及川雫「6月2日、2人ベッドで」 (20)

雫ちゃんと裕子ちゃんがベッドの中でトークをするお話しです

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23:00

雫「2人で同じベッドに寝るなんていつぶりでしょうかー?」

裕子「あれは私達が上京して間もない頃でしたからね……でもあの時のことは忘れちゃいました!」

雫「もうっ、ユッコちゃんったら」

雫「でもどうしていきなり『一緒に寝ましょう!』なんですかー?」

裕子「………え?」

裕子「ま、まぁ初心忘れるべからずって言葉もありますからね。それに明日は2人ともオフですから少しぐらい夜更かししちゃいましょうよ」

雫「『夜更かしはお肌の敵!ギルティよ!』って早苗さんは言いそうですけどー……たまには夜更かししちゃいましょうかー」

裕子「ええ! まだ12時前ですからどんどん夜更かししましょう!」


23:05

裕子「………zzz」

雫「ユッコちゃん?」

裕子「……はっ!! 危うく寝るところでした!」

雫「お疲れでしたらやっぱりおやすみしましょうかー?」

裕子「いえ! まだいけます!」

裕子「寝ないためには……そうだ! 最近あったことでもお話ししましょう!」

雫「それはいいですねー」

裕子「ではまず私から、この前私のさいきっくで乃々ちゃんを助ける機会がありましてね……」


―ある日の事務所―

裕子「今日も元気にさいきっくー、ゆーっこー、ゆーっこー、エスパー……むむむん? 何してるんですか乃々ちゃん?」

乃々「あ……どうも裕子さん……地獄から逃げるために隠れるんです……」

裕子「地獄ですか……つまり誰かから逃げたいんですね!」

乃々「仕事のためとはいえ絶叫マシン対策で回転マシンに乗せられるなんて……むーりぃー……」

乃々「だからもりくぼは対抗するために机の下に立てこもるんです……」

裕子「でも遠くからでも乃々ちゃんのこと見えちゃいますよね」

乃々「うぅ……それはそうですけどぉ……」

裕子「ふっふっふ、でしたらこのエスパーユッコにお任せください! 乃々ちゃんをみなさんから隠してあげましょう!」

乃々「ほ、本当ですかぁ……?」

裕子「まぁ今回はタネも仕掛けも使うとして……それはそうと乃々ちゃんに聞きたいことがありまして」

乃々「え……聞きたいこと?」

裕子「ちょっとですねー……ゴニョゴニョ……」

乃々「そ、それは……も、もりくぼでよければお答えしますけど……」

裕子「交渉成立ですね! ちょっと待っててくださーい!」

乃々「ど、どこに行くんですか裕子さん……」


23:15

雫「乃々ちゃんを助けてあげたんですねー」

裕子「ええ、机の下にいる乃々ちゃんを探しに来たトレーナーさんから見えないようにしたんですよ」

雫「でも、乃々ちゃんの大きさでも遠くからは見えちゃいますよねー?」

裕子「ふっふっふ……この世は目に見える物が全てではないのです! さいきっくのヒミツ知りたいですか?」

雫「うーん……ヒントくださいー」

裕子「他ならぬ雫ちゃんの為にヒントを教えましょう! ヒントは自分自身と見つめ合うこと、です! アイドルである私達にはとっても身近なものですよ」

雫「自分自身と見つめ合う……私達にはとーっても身近なもの……」

雫「……あっ! 答えは『鏡』ですねー」


―事務所―

乃々「こんな方法で隠れられるんでしょうか……」

裕子「鏡の力は凄いんですよ! こうやって斜めに立て掛けておけば外からは空っぽの机にしか見えないのです! それに光ちゃんも『いざとなったら鏡の中に退避する奴もいるからな!』って言ってましたから大丈夫です!」

乃々「それは違うと思うんですけど……あと私達、鏡の中じゃなくて裏にいるんですが……」

乃々「それになんで裕子さんもここにいるんですか……」

裕子「自分のさいきっくは自分で体験してこそですから! それにしても狭いですね……」ギュウギュウ…

乃々「2人で隠れていたら当たり前なんですけど……」

裕子「しっ! ……誰か来ましたよ」

ベテトレ「ったく、森久保はどこに行ったんだ」

ベテトレ「いつもの机の下には……いないか」

裕子(やりました! うまくトレーナーさんから隠れることができましたよ!)

乃々(まさかこんなにも上手くいってしまうとは……後が怖くなってきたんですけどぉ……)

裕子(ふふふ……これぞさいきっく・ミラー・カモフラージュ!)

乃々(こ、こんなところで決めポーズとかされると……)

バターン!!!

裕子「おっと、鏡が倒れてしまいま……」

ベテトレ「やぁ堀、あと探したぞ森久保、そこで何をやっているんだ」ニッコリ

裕子・乃々「「あ゛……」」


23:30

雫「結局見つかってしまったんですねー……」

裕子「あの後のお仕置きレッスンは壮絶なものでした……うぅ、思い出したら悪寒が……」

雫「あはは……トレーナーさんを困らせちゃダメですよー」

裕子「今度からトレーナーさんへのさいきっくはほどほどにしましょう……いや待ってください、ルキちゃんなら何とかなるのでは?」

雫「ルキちゃんでもダメですよー」

裕子「ま、まぁ私のさいきっく手助けは他にもありますから! 雫ちゃんは最近何か面白いことはありましたか?」

雫「最近、ですかー」

雫「面白いこと、ではないですけどこの前、薫ちゃんのお弁当作りを手伝ってあげましたねー」

裕子「薫ちゃんは9歳なのに料理が得意ですからね……、ちなみにどんな料理だったんですか?」

雫「ふふっ♪あれはですねー……」


―ある日の女子寮―

雫「今日も元気にみるくをごくごくー♪ あ、お2人ともこんにちはー」

薫「雫お姉ちゃんだー! こんにちはー!」

あい「やぁ雫くん、今日も牛乳を1パック飲んでいるのかい」

雫「はいー、毎日の習慣ですからー」

薫「かおるも毎日牛乳をたくさん飲んだらあいお姉ちゃんや雫お姉ちゃんみたいに大きくなれるかな-?」

あい「もちろんさ、食べるだけじゃなくたくさん外で遊んでくれば薫も大きくなれるよ」

雫「私も小さい頃は牛さんのお世話でいっぱい動きましたからねー、薫ちゃんもきっと大きくなれますよー」

雫「ところでこれはお弁当ですかー?」

薫「うん! せんせぇのためにかおるが作るんだー!」

あい「私は薫のお手伝いというところかな」

薫「そうだ! 雫お姉ちゃんもかおるといっしょにお料理しようよ!」

雫「お料理ですか? もちろんいいですよー」

薫「やったぁ! いーっぱい作ったらせんせぇも喜んでくれるかなー?」

あい「薫、いっぱい作ってもお弁当には全部入らないよ。でも余った分はみんなにご馳走したらきっと喜んでくれるんじゃないかな?」

雫「薫ちゃんのお料理ならみんなも喜んでくれますよー」

薫「そっかぁ……うん! よぉーし、いっぱい作るぞー!」

薫・雫「「おー!」」

あい「ふふっ、2人とも楽しそうでなによりだよ」

雫「せっかくですし、お弁当用じゃなくて女子寮のみんなに食べてもらえるようなものも作りましょうかー」

あい「ほう、雫くんそれはどんな料理なんだい?」

雫「実家にいる時によく作ったんですけどねー、とーってもあったかくなれる料理ですよー」


23:40

雫「この前の夕飯に出た薫ちゃん特製ハンバーグ、実は私も手伝っていたんですよー」

裕子「えぇぇぇ!! あのとっても美味しかった薫ちゃんのハンバーグ、雫ちゃんも手伝っていたんですか!?」

裕子「あの夜のみくちゃんなんて「うまい……うますぎるにゃあ……」って泣きながらハンバーグ食べてましたよ」

雫「泣いて喜んで貰えただなんて、薫ちゃんが聞いたら大喜びしそうですねー」

雫「実はあの日のメニューの中には私が提案して作ったものもあったんですが、分かりますか-?」

裕子「あの夜の料理ですか……待ってください、今思い出しますから……むむむー」

雫「がんばってくださいねー」

裕子「むむむ……むむむ……あの夜の記憶よーよみがえれー」

裕子「……むん!?」

雫「ユッコちゃん?」

裕子「思い出しました……! 思い出しましたよ! あの夜、ハンバーグと同じくらい美味しくて温かい気持ちになれた料理」

裕子「それは……クリームシチュー! 雫ちゃん、あってますか?」

雫「正解ですよ-! うちの牧場の牛乳を使ったシチュー、分かっていただけて嬉しいですー」

裕子「私が雫ちゃんとどのくらい一緒にいると思ってるんですかー、私には分かっちゃうんです!」

裕子「あぁ、でもあの時のシチュー美味しかったなぁ……」

雫「もうクリームシチューの季節は過ぎちゃいましたけど、今度一緒に作りましょうねー」


雫「でもこうしてお話ししてみるといろいろな事があったんですねー」

裕子「事務所にはたくさんの人がいますから、話は尽きませんね!」

裕子「そういえば最近、輝子ちゃんのキノコが……」

ピピッ!

雫「おや? なんの音でしょうか-?」

裕子「すみません、私の携帯のアラームです。もう0時なんですね……」

裕子「……雫ちゃん! お誕生日おめでとうございます!」

雫「あ、ありがとうございますー。もしかしてこのために一緒に寝ようって言ったんですか-?」

裕子「その通りです! 雫ちゃんの誕生日を一番にお祝いしたくて、ユッコ頑張りました!」

雫「まさかこんな早くに祝ってもらえるだなんて、ありがとうございます-!」

裕子「私と雫ちゃんの仲じゃないですかー! あ、そうだ」


裕子「雫ちゃん、雫ちゃん、誕生日を迎えてこれからの抱負とか夢とかありますか!?」

雫「抱負とか夢ですかー?」

雫「そうですねー……ゆっくりでもいいですからアイドルとして、もーっと頑張っていきたいですねー」

雫「ユッコちゃんに早苗さん、事務所のみんなとならきっと叶えられる気がしますー」

裕子「くすっ、雫ちゃんらしい抱負ですね」

裕子「でも、もっとこう……なにか『スプーンが欲しいー!』とか『スーパーサイキックショーがしたいー!』とかないですか?」

雫「うーん……あっ、じゃあこういうのはどうでしょうかー?」

雫「ぎゅー」

裕子「あっ……あの雫さん? なにやってるんですか?」

雫「見ての通りハグですよー」

裕子「いや、それは分かってますよ……でも顔が近すぎません!?」

雫「今私がしたいことは大好きなユッコちゃんの顔を見ながら寝たいことですねー」

裕子「そ、それが雫ちゃんの希望ならユッコ頑張っちゃいます……!」

雫「ふふっ、時計も12時を過ぎましたしそろそろ寝ましょうかー、おやすみなさいー」

裕子「お、おやすみなさい……」

雫「明日もいっぱい遊びましょうねー……」


24:15

裕子(雫ちゃんは私を抱きしめたままスヤスヤと眠ってしまいました……)

裕子(きっと疲れていたのでしょうね)

裕子(それにしても……)

裕子(こうも顔が近いとドキドキしちゃいますね……)

裕子(あと抱きしめる力が少し強いです。やはりミルクぱわーはさいきっくぱわーに並ぶ3大パワーの1つですね間違いない)

裕子(……明日は早く起きないといけませんし、私も寝るとしましょう)

裕子(あ、寝る前にもう1回)

裕子「お誕生日おめでとう、雫ちゃん」


7:30

雫「ふわぁ……もう起きなきゃー……」

雫「うーん……少し寝過ぎちゃいましたかー」

雫「ユッコちゃんは……いないですねー」


―談話室―

雫「おはようございますー、あら?」

裕子「すやぁ……」

雫「こんなところで寝ちゃったら風邪をひいちゃいますよー」

裕子「ふっふっふ……やりました……やりましたよぉ……」

雫「あららー、ねぼけちゃってますねー……ところで机の上にあるのってー」

【雫ちゃんへ】

雫「お弁当箱とお手紙?」

雫「読んでみましょうかー」

雫「えーっと……」


裕子『この手紙を雫ちゃんが読んでいるということは、おそらく私は眠ってしまったのだと思います』

裕子『実は夜明け前ににこっそり部屋を抜け出してお弁当を作っていました!』

裕子『正直なことを言うと、私は薫ちゃんや響子ちゃんのように料理がとても上手な訳ではありません』

裕子『どんな時も自分のさいきっくで切り抜けていますから!』

裕子『でも、どうしても私自身の手で料理を作って、それを食べて欲しい人がいました』

裕子『それは雫ちゃんです。昨晩、初めて2人で寝た時のことを忘れてしまったと言いましたが、実は嘘でした』

裕子『あの夜のことは今でも覚えています。上京して初めての1人暮らしで不安だった私を「私も実家を離れて寂しいですけど、一緒に頑張りましょ-!」と不安だった私をベッドの中でハグしてくれた雫ちゃんのことを忘れたことはありません』

裕子『私はサイキックなアイドルになるため、雫ちゃんは実家の牧場をもっと有名にするため、目指す夢は違ってもアイドルとして、同じユニットとして一緒に活動することができて私はとても嬉しかったです』

裕子『だから雫ちゃんに感謝の気持ちを伝えたくてこのお弁当を作りました』

裕子『今回のために乃々ちゃんやくるみちゃんにリサーチして雫ちゃんが好きそうなものをこれでもかとお弁当に詰め込んでみました!』

裕子『このお弁当に込めた思いは誰にも負ける気はしません!』

裕子『昨晩も言いましたけど……雫ちゃん、誕生日おめでとう!』

裕子「これからも私と仲良くしてください!」

裕子『追伸:お弁当なんですけど私が起きるまで開けないでください、ちょっと恥ずかしい出来なので(-_-;)』

裕子『あと今日は早苗さんがどこか美味しい所へ連れて行ってくださるそうです!楽しみにしましょう!(≧∇≦)』

裕子『サイキックアイドルにして雫ちゃんの親友、堀裕子より』


雫「………」

雫「……ぐすっ……ユッコちゃん……」

雫「ユッコちゃぁぁん!!!」ギュー!

裕子「ぐほぁ!!」

雫「ありがとうございますユッコちゃん! 大好きですー!!」

裕子「ぐへっ……重い! 雫ちゃんのしかからないで-!」

雫「うぅ……、ごめんなさぁい……ぐすっ……」

裕子「なんでそんなに泣くんですかー! 誕生日なんですから泣かないで-!」

雫「うんっ……ぐすっ……うぅ……うわーん……!」

裕子「どうどう……でも、そこまで喜んでもらえると頑張ったかいがありました」

雫「ユッコちゃん……」

裕子「せっかくですし私の作ったお弁当を食べましょうよ」

雫「……せて」

裕子「なんですか雫ちゃん?」

雫「あーんで食べさせてくださいー……」

裕子「あ、あーんですか!? も、もも、もちろんいいですとも!」

雫「大好きな友達にこんなに祝って貰えるだなんて、とーっても幸せですー!」

裕子「ふふっ、今日は私と早苗さんがいーっぱい雫ちゃんをお祝いしますから! 楽しみにしてくださいね!」

雫「……はい!」


おしまい


本日6月3日は及川雫ちゃんの誕生日です
セクギルコミュで雫ちゃんと裕子ちゃんが同じ上京組で仲良くしていると知ってこんなこともあったんじゃないかなーと思って書いてみました
雫ちゃんの誕生日はまだ始まったばかり!雫ちゃんがこれからももーっと輝けますように…


html依頼出してきますねー

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