海未「見えないモノを見ようとして」 (49)
ことうみです。
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ことり(幼)「うぇぇぇん」シクシク
ことり「みんなどこ~?」シクシク
海未(幼)「ことり!」
ことり「うみちゃん…?」
海未「こんなところにいたのですか。さがしたんですよ?」
ことり「うぇ~…うみちゃあん!」ガバッ
うみ「あ、あぶないですっ!」
ことり「こわかったよぉ」シクシク
海未「もうあんしんですよ?」ナデナデ
海未「さあ、かえりましょうか?」
海未「てをはなしてはいけませんよ?」
ことり「もうどこにもいかないもん」
海未「はやくかえらないとくらくなってしまいます」
ことり「うみちゃん、ごめんね?」
海未「ことり?」
ことり「うみちゃんが助けにきてくれてうれしかったの……」
ことり「ありがとう」
チュッ
海未「こ、ことり!」
ことり「えへへ♪」
海未「も、もう……」
ことり「うみちゃんてかっこいいな!」
海未「そ、そうですか?」
ことり「うん。ことり、うみちゃんのことすきになっちゃった!」
海未「え? ええ? こまりますっ」
ことり「うみちゃんはことりのこと、きらい?」
海未「お、おんなのこどうしでそんなことは……」
ことり「じゃあないしょにしよっ?」
海未「ないしょ?」
ことり「うんっ! ことりがうみちゃんのことすきなのはないしょ」
ことり「もちろんほのかちゃんにもだよ?」
ことり「やくそくする。だからうみちゃんおしえて?」
ことり「ことりのことすき?」
海未「……ことりのことすき……かな」
ことり「やったぁ!」ガバッ
海未「ちょ、ちょっと、あぶないです」
ことり「ことりたちりょうおもいだねっ!」
海未「りょうおもい?」
ことり「うんっ!」
ことり「りょうおもいだとね、けっこんできるんだよ?」
海未「け、けっこんてゆうのは」
ことり「やくそくしてくれる?」
海未「……みんなにはひみつですよ……?」
ことり「うんっ!」
チュンチュン
海未「……///」
海未(………夢)
海未(……とんでもない過去を思い出してしまいました)
海未(すっかり忘れていたのに)
海未(私とことりが結婚の約束を交わしていたなんて……っ!///)
トントン
海未母「海未さん?」
海未「はいっ今起きて……」
海未母「朝の稽古の時間はとっくに過ぎていますが大丈夫ですか?」
海未「あ……」
海未(やってしまいましたああ!!)
海未(この私が寝坊をして始末なんてぇぇ)
海未母「海未さん?」
海未「いってきます」
海未(最悪です)
海未(最悪の朝です)
海未(まさか寝坊をしてしまうなど)
海未(もう穂乃果にも口うるさく叱れませんね……)
海未(それにあの夢…)
ことり「海未ちゃん♪」
海未「こ、ことり!」
ことり「おはよう♪」
ことり「?」
ことり「どうしたの、そんなに驚いて…」
海未「い、いえおはようございます」
ことり「ちなみに穂乃果ちゃんは寝坊したから先に行っててだって」
海未「寝坊ですか……」
ことり「怒らないの??」
海未「いえ、寝坊など誰でもしてしまうものです……」
ことり「いつもの海未ちゃんらしくない」
海未「……実は今日寝坊をしてしまったのです」
ことり「寝坊? 誰のこと?」
海未「私です」
ことり「えぇー!? う、海未ちゃんが!?」
ことり「ど、どうしたの!? なにか悩みでもあるの!?」
海未「いえ特にないのですが」
ことり「普通じゃないよ」
ことり「海未ちゃんが寝坊しちゃうなんて…」
ことり「私…っ、いつでも海未ちゃんの力になるからね…っ!」
海未「ありがとうございます」
海未「でももう寝坊はしないと思いますよ」
ことり「なんでわかるの?」
海未「今日はたまたま夢を見ていて寝過ごしてしまったようなのです」
ことり「夢?」
海未「はい。夢なんてそう何日も繰り返すものでもないですからきっともう大丈夫」
ことり「ふぅん。夢かぁ。海未ちゃんは今日どんな夢を見たの?」
海未「たいした夢では」
ことり「知りたいの。教えて?」
海未「過去の記憶です」
海未「私たちが小さかったころの……」
海未(結婚の約束を思い出したなんて言ったらバカにされそうです)
海未(だから黙っておいたほうがよいでしょう)
海未(しょせんは子どもの口約束なのですから……)
ことり「子どものころかぁ」
ことり「あ! そうだ!!」
ことり「あのこと覚えてる?」
海未「え? ビクッ」
海未(も、もしやことりも結婚の約束を覚えていたのですか……)
ことり「海未ちゃんがお漏らししてわんわん泣いてた日があったよね?」
海未「は?」
ことり「いやぁ、懐かしいなぁ……」
ことり「今日の海未ちゃんの落ち込んだ顔見てたら思い出したの」
海未「お、お漏らしなんて誰にでもありますっ」
ことり「海未ちゃんは人一倍泣くから」
ことり「ことりと穂乃果ちゃんで泣き止ませるの大変だったんだからね」
海未「は、はぁ……それはすいません……」
ことり「嘘よ。ごめんね」
海未「ことりだってよくたんぼにはまって泣いてたではありませんかっ」
ことり「海未ちゃん必死になってる~! カワイイっ!」
海未「……///」
ことり「でも懐かしいなぁ。三人ずっと一緒にいたよね~」
海未「えぇ。近所の人からよく姉妹に間違われましたね」
ことり「あはは。そうだったそうだった!」
海未「今も変わらずずっと三人でいますけどね」
ことり「この町の風景も変わらないね」
海未「不思議なものです」
海未「時は振りかえればあっという間に過ぎていて」
海未「いろんなものがすっかりかわってしまうのに」
ことり「私たち三人は変わらない?」
海未「この町も」
ことり「ことりは素敵だって思うな」
ことり「たしかにいろいろ変わっていくけど」
ことり「変わらないってことはそれだけ強いってことだって思う」
海未「強い、ですか」
ことり「それに変わっちゃったら寂しいっ」
海未「……えぇ」
ことり「だから海未ちゃんはことりのそばを離れちゃいけませんっ」ギュッ
海未「きゅ、急に腕をつかまないでくださいっ。危ないですっ」
穂乃果「今日はごめんね! 一緒に学校いけなくて!」
ことり「ぜんぜん大丈夫だよ~」
海未「まあ、失敗は誰にでもあることですし?」
穂乃果「???」
海未「どうしたのですか、穂乃果?」
穂乃果「……う、海未ちゃんが……」
海未「?」
穂乃果「海未ちゃんが穂乃果に怒らないーーー!??」
海未「え?」
穂乃果「海未ちゃんっていつもの海未ちゃんだよね!??」
海未「は?」
穂乃果「なんか似てるけど別人とか、記憶喪失とかそんなんじゃないよねっ!?」
海未「なにをバカなことを……」
穂乃果「もしかして体調が悪いの?? ことりちゃんに保健室に連れていってもらおうかっ!?」
海未「いい加減にしなさいっ」
穂乃果「うっ!」
海未「私はいつもどおりなにも変わらない園田海未です。訳のわからないことを言わないでください」
穂乃果「だ、だっていつもなら穂乃果が寝坊したら鬼のように怒るじゃない……」
海未「だれが鬼ですか!」
ことり「ふふふ」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり「いつもどおりじゃないといえばたしかにそうだよね、海未ちゃん?」
海未「え? ええ、まあ……」
穂乃果「え? なになに? なんのこと?」
ことり「ことりは海未ちゃんの恥ずかしい失敗を知っているの♪」
海未「こ、ことり!」
穂乃果「なにそれ! 穂乃果も知りたいっ!」
ことり「え~、言ってもいいの、海未ちゃん?」
海未「別に秘密にするわけではないですから……」
海未「実は今日寝坊してしまったのです」
ことり「あー、海未ちゃん言っちゃった~」
穂乃果「寝坊って海未ちゃんが!?」
穂乃果「…………」ニヤニヤ
海未「人をバカにできる立場ですか!!」
穂乃果「うっ! 痛いところをつかれた……」
穂乃果「今日は怒られなかっただけマシか」
ことり「一時間目ってなんだっけ?」
海未「体育ですが」
ことり「そうだった! 早く着替えないとっ」
穂乃果「いやー、今日もハードだったねぇ」
ことり「体育の先生は怖くてことりちょっと苦手だな……」
海未「そうですね。あの厳しさは私もあまり好きではないですね」
穂乃果「海未ちゃんが言う~?」
海未「私には愛があるでしょう!?」
穂乃果「そうかなぁ?」
ことり「早く着替えてジュース買いにいこう? ことりのど乾いたよ~」
海未「そうですね……さっさと……」
海未「……あれ?」ゴソゴソ
ことり「どうしたの? 忘れ物?」
海未「いえ、さっきから探しているのですが……」
ことり「?」
海未「ソックスが見当たらないのです……」
ことり「えぇ!?」
穂乃果「う~ん……下に落ちてもないよね~」キョロキョロ
海未「ダメです。どうやらなくなったようです……」
ことり「そんな……なくなるなんて」
穂乃果「……もしかしたら誰かが盗んだのかも……」
海未「盗む? なぜ?」
穂乃果「きっと海未ちゃんの私物を欲しい人が盗んでいったんだよ……」
海未「わ、私の私物がほしい? いったいどういうことですか?」
ことり「……あ~、なるほど~……」
穂乃果「うん。海未ちゃんはモテるからね」
ことり「ひどい」
海未「なんですか? なんのことですか?」
穂乃果「海未ちゃんって鈍感だから」
ことり「ね?」
海未「意味がわかりません。なぜソックスを盗むのですか?」
穂乃果「くさいからじゃない?」
海未「??」
ことり「うわ~、ヘンタイさんのしわざかぁ」
海未「くさい? 変態? 意味がわかりません……」
穂乃果「知らないなら知らないままのほうがいいよ、きっと」
ことり「ことりはちょっと知ってほしいかも」
穂乃果「とにかく先生に報告したほうがいいね」
海未「しかしなんなのでしょうか、いったい……」
ことり「海未ちゃんのソックスなしの制服カワイイっ!」
穂乃果「涼しそうでいいなぁ」
海未「みんなとちがうので少し恥ずかしいです……」
海未「貸し出しくらいあってもいいと思うのですが……」
穂乃果「いいなぁ、穂乃果も脱いでいいかなぁ」
ことり「でもソックスないと足が太く見えるよ?」
穂乃果「えっ? それはダメだ!」
ことり「海未ちゃんはほっそりしてるからぜんぜんいいよね。うらやましい~」
海未「多少肉付きのあるほうが女性らしくて私は好きですよ」
ことり「海未ちゃんに好きって言われちゃった」
海未「た、他意はないんですっ!」
海未「……ま、まぁ、それに二人とも細い方だし……」
穂乃果「まあね♪」
海未「……穂乃果は……まあ、その、はい」
穂乃果「ちょっと! 何が言いたいの!?」
ことり「う~ん。でもいったい誰が盗んだんだろうねぇ」
穂乃果「それはだから海未ちゃんのことが好きな人でしょ」
海未「じょ、女性同士でそんなこと」
穂乃果「女子校の宿命だよね」
海未「女子校だからっておかしいです。外に出れば殿方だっているでしょう」
穂乃果「いやぁ、甘いね。普段の生活で女の子ばっかりだから意識しちゃうのは当然でしょ」
海未「穂乃果ももしかして……」
穂乃果「穂乃果はちがうよ~」
海未「女性同士で、しかも人のソックスを盗むなど……最低です」
ことり「女の子同士ってそんなに悪いことでもないと思うな」
ことり「だって本人が好きなんだったらしょうがないもん」
海未「い、いや別に悪いとは……」
穂乃果「あ!! 次の授業数学だ! いやだぁ~」
穂乃果「いやぁ、今日も練習疲れた~」
海未「穂乃果はもう少しですね、ダンスも歌も」
穂乃果「頑張らないとなー」
海未「ところでことりは新曲の衣装は進んでいますか?」
ことり「うーん。まずまずってところかな。でもなんとか間に合わせるから心配しないで?」
海未「ことりはしっかりこなしてくれるので信頼していますよ」
ことり「えへへ♪」
ことり「ところでついでだけど……」
ことり「海未ちゃんって恋愛経験ないよね?」
海未「な、なにを急に……っ」
ことり「今日話してたからなんとなく」
穂乃果「女の子同士でってやつ?」
ことり「だって海未ちゃんは恋愛未経験でいてほしいでしょ?」
海未「な、なぜですかっ? 別に経験したってよいでしょう!」
ことり「海未ちゃんって恋愛したいって感情はもったりするの?」
海未「そ、それは……まぁ、私も年頃ですから……」
穂乃果「えっ!? 海未ちゃんあるの?? 意外すぎるよ!!」
海未「私をなんだと思っているのですか!!」
穂乃果「うわあ、すごいこと聞いちゃった……」
穂乃果「まさか海未ちゃんも恋愛したいなんて……」
穂乃果「あのおカタイ海未ちゃんが……」
海未「穂乃果めちゃくちゃ言いますね」
穂乃果「だって海未ちゃんの脳内って勉強! 練習! 習いごと! みたいなイメージだしさぁ」
海未「ま、まぁ否定はしませんが」
ことり「……でもいいと思う」
海未「?」
ことり「海未ちゃんだってお年頃の女子高生だもん」
ことり「恋したいなんて当たり前だよ」
海未「……まぁ、はい……」
ことり「海未ちゃんに男の人ができちゃったら寂しくて泣いちゃうかもしれないけど……」
ことり「本当に好きな人ができたんだったらことりは応援してるから」
ことり「そのことは覚えておいて?」
海未「……ことり、ありがとう」
穂乃果「穂乃果は海未ちゃんには恋人なんていなかったらいいなぁって思うけど」
海未「まあ今は特に好きな人もいませんし」
海未「それにμ`sの活動もあるから恋愛してる暇なんてありませんね」
ことり「…………」
海未「……さて、これで宿題も完璧ですね……」チラッ
海未「もう11時ですか……明日に備えて寝なくてはいけませんね」
海未(…………)
海未(さすがにもう夢は見ないでしょう……)
海未(…………)
ピコンッ
海未「? メッセージアプリに通知が」
海未「ことりからですね」
(・8・)『ウミチャンまだ起きてる?』
海未「なんでしょうか」
園田海未『はい。』
海未「こんな時間にめずらしい」
(・8・)『今日の話なんだけど。。。』
(・8・)『コイバナです』
海未「?」
(・8・)『ウミチャンもしかしたら本当は好きな人がいるんじゃないの??』
海未「えぇ!?」
(・8・)『本当のことを教えて?(´・ω・`)』
園田海未『そのようなことはありませんよ?』
海未「突然なんなのでしょうか」
(・8・)『ウミチャンて隠したがりやだからもしかしたらって思ったの』
(・8・)『私には本当のことを教えてね? 応援するから。。。』
園田海未『はい。ありがとうございます。』
(・8・)『ちょっとコイバナしよぅ?』
園田海未『いいですが経験がないので面白い話もできませんよ?』
(・8・)『ウミチャンの好みのタイプとか知りたいの。。。』
園田海未『あんまり考えたことはないのですがしいて言えば』
海未「……なんでしょうか?」
海未「好みのタイプ……」
海未「……あんまり真剣に考えることでもないですね」
海未「優しく家庭を守ってくれる強い男性……」
海未「……退屈な答えですね。ちょっとふざけてみましょうか」
園田海未『優しくて思いやりの深い女性、つまりことりがタイプです』
海未「……ふふふ。これでちょっとことりの言うコイバナを楽しくできますかね」
海未「……返事遅いですね」
海未(しかしことりには感謝しています)
海未(私のような会話を楽しくできないような退屈で堅い人にも)
海未(こんな風に気軽にコミュニケーションをとってきてくれる)
海未(ことりの気遣いのお陰で私も楽しいですし)
海未(だから優しくて思いやりの深いことりが好きなのは本当です)
海未(恋愛対象とは別ですが)
海未(……恋愛)
海未(たしかにいままで考えたこともありませんでしたね)
海未(子どもの頃からことりと穂乃果とずっと遊んでいたので特に異性と交わる必要もなく)
海未(高校は女子校)
海未(私はどのようにして結婚相手を選べばいいのでしょうか)
海未(なんとなくお見合いになりそうな気もしますが)
海未(たしかに恋愛結婚にも憧れがあるのかもしれません)
海未(穂乃果には笑われてしまいましたが)
海未(それもわかります)
海未(しかしことりは応援してくれましたね)
海未(なぜでしょうか)
海未(もしことりに恋人ができたのなら私はなにを思うのか……)
海未(…………)
海未(考えたくありませんね)
ピコンッ
海未「返信……ん? ことりからではなくμ`sのグループのにこから……」
にこにーにこちゃん(私用)『送信先間違えてない?』
海未「え?」
海未「あ! ことりに送るはずがグループに送ってました!」
園田海未『すいません。誤送信です。無視してください。』
にこにーにこちゃん(私用)『別にいいんだけどあんたことりとどんな会話してんのよ』
海未「たしかに誤解を招きそうな内容ですね」
海未「というかめちゃくちゃ恥ずかしいものでは…?」
海未「ことりとの会話を楽しくするためにふざけただけなのに」
海未「これでは熱いラブメッセージ……」
海未「間違いなくからかわれる流れ……」
ピコンッ
リンねこ『そんなまさかことりちゃんとうみちゃんがデキていたなんて………』
海未「……さっそく……」
リンねこ『りんショックにゃ!(|| ゜Д゜)』
のぞみん『へぇ、うみちゃん女の子が好きやったんやね。じゃあずっとμ`sをイヤらしい目でみてたんや……』
海未「……なぜ私は不注意にも誤送信なんてしてしまったのでしょう……」
海未「不覚です……」
エリーチカ『海未……あなた本当に女の子が好きだったの……?』
海未「あ、絵里だけ毛色がちがう」
園田海未『ちがいます。これはおふざけで送ったものなんです』
りんねこ『おふざけでことりちゃんをたぶらかすなんてサイテーにゃ!』
のぞみん『女の子の敵!!』
海未「このふたりにこんな隙を与えてしまったことがくやしいっ!」
エリーチカ『明日少しお話をしましょう? 怒らないから…ね?』
海未「いけません。あとで絵里に電話しておきましょう」
にこにーにこちゃん(私用)『ついでだし忘れないように連絡しとくわ』
にこにーにこちゃん(私用)『今週の日曜はサイトに載せる用の写真とるからおしゃれな服を用意しとくのよ?』
海未「あ、そうでしたね」
海未「しかしおしゃれな服など持ってませんし……」
海未「まあなんとかなるでしょう」
にこにーにこちゃん(私用)『じゃあ美容のためにさっさと寝るのよ? おやすみ』
リンねこ『おやすみにゃー』
のぞみん『うみちゃん明日うちに怒らんといてな? おやすみ』
海未「釘を差されました」
海未「まあ当然叱りますが」
園田海未『お騒がせしてすみませんでした。おやすみなさい。』
海未「……ことりからなぜ返信が来ないのでしょうか」
海未「送ってみますか」
園田海未『ことり? もう寝てしまったのですか?』
海未「……我ながら間抜けなメッセージですね」
海未「眠っていたら返事できないと言うのに」
ピコンッ
海未「! 来ましたっ」
(・8・)『間違っちゃったのはしょうがないと思うけどああいうことはしてほしくなかったな。。。』
海未「…え?」
海未「ことり……もしかして怒ってる…?」
海未「しかしなぜ怒るのでしょうか」
海未「それほど怒ることでもないような……」
園田海未『失礼ですがなぜ怒っているのか理由が知りたいです。』
海未「やはり失礼でしたかね……」
(・8・)『ウミチャンにはわからなくていいよ』
海未「ど、どういうことでしょうか?」
(・8・)『明日も早いんでしょ? もう寝た方がいいよ。おやすみ』
海未「あ、あぁ……」
園田海未『おやすみなさい』
海未「これ以上なにを言えばいいのでしょうか」
海未「はぁ……」
海未「寝るしかないですね」
ことり「おはよう。海未ちゃん」
海未「お、おはようございます……」
海未(……ことりはいつもどおりですね)
ことり「今日はちゃんと起きられた?」
海未「え? ちゃんととは……」
ことり「ほら、昨日夢のせいで寝坊したって言ってたでしょ?」
海未「あぁ、そうでしたね。夢なんて連続で見るようなものでもないですし」
ことり「よかったね」ニコッ
海未「あの、昨日はごめんなさい」
ことり「別にいいよ。わざとじゃないし」
ことり「でもこれからは注意してね?」
海未「はい、でもなぜそんなに怒って──」
穂乃果「おはよう! 海未ちゃん! ことりちゃん!」
ことり「おはよう、穂乃果ちゃん♪」
海未「……おはようございます」
穂乃果「あれ? 海未ちゃん元気ない? あ!! もしかして今日も!?」
海未「寝坊してませんよ?」
穂乃果「なあんだ、つまらないよぉ」
海未「余計なこと言わずに早く行きましょう」
穂乃果「今日って練習休みじゃなかったっけ?」
海未「そうですよ。来週の新曲発表のための体休めですね」
穂乃果「やったぁ! じゃあ今日は久しぶりに三人で遊ぼうよ!!」
海未「穂乃果はまだダンスと歌が完璧ではないでしょう?」
穂乃果「うっ! で、でもまだ数日あるし!」
穂乃果「三人で遊ぶなんて滅多にないんだからいいでしょ?」
海未「仕方ないですね」
穂乃果「昨日にこちゃんが撮影会があるって言ってたけどさー」
穂乃果「穂乃果おしゃれな服なんてもってないんだけどどうしようー」
海未「私も持ってませんし普段通りでいいのではないですか?」
穂乃果「えー、でもサイトに載るんだよ?」
穂乃果「しかも新曲発表に伴うサイトのリニューアルっていう特別っぷり!」
穂乃果「やっぱりここでどんな服を見せるかでμ`sの印象が変わってくると思うんだよ!」
海未「そんなに関係ないと思いますが」
穂乃果「っていうか撮影とか言うけどさ。今回はプロの人に撮ってもらうんだよね?」
海未「ええ。にこがそうしたいと。それで今日色々準備をしたいから休みにしてほしいとおねがいされて」
海未「だからついでに体調を整える日にもしようと自主練ではなく休みにしたのです」
穂乃果「ほぉ~、そんな事情が」
ことり「………」
海未「ことり? どうしたのですか?」
海未(じっと黙ったままうつむいています)
海未(もしかしてまだ昨日のことで怒っているのでしょうか……)
ことり「へ? いや、なんでもないよ?」
ことり「新曲」
ことり「楽しみだねっ!」
海未「はい」
海未(気のせいでしょうか)
穂乃果「あ! 今日の現代文って小テストあるよね!?」
穂乃果「やばいよ…勉強してないや……」
穂乃果「いや~、今日もパンがうまいっ」
穂乃果「あ!! ことりちゃんのお弁当おいしそう!!」
ことり「穂乃果ちゃんはどのおかずが好きなの?」
穂乃果「いいの!? えーとねぇ、これ!」
ことり「そういえば海未ちゃん」
海未「はい?」
ことり「昨日ソックス盗まれたことは先生に報告したの?」
海未「いえ」
ことり「ダメだよぉ。言わなきゃ。また盗まれるかも知れないのに」
海未「しかしソックスだけ盗まれたのでなんとなく恥ずかしいんですよね」
ことり「わかった! ことりも一緒についていくからご飯食べたら職員室に行こう?」
海未「……そうですね、ありがとうございます」
穂乃果「穂乃果も一緒に行くよ?」
海未「穂乃果は次の小テストの勉強をしておいてください」
穂乃果「そうだった~! 次がテストだったよ~」
海未「しかし恥ずかしいです」
ことり「海未ちゃんが恥ずかしがることないよ~! 悪いのは盗んだ人なんだから」
海未「しかし……」
ことり「あ! そういえば今日ことりも夢見たんだ!」
海未「夢? どんな夢ですか?」
ことり「それはね~……」
ことり「先に海未ちゃんが言ってから教えますっ」
海未「え? なにをですか?」
ことり「海未ちゃんも昨日夢見たって言ってたよね? まだ内容教えてもらってないよ?」
海未「あぁ…それですか」
海未(プロポーズの夢など少し恥ずかしいですが)
海未(あえて隠すようなことでもないでしょう)
海未「ことりの夢です」
ことり「ことりの……夢?」
海未「えぇ……ふふ、ことりのかわいらしい夢を見てしまったのです」
ことり「ふ、ふぇぇぇ///」
ことり「な、なんだろ……」
海未「いつか幼い頃ことりが迷子になったことがあって」
ことり「う、うん」
海未「必死に探して見つけ出したのです」
ことり「海未ちゃんが見つけてくれたの?」
海未「はい」
ことり「迷子になったことりを」
海未「ええ。どこにいたのか風景がぼんやりしていてわからないですが」
海未「そのあとことりは私にキスをしたのです」
ことり「キ、キス?!!」
海未「子どもらしくて非常にかわいらしいです」
ことり「///」
海未「そんなに恥ずかしいですか? 顔が真っ赤ですよ?」
ことり「は、恥ずかしいよぉ!!」
海未「こどもらしくてかわいらしいと思いますが」
海未「そのあとのほうが恥ずかしいですよ?」
ことり「え、えぇ? まだあるの!?」
海未「ええ、ふふ。ことりの恥ずかしさに悶える顔が想像できますね」
ことり「も、もう! 海未ちゃんいじめないでよぉっ」
海未「言わないこともできますよ?」
ことり「い、言って!!」
海未「ふふふ、仕方ないですね」
ことり「……海未ちゃんのいじわる……///」
海未「言って驚かないでください?」
ことり「う、うん」ドキドキ
海未「なんとことりは私にプロポーズしたのです!」
ことり「…………」
海未「ことり?」
ことり「……プロ……ポーズ……」
海未「はい。どうかしたのですか?」
海未(恥ずかしすぎて混乱しているのでしょうか)
海未(それにしてはことりの様子が……)
ことり「……そんなの嘘だよ……」
海未「ことり?」
ことり「そんなの嘘だよ!!」
海未「え?」
ことり「嘘つくなんて最低だよ!!」
海未「ことり? い、いったいどうしたのですか?」
ことり「ことりが海未ちゃんにプロポーズなんてするわけない!!」
ことり「だって女の子同士結婚なんてできないもの!!」
海未「う、嘘ではありません……たしかに……」
ことり「……じゃあそれは海未ちゃんの夢の中だけの話なんだよ……」
海未「え?」
ことり「……実際にそんなことはなくて……」
ことり「……文字どおり海未ちゃんの夢だったんだよ……」
海未「夢?」
海未(しかし確かに記憶が……)
海未(でもことりの反応を見ると本当に夢だったのでしょうか)
海未(あのことりは私の夢……?)
海未(本当にはそんな過去はなくて)
海未(私の作り出した夢?)
ことり「…………」
海未「こ、ことり? 大丈夫ですか?」
ことり「……うん……」
ことり「ごめんね? 急に取り乱したりして……」
ことり「ちょっとビックリしちゃった……えへへ……」
海未「いえ、私の方こそことりの気分を悪くするようなことを言ってしまって……」
ことり「海未ちゃんは悪くないよ」
ことり「夢なんだししかたないよ」
海未(……夢……)
ことり「……あの、海未ちゃん?」
海未「はい」
ことり「さっきのお詫びがしたいの」
海未「いえ、お詫びなど……」
ことり「私がしたいのっ! いい?」
海未「ことりが無理をしていないのであれば私はかまいませんが…・」
ことり「じゃあ今日私のおうちにきてほしいの」
海未「ことりのお宅に?」
ことり「うん。ちょうどチーズケーキを作ってあるから食べに来て?」
海未「それでは穂乃果も一緒に……」
ことり「それはダメ!」
海未「え? なぜですか?」
ことり「もうあとちょっとしか残ってないから穂乃果ちゃんにはナイショで……」
海未「そういうことですか」
ことり「そう。だから今日三人で遊ぶ約束も断って欲しいのっ」
海未「ま、まぁことりがいうなら」
ことり「秘密にするのはちょっと罪悪感はあるけどね」
ことり「穂乃果ちゃんにもまたお詫びとして飛びっきりおいしいチーズケーキをつくってあげるから」
海未「はい」
ことり「海未ちゃんも手伝ってね?」
海未「私もですか? お邪魔でなければ」
穂乃果「え~、海未ちゃんも今日遊べないの~」
海未「すみません…急に用事ができてしまい…」
穂乃果「だってことりちゃんもなんか今日は無理になったとか言ってたのに」
穂乃果「穂乃果ひとりだけ暇だよ~」
海未「ちょうどいいではありませんか。未完成なダンスや歌を練習するのです」
穂乃果「今日はからだ休めの日じゃなかったの?」
海未「きつい運動をしなければ…覚えることは必要ですし」
穂乃果「は~もうしかたないなぁ」
海未「それでは私はここで」
穂乃果「うん。バイバイ」
ことり「海未ちゃん。来てくれたんだね」
海未「約束でしたから」
海未(夕日の射すこの公園にあとから集合とのことでした)
海未(しかしこの公園からだとことりの家は少し遠いというのに)
ことり「じゃあ行こっか?」
海未「はい」
ことり「……」
海未(ことり)チラッ
海未(どうしたのでしょうか)
海未(落ち込んでいる、というわけではないようですが)
海未(うつ向きがちになり口数が少ない)
海未(いつものことりならあの癒しの笑顔で明るく話しかけてくれるというのに)
ことり「……ふふっ」
海未「?」
ことり「海未ちゃんなんでずっと黙ってるの? なにかしゃべってよ」
海未(ことり…)
海未「なにかあったのですか…?」
ことり「え…?」
ことり「…なにかって…なに…?」
ことり「なんでそんなことを聞くの…?」
海未(夕日の光のせいなのかもしれない)
海未(ことりの顔に濃い影ができて)
海未(表情が読み取れない…)
ことり「海未ちゃん…?」
海未「いえ、なんとなくことりがいつも通りじゃない風に思えたので」
海未「なにか困っていることでもあるのなら話してくれればと」
ことり「…ふふ」
海未「……」
ことり「…いつも通りじゃない…困ってる…か…」
ことり「海未ちゃんは優しいね。相談にのってくれるんだね」
海未「ことり、本当に困っていることがあるなら私に──」
ことり「…大丈夫」
海未「ことり…」
ことり「大丈夫だから心配しないで」ニコッ
海未「…それならいいのですが」
海未(……私は臆病です)
海未(ことりの笑顔は悲しい)
海未(それは夕日の光のせいなんかじゃない)
海未(ことりには悩みがある)
海未(ことりはこういう顔をするとき決まって悩みを抱えているのです)
海未(誰にも相談せずひとりで抱えて)
海未(そしてそのたび後悔するのです)
海未(私がもう少し早く気づいていれば)
海未(私がもう少し鈍感でなければ……)
海未(私にもう少し勇気があれば──)
ことり「……」
海未(……)
海未(しかしことりも訳があって黙っているのではないでしょうか)
海未(秘密にしていることが必要で)
海未(私には関係のない──)
海未「…っ」
海未「…ことり」
ことり「海未ちゃん?」
海未「…話してください」
ことり「…え…?」
海未「秘密にしていることがあるはずです」
ことり「…え? …え?」
海未「悩んでいることがあるのでしょう?」
ことり「そんなの」
ことり「…そんなのないよ…」
ガッ
ことり「!」
海未「私に話してくれるまでこの手をつかみ続けます」
ことり「…海未ちゃん…」
ことり「…ふふ、なにそれ…」
海未「……」
ことり「そもそも私に悩みなんかなかったら海未ちゃんは一生ことりの腕を握ってるつもりなの?」
ことり「…海未ちゃんの気持ちはわかった」
海未「ことり!」
海未(はやり悩んでいることが……)
ことり「ずっと迷ってたんだよね」
ことり「言おうか言わないか」
ことり「なんとなく相談するとしたら海未ちゃんかなぁっていうのは考えていて」
ことり「きっかけに賭けることにした」
海未「?」
ことり「もし海未ちゃんと二人きりになるチャンスがあったら」
ことり「海未ちゃんにことりのおうちに来てもらおうって」
ことり「ふふ」
ことり「って言ってるけどほとんどことりが無理矢理つくったみたいなものだけど…」
海未「!」
海未「それってもしかして」
海未「お詫びにチーズケーキ食べにきてほしいというこれが…?」
ことり「……」コクッ
ことり「…それでも迷ったけどね」
海未(だから考える時間を得るためにあえてことりのお宅から遠いこの公園を…)
海未「しかしなぜ悩みがあるのならすぐに相談してくれなかったのですか?」
ことり「……」
海未「いままでだってそうです。ことりは悩みがあっても私たちには黙ったままで」
海未「ひとりで抱えているのです」
ことり「…いままでのことはわからないけど」
ことり「おうちに来てくれればわかるから…」
海未「?」
海未「そもそもことりの悩みとはなんですか?」
ことり「それもおうちにきてくれればわかるよ」
海未「……」
ことり「そう。だからもう腕を離してもいいんだよ?」
海未「え?」
海未「あ! すみませんっ」バッ
海未「私としたことがつかみっぱなしでした…」
ことり「ありがとう」
海未「え?」
ことり「海未ちゃんはそれだけことりのことを想ってくれてるってことだよね?」
海未「私はいつもことりのことを我が身のように想っていますよ」
ことり「…うん」
海未「ですからこれからは悩んでいることがあっても秘密にせず私に話してくださいね?」
ことり「…うん。そうする」
ことり「ただいま」
海未「お邪魔します」
ことり「お母さんは今おうちにいないから気楽にしてて大丈夫だよ」
海未「……しかし」
ことり「?」
海未「私ひとりでことりのお宅にお邪魔するのは少し緊張しますね…」
ことり「あ、そっか。いつも穂乃果ちゃんと三人一緒だもんね」
海未「そうなのです」
ことり「海未ちゃんはずっと穂乃果ちゃんの後ろをついていく子だったもんね」
海未「小さい頃はそうでしたね」
ことり「とにかくリビングで待っててね。チーズケーキ持ってくるから」
海未「ことり、悩みの相談は…」
ことり「まずはチーズケーキを食べてから♪」
ことり「お詫びをしたいっていうのは本当だから」
海未「…はい。ではありがたくいただきます」
ことり「うん♪ そこのテーブルについてて」
ことり「すぐ用意するから」タタッ
海未「ゆっくりでいいですよ」
海未(今日は練習もないですし)
海未「…………」
海未(しかし)キョロキョロ
海未(ことりのお宅自体久し振りなのかもしれません)
海未(だいたいことりのお宅に行くのは穂乃果の思い付きで)
海未(ことりは私のことをああ言いましたが)
海未(ことりも穂乃果の後ろをついていく子でした)
海未(ことりと私はお互い探り探りのところから始まって)
海未(いつしか穂乃果と変わらないくらいの仲に)
海未(あのときのことりは思い出せば本当にかわいかったです)
海未(あのふんわりな笑顔が私は大好きでした)
ことり「もうすこしだから!」ガチャガチャ
海未(ここからだと台所に立つことりの後ろ姿が見えますね)
海未(慣れたようにてきぱきと動いていて非常に愛らしいです)
海未(コーヒーの良いかおりがしてきました)
海未(ことりは本当にいい妻になりそうです)
ことり「コーヒーも沸かしておいたからね。シュガーとフレッシュもあるから」ガチャガチャ
トポトポ
海未「ことりはいつの間にコーヒーをいれられるようになっていたのですか?」
海未(そういえばことりのコーヒーのいれる姿を見るのは初めてかもしれないです)
海未(あまりに自然なので気にならなかったのですが…)
ことり「お母さんにいれるからそれで慣れちゃったの」
海未(コーヒーカップにコーヒーが注がれます)
海未(ほのかな湯気と穏やかな波立ち)
ことり「もうカフェオレにしちゃっていい? 正直そっちのほうが私のチーズケーキに合うんだよねぇ」
海未「お任せします」
ことり「じゃあ入れちゃいます」ヒョイッ
ことり「まぜまぜ~っと」カチャカチャ
海未(黒いコーヒーに白色がにじむように溶け込んでいきます)
ことり「ケーキも持ってくるね」タッ
海未「はい」
海未「いただきます」ズズッ
海未(おいしいです)
海未(わざわざコーヒーメーカーで作っていただいただけあります)
ことり「おまたせっ」カチャ
ことり「ことり特製チーズケーキです!」
海未「わぁ、とってもおいしそうです」
ことり「さぁ、早く食べて食べて! 感想を聞かせてほしいな!」
海未「いただきます」パクッ
海未「うん…本当においしいです」
ことり「本当!? よかったぁ~」
海未「落ち着いた甘味とチーズの程よいかおりがすばらしく、食感も柔らかい層とさくりとした層があって楽しいですね」
ことり「海未ちゃんは食レポが上手だね」
海未「そ、そうですか?」
ことり「まるでことりが有名なお店のパティシエになった気分だよ」
海未「本当においしかったですよ?」
ことり「海未ちゃんにそう言ってもらえたらことりはもう満足だよ」
海未「ごちそうさまでした」
ことり「はい♪」
海未「とてもおいしいチーズケーキをありがとうございました」
ことり「いえいえ。ことりも海未ちゃんに喜んでもらえて嬉しい!」
海未「……」
海未「…それで…」
ことり「ことりの悩みのこと?」
海未「はい。ケーキを食べ終わってからということでしたので…」
ことり「うん…」
ことり「ことりのお部屋に来て…」
海未「はい」
海未(そういえばことりのお部屋にお邪魔するのもずいぶん久し振りなんでしたね)
海未(子どもの頃は動物のぬいぐるみや可愛らしい洋服がたくさん飾ってあっていかにも女の子らしいお部屋で)
海未(私の質素なものと比べてしまいとても羨ましく思ったものです)
ことり「入って?」
海未「はい」
海未(思っていたより落ち着いた感じになってますね…)
海未(ものも少な目で……)
海未「!」
海未(あれは……)
海未「これが新曲の衣装ですか?」
海未「一着しかないようですが」
海未「どれどれ」ヒョイッ
ことり「………」
海未「…え?」
海未「…なんですかこれは」
ことり「なにって新曲の衣装だよ」
海未「…しかしこれは…」
海未(未完成)
海未(ほぼ飾りつけのない無地のTシャツ状態…)
ことり「これが今の衣装の全て」
海未「…新曲発表は来週です」
ことり「知ってる」
海未「振り付けなどいろんな準備は既に整っています」
ことり「それも知ってる」
海未「μ`sのみんなは新曲発表にはりきっていて」
ことり「うん」
海未「ファンのみんなも楽しみに待っています」
ことり「…だからこそだよ」
海未「?」
ことり「μ`sのみんなの気持ちとか」
ことり「ファンのみんなの気持ち」
ことり「だからこそ」
ことり「私は誰にも話せなかったの」
海未「……」
海未「ことりのお宅に行けばわかると言うのはこういうことだったのですね」
ことり「私は覚悟して海未ちゃんに話したよ」
ことり「怒ってくれてもいいし」
ことり「殴ってくれても私は気にしないよ」
ことり「海未ちゃんは正しくてことりが悪いんだから」
ことり「いつも穂乃果ちゃんに叱ってるでしょ?」
海未「…穂乃果に叱るのとは訳が違います」
ことり「?」
海未「穂乃果はこんな取り返しのつかなくなる前になんとかしようとします」
海未「自分ひとりでできなければみんなに相談するでしょう」
ことり「…そうだね。これじゃ穂乃果ちゃんに悪いや」
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