凛「イシュタル? シュメール神話に出てくる女神だったかしら……って何よあんた! いきなり私を口説こうとしてるわけ!?」
ぐだお「イシュタルじゃ……ない?」
凛「私は遠坂凛、あなたを召喚したマスターよ。あんた弱そうだけど見たところキャスターよね? 私をイシュタルと間違えるなんて、神代の英霊なのかしら」
ぐだお「俺がサーヴァント……? な、何ですとーー!?」
凛「どうやらはずれ引いたみたいね……。そもそも自分がサーヴァントかどうかもわかんないってどう言うことよ! あんたの真名は?」
ぐだお(うーむ、どうやら聖杯戦争に巻き込まれたらしい。また何かしらのイベントが起きているようだ)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1494765601
ぐだお「俺の名前はぐだお。元は君と同じマスターだったからサーヴァントとしての活躍は期待しないで」
凛「はぁ? 元はマスターだったの? いったいどんな功績上げたら英霊の座に行くってのよ」
ぐだお「いやぁ……あはははは」
凛「ステータスも軒並み低いじゃない。優れた魔術師ってわけでもなさそうだし、ああ……もうっ! どうしてこうなっちゃったのよ!」
ぐだお「諦めたらそこで試合終了ですよ?」
凛「うるさい! 諦めてなんかいないわよ。あんたみたいなハンデ背負ってでも勝ってやるんだから!」
ぐだお(カルデアからの連絡もくる気配がないな)
ぐだお「酷い言われようだ……。まずはこの時代のこととか色々教えてくれる?」
翌日 学校
ぐだお「……結果がはってある」
凛「ええ、すでに準備をしてきてるマスターがいるようね。まっこの結果はすぐにどうこうってわけでもなさそうだし、放課後に対策を練りましょう」
ぐだお「これ、メドゥーサの結界だよ」
凛「……驚いた。あんた見ただけで相手の真名までわかるの?」
ぐだお「俺のサーヴァントだったからね。ステータスもスキルもわかるよ」
凛「ふーん。意外とやるじゃない。真名がわかれば対策の取り用はあるわ! とはいえアタッカーがいないとどうしようもないけどね」
ぐだお「俺はサポート専門だから、サーヴァントと闘うとか無理です」
凛「ま、無い物ねだりしてもしょうがないか。こうなったら相手のマスターを殺るしかないわね」
ぐだお「人殺しよくない」
凛「……聖杯戦争に参加する以上そんなぬるい考えじゃだめよ。殺らなきゃ殺られるわ」
ぐだお「……」
凛「あら、怒ったかしら? でもこれは事実よ。それが嫌ならサーヴァントを倒しなさい 。貴方のステータスでは酷かもしれないけど、私は本気で勝ちたいの。 どんな手でも使うわ!」
ぐだお「……わかった」
放課後
ぐだお「人が……いない」
凛「やられた。人払いの結界が張られているわ」
???「ハッ、どっちがマスターかわかりゃしねえ! そこのお間抜けキャスターさん、そっちの嬢ちゃんの方がよっぽど強えんじゃねえか」
ぐだお「兄貴!」
兄貴?「兄貴だァッー!? おいおい、誰かと勘違いしてんじゃねえのか。俺にそんな弱そうな弟分はいねえよ!!」
凛「あのランサー、お知り合い?」
ぐだお「俺のサーヴァントだったからね。マスターも名前は知っていると思うけど、クー・フーリンだよ」
凛「あんたいったい何体サーヴァントと契約してたのよ! まあいいわ。あいつの弱点とかないの? クー・フーリンと一対一なんて部が悪すぎる」
ぐだお「残念ながら、俺に突けそうな弱点はないね」
クー・フーリン「驚いた。俺の真名を一瞬で看破るとはね。過去に俺のマスターだったなんてのは信じねえが……お前さん、見た目通りの弱男くんってわけじゃあなさそうだな! いざ尋常にッ!!」
ぐだお「会話ができる雰囲気じゃないみたいだ……」
凛「くるわよ!!」
ヒュン
クー・フーリン「躱した!?」
凛「あんた、今どうやって……」
ぐだお「瞬間回避だよ……! マスターの魔力で過去に使った魔術礼装の魔術が使えるみたいだ。けどこれ、一度使うとしばらくは使えないんだ」
凛「よくわかんないけど、攻撃に使えそうな魔術はないの?」
ぐだお「……ないです」
凛「ほんと役立たずなんだから! どうにかしてこの場から逃げないと……こんな序盤でやられるなんてまっぴらごめんよ!」
ぐだお「ガンド!!」
クー・フーリン「ハッ、んなもん効くかよ!! ……なんだ、こ……いつは……」
ぐだお「走るぞ! つかまって!!」ダッ!
クー・フーリン「待、ち……やが、れ……」
凛「あきれた……。あんたのガンドどうなってんのよ!」
校舎
凛「ちょっと! どうして校舎に逃げ込むのよ? 完全に逃げ切らないと気付かれたら終わりじゃない 」
ぐだお「人がいた。多分学生だと思う」
凛「……え?」
ぐだお「きっとクー・フーリンも気付いてる」
凛「……そう。一般人にあの闘いを見られた以上、やることは一つしかないわね」
ぐだお「……それはさせない。先に見つけよう」
凛「見つけてどうすんのよ。 もし先に私が見つけて記憶を消したとしても、その後にランサーが来たらあんた倒せるの?」
ぐだお「逃げるのなら得意です!」
凛「……」
凛「フッ、あんた本当、バカよね。ま、無関係な生徒を巻き込んだのは私にも原因はあるか……。ていうか私の領域であるこの学校の生徒を襲おうだなんて、遠坂家に対する冒涜よね? いいかしらキャスター? これはあくまでメンツの問題よ。決して一般人を救いたいからって行動じゃないんだからね」
ぐだお「……」ニコニコ
凛「……何よその顔は」
ぐだお「さあ、探索開始だ!」
ーーー
ぐだお「ーーッ!!」
凛「遅かったか……」
ぐだお「まだ、息がある」
凛「嘘……、なんだってあんたが……」
ぐだお「応急手当!」
ぐだお「……ダメだ。傷が深すぎる!」
フラッ
凛「あーもう、私バカなことしようとしてる! だめよ、絶対だめ。お父様に会わす顔がなくなるわ」
ぐだお「……マスター?」
凛「ほんと間抜けだわ。でも、うん。こうしなきゃきっと後悔するはず。ごめんなさいお父様! 最後まで勝ち残ったら許してくれるわよね……」
マスター「その200連くらいできそうな石は……?」
凛「ーーこうすんのよ!!」
遠坂邸
凛「はぁー、やってしまったわね……」
ぐだお「元気だしなよ。君がマスターで良かったと心から思うよ」
凛「ーーッ、うるさい。ああ、私の最後の手段に取っておくはずだったのになぁ……」
ぐだお「一つ良いお知らせが」
凛「何よ?」
ぐだお「瀕死の生徒を見た時に、宝具の使い方が何となくわかった」
凛「ふーん。で、どんな宝具なわけ?」
ぐだお「とりあえずさ」
ぐだお「ーーさっきみたいな魔力の籠った宝石くれない?」
凛「何に使うの? さっき程魔力の籠った宝石はもうないわよ。私が少しずつ溜めていた物が残り四つくらいあるだけなの。これも緊急時に取っておかないと不味いし……」
ぐだお「四つあれば多分いけるよ!」
凛「これでしょうもない宝具だったら令呪を使ってお仕置きしてやるんだから! ほら、大事に使いなさい」ひょい
ぐだお「よし、宝具展開! 限りなき血石の先の絆《システムロードオブフェイト》!!」
凛「これは……召喚の陣に似ているわね……」
ぐだお「来い、来い、来い、当たり鯖ーー!!」
バチバチッ!!
ぐだお「ーーこのサーヴァントは!! 安価下3だ!」
限りなき血石の先の絆《システムロードオブフェイト》
ぐだおが幾多のサーヴァントと巡り合うために使い続けた石と涙と絆が宝具として具現したもの。英霊召喚システム・フェイトの力を別の時間軸から利用したりしているとかしていないとか。聖杯絡みの案件の発動中に限りサーヴァントを召喚することができる。
ぐだお「ーーこのサーヴァントは!! エドモンだ!」
エドモン「クハハハハハ!! 俺を呼んだな、ぐだお!」
凛「英霊が英霊を召喚? あんた無茶苦茶ね……。でもこれなら宝石四つじゃおつりがくるわ!」
エドモン「やっぱりトラブルに巻き込まれていたらしいな。カルデアの中でお前が消えたと騒ぎになっていたぞ。ククク、 まさかサーヴァントになっているとはな!今度は一体どんなイベントだ」
ぐだお「うーん、夢オチは期待できないか……」
凛「あんたら知り合いなの?」
ぐだお「エドモンも俺のサーヴァントなんだ」
エドモン「こいつと俺は共犯者だ! 我が名は復讐者、巌窟王エドモン・ダンテス!! 覚えておけマスターのマスターよ!」
凛「巌窟王……モンテ・クリスト伯爵ね! それより復讐者って言ったかしら? 稀に特殊なクラスの英霊が召喚される事があるとは聞いてたけど、まさかお目にかかれるとは思っていなかったわ」
エドモン「ほう、なかなかに博識のようだな」
凛「そうかしら? 結構有名よ、あなた。一応確認なんだけど、キャスターの宝具で召喚した以上、私の指示に従ってくれると判断して良いのよね?」
エドモン「はじめに断わっておくが、俺の共犯者はそいつだけだ。……だが今回は事情が事情だ。どういう訳かぐだおは今サーヴァントになっている。マスターなしでやっていくのは厳しかろう。故にこれは特例だ。俺たちの害にならぬ限り、ある程度の協力はしてやる」
凛「ええ、それで十分よ」
ぐだお「大丈夫、マスターはすごく良い子だから。さっきもさーー」
凛「ちょっと、余計なこと言うんじゃないわよ! 」
エドモン「クハハハハ、聖遺物無しにぐだおを召喚したんだ。お前もさぞやお人好しなんだろう」
凛「あーもう、やり辛いわね。ところでキャスター、復讐者の魔力消費の負担が私に微塵も来てないんだけど、あんた何かしたの?」
ぐだお「一応心当たりはあるけど……」
エドモン「ああ、俺の魔力供給はマスターとカルデアで代用されている。お前の魔力を奪うことはないから安心すると良い」
凛「カルデア? 詳しく聞かせてもらえるかしら」
三十分後
凛「ーーなるほどね。事情は大体飲み込んだわ。信じられないけど、あんたがサーヴァントの真名を一瞬で見破っていたのも頷ける。まさかこんなのんびりした顔してちゃっかり開位持ちとはね……」
ぐだお「それ、褒めてる?」
凛「ええ、もちろん。今の話の功績を考えたら低いくらいだけどね。さあ、話もひと段落着いたところで、探索に行くわよ!」
ぐだお「探索?」
凛「聖杯戦争は夜にするのが基本よ。夜に街を出歩いていれば、他のマスター達と出会う可能性も高くなるってわけ」
ぐだお「そーなんだ。じゃあ行こうか!」
衛宮邸付近
エドモン「ッ!! 敵だ!」
タンッ
???「サーヴァントが二人……? 共闘で私を倒しに来たか!」
凛「ねえキャスター、あのセイバーの真名も分かったりする?」
ぐだお「真名はアルトリア。……アーサー王って言えばわかるよね?」
凛「アーサー王ですって!? 当たり中の当たりじゃない! どうしてあいつがセイバーで私がキャスターなのかしら……」
アルトリア「貴様、どうして私の真名を知っている!?」
ぐだお「君のマスターだったことがあるからさ」
アルトリア「何をたわけたことを! ……まあ良いでしょう。どちらにしても今は敵同士、倒す事に変わりはない!」
???「やめろ、セイバー!!」
ぐだお「さっきマスターが治した人だ!」
アルトリア「何故止めるのですシロウ。敵はサーヴァントが二人、ここで仕留めておかなければ」
士郎「だ、だから待てって……! 人のことをマスターだとか言ってるけど、こっちはてんで解らないんだ。俺をそんな風に呼ぶんなら、少しは説明するのが筋ってもんだろう……!」
凛「マスターの命令には従っておいたほうが良いんじゃないかしら。……アーサー王?」
アルトリア「……命拾いしましたね」スッ
士郎「お、おまえ遠坂……!?」
凛「ええ、こんばんは。ま、詳しい話は中でしましょ。どうせ何も解ってないんでしょ、衛宮くんは」
衛宮邸
凛「ーー以上が聖杯戦争の概要よ。衛宮くん、理解できた?」
士郎「理解はできたけど納得はできない。一体誰がそんな悪趣味なことを始めたんだ」
凛「それは私が知るべき事でもないし、答えてあげる事でもない。そのあたりはいずれ、ちゃんと聖杯戦争を監督しているヤツに聞きなさい」
凛「私が教えてあげられるのはね、貴方はもう戦うしかなくて、サーヴァントは強力な使い魔だからうまく使えって事だけよ」
ぐだお「サーヴァントは使い魔なんて考えは良くないと思うよ」
凛「……フン、あんたのことは強力な使い魔なんて思ってないわよ!」
アルトリア「シロウ、彼女の言う通りだ。戦うしか道はない以上、最善を尽くすべきです」
士郎「……最善か。聖杯なんかに興味はないけど、それを求めて殺し合いをするなんてのは間違ってる。だったら俺はその戦いを止めるために戦うよ」
凛「ぬるいわね。貴方にそれだけの力があると思うわけ?」
士郎「思わない。でもやるしかないだろ。そんなもののために誰かが傷付くのはごめんだ」
セイバー「シロウ、私には聖杯が必要だ。そして聖杯を手に入れるためには他のサーヴァントを倒さなくてはいけません。貴方がそんな考えでは勝てるものも勝てない」
士郎「セイバーには出来るだけ戦って欲しくない。女の子が危険な目に合うのは見てられない」
セイバー「女、の子……!?」
エドモン「クハハハハ。貴様、相当拗らせているな。力も持たず理想を掲げ、挙げ句の果てにはサーヴァントに戦って欲しくないときた。凛よ、これ以上こいつに付き合う必要があるのか?」
凛「それは……」
ぐだお「士郎君だっけ? アルト……セイバーは強いよ。彼女を傷付けたくないならマスターとして支援に専念するのが一番近道だと思う」
士郎「……頭には入れておくよ」
アルトリア「キャスター、貴方は一体……」
ぐだお「マスター、とりあえず同盟を組むのが良いんじゃないかな? さすがに何も知らないマスターを放置ってのも可哀想だし」
エドモン「我がマスターも引けを取らない程の甘ちゃんではあるか……」
凛「私はそれでも構わないけど。……どうする、衛宮くん?」
士郎「ああ、遠坂が仲間になるってんなら心強いよ! セイバーも構わないか?」
セイバー「ええ、その方が良いでしょう。貴方は何も知らなさすぎる」
ぐだお「決まりだね!」
エドモン「同盟か……まあいい。ならばお前達に一つ言っておこう。この聖杯戦争は通常とは違い何らかの異常をきたしている可能性が高い。本来、我がマスター……そこにいるキャスターはサーヴァントではない。2017年に今も生きている人間だ。それがどういう訳かサーヴァントとして此処に呼ばれている」
アルトリア「未来で英霊となって呼ばれた可能性は?」
エドモン「ないとは言わないが、召喚されたと同時に姿を消したのでな。ほぼ間違いなく、何らかの事象により生きたまま英霊として呼ばれているはずだ」
士郎「その異常ってのは心当たりはあるのか?」
エドモン「ない。……が、聖杯が関係していることは間違いない。そしておそらくは、この時代が特異点になっている可能性も高いだろう。注意しろ、通常の聖杯戦争よりも厄介な相手が出てくる可能性もある」
士郎「とにかく本来の聖杯戦争よりもやばくなりそうだってことはわかった。特異点になるとどうなる?」
エドモン「特異点とは存在しない歴史のようなものだ。本来の人類史に存在しないはずの出来事が起こり、変化してしまった空間をそう呼ぶ。その原因となった異変を取り除けば、歴史は元に戻るというわけだ」
アルトリア「同盟の代わりに、その異変を取り除く手伝いをしろと?」
エドモン「クハハハハ、察しが良くて助かる」
アルトリア「良いでしょう。人類史の危機と言うのなら、私も見過ごすわけにはいかない」
ぐだお「ありがとう。アルトリアが味方なら安心だ!」
凛「あのね、最後は敵同士になるんだから入れ込みすぎちゃダメよ?」
アルトリア「凛の言う通りです。……貴方は気を許し過ぎだ」
ぐだお「細かいことは良いじゃない。とりあえずエドモン、セイバーの怪我を治してあげて」
アルトリア「ッ!! ……気付いていたのですか」
ぐだお「一応ね。同盟相手が弱っているのはまずいでしょ?」
エドモン「フッ、同盟はこの為か」
凛「貴方、回復系の宝具なんて使えるの?」
エドモン「ーー待て、しかして希望せよ(アトンドリ・エスペリエ)」
アルトリア「これは……回復どころかステータスが上昇しています! いずれは敵となる私に、このような宝具を使って良かったのですか?」
エドモン「そのステータスの上昇は一時的なものだ。もし敵になる頃には効果は切れているだろう」
アルトリア「そうですか。それでもこの恩は必ず返すと誓いましょう。キャスター、アヴェンジャー、感謝します」
エドモン「なに、マスターの命令に従ったまでだ。さて、俺は疲れたから少し霊体化して休ませてもらう。何かあったら呼ぶがいい」
ぐだお「わかった。ありがとうエドモン!」
凛「じゃあ衛宮くん、一度教会に行きましょうか。聖杯戦争の監督役の神父が居るから、詳しく話を聞くと良いわ」
アルトリア「……教会ですか」
教会
ぐだお「灯りが点いていないね」
凛「……何だか様子がおかしいわ」
士郎「ーーッ!! 遠坂、人が倒れてる!」
凛「あれは……綺礼! どうしたの!?」
綺礼「……凛か。アインツベルンのサーヴァントにやられてしまってこのザマだ」
凛「アインツベルンが? まさか監督役の綺礼を襲うなんて……」
綺礼「今回のアインツベルンは様子がおかしい。一体どんな手を使ってサーヴァントを三体も所持しているのか……」
ぐだお「スタン状態か。命に別状はないみたいだね。」
綺礼「キャスターか。意外だな、凛なら三騎士のいずれかを召喚すると踏んでいたが」
凛「そんなことより、アインツベルンが三体もサーヴァントを持っているってのはどういうことよ!」
綺礼「それはわからん。とにかく今回の聖杯戦争は異常だ。通常の七体のサーヴァントに加えアインツベルンがさらに二体多く所持している。勝敗は決まったようなものだ」
凛「あら、サーヴァントは数より質でしょ? 有利なのは間違いないけど、アインツベルンが勝つとは限らないわ」
綺礼「質が悪ければまだ救いがあったのだがな。まあいい、そこの少年を私に会わせにきたのだろう? せっかく来てもらったがこんな寝たきりの格好で失礼する。君の名はなんというのかな、七人目のマスターよ」
士郎「ーー衛宮士郎。そんなことより喋ってる場合じゃないだろ。出直すから、今は治療に専念してくれ」
綺礼「衛宮……士郎」ニヤッ
士郎「えっ」ゾワッ
ぐだお「なんだか邪悪な笑顔だ……!?」
亀更新ですまない……
酉を付けない意図を感じとっていただければなと……(ごめんなさい、毎回酉入れるのもめんどくさいので乗っ取りはないと信じて進めます)
今はアガルタをコツコツやってますが仕事のないイベの空白期間にはできるだけ弾を撃っていきますのでほんと亀更新ですけど気長にお付き合いください
帰り道
ぐだお「さっきの神父の言葉、気にしてるの?」
士郎「いや……大丈夫だ」
ーー喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う。
士郎「ったく、なんだってあんなことを……」
???「ーーねえ、お話は終わり?」
士郎「ーーッ!!」
凛「……バーサーカー! やば。あいつ、桁違いだ」
ぐだお「エドモン!」
エドモン「……どうやらピンチのようだな」
凛「キャスター、あいつの真名もわかる?」
ぐだお「ーーヘラクレス。超強いよ」
凛「……目眩がしてきた」
ぐだお「ーーそんなことより、どうしてイリヤちゃんがここに!?」
イリヤ「そこのキャスター、どうしてバーサーカーの真名とわたしの名前を知ってるの? ……まあいいわ。みんなここでやっちゃうから関係ないもん」
エドモン「あの気配はサーヴァントではない。カルデアにいるイリヤとは別物だ。情を見せるなよ、マスター」
ぐだお「嘘……だろ……」
イリヤ「はじめましてリン。わたしはイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかるでしょ?」
凛「アインツベルンーー」
イリヤ「お兄ちゃんも、こうして会うのは二度目だね」
士郎「あの時の……」
ぐだお「お兄ちゃん呼びは俺の特権だったのに……」ガクッ
凛「ちょっと、シャキッとしなさい! くるわよ!」
エドモン「クハハハハ、安心するといい。九割近くはマスターさんと呼ばれていたはずだ」
ぐだお「どうやら夢を見ていたみたいだね」
イリヤ「ふざけてるのね? やっちゃえ、バーサーカー!」
アルトリア「ーーシロウ、下がって!」
???「おーっとマスター、少し待つでござる」
イリヤ「どうしたの、ライダー?」
ぐだお「黒ひげ氏!」
エドワード「……」
エドワード「むむ、拙者の真名を見破るとはふざけた野郎でござるな! ハッ!もしかして拙者のファンの方では? 残念、男は受け付けてませーんww」
ぐだお「カルデアにいる、黒ひげだよね?」
エドワード「……存じ上げませんなぁ! マスターよ、少々問題が発生したので一度城に帰るでござる! かなり大至急で。バーサーカー氏も行きますぞ! 」
イリヤ「もう、なんなのよー! ……命拾いしたわね、お兄ちゃん。ーー次は殺すから!」
士郎「何だったんだ……」
アルトリア「あのライダー、何かを落としていったみたいですね」
凛「……宝石の類かしら? かの有名な海賊黒ひげが落としたお宝なら、かなり高価な物かもしれないわね」
ぐだお「これは……聖晶石だね。しかも丁寧に三つある」
凛「聖晶石? なぁにそれ?」
ぐだお「擬似霊子結晶。他にも使い方はあるけど、とにかく三つあればサーヴァント召喚に使える石って感じかな」
凛「へえ、またサーヴァントを呼べるってこと?」
ぐだお「そういうことになるね」
凛「なら早速家に帰って召喚するわよ。あのヘラクレス相手なら、戦力がいくらあっても足りないくらいだわ……」
ぐだお(ーー聖晶石を三つ置いていくなんて、あの黒ひげはやっぱり……。それにサーヴァントじゃないイリヤちゃんもいるし、どうなってるんだ)
遠坂邸
凛「キャスター、準備はいいかしら」
ぐだお「よし、いつでも良いよ」
凛「ヘラクレスを倒せるようなサーヴァントが来てくれれば言うことなしね!」
ぐだお「召喚は回転数が全てだ」
凛「……何よそれ。とにかく頼んだわ!」
ぐだお「ーー宝具展開! 限りなき血石の先の絆《システムロードオブフェイト》!!」
安価下3「」
オジマンディアス「ようやく余を呼びおったか! ん? ……貴様、どうして英霊になっている?」
ぐだお「ファラオ!! これで勝てる!」
オジマンディアス「ええい、質問に答えよ!」
ぐだお「わからないけど、聖杯戦争があってサーヴァントとして召喚されたみたいなんだ」
オジマンディアス「聖杯戦争だと? 何故生者である貴様が……。だが、これでカルデアの連中が見つからないと騒いでいた理由がはっきりしたな」
凛「キャスター、そろそろ紹介をしてくれると嬉しいんだけど」
ぐだお「彼はオジマンディアス。ヘラクレスにも引けを取らない偉大なるファラオだよ。」
オジマンディアス「そこの小娘、貴様が余の契約者を召喚した不届き者か?」
凛(うっ、凄い眼光だわ)
凛「ええ、そうよ。故意ではなかったけれど、カルデアというところに迷惑をかけていることは聞いてるわ」
オジマンディアス「カルデアなんぞ問題ではない! 貴様が一番迷惑をかけているのはこの神王たる余だ。そのことを忘れるな」
ぐだお「落ちついてよファラオ。彼女は遠坂凛。今は俺のマスターだ。もう少し平和的に行こうよ」
オジマンディアス「フン、もとより迷える民を導くのは王の役目。余が協力するのではない、貴様らが余に献身するのだ! 理解したか?」
凛「えーっと、とにかく力になってくれるってことよね?」ボソボソ
ぐだお「そうだよ」ボソボソ
オジマンディアス「フハハッ、ならば早速攻め落とすか! さっさと敵の居場所へ案内するが良い」
エドモン「まあ待て。今日は消耗しているし、敵はあのヘラクレスに黒ひげだ。今は休息を取り、明日の夜に仕掛ける方が良いだろう」
オジマンディアス「復讐者の、貴様も来ていたか」
エドモン「ああ、カルデアではまだこちらを捕捉できていないのか?」
オジマンディアス「特異点が見つかっていないからな。来てみて得心したが、聖杯戦争如きでは特異点にはならぬだろうな」
エドモン「ふむ、……ワザと特異点になるほど行動を起こすことも考えておくか」
凛「エドモンの言う通り、明日の夜から活動しましょ。ファラオにはこれまでの状況を説明しておくわ」
翌朝 衛宮邸
ピンポーン
士郎「はーい」 ガチャ
凛「おはよ、衛宮くん」
士郎「と、遠坂!? それにそのボストンバックは一体……」
凛「一体も何も、今日からここに住むんじゃない。荷物を持ってくるのは当然でしょ」
士郎「す、住むって遠坂が俺の家に……!?」
凛「同盟を組むってそういう事じゃない。……貴方ね、昨日の話なんだったと思ったわけ?」
士郎「あ、う……」
凛「私の部屋、どこ? 用意してないんなら自分で選ぶけど」
ぐだお「マスター、早く。荷物重いよ……」
士郎「サーヴァントに荷物持ちさせるなよ……」
朝食
ぐだお「いただきまーす!」
士郎「遠坂は食べないで良いのか?」
凛「お構いなく。私、朝食は取らない主義なの」
ぐだお「こ、この味は……!!」
オジマンディアス「ふむ。ーー貴様、名は?」
士郎「え? 衛宮士郎だけど」
オジマンディアス「エミヤ、やはりそうか……」
ぐだお「士郎くん、君は良いオカン……いや、良い弓兵になれるよ」
士郎「どうしたんだよ急に」
ぐだお「なんでもないんだ。初対面で気付かなかったのが恥ずかしいよ」
ガラガラ
桜「おはようございます、先輩。ーーあれ?」
士郎「おはようーーって、まずい!?」
桜「遠坂……先輩……?」
凛「おはよう間桐さん。こんなところで顔を会わせるなんて、意外だった?」
ぐだお「アルトリア顔に続きBBちゃん顔が!?」
桜「先輩……あの、これはどういう……」
士郎「ああ。それが、話すと長くなるんだけどーー」
凛「長くならないわよ。単に、わたしがここに下宿する事になっただけだもの」
桜「……先輩、本当なんですか」
士郎「要点だけ言えばな。ちょっとした事情があって、遠坂にはしばらくうちに居てもらうことになった。……連絡を入れ忘れた、ごめん」
桜「あ、謝らないでください先輩っ。……その、確かに驚きましたけど、そんなのはいいんです。それより今の話、本当にーー」
凛「ええ、これはわたしと士郎で決めた事よ。家主である士郎が同意したんだから、もう決定事項なの。この意味、わかるでしょう? 間桐さん」
士郎「な、いつの間に下の名前でーー」
桜「わかるって、何がですか!」
凛「今まで士郎の世話をしていたみたいだけど、しばらくは必要ないって事よ。来られても迷惑だし、来ない方が貴女のためだし」
桜「……」
ガラガラ
大河「おはよー。いやー、寝坊しちゃった寝坊しちゃった」
ぐだお「今度はジャガーマンまで!?」
大河「……ね、士郎。どうして遠坂さんがいるの?」
士郎「それは、今日からうちに下宿することになったからかな」
大河「じゃあ、そこの学生さんと外国の人は?」
士郎「その二人も遠坂の知り合いで下宿することになってる。……ぐだおさんと、エジプトからきたオジマンディアスさんだ」
大河「ふーん、そっかそっかー」
大河「って、下宿ってなによ士郎ーーーー!!!!」ガッシャーン
ぐだお「ちゃぶ台返しだ。……この人、ジャガーマン以上にうるさいのでは?」
オジマンディアス「ええい、騒々しい!! 余は散策に出るぞ。夜には戻るゆえ、それまでは復讐者の、貴様が守っておけ!」
学校
ぐだお「ふぅー、どっと疲れたよ」
凛「ほんと、朝っぱらから大騒ぎね。フフッ、でもあんな元気な桜は初めて見たわ」
ぐだお「なんだか嬉しそうだね」
凛「……どうかしら」
ぐだお「マスター?」
凛「あの子とは昔に色々とあったのよ。……とにかく今は元気そうで良かったわ」
ぐだお「 そのわりにはドライな反応だったような……。マスターは不器用だね!」
凛「う、うるさい!」
一方その頃ーー
商店街通り
ギルガメッシュ「ん? ……サーヴァントか」
オジマンディアス「おお、黄金の! 貴様も来ていたか!」
ギルガメッシュ「黄金の?」
オジマンディアス「我ら輝ける黄金の古代王、天地驚愕の同盟を忘れたか」
ギルガメッシュ「……貴様と同盟を組んだ覚えはないが」
オジマンディアス「何ッ!? 貴様、もしやカルデアから来たわけではないのか」
ギルガメッシュ「そんなものは知らんな。それより貴様、先程から王に対して無礼が過ぎるぞ」
オジマンディアス「無礼は貴様の方であろう。しかし余は寛大である。貴様とはお互いに一番と二番と認め合い同盟の契りを交わしたのだ。たとえ記憶が無くとも無下にはできん」
ギルガメッシュ「ならばありもしない幻影を抱いて散るか? 雑種!」
オジマンディアス「ざ、雑種ゥ!? ッッ!!」ピクピク
オジマンディアス「ふ、ふふふ、フハハハハ。い、言ったであろう。余は寛大である!! 貴様と闘うのは一度酒を交えてからでも遅くはあるまい。その後もそんな言葉が飛び交うなら所詮、それまでの関係だっただけのこと。その時は余の全霊を持って相手をしてやろう!」
ギルガメッシュ「フン、良かろう。我は下々の酒は好かん。着いて来い、貴様に王に相応しい酒という物を教えてやる」
二時間後
ギルガメッシュ「ふははははは、太陽の、貴様なかなか話がわかるではないか!」
オジマンディアス「フハハハハ、当然だ。やはり記憶はなくとも、魂の同盟は覆らぬということだ」
ギルガメッシュ「うむ、天地驚愕の同盟であったか! 良かろう。別の我と結んだ誓いであろうが、今をもってこの我も交そうではないか」
オジマンディアス「ああ、我ら輝ける黄金の古代王! その一番と二番!」
ギルガメッシュ「……待て、その前に一つ確認しておくぞ。その一番と二番と言うのはどちらを示している?」
オジマンディアス「む? 答える必要があるか?」
ギルガメッシュ「……いや、愚問であったな」
ギルマンディアス「「フハハハハハ!!」」
放課後
士郎「悪い、先に帰っててくれ。食材切らしてるし買い物に寄ってくるよ」
凛「あんたね、自分の置かれてる状況わかってるの? セイバーも家に置いて来てるんだから単独行動は控えなさい」
ぐだお「俺がついて行くよ! 晩御飯が無いのは困るしね。エドモン、マスターを頼む」
凛「あんたが居たっていざって時戦えないでしょ」
ぐだお「逃げるだけなら大丈夫だよ」
凛「……もう、仕方ないわね。その代わり、しばらくは買い物なんてしてる余裕無いんだから、買いだめしておくこと。わかった?」
士郎「了解! 行こうか、キャスター」
商店街通り
士郎「よし、このくらい買っておけば一週間は大丈夫だな」
イリヤ「あ、お兄ちゃんだ!」
士郎「お、お前は!? イリヤスフィール……なんだっけ?」
イリヤ「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。長いからイリヤで良いよ」
ぐだお「イリヤちゃん!」
イリヤ「ふーん。キャスターもいたんだ。やっぱりリンと協力してるんだね」
士郎「昨日の続きをしに来たのか……?」
イリヤ「なんでー? まだ夜にはなってないよ。お兄ちゃんは……したいの?」
エドワード「マスター、お兄ちゃんはしたいのの部分だけもう一度言い直すでござる。できれば上目遣いで頬を赤らめつつ」
イリヤ「もう、ライダーは黙ってて。ねえお兄ちゃん、少しお話しましょ」
士郎「話ってなんだよ。俺たちは一応敵同士だろ?」
イリヤ「別にお兄ちゃんなんて倒そうと思えばすぐに倒せるし
、でもイリヤはお話がしたいの。ダメかな?」
士郎「はあ、わかったよ。 キャスター、遠坂には黙って置いてくれると助かる……」
ぐだお「イリヤちゃんに可愛くお願いされたら逆らえないし、しょうがないね」
このSSまとめへのコメント
おもしれえな この先の展開気になる
巌窟王は自分のことをエドモン・ダンテスとは言わない。
期待して待ってます
ギルとオジマンのギリギリな関係好き
続きは?
続きを全裸待機
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