亜美「タイムマシンに飛び乗って!」真美「ラジャー!」 (106)

真美「どうしたの亜美、その乗り物! ちょー面白そう!」


亜美「んっふっふっ→。これはタイムマシンだよ」


真美「マジで!?」


亜美「さあ真美隊員、タイムマシンに飛び乗って! 時間旅行へ出発するのだ!」


真美「ラジャーであります!」

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……


真美「ここは?」


亜美「10年後だよ。兄ちゃんのお嫁さんが誰になるか探るのだ!」


真美「ええっ!?」///


亜美「ひよっとして亜美だったりして」


真美「だ、ダメだよ!!」


亜美「? どしたの真美?」


真美「ぁ……うぁ……だ、だって兄ちゃんがロリコンで捕まっちゃうよ!」


亜美「10年後だから大丈夫だって~」


真美「でもでもー!」


亜美「ひょっとしたら真美と結婚してるかもね」


真美「え……」///


亜美「さぁーて、兄ちゃんはどこに居るかなー?」


真美「うあうあー! まだ心の準備がー!」///

亜美「あ! あれ兄ちゃんじゃない? 女の人と一緒に居るよ!」


真美「うあー!」///


……


春香「プロデューサーさん、今日は遅いんでしたっけ?」


P「ああ。残業で遅くなるから夕飯は先に食べててくれ」


春香「寂しいなぁ」


P「悪いな。あと結婚したんだから、二人っきりのときは名前で読んでくれって」


春香「あはは、すみません。まだ慣れなくって。……○○さん」


P「春香」


春香「○○さん!」


P「春香!」


春香「○○さーん!」


P「春香ー!」

……


真美「」


亜美「兄ちゃんのお相手ははるるんでしたかー。王道感すごいっすな~……どったの真美?」


真美「ううん。なんでもない。大丈夫だよ」


亜美「そう?」


真美「んー次! つぎつぎ! 次はどの時代に行く?」


亜美「えっ、う~んとそうだなぁ……ピヨちゃんの若いころでも見に行きますか」


真美「あえてこの時代ではなく、過去のピヨちゃん選んであげる亜美やっさし→!」


亜美「でしょでしょ→」

……


真美「ここは?」


亜美「亜美たちが居た時代の10年前だよ。ピヨちゃんを探せー!」


真美「おー!」


亜美「あっ、居た!」


真美「早っ!」


亜美「二人の男の子と一緒に居るね」


真美「ひよっとして、ピヨちゃんモテモテ!?」


亜美「まっさかー」


……


小鳥「だめ! だめよ、小鳥ぃ~!」タッ

……


真美「今とあんま変わんないね」


亜美「あーあ、男の子たちポカーンってなってるよ」


真美「残念美人ってやつだね………………あれ?」


亜美「どしたの真美?」


真美「あ、ううん! なんでもない! ……ああ、真美ちょっとトイレ行ってくんね!」タッ


亜美「え? うん」


……


真美(兄ちゃんっぽい人が居たから、追いかけて来ちゃった)


真美(この時代でうまくやれば、未来が変わって真美が兄ちゃんのお嫁さんになれるかも!)


真美(んっふっふ→。ごめんねはるるん。勝利の女神は真美に微笑んだんだよ)

真美「ねぇ兄……○○くん」


P「誰? なんで俺の名前知ってるの?」


真美(やっぱり兄ちゃんだった! 若いなぁ。真美と同じくらいかな?)


真美「私は真美。えーっとえーっと……一目惚れしました!」


P「えっ」///


真美「……」カァァ///


P(可愛い)///


真美「で、でもでも! 真美はこれから遠いところへ行ってしまうのだ!」


P「そうなんだ」


真美「だから一緒にはなれないけど、将来キミの前に真美そっくりのせくちーアイドルが現れたら、結婚してあげてね!」


P「? それはどういう――」


真美「絶対だかんね! 約束だかんね!」///


真美「じゃ!」ダッ


P「あっ――……行っちゃった」

……


亜美「あ、真美お帰りー。顔真っ赤だけど大丈夫?」


真美「……ダメかも」プシュー///


……


亜美「元の時代に帰ってきたよん」


真美「そろそろ事務所に行く時間だもんね」


亜美「まてよ。もはや亜美たちに時間の縛りはないから、いくらでも遊べるんじゃあ……」


真美「そんなことしてたら、周りの人より早くおばーちゃんになっちゃうYO!」


亜美「あそっか! それは嫌だから大人しく事務所に行ってやりますか」


真美「そうしてやりますか」

続きますなの

……


亜美&真美「おはよ→!」


春香「おはよう。早いね二人とも」


真美「はるるんだけ? 兄ちゃんたちは?」


春香「? 今日は私が一番乗りで、みんなはまだ来てないみたい」


春香(兄ちゃん?)


亜美「いやーはるるんも隅に置けませんなー」


春香「?」


亜美「なんでもないYO」


真美「はるるん。強く生きろ」ポン


春香「??」


真美「なんでもないYO」


真美「はー、兄ちゃんまだかなー」


春香「ねぇ真美。『兄ちゃん』って誰?」


真美「え?」

亜美「なに言ってんのはるるん。兄ちゃんは兄ちゃんじゃん」


春香「二人に実はお兄さんが居て、今日事務所に来るってこと?」


亜美&真美「???」


亜美「だから兄ちゃんは兄ちゃんだYO!」


真美「真美たちのプロデューサーだYO!」


春香「えっ、プロデューサーさん!? そっかぁ。ついに私たちにもプロデューサーが……」


亜美「」


真美「」

亜美「どゆこと?」


真美「ドッキリかな?」


ガチャ


高木「おはよう諸君」


亜美「あ、社長! 社長は兄ちゃんのこと知ってるよね!」


真美「真美たちのプロデューサーだYO!」


高木「律子君ではなくてかね? 今のところ採用の予定はないなぁ。なかなかティンとくる人材がいなくてね」


高木「では、私は社長室に居るよ」


真美「……」


亜美「はるるんはともかく社長がこんな冗談言うかな?」


春香「私だって言わないよ!」

真美「……」


亜美「どったの真美?」


真美「歴史が変わっちゃたのかも」


春香「え?」


亜美「えーでもでも、観察しただけで干渉はしてないよ。そもそも兄ちゃんじゃなくてピヨちゃんを見に行ったんだし」


真美「……ぅ」


真美「うわぁぁぁん!」


亜美「うええっ!? どしたの真美!」


真美「ごめんなさい! ごめんなさいぃぃ……! うわぁぁぁん!」


春香「落ち着いて真美! なにがあったの!?」


真美「うぐっ……実は――」

……


春香「はぁ。そんなことが」


春香(どこまで信じればいいんだろう? 本当に泣いてるっぽいしなぁ)


亜美「ごめんね真美。真美の気持ちも知らないで……」


真美「亜美は悪くないよ! 真美が……真美が……うわぁぁぁん! 兄ちゃぁぁぁん!」


真美「兄ちゃんの居ない世界なんて嫌だよー!」


亜美「うぅ……!」


春香「歴史を元に戻せばいいんじゃないかな?」


亜美「え?」


真美「ふぇ……?」


春香「もう一度過去に戻って、プロデューサーさんに声をかけようとする真美を止めればいいんじゃないかな? それで元通りだと思うよ」


亜美「あそっかー! はるるんあったまいー!」


真美「よかった! よかったよぅ!」

……


亜美「はるるんもついて来るの?」


春香「だってタイムトラベルですよ! タイムトラベル! 春香さん興味津々ですよ」


春香「それに未来の旦那様がどんな人か気になるし」


亜美「んもーちかたないなー」


……


亜美「とうちゃーく!」


春香「ここが10年前かぁ」

真美「ねぇ。今更だけど本当にうまくいくのかな?」


春香「どうして?」


真美「だって、さっき10年前に来て兄ちゃんに話しかけたとき、未来の真美に会わなかったよ?」


亜美「そっか! ドラえもんでよくあるやつだね。未来の自分が会いに来るの」


真美「これって、過去の真美を止めようとしても失敗しちゃうってことなんじゃあ……」


春香「多分その心配はないよ」


真美「どうして?」


春香「実際、今ここに居る真美が未来を変えることに成功しているからだよ」

春香「プロデューサーさんが居る未来の記憶を持つ亜美真美と、プロデューサーさんが居ない未来の記憶を持つ私がいるじゃない」


春香「ドラえもんみたいに未来を変えようとすること自体も歴史に組み込まれていて、どうやっても未来は変わらないんだとしたら、違う未来の記憶を持つ私たちが出会ってるのはおかしいでしょ?」


真美「うーん。よくわからないけど、未来は変えられるってことはわかったよ」


亜美「よーし! じゃあ過去の真美を止めに行こう!」


真美「おー!」

続くなの

……


過去の真美(んっふっふ→。ごめんねはるるん。勝利の女神は真美に微笑んだんだよ)


真美「待てぇい!」


過去の真美「!?」


真美「真美は未来の真美だよ」


亜美「そして未来の亜美と未来のはるるんなのだ」


過去の真美「おおっ、なんかSFっぽい! ――んで、どちたの?」


真美「実は――」

……


真美「――というわけなんだ」


過去の真美「そんな……真美、なんてことを……」


過去の真美「ありがと未来の真美。真美、とんでもないことするところだったよ」


過去の真美「兄ちゃんには別の方法でアタックしよーっと。将来、最強せくちートップアイドルになれば、きっと兄ちゃんもイチコロだよね!」


春香「そうだよ」


過去の真美「そうと決まれば、帰ってビジュアルレッスンだ!」


真美「おー!」

……


春香「――というわけで、元の時代に帰ってきたんだけど」


亜美「どったのはるるん?」


真美「浮かない顔して」


春香「よく考えたら私ってプロデューサーさんが居ない世界の住人だから、この先どうしようかなって」


亜美「記憶が書き換わったりしてないの?」


春香「私もそう思ったけど、亜美たちが私の世界に来たときも記憶はそのままだったでしょ?」


亜美「あそっか」


春香「うまくやっていけるかなぁ」

……


未来「おはようございます春香さん!」


静香「おはようございます」


春香「え、あっ、おはよう……ございます」


春香「ねぇ亜美、あの子たちだれ?」コソッ


亜美「えっ……可愛い後輩を忘れるなんて、はるるんはいつからそんな冷たい人に」オヨヨ


真美「ひょっとして、はるるんの世界ではシアター組は居ない?」


春香「シアター組??」


亜美「あーこの反応はそうっぽいですなー」


真美「やっぱり兄ちゃんの存在は偉大だったってことだね」


春香「うぅ……これからどうしよう」

……


春香「うわぁぁぁん!」


真美「どちたのはるるん?」


春香「奈緒ちゃんが耳もとで、タロイモ……タロイモ……って囁いてくるの」


春香「私なにかしたのかなぁ。知ってる?」


真美「んーん、知らないよ」


亜美「うわぁぁぁん!」


真美「どちたの亜美?」


亜美「お姫ちんが耳もとで、便槽……便槽……って囁いてくるんだYO!」


亜美「なにそれって聞いたら、『亜美が教えてくれたのではないですか』って。亜美そんなの知らないよ!」

真美「真美のほうも、記憶と現実が食べ散らかってることがあるみたいなんだよね」


春香「『食い違ってる』ね」


真美「ひよっとして、歴史がちゃんと元に戻ってないのかな?」


亜美「えーでもでも、未来の真美はちゃんと止めたよ?」


春香「そう言えば、あの後そのまま帰ったかは見届けなかったね。念のためもう一回過去に行ってみる?」


真美「そうだね!」


亜美「しゅっぱーつ!」

……


亜美「10年前に着いたよ!」


コソッ


過去の真美1「そうと決まれば、帰ってビジュアルレッスンだ!」


過去の真美2「おー!」


……


……


……


真美「過去の真美たち、二組とも普通に帰っちゃったね」


春香「う~ん、おかしいなぁ」


亜美「なんで未来が変わっちゃってたんだろうね?」


真美「う~ん……」


春香「なにもなかったし、取りあえず帰ろっか」


亜美「そだね」

……


亜美「元の時代に着いたよ!」


真美「また変わってたりして」


春香「怖いこと言わないでよ」











やよい「こんばんやよやよ~!」


春香「変わりすぎでしょ!!」

続きますなの

……


春香「なんなのこの世界……」


真美「でも格好いいね、ロボット!」


亜美「アニメみたいだね!」


真美「アニメじゃない!」


亜美「アニメじゃない!」


亜美真美「本当のことさ~♪」


春香「はぁ……これからどうしよう」


真美「カレーにスルーですなー」


亜美「……また過去に戻ってみる?」


春香「う~ん……」


真美「この世界ってロボットとかあって科学が発展してるっぽいし、この世界の人に相談してみるとか」


春香「そうだね。また過去に戻ってもっと変な世界になったら困るし」

……


ジョセフ「なるほど。タイムマシンによる歴史改変ですか」


春香「はい」


ジョセフ「正確なところはわかりませんが、3つほど原因が考えられます」


春香「え、わかるんですか!?」


真美「さっすがー!」


ジョセフ「あくまで仮説ですよ」


ジョセフ「その1。皆さんは時間だけではなく並行世界を渡り歩いて来た説」


春香「並行世界?」


ジョセフ「世界というのは同時に複数並行して存在している……という考えがあります。皆さんが使ったタイムマシンは、時間だけでなく並行世界を横断する機能も搭載している……と考えるのはいかがでしょう」


亜美「でもタイムマシンの設定項目に世界の指定っぽいものはなかったよ」


春香「ということは、もしその説が正しいとしたら亜美のタイムマシンでは元の世界に戻れないね……一旦この説はおいておこう」

ジョセフ「よろしいですか? 原因その2――過去に戻るという行為そのものが原因である説」


亜美「でもでも、過去の出来事には干渉してないよ」


真美「したけどしなかったことにしたよ」


春香(ややこしい)


春香「課長さんが言いたいのは、過去の出来事に干渉したかどうかは関係なくて、過去に行った時点でもう未来は変わったってことなんじゃないかな」


ジョセフ「そうです。賢いですね」


亜美「えー! なんでなんでー?」


ジョセフ「量子が観測によって変化するからです」


亜美真美「???」

ジョセフ「誰がなにを見るかによって少しずつ未来が変わって行くのです。あなた方が過去に戻って観察してしまったがために、本来一人の双海さんが見るはずだった世界を二人の双海さんが見て、さらに過去に戻ったことで三人の双海さんが見て、その影響で量子の動きが変化し、未来が変わっていったのです」


亜美真美「??????」


春香「なるほどー」


亜美「えっ!? はるるんわかるの!?」


春香「なんとなくね」


春香「でも、だとしたら歴史を元に戻すには、過去に向かおうとする最初の亜美たちを止めないといけないけど、そのために過去に戻ったら結局未来は変わってしまうことに……」


ジョセフ「そもそも、最初に過去に向かおうとした歴史は既に存在していないでしょうから、歴史の修正は不可能ですね」


春香「……」ズーン


ジョセフ「まあ所詮、素人の私が考えた仮説ですから、そう気を落とさないでください」

ジョセフ「さて、説その3――寝ぼけている」


春香「え?」


亜美「そんなー! 亜美たち寝ぼけてなんかないYO!」


真美「それに3人が同時に同じ夢を見るわけないじゃん!」


ジョセフ「そうとも限りませんよ。人は無意識の奥深くで繋がっていると言いますからね」


春香「集合的無意識というやつですか?」


ジョセフ「それです。そう考えれば、同じ夢を見ても不思議ではないでしょう?」


ジョセフ「さあ! そういうわけで、いつまでも寝ぼけてないでお仕事してください。出動です」


春香「」

続きますなの

……


春香「どうもこの世界においても時間の謎は解明されていないみたい」


亜美「というかロボットの存在以外元の世界とあんまり変わんないっぽいね」


真美「どうする?」


春香「このままこの世界に居ても解決しなさそうだし、またタイムトラベルしよっか」


亜美「でもまた変な世界になっちゃったら……」


真美「あ! 真美思いついた!」


真美「元の世界か、元と近い世界になるまで、過去へ行って戻ってを繰り返せばいいんだよ!」


亜美「おー! 真美あったまいー!」


春香「並行世界や量子の話を聞いちゃうとなぁ……もの凄く気が遠くなる作業な気がする。死ぬまでに終わるかなぁ」


亜美真美「う~ん……」

春香「未来に行ってみるのはどう?」


真美「みらいっちがどうかしたの?」


春香「そうじゃなくてね」


春香「遥かな未来に行けば更に科学が発展してて、この問題が解決するかもと思って」


亜美「ハルカナミライって曲名的にはみらいっち1人で完結しちゃってるよね」


春香「もう! 話の腰を折らないでよ!」


亜美真美「ごめんごめんー」


春香「とにかく、過去に行くよりは希望があると思うの。過去へ行くと未来が変わっちゃうけど、未来へ行っても過去は変わらないから、ちょっとした安心感もあるしね」


亜美「よーし! そうと決まればれっつらごー!」


真美「はるかな!」


亜美「未来へ!」


春香「うがー!」

短いですが一旦ここまでなの

……


亜美「とりあえず1万年後に来てみたよ!」


春香「なんだか荒廃した世界だね」


春香(戦争でもあったのかな?)


千早「誰!?」チャッ


春香「わぁっ!? ち、千早ちゃん?」


春香(ピストル持ってる!?)


千早「え……春香!? 亜美に真美も。どうしてここに……」


千早「――!」ハッ


千早「タイムマシンね! タイムマシンで来たのね!」


春香「うん。ついさっき着いたところだよ」


千早「そう……よかった。まだ希望はあるのね」

春香「あの、千早ちゃん。どういうこと? 千早ちゃんもタイムマシンで来たんだよね? なにがあったの?」


千早「なにがって……」


千早「……」


千早「……そう。そういうことなの」


真美「千早お姉ちゃんが達観してる」


亜美「これは我々の知らない重大な事実を知ってる感じですな~」


千早「タイムマシンによる歴史改変戦争が始まったの」


春香「……」


千早「そのせいで歴史はぐちゃぐちゃ。私が経験した過去と春香たちが経験した過去は、もはや全然違う世界なんでしょうね」

春香(目の前の千早ちゃんが、あのロボットの世界で見た千早ちゃんじゃないのはそう言うことか)


春香(ここがあの世界から続く未来なら、目の前の千早ちゃんはこうじゃないはず)


春香(理屈はさっぱりだけど、過去が改変されすぎて、宇宙は歴史の整合性が取れなくなっている? ――って、ちょっとファンタジーすぎるかな)


春香(ロボットの世界も、もう消滅してるのかな……)


千早「私は命からがら未来に――この世界に逃げて来たわ」


千早「そして私が乗ってきたタイムマシンは壊れてしまって、身動きが取れなくなってしまったの」


千早「それに、私を逃がすためにプロデューサーが……」ウッ


真美「え……」


亜美「……」


春香「……」

春香「逃げて来たってことは、この世界は安全なの?」


千早「過去よりはね。皆過去ばかり変えようとして未来には興味ないみたい」


春香「過去を変えられたら未来に影響があるんじゃないの?」


千早「……ああ、まだその段階なのね」


春香「どういうこと?」


千早「過去を変えられても未来に影響があるとは限らないわ」


春香「どうして?」


千早「厳密には、過去は未来に常に影響を与えていると言えるし、与えていないとも言える」


春香「???」


千早「理解しようとしなくていいわ。私だってちゃんと理解できていないもの」

春香「――まって。過去が未来に影響を与えないなら、歴史改変戦争の意味ってなに? いったい時間の仕組みはどうなってるの?」


千早「未だちゃんとは解明されていないわ。ただ時間遡行のやり方がわかっただけ。過去でどうすれば未来でどうなるとか、そういったことは誰もわかっていない」


春香「それじゃあなんのために戦争なんて……」


千早「本当に。人間って愚かよね」


千早「時間遡行の方法を見つけて、世界の真実を解き明かした気になって……神にでもなった気分だったのかしら」


千早「時間の仕組みとは人間なんかでは決して辿り着けない、真に神の領域のものなのよ。きっと」

続きますなの

春香「……」


真美「……」


亜美「……亜美のせいかな」


真美「え?」


亜美「亜美が……ひっく……タイムトラベルなんて……始めちゃったから……」グス


真美「亜美ぃ……」ウッ


春香「……」


千早「亜美のタイムトラベルが始まりとは限らないわ。と言うより、なにが始まりかなんて考えは今や意味をなさない」


春香「そうだね」


亜美「どういうこと?」グス


春香「亜美は悪くないってことだよ。だから泣き止んで」

亜美「でも、これからどうしたら……」


春香「大丈夫。希望はあるよ。――そうだよね千早ちゃん」


千早「ええ。春香たちが来てくれたおかげよ」


春香「どうするの?」


千早「ここから更に未来へ行くわ。ずっと先――歴史を戻す方法が解明されるまで」


真美「あれ? でもさっき、人間には時間の仕組みは解明できないって言わなかった?」


千早「仕組みが解明できなくても、元に戻す『方法』がわかればいいのよ」


千早「さあ、早速行きましょう」

……


春香(みんなでタイムマシンに飛び乗って未来へ向かう。遥かな未来へ)


春香(タイムマシンの中から見える外の景色が、未来へ進むに連れて変化する)


春香(最初はパラパラ漫画を捲るようにコマ送りだった景色の変化が、加速度的に速くなる)


春香(強い光が射して眩しいと思った瞬間には闇になっていたり、青色が見えたと思ったら赤色に変わっていたりした)


春香(何度か体験したタイムトラベルの際は、ここまでの変化はなかった。一体どれほどの時を越えているのだろう)


春香(目に良くないと思い目を細めて、それでも景色を眺め続けた)

春香(こんな事態だというのに自分が酷く興奮していることに気づいた)


春香(人類史上最大の時の大跳躍をしているのだ。このくらいは許してほしい)


春香(景色は点滅を加速させていき、やがてただの“色”となった。景色の過ぎ去る速度が目で追える限界を超えたのだ)


春香(尚も速度が上がる)


春香(――数秒間、光に包まれた。すべてを呑み込むような強い光)


春香(光がおさまると辺りはすべて闇になり、景色は一切見えなくなった)


春香(闇、闇、闇――)


……

亜美「千早お姉ちゃん。なんか真っ暗になっちゃったよ。どこまで行けばいいのー?」


千早「……」


亜美「千早お姉ちゃん?」


千早「……」タラ…


春香「千早ちゃん、どうかしたの?」


千早「今の光、もしかして……」


真美「すっごい眩ちかったね!」


千早「太陽の爆発?」


真美「え?」


亜美「え?」


千早「未来に来すぎて、太陽系が消滅したのかも……」


春香「――――――え?」

もうちょっとだけ続くんじゃ

亜美真美「ええええええ!?」


亜美「怖いこと言わないでよ千早お姉ちゃん!」


真美「そーだよー! 地球どころか太陽系がなくなるなんて!」


千早「この時間速の中であんなに長時間光を保ち続けられるのは太陽の爆発ぐらいじゃないかしら」


千早「それに過程になにがあったかはともかく、一切の光がなくなったのは太陽が消滅したに他ならないと思うわ」

亜美「そんなー! じゃあ急いで戻らないと!」


春香「待って!」


亜美「どちたのはるるん?」


春香「今私たち、タイムマシンの外の影響を受けてないよね」


真美「んん?」


春香「太陽爆発の熱も平気だったし、太陽が消滅したなら気温が下がってるはずだけどそれも平気」


春香「これって私たちがタイムトラベル中だからだと思うの」

春香「外の景色を見てると、時間の進みに速度があるように思える」


春香「ということは、過去に戻るためには一旦速度を落として時間の向きを反転しないといけない」


春香「反転の瞬間、時間の速度はゼロに――正確には通常の速度になる」


千早「その瞬間外の影響を受けるかも知れないと言うことね」


春香「うん。そのときの外の環境が、人が住めないようなものだったら、私たちは死んでしまうかも知れない」


亜美「ひぃっ!」


春香「戻るにしても景色が現れてからだよ」


真美「このまま真っ暗なままだったら?」


春香「真っ暗じゃなくなるまで進むしかないね」

千早「少し速度を落として運転しましょう。今のままの速度だとなにか見えてもすぐまた通り過ぎてしまうかも」


亜美「わかっ――」


ピカァ――‼


亜美「たぁぁぁ!!」


真美「眩しぃー!!」


千早「なにこの光!」


春香「――! 亜美、速度を落として! 止めないように!」


亜美「う、うん!」


春香「――――――あ」


春香(光が晴れる――)


……

亜美「収まった……」


真美「ああ! 外の景色が復活してる!」


春香「亜美、もう少し速度落として」


亜美「うん」


春香「どう思う千早ちゃん?」


千早「さっきのが本当に太陽系の終焉なら、今のは新しい銀河の誕生かしら」


春香「私たち、凄い瞬間を目撃しちゃったね」ブルッ


千早「そうね」ウズ


真美「スケールが広がりすぎてよくわかんないよー」


亜美「実は夢オチじゃないかな」











亜美「――はっ! ……夢か」


春香「夢じゃないよ。現実逃避やめよう」

千早「あ! 今、人みたいなものが見えたわ!」


春香「えっ!? 亜美、もうちょっとスピード落として!」


亜美「あーい」


春香「本当だ。人がいる」


千早「見ためは私たち人類によく似ているわね」


春香「新人類……?」


真美「ねーねー。二人とも目的忘れてない?」


亜美「もう過去に戻ろうとしても大丈夫じゃない?」


千早「……そうね。ごめんなさい」


春香「あ──れ?」


千早「どうしたの春香?」

春香「あの建物、どこかで見たことあるような……」


千早「え……あ」


真美「もーはるるん。あれは法隆寺だよ。歴史の授業で習ったもん」ドヤァ


亜美「ホントだ! 本物初めてみた!」


真美「──あれ?」


亜美「──ん?」


春香「私たち、未来に進んでたよね?」


千早「え……ええ。太陽系の終わりと新銀河の誕生──と思われるもの──を通過して来たわ」


春香「なんで法隆寺があるの? しかもあれ──」


春香「私の記憶のものより、よっぽど新しいんだけど」

まだ少し続きます
関係ないけどミリシタ楽しみなの

千早「実は過去に向かっているとか?」


亜美「ちゃんと未来に設定してるよ」


真美「外見た感じも未来に進んでるっぽいし」


千早「そうよね……」


春香「ひょっとして、ループしてる……?」


千早「世界は……始まりから終わりまでを繰り返していると言うの」


春香「だとしたら、これ以上未来に進んでも解決策はなさそうだね。過去に戻ろっか」


真美「まって! 真美チョー良いコト思いついた!」

真美「本当に世界がループしてるなら、このまま未来に進めば元の世界に戻ったのと一緒になるんじゃない!?」


亜美「おおおおお! 真美あったまい→!」


千早「私たち皆、違う歴史の住人だけど……〈元の世界〉って私たちのうちのどの世界なのかしら。あるいは誰の歴史にも当てはまらない世界なのかもしれない」


亜美「あ、そっかー」


真美「良い案だと思ったんだけどなー」

短いですが一旦ここまで

春香「でもさ。このまま未来に行くと本当に私たちが産まれるのか気にならない?」


千早「まあ……。あと歴史改変戦争がまた起きるのかとか」


亜美「あ、そうこうしてる内に亜美たちがいた時代っぽいとこまで来たよ」


春香「わぁっ、止めて止めて!」


亜美「えぇっ!?」


千早「春香、止めてどうするの?」


春香「あ、つい……。まあ大冒険して疲れたし、ちょっと休憩ってことで」


真美「確かにちょっと休憩したいね」


亜美「お腹すいたしね」


千早「もう」


春香「まあまあ千早ちゃん。事務所──もしあればの話だけど──の冷蔵庫でも漁ってみよう」

……


亜美「765プロの事務所にとうちゃーく!」


真美「事務所あったね」


春香「これはますます、この世界にも私たちが存在している可能性が」


千早「出会わないことを祈りましょう。きっと面倒なことになるわ」


ガチャ


春香(お邪魔しま~す)


シーン


春香「あれ、誰もいない?」


千早「不用心ね」


春香「でも良かったぁ。タイムマシンで過去から来たなんて信じてもらえるはずないもんね」

亜美「見て見て二人とも! ゴージャス・セレブ・プリン!」


春香「ええっ、どうしたのそれ!?」


真美「冷蔵庫にあったよ」


春香「行動が早いよ! 誰か居たらどうするの!?」


真美「まあまあ。はるるんの分もちゃんとあるから」


春香「もー! ……食べるけど!」


亜美「はい。千早お姉ちゃんも」


千早「ありがとう」


ワイワイ ガヤガヤ


美希「あふ……うるさいなぁ。なにしてるの?」


春香・千早「!?」

真美「あ、ミキミキ!」


亜美「ミキミキも食べよう! ゴージャス・セレブ・プリン!」


美希「わぁ、美味しそうなの♪ いただきまーす!」


春香「ほほほ本当に美味しいなー! ね、千早ちゃん!」


千早「そうね!」


美希「……あれ?」


春香「ど、どうしたの美希?」


美希「皆ついさっき出かけなかった? 服装もさっきまでと違うような……」


春香「そそそそんなバハマ! 寝ぼけてるんじゃないの? ね、千早ちゃん!」


千早「そうね!」


美希「うーん……まいっか」


春香・千早(ほっ)


小鳥「……」


春香・千早「あ」

小鳥(あたしが仕事サボってトイレでミリシタしてる間に──)


小鳥(春香ちゃんたちがプリン食べてる!)


小鳥(──じゃなくって!)


小鳥「さっきタイムマシンがどうとか聞こえたんだけど」


春香(しまった)


千早「そんな話してませんけど」


春香「そうそう! そんなことより小鳥さんも食べませんか? ゴージャス・セレブ・プリン!」


小鳥「皆ついさっき出かけたところよね。服装もさっきと変わってるわ。──あ、プリンは頂くわね」


春香・千早「……」


美希「?」


亜美・真美「ワイワイ キャッキャッ」

よし、ちゃんと続けたぜ!(遅くなってすみません)
続きは後日

……


春香「実はかくかくしかじか──」


春香「という訳なの」


美希「ふむふむ、なるほどなの」


美希「小鳥、救急車って911番だっけ?」


小鳥「119番よ」


春香「もう、やっぱり信じてない! だから言いたくなかったのに」


美希「ごめんごめん冗談なの。信じるよ」


美希「亜美と真美はともかく、春香と千早さんがこんな嘘付くはずないもんね。皆揃ってボケるってのも考えづらいし」


亜美「ちょっと美希さんや」


真美「聞き捨てなりませんな~」

小鳥「──」コホン


小鳥「まとめると、皆それぞれの世界に帰らなきゃいけない訳ね」


千早「私は歴史改変戦争の阻止もしないといけません。阻止できないとしても、プロデューサーを助けるのはマストです」


小鳥「う~ん……タイムマシンで過去に戻っても、もはやそこは知らない世界……と。じゃあ──」





小鳥「タイムマシンを使わずに過去に戻れば上手くいくかも」

全員「……」


千早「へっぇ?」


亜美「千早お姉ちゃんがスットンキョーな声あげてる」


春香「千早ちゃんがあげなかったら私があげてたよ」


真美「だよねー。ピヨちゃんまじめに考えてYO」


亜美「そーそー。タイムマシンなしで時間を越えられるわけないじゃん」


小鳥「肉体ごと時間を越えるのはタイムマシンじゃないと無理でしょうね」


千早「肉体ごと……?」


春香「ひょっとして、精神だけ過去の自分に戻るってことですか!?」


小鳥「そうよ」


千早「仮にそれが可能だとしても、戻った先が元の歴史の私だとは……」


小鳥「時間に囚われないで千早ちゃん。元の歴史の自分に戻るんじゃないわ」


小鳥「自分の中の時間を過去に戻すのよ」

千早「???」


亜美真美「???」


小鳥「ごめんなさい。私も自分がなにを言っているのかわからなくなってきたわ。語彙力のなさが憎い!」


春香「時間という絶対的なものがあって、その中で私たちは生活しているんだと思ってましたけど──」


春香「私たちそれぞれの中に時間があって、それを巻き戻すってことですか?」


小鳥「巻き戻す……う~ん、その表現が正確なのかわからないけど、そうね」


小鳥「時間とは世界に流れている絶対的なものじゃないわ。個々人が勝手に感じているものなのよ」

つづくなの
ハッチポッチ楽しかったの

千早「それでは私たちの体験してきたことの説明が付きません。私たちは確かに肉体ごと絶対的な時間の旅をしてきたんです」


春香「時間は二種類あるってことなのかな?」


小鳥「そうね」


千早「仮に私たちの時間を巻き戻して元の世界に帰れたとして、この肉体はどうなるんですか? 抜け殻? それともこの世界に来たこと自体なかったことになる?」


小鳥「その問答に意味はないわ。時間を巻き戻すと千早ちゃんの観測対象はこの世界ではなくなる。人間は自分が観測する世界でしか生きられない。と言うより、自分が観測したものが生きる世界になるのだから」


真美「亜美、ピヨちゃんが何言ってるかわかる?」


亜美「亜美は考えるのをやめた」


美希「ミキ、頭沸騰しそうだから寝るの。おやすみなさ~い」Zzz

千早「小鳥さんの言いたいことはなんとなくわかります。でも私には関係なくとも──」


ガチャ


高木「その辺にしてはどうかね」


小鳥「社長! いつから?」


高木「最初から聞いていたよ。すまない。盗み聞きするつもりはなかったんだがね」


高木「如月くん。世の中には自分の常識では計り知れない──考えても、答えを突き付けられても理解できないことがあるのだよ」


高木「音無くんの言うこと全てをみなに理解してもらうのは難しい。ここは一つ、『そういうものなんだと』言うことで済ませてくれないかね」


千早「……そうですね。確かに理屈を理解する必要はありません。元の世界に戻れればそれで良い話でした」

千早「でも、どうやってそれを実現するのですか?」


高木「ふっふっふ。私に任せたまえ。私の〈手品〉でなんとかしてみせよう」


千早「〈手品〉って……」


春香「どうして社長にそんなことが出来るんですか?」


高木「天海くん、ここは君たちが元居た世界とは違う。いわば異世界だ。先ほど言ったことに通ずるが、君たちが元居た世界の常識は通用しないのだよ。おそらく君たちが既に経験してきたようにね」


高木「それに“私は765プロを創った男だよ”。これぐらい出来ても不思議ではないだろう」

高木「さあ、話はこれくらいにして始めようか。みんな目をつむって、戻りたいころの状況をイメージするんだ。出来るだけ明晰に頼むよ」


春香「専用の機械とかは使わないんですか?」


高木「ああ、必要ないよ」


亜美「イメージ……」


亜美(タイムマシンを動かす前──見つける前に戻れれば良いかな)


高木「イメージに最も近い記憶データから過去を復元し、君たちの意識を結びつけよう」


小鳥「元の世界のあたしによろしくね♪」


高木「では────」


──────────


──────


──


高木「まさかあのタイムマシンでこんな大冒険をするとはね」


小鳥「え!? 社長が用意したんですか!?」


高木「あっ」


小鳥「また変なもの作って! みんな困ってたじゃないですか!」


高木「すまん~音無くん! ロマンを求めて、つい出来心で」


高木「まあ、みんな戻れたんだから良しとしようじゃないか」


小鳥「もう」

高木「ところで、天海くんたちが乗って来たタイムマシンはどこかね?」


小鳥「あ、そう言えばどこに──」


亜美の声『あれ、なんだこれ』


亜美の声『ふむふむ……』ガサゴソ


亜美の声『こ、これはもしやタイムマシン!?』


真美の声『どうしたの亜美、その乗り物! ちょー面白そう!』


亜美の声『んっふっふっ→。これはタイムマシンだよ』


真美の声『マジで!?』


亜美の声『さあ真美隊員、タイムマシンに飛び乗って! 時間旅行へ出発するのだ!』


高木・小鳥「ああああああああ!!」

◆過去(元の世界)に戻った亜美◆


亜美(──あれ、亜美さっきまでなにしてたっけ?)


亜美「んー?」


亜美「まいっか」


亜美「あれ、なんだこれ」


亜美「ふむふむ……」ガサゴソ


亜美「こ、これはもしやタイムマシン!?」





おわり

だいぶ遅くなってしまってすみません

意識だけが過去に戻るタイムトラベルって記憶も戻ってしまうのでは?
というオチは決めていたのですが、そこに行くまでの上手い話が思い付かなかったので、社長にデウスエクスマキナになってもらいました

タイムトラベルの度に歴史が変わるところは、バクスターの「タイム・シップ」から着想を得ました
興味があればぜひ


▼あと765系の過去作を乗っけておきますので良ければこちらもどうぞ

P「団結2015を収録するぞー」
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それでは依頼だしてきます

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