高垣楓「紅茶はいかがですか?」 (17)

P「…………」

楓「いかがですか?」

P「……まず、聞きたいことが二つあります」

楓「聞きましょう」

P「どうして急に紅茶を勧めてきたんですか」

楓「それはもう、デスクワークでお疲れのPさんに少しでも休んで欲しくて、ですよ」

P「ありがとうございます。ありがたく頂きますね」

楓「はい。どうぞ召し上がって下さい」

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P「……それで、二つ目の質問ですが」

楓「何なりと」

P「……その、どうして、この前仕事で着たメイド服を身に纏っているのでしょうか」

楓「あら、似合っていませんでしたか?」

P「いえそんなことは断じてありませんむしろ赤と白という比較的派手な色彩が楓さんのルックスを引き立たせていて」

楓「Pさん」

P「はい」

楓「冗談です」

P「はい」

楓「……どうしてまたこの服を着ているか、ですが」

P「そうですよ、どうしてですか?」

楓「この服を着ていれば、私もメイドとして振る舞ってもいいんじゃないかと思いまして」

P「メイドとして」

楓「はい。お仕事の時は庭師メイドとして庭をお世話するメイドでしたよね?」

P「そうでしたね。あんな庭師だったら、きっと薔薇も喜んで剪定されますよ」

楓「ふふっ、お上手なんですから。……それでですね、今度はごく普通の、ご主人様をお世話するメイドになろうと思うんです」

P「はぁ、ご主人様ですか」

楓「えぇ。ですから、よろしくお願いしますね、ご主人様」

P「はい。はい?」

楓「次は何をいたしましょう。肩をお揉みしましょうか?それとも紅茶のおかわりはいかがですか?」

P「あの、呼び名がおかしくないですか?」

楓「何もおかしくないですよ?今からPさんは私のご主人様ですから」

P「なんでですか」

楓「日頃の感謝と少しの悪戯心です」

P「やっぱり面白がってますよね?」

楓「いいじゃありませんか。悪い話じゃないと思いますよ?」

P「この光景を見た人はきっと俺に悪い感情を抱くと思いますが」



楓「大丈夫ですよ。……それに、一度くらいメイドさんにご奉仕、されたくないですか?」



P「…………はい」



P(そうして唐突に、メイド高垣楓の半強制ご奉仕が始まったのだった)

楓「紅茶、熱くはありませんか?」

P「そうですね、猫舌なので少し熱いですけど、冷ませば飲めますよ」

楓「それなら、私がいたしましょう」

P「え?」

楓「少しだけカップをお借りしますね。……では」



楓「ふー、ふー」



楓「……はい。これで飲みやすくなったはずです」

P「……あ、ありがとうございます」

楓「ふふっ。ついでに隠し味も入れておきました」

P「……何を入れたんでしょうか」

楓「日頃の感謝と……少しの愛情を」

P「…………」

楓「…………」

P(甘い)

P「そうだ、まだデスクワークが残ってました」

楓「あら、ではお手伝いします」

P「いえいえ、それは申し訳ないですよ。楓さんも仕事で疲れてるでしょう?」

楓「ご主人様の力になるのがメイドの役目ですから。気にしないで下さい」

P「いや、でも……分かりました。じゃあ、この書類を種類ごとに分けてもらってもいいですか?」

楓「はい、お安い御用です」

P「よろしくお願いしますね。それじゃあ俺も頑張らなきゃな……」

楓「書類を種類ごとに……しょるいを、しゅるいごとに……ふふっ」

P(集中しよ……)

楓「…………」

P「…………?」

楓「…………」

P「あの、どうしました?」

楓「あ、気付かれちゃいましたね」

P「顔に何か付いてますかね」

楓「いえ、Pさんの顔をじっくり見る機会なんてそうそうありませんので」

P「……面白いですか?」

楓「楽しいですよ、とっても」

P「……それなら、いいですけど」

楓「ふふっ。書類、一通り確認終わりました」

P「ありがとうございます。そこに置いておいて下さい」

楓「はい。次は何をいたしましょうか、ご主人様」

P「あ、それまだ続いてたんですね。えっと、それじゃあ────」

P「──よし、これでいいかな。楓さんももう終わりにして大丈夫ですよ」

楓「はい、お疲れ様でした」

P「楓さんもお疲れ様でした」

楓「メイドとして当然のことをしたまでです。では、着替えてきますので少し待っていて下さいね」

P「はい」




P「……ん?」




楓「お待たせしました。では、行きましょうか」

P「どこにでしょうか」

楓「え? Pさんはこれから家に帰りますよね?」

P「はい。仕事終わりましたし」

楓「そして私はPさんのメイドですよね?」

P「楓さんがそう言ってるだけですけどね」

楓「それならPさんの家に私も帰らないといけませんよね?」

P「え?」

楓「家でもご奉仕しないといけませんから」

P「えっと」

楓「それじゃあ行きましょうか」

P「あの」

楓「少し散らかっていますね。私が責任を持って片付けましょう」

P「急な来客に対応しきれなかっただけなのでお気になさらず」

楓「客ではなく、あなたのメイドですよ?」

P「分かりました分かりましたから顔を近づけなくていいです」

P(結局家にまで連れてきてしまった。なんなのなの)

P「はぁ……お茶を淹れてくるので、少し待ってて下さい」

楓「それなら私が」

P「いいからメイドさんは座ってて下さい」

楓「……はい」

P「──はい、どうぞ」

楓「……ありがとうございます」

P「…………」

楓「……やっぱり、怒ってますか?」

P「……いえ、怒ってるというよりは驚いてるって方が正しいです。楓さんがこんな強引になるなんて珍しいですから」

楓「確かに初めてかもしれませんね。……あの、少し話をしてもいいですか?」

P「えぇ、聞かせて下さい」

楓「アイドルになる時、自己紹介が苦手って話をしたじゃないですか」

P「覚えてます」

楓「今でも自分から何か話しに行くのは少し苦手で。でも、Pさんの手をとって、アイドルの『高垣楓』という自分に出会って、昔の自分より積極的になれたと思うんです」

P「…………」

楓「今日だって、メイドに扮することでいつもより強気になれました。……ちょっと空回りしちゃいましたけど」

P「……人がいなくて助かりました」

楓「ふふっ、すみません。……Pさんにはとっても感謝してるんです。それ以上の想いを抱いてしまうくらい」

P「それ以上、ですか」

楓「はい。アイドルとプロデューサーという関係よりもっと近づきたいと、そう思います」

P「…………」

楓「Pさんは、どうですか?」

P「…………俺達は、アイドルとプロデューサーのままがいいと思います」

楓「……そう、でしょうか」

P「はい。その方がきっと、楓さんにもいいはずです」

楓「…………」

P(そうだ、これでいい。これで……)





楓「……それじゃ、足りません」

P「え?って、おわっ……!」

楓「それじゃ、足りないんです」

P(急に押し倒されたから身動きが取れない……)

楓「私はあなたにもっと近づきたい。身体の距離だけじゃなく、心の距離も」

P「ですから……!」

楓「本当にこのままでいいんですか?あんなに苦しそう顔をしながら言われても信じられません」

P「…………」

楓「アイドルじゃなくたって、衣装がなくたって、一緒にいたいんです。ダメですか?」

P「…………」

楓「Pさん……」

P「…………難しく考え過ぎてたのかもしれません。楓さんにあそこまで言わせて本心を打ち明けないのは、ズルいですよね」

楓「それって」

P「はい。……ダメじゃないですよ。一緒にいましょう。……できれば一生」

楓「……はいっ!」

P「あ、でもアイドルでいる間はダメですよ。ちゃんと卒業してからです」

楓「はい、もちろんです。……ふふっ、瑞樹さんの言った通り」

P「え?」

楓「何でもありませんよ。押し倒して目の前で想いを伝えれば落ちるなんて教わってないですから」

P「……まぁ、何でもいいですけど。それより、そろそろ起き上がってもいいでしょうか」

楓「あっ、すみません」

P「いえいえ。……あの、一旦退いてもらえると助かるのですが」

楓「……そういえば、まだしていないご奉仕が残っていました」

P「まだ続いてたのか……一応内容を聞いてもいいでしょうか」

楓「いやらしいやつです」

P「ストレートですね!」

楓「こんな体勢なんですから、いいじゃありませんか」

P「いや、でも心の準備が」

楓「『ご奉仕』なんですから、Pさんはされるがままでいいんですよ」

P「だ、だからって……!」




楓「では、まずは何をいたしましょう、ご主人様?」



おしまい。



なんとなく10連引いたらかわいいメイドさんがいらっしゃったので書きました。
続きは誰かが書いて下さい。



こんなの書いてます。どうぞよしなに!


東郷あい「おや、どうしたんだい?」
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