生徒たち「キャー」「誰か助けてー」「うぅ……死にたくないぃ……」
テロリスト隊長「全員動くな! おとなしくしていれば殺しはしない。お前たちは大事な人質だからな」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496929517
俺「ま、待ってくれ!」
テロリスト隊長「何だ?」
俺「人質なら俺一人で充分だろ? 他のみんなは解放してやってくれないか」
テロリストA「どうします?」
テロリスト隊長「まあいいだろう。人質は多すぎても管理が大変なだけだからな。お前の勇気に免じて他の奴らは解放してやろう。さっさと出ていけ!」
生徒たち「助かった……!」「待て押すな!」「おい何してる早く出ろ死ぬ」
テロリスト隊長「A、お前は俺とここに残れ。BCDは各階にいる奴らを解放してやれ」
テロリストBCD「はっ」
テロリスト隊長「さて、残る人質はお前だけだ。お前が生きるも死ぬも、この国の政府次第だって訳だ」
俺「……」
テロリスト隊長「どうした、さっきの威勢はどこへ行った」
俺「なあ……その銃で俺を殺してくれないか」
テロリスト隊長「何言ってるんだ? さっきも言っただろ。大事な人質を殺しちまったら意味ねえだろうが」
俺「俺は……生きていてもしょうがないんだ……」
俺「楽しいことなんて全くないし、むしろ苦しいだけだ……」
俺「かと言って自殺するほど死にたいわけでもないんだ……」
テロリストA「……」
俺「なあ頼む……それで俺の頭を撃ち抜いてくれ。簡単だろ? それで俺は幸せに終われるんだ……」
テロリスト隊長「……お前の事情は知らんが、今はできない。政府の回答によってはそうすることになるかもしれんから、せいぜい祈ってるんだな」
俺「……」
テロリストB「報告します、1階の人質解放が終わりました」
テロリストC「同じく2階の人質も解放完了です」
テロリストD「3階も完了しました」
テロリスト隊長「よし、じゃあこれから俺は政府との交渉に入る。お前たちは……」
俺「うおおおおおおお」ダッ
テロリスト達「!?」
テロリストA「なんだこいつ……! おい来るな止まれ!」バババババ
俺「ぉ……」ドサッ
俺「」
テロリスト隊長「おい、殺したのか」
テロリストA「す、すみません……! こいつがいきなり突っ込んできたもんで……」
テロリスト隊長「まさかこいつ、殺してもらうためにわざとそうしたんじゃねえだろうな……」
テロリストA「……」
テロリスト隊長「まあいい、唯一の人質がいなくなっちまったんだ。作戦は失敗、ずらかるぞ」
テロリストBCD「はっ」
俺「」
テロリストA「……」
テロリスト隊長「おい何してる、早く行くぞ」
テロリストA「はい……それにしてもこいつの死顔、なんか幸せそうに見えるなあって。結局俺たちはこいつの願いを叶えちまったわけですし……」
テロリスト隊長「……くだらねえ、こいつは死んだんだ。死んじまったら終わりじゃねえか。俺たちみたいに汚いことしてでもしぶとく、結果的に生きてるやつが勝ちなんだよ」
テロリストA「そうでしょうか……俺思うんです、この国に安楽死っていうシステムがあったらいいんじゃないかって」
テロリスト隊長「安楽死だぁ?」
テロリストA「ええ、それも本人の同意さえあれば、誰にでも適用できるって条件で」
テロリストA「そうすればこいつみたいな奴らが、自分の意思で、死にたいときに死ねるじゃないですか。自殺と違って他人に迷惑をかけずに」
テロリスト隊長「そんなのがありになっちまったら、この国の人口はどんどん減っちまうんじゃねえか?」
テロリストA「いいんじゃないですか別に。苦しみながら生きてる奴らを頭数に入れた人口なんて、何の意味もないんじゃないですかね」
テロリストA「それに隊長知ってます? 赤ちゃんが生まれた瞬間に泣くのって、この苦しみだらけの腐った世界に生まれてしまって悲しいからだ。っていう説もあるらしいですよ」
テロリスト隊長「……馬鹿馬鹿しい説だな。第一、生きてる俺たちは死んだ後の世界を知らねえだろうが。もしかしたら死んだらここよりももっと苦しい世界に飛ばされちまうのかもしれねえぞ」
テロリストA「……それもそうですね」
テロリスト隊長「無駄話は終わりだ。さっさとずらかるぞ。C4爆弾を設置してな」
テロリストA「ここも壊すんですか?」
テロリスト隊長「俺たちがここにいた証拠を完全に消さないといけねえしな。それにここにいるのは俺たちと、こいつの死体だけだ。ためらうことはねえ」
テロリストA「……わかりました」C4カチッ
テロリスト隊長「よし、全員撤退」
テロリストABCD「はっ」
俺「」
C4タイマー「10・9・8・7・6」
俺「」
C4タイマー「5・4・3・2・1・0
終わりです
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません