何となく、な恋の話続き
前作
元カノは高垣楓さん
元カノは高垣楓さん - SSまとめ速報
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ザアアアアア…
楓「わー…凄い雨ですねー…」
P「びしょ濡れになっちゃいましたね…」
楓「温泉に入ったのに体がすっかり冷えちゃいました。というわけで、暖をとりましょう。なので…」
P「そりゃ」ポフ
楓「わっ! …タオル?」
P「山は天気が変わりやすいって言いますからね。こんな事もあるかと。さあ、風邪ひいちゃいますよ」ワシャワシャ
楓「…私は、くっついて暖をとりましょうと…」
P「…それでも、濡れたまんまじゃ意味がないでしょう」
楓「 …という事は、くっつくのはいいんですか?」
P「…まあ、そうですね」
楓「私とくっつきたい?」
P「…はい」
楓「もうっ、Pさん可愛い♪」ガバッ
P「うわっ、ちょっと、楓さん」
楓「はーい、ふきふきしましょうねー♪」ワシャワシャ
P「子どもじゃないんだから…」
楓「ふふ♪ …さ、これでよし、と…Pさん?」
P「…かしこまりました」ギュッ
楓「んふふー…幸せ…」
P「…楓さん」
楓「? んんっ…」
P「……」
楓「……」
P「…ふぅ」
楓「Pさん…大胆ですね…」
P「楓さんにリードされてばかりじゃないんですよ、俺も」
楓「そうですか…」
P「あ。楓さん、顔赤い」
楓「これは…お酒です」
P「飲んでないのに酔えるんですか楓さんは。すごいですね」
楓「…いじわる」
P「可愛いな、楓さんは…」ナデナデ
楓「…むぅ」
P「はは、拗ねてるんですか?」
楓「だって…昔お付き合いをしていた時はもっとウブだったのに…」
P「それを言うなら楓さんこそ」
楓「成長したんですねえ…」
P「お互いに、ね」
楓「…」
P「どうしました?」
楓「…あの、前から聞きたかったんですけど」
P「何でしょう」
楓「Pさん、私と別れてからどなたかとお付き合いしました?」
P「え?」
楓「だって…たった2年会わなかっただけで、随分女性慣れしていたんですもん…」
P「女性慣れって。そりゃまあ、アイドルのプロデューサーですし…ちなみに、楓さんと別れてから付き合った人はいませんよ」
楓「…ふーん…そうなんだ…」
P「ホッとしました?」
楓「別にー?」
P「ふーん…ちなみに、楓さんは俺と別れてから?」
楓「…いませんよ」
P「俺が忘れられなかった?」
楓「…自惚れ屋さんですね」
P「あはは…」
楓「Pさんこそ、私が忘れられなかったのですか?」
P「さあ? …何となく、他の人と付き合おうと思わなかっただけです」
楓「それなら私も、何となくです」
P「何となく、ね」
楓「何となく、ですね」
P「…でも」
楓「?」
P「今だから言うんですけど、この仕事を選んだのは、芸能界に携わる仕事をすればまた楓さんに会えるんじゃないかと思ったのは、ちょっとありますね」
楓「…へえ」
P「楓さんは?」
楓「…実は私も、社長にスカウトされた時、アイドルになろうと思ったのは、またPさんに会えるかなってちょっと思ったからだったり」
P「…へえ」
楓「…えへへ」
P「可愛い」
楓「Pさんこそ…私の事大好きですね」
P「ええ。ずっと」
楓「それなのに、私を今カノにはしてくれないんですか?」
P「したいですけど…あなたはアイドルですから」
楓「私を今カノにしてくれんかの?」
P「あ、ちょっと面白い。でも、ダメ」
楓「不可能?」
P「まさかの天丼。でも、ダメ」
楓「キスはしてるのに?」
P「キスは、禁止したのに楓さんがしてくるから俺もいいかなって…でも、それ以上はしていないでしょう? 」
楓「したくない、ですか?」
P「そんなわけないでしょう…いつも必死に理性を保ってます」
楓「…ここは田舎の無人駅、しかも私たちふたりきり、さらに電車が来るまで1時間ありますが」
P「…ダメ」
楓「あら」
P「きっと抑えきれなくなるから…これ以上は、ダメです」
楓「…確認ですが、私に魅力を感じていないわけではないんですよ…ね?」
P「…当たり前でしょう。楓さんは魅力的です。出会った時からずっと」
楓「ふふ、嬉しい」
P「結婚したら覚悟して下さいね。我慢しませんから」
楓「まあ、怖い……たくさん愛して下さいね?」
P「ええ、勿論。世界中の誰よりもあなたを幸せにしてみせます」
楓「ふふ、私をトップアイドルにまで導いてくれた方ですもの。信じていますよ」
P「ええ。任せて下さい」
楓「…Pさん、かっこよくなりましたね」
P「大学時代はかっこよくなかったですか?」
楓「そんな事はないですけど、どちらかと言えば可愛い人って印象でしたから。本当、変わりましたねPさん」
P「そうかなあ…」
楓「ふふ、そうですよ」
P「俺以上に、楓さんの方こそ変わった気が…」
楓「そうですか?」
P「そうですよ。久しぶりに会った時は同姓同名の別人かと思いましたよ」
楓「そんなに?」
P「そんなに」
楓「うーん…確かにあの頃より変わったとは思いますけど、そんなにかなあ…」
P「自覚なしですか」
楓「…あ、それじゃ、再現してみます?」
P「再現って、あの頃を?」
楓「ええ。お付き合いしていた頃の私たち」
P「俺、演技なんて出来ないですよ」
楓「昔を思い出してみればいいんですよ。電車が来るまで暇ですし、ちょっと遊びましょうよ。ほら、ちょうど今くらいの時期に温泉に行ったじゃないですか」
P「あー…そういえば、旅館に1泊しましたね」
楓「あ、覚えてました?」
P「ええ。親には付き合ってる事を照れくさくて言ってなかったから、友だちと旅行するって嘘ついて…」
楓「ふふ、私もです。でも、彼氏さんができたなんて言っても信じてもらえなかっただろうなあ…」
P「思い出しました。同じ部屋に泊まって、その夜ですよ」
楓「そうそう。お話ししているうちに結構いいムードになって、ふたりで同じ布団に入って」
P「抱き合って、いよいよそういう雰囲気になったけどふたりとも緊張しちゃって」
楓「気づいたらそのままふたりとも寝ちゃって、朝になってたんですよね」
P「あの日の朝はヘコんだなあ…」
楓「Pさん、相当落ち込んでましたね…」
P「そりゃそうですよ。男としてそれはね…」
楓「では、今ここがあの日の帰り道の駅だと仮定しましょうか」
P「何故俺の苦い思い出を…それに、あの時の俺には今みたいに楓さんの肩を抱き寄せたりできませんよ」
楓「そこはまあ、あくまでも仮定の話ですから。はい、よーいスタート!」
P「……えーと……楓さん?」
楓「…」
P「楓さん?」
楓「あ…はい、何ですか、Pさん」
P「お…温泉、気持ち良かったですね」
楓「ええ…とっても」
P「料理も美味しかったし…」
楓「それに、景色も綺麗でしたね…」
P「…」
楓「…? どうしました、Pさん?」
P「あ…その…綺麗だなって」
楓「ええ。本当に…」
P「いや、その、楓さんが…」
楓「え…」
P「あ、あはは…」
楓「…ごめんなさい」
P「え」
楓「びっくりしちゃって、どんな顔をしていいか、わからなくて…でも、Pさんにそう言ってもらえてとっても嬉しいです。ありがとうございます」
P「ど、どういたしまして…」
楓「ふふ…♪」
P(ま…まずい。確かに昔の楓さんはこんな感じだったけど、今の楓さんがやると色気が凄い…!)
楓「…Pさん」スリスリ
P「(うわ、やっぱり楓さん、めちゃめちゃいい香りがする…!)な、何でしょうか?」
楓「…好きです」
P「…俺も、好きです」
楓「…昨日は、ごめんなさい」
P「き、昨日?」
楓「ほら、いい雰囲気だったのに、私、寝ちゃって…」
P「あ、その事ですか…えっと、俺の方こそ、ごめんなさい」
楓「決して、Pさんとするが嫌だとか、そんなんじゃないんです。でも、はじめてだから、まだ少し怖くて…」
P「…仕方ないですよ」
楓「…でも、Pさんに抱きしめられている時、とっても安心しました。それと…幸せでした」
P「楓さん…」
楓「それで寝ちゃダメだろって話ですけどね…」
P「いや、そんな…俺の方こそ、楓さんを抱きしめてると、幸せで、心地よくて…それで寝ちゃって…」
楓「…くすっ、可愛いですね」
P「楓さんこそ…」
楓「…ありがとうございます、Pさん」
P「…はい」
楓「…Pさん」
P「え?」
楓「ん…」
P「あ…」
楓「……」
P「……」
楓「ぷはっ……ちょっと、大胆でしたね」
P「…そうかもしれませんね」
楓「この自然を前にして、いつもより解放された気持ちになっているのかも…」
P「楓さん…」
楓「…Pさん」
P「…はい」
楓「…今ここは、誰もいない、ふたりきりの田舎の無人駅。それに、電車が来るまで時間があります。だからー」
楓「ー昨日の夜の続き、しませんか?」
P「…楓さん」
楓「…Pさん」
P「そりゃっ」ペシッ
楓「痛いっ!?」
P「まーたそういう流れに持ってこうとする。油断も隙もないんだから」
楓「すきはありますよ? ほら…」
P「はいストップ。そうやってまたキスしようとするんでしょう。「好きあり」だの「キスあり」だのって」
楓「…この前はこれでいいムードになってくれたのにー!」
P「今回は流れでキス以上までいこうとしてたでしょう!? 結婚するまでダメ! めっ!」
楓「Pさんは私にむらむらするんじゃないんですかー!」
P「アイドルがむらむらとか言わない!」
楓「頑張って誘惑したのに! Pさんは私を何だと思ってるんですか!」
P「25歳児のダジャレとお酒のお姉さん」
楓「ひどいっ!?」
P「あ、間違えました。今日が誕生日だからもう26歳児でしたね。おめでとうございます」
楓「ありがとうございます! でも、こんな祝い方って! 思い出したみたいに!」
P「もういいでしょう楓さん。さ、離れてください」グイグイ
楓「くっつくのもダメなんですか!?」
P「ほら、俺たち見られてますよ。もしかしたらマスコミかも」
楓「え!? …って、タヌキじゃないですか! 確かにこっちを見てますけど!」
P「可愛いでしょう?」
楓「可愛いですけど!」
P「はいはーい、楓ちゃん、落ち着きましょうねー…なでなでなで」ナデナデ
楓「それ、私が酔っ払って志希ちゃんにした真似ですか!? やめて下さい! なんか腹立たしいです!」
P「楓さんも変わったなあ。大声でツッコミをする楓さんなんて、あの頃の俺だったら信じられないですよ」
楓「誰のせいでツッコミをするはめになったと…」
P「そんな楓さんも可愛いですよ」
楓「もう…言葉が軽いなあ…Pさんはさっきみたいにもっと私にドキドキしてくれてもいいです」
P「さっき?」
楓「再現してる時…私にすごーくときめいてくれてるんだなーって思って、こっちもドキドキしてたのに…」
P「あ」
楓「演技じゃなくて、本心からもっと私にときめいてくれても…」
P「…あー…いやー…」
楓「…Pさん?」
P「そのー…あれは、演技じゃなかったかな、なんて…」
楓「え…それじゃあ、本当に私にドキドキしてくれていたんですか?」
P「まあ……はい」
楓「…」
P「…」
楓「…Pさんっ」ギュウウウ
P「わっ」
楓「もうっ、あんまりいじわるしないで下さい。自信、無くしちゃいます」
P「…ごめんなさい」
楓「…今の私より、昔の私の方がいいですか?」
P「そういうわけでは…ただちょっと、しおらしい楓さんの色気にやられてしまったと言うか…」
楓「昔の私め…」
P「昔の自分に嫉妬しないの。今の楓さんだから出せた色気でしたよ」
楓「えー…でも、Pさんは今の私を26歳児のダジャレとお酒のお姉さんだと思ってるんでしょう?」
P「はい」
楓「即答…」
P「でも、素敵です。大好きです」
楓「…26歳児のダジャレとお酒のお姉さんでも?」
P「26歳児のダジャレとお酒のお姉さんでもです。俺は今の楓さんとこうしてデートして、笑いあって、たまにケンカしたりするのが好きですよ」
楓「…本当?」
P「本当です。楓さんは今の俺より、昔の俺の方が好きですか?」
楓「…私も、今のPさんが好きです。ちょっと、いじわるな人ですけど」
P「…ごめんなさい」
楓「許してあげます……惚れた弱み、ですね。Pさんとケンカしても、「好き」って言われるだけで許せちゃいます…私の弱点ですね」
P「隙あり、ですね。好きだけに」
楓「あ、私のネタを!」
P「楓さんのネタは俺のネタです」
楓「ずるいずるい!」
P「いいでしょう。だって、いずれは夫婦になるんですから」
楓「! …ずるいです」
P「あ…電車、来ましたね」
楓「…ずるい」
P「拗ねないでくださいよ」
楓「誰のせいだと…」
P「さ、乗りますよ楓さん」
楓「つーん…」
P「ほら準備して。このままだと遅れちゃうかもしれないし」
楓「遅れる…?」
P「…実は今日の19時、ディナーの予約をしています」
楓「え…!?」
P「シンデレラガールのお祝いと、誕生日祝いを兼ねて…知り合いの店に頼んで、楓さんの好きなお酒と料理のフルコースです」
楓「ほ、本当ですか? 」
P「ええ。大好きな楓さんの誕生日。日帰り温泉だけでは終わらせてあげませんよ?」
楓「だから今日は温泉でお酒をたくさん飲んじゃダメって…てっきりまたPさんのいじわるかと…」
P「そんなわけないでしょう。今日は楓さんと話したい事、まだまだたくさん、たくさんあります…美味しいお酒と料理を楽しみながら。付き合ってくれますか?」
楓「…当たり前じゃないですか」
P「よかった…さ、じゃあ、立って下さい。手を貸しますから……楓さん」
楓「よいしょ……はい?」
P「…これからも、ずっと愛しています」
楓「…私もです♪」
ハッピーバースデー、高垣楓さん
楓さん大好き!めでてえ!の一心で書いた元カノ楓さんの続きでした。甘さ増量。
念願のシンデレラガールにもなり、これからもさらに素敵になった楓さんを見せてほしいです。
そして明日は担当でもある肇ちゃんの誕生日記念SSを投稿するのでそちらもよろしくです。
それでは今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。
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