https://www.youtube.com/watch?v=lP_xZ19mud0

●REC

菜々「自由の女神を中心とする、建国241年のお祭り騒ぎも一段落。
　　　すっかり落ち着いた様子を見せるニューヨーカーたち。
　　　懐かしいこの騒音、この人混み、このビルであります！
　　　アメリカ横断ウルトラクイズ、40年目の決勝地はやはり、何が何でもこのニューヨーク。
　　　ニューヨークでなければなりません！
　　　今ナナは、マンハッタン島をぐるっと一周いたしまして、クイズ会場へ向かっているところです。
　　　40年間、多くの人を苦しめ続けた、あの自由の女神の真ん前で183人の頂点に立つ、チャンピョンを決める瞬間が、今やってまいりました！
　　　過去に数々の名勝負を残しました、懐かしの、我がパンナムビルが見えております。
　　　40周年にふさわしく、今年は成田からあっと驚く期待と裏切りの連続！
　　　歓喜の声と涙の声の繰り返しでありました。
　　　そしてアトランタからは、天国の北米ルートと地獄の南米ルートに真っ二つ。
　　　北の方角から飛んでいくヘリコプターには、北米チャンピョン白坂小梅ちゃん13歳が乗っております。
　　　南の方角から一基、ヘリコプターが視界に入ってまいりました。
　　　南米チャンピョンの登場、輿水幸子ちゃん14歳、地獄のチャンピョンであります！
　　　エンパイアステートビルです。
　　　天国のチャンピョンと、地獄のチャンピョンが、相見えようとしています！
　　　お互いに、誰が勝ち残っているか全く知らないのであります！」


小梅「ふふふっ、私の対戦相手、誰だろうね……？」

幸子「あの、ナナさんすみません、そろそろ始めませんか？
　　　この帽子思ったより重くって、ちょっと待ってるの辛いです」

菜々「ああ、そうですね！　すみません気が利かなくって。
　　　このあたりの小芝居と予選エピソードの捏造はあとで撮ることにしましょう」

小梅「ええ……？　い、いいのかな、それって……」

菜々「いいんですよ。所詮は特典映像用のごっこ遊び。ただのパロディドラマですから。
　　　でもクイズはガチバトルですよ！　準備はいいですか？」

幸子「はい！　いつでもどうぞ！」

小梅「う、うん、大丈夫……」

菜々「じゃあ撮りますよ～」


●REC

菜々「では小梅ちゃんに質問です。この決勝戦を制し、クイズ王になるのは誰でしょう」

小梅「……わ、私、です」

菜々「幸子ちゃんに質問です。この決勝戦を制し、クイズ王になるのは誰でしょう」

幸子「フフーン！　もちろんボクですよ！」

菜々「正解で+1、不正解で-1。10ポイント先にとったほうが、クイズ王の称号を手にします。では参ります。
　　　ボタンに手をかけてください」


小梅（幸子ちゃんとの真剣勝負、ふふっ。楽しみ）

幸子（小梅さん、どれほどの実力かはわかりませんが、ボクの実力を出し切るだけです。
　　　……思ったよりこのボタン、遊びが大きいですね）

菜々「問題」

「1872年に開館したニューヨーク・マンハッタンにある美術館/」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅「メ、メトロポリタン美術館……？」

　　＼ピンポン／

菜々「1ポイントです」


　小梅　幸子

　 +1　 0

菜々「問題」

「夏の風物詩です。ヒメ、ヘイケ、/ゲンジ」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅「蛍！」

　　＼ピンポン／

菜々「ヒメ、ヘイケ、ゲンジなどの種類がある、英語では『ファイアフライ』と呼ばれる昆虫は、蛍。小梅ちゃん正解！ 一歩リードです」


　小梅　幸子

　 +2　 0

菜々「問題」

「カーディガンを背中に羽織り、両袖の部分を胸の/前で」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

幸子「プロデューサー巻き！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　両袖の部分を胸の前で結ぶ着こなしを何というか、プロデューサー巻き、その通りです」


　小梅　幸子

　 +2　 +1

菜々「問題」

「日本語では『尾灯』と言われる、夜間や悪天候時に後/続の車」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅「て、テールランプっ！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通りです！　後続の車に対し前に車が走っていることを知らせるためのものを何というか。
　　　正解はテールランプ。小梅ちゃんお見事です」


　小梅　幸子

　 +3　 +1


小梅（いい感じにリードは保ててる……。このペースのままだと10対3か10対4だけど、そううまくはいかないよね。
　　　幸子ちゃんもギアを上げてくるかな……？）

幸子（これはまずいかもしれません。思いの外小梅さんの押しがアグレッシブです。
　　　ボクももっと攻めなきゃ……！
　　　それにしても小梅さん、無理して大きな声だしてますね。確かにそのほうがウルトラクイズ決勝戦っぽくはありますが……）

菜々「問題」

「最期にはセントヘレナ/島に」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

小梅（ここで押せるの……？　幸子ちゃん、すごい……）

幸子「ナポレオン！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通りナポレオン！　最期にはセントヘレナ島に流されてその生涯を終えた、フランス革命期の軍人、政治家です。
　　　3対2、まだまだ勝負はわかりません」


　小梅　幸子

　 +3　 +2

菜々「問題」

「マラソンにおいて、足を早く動かすことを重視/する」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

幸子（ここで押しますか小梅さん！）

小梅（この時点だとまだ答えはわからない……。
　　　足を早く動かす『ピッチ走法』か、もう少し問題が続いて大股で走る『ストライド走法』、かな……？
　　　ナナさんの今の読み方、ちょっとだけ速かった気がする。
　　　だから多分問題はまだ続く、かな。確信はないけど……。
　　　でも、このルールなら、二択なら飛び込んで損はない、よね。
　　　気楽に……）

小梅「ストライド走法！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　マラソンにおいて、足を早く動かすことを重視する走り方を『ピッチ走法』というのに対し、歩幅を大きく取る走り方を何という。
　　　ストライド走法が正解です。4対2。またしても2ポイント差です」


　小梅　幸子

　 +4　 +2

菜々「問題」

「政権交代後、野党や報道からの新政権への厳しい意見が保留されるという最初の100日間を、新婚夫婦になぞらえて何期間というでしょう」

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん押しました！」

幸子（正直自信はないですが、少しでも差を詰めたいので押しちゃいます！
　　　間違えたらそのときはそのとき、カワイイリアクションをとればいいだけのこと……！）

幸子「ハネムーン！」

　　＼ピンポン／

菜々「お見事！　正解はハネムーン期間です」

幸子「やったっ！」

小梅（し、しらなかった……）

菜々「幸子ちゃん、じりじりと迫ってきております」


　小梅　幸子

　 +4　 +3

菜々「問題」

「地球の大気の鉛直構造において、対流圏と中間圏の間/に」

　　＼ポーン／

菜々「早かったのは幸子ちゃんです！」

小梅（お、押し負けちゃった……）

幸子「成層圏！」

　　＼ピンポン／

菜々「成層圏、その通り！　対流圏と中間圏の間に位置し、その内部にはオゾン層が含まれるものを何圏と言うでしょう？　という問題でした。
　　　4対4、同点で並びました」


　小梅　幸子

　 +4　 +4

菜々「問題」

「時期に遅れていて役に立たないこと/を」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん早かった！」

幸子（すごい押しですね！　でもこれで確定できるんでしょうか……？）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

小梅（たぶん私は、反射神経では幸子ちゃんに勝てないと思う……。
　　　だからちょっと無茶な押しをしちゃった。この問題は……）

幸子（小梅さん、悩んでますね。
　　　この問題、考えられる答えは『六日のあやめ、十日の菊』か、『夏炉冬扇』でしょうか。
　　　……わかりましたよ、小梅さん。小梅さんは二択の問題なら飛び込んでしまおうという作戦なんですね。
　　　1/2で+1、1/2で-1なら、期待値を考えると±0。スルーして相手に取られるよりはいい、ということですか。
　　　やりますね、小梅さん。カワイイです）


　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

小梅「……夏炉冬扇！」

　　＼ブー／

菜々「惜しい！　正解は『六日のあやめ、十日の菊』、でした」

小梅「あ、そっか。『遅れて』だから……」

菜々「小梅ちゃん-1ポイント！」


　小梅　幸子

　 +3　 +4

菜々「問題」

「日本語では『汎発流行』や『感染爆発』などと/訳される」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

幸子（今の、小梅さんも押してましたね。ギリギリでした）

幸子「パンデミック！」

　　＼ピンポン／

菜々「正解！　日本語では『汎発流行』や『感染爆発』などと訳される、感染症が世界の複数の地域で同時に大流行することを指す言葉、パンデミックです。
　　　幸子ちゃんがリードを広げました」


　小梅　幸子

　 +3　 +5


小梅（く、くやしい……！）

菜々「問題」

「夢を見るのは主にこのと/きである」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

幸子（また二択……。どっちでしたっけ）

小梅（ふふっ、これは、知ってたよ）

小梅「レム睡眠！」

　　＼ピンポン／

菜々「正解！　夢を見るのは主にこのときである、その名は『Rapit eye movement』の略である睡眠中の状態を何というか、正解はレム睡眠です。
　　　小梅ちゃん1ポイント獲得です」


　小梅　幸子

　 +4　 +5

菜々「問題」

「ヒンドゥー教の女神、サラスヴァティがその原型とされる、七福/神の」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅「べ、弁天様っ！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　ヒンドゥー教の女神、サラスヴァティがその原型とされる、七福神の中で唯一の女神は何？　正解は弁財天、あるいは弁天様です」

幸子（うかつでした。サラスヴァティの前フリを知らなくても、『女神』と『七福神』だけで確定できるんですね）

菜々「小梅ちゃん+1ポイント！　またしても並びました！」


　小梅　幸子

　 +5　 +5

菜々「問題」

「日本語では『我思う、/故に」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅「コギトエルゴスム！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り、コギトエルゴスム！　これで小梅ちゃんがまたしてもリードです！　手に汗握るシーソーゲームですね！」


　小梅　幸子

　 +6　 +5

菜々「問題」

「『じょいふる』と共にいきものがかりの15枚目のシングルとして収録されている、2009年度NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲であった楽曲は何でしょう？」

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

幸子「YELL！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　正解はYELLです。幸子ちゃん1ポイント！」


　小梅　幸子

　 +6　 +6

菜々「問題」

「動物の骨や骨髄に多く含まれる、化学式『C6H13NO5』で表されるアミノ糖の一種で、関節痛の予防や緩和に効果的と言われ/、」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

小梅（これも自信はないけど……。答えを二つに絞れたら押してもいい、よね）

小梅「……グルコサミン！」

　　＼ピンポン／


小梅「よかったぁ……」

菜々「関節痛の予防や緩和に効果的と言われ、サプリメントも発売されているものは何でしょう？　グルコサミン、その通りです。
　　　小梅ちゃん、+1ポイント、またしても逆転です」


　小梅　幸子

　 +7　 +6

菜々「問題」

「英語の『Please』に相当/する」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

小梅（は、はやい……！）

幸子（ちょっと早すぎましたね。全然自信は無いですが……。いえ、きっと合ってます！）

幸子「シルブプレ！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　英語の『Please』に相当する、フランス語のお決まりの挨拶といえば何？　正解はシルブプレです！
　　　幸子ちゃん+1ポイント！」


　小梅　幸子

　 +7　 +7


小梅（あとたったの3ポイントなのに、果てしなく遠い……。
　　　もっと早く押したほうがいいかな……？　ううん、そうしたら正解率も下がっちゃうだろうし……）

幸子（あと3ポイントですか……。小梅さんの押しは脅威ですが、だからといってボクに出来ることはありません。
　　　わかる問題のときに、確実に押すだけです）

菜々「問題」

「イギリスの数学者チャールズ・ラドウィッチ・ドジソ/ンが」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

小梅（ぜ、全然わからない……）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

幸子（数学者、と言うのは初耳ですが、『チャールズ・ラドウィッチ・ドジソン』という名前には聞き覚えがあります。
　　　ここで悩むのは何を問われているか、ですね。ペンネームなのか作品名なのか……。
　　　……押した直後、『が』と言ってましたね。ということは、）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

幸子（『"◯◯さん"が"××"』という形の文なら、××に入るのはきっと動詞です。
　　　だから『"チャールズ・ラドウィッチ・ドジソン"が"著した"児童文学は何』のような問題なはず。
　　　答えは、ペンネームの『ルイス・キャロル』ではなく、彼が"著したもの"のほう……！）

幸子「不思議の国のアリス！」

　　＼ピンポン／

小梅「おおー。す、すごい……」

菜々「その通り！　イギリスの数学者チャールズ・ラドウィッチ・ドジソンが知人の少女に即興で作った物語が元となった、彼が『ルイス・キャロル』名義で著した児童文学は何？
　　　正解は不思議の国のアリスです！　よくご存知でした！」

幸子「フフーン！　当然です！」


幸子（考えていた問題文とは随分違いましたが……。結果オーライです！）

小梅（幸子ちゃん、物知りでかっこいい……。カワイイ……）


　小梅　幸子

　 +7　 +8

菜々「問題」

「ギリシャ神話に登場する美少年、アドニス/が流した」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

幸子（押し負けました……）

小梅「あ、アネモネっ！」

　　＼ピンポン／

菜々「正解！　ギリシャ神話に登場する美少年、アドニスが流した血から生まれたとされる花、アネモネです」


　小梅　幸子

　 +8　 +8


菜々「両者一歩も譲らない展開ですね。最短だとあとたったの2問でクイズ王が決定します」


小梅（……）

幸子（……）

菜々「では、問題」

「ミョウジョウ学園10年黒組に編入した東兎角/」

　　＼ポーン／

菜々「小梅ちゃん！」

幸子（これはわかりませんね。仕方ないです）

小梅（これは知ってる……。杏ちゃんが、このまえ言ってた……）


小梅「悪魔のリドル！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　ミョウジョウ学園10年黒組に編入した東兎角を主人公とする、原作:高河ゆん、作画:南方純の漫画作品は何？　という問題でした。
　　　小梅ちゃん、ついにリーチです！」


　小梅　幸子

　 +9　 +8

菜々「問題」

「世界各地で毎年5月1日に/行われる」

　　＼ポーン／

菜々「幸子ちゃん！」

小梅（早い……。また押し負けちゃった）

幸子「メーデー！」

　　＼ピンポン／

菜々「その通り！　世界各地で毎年5月1日に行われる『労働者の日』を、英語で何という？
　　　幸子ちゃんも追いついた！」


　小梅　幸子

　 +9　 +9


小梅（幸子ちゃん、やっぱり強いね……。楽しい……！）

幸子（勝つのはボクです！　なんとしても次の問題、小梅さんより早く押します！）

菜々「L.M.B.Gの皆さんが、クイズ王を称えるファンファーレを鳴らす準備に取り掛かっています。
　　　さあ、果たして次の問題で決まってしまうんでしょうか。参ります」

菜々「問題！」

「テレビ業界において、19時/から」

　　＼ポーン／

菜々「点いたのは幸子ちゃんです！」


小梅（うう、これでも押し勝てないの……？）

幸子（反射的に押してしまいましたが……。
　　　これは、まだ確定していません。二択問題です！）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

幸子（テレビ業界では19時から22時がゴールデンタイム、19時から23時がプライムタイム。
　　　この問題、アイドルに問うのもバカバカしいサービス問題です。
　　　じゃあ、答えはどっちでしょう……。せめてもう少し聞けていれば……。
　　　いえ、どのみち二択なら、あと一瞬でも遅ければ小梅さんに取られていたでしょう）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

幸子（……小梅さんは、この何のヒントもない二択を何気ない顔で答えていたんですね。
　　　すごいです。ボクなんか、いまこんなにも怯えているのに……）

　　ﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯ……

幸子（いえ、二択に飛び込むのを怯えるなんて、カワイイカワイイ輿水幸子とは言えません！
　　　カワイイボクの選択は、いつだって世界が肯定してくれます！
　　　ボクが選ぶのは……）

幸子「ゴールデンタイム！」

　　＼ピンポン　　ピンポン／

※ここでハイファイ☆デイズの吹奏楽的なアレンジを脳内補完してください


菜々「おめでとうございます！！　当代のクイズ王は、輿水幸子ちゃんに決定いたしました！
　　　幸子ちゃんおめでとう！」

　　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

小梅「おめでとう……！」

幸子「フフーン！　当然です！　なんたってボクはただカワイイだけじゃなく、賢くてカワイイんですからね！」

菜々「そうですね！　幸子ちゃん、賢くてカワイイです！」

小梅「うん、幸子ちゃん、賢くてカワイイよ……！」

幸子「えへへへ。もっとです。もっと褒めてくれていいんですよ！」

小梅「その後、幸子ちゃんには『審査委員長』役の文香さんから大優勝旗が授与されました。
　　　『ニューヨークで一番美しい女性』役の楓さんからは、花束と祝福のキスが送られました。
　　　それから幸子ちゃんは、おっきな杯でノンアルコールのシャンパンを一気飲みしました。
　　　幸子ちゃん、とっても嬉しそうだったな……。ふふっ」

小梅「あと、豪華賞品として愛梨さん発行の『絶対☆特権☆券』十枚綴りがプレゼントされました。いいなぁ……」

おしまいです。
作中で行われている心理フェイズはかなりデタラメです。
真似しないように。

みんなナナマルサンバツを見ましょう。
ヒロインの演技がとても上手いです。
2話か3話あたりに松田颯水さんが登場してヒャッハーするはず


前作→【モバマス】アタック77【早押しクイズ】