【ガヴドロ】光をくれた誰かへ (21)
「ここが学校で少し噂になっている喫茶店……」
私は普通の女子高生
今日は私の学校で一部噂になっているこの喫茶店に行こうと思います!
この喫茶店が噂になっているのはマスターのコーヒー愛はもちろんですが……
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ガチャ
「へいらっしゃい」
いました、今日はその日ですね!
そうです、このバイトさんも噂になっています!
すごくかわいいのだけど、少し変わった噂があります
「……開いている席へどうそ」
ここの喫茶店、噂通り雰囲気はいいです
こう落ち着いた感じがとても心地いですね
「ご注文は何になさいますか?」
「えーっと……オリジナルブレンドで」
「ほぅ、オリジナルブレンドですか……私はね、」
「マスターそういうのいいっす、聞き飽きたんで、とりあえずオリジナルブレンド」
「あはは……」
先ずその噂の一つ、このバイトさんの一番の噂はマスターさんとのやり取りが変わっている事……
まさに目の前で繰り広げられておるおかしなやり取りの事です
何をツッコまれてもニコニコしているマスターさんは本当に優しいですね……
「コーヒーどうぞ」カタッ
さて、最初に私は普通の女子高生と言いましたが1回だけ普通ではない不思議な体験をしました
「した」というより「数日前に突然思い出した」と言った方が正しいのかもしれません
「ではでは……」
私は以前は目が見えない、いわゆる盲目でした
それがある日を境に目が見えるようになりました
その境というのは……
私が交通事故によって意識不明の状態から意識が戻った時です
「このコーヒー、美味しいですね!」
「そうっすね、自分は分かりませんけど」
「ちょっとぉ!?」
先ほどの噂について今もう一つ出ました、それがバイトがコーヒーの美味さを分からないとの事です
マスターさん苦労しそうですね……
話は戻しますが、私はその意識が戻る前にその不思議な体験をしました
私が交通事故から意識が戻る前、暗闇に居ました
いえ、「沈んで」いたました……『死』に向かって沈んでいたというのでしょうか……
意識を取り戻ず前、私は非常に危ない状態、つまり危篤、こうやって生きていること自体が奇跡的な状態だと言っていました
「店内の装飾も色々凝っていますね……」
ですがその暗闇の中で私はそこで『光』を見ましたその『光』の中に『人』がいました
その時見た光、そして人……今思い返しても、とても不思議な感覚です
そのことをクラスの友達に話しましたが、「そんな冗談」と一蹴されました
まあそうですよね……
「あつっ」
「大丈夫ですか?」
「あっ、いえ大丈夫です」
でも確かに居ました、確実に誰かいました
私の知らない誰かが居ました
ですが……知らないはずなのに……なぜか知っているような気がします
「ふぅ……落ち着きます……」
その人は私に何か語りかけていました
しかし、何を語りかけたのか全く思い出せません
姿や声、そもそも男性なのか女性なのかそれすら分かりません
人というシルエットだけがぼんやりと思い出すことができます
「すいません、会計を」
「へい、あちらへ」
何故かはわかりませんがその人が私を救ってくれた、命の恩人だと確信できます
私の目に光を……そして何より私の命に温かな光をくれた恩人
その人は必ずどこかに居ると確信できます
何故か分かりませんが絶対に私の近くに居ると思います
「あと10円……あったあった」
私は一生をかけてでもその人について全て思い出して必ず会うと決心しました
そして、一言だけでもいいので……
私の目と命に光を下さったその『誰か』へ……
「ありがとう」の気持ちを精一杯言葉で言いたいです
ガチャ
「コーヒー美味しかったです、ありがとうございました」
「……」
「ありがとうございました」
バタン
おわり
短めですがちょろっと挑戦してみた事もしました
今更ながらOVAのネタバレとか書かなくてもよかったのかなと
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