象によるラッキースケベは分けて考えるべきなんです」
淑女「でも、私の合意がないのに恥ずかしい姿を見たのは事実でしょ!」
イケメン「それがセクハラだと言うならば、それを望んでいない男性に対して見せた行為は逆セクハラだ。セクハラ行為とは、異性に対して意図的に辱めようとする行為をすること、または無意識的にその行為をしてしまうことなんですよ」
イケメン「しかし、偶発的な事象によって発生するラッキースケベは、相手を辱めようとする行為の原因が女男どちらにもありません。つまり、ラッキースケベはセクハラ行為には該当しないのです」
幼馴染「イケメンはね、あのとき、雨に打たれていたあなたに傘を渡そうとしていたんです。恥ずかしかった気持ちは分かるけど、その優しさも分かってあげて欲しいです」
清楚「淑女ちゃん……謝ろう? こんなのって、あんまりだよ…………」
淑女「……」
淑女「……でも、男性は卑猥なんです! 男性の気持ちなんて、優しさなんて……そんなの全然分からない! 私はこの気持ちをどうすれば良かったの?!」
幼馴染「私も……分からないよ。昔の人はどうやって恋愛していたんだろうね」
幼馴染「だけど……相手が困ることをわざとするのは、女男関係なく、駄目なことだと思うんだよね」
淑女「……!」
淑女「ごめんなさい、ごめんなさい……。ううっ、うわああぁぁんっ…………!」
~ラキスケ収容所~
モブ男「うおおぉっ!!」
ジユウダ!
シャクホウサレタゾーッ!
モブ男「男、みんな! 助けてくれてありがとう!」
男「ああ、釈放されて良かったぜ!」
陽キャ「うっえ~~い↑↑」
管理局「今回の件は、淑女さんにより意図的に引き起こされたものとして不問にいたしましょう。しかし、我々には女性の人権を守る義務があります。今後もラッキースケベを野放しにすることは出来ません」
男「はい、分かっています」
管理局「では……お行きなさい」
ミンナカエロウゼ!
オウッ!
管理局「……」
管理局「ラッキースケベ冤罪事件か。これから忙しくなりそうね――」ハアッ
~女性優先道路・市街地~
幼馴染「淑女さんも反省してくれたし、これで一件落着ね」
イケメン「そうだな。彼女は二度と冤罪事件を引き起こすことはないだろう」
男「あのときはマジで焦ったぜ。あんな思いはもうコリゴリだ」
イケメン「俺は今回の件を受けて、より一層、ラッキースケベの在り方について考えなければならないと思った。立派な弁護士になれるよう、今以上に頑張らないといけないな!」
幼馴染「うん、そうだねっ!」
男「そういえば、イケメン、幼馴染と婚約したんだってな。結婚式には俺も呼んでくれよ」
イケメン「分かってる。その代わり、お前も披露宴には俺を招待してくれよな」
男「ああ、おめでとう!」
イケメン「ありがとう!」
幼馴染「……//」
男「これが俺たちが勝ち取った新時代への第一歩だ!」ウオォォッ!
~自宅~
男「ただいま~」
妹「お兄ちゃん、おかえり! あの事件、どうなったの?!」
男「淑女さんが謝罪して、みんな釈放されたよ」
妹「良かったね♪」
男「ところでさあ、服くらいちゃんと着ろよ。だらしないだろ」
妹「だって、暑いんだもん」パタパタ
男「はあっ、仕方ないな。冷凍庫のミルクアイスを食っていいから」
妹「やったあ♪ お兄ちゃん、ありがとう」ムギュウ//
男「暑いんだろ。くっつくなよ//」
妹「えへへ~♪」ルンルン
妹「冷たくて美味しい♪」レロレロ
トローン
・・・ペチャッ
妹「ひゃぁっ、よごれちゃった」
男「そんな食べ方をするからだろ」フキフキ
妹「……っ//」
妹「ねえ、お兄ちゃん。私も幼馴染さんみたいに、お兄ちゃんを守れる女性になりたいと思ってる」
妹「だから……ねっ///」ドキドキ
男「妹、おいで。今日も可愛がってあげるよ」
妹「わあいっ。お兄ちゃん、大好き//」
男「俺も妹が大好きだよ。妹……愛してるっ//」
(注22)このあと激しく愛し合いました///
(注23)条例制定後、毎年60万件を超える胎児認知届が受理されています。
・・・
・・・・・・
淑女さんが巻き起こした、ラッキースケベ冤罪事件。
この事件はマスコミに取り上げられ、男性の人権をめぐり熱い議論が交わされた。
ラッキースケベ禁止条例は、本当に女性の人権と子どもたちの未来を守ることが出来ているのだろうか。
女性と男性は等しく歩み寄り、お互いの性差を想いやることが大切なのではないのだろうか。
今、女性と男性のあるべき姿が試されている――。
(注24)この物語はフィクションです。実在する人物や団体、事件などは一切関係がありません。
おわり
男「ラッキースケベがセクハラになる……だと?!」
―完―
>>8訂正
男「年長の女性親族や配偶者
↓
男「女性の直系尊属や配偶者
とりあえず、これで完結です。
ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
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