【プリパラ】当たり前すぎてわからないこと (30)

私、真中のん!中学2年生!プリパラでアイドルやってます!
ようやく1年前に神アイドルになってから、色んなところに引っ張りだこだけど、プリパラのために!パラ宿のために頑張ってます!

そんな私はプリパラの外ではパプリカ学園中等部に通う中学2年生!そこで私はあることをして頑張ってます!それは……

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「おはようございます!」
「おはようございます」
「おはようございます!」
「おはようございます」

みんなわかってるよね?そう私は今──

「ちょっとそこの男子!」
「げっ」
「ネクタイはちゃんと締めなさい!違反チケット!」
「すみませーん……」

パプリカ学園の風紀委員長として日々頑張ってます!

昨年まではみれぃさん──南委員長のことね──が風紀委員長を頑張ってたんだけど、受験勉強で忙しくなるってことで、成績優秀な私に交代になったと言うこと。
風紀委員の仕事は色々大変だけど、私が学校のために頑張れてるって思うと楽しいって思えるかな?

さて、もうそろそろ門限なんだけど、””いつもの人””は来てない。これはやっぱり……

「5!4!3!」
「待ってー!!」
「2!1!0!」

0といった直後に滑り込んでくる。何回この光景を見たことか。

「えへへ、セーフだよね、のん?」
「……残念だけど、アウトだよ、お姉ちゃん!違反チケット1枚!」
「ふぇ~、そんな~」

そう、その人とは私のお姉ちゃんことらぁら。パパラ宿のプリパラを盛り上げるために、アボカド学園に転校してたんだけど、去年ようやく戻ってきた。
今は高校1年生なので、高等部の制服を着ているお姉ちゃんは目新しい。

「なんでいつもいつも遅れてくるの!」
「えへへ、昨日はみれぃと通話してたらいつの間にか寝るのが遅くなっちゃって。へへへー」

そのみれぃさんは普通に登校してきたんだけど。まあそんなことを詳しく聞いてる暇はないので。

「ほら、お姉ちゃん、早くしないと1限に遅れるよ?」
「そうだったのかしこまっ!じゃあね、のんー!」

まあお姉ちゃんはあんな感じじゃないと変だし、最近まで転校してたし、こう言うことするのは悪くないんだけどね。

と言う感じで風紀委員の仕事はひとまず終わり……って言いたいところなんだけど!

「また来てないー!まったく!」

本当は朝の校門チェックの時は風紀委員は全員出ないといけないのに!全くあの””副委員長””は!
どうせまたサボって、教室にいるんでしょ!それぐらいわかってるんだから!

私は早歩きで教室に向かっていく。あの副委員長にまた注意しなくちゃ!

私は勢いよく教室のドアを開けると、その副委員長のところに向かう。

「お、のん!おっはよー!」
「ちょっとペッパー!今日は校門でチェックする日でしょ!」
「ごめ~ん、忘れてた~」
「忘れてた~、じゃないでしょ!」

「て言うか、風紀委員なのにその格好は何!」
「第1ボタンは空いてるし!ネクタイは緩んでるし!違反チケット合わせて3枚ね!」

そうやって副委員長に違反チケットを3連続で叩きつける。

「うぅ……サパンナなら自由なのに……」
「ここはサパンナじゃなくて日本!!」

パプリカ学園の風紀副委員長と言うのは──そう、私と同じクラスの太陽ペッパーなのである。

もともとペッパーは同じノンシュガーにいるチームメイトだ。私が小学4年生だった時にパプリカ学園に小学1年生として転校してきた。
でも、いつの間にか飛び級して私と同じクラスになっていた。ペッパーにそんな学力があるなんて思わなかった。

で、私が風紀委員に入ろうとしてきた時になぜか一緒に入ってきた。ペッパーは全く不真面目って訳でもなかったからか、私が委員長になると同時にペッパーが副委員長に指名されたと言う訳。
当の私は納得できてないのだけど。

「いい?!次からちゃんと身だしなみ整えてよね!あとちゃんと朝は出てくる!」
「ほーい」

このやり取り何回も繰り返した気がする。

そんな風紀副委員長なのにだらしないペッパーだけど、学力以外にもスポーツは万能だし、性格はいいしで、みんなに好かれている。先生も含めて。
だから注意してくる人間は私以外にはいない。そんな状況だからすごく疲れる。

「はぁ、疲れたよー」
「お疲れです、のん」
「ありがとう、ちり」

この子は月川ちり。中学3年生で、隣町のピロガネに住むいわゆるお嬢様。同じくノンシュガーのチームメイトだ。
小学生の時はパクチー小学校に通ってたんだけど、同じ学校のほうがいいってことでこっちに転校してきた。

「ペッパーの世話ほんっと大変……」
「のんの顔見たらよくわかります」
「うー、ちりからも何か言ってよ」
「私は別に今のペッパーでもいいので……」
「もうちりってばー!」

と良き友人でありチームメイトであるちりもこんな調子だから困る。やっぱり私がしっかりしないとダメみたい。

「そういえば、ペッパーってなんで副委員長になったんでしょう」
「私と同じように指名されたからでしょ」
「それはそうですけど、なんで指名されたのかなって」

言われてみると確かにそうだ。あんなペッパーを指名するなんて普通はありえないことだ。

「それに私、パプリカ学園に転校してから1年しか経ってないからわからないんですけど、風紀委員会に副委員長っていましたっけ?」
「……言われてみれば」

どう言うこと?ペッパーのために副委員長が用意されたってこと?
いやでもそんな訳ないし、単に風紀委員が増えたからかもしれないし……

「指名してくれたのって誰です?」
「みれぃさんだけど」
「じゃあ、みれぃさんに聞くのが一番だと思いますよ」

……完全にそれを忘れてたなんて口が裂けても言えない。

「お久しぶりです、みれぃさん」
「あら、お久しぶり、真中のんさん」
「すみません、受験で忙しいのに呼び出してしまって」
「あら、いいのよ、たまには息抜きも必要だしね」

この人が私の前に風紀委員長をしていた南みれぃさんだ。生徒会長も兼任していて、しかも神アイドルと言う色んな意味で尊敬できるかな。
それはさておき、早速本題に入る。

「風紀委員長と副委員長を指名したのってみれぃさんですよね?」
「ええそうよ」
「副委員長って前からありましたっけ?」
「いいえ、指名するまでは無かったわ。あの時作ったのよ。委員長1人だけじゃ仕事が回らなさそうって思ってね」

やはり、副委員長はそれまで無い役職だったのだ。1人だと仕事が大変と言うのもわかる。でもあと1つ疑問が残っていた。

「じゃあ最後に質問します。副委員長にペッパーを指名したのはなぜですか?」
「……やっぱりその質問が来ると思ってた」

どういうこと?

「いいわ。答えてあげる。あなたには太陽ペッパーさんがいないとダメだと思ったからよ」
「へ?」

何が言いたいのか、みれぃさんが何を言ってるのかよくわからない。

「……よくわかりません」
「今はわからないのも仕方ないわね。でも、そのうちわかるわよ」
「……」
「それじゃ私はこれで失礼するわね」
「はい、ありがとうございます」

私はペッパーがいないとダメ?そんなことない!……ってきっぱり言える自信はなかった。ペッパーがいたから今の私がいるのは事実だったから。
でも、結局なぜペッパーが副委員長なのかはわからないままで、モヤモヤする。

みれぃさんと別れて、家に帰ろうとすると。

「おーい!のんー!」
「なに、ペッパー」
「へへーん、急にのんに会いたくなった!」
「……」

こんな時についカッとなってしまった。本当は言いたくないのに。

「のん?」
「風紀委員なんだからもっとしっかりしてよ!いつもそんな風に好き勝手して!」

違う。こんなことが言いたいんじゃなくて。

「あの、のん」
「もうペッパーなんか知らない!」
「のん!?」

ハッとした。言ってはいけないこと言ってしまった。目の前にいるペッパーが今にも泣き出しそうで。

「……!」
「のん!のんー!」

一刻も早くここから逃げ出したくて走り出した。後ろから私を呼ぶ声が聞こえるけどもう知らない。何も考えたくない。

その日は後悔と不安で寝ることができなかった。

翌朝。頭が重い。私はすぐに風邪をひいたと気づいた。正直今日は学校行きたくないと思ってたから、嬉しかった。風紀委員長なのに。
あ、今日も校門で挨拶する日だった。でももういいや。

「のんー?まだ起きてないのー?」

珍しくお姉ちゃんが私の部屋にやってきた。風邪ひいてるし、正直助かった。

「ごめんお姉ちゃん、今日は風邪ひいちゃったからいけないや」
「えー、どれどれ?うわ、すごい熱!ちょっと待って、風邪薬持ってくる!」
「ありがとう、お姉ちゃん」

お姉ちゃんがいてくれてよかった。

それからお姉ちゃんに渡された風邪薬を飲んで、電話で先生に連絡して、ベッドに横になった。

「じゃ、いってくるからね、のん」
「いってらっしゃい、お姉ちゃん」

ベッドからお姉ちゃんを見送るなんていつ以来だろう。小学3年生ぐらいだったかな。

私は静まりかえった部屋の中で目を閉じて考える。ペッパーがいないと私はどうなるのか。色々考えてみたけどよくわからない。
想像すればわかるのではと思った。何も出てこなかった。当たり前になってしまった。当たり前すぎて答えは思い浮かばない。

────────
──────
────

気がつくと夕方になっていた。相当寝てしまったみたい。まあそのおかげで体はだいぶ楽になった──と思う。
そう思ってると部屋の扉が開いて。

「あ、のん、起きた?ちりちゃんがお見舞いに来てるよ」
「こんにちは、のん。体調は大丈夫?」
「うん、少しは楽になったかな?」

お姉ちゃんとちりだった。……ペッパーはいない。

「ごめんね、私のために」
「いいえ、のんは私の大切なお友達ですから」

ちりが友達としていてくれてよかった。たぶん明日は大丈夫だろう。
するとお姉ちゃんがスマホを取り出して。

「そういえばのん!みてこれ!」
「なに、お姉ちゃ──!」

その画面に映っていたのは、校門での挨拶に参加してるペッパーだった。

「ど、どういうこと?!」
「私も驚いちゃったよ。ペッパーがちゃんと身だしなみ整えて校門にいるんだもん」
「嘘……」
「ほんとだってば。それで私が来た時にのんはどうしたって聞かれたから今日はお休みって言ったら落ち込んでたよ」

あのペッパーが……どうして……?

「ペッパーすごいんですよ!違反チケットしっかり貼りに回ってて、私びっくりしちゃいました!」
「そうそう、私も貼られちゃったよ~」
「それでペッパーこんなこと言ってましたよ。のんってとても大変なことしてるんだなって」
「あとはのんがいないと寂しいって。一緒に風紀委員やりたいって」
「……」

私もやっぱりペッパーがいないと──

「実はね、ペッパー来てるんだよ」
「えっ……?!」
「ペッパー、入って大丈夫ですよ」

そうちりに言われて入って来たのは紛れもなくペッパーだった。普段の性格とは真逆で大人しくて、身だしなみもきちんとしていた。でも、間違いなくそこにいるのはペッパーで。

「のん……」
「……ペッパー、こっちに来て」
「うん……」

ペッパーが入ってくると同時にお姉ちゃんとちりが部屋から出ていく。とてもありがたいと思った。

ペッパーが私の目の前に来る。聞きたかったこと聞くのは今しかないと思った。

「なんで風紀委員なのにあんな格好してたの?」
「……あたい、のんと一緒がよくて風紀委員入った。でも、最近のんが風紀委員に夢中であたいと一緒にいること、少なくなった。だから、あたいがのんに違反チケット貼ってもらえたら、のんと一緒にいられるようになると思った」
「……」
「でも、のんに怒られた。ちゃんと頑張らないとダメってわかった。だから頑張った!のん、だからあたいのこと、嫌いにならないで!」

そっか。そう言うことだったんだね。やっとわかった。

「ペッパー、嫌いになんかなってないよ。ごめんね、何もわかってあげられなくて」
「違う!あたいの、あたいのわがままだから!」
「ううん、ペッパーがいてくれたから風紀委員として頑張ってこれたんだよ。私、ペッパーが一緒に入るって言ってくれてほんとは嬉しかった!1人じゃ心細かった!なのにそんなことすっかり忘れてて……」

「のん……ごめんごめん……!」
「ペッパー、私こそごめんね!」

そのまま2人で泣いちゃった。ものすごく泣いちゃった。今までの分含めて思いっきり泣いたと思う。

気がつくとペッパーが寝ちゃってた。私が風邪ひいてるのにこんなとこで寝ないでよって思った。もうしょうがないなあ。
私もなんだか眠くなってきちゃった。今日はぐっすり眠れそうって思いながら目を閉じた。

────────
──────
────

「ちょっとペッパー!身だしなみぐらいちゃんとしてよ!」
「あたいはこのままでもいいー」
「ダーメ!約束したでしょ!」
「はーい。のんと一緒にいられるなら我慢するー」
「急に恥ずかしいこと言わないで!」

ペッパーはほんと余計なこと言う。ほんとに困った人だ。

「あ!のん顔真っ赤だ!」
「だーかーらー!」

こうやって人のことをすぐからかうんだから。もう全くペッパーにはもうこりごり。

でも、私にとってペッパーは必要不可欠で、またペッパーにとっても私は必要不可欠で。それがわかってる今は全く気にならない。
だから、とーっても最高のトモダチがいてくれて本当に良かった!ありがとう、ペッパー!これからもずっとよろしくね!

「うん!あたいこそよろしく!ペロピタ!」



- 当たり前すぎてわからないこと -

これでおしまいです。今回は文体をちょっと変えてみたり。元ネタはTwitterの「#風紀委員真中のん」「#副委員長太陽ペッパー」です。
次は長めのSSを投下する予定です。ありがとうございました。

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