【モバマス】 奥さんは元陶芸アイドル (34)



【ふたりの部屋】


肇「Pさん、お皿洗い終わりました」


P「お疲れ肇。ありがとうな」


肇「いえ。お昼ご飯を作ってくれましたから」


P「生姜焼きなんて大した料理じゃないよ。肇の料理の方がずっと美味い」


肇「そんな事ありませんよ。とっても美味しくいただきました」


P「まあ、愛情こめて作ったからな」

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肇「…」


P「…恥ずかしいからなんか言ってくれよ」


肇「あ、すみません。くすっ…」


P「笑うなよー…」


肇「ふふ、違うんです。おかしくて笑ったのではなくて、嬉しいなあって」


P「…そっか」


肇「夜は私が愛情こめて作りますからね?」


P「…楽しみにしてます」


肇「楽しみにしてて下さい♪ …あ、そうだ、Pさんにお土産です」


P「俺に?」


肇「えっと……あ、あった。はい、どうぞPさん」


P「これは…新しい湯呑みか」


肇「陶芸教室のお手本で作ったんですけど、思いの外いい出来だったので良かったら」


P「ああ、ありがたく使わせてもらうよ。肇、ちょっと近くでよく見せてくれないか?」


肇「? いいですよ」スタスタ


P「そりゃ」グイッ


肇「きゃっ」


P「んー…確かに、これはいい湯呑みだな…」ギュウウウ


肇「…もう、私じゃなくて湯呑みを見て下さいよ」


P「肇は見なくていいのか?」


肇「…湯呑みは後で見て下さい」


P「了解……肇」


肇「ん…」


P「…」


肇「…」


P「…ふう」


肇「…もう、まだお昼なのに」


P「最近忙しかったからさ。肇が不足してるんだよ」


肇「…そうですか。それなら補充しないといけませんね」


P「そうだろ?」


肇「そうですね」


P「肇、やっぱり美人だなあ。こんな綺麗な先生に陶芸を教えてもらえる子どもたちが羨ましいよ」


肇「ふふ、みんな素直でとっても可愛いです。それに…」


P「それに?」


肇「子どもたちの親御さんが、元々私のファンで、陶芸に興味を持ったという方が多くて…私がアイドルとして頑張ってた甲斐もあったのかな、なんて」


P「あー…そっか、特に若い親御さんだと世代だもんな……ん?」


肇「どうしました?」


P「…その親御さんって、お父さんもいるの?」


肇「ええ。お父さん連れの子とお母さん連れの子、半々くらいですね。もちろん全員が私のファンというわけではないですが…」


P「…」


肇「どうしました?」


P「…サインとか握手とか、求められたりする?」


肇「え、ええ。たまに…応じてはダメでしたか?」


P「いや、そうじゃないんだけどさ…」


肇「?」


P「 …肇に下心ある人とか、いない?」


肇「え?」


P「だって、こんな美人の、しかも元アイドルがボランティアで教える陶芸教室だぞ? ひっそりとした活動だけど中には肇に手を出そうとして近づくヤツもいるかも…」


肇「あー…そんな方はいませんよ。子どもたち向けの陶芸教室ですし。その子たちの付き添いの方しかいないんですから」


P「でもさあ…」


肇「ふふ、心配してくれるんですね」


P「当たり前だろ? 奥さんなんだから! …お父さんのフリして様子見に行こうかな…」


肇「もう、そんな事しなくても大丈夫ですよ」


P「でもさあ…」


肇「Pさん」ギュウ


P「肇?」


肇「大丈夫。信じて下さい。私は、あなたの妻なんですから」


P「…うん」


肇「それに、工房の方も付き添ってくれていますし、何より私のファンの方がみなさん礼儀正しいのはPさんも知っているじゃないですか」


P「…うん」


肇「私はアイドルを引退しても、ファンの方を信じているんですよ。いくらPさんでも私のファンの方を疑ったりしてはダメですよ。それは…許しません」


P「……ごめん」


肇「わかればよろしい。でも…私の事を大切に思ってくれているのはとっても嬉しいです。ありがとうございます」ナデナデ


P「ん…」


肇「ふふ、Pさんったら、心配性なんですから」


P「肇の事なんだから当たり前だろ。愛してるよ…」


肇「私も、愛してますよ。心から」


P「はー…いい女だな、肇。本当に。結婚しない?」


肇「ふふ、もうしてるじゃないですか」


P「あ、そうだった……幸せだなー…」ギュウウウ


肇「私もですよー…」


P「…肇の大ファンだった子が事務所にいるって前に話したじゃん」


肇「ああ、最近テレビでも見かけるようになってきましたね」


P「うん。それでその子によく聞かれるんだよ。「肇さんってお家だとどんな感じなんですか!?」って」


肇「なんだか恥ずかしいですね…」


P「思いっきり自慢してる」


肇「もう」


P「「あの藤原肇ちゃんが家に帰ったら待っててくれるんですよね!? いいなー!」って言われたから言ってやったよ」


肇「なんてですか?」


P「「羨ましいだろ。でも、もう藤原じゃないんだぞ」って」


肇「うわあ…」


P「うわあってなんだよ」


肇「それはちょっと、大人気ないというか…」


P「えー、肇の自慢してるのに?」


肇「恥ずかしいですよ…」


P「そうかなあ…肇は俺の自慢とかしないの?」


肇「うーん…」


P「え、しないの?」


肇「私はあまり…」


P「えー…」


肇「…でも」


P「ん?」


肇「たまに「Pさんって優しくて素敵な人だよね」って言われると…心の中でちょっと、「えっへん」みたいな気持ちになりますね」


P「…嬉しいな、それは」


肇「…私の自慢の旦那さんですから」


P「というか、俺の事そんな風に言ってくれる子いるの?」


肇「Pさん、結構モテるんですよ」


P「え、初耳」


肇「恋愛感情ではなくてお兄さんに対するようなものなのでしょうけれど」


P「なんだ…」


肇「…恋愛感情であって欲しかったですか?」


P「別に? 肇がいてくれればそれで」


肇「そうでしょう? 私もライバルが多いのは困りますから」


P「困るのか?」


肇「んー…よくよく考えたらPさんは私一筋ですからそんなに困りませんね」


P「…」


肇「…」


P「「Pさんは私一筋」か…」


肇「…」


P「…肇。顔、赤いぞ」


肇「…うるさいです」


P「言った後に恥ずかしくなっちゃった?」


肇「うるさいです!」


P「肇、真っ赤な顔見せてくれよー」


肇「いーやーでーすー!」


P「はじめー?」スッ


肇「んっ!」パシッ


P(拗ねた…可愛いなあ)


肇「…」


P「んー…じゃあいいや。代わりに他の可愛い子の写真でも見てよう」


肇(え…?)


P「肇も可愛いけど顔見せてくれないからなー」


肇(他の可愛い子って、え…?)


P「あー…可愛いなー…もふもふしたい」


肇(もふもふ!?)


P「ふわふわしてて柔らかそうだなー…」


肇(そんな、一体どこの…!)ガバッ


肇「……聖來さん?」


P「お、気になったか?」


肇「あれだけ聞こえよがしに言っていたら…それより、Pさんは聖來のような方が好みなのですか?」


P「んー、セーラも可愛いけど、俺が言ってたのはこっち」


肇「こっち……わんこ?」


P「そ。わんこ。可愛いよなー、もふもふしたくなる」


肇「…」


P「はは、やっぱり引っかかったな?」


肇「…」プクー


P「また拗ねるのか?」


肇「いじわる…」


P「俺は素直な子が好きだなー?」


肇「…知りません」


P「ふーん、じゃあまたわんこの写真を見てよう。最近会えてなくて寂し…ん?」


肇「…」キュッ


P「…肇さん、袖を掴んでどうしたのかな?」


肇「わんこも可愛いですけど…せっかくの夫婦水入らずなんですから…もっと私に、構って下さい…」


P「どうしようかなー、今心にわんこが不足してるんだよなー」


肇「Pさん…!」


P「…肇」


肇「はい?」


P「「わん」って言って?」


肇「え?」


P「「ご主人様に構って欲しいわん」って言ってくれたら、肇を思いっきり可愛がる」


肇「そ、そんな事…!」


P「んー?」


肇「…いじわる! いじわる! ……1回だけ、ですからね」


P「うん」


肇「……ご、ご主人様に……構って欲しい……わん」


P「肇ー!」ガバッ


肇「きゃっ!?」


P「ほんっとうに、肇はいじらしくて可愛いなあ! 愛してるぞー!」ワシャワシャ


肇「ああっ、髪がぐしゃぐしゃに…」


P「ほーら、お手!」


肇「調子に乗らないの!」


P「肇わんこは可愛いなあ」ギュウウウ


肇「あははっ! お腹くすぐらないで…!」


P「あー…可愛い」


肇「はー…はー…もう、しょうがない人ですね…」


P「肇が可愛いから仕方がない」


肇「私のせいにしないで下さい…甘えん坊なんだから」


P「肇も俺に甘えていいぞ?」


肇「…昔から、たくさん甘えさせてもらってますよ」


P「まあまあ、遠慮なく」


肇「……それなら、アイス、食べさせて。暑いです」


P「ん、わかった」ワシャワシャ


肇「わあ、だから、頭が、揺れて〜…」


P「俺が頭を撫でると完全に脱力してぐわんぐわん揺れてくれるのってわんこっぽいよな」


肇「私は目が回ってくわんくわんしてます…この前のお風呂上がりも…」


P「あー、ごめんごめん」


肇「もっと反省の色を…」


P「アイス食べさせてあげるから」


肇「…なら、早く」


P「ん。わかった」スタスタ


肇「…私もPさんに弱いなあ」


P「あ、肇。食材全然ないや」


肇「後で買い物に行きましょうか。今日は…肉じゃがとかどうですか?」


P「あー、いいな。じゃ、スーパー行くか」


肇「ええ」


P「ほら、アイス持ってきたぞ」スタスタ


肇「ありがとうございます」


P「はい、あーん」


肇「あーん…」


P「美味しい?」


肇「はい。やっぱり夏はアイスですね」


P「ほら、肇も。食べさせて」


肇「ふふ、はいはい。あーん…」


P「あーん…んー、冷たくて美味しいな」


肇「Pさん、子どもみたいですね」


P「肇にだけだよ」


肇「ふふ、そうですか」


P「あ、あと早速湯呑み使わせてもらったよ。麦茶飲むか?」


肇「はい、いただきます」


P「…自分で作った湯呑みで飲むと、やっぱり美味しく感じるものなのかな」


肇「ええ、そうですね…あ、そうだ」


P「?」


肇「Pさん、今度ふたりでー」



肇「ー夫婦茶碗、作りませんか?」


P「流石、元陶芸アイドル」


肇ちゃんの声、もう少しで聞けるのでしょうか。楽しみですね…!

それでは今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。


よろしければこの前書いたこちらも。肇ちゃんの片思い時代の話

藤原肇「いつかあなたが良き人に」
藤原肇「いつかあなたが良き人に」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497453193/)

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