千川ちひろ「残業代……?なんですかそれは」 (30)


オチ弱ののんびりssです。

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千川ちひろ「占い......?」 - SSまとめ速報
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P「いえ、あの……ここの事務所ってタイムカードとかないから、残業代の計算とかどうなってるのかなーって……」

ちひろ「……ちなみに、プロデューサーさんが定時以降にしていることってなんですか?」

P「そうですね、アイドルの子たちの送り迎えとか、ご両親への挨拶とかですかね」

ちひろ「……つまりそれは業務であり、仕方なくやっていると」

P「え、いや、そんなことは…………」

ちひろ「まぁ……そうですよね……美嘉ちゃん莉嘉ちゃんのお家に晩御飯お呼ばれされたり、みりあちゃんに頼まれてゲームセンターでプリクラ撮ったり、大変ですよねぇ……」

P「な、なぜそれを…………」



ちひろ「私は別にそれが悪いと言っている訳ではありませんよ?」

P「えっ?」

ちひろ「アイドルたちのモチベーション管理もプロデューサーの仕事だと思いますし、それに給料が支払われるのも当然だと思います」

P「ちひろさん……!」

ちひろ「でも私は同時に思うんです。給料が支払われることによって、プロデューサーさんがプレッシャーを感じてしまうのではないかと」

P「……?」

ちひろ「例えば、美嘉ちゃん莉嘉ちゃんのお家に行った時、もし残業代が出る時間だったら遠慮してお呼ばれしなかったのではないですか……?」

P「………でも…」

ちひろ「みりあちゃんにお願いされた時も、なんやかんやと理由をつけて行かなかったのではないですか……?」

P「………………」

ちひろ「まして、楓さんとお家で飲んだりなんt…」

P「わーー!!わーー!!!そうですね!!ちひろさんの言う通りです!!!!」

ちひろ「ご理解いただけてよかったです」ニッコリ

P「…………」

ちひろ「……何か問題が?」

P「…………ちーちゃん」ボソッ

ちひろ「なんですか?もっと仕事がしたいですか?仕方がないですね」ドサッ

P「」

ちひろ「頑張りましょうねっ♪」

P「」


P「」


このあと滅茶苦茶残業した。



ちひろ「プロデューサーさん、何ですかこの領収書の束は!」

P「すみません…いつかまとめて申請しようとしてそのままで……」

ちひろ「もうっ、確かにちょっとしたお菓子や飲み物は経費として申請してもいいですけど、100円200円の買い物で毎回領収書をもらっているからそうなるんですよ」

P「うぅ…返す言葉もありません………」

ちひろ「お菓子とかは特に箱でまとめ買いした方がお得ですし、杏ちゃんが好きな飴とかは買っておいて損はないと思いますよ?」

P「確かに……さすがちひろさん、お金についてはしっかりしてますね」

ちひろ「……なんですか、まるで私がケチんぼでお金にがめついみたいじゃないですか」

P「そ、そんなことはないですよ??ほら、ちひろさんにだったら家計も任せられるなーって」

ちひろ「そ、そうですか?」

P「そう言えば、ちひろさんってお金を何に使ってるんですか?」

ちひろ「そうですね……そう言えばあまり使っていないかもしれません」

P「洋服だったり、アクセサリーを買ったりとかはしないんですか?」

ちひろ「うーん、コスプレの衣装を買ったりはしますけど、アクセサリーとかはあんまり買わないかもしれませんね……欲しいなーと思うことはあるんですけど、悩んでるうちにお金がもったいない気がしちゃって……」

P「なるほど……」

ちひろ「……??」


ー数日後ー


ガチャ


ちひろ「あ、奏ちゃん、おかえりなさい」

奏「ただいま…今日は暑いわね」パタパタ

ちひろ「そうでね、私も今日はネクタイ外してクールビズっぽい感じにしちゃってます」

奏「そうよね、あまり冷房はつけたくないし…………あら?」

ちひろ「どうしました?」

奏「……ふふっ、ちひろさん、いいネックレスね?」

ちひろ「え、あっ……」

奏「いい人からのプレゼントかしら?」

ちひろ「そ、そんなことないですよ…」

奏「あら、そうなの?……首輪をつけて所有を主張するのがあの人の常套手段なのだと思ったけれど……?」チラッ

ちひろ「奏ちゃん……そのネックレス……」

奏「似合ってるかしら……?」

ちひろ「えぇ……とっても…………」



奏「………………ふふっ、冗談よ、これは自分で買ったの」

ちひろ「えっ?」

奏「羨ましかったからちょっとからかってみただけよ、だからそんなに悲しそうな顔をしないで」

ちひろ「別に悲しそうな顔なんてしてませんもんっ」

奏「もう、怒らないでよ……プロデューサーが私たちにアクセサリーを買ってくれることなんて絶対ないのよ?」

ちひろ「そうなんですか?」

奏「そうよ、くれるのはいつも形が残らないものばかり……そのくせ、心にはしっかり残るのだから罪な人よね」

ちひろ「……ふふっ、その通りですね」

ガチャ

P「戻りましたー」

奏「あら、罪な男のお帰りね」

P「え、俺のこと??」

奏「……はぁ、私もいつか、経費で落ちない贈り物が欲しいものね」チラッ

ちひろ「…………///」



P「ちひろさん、あの、有給を使いたいんですけど」

ちひろ「プロデューサーさんは有給をすでに使い切ってますよ?」

P「えっ!?いつですか!?」

ちひろ「先月、高校生の子たちの文化祭によく行っていたじゃないですか、その時に使っておきました」

P「使っておきましたって……確かに少し無理を言って休みにしてもらいましたけど」

ちひろ「……楽しかったですか?」

P「えっ……?」

ちひろ「凛ちゃんの演劇とか、卯月ちゃんのメイド喫茶だとか、未央ちゃんの漫才だとか、楽しかったですか?」

P「な、なんで知ってるんですか……確かに楽しかったですけど……」

ちひろ「こう考えるんです。楽しい思いもできて、鼻の下を伸ばしまくって、お金も貰えるなんて最高だと」

P「鼻の下は別に……と言うか、それが有給ってものでは?」

ちひろ「……と、とにかく、もう使える有給はありませんから!」


P「…………」

ちひろ「…………」

P「……そっかぁ、せっかく2人で紅葉狩りに行こうと思ったのになぁ……」

ちひろ「……!」ピクッ

P「これじゃ、せっかくお揃いで買ったトレッキングシューズもはけないなぁ……」

ちひろ「…………」

P「まぁ、有給が無いんじゃ仕方ないk…」

ちひろ「あー!!!プロデューサーさん、有給1日だけ残っていましたよ!!!!」

P「ホントですか!」

ちひろ「良かったですね、有給が残っていてっ」

P「良かったです……紅葉狩り、楽しみですね」

ちひろ「そ、そうですね………//」



P「ちひろさん……あの……」

ちひろ「どうしました?」

P「えっと……昼食代なんですけど……」

ちひろ「そんなものはありませんよ……?」

P「え、でも…………」

ちひろ「もうっ、プロデューサーさんは細かいことを気にしすぎなんですよ」

P「しかしさすがに……」

ちひろ「なんですか、なにか問題が?」

P「……いえ」

ちひろ「ならいいんですよ、さ、食べましょ?」

P「…………ちひろさん」

ちひろ「なんです?」

P「……こんなに豪華なお弁当作ってもらって、お金も受け取ってくれないなんて申し訳ないですよ!」

ちひろ「いえいえ、私が作りたくて作っただけですので」

P「ですけど……」



ちひろ「……なんですか、響子ちゃんのお弁当は喜んで食べるのに、私のは食べてくれないんですか」

P「」

ちひろ「あんなにニヤニヤ嬉しそうにして……」

Pそ、それは…………」

ちひろ「これから、お昼は毎日私が作ってきますからねっ」

P「でも、それだと経費じゃ落ちないですよ……?」

ちひろ「お金の問題じゃないんですよ」ボソッ

P「えっ?」

ちひろ「なんでもないですっ」

P「??」

ちひろ「経費経費って、私、そんなにお金のイメージありますか?」

P「えぇ、まぁ……」

ちひろ「ふーん、そんなこと言ってると、本当に私がプロデューサーさんのお財布の紐を握っちゃいますからね?」

P「それもありかもなぁ……」ボソッ

ちひろ「えっ……プロデューサーさんっ!?」

P「まぁ、もう、握られてるようなものかな」

ちひろ「…………台無しです」

P「えっ?」

ちひろ「プロデューサーさんは、お財布の紐も手綱も握らないといけないみたいですね……」ジトッ

P「えっえっ」

ちひろ「なにかご不満が?」ニコッ

P「」



P「あの……育休を取りたいのですが…………」

ちひろ「私に言われても困りますねー、ねー?」

キャッキャッ!!

P「俺ももっとこの子と一緒にいたいんですけど……」

ちひろ「だから最近、小学生のアイドル達を多く構ってるんですか?」

P「べべべ、別にそういう訳では……」

ちひろ「亜里沙さんや清良さんに赤ちゃんのあやし方を聞きまくっているらしいですね」

P「うっ……」

ちひろ「……まぁ、私もあまり事務所を空けておきたくはないですし、この子を連れて遊びに行こうかな?」

P「本当!?」

ちひろ「……という訳で、プロデューサーさんの育休は認められませんね」ニコッ

P「あっ……」

ちひろ「明日もお仕事、頑張ってくださいねっ」

P「」


ー財布の紐も手綱も握られEndー


終わりです。
ちひろさんが残業代を支払う姿が想像できない今日この頃。

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