キョン「涼宮ハルヒの驚愕(前)279ページ」 佐々木「えっ?」 (15)


キョン「涼宮ハルヒの驚愕(前)279ページ」ボソッ

佐々木「えっ?」

キョン「2行目」

佐々木「キョン?」

キョン「読んでくれ」

佐々木「読むって……」

キョン「涼宮ハルヒの驚愕(前)279ページ2行目『キョンの望みであるなら~』から、はい」

佐々木「ええっ?」

キョン「早く」

佐々木「……キョン、どうしたんだい今日は? 君らしくな―――」

キョン「読んでくれ!!」

佐々木「っ!!?」ビックゥ!

キョン「ほら」

佐々木「……『キョンの望みであるならなんでも言うことをきくつもりでいるよ』……?」

キョン「……」コクリ

佐々木「……これは?」

キョン「もう一回読んでくれ」

佐々木「えっ? 待ってくれキョン。少しぐらい事情を言ってくれても」

キョン「もう一回」

佐々木「……『キョンの望みであるならなんでも―――」

キョン「ん?」

佐々木「いうことを』……え?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495546512


キョン「今」

佐々木「うん」

キョン「なんでもって言ったか?」

佐々木「言ったよ。そう書いてあるからね」

キョン「なんでも言うことを?」

佐々木「『きくつもりでいるよ』……」

キョン「ん?」

佐々木「うん?」

キョン「これはつまり……どういう意味だ?」

佐々木「どういう意味? どういう意味もなにも……言葉の通りじゃないのかい?」

キョン「言葉の通りと言うと……あれか?」

キョン「佐々木は」

佐々木「うん」

キョン「俺の」

佐々木「うん」

キョン「言うことを」

佐々木「うん」

キョン「なんでもきくつもりでいる……と?」

佐々木「そう書いてあるよ」

キョン「……そうか」

佐々木「……キョン?」

キョン「………………よしッッッ!!!!」

佐々木「!?」ビクッ!!


キョン「じゃあまずは……」

佐々木「……ちょっと待ってくれないかキョン」

キョン「ん? どうしてだ?」

佐々木「どうしても何も……この状況はなんだい? 説明を請いたい」

キョン「なんの説明だ? 佐々木は一体なにが分からないんだ?」

佐々木「何って……いや、そうだね。うん……まずは」

佐々木「キョン、君は今何について思考を進めているんだい?」

キョン「そりゃもちろん、なんでも言うことをきくつもりでいる佐々木になにをしてもらおうかと思案していたところだ」

佐々木「……なるほど、分かった。じゃあ次の質問」

佐々木「君が読めと渡してきたこの本は……何なのかな?」

キョン「涼宮ハルヒの驚愕(前)」

佐々木「…………何なのかな?」

キョン「ラノベ」

佐々木「いや……うん、そうなんだけど。そうなのだろうけど……」

キョン「うーむ……メイド、バニー……魔女っ子……」

佐々木「キョン!?」


キョン「悩むな……」

佐々木「……仮にだよ?」

キョン「うん?」

佐々木「仮に僕が本当に君の言うことをなんでもきくつもりなのだとしたらだよ?」

キョン「おお」

佐々木「君は……その、僕に何かを求めているということかい?」

キョン「そうなるな」

佐々木「その具体的な何かというのは?」

キョン「それは…………」

キョン「禁則事項だ」

佐々木「君がさっき失言していたようなことならば、発言を上書きして断りたいのだけれど」

キョン「失言? なんの話だ? 俺は何か言ってたか?」

佐々木「……メイドだとかバニーだとか……コスプレ、というのかな?」

キョン「あぁ、確かにそれも思考の一端であったが今はそんな気分じゃない」

佐々木「気分!? じゃ、じゃあ今は何を考えて……」

キョン「幼なじみ……いや、姉属性も捨てがたいか……」

佐々木「キョン!?」


佐々木「キョン、聞いてくれ」

キョン「どうした親友よ」

佐々木「僕の発言に対しての、君の見解に訂正を求める」

キョン「訂正? どうしてそんなことを」

佐々木「君が本気でそう捉えるとは思わなかったからだよ」

キョン「本気……本気って、そりゃお前が言ったんだから……言ったんだから。な? なぁ??」

佐々木「そんなに動揺しなくても……キョン、ここを見てくれ」

佐々木「『キョンの望みなら~』発言の次の行だ」

キョン「なになに……『本気とも冗談とも判断できない口調で』……冗談!?」

佐々木「そうなんだ。君には判断がつかなかったようだが、僕としては冗談のつもりで言ったんだよ」

キョン「……」アングリ

佐々木「口を閉じよう、キョン。間抜けに見えるよ」

キョン「冗談……だったってのか?」

佐々木「そのつもりだったんだ。悪気はないよ」

キョン「……えぇ? いやいやいや、ないないない」ブンブン!

キョン「だってめちゃくちゃ考えてたんだぜ? 佐々木になにしてもらおうかと」

キョン「眠れぬ夜を何度過ごしたことか……えぇ……」

佐々木「へ、へぇ……眠れないほど考えてたんだ。僕のことを」

キョン「なのに……なのにッ!」

キョン「そりゃあんまりじゃないか!!!! 佐々木さんよォ!!!」バン!

佐々木「!?」ビックゥ!


キョン「『なんでも』……『なんでも』って言ったじゃねえか……」

佐々木「い、言ったけどね。まさか君ほどの男が本気と捉えるとは思わなかったんだよ」

キョン「捉えるだろうよ!!!! こっちは思春期待っただ中!! 高二病真っ最中の身だぞ!!!!」

佐々木「う、うん……」

キョン「女子に『好きにしていいよ』って言われたら……そりゃあ……そりゃあな」グフフ

佐々木「そこまでは言ってないよ。それに笑みが下卑だよ、キョン」

キョン「……あーあ!! 親友に騙された!!! 初心を弄ばされた!!!」

佐々木「そんなつもりは……すまないと思っているよ。無責任な発言をしてしまって」

キョン「……だったら責任を持てばいい」

佐々木「なんでも言うことをきけと?」

キョン「そうだ!!」

佐々木「それは暴論じゃないかな」

キョン「だって!! だってよぉ!!!」

佐々木「ではキョン。君は親友である僕に、その……異性を感じさせる行動をとらせようとしてはいないかい?」

キョン「そんなことはない」

佐々木「僕の考えすぎなのかな……?」

キョン「SM……いや、目隠しか?」

佐々木「キョン? キョン???」


キョン「ワンチャン……ワンチャンあるぞこれ」ブツブツ

佐々木「……なにか大きな力が働いているのかな? 僕の親友がこんなにおかしいわけがない」

キョン「……佐々木」

佐々木「なにかな? 次いで突飛な発言を加えるのだけは控えてほしいね」

キョン「お前、確か俺のこと『愛すべき親友』と称したこともあったよな?」

佐々木「……ああ、それは。もちろん、友愛の域を出ない限りでは」

キョン「愛があるならなんでもできるんじゃないか?」

佐々木「そんなことはないさ。『なんでも』なんて言葉はそんな簡単な言葉じゃ―――あ」

キョン「そうだよ!!! なんでもなんてそう簡単に使っちゃダメなんだよ!!!!」

佐々木「……」アチャー

キョン「男子高校生に過度な期待を持たしちまうかもしれないからな!!! おぉ!!!」

佐々木「すまないと思ってるよ……」

キョン「ふーっ! ふーっ!」

佐々木「……ごめんね」

キョン「…………いや、本当はもう、いいんだ」

佐々木「キョン……」

キョン「最初は俺も半信半疑だったんだ。あの佐々木が本当になんでもしてくれるのか、って」

キョン「可能であるなら手作りの弁当でも作ってもらえるかなぁ、なんて考えてたりしてよ」

佐々木「そ、それなら……それぐらいは……うぅん……」

キョン「ただ、俺の欲望はいつの間にか膨らんじまって抑えきれないものになっていった」

佐々木「……」


キョン「いつの間にか、俺はお前の言った言葉が冗談ではなく、本気なんだと勘違いしていたんだな」

キョン「言葉の魔力ともいうべきか……まったく、さすがだな佐々木」

佐々木「そんなに大それたことを言ったつもりはないんだけどね……」

キョン「まったく、こんな本を読んで勘違いしちまった俺もどうかして……る」パラパラ

佐々木「というかその本は何を……キョン?」

キョン「……佐々木」

佐々木「うん?」

キョン「涼宮ハルヒの驚愕(前)283ページ8行目」ボソッ

佐々木「えっ?」

キョン「読んでくれ」スッ

佐々木「……読まなきゃ」

キョン「ダメだ」

佐々木「…………」パラッ

キョン「その2行前の俺の『お前の存在意義は何なんだ』に対するお前の返答だ」

佐々木「……『人類の一員として言うならば、当然、」

佐々木「自分の遺伝子を残すことに尽きるだろう。』……」

キョン「…………」

佐々木「…………あの、キョ―――」

キョン「うおぉおおぉおおぉおおおおぉおおおおおおおおおおお!!!!!」

佐々木「ああぁ…………やれやれだよ」

以上! 終わり!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom