ゴキャ!!
バタッ
スネ夫「ヒィィイ!!」
ジャイアン「おいなんだよ。いつもみたいにバットで頭殴っただけじゃねえか。」
ジャイアン「起きろよのび太!気絶してるふりすりゃ許されるとでも・・・!!」
ビクッ
ジャイアン「.....え?」
ビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクン
スネ夫「ジャ・・・ジャイアン、これ・・・やばいんじゃないの?」
ジャイアン「お・・・おいのび太!何ふざ・・・ふざけてんだよ!!」
ビクビクビクビクガタガタガタガタガタガタガタガタビクビクビクビクビクビク
ブシャアアアアアアアアアアアアア
スネ夫「ひぃぃぃ!!」
のび太が体を激しく揺らしながらうつぶせから仰向けになった時、俺は驚愕した。
白眼を向きながら、噴水の様なおもらしをしたからだ。どう見たって普通じゃない。
その光景を見た瞬間。俺の体はまるで冷たい水を浴びたような感覚を感じた。
ジャイアン「な・・・なんだ、なんだよこれええええええええええ!!!」
ビクビクガクビクビクガクガクビクンビクンブシャッブシャッビクビクビクビクビクビク
ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ
スネ夫「うっうわああああああああ!!凄い勢いでズボンの裾からウンコがドバーっと!!」
ジャイアン「どっドラえもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」
気が付いたら俺は病院にいた。あまりのパニックに気が動転して全く覚えていない。
確か、偶然[たぬき]が俺達を見つけ、急いでどこでもドアで病院へ行ったんだっけ。
そう考えてるうちに、徐々に罪悪感が俺を襲う。
胸が重い。俺はなんてことをしてしまったんだ・・・。
どうか生きていてほしい。そう願うしかなかった。
いくら考えても最悪な結果だろうと知っている。だって、うちどころが悪くてもう・・・死んでるかもしれないからだ。
スネ夫「ジャイアン・・・気を落とさないでしょ。」
ジャイアン「うるせえ・・・・」
お前に何が分かる。人を殺したんだぞ俺は。
スネ夫「のび太には・・・[たぬき]がいるじゃない。[たぬき]の道具さえあればすぐ完治でき・・・」
スネ夫がそう言おうとしたとき、[たぬき]が入ってきた。
[たぬき]の表情は・・・まるで涙を抑えてるかのように悲しい顔をしてた
ジャイアン「ドラ・・・えもん・・・」
スネ夫「ねえのび太は?大・・・・丈夫なんだよね。」
[たぬき]「大丈夫じゃ・・・ないよ。」
!!
まさか・・・のび太が・・・死んだ・・・のか・・・?
そんな・・・嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ!
俺が・・・あんなことしなければ・・・!!
俺は勢いに任せ、[たぬき]の前で土下座をした。
ジャイアン「申し訳ねえ!![たぬき]!!俺が!!俺があんな事したからこんな事に!!」
[たぬき]「本当に・・・とんでもないことしてくれたねジャイアン。」
スネ夫「え・・・じゃあのび太・・・死・・・・?」
[たぬき]「生きてるよ」
ジャイアン「!!」
[たぬき]「ただ・・・もう本来ののび太くんじゃない。」
[たぬき]「どうしてくれるんだい!!君がそんな乱暴者な性格してるからのび太くんは・・・のび太くんは・・・!」
[たぬき]「イタリア語しか話せなくなったんだ!!!」
スネ夫「そ・・・そんな!!」
[たぬき]「翻訳こんにゃくを食べさせてもイタリア語のまま・・・。自分の事・・・アドリアンっていう名前だと思ってる・・・。」
ジャイアン「な・・・なんとかならねえのかよ!![たぬき]!!」
[たぬき]「いろんな道具を試してみたけど全部駄目だった!!言葉も性格も、日系イタリア人のままだ!!」
[たぬき]「のび太くんは・・・ずっとこのままかもしれない・・・。」
こんな・・・こんな事が起きるなんて・・・。俺はなんて事を・・・。
翌日、俺は昨日全く眠れなかった。
晩御飯、大好きなハンバーグなのにのび太の事で喉が通らなかった。
スネ夫「ジャイアン大丈夫?顔色悪いよ。」
ジャイアン「うるせぇ大丈夫だ・・・。」
今日の通学路に、のび太は居なかった。・・・そりゃそうだ。のび太は病院にいるんだ。
俺が・・・アイツの頭をぶん殴っちまったからな・・・。
生きてた事が幸いでも、今ののび太は深い傷を負っている。
考えるだけで、また胸が重くなってきた。そう感じた時・・・
しずか「で・・・出来杉さん!のび太さんなんて言ってるの!?」
出来杉「えっと・・・学校の周りを見てなぜか感動してるみたい」
のび太「Bene, qui si tratta di una scuola giapponese. Le pareti bianche rispetto a Italia è bella.」
のび太が普通に学校に来てる・・・?しかも普通に歩いてる・・・。
俺・・・あんなに思いっきり殴ったのに・・・。
ガタッ
ジャイアン「のっのび太!!すまねえ!!許してくれ!!なんだってお詫びはする!!バットで殴って本当にごめん!!ごめんなあ!!」
のび太「Hai Devo dire che diamine?」
出来杉「何を言ってるのか分からないみたい。」
ジャイアン「・・・!!」
そうか・・・そうだよな。
今ののび太は・・・イタリア人だと思いこんでるんだよな。
出来杉「それより剛田くん君・・・バットで殴ったって・・・。」
ジャイアン「うん・・・」
出来杉「でも、のび太くんは元気だよ。ちょっと性格が変わってるけど。」
のび太「Perché si abbassò la testa?」
出来杉「Sono scusa che ti ha colpito con una mazza.」
のび太「Cosa? Non ho il minimo ricordare di indossare.」
出来杉「身に覚えがないみたい。まあ・・・のび太くんがこのとおり元気だから安心しなよ。.」
ジャイアン「うぅ・・・すまねえ・・・本当にすまねえ・・・・」
授業が始まっても、のび太が日本語を話すことはなかった。
先生「野比、この問題が解けるか?」
のび太「Nel mio calcolo sarà 54 meno 5.」
先生「は?野比、ふざけてるのか?」
のび太「Mi dispiace, io chiedo loro di parlare in italiano?.」
先生「日 本 語 で 話 さ ん か !!」
みんなの大爆笑が教室中に響く。やめてくれ・・・。
ガタッ
出来杉「先生!のび太くんはその問題の答え、54余り5だと答えました!!」
先生「出来杉くん!!今は野比に言ってる!!」
出来杉「のび太くんは昨日、頭のうちどころが悪くて自分をイタリア人だと思い込んでるんです!!だからイタリア語しか話せないし今ののび太くんはのび太くんじゃありませ
ん!!」
出来杉「アドリアンなんです!!」
出来杉がそう説得した後、さらに爆笑の渦が教室中に響き、腹を抱えて床を転がる奴らが数十人もいた。
のび太をフォローしているにも関わらず、他の奴らが最低に思えてきた。
こいつら・・・のび太が病気を持っているのに・・・!!
ガタッ
ジャイアン「いい加減にしろてめえら!!のび太は重傷を負ってるんだぞ!!それを笑うなんて・・・お前ら人間かよ!!!」
しずか「だっだって・・・ププ・・・・武さん・・・アドリア・・・プハハハハハハハハハハ!!!」
ジャイアン「し・・・しずかちゃんまで・・・!!」
スネ夫「仕方ないよジャイアン・・・。みんな、のび太の事情全く知らないんだから・・・。」
先生「ほっ本当かね出来杉くん。笑いを取ってるんじゃなくて?」
出来杉「僕が笑いを取ってるように見えますか?」
先生「・・・・・・・・・・。」
先生が沈黙する。そりゃそうだ。信じられない出来事なんだ。
モブ1「もし笑い取ってたらのび太くんプロだねえ~」
モブ2「出来杉くんもノリノリってことになるな。二人ともお笑い芸人になれるんじゃない?」
再び大爆笑が始まった。やめろ!やめろ・・・!!
のび太「Perché è ridi?」
出来杉「 ... Non dovete preoccuparvi di Nob... Adrian.」
休み時間、別のクラスの奴らものび太の前に集まってくる。
まるで、珍しい物を見るような眼で見ていた。
その光景を見て俺は、なんとも思えなかった。
のび太「Tu, fai ti è capitato di essere radunati davanti a me?」
モブ「うわ、本当にイタリア語だ。」
モブ「すっげ。漫画かよ。」
モブ「ジャイアンに頭をバットで殴られたらイタリア人になるってバカボンのパパかなにか?」
しずか「のび太さん。イタリア語教えて欲しいんだけど」
のび太「E lei dice Nante?」
出来杉「Voglio che voglio che tu mi dica la italiana.」
のび太「Capisco. buono」
出来杉「良いみたいだよ。」
しずか「本当に!?ありがとう!!」
ワタシニモオシエテー キャーカッコイイー
のび太がどんどん人気者になっていき、学年アイドル的になった。
まるで、留学生にもなったかのように。
その光景を見て、なぜかホッとしたような感じに包まれた。
それと同時に嫉妬も生まれてくる。
・・・いや、何考えてるんだ俺は。自分の罪を自然消滅させる気か?
そう思うと自分が最低に思えてくる・・・。
体育の授業、今日はマラソンだったが俺はとんでもないものを目の当たりにした。
のび太が・・・あののび太が速いだと!?
ありえない・・・。頭を打っても体力は変わらない筈・・・なのに、
どうして余裕な表情で走ってるんだ!?
スネ夫「ぜぇ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・はぁ・・・ジャイアン・・・アイツおかしいよ。どうして静々しい顔でまだ走れるんだ?」
マラソンが終わり、俺達は疲れてグラウンドの上で寝転がったが
のび太はまだ余裕そうな顔をして立っていた。
のび太「Lo scenario magnifico è stato visto. Qui io non sono affatto stanco hanno una cultura unica come.」
先生も驚いていた。今までののび太は常にビリだったのに前から5番目にゴールしたんだから当然だ。
他の奴らもそののび太を見て、凄く驚いていた。
モブ「す・・・すげえ。あののび太が5位・・・だと・・・!?」
モブ「俺もジャイアンにバットで殴られればあのような静々しいのび太になれるんじゃねえのか・・・!?」
うっ・・・!
それを言わないでくれ・・・聞かせないでくれ・・・。
給食の時でものび太はなぜか感動してて気持ち悪かった。
掃除の時ではなぜか妙な疑問を感じていた。出来杉が言うには「僕達が掃除するなんておかしい」との事だ。
役員の仕事など変な事を言ってたらしい。
下校の時間になった時、ランドセルを担ぐ前にふとこんな考えがよぎった。
”のび太の親へ謝りに行く”
ジャイアン「うっ・・・!」
急に目の前が歪んだ。気持ち悪くなった。
怖くなったんだ。
スネ夫「ジャイアン・・・どうしたの?」
ジャイアン「なんでもねえ・・・行くぞ」
そうだ。のび太はこの通り元気なんだ。
なんでそいつの親へ謝りに行く必要がある?
・・・・・・釈然としねえ。
下駄箱から俺の靴を取りだし、学校から出てスネ夫と一緒に真っ先に家へ向かった。
歩いてる中、スネ夫との会話は無い。
昨日の事で頭がいっぱいだからだ。
のび太をバットで殴った事が脳裏に焼きつく。
ビクビクビクビクガタガタガタガタガタガタガタガタビクビクビクビクビクビク
ブシャアアアアアアアアアアアアア
スネ夫『ひぃぃぃ!!』
ジャイアン「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
一瞬思い出しただけで胸が裂けそうだ。
スネ夫「ジャイアン・・・」
俺は最低な奴だ。俺は最低な奴だ。俺は最低な奴だ。俺は最低な奴だ。俺は最低な奴・・・
のび太「Hey voi ragazzi. Non tornare insieme?」
後ろからのび太の声が聞こえると、不思議に罪悪感が薄くなった。
振り向くと、元気そうなのび太が立っていた。
ジャイアン「のび太・・・」
出来杉も一緒だった。
俺はそののび太の姿を見て、ものすごくホッとした気分になる。
ああ、そうか。
のび太は普通に生きてるんだ・・・。
スネ夫「今、なんて言ったの?」
出来杉「一緒に帰らないかいって。」
ジャイアン「一緒に帰る・・・?」
そうだ、一緒に帰るとしたらのび太の家へ向かう事になる。もし親がいたら俺は、なんて顔をすればいいんだ。
そう考えると身体が震えてきた。
ジャイアン「あ・・・あの・・・」
出来杉「戸惑らなくていいじゃないか。剛田君とスネ夫君はのび太君の友達だろ?」
ジャイアン「おっおう・・・」
言えなかった。一緒に帰りたくない事を。
のび太の元気そうな顔を見て、拒否出来なかった。
のび太「Quindi, non ho sentito il nome di voi ragazzi.」
スネ夫「え?なんて?」
出来杉「君達の名前を教えてくれない?って言ってるよ。」
スネ夫「やっやだなあのび太。冗談のつもり?僕達の事忘れたの?」
出来杉「Davvero non sai niente?」
のび太「Io non so niente da quando sono arrivato in Giappone.」
出来杉「日本に来てから全然知らないみたいだよ」
スネ夫「はあ!?おいのび太!!さすがに怒るぞ!!」
ジャイアン「スネ夫!!」
スネ夫「ひぃ!」
ジャイアン「忘れたのか?」
スネ夫「あ・・・そうだったね。」
ジャイアン「なあ・・・のび太。」
出来杉「Chiamiamo. Adrian」
のび太「Cosa?」
ジャイアン「日本は・・・良いところか?」
出来杉「Ti posto il Giappone è buona?」
のび太「Meraviglioso davvero unico, a differenza della cultura italiana. Giappone Te anche progredire la cultura del cibo è il cielo.」
ジャイアン「なんて言ったんだ?」
出来杉「えっと・・・日本は本当に素晴らしい国だって言ってる。」
ジャイアン「そうか。」
やっぱり・・・のび太はもういないのか。
弱虫でバカでムカツクのび太はもうこの世に存在しなくなったんだ。
いじめてた頃が懐かしい・・・。
懐かしくて・・・自分を殴りたくなってくる・・・。
スネ夫「ジャイアンどうしたの?下向いて?」
ジャイアン「なっなんでもねえよ。」
ふと顔を上げるとそこには
のび太の母ちゃんと[たぬき]がいた
ジャイアン「・・・・!!」
会った
会ってしまった。
一番会いたくない人に・・・!
いや、謝らなきゃ。
のび太をバットで殴った事・・・謝らなきゃ。
ここで逃げたら・・・ずっと罪悪感を引きずることになる。
バッ
ジャイアン「ご・・・・・・・ごめんなさ・・・!!」
たまこ「ありがとう」ニコ
ジャイアン「・・・・え?」
たまこ「武君のおかげでのびちゃん、とっても賢い子になったわ。もちろん日本語が喋れなくなったのは辛いけど、それ以外が凄く良くなった。」
たまこ「料理も出来るようになってたし、何より人間として評価できるような子になったんだもの。」
ジャイアン「で・・・でも!!」
[たぬき]「ママ・・・このままののび太くんでいいって。さすがにびっくりしたよ・・・・」
ポロポロ……
ジャイアン「で・・・でも・・・俺・・・のび太を・・・・。」
たまこ「もう0点の心配もないし、もしかしたら将来ケンブリッジ大学へ進学できるかしら?」
のび太の母ちゃんは全く怒って無かったかの様に見えたが、
おかしくなったとも感じ取れる。
たまこ「え~っと。」ピラピラ
たまこ「Torno a Adrian insieme. Rende cucina italiana insieme con la mamma di oggi」
のび太「madre va bene.」
のび太をバットで殴って一年が過ぎた。相変わらずのび太はイタリア語しか話さず、
成績は出来杉と張り合うくらいだった。
クラスの皆はのび太を過大評価し、イタリア語を教えて貰っていた。
その毎日が繰り返し、俺はもう、のび太に関して罪悪感はいつの間にか無くなっていた。
そう思ってた時だった。
翌日、のび太が学校に来てない。
俺はふと風邪だなと思いあぐらをかくと先生がやってきた。
先生は教卓の前に立ち、聞こえる様な声で
先生「え~皆、野比の事だが・・・彼はイタリアの学校へ転校することになった。」
・・・・え?
なんで・・・?
ガタッ
ジャイアン「せっ先生!!どういう事ですか!?」
先生「剛田君。彼は・・・日本語が話せないようだね?」
ジャイアン「・・・・・あ!!」
先生「そう・・・野比君はもうイタリア語しか話せないから両親の決断でイタリアへ引っ越すことになった。」
先生「彼にとっても日本の学校で学ぶのはきついだろう」
ジャイアン「そ・・・そんな・・・」
ガタッ
スネ夫「のび太はどこに!?」
先生「の・・・野比君はもう両親と一緒に成田空港へ向かってるよ。今は多分・・・電車に向かってると思う」
スネ夫「そんな・・・まだ・・・別れのあいさつもしてないのに・・・」
しずか「の・・・のび太さん・・・」
ジャイアン「・・・・・」
ジャイアン「いや・・・間に合う。」
スネ夫「ジャイアン・・・?」
ジャイアン「電車に向かってるってことは・・・ここから走ればまだ間に合うかもしれない!」
スネ夫「むっ無理だよ!!さすがにここからじゃたとえジャイアンの足でも・・・」
ジャイアン「のび太をイタリア人に変えちまったのは俺だ!!だから・・・せめて別れの言葉をアイツに伝えたい!!」
ダッ!!!!
先生「これ!もうすぐ授業が始まるぞ!!」
ジャイアン「うるせー!!今しかないんだ!!
スネ夫「そうだ!!のび太に会う機会をここで見逃すわけにはいかない!!」
しずか「私も行くわ!!のび太さんを会いに!!」
出来杉「僕も!!」
モブ1「俺も!!」
モブ2「私も!!」
モブ3「みんなー!!全員のび太を会いに行けば休校になるぞ~!!」
ウォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!
ジャイアン「み・・・みんなあ!!」
スネ夫「僕達も一緒に行くよ。」
しずか「貴方だけじゃないわ武さん」
出来杉「僕達も君と一緒だ。」
モブ1「学校サボれると聞いて」
モブ2「やってきたぜ」
モブ3「のび太に会えて学校休み、最高じゃねえか。」
ジャイアン「よーし俺の後に続けええええええええええええ!!」
ウォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!
全員俺の後に続く。こんな俺を、のび太をバットで殴った奴を、
いや、今はそんなこと関係ない!!
今までアイツと一緒にいた思い出、一生忘れられない別れを伝えるために。
これはイタリア人になったのび太の為じゃない、のび太の為に向かってる
ジャイアン「のび太あああああああああああ!!!」
たまこ「とうとうこの生まれ育った町もおさらばね・・・。」
パパ「・・・さみしくないのか?」
[たぬき]「僕は・・・怖いと思ってるよ。だって・・・」
[たぬき]「だって未来ではのび太くんイタリア語喋れないし、セワシだってその事を知らない。もしかしたら・・・未来が変わってるかもしれない・・・。」
パパ「ハハ。何言ってるんだよ[たぬき]。君はまだいるじゃないか」
たまこ「そうよ。何も心配する事なんて無いわ。」
[たぬき]「パパ・・・ママ・・・」
のび太「Inoltre, voglio viaggiare in Giappone.」
[たぬき]「のび太くん・・・・・」
たまこ「あら?何か外が騒がしいわね・・・。」
ノビタァァァァァァァァァァ ノビサタァァァァァァァァァァン
[たぬき]「あ・・・あれは・・・・」
ガララ
[たぬき]「みんなあ!!!」
ジャイアン「ドラえもぉん!!もう電車に乗ってたのか!?」
スネ夫「はっ速い!!僕達じゃ追いつけないよぉ!!」
[たぬき]「のび太君のび太君!!ほら見て!!クラスのみんなだよ!!」
のび太「Non si sta vieni?」
ヒョコ
ジャイアン「のび太ああああああああ!!」
ジャアナアアアアアアア!!! マタアオウナアアアアアア
ガンバレエエエエエエエエエエ!!!
のび太「Tutti ...」
スネ夫「ほら!!まだ言ってないのジャイアンだけだよ!!何してんだよ!!」
ジャイアン「るせえ!!今、イタリア語の本で別れのあいさつを捜してんだよ!!今のアイツにふさわしい別れのあいさつがしてえんだよ!!」
スネ夫「そんなことしてる場合じゃ・・・ああ!!もうすぐ道が途切れちゃうよ!!早く早く!!」
しずか「武さあん!!」
ジャイアン「分かってる・・・見つけた!!くっ読みにくい!!」
ジャイアン「うおおおおおおおのび太ああああああああああ!!」
ジャイアン「グラッチェ フィノ オラ エイド!!ラ ノストラ ノンコサ ヂメンチケイトォォォォォォォ!!」
やった。伝えた。
のび太の為に、イタリア語で別れの言葉を伝えた。
”今までありがとうございました。僕達の事、忘れないでください”
道が途切れ、電車が行ってしまう前に聞かなきゃ。
本当に・・・本当にのび太に伝わったのか・・・。
ジャイアン「ドラえもおおおおおおおおおおおおん!!」
ジャイアン「のび太に伝わったかああああああああああああああ!!?」
[たぬき]「のび太君があああああああああああああ!!」
[たぬき]「文法むちゃくちゃだってええええええええええええええ!!!」
電車が遠くなっていく。
[たぬき]がなんて言ってるのか分からなかったが、のび太はとても感動した事を言ってたんだと思う。
・・・・・・・・・・・・
元気でなのび太。
いつかまた会おうぜ
あれから数十年がたった。俺はすっかり大人になり、
今は区役所の役員として働いている。
電車の時以来ずっと、のび太がどうしているか全く知らない。
休憩時間の時だ。後輩の山瀬君がテレビを付けた後、ニュースが映った。
イタリアで妙な事件が起きたらしい。ある日系イタリア人がいきなり日本語を話すようになり、
口調がまるで小学生だったようだ。
ジャイアン「いや・・・まさかな・・・・」
缶コーヒーを飲もうとした瞬間、テレビから聞き覚えのある言葉が響いた。
???「助けてええええええドラえもおおおおおおおおおん!!」
完
まさか出木杉を出来杉と間違えてるなんて思わなかった。
まとめられる時に直してくれるかな。
このSSまとめへのコメント
ドラえもん
………… 不 思 議 。 。
っ野 比 さ ん 、
( ぁ - も - 、 何 な の ょ !! )