真美「ひとりの兄と」六太「ひとりの姉」 (36)
初投稿で不慣れですが、宇宙兄弟のクロスを書かせていただきます。どうかお手柔らかにお願いします。
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2026年 3月8日 ヒューストン行き飛行機内
私、南波六太は弟日々人の月面飛行を見届けるため、飛行機に乗ってヒューストンに向かっている。
日々人は日本人初の月面歩行者という歴史に名を残すだろう。
そんな誇り高い我が弟日々人に私は、今手元にあるCDを届けようとしている。
それは、
『ドーハの奇跡』
これは弟日々人と、ある双子の姉妹が私にくれた、大事な宝物だ。
時は2006年7月9日までさかのぼる。
この日は日本中がジダンの頭突きに度肝抜かれていたのだが、私たち兄弟はこの時、
UFOを目撃していた。
この瞬間、ほんの数秒の出来事だった。
UFOが去った後、ここで私たち兄弟は宇宙飛行士になる事を誓いあうが、話は少し経過した翌日になる
翌日 学校 放課後
六太「くそっ……なんで誰も見てねぇんだよ……!あんなはっきり見えてたのに……」
学校で昨日のUFOの話をクラスのやつからかたっぱしからきいてみたが、誰も見てないと言われ、挙げ句の果てには変人扱いまでされる始末だった。
六太「絶対誰か見てるはずなんだけどなぁ」
そういって上履きを履き替えようとした時、突然声をかけられた。
?「UFO見たってホント??」
六太「えっ?」
六太「お前は確か………」
真美「真美だよ!双海真美!!おんなじクラスなのに覚えてないとかサイテーだね!!」
六太「うぐっ…!!!」
双海真美、ついこの間俺の学校に転校してきた結講ヤンチャな女子なのだが、まだこいつと一緒にしゃべったことはもちろん、近くにいることもなかったのだ。
お互いに接点がなかったのに、なぜこのタイミングでしゃべりかけてきたのかは、この時まだわからなかった。
六太「なんだよ双海……お前さっき、俺がUFO見たことバカにしてたように笑ってたくせに」
真美「真美でイイよ。それに真美、バカにしたつもりで笑ってないよ!」
六太「じゃあ、なんで笑ってたんだよ…」
真美「おもちろかったから…だけど?」
六太「十分バカにしてることとおんなじたぞ…それ…」
しかもなんか噛んでるし!
真美「っていうか!そんなこと話したいんじゃなくて!真美、ムッちゃんに提案があって話しにきたのー!」
勝手にあだ名までつけてるし………
六太「なんだよ」
真美「んっふっふっ〜。それはね…そのUFO、真美たちと一緒に撮ってみない?」
六太「……え?」
真美「だから?、真美たちがそのUFO一緒に撮ってあげようかなぁって言ってるんだよ」
六太「いや……それは、わかるけど……」
なんでこいつはこんなこと言うんだ?そもそもこうやって面と向かって話をするのがはじめてのはずなのに、ましてや今日変人扱いされたこの俺にどうしてその話を持ち込んだのか……
六太「…ん?『たち』?…ってことは他に連れて行く人がいるのか?」
真美「うん、真美の妹の亜美を連れて行くつもりだよー」
六太「あぁ…亜美か」
双海亜美、真美とは違うクラスではあるがクラスの外ではよく真美とおしゃべりをしていて、学校にくる時はいつも一緒にいる双子の妹だ。当然、亜美も先ほどの真美同様に接点は無い。
六太「だけどいいのか?UFO撮るとしても夜遅くなるかもしんないんだぞ」
真美「あっ、OKはしてくれたんだ…、うんまあ、パパやママはお仕事で忙しいから真美たちが遅くなっても、あまり文句は言わないはずたヨ?」
六太「あ…そうなのか…」
ずいぶんと余裕だな。ま、俺ん家もそんな感じだけどな。
六太「…よし!じゃあ今日はたけのこニュータウン丘の上に集合してくれ!」
真美「おお〜!!乗り気ダネー、ムッちゃん!んじゃ亜美連れて行くから、待ってて?。少し遅れるから!」
六太「おう!待ってるぞ!」
そういって俺たちは互いの帰路をたどって行った。真美は急ぎ足でかけていったが。
夜 たけのこニュータウン丘の上
日々人「ねえムッちゃん、まだ来ないの?その双海真美と双海亜美は?」
六太「こんなに遅くなるなんてきいてないぞ……まさかこのまま来ないんじゃないだろうな……?」
日々人「エェー!!なんだよそれ!約束やぶってんじゃん!!」
六太「…いやまだ撮影開始して4時間しかたってないから……可能性は無きにしも非ずだし……」
日々人「いや、もう夜の8時だから。…もういいよムッちゃん、2人は来ないってことで」
六太「俺らがUFOみたのもう少しあとの時間のはずだろ?だったらその時間になるまで待とうぜ」
日々人「……ムッちゃんが言うならいいけど………」
六太「よし!じゃあ撮影再開だ!」
俺がカメラの録画ボタンを押した数秒後に、聞き覚えのある声が聞こえた
『お待たせ〜!待った???』
六太「あっ!来た来た、遅いぞ??……真…美……?」
日々人「ねぇムッちゃん、どっちが真美さんなの?」
六太「い…いや、お俺に聞くなよ!」
日々人「だってムッちゃんのクラスメイトじゃん」
六太「いやそうだけども…」
真美…とその横で一緒に走っているであろう亜美は、何回か一緒にいるのをみていてもまだ区別ができない。
真美「はあっ…はあっ………ねぇムッちゃん、なんでむかえにはしってこないの!?こっちは重いもの持って走ってたんだヨ!」
亜美「そうダヨー!も少し乙女ってもんを大切にしてほしいよね!」
六太「…そこまでしゃべれるんならまだ体力あんだろ…」
……えぇっと、今しゃべってる右わけの左ポニーテールが真美で、となりにいる左わけの右ポニーテール?が亜美か…………よし!覚えた!(この瞬間、まさに0.5秒)
真美「あっ、バレた?まあ、こっからうちまでそんなにかかんないかんねー」
日々人「あのさ、ところでそのラジカセなに?」
亜美「……えと、誰?」
六太「ん?……あぁ、俺の弟日々人だ」
日々人「あぁ、よろしく…」
亜美「んっふっふ?、こっちこそよろよろ?!双海亜美だヨ!」
真美「んっふっふ?、そして!双海真美ダヨー!よろよろ?!」
日々人「よ、よろしく…」
元気いいなぁ、さすがに2人だと。まあ、いつもはじけてる日々人が少しおどけてるのが一番面白いんだけど。
そんなことを思いながら何か忘れてたような感覚が生まれたが、それは日々人がすぐに解決した
日々人「あ、あのさ、……そのラジカセ何って聞いてた途中なんだけども…」
六太「おぉそうだ!真美、それなんだよ」
亜美「んっふっふ?、聞きたい?聞きたいかい?」
六太「いや、聞きたいけど…」
聞いたのは真美の方なんだが、そんなことはおかまい無しに亜美は話を続けた
亜美「これね、ただ空眺めるだけじゃ物足りないかなって思って、なんと!!BGMをもってきたのだよ!」
日々人・六太「BGM??」
てかやけに元気じゃね!?亜美って!!
真美「そう!!んじゃここでクイズ!」
ババン!!
亜美が言うのかよ、SEは…
真美「真美たちがいっちょ〜けんめ?探して録った音楽はなんでしょう!」
あっ……だいたいの見当はついた
日々人「ええ〜?!なんだよー、全然わかんねえよこれ!」
六太「…日々人…UFOだよ」
日々人「え?」
真美「んー?答えが出ないようですな、亜美殿ぅー」
亜美「そのようですなぁ、真美殿ぅー」
真美・亜美「では正解のほういってみヨーー!!!」
じゃかじゃかじゃかじゃかじゃかじゃか…
あっ、2人でやるのね、それは。
ジャン!!
真美「正解は……ピンクレディの『UFO』でしたー!!!」
ああ〜?、やっぱりか…………予想してた通りだ…
日々人「……え?ナニソレ?」
真美「ええ〜?ヒビチョフ遅れてんなー」
日々人「え?」
六太「ぷっっくく………」
日々人「わらうなよ!!」
亜美「真美ナイス!!ちょうどイイニックネームが思いつかなかったんだ!ヒビチョフ……イイ響きだねぇ、こりゃぁ……」
日々人「いや!よくないっしょ!どこの国の名前だよ!それ!」
六太「ヒビチョフ……ぷっっくく………ヒビチョフって……くくっ…」
日々人「笑いすぎだよ…ムッちゃん…」
六太「ところでそのラジカセ、どっから持ってきたんだよ?」
真美「うわっ、すごい、切り替えはや…!」
亜美「んとね、ピヨちゃ……じゃなかった、真美たちのママの押し入れのところに偶然はいってたから貸してもらったんだ!」
んじゃ勝手に持ってきたってことでいいんだよな、これは………ってかピヨちゃんって言いかけたよな亜美は……誰なんだ?その人??
真美「ま、こまかいところは置いといて、さっそくミュージックスタート!」
日々人「え?!ホントに流すの、それ…?」
亜美「あたりまえだよーヒビチョフー!亜美たち、これかけたくてウズウズしてたんだかんね!」
日々人「」
訂正するのを諦めたな、日々人のやつ
真美「んじゃホントに流すね!いっくよー!ミュージックスタート!」
♪♪〜〜〜〜
あぁ、夜空は星がたくさん輝いてるって言うのに…なんだこのBGM、シュールすぎんだろ……
結局その日は真美と亜美が『UFO』のデュオが、UFO撮影のBGMとしての役目を果たした。その時の俺は実を言うと、
真美の歌声っておもしれえなぁ。
そして目的のUFOは、翌日に見返した時もうつってなかった。
UFO撮影から3日目をすぎていた夜の事、さすがにじっとする事に慣れてなかった双子が
亜美「ねぇーねぇー、ムッちゃん、亜美たちなんもする事無いんだよね〜」
真美「うん、真美もそれ思った〜」
……亜美はまだ許せる。だけどな真美、お前は俺を撮影に誘った張本人だろ!なんで俺より先に音をあげてんだよ!
真美「ねぇームッちゃん、何か面白い事して?」
六太「そんなこと言われても……なぁ?日々人?」
日々人「シャロンのところに行けばいいじゃん」
おい!なんでお前は俺の言いたい事を先に言うんだよ!!……まあシャロンっていうのは少し盲点だったけど……
真美「シャロン?」
亜美「誰それ?」
日々人「近くに天文台が設置されてるところに住んでる人だよ。そこに行けば楽器とかいろいろ置いてあんだ」
亜美「ヘェ〜イイじゃん!行こう行こう!」
真美「あっ、カメラどーすんの?風で倒れたりしたらUFO取れなくなっちゃうよ?」
六太「心配すんな!テントでもはってりゃ風なんか怖くねぇ」
亜美「おお〜頼もしいですな?ムッちゃん……でもテント今持ってんの?」
六太「……いや、ここにはない…」
日々人「ムッちゃん…」
真美「もう〜しっかりしてよ!それじゃ立派な宇宙飛行士になれないよ!」
六太「わーってるよ」
真美たちには俺たち兄弟が宇宙飛行士になる事は知っている。俺ではなく日々人が当然のように『兄弟で宇宙飛行士になる』事を公言してからずっとからかわれてる感じだ。
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六太「…………よし!テントもはりつけたし、みんなでシャロンのところに行くぞ!」
全員「「「「おおーーー!!」」」」
日々人・六太「「シャロンおばちゃん!いる?」」
ガチャッ
シャロン「いらっしゃい!ムッタ、ヒビト……まあ!2人にしちゃ珍しいお客さんね!ささっ、あがってちょうだい」
真美・亜美「「おじゃましま〜す!!」」
シャロン「まあ、元気がいいのね」
亜美「そだよー!この双海亜美は元気が取り柄のスーパーJCだよ!」
真美「そしてこの双海真美は歌が取り柄のスーパーJCだよ!」
シャロン「亜美ちゃんと、真美ちゃんね……………うん!覚えたわ」
日々人「さっきまで2人ともここにくるまで『お化け屋敷みたい』って言ってたのに……」
六太「日々人、それは言うな…」
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シャロン「好きなようにみてってちょうだい、ちょうど月が綺麗に見えるようにしといたから」
真美「おお〜!!!見事な眺めですな〜!」
亜美「みんな誘って、一緒にみるってのはどう?真美?」
真美「イイですな〜それは!みんな呼んで月見でもしますかね〜」
シャロン「んっふふ、真美ちゃんたちの友達なら大歓迎よ!」
真美「やったね!……ってあれ?そういえばムッちゃんとヒビチョフがいない…」
亜美「ホントだ!いつの間に消えたんだ!?おのれ…隠れみの術か?!」
シャロン「ふふっ、残念。2人は今、宇宙飛行士の勉強をしてるの」
亜美「ふえ?!遊ぶ目的でここにきたはずなのに?!」
シャロン「宇宙飛行士っていうのはそれほど険しい道のりなのよ」
真美「……そう…だよね…」
シャロン「……………」
シャロン「さっき、真美ちゃんたちのお母さんに電話で聞いたけれど……2人とも、芸能プロダクションに通ってるんですってね」
真美・亜美「「!!」」
シャロン「さっきの電話でこう言ってたわ、『最近帰りが遅い上に、アイドルのレッスンにも精が出てないみたいなんです』ってね」
亜美「……そこまで言っちゃったんだ……ママ……」
真美「…………言い訳かも……しれないけど、ムッちゃんたちと一緒にいると、2人とも面白くて…それでいて2人とも宇宙飛行士っていうでっかい夢を持ってるんだって思うと、真美たちのやってる事はなんだろう〜って考えたりするんだ……」
亜美「真美………」
シャロン「……2人とも、今のアイドルのレッスンは厳しい?」
真美「……そりゃ、厳しいよ………けど、けどねシャロンおばちゃん!真美たち2人でやれば、どんなにツライレッスンでも、苦しい時は半分になって、ツライって感じないよ!」
亜美「そうだよ!それに事務所のみんなも一緒だし、むしろ楽しいくらいだよ!」
シャロン「……そう、じゃあ、あなたたちの今輝いてる夢ってなに?」
真美・亜美「「………トップアイドル!!」」
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日々人「ええ〜!!?なんだよ〜せっかくみんなでセッションできると思ったのに……」
亜美「んっふっふー、ヒビチョフがこの双海亜美とセッションをくむのは早いとおもうんだよね〜」
日々人「なんだよ、それ…」
六太「本当に帰るのか、お前ら…」
真美「うん、早く帰んないとパパがうるさいからね〜」
六太「そ、そうか、なら仕方ないか」
真美「……………」
……ん?
亜美「それじゃあ皆さん!また明日!さいならー!」
日々人「お、おう!じゃあな!」
……2人の背中をみたときに、俺は妙な違和感を感じていた。それは、
真美の背中が小さく見えていた。
六太「……ねえ、シャロンおばちゃん」
シャロン「なに?ムッタ?」
六太「俺たちがしたにいたとき、何かしゃべってたっしょ。何しゃべってたの?」
シャロン「……女の会話をしてたのよ」
六太「………」
その日を境に、真美と亜美はたびたび学校を休む事ようになった。理由は様々で風邪で休むと言っていた日もあれば、急な家族旅行で休むと言っていた事があった。
クラスのなかでは真美の事を『サボリ魔』とかいうやつがいたが、俺はそんな言葉に騙されなかった。
8月や9月になっても、真美たちはちゃんとUFO撮影にきてくれることがあったから。もちろん学校に来なかった日を含めてだ。
そんなときに決まって日々人が「休んだ理由聞けばいいじゃん」と私に質問させようとしていたが、俺はやんなかった。
彼女たちにその質問をぶつけるのは、あまりにも野暮で、なぜか恥ずかしいと思ったからだ。
そんな日々を過ごしているとき、災難に近い屈辱を味わうことになる
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『おら!!早く立てよ!!!』 ガシッ
ドスッ ドスッ
六太「!!……うぅっ……って………」
『早くいえよ!!「UFOをみたというウソをついてすいませんでした」ってな!!』
六太「……UFOを…みたというウソをついて…すいませんでした」
『やっちまえ!!』ドスッ ドガッドガッ
『見えないところにつけんぞ!!』ドスッ ドガッ ガッ
……なんでこんなことになったんだっけ………?………考えるのもいやになりそうだ……
真美「…………うそ…だよね?……ムッちゃん……!!」
亜美「マズイって真美!見つかるって!!かくれよ!」
『今日はこのぐらいにしといてやるぁ!!』ドスッ
六太「うっ!!うぅ…………」
真美「………………行った?亜美?」
亜美「………………うん、行ったっぽい…」
真美「じゃあ早くムッちゃんを……!」
亜美「あっ!見て!!真美!!ムッちゃん起き上がったよ!」
六太「ッつてて、……またかよ……くそっ………!いてで…………」
亜美「……今……またっていったよね?」
真美「うん……てことは何回かもうやられてるってことだよね………」
亜美「亜美たちがいなかった一週間に何があったの………?」
真美「……これはヒビチョフに直接聞くしかないよ……」
亜美「……だね!」
夜 たけのこニュータウン丘の上
亜美「………あ!ヒビチョフ!」
日々人「………来てたんだ、2人とも……」
真美「ねえ!ムッちゃんの様子はどうなの……?」
日々人「……その顔は、一度現場を見てるんだな……」
「「……うん……」」
日々人「……そこらじゅうにアザができてる……とてもみてらんないよ………!!!」
真美「なんでムッちゃんがあんなことされなきゃなんないの……!」
日々人「証拠だよ…!」
亜美「…へ?」
日々人「ムッちゃんがUFOをうつした証拠映像を見せるって言ったみたいなんだ……」
真美「でもそれって、まだ撮れてないって言えば………」
日々人「ムッちゃんは、結講早いタイミングで言ってたらしいんだ。それがここまで時期が延びたからあいつらはこの間からあんなことするようになったんだ…………!!」
亜美「ヒビチョフも…見たんだよね、アレ…」
日々人「あぁ、見たよ。俺が見たのは顔にアザをつけようとしていた時だったよ…!」
真美「………きっと、真美のせいだよね…」
亜美「真美……?」
真美「だって、真美が誘わなかったら、今頃あんなことにならなかったと……思うから……」
日々人「……それは、違うと思う」
真美「…え?」
日々人「多分ムッちゃんは、真美たちが言わなくても、1人でもやろうとしてたと思う、少なくともおれはね。だから、真美が気に病むことは無いんだ」
真美「……ヒビチョフ……!」
日々人「……よし!じゃあこの話はやめ!やめにしよう!なんか他の事考えよう!」
亜美「そうはしたいけど…なんかいきなりすぎない?」
日々人「そ、そうか?」
真美「ヒビチョフってガサクって言われない?」
日々人「……それってガサツっていいたいのか……?」
真美「うわっ、ヒビチョフに訂正された……!!!」
亜美「ショックこの上ないねこりゃ」
日々人「なんだよ、それ……」
…ぷッ、あはははは!
日々人「さてと、とりあえず今はムッちゃんを元気づけるために、俺らだけで何かできないか考えよう」
亜美「ホントゴーインですな〜ヒビチョフは」
真美「ヒビチョフはなんかいいの無いの?」
日々人「いや、まだ思い浮かばない!」
亜美「ハッキシ言ったよこの人…」
真美「逆に清々しいね……こうなると」
日々人「ああ!!!」
真美・亜美「「ビクッ!!」」
真美「もう!いきなり大声出さないでよ〜ヒビチョフ!」
亜美「もうちょっとで耳われるところだったかんね!」
日々人「いや!…いいのが思い浮かんだんだって!!」
亜美「ほほぅ〜、やけに自信たっぷりですな〜どれどれ亜美に聞かせてご覧」
真美「真美にも聞かせてご覧」
日々人「じゃぁ、耳かしてくれ。…おい、なんでそんな顔すんだよ、なにもしねぇよ!………いいか、もうすぐムッちゃんの誕生日だろう、それから…………………………」
日々人「だいたいわかったか?」
亜美「イイね〜!グッドだよ!ヒビチョフ!」
真美「もしムッちゃんにばれたらオシオキだかんね!」
日々人「よし!!じゃあ明日の夜にまたここで集合だ!いいか?」
真美・亜美「「イエッサー!!」」
翌日 765プロ
真美「律ちゃん!律ちゃん!律ちゃん!!」
律子「あーもう、うるさい!もう少し静かに呼べないわけ?これじゃ仕事に集中できないじゃない!」
真美「そんなことよりも律ちゃん!ペンライトってどっかにあったっけ?」
律子「まだあたしの話は小鳥「ペンライトなら確か、社長室にあるはずよ」
真美「サンキュー!ピヨちゃん!!この恩は忘れないよ!!」
小鳥「どういたしまして。ふふっ、やっぱり親切っていいですね、なんか心が軽くなった感じです。そうですよね!律子さん!」
律子「じゃあその軽くなった心のまんま一緒に屋上行きましょうか」ニタァァ
小鳥「……………え?」
同刻 南波宅
日々人「母ちゃん!母ちゃん!母ちゃん!!」
南波母「何よ日々人、今いいところなんだから!用があるならさっさと言う!はい!!」
日々人「セロハンどこにあるか知らない?!!」
南波母「ん知らない!!!」
日々人「はや!」
南波父「日々人、そうゆうのは六太が持ってるんじゃないのか?ほら〜例えば引き出しとか」
日々人「探したけど、ないよ」
南波父「なら買え!」
日々人「………………」
すいません、一回離脱します。夜の7時ごろからまた書くつもりですんで、よろしくお願いします。
夏の暑さもすっかりなくなり、季節は月見の秋をむかえていた
人数がまばらの時にしか撮影に顔を出してなかったから、あの日3人が何をやっていたのかは日々人に聞くまでわからなかった。
あんなわかりやすい反応されたら、誰でもわかるぞ…
六太「日々人、お前さっきから何つくってんだ?」
日々人「なんでもねぇよ」
六太「なんか机の上すげー散らかってっけど……本当にお前1人でできんのか?」
日々人「ムッちゃんは関係ないから、あっちいっててよ!」
六太「!………わ…わーったよ…」
俺はとりあえず日々人の言うとおり部屋の外にでて、リビングにあるカレンダーをふと見つめてみた
……あと一週間で11月か………あっ、そのまえに俺の誕生日………………って
六太「おいおい………」
なんとなくだが、日々人がなにしようとしているのか見当がついてしまった
…まあ、こういうのは知らないフリをしといたほうが日々人のためだ。
日々人がなにをするのかは、俺はその日がきてからの楽しみにとっておくことにした。
日々人がそのための準備をしてるってことは、真美たちも多分関わってるはずだよな。
俺のいなかったあの日からずっと真美たちの様子が変だったから……
思い返してみると、3人ともウソつくのヘタだなぁ。
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10月27日 たけのこニュータウン丘の上 夜
俺はまたいつもどーーり、あのUFOをとらえようとカメラを通して夜空とにらめっこをしていた…少ししてカメラから目を離して辺りを見渡してみる
六太「……今日は1人か…」
日々人はいろいろと準備で忙しく1人でシャロンのところに出かけた。真美たちの方はというと、今日は2人とも学校には来なかった…
六太「最近休むの多いな…あいつら……」
そんなことをつぶやいて、カメラに目を戻そうとした途端
『……ヒビチョフーー!…いるー?…』
暗闇からひとつの影が、だんだんと月のあかりでそのシルエットをうつしだしていく……左ポニーテール……ってことは、
六太「真美か……?」
真美「ウゲッ!!なんだ〜ムッちゃんか〜…」
六太「今日はじめて顔をあわせてるっていうのになんだよそのリアクション…」
真美「だって〜、ヒビチョフがここで待ち合わせっていってたし〜」
六太「日々人ならシャロンのところに行ったぞ」
真美「うぇうぇ〜!?なにそれ!!聞いてないよ〜〜……今日アレを撮るって言ってたのに……」
六太「? アレってなんだよ」
真美「あー、ムッちゃんは関係ないかんね!」
六太「なんだよ………あっ、そう言えば亜美は?なんで一緒にきてないんだ?」
真美「え?!……あ、あぁ……ま、まあこまかい事は気にしない、気にしない…」
六太「?」
妙な違和感を覚えた俺はこの際思い切って真美に聞いてみた
六太「亜美となんかあったのか?」
すると真美は少し下を向いた状態で
真美「亜美とはなにもないよ……ただ……」
六太「なんか悩みでもあるのか?」
俺は柄にもないようなことを聞いてみると、真美は
真美「………ムッちゃんには…話しておこうかな………」
六太「…え?真美?」
真美「実はね……亜美と真美、芸能プロダクションに通ってるんだ」
六太「えっ!?」
あまりの衝撃発言で一瞬頭が真っ白になったが、俺はすぐに思考を取り戻そうとした
真美「といっても真美たちがいるところってね、すっごく小さいくていまにもつぶれそうな事務所なんだ」
真美「真美たちはそこで、アイドル候補生って事でいれてもらったんだけど…」
六太「アイドル………」
真美「うん………あ!でもね、真美たちと一緒にアイドルやってるねえちゃんたちもいて結講楽しいんだよ!」
真美「元気がとりえのねえちゃんや歌がうまうまなねえちゃんとか他にもたくさんいるんだ!」
真美「ツライ時とかも一緒にがんばれるし、みんなからもいろんな刺激もらってるし、結講楽しいんだ…」
真美「…だけど……そんな人たちがいるところに、真美がいると足手まといになるんじゃないかって…思えてくるんだ…」
もしかして、あの時真美の背中が小さく見えたのはこれが原因ってことだよな…
でも、今日の真美は元気が無さすぎる。
六太「なあ、真美……まさか今日オーディションだったのか?」
真美「…うん、結果は不合格。んで亜美だけオーディションに受かったんだ……」
六太「亜美がいないのは、オーディションのあとの打ち合わせってことなのか」
真美「そう……実はね、他にも何回かオーディションを受けてたんだ……真美は不合格ばっかだったけど…」
六太「………………」
真美「アイドルがタイヘンなお仕事だったのは覚悟してたんだけど……真美にはアイドル向いてなかったのかなって最近思うようになって…」
六太「真美はアイドルに向いてなくないよ」
真美「え?」
六太「はじめて真美が歌ってるのみて、おもしれえ声出してんなぁって思ったもん」
真美「でもそれだけじゃアイドルとは言えないよ」
六太「もちろんそれだけじゃダメなのは俺でもわかる……真美のいいところはなあ、誰に対しても仲良くなれるところなんだよ」
六太「俺がいいたいのは、歌に感情をこめるのが真美はうまいってことだよ」
真美「…!」
六太「俺は真美が歌ってる姿が浮かんでる、それに」
六太「バラエティに出てる真美なんか特に想像できるしな!」
真美「………ムッちゃん……ありがと…!」
真美「うん!なんかムッちゃんに話したらなんかいろいろスッキリしたよ!!」
六太「それでこそ真美だ!」
やっぱり真美はこのくらい元気でいてもらわないとな
真美「ねえ!ねえ!ムッちゃん!!真美たち明日この街から引っ越すから、真美のお別れの締めくくってくんない?」
六太「…は?!…引っ越す?!!!」
真美「アレ?ムッちゃんに言ってなかったっけ?」
六太「初耳だぞ…それ……」
真美「ヒビチョフに言ったんだけど、なんも聞いてないの?」
六太「聞いてねぇよ…………………でもまあ、また会えるよな?俺たち」
真美「もちのろんだよ!そん時はお互い有名人だけどね!」
六太「おぅ!そうだな….んじゃまた会う日まで」
真美「うん!それじゃいくよ!」
せ〜の!
『リフトオフ!!』
2006年 10月28日 夜
日々人「はいムッちゃん、誕生日プレゼント」
六太「DVD?……『ドーハのきせき』……」
そこには『2006ねん 10がつ 28にち さつえい 南波 日々人』と書かれていた
日々人「とりあえずみてよ!なかはすごいもんがうってるからさ……!」
六太「え!?」
日々人「じゃあいくよ……!」
ピッ!
テレビ画面にうつったそれは、最初こそはあの日みたUFOに見えたが、
六太「おいおい………」
糸が見えてんだよ、これで驚かせようとしてたのか日々人……
日々人「これで電柱に頭ぶつけることはないよな」
六太「!!……な、なんのことやら……」
その時の日々人は誇りげに俺を見ていた
日々人が寝たのを確認し物置にれいのアレがないか探してみると、意外とわかりやすい場所にあってなんというか
六太「ホント隠すのヘタだなぁ、日々人のやつ」
そこにはペンライトやカッター、セロハン紙やらが無造作にしまってあった。
六太「これ撮ってる3人の姿が思い浮かぶなあ」
真美や亜美が日々人に指示を送って、それを日々人が撮るイメージが最初に浮かんだ時
六太「真美たちは……もういないんだよな……」
2人がいなくなってからは日常が少し物寂しい雰囲気が漂っている感覚だった
あの『ドーハのきせき』から数ヶ月したある朝、母ちゃんが何気なくテレビをつけると、見慣れた顔が写っていた。
日々人「ムッちゃん!ムッちゃん!亜美がテレビにうつってるよ!」
六太「ちげーだろ!亜美じゃなくて真美だろう………ってあれ?亜美もいる!」
南波母「えっ!?なに!?あんた達知ってるの?この子達?!」
南波父「お前らもそんなとしか……」
俺たち兄弟は、真美たちが活躍していた765プロという芸能事務所の情報はスクラップブックにおさめていた、特に真美を……!
歌はもちろん、ドラマや映画、バラエティ番組、温泉番組やら他にもさまざまなライブ情報とかにも目を通すようになり、何もかもうまくいってるかんじだった。
真美にあんなことが起きなければ……!!
すいません、そろそろ寝ます、次回も明日の7時から書きますんでよろしくお願いします。
日々人「『双海真美 引退』って…!」
六太「どういうことだよ………!!」
ドーハのきせきの日から1年がたったある日の夜、俺たち兄弟はパソコンの記事に乗っていたエンタメ欄を見て、からだが固まってしまった
その数ヶ月前に真美は、ライブのステージから転落していて、足を捻挫したのだ
怪我は全治2週間で、復帰した時はファンのみんなに笑顔を振りまいていて、怪我は最初からなかったような振る舞いをしていた
あの転落事故でもずいぶん心がいたんだのに、今回の引退表明には頭の中が疑問という疑問がとびかっていた
日々人「情報たったのこれだけかよ!なんで引退したのか書いてないのかよ!?」
六太「もう少し調べよう!!」
日々人「うん!!」
しかし2人でどこの記事を探しても、引退の理由を書いてるものはなかった
六太「……まだお前の夢は叶ってないだろ……!」
真美の引退した理由について俺なりに調べみた結果、どうやら外部の人間の仕業だという噂を耳にした
どうやらその人間はもともと765プロに対して因縁を持っていて、度々妨害工作をおこなっていたらしい
噂だから信じる要素はないかもしれない
が、
俺にはそれがホントのように思えていた
なにが起きてもおかしくないのが芸能界だ。ありえない話でもない
実力や才能があっても、周りの人間の都合で人生や夢が狂ってしまうことがある
そんなことを考えてから俺は、心の中でくすぶってた『2人で宇宙飛行士になる』夢を、心のすみに追いやった
『絶対に』夢は叶う事はないんだと…
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