かばん「あめふり」 (27)

けものフレンズの百合 短いです
内容は次から

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サーバル「……」

かばん「……」

サーバル「……今日も雨だねー」

かばん「だねぇ……」

サーバル「これで何日目だっけ……?」

かばん「4日目、だったかな……」

サーバル「もー。こう雨ばっかりだと何もできないよー」

サーバル「せっかくとしょかんに来たのになぁ」

かばん「ボクも、最初はゆっくり本が読めると思ってたけど」

かばん「それが何日も続くと、ちょっとね……」

サーバル「さばんなはあんまり雨が降らないけど、こんなに続くのもなぁ……」

かばん「ここを出るのも雨が止んでからにした方がいいってラッキーさんも言ってたし……」

サーバル「そのボスはどこに行ったの?」

かばん「昨日まではあちこち歩き回ってたけど、今日はずっとすみっこでぼんやりしてるよ」

サーバル「ボスも雨ばっかりで嫌になったのかな」

かばん「そうかも。じめじめするし……」

サーバル「はー……。あれ、ここって上から外、見えなかったっけ?」

かばん「ボクもそう思って聞いてみたら、雨になったら覆いをするんだって」

サーバル「上に何かないと、中も濡れちゃうからねぇ」

かばん「博士たちも奥で本の整理をしてるみたいで……」

サーバル「なんにもやることがないね、私たち」

かばん「うん……」

サーバル「……ここだけじゃなくて、他のちほーも雨が降ってるのかな」

かばん「すぐ近くの平原は降ってそうだね」

サーバル「ヘラジカたち、大丈夫かな。へいげんって雨をしのげそうなところ、少ないから」

かばん「きっとライオンさんがお城に入れてあげてるから、大丈夫だよ」

サーバル「そっかぁ……」

サーバル「……ねぇ、かばんちゃん。こういう、雨の日でもできることって何かないかな?」

かばん「雨の日でもできること?」

サーバル「うん、外は雨で出られないから。何か知らない?」

かばん「えと、そうだなぁ……」

かばん「……ちょっと思いつかないかな。ごめんね」

サーバル「じゃあ、雨が止むまで待つしかないかぁ……」

かばん「……あ、トキさんみたいに何か歌を作ってみるとか」

サーバル「かばんちゃん、そんなこともできるの?」

かばん「ど、どうだろう。やってみないと何とも……」

サーバル「じゃあ、やってみてよ」

かばん「う、わかった……。えっと、雨、ざーざー……」

かばん「……あ、あーめあーめふーれふーれー」

サーバル「あ、何かいいかも。あーめあーめふーれふーれ」

かばん「あーめあーめふーれふーれー」

サーバル「……でもこれだと、もっと雨降っちゃいそうだよ」

かばん「あっ……」

サーバル「……あははっ。もー、かばんちゃんってばー」

かばん「ぼ、ボクも、歌ってから何だか変だって気づいて、ふふふっ」

サーバル「あははっ」

かばん「ふふ、ふふふっ」

サーバル「……はー。何だかおかしいね」

かばん「ふふっ。そうだね」

サーバル「明日も雨が降ったらかばんちゃんのせいなんだから」

かばん「もしそうなっちゃったら、ごめんね」

サーバル「……だけど、それもいいかも。ずっと、は困るけどもうちょっと雨降りでも」

かばん「あれ、でも雨は嫌いなんじゃ……」

サーバル「確かに外には出れないから、さっきまではそう思ってたんだけど……」

サーバル「今はそれもいいなって思うんだ」

かばん「サーバルちゃん……」

サーバル「……えへへ。何でかはよくわからないんだけどね」

かばん「そうなんだ……。よかった」

サーバル「かばんちゃん、ちょっと嬉しそう?」

かばん「ちょっとだけ」

サーバル「嬉しくなるようなこと、言ったかな」

かばん「大したことじゃないよ。ただ、サーバルちゃんが少しでも雨を好きになってくれたから」

かばん「雨が嫌いというわけじゃなかったけど、ボクも雨が好きになれたかな」

サーバル「だけど、そろそろ外で遊びたいなぁ」

かばん「じゃあ、一緒にてるてる坊主を作ろうよ」

サーバル「てるてる、何?」

かばん「晴れてほしいときはてるてる坊主って人形を作って吊るすって、本に書いてあったんだ」

サーバル「へぇー」

かばん「……晴れにできなかったときは首を切るんだったかな」

サーバル「こ、怖い!怖いよ!」

かばん「あはは、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」

サーバル「だってびっくりしたんだもん……」

かばん「ごめんね、サーバルちゃん」

サーバル「もう……」

かばん「せっかくだし、あとで一緒に作ってみようよ」

サーバル「晴れにできなくても首は切らないであげようね」

かばん「でも、何だかいいなぁ」

サーバル「いいって、何が?」

かばん「うーん。サーバルちゃんとこうしてることが、かな」

サーバル「私もだよ。私もかばんちゃんと一緒にいると、いい気持ちになるんだ」

サーバル「それがどうしてなのかはわからないけど、仲良くなれたからなのかも」

かばん「サーバルちゃん……」

サーバル「かばんちゃんと仲良くなって、これからもっと仲良くなれたら嬉しいな」

かばん「……実はね、今のてるてる坊主の他にもうひとつ、気になることがあるの」

サーバル「気になること?」

かばん「雨の多い時期だけ、好きな人と仲良くなれるおまじないみたいなものがあるんだって」

サーバル「へー。本ってそんなことも書いてあるんだね」

サーバル「やっぱりかばんちゃんはすごいなぁ。本の中身がわかるんだもん」

かばん「そ、そんなことないよ」

サーバル「かばんちゃんはそのおまじない、やってみたいの?」

かばん「できるならやってみたいけど……」

サーバル「けど?」

かばん「このおまじないの決まりで、やっていいのは1人とだけ、なんだ」

サーバル「そうなの?破るとどうなるんだろう」

かばん「何かよくないことになるんじゃないかなぁ……」

サーバル「破っちゃダメだから決まりになってるんだもんね」

かばん「……サーバルちゃん。サーバルちゃんは、ボクとおまじない、してくれる?」

サーバル「うんっ。もちろんだよっ」

かばん「い、いいの……?」

サーバル「いいけど、どうして?」

かばん「だって1人とだけってことは、ボクだけと……」

サーバル「私はそのつもりだよ。もちろん、他のみんなとも仲良くなりたいとは思うけど」

サーバル「1人だけって決まりなら、迷わずかばんちゃんを選ぶよ」

かばん「……嬉しいな。サーバルちゃんがボクだけを選んでくれて」

かばん「本当は少し自信がなかったんだ。1人って決まりがあるなら、断られるんじゃないかって」

サーバル「かばんちゃんが私ともっと仲良くなりたいって思ってくれてるんだもん。断るわけないよ」

サーバル「それに……」

かばん「それに、何?」

サーバル「あっ、ううん、何でも。それより、そのおまじない、やってみようよ」

かばん「そう、だね。本は持ってきてあるから、もう1回確かめるね」

かばん「……さっきも聞いたけど、本当にボクとでいいの?」

サーバル「私は、かばんちゃんとがいいな」

かばん「ありがとう……。じゃあ、始めるね」

サーバル「私はどうしたらいい?」

かばん「特別難しいことはないよ。ボクと同じようにしてくれたら大丈夫だから」

サーバル「うん、わかった」

かばん「じゃあ、行くよ。サーバルちゃん……」

かばん「……ボクは、サーバルちゃんといつまでも一緒にいることを誓います」

サーバル「な、何だか面と向かってそう言われると照れちゃうね」

かばん「次はサーバルちゃん、お願い」

サーバル「えーと、えーっと……」

かばん「サーバルちゃん?」

サーバル「……あ、ごめん。普段あんまり言わないことだから、どう言えばいいか考えてたの」

サーバル「私、これからもずっと、ずーっとかばんちゃんと一緒にいるね。約束だよっ」

かばん「ふふっ。サーバルちゃんらしい言い方だね」

サーバル「あんまり難しく考えるよりも、この方がいいかなって」

かばん「サーバルちゃんの気持ち、十分伝わったよ」

サーバル「この次は?」

かばん「えと、それから2人でちゅ……」

サーバル「ちゅ?」

かばん「な、何でもない。あとはこうして、小指を繋いでおしまいだよ」

サーバル「これでおしまい?」

かばん「う、うん。そうだけど……」

サーバル「そっかぁ。何か違うような気がしたけど、気のせいかな」

かばん「そ、そうだと思うよ」

サーバル「……でも、これでまたかばんちゃんと仲良くなれた気がするよ」

かばん「あはは……」

サーバル「かばんちゃんは、どう?」

かばん「……ボクもサーバルちゃんのこと、もっと好きになったかな」

サーバル「よかったー。このおまじない、ほんとなんだね」

サーバル「私たち、これからもっと仲良くなろうねっ」

かばん「……あ、サーバルちゃん。雨、上がったみたい」

サーバル「わ、かばんちゃん!あれ、あそこにあるの、何!?」

かばん「あれは虹だね。雨上がりになるとできるんだ」

サーバル「かばんちゃん、雨も止んだし近くまで行ってみようよ!」

かばん「でも、あれは近づいても……」

サーバル「いいからいいから!ほら、行くよっ!」

かばん「ちょっ、サーバルちゃんっ!」

かばん(仲良くなるためのおまじないってことにしちゃったけど)

かばん(本当は好きな人と一緒になるためのもの、なんだよね……)

かばん(雨の時期にこれをすると、ずっと一緒にいられるって本に書いてあったから……)

かばん(だけどサーバルちゃんに何も言わないまましたらダメ、だよね)

かばん(……ボクはサーバルちゃんが、好き。単なる仲良しと感じるよりも、もっと)

サーバル「あれ……?かばんちゃん、顔が赤くなってるけど、大丈夫?」

かばん「うん、平気。ありがとう」

サーバル「そう?よかったー」

かばん(今はまだ、本当のことを言う勇気がないけれど)

かばん(いつか、そのときが来たら必ず伝えるから。サーバルちゃんのことが、好きだって)

かばん「……行こう、サーバルちゃん!あの虹のところまで!」

サーバル「おーっ!」

かばん(サーバルちゃんが好きと言って、ごまかした続きをして。サーバルちゃんと1番仲良くなりたい)

かばん(だから、それまで少しだけ待っててね。サーバルちゃん)

これでおしまいです。特に繋がってない前作
かばん「とりかえっこ」
かばん「とりかえっこ」 - SSまとめ速報
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けもレズ百合SSふえろ

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