ヴィーネ「新妻ガヴリケーション?」(14)

ヴィーネ「魔界通販で買った新婚シミュレータを起動するわ」ゴクリ


はじめから

あなたの名前を入力してね♪

ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリル、と」

ヴィーネ「誕生日は10月……4月20日にしようかしら」

ヴィーネ「やっぱりやめましょう。正確に入力しないとダメよね」

ヴィーネ「呼び名は当然ヴィーネで」

ヴィーネ「終わったわ……意外と疲れるものね」ポチッ

《開始》

ヴ ィ ー ネ ド ロ ッ プ ア ウ ト

ガヴ「ヴィーネさ、最近なんかあった?」

ヴィーネ「え?な、なにもないわよ……?」

サターニャ「そんなわけないじゃない、ヴィネット。あんた鏡見てる?目の下のクマかなりヤバいわよ」

ラフィ「パンダみたいですよね」

ヴィーネ「……ちょっと寝不足で。あ、大丈夫だから!少し寝付けないってだけ」

ガヴ「いやそれヤバいだろ。病院で睡眠薬とか出してもらったら?」

ヴィーネ「そこまでじゃないから安心して」

サターニャ「説得力ないわね……」

ラフィ「まあまあ、本人もこうおっしゃってることですし!ガヴちゃんもサターニャさんももう少し様子を見ましょう」

ラフィ(何をしているかは千里眼で確認済みですし)プフッ

そして夜

ヴィーネ「はぁ……これ以上はマズいわね。皆に心配かけてしまったわ」

ガヴ『ヴィーネ、愛してる。毎日お前の作った味噌汁が飲みたいよ』ニコッ

ヴィーネ『待ってよ……私まだ……』

ガヴ『ダメか?』

ヴィーネ『……卑怯よ』

ガヴ『私は臆病だからな。ヴィーネが断れないタイミングを狙ってプロポーズしたんだ』

ヴィーネ『……本当にズルいんだから』

ヴィーネ『私もガヴが好きよ。愛してる』

ヴィーネ「いいわよ、画面の中の私!」グッ


ガヴ『大切にするから』

ヴィーネ『浮気したら承知しないんだからね?』

ヴィーネ「ガヴぅ」ハァハァ

翌日

ガヴ「珍しいな、ヴィーネが寝坊なんて」

ヴィーネ「ガヴと初夜……いえ、遅くまで映画を観てて……」

ガヴ「なんで私の名前が出てくんだよ」フフッ

ヴィーネ「寝ぼけてたのかも」

ガヴ「辛かったら保健室行く?」

ヴィーネ「大丈夫よ、ありがとう……あなた」

ガヴ「は?」

ヴィーネ「なんでもないの。気にしないで」

ガヴ「ヴィーネ最近おかしいよ?」

ヴィーネ「ガヴは結婚式はどこで挙げたい?」

ガヴ「何の話!?」

ヴィーネ「私たちってもう夫婦みたいなものよね」

ガヴ「ごめん意味わからない」

ヴィーネ「ガヴったら照れ屋さんなんだから///」

ガヴ「いや、ただ困惑してるだけだが」

ヴィーネ「……あれ?もしかしてここは現実?」

ガヴ「あのさヴィーネ、やっぱり病院行こう?」

ヴィーネ「ああああああああああ」ダッ

ガヴ「あっ!ちょっとヴィーネ!どこ行くの!?」

ガヴ「行っちゃった……」


ヴィーネ「どうしよう……最近現実との区別が曖昧になってきた」

ヴィーネ「ガヴは私と結婚したのよね?あれ?……わからない」

ガヴ『私たち夫婦じゃん』

ヴィーネ『ガヴ……大好き』

ヴィーネ「ああ……これが現実だったわね」ウツロナメ

ヴィーネ「ガヴ……ガヴ……」ハァハァ

サターニャ「この現実と仮想世界がごっちゃになってしまうという恐ろしい兵器。に、二次元?をガヴリールに起動させるとどうなってしまうのかしら」

サターニャ「いけないわ!胡桃沢=サタニキア=マクドウェル。ダメよ!これはSSS級悪魔的行為……」

サターニャ「フッ……我ながらなんて悪魔的発想なのかしらね」

サターニャ「好奇心は大悪魔をも殺すと……いいじゃない!やってやるわ!」

サターニャ「覚悟なさいガヴリール。ヌワーッハッハ!」

サターニャ「ラフィエルに頼んでガヴリールのパソコンにインストールしたわ」

サターニャ「神足通便利すぎよね」

サターニャ「ヴィネットにバレたら厄介だし、しばらく様子を見ましょう」

ラフィ「これはたの……面白いことになりそうですね」

サターニャ「今なんで言い直したの!?」

ラフィ「あ、いえ。なんとなくです」

サターニャ「行くわよ、ラフィエル。いい?二人には絶対内緒よ?」

ラフィ「はい!わかってます、サターニャさん」

ガヴ「ん?なんだこれ」

あなたの名前を入力してね♪

ガヴ「誰だよこんなのインストールしたやつ」

ガヴ「まあ暇だし。少しだけ試しにやってみるか」

ガヴ「呼び名はガヴでいっか」

ガヴ「誕生日とか血液型とか面倒だな」ポチッ

《開始》

ガ ヴ リ ー ル ド ロ ッ プ ア ウ ト

一週間後

ガヴ「毎日ヴィーネの作ったお味噌汁……飲みたいかも」

ヴィーネ「ガヴ!」

ガヴ「私、ヴィーネが好きだ」

ヴィーネ「私も大好きよ、ガヴ」

ガヴ「いいや、私の方が愛してるね」ギュッ

ヴィーネ「……なら証拠見せてよ?」

ガヴ「目を閉じて」

ヴィーネ「……んっ」

ガヴ「……ちゅ……」

ガヴ「納得した?」

ヴィーネ「……まだ」

ガヴ「どうしたら信じてくれる?」

ヴィーネ「あと100回キスしてくれたら……」

ガヴ「ヴィーネ!」ガバッ

ヴィーネ「あっ……そこ……」

ガヴ「私たち付き合うことになったから」

サターニャ「はあ!?」

ガヴ「いつか結婚したいと思ってる」

サターニャ「急展開すぎてついていけないんだけどぉ?」

ガヴ「お前だろ?新妻ガヴリケーションとかいうやつインストールしたの」

サターニャ「しかもバレてるし!?」

ガヴ「いや、お前しかいないだろ……」

ガヴ「ありがとな。サターニャのおかげでヴィーネへの気持ちに気付けたよ」

サターニャ「素直すぎて気持ち悪いわね……ちょっと待って」

サターニャ「……私のおかげ?」

ガヴ「ヴィーネとの新婚生活、悪くなかったよ」

サターニャ「えぇ……」

サターニャ「ん?天使と悪魔という最悪のカップルを誕生させた私……悪魔だわ」

サターニャ「やっぱり私は大悪魔ね……我ながら自分が恐ろしくなるわ」

ガヴ「なにブツブツ言ってんだよ」

サターニャ「ガヴリール、私に感謝なさい!」

ガヴ「だからありがとうって言ってんだろ」

サターニャ「そ、それもそうね……」

サターニャ「この大悪魔胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様のおかげて成立したカップルなのだから、幸せにならなきゃ許さないわよ?」

ガヴ「ああ。絶対にヴィーネを幸せにしてみせるよ」

ガヴ「ヴィーネという守りたいものができて、私は変われた」

ガヴ「ネトゲもやめたんだ」

サターニャ「……ん?」

ガヴ「私が更生できたのもサターニャのおかげだから」ニコッ

サターニャ「どうしてこうなった」


ラフィ「今のサターニャさんの顔、最高に輝いています!」

サターニャ「こうなったら私もプレイするわ!」

サターニャ「魔界通販で買った、この新妻ガヴケーションを!」

ラフィ「どうしてそうなるのかわかりませんが頑張ってください!」

《開始》

サ タ ー ニ ャ ド ロ ッ プ ア ウ ト

おしまい

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