晶葉「出来たぞ助手! 森久保クローン製造マシーンだ!」 (269)

タイトル通りの内容です。
以前落としてしまった物を修正しつつ、投稿します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1492224513

モバP(以下P)「晶葉から妙に機嫌のいい声で研究室に来るように言われたけど……」

P「まあ、十中八九新しい発明品のお披露目だろうな」

P「今回はどんな発明なのか、楽しみだな」ワクワク

☆池袋晶葉研究室☆

シュイーン

P「晶葉ー。来たぞー」

晶葉「む! ようやく来たか助手よ!」クルッストン

P(微妙に足が届いてない回転椅子でくるっと回って着地するこの動作……好きかも)

晶葉「さあさあ早くこっちに。見せたい物があるんだ!」グイグイ

P「分かった分かった。行くから引っ張るなって」

P「見せたい物ってのは、やっぱり新しい発明品か?」

晶葉「うむ。今回のはかなり自信作だぞ!」

P「今回のも、だろ?」

晶葉「……ふっ、ふっふっふ! ああその通りだとも! 流石私の助手、よく分かってるじゃないか」


晶葉「これが新しい発明品だ」

P「こ、これは……!」

>洗濯機×2

P「……」

P「その、俺には……ただの洗濯機に見えるんだけど。ドラム式の洗濯機が2つ並んでるようにしか見えないんだが」

P(洗濯機同士は何やらチューブやら配線で繋がれ、全体的にゴテゴテしている。だが一見ただの洗濯機だ)

晶葉「ん? ああ、見た目はな。事務所で壊れたまま放置されていた洗濯機があったからな、それを譲ってもらって改造して再利用したんだ」

晶葉「どうだ? エコを忘れない私は偉いだろう?」フフン

P「偉い偉い」ナデナデ

晶葉「……ふへへ」

P「で、この洗濯機に見える物は一体どんな発明品なんだ?」

晶葉「うむ、ずばり――クローン製造マシーンだ」

P「ク、クローン?」

晶葉「まず片方の洗濯機に生物を入れるんだ。そしてその生物の遺伝子情報を読み取る。それからまあ、Pには恐らく理解できないだろうから説明を端折るがアレコレ色々して、もう片方の洗濯機からその生物のクローンが生み出される、というわけだ」

晶葉「どうだ? 凄い発明だろう?」

P「す、凄いけど……クローンって法的にどうなんだ?」

晶葉「む、そうか。法的に問題があったか」ウムム

晶葉「じゃあコピー製造マシーンに改名しよう。よし問題解決!」

P(そういう問題じゃない気がするが、晶葉が楽しそうだしいいか)

P(しかしクローン……いや、コピーか。凄い発明品だな……)

P「でも、何でこんな発明を?」

晶葉「え? あ、いや、それは……」

晶葉「その、なんだ。ほら、Pは色々と忙しいだろう? 膨大な量の仕事だけじゃなく、私達アイドル1人1人と過ごす時間まで作っている。休みなんてあったもんじゃない」ポリポリ

晶葉「だから、Pのコピーを作れば、その……少しはPの負担が減るんじゃないか……そう思って」

晶葉「それであわゆくば、私と過ごす時間も増えたらいいなぁ……なんて」モジモジ

P「あ、晶葉……お前……」ジワァ

晶葉「ま、待て待て! 感動してくれるのは嬉しいが、そういう意味ではこの発明品は失敗作なんだ!」

P「へ?」

晶葉「何度か実験したが、どうもコピーを作ることが出来る対象が限られているんだ」

P「対象って?」

晶葉「まあ……アイドルだ」

P「アイドル?」

晶葉「ああ、それもごく一部のアイドルに限られる」

晶葉「この機械は、何故かごく一部のアイドル対象じゃないと効果を発現しないんだ」

晶葉「恐らくは、最近私が発見した、アイドルのみが発する独自のエネルギーが作用していると考えてられるんだが……」

P「よく分からないんだが……」

晶葉「いや、いい。とにかくこの機械は使用できる対象が限られている。その原因を詳しく調べる為にも、とにかくデータが必要なんだ」

晶葉「というわけで例によって、Pには実験た……んんっ、協力者を連れてきてもらいたい。対象者はこのリストに書いてある」

晶葉「お願いできるか?」

P「オッケー博士!」

・・・・・・・
・・・・・
・・・

シュイーン

乃々「お、お邪魔します……」オソルオソル

乃々「あれ? 部屋が真っ暗なんですけど……」

乃々「おかしいですね……。プロデューサーさんがランチに連れて行ってくれるから、ここで待ってるように言われたんはずなんですけど……」

乃々「あ、あのー、プロデューサーさーん。もりくぼ来たんですけどー」

ガチャン

乃々「ひぅっ!?」ビクッ

乃々「あ、あれぇ? は、入ってきた扉から何やら鍵がかかるような音が……」

乃々「えっと……あれ? あ、開かないんですけど……?」ガチャガチャ

パッパッパ

乃々「で、電気が急に……!?」

シュゥゥゥゥ

乃々「ど、どこからか白い煙が……」

P「ふっふっふ……」

晶葉「くっくっく……」

乃々「ひっ! だ、誰ですか……!?」ビクビク

P「ようこそ乃々。よく来てくれたな、ふっふっふ……」ウデクミ

晶葉「歓迎するぞ。ふっふっふ……」ウデクミ

乃々「プ、プロデューサーさんに晶葉さん?」

乃々「……」

乃々(あ)

乃々(これ、何かもりくぼが酷い目に会うパターンのやつです)

乃々(もりくぼは詳しいんです。……もう何度も同じような目にあってるので)

乃々「も、もりくぼ帰ります……! お家に帰りますから……!」ガチャガチャ

晶葉「おっと、大切な実験た……んんっ、協力者を逃がすわけはないだろう? その扉の鍵は私が許可しない限り開かないぞ」

乃々「ううっ……! プ、プロデューサーさぁん……!」ジワァ

P「すまん乃々。晶葉の実験に付き合ってくれ。後でちゃんとランチには連れて行くから」

乃々「うぅ……酷いです。もりくぼを騙すなんて、プロデューサさんの鬼……悪魔……グスン」

P「ほんとスマン。ほら、こんな事頼めるの乃々くらいしかいなくてさ」

P「それに、ほら。前に言ってたじゃん? 俺に騙されるのが好きになってきたとか、なんとか」

乃々「こ、こういう騙され方は望んでないんですけど……!?」

乃々「む、むぅー」グヌヌ

乃々「……」

乃々「……はぁ。もういいです。分かりました。やりますよ……や、やればいいんでしょう?」

乃々「プロデューサーさんにいぢめられるのは、もう慣れましたから」

乃々「そ、その代わり、ちゃんとランチには連れて行って欲しいんですけど……!」

P「ああ、連れてくって。約束だ。わざわざ実験に付き合ってもらうんだから、結構高めの飯屋に連れてくよ」

乃々「……!」ハッ

乃々「……だ、だったら、そ、その……ディナーもお願いしたいんですけど。そ、それもオシャレな感じの……」

乃々「この条件を飲んでくれるなら、手伝ってあげても、いいかなぁって、思ったり思わなかったり……」チラチラ

P「へぇ、乃々がこんな風に駆け引きしてくるなんて珍しいな」

乃々「ど、どうなんですか……?」ドキドキ

P「いいよ。分かった。ランチとディナーをご馳走する」

乃々(や、やりました……! ま、まさかレナさんから教えてもらった駆け引きのテクニックがこんな風に役立つなんて……!)

乃々(ここは指南に乗っ取って、倍プッシュなんですけど……!)

乃々「じゃ、じゃあ……その……あ、朝ご飯もついでに、一緒に食べてくれたら……い、いいなぁって」

乃々「な、なんて! さ、流石にこれはもりくぼの癖に厚かましいですよねっ、今のは無かったことに……!」ワタワタ

P「いや、いいぞ。こんなに積極的な乃々は初めてだからな。何か感動した。アイドルとして成長したお陰か……」シミジミ

乃々(や、やりました……! 朝ごはんまで……! こ、これは夜明けのコーヒーも確定ということで、いいんですよね? も、もりくぼ悪女です……! プロデューサーさんを手玉に取っちゃったんですけど……!)


晶葉「ふむ。話はついたかな?」

P「ああ。快く協力してくれるってさ」

乃々「で、でも痛いのとか苦しいのは嫌なんですけど……」

晶葉「その点は安心をして欲しい。同じ事務所の仲間にそんな酷いことはしない」

乃々「……ふ、普通は、事務所の仲間を実験に付き合わせたりはしないと思うんですけど」ジトー

晶葉「昔の偉い人は言っていた。科学の発展に犠牲はツキモノデース、と」

乃々「え……犠牲?」

晶葉「よし、じゃあこの中に入ってくれ」パカ

乃々「あ、はい。う、うぅ……こんな狭い洗濯機の中に閉じ込められて、もりくぼ何されちゃうんでしょうか……」

乃々「あ、でも以外と落ち着くかも……」

P(狭くて少し湿っぽい。洗濯機の中と俺の机の下は同じ環境なのかもしれないな)

P(しかし洗濯機の中にいる乃々……凄い絵面だな。とりあえず写メとっとこ)パシャパシャ

晶葉「ではスイッチを入れるぞ」ポチッ

ゴウンゴウンゴウン

P「お、回り始めたな」

乃々「……! ……!? ……っ!?」ドンドンドン

P「そして当たり前だが、中に入ってる乃々も回り始めたな」

晶葉「まあ洗濯機だからな。回るだろうさ」

ゴウンゴウンゴウン

晶葉「現在、森久保乃々の遺伝子情報を読み取っている。後は待つだけだな」

乃々「~~~~~~っ! ~~~~っ!!!」ドンドンドン

P「中にいる乃々がヤバそうなんだが。涙目ですんげえ扉叩いてるわ」

晶葉「安心しろ。いざという時の為に、エチケット袋も一緒に入れている」

ゴウンゴウンゴウン

乃々「」

P「気絶した」

晶葉「エチケット袋の必要はなかったか……ん、そろそろ終了だ」

ピピーピピー

晶葉「これでもう片方の洗濯機から、森久保乃々のコピーが洗われる……もとい、現れるわけだが」

晶葉「コピーと言っても、そのまま全く同じ森久保乃々が現れるわけではない」

P「ん? どういうことだ?」

晶葉「完璧なコピーではないということだ。まだまだ未完成だからな」

晶葉「あくまで森久保乃々の遺伝子情報を持った生き物が現れる」

晶葉「そうだな……森久保乃々っぽいナニカと言えばいいか」

晶葉「見た目は森久保乃々でも、身体的特徴や性格に何らかの差異が現れるはずだ」

プシュー

晶葉「まあ見てもらった方が分かるだろう。さあ……出てくるぞ」

スポーン!

?「……」ベチョ

P「お、出てきた!」

晶葉「うむ、成功だな。見た目は……特に変わったところはないな」

P「そうだな……ん? 何か頭に付いてないか? 黒い……触角?」

?「……」ペタペペタ

晶葉「近づいてきたぞ。む、よく見ると……目にハイライトが無いな」

P「それは元の乃々でもよくある」

?「……と。……ごと」ブツブツ

P「何だ? 何か言ってるけど」

?「仕事……仕事しないと……。働かないと……誰か仕事をください……」

P「乃々にあるまじき事を呟いてるぞコイツ」

晶葉「なるほど。分かったぞP。この黒い触覚、感情を読み取れない虫のような眼光、そしてこの社畜的発言から考えるに……」

P「ア、アリだー!」

晶葉「そうだな、アリだな。この子は、森久保乃々にアリの性質が加わった存在のようだな。それも働きアリだ」

P「乃々っぽい存在ってそういう意味なのか」

P「アリの森久保……蟻久保だな」

蟻久保「いっぱい働かないと……昼夜問わずに……休憩時間とかいらないですから……不眠不休で……」

蟻久保「でも……蟻久保何の為に働くんでしょうか……わからない、わからないですけど……仕事をしてる間は、そんなこと考えなくてもいい……」

P「思考が完全に社蓄のそれだな」

蟻久保「あ、どうも……蟻久保ですけど……」

蟻久保「な、なんでもいいので……何でもするから、蟻久保にお仕事を下さい……!」グイ

P「お、おいおい胸倉掴むなって」

蟻久保「何でもいいんです……! 他の人がやりたがらない仕事でもいいですか……! バンジージャンプだってスカイダイビングだって何でもしますから……!」グググ

P「お、落ち着けって」グググ

P「う、うおっ!? ちょっ、俺、持ち上げられてない!? 何だこの力!?」

晶葉「ふむ。蟻は自分の体重の100倍以上の物を持ち上げられるらしいからな。一般的な成人男性なら、軽々と持ち上げられるだろう」

P「アリは全部の虫の中で一番力持ち……デイ○ス艦長が言ってたのは本当だったのか……」ビリビリ

P「って裂けてる裂けてる! スーツが! スーツがオシャカになる!」パンパン

晶葉「P! 何でもいいから仕事を与えるんだ!」

P「お、おう。え、えっと……掃除! そう掃除だ!」

蟻久保「……おそうじ?」

P「そうだ。この研究室の中を掃除してくれ。それが仕事だ!」

蟻久保「……」キョロキョロ

蟻久保「この広くて、よく分からない機械で滅茶苦茶に散らかってるこの部屋を……掃除」

晶葉「汚くて悪かったな」

蟻久保「……」

蟻久保「あーりぃー。すっごく、やりがいがあるかも……」

蟻久保「では蟻久保、お掃除してきます!」ピュー

P「凄い活き活きと駆けて行ったな……目は死んでるけど」

晶葉「とまあ、コピーの具合はこんな感じだ」

P「何かこう……俺が考えてたのとちょっと違うけど」

P「これはこれで面白いな」

晶葉「そうだろうそうだろう」

晶葉「さ、まだまだ来るぞ」

P「え? まだ来るの?」

晶葉「ああ。コピーを作る原料が無くなるまでは、ノンストップで生まれ続けるぞ」

晶葉「ちなみに原料は水35L、炭素20㎏、アンモニア――」

P「いや、いい。聞きたくない」

スポーン

?「……あぅ」ズルゥ

?「……えっと」キョロキョロ

?「ここは……」ソワソワ

P「帽子にサングラス、マスクにマフラー……不審者が出てきたぞ」

晶葉「ああ。それに異常なほど挙動不審っぷり。まず間違いなく職務質問の標的にされるだろうな」

P「あの不審者感丸出しの存在には、大いに見覚えがある」

P「撮影現場入りする時の乃々だ。つまり入久保だな」

晶葉「……いつもあんな格好で現場入りしているのか?」

P「ああ。だから大体テレビ局の警備員に止められてな。基本、俺が迎えに行ってから、現場入りしてるんだ」

入久保「……」ソワソワ

入久保「……あ!」

入久保「……っ、……っ」フリフリ

晶葉「こちら……というかPを見つけて、手を振ってるな」

P「必死で可愛いだろ?」


スポーン

?「……」ストッ

?「……」キョロキョロ

P「今度の乃々は……見た目は普通だな。触覚も挙動不審なオーラも纏ってない」

?「……っ」タッタッタ

晶葉「部屋の隅に駆けて行ったぞ」

?「……っ、……っ」イソイソ

P「エプロンを着けて、シートを広げ始めたな」

晶葉「シートの上に何か並べているな。これはアレか? 店でも開くつもりなのか?」

?「……」チョコン

P「フリーマーケット的な店だな。ほら、シートの上に正座したぞ」

P「店を開く乃々……売久保か」

売久保「……よしっ」グッ

売久保「……」スゥ

売久保「……し、新装開店なんですけど……い、いらっしゃーい……や、やすい……やすいと思うんですけど……」ボソボソ

晶葉P「声ちっさ!」

売久保「……か、開店セールで……そ、それないに安いと……お、思うんですけど、えっと……や、やっぱりそんなに安くないかも……」ボソボソ

売久保「そ、そんなに安くないって苦情を入れられたら困るので……や、安くないですよー、い、いらっしゃーい……あ、でもあんまりお客さんが来ちゃうといっぱいいっぱいになっちゃうので……い、いらっしゃってほしくなーい、来てもあんまりいい物はないんですけどー……」ボソボソ

晶葉「全く買う気がしないな。彼女には商才はないらしい」

P「まあ、とりあえずちょっと行ってみるよ」

ツカツカツカ

P「儲かってるか乃々?」

売久保「ぼ、ぼちぼちなんですけど……」

売久保「あ、お客さんさん……えっと、もしよかったら、何か買ってくれたら、嬉しかったり……」

P「そうさせてもらうよ」

P「どれどれ……この歯ブラシは?」

売久保「それ、私が使った歯ブラシなんですけど……」

P「……じゃあ、こっちの割り箸は?」

売久保「それも私が使った……」

P「この下着上下セットは?」

売久保「……っ」カァァ

売久保「そ、それも……そ、その……わ、私がさっきまで着けてたやつなんですけど……」モジモジ

P「なにこの店。全部、乃々の中古品ってわけか?」

売久保「は、はい……ぜ、全部100円ですけど」

P「あのなぁ……」ハァ

売久保「うぅ……そ、そうですよね。いくら安くても誰も私の中古品なんて欲しがらないですよね……も、もう売久保店を畳んで、お家に帰ります……」カタヅケ

P「――全部買おう」

売久保「えっ」

P「ここに並んでる商品、全部俺が買う」

P「並んでる物以外に、まだ何かあるのか?」

売久保「え? え、えっと……わ、私が小学生の頃に使ってた教科書とか、水着とか……い、いくら何でも売れるはずないものがありますけど……」

P「全部だ。売久保ォ!! そいつを全部寄越せェェェ!!!」

売久保「あ、はい。じゃあ……ま、まいどあーりぃー」

売久保「あ……」

売久保「ど、どうしよう……ぜ、全部売れちゃったんですけど……」

売久保「困りました……う、売るものが無くなったら、売久保の存在意義が……」

売久保「ほ、他に売れるもの……売れるもの……」ゴソゴソ

売久保「……!」ピコーン

売久保「こ、こうなったら……!」イソイソ

P(なんだ? 自分に……値札を?)

売久保「こ、これが最後の手段――売久保自身が商品になることなんですけど……!」

P「ほぅ、値段は?」

売久保「へ? え、えっと……5……い、いや、3……1万円! 1万円なんですけど!」

売久保「さ、流石に私なんかに1万円払う物好きなんて……」

P「ほら。これでどうだ」ピラァ

売久保「しょ、正気ですか!? い、一万円ですよ? そ、それにほら、返品も不可なんですけど……!」

P「ああ、返すつもりはないからな。どうだ売るのか売らないのか?」

売久保「うぅ……こ、こんなに売久保を欲しがる人、初めて見ました……」モジモジ

売久保「分かりました。う、売久保……プロデューサーさんに買われちゃいます!」

売久保「た、大切にして下さいね……」スリスリ

P「ただいま晶葉」

晶葉「お帰り。どうだった?」

P「買った」

売久保「か、買われちゃいました……」モジモジ

晶葉「何があった!?」

売久保「じゃ、じゃあプロデューサーさんに買われた売久保は、お家で待っているので……」

売久保「は、早く帰って来てくださいね……」カァァ

タッタッタ

P「いやぁ、いい買い物したなぁ! 前から家に森久保が居れば楽しいだろうなぁって思ってたんだよ」

晶葉「これ人身売買じゃないのか……」

スポーン

?「……」キョロキョロ

?「……っ」ササッ

?「……」ジー

P「うーん、見た目は普通の乃々だけど……随分とこっちを警戒してるな。柱の陰に隠れてしまったぞ」

晶葉「ああ。明確にこちら側を睨みつけている」

P「近づいてこないようだし、こっちから近づくか」スタスタスタ

?「……っ!?」ビクッ

?「そ、それ以上近づかないで欲しいんですけど……!」キッ

P「いや、何もしないからそんな警戒するなって」

P(よく見たら、この乃々……マント着けてるな)

?「そこから1歩でも近づいたら……た、大変なことになるんですけど……!」

晶葉「大変なこと? ……ふむ、それは興味深い。よし行くぞP」ザッ

P「オッケー晶葉!」ザッ

?「ひっ!」

バサァ!

?「フ、フシャァー!」バサバサッ

P「なんだ? マントを広げたりして」

?「フシャァァ……! ど、どうです? こ、怖いでしょう? だ、だからこれ以上、近づいてこないて欲しいんですけど……!」バサバサ

晶葉「ふぅむ。これは……威嚇行動か?」

P「威嚇行動?」

晶葉「ああ。生き物の中には、ああやって体を大きく見せるような行動をとることで、敵対生物を威嚇する種がいるんだ」

P「へー」

P「大丈夫だ、何もしないぞ。ほら怖くない怖くない。怯えてるだけだよな?」ニコニコ

?「ふ、ふしゃぁ! ふしゃぁぁぁ! ……はぁ、はぁ。しゃぁぁぁぁ! ……ふぅふぅ」

晶葉「全く気を許す気配がないな」

ピンポーン

晶葉「ん? 誰か来たようだな。ロックを解除して、と」

ウィーン

菜々「おっじゃましまーす。晶葉ちゃんにお届け物でーす」ピョコン

晶葉「ん、ウサミンか。ああ、注文していた商品を持ってきてくれたのか。ありがとう」

菜々「いえいえ。あ、プロデューサーさん! お疲れ様です!」

P「おう菜々もお疲れ様」

菜々「キャハっ! もう全然疲れてないですよー。何てたって菜々はJKですからね! レッスン後でもこんなに元気☆」グッ

P(可愛いポーズをとった拍子に、肩の湿布が見えてしまった……)

菜々「あれ? そっちにいるのは乃々ちゃんですか?」

?「ふ、ふしゃぁ……ふしゃぁ……はぁはぁ」1バサナサ

菜々「わっ! なつかしー! それアレですよね! エリマキトカゲの物真似ですよね!」

晶葉「ん? ああ、そうか。どこかで見たと思ったら……エリマキトカゲだったのか。しかしウサミン、よく分かったな」

菜々「菜々が学生の頃すっごいブームがあったんですよ! みーんなああやって真似をして……あぁ、懐かしいですねぇ」シミジミ

晶葉「エリマキトカゲがブーム? ふむ、聞いたことがないな」

菜々「うっ、さ、流石に晶葉ちゃんは知らないですよね。ま、まあこれくらいのジェネレーションギャップは許容範囲です」

菜々「でも、プロデューサーさんは知ってますよね! CMでいっぱい流れてましたし。歌とかも色んなの出てましたしね!」

P「いや、すまん。俺も……分からん」

菜々「えっ」

菜々「そ、そぉなんですかぁ!? へ、へー! あぁ、はいはい! ま、まあそうですよね! な、菜々もほら、お、お母さんから聞いたことがあるだけですし!」

P「……」

晶葉「……」

エリ久保「え、でも今、菜々が学生の頃って……」

P「おいっ! エリ久保! 空気を読め!」

エリ久保「ひ、ひぃ!? ご、ごめんなさい!」バサァ

晶葉「マントに包まってしまったな」


パカ 

?「ふ、ふぅ……ひ、酷い目にあったんですけど……うぇっぷ」ヨジヨジ

?「はぁ、ふぅ……う、生まれて初めて三途の川というものを見てしまったんですけど……。で、でも川の向こうにもりくぼがいっぱいいて、何だかちょっと楽しそうだったかも……」

P「ん? おい晶葉。新しいコピーが出てきたぞ」

晶葉「そのようだな。どれどれ、見た目は……」ジー

P「うーん、特に普通と変わらないな」ジー

?「な、何ですかいきなり。そ、そんなに見つめらたら……うぅ」カァァ

P「この反応。性格もまんま元の乃々っぽいな」

晶葉「ああ。となると、見えない部分に何か特徴があるかもしれないな。触覚は……無いな」サワサワ

?「へ? な、何ですかいきなり、頭を撫でたりして……」

P「尻尾とか生えてないかな」ピラリ

?「~~~~~~っ!?」

?「なっ、なっなっ……何するんですか! プロデューサーさん……!」スカートオサエ

?「い、いぢめですか!? こ、こういうエッチないぢめは、いつもみたいに幸子さんにして欲しいんですけど……!」

晶葉「なるほど分かった。これはコピーではなく、元の森久保乃々だ」

P「ああ、そっか。つまりはアレか。オリジナルの森久保乃々――オリ久保か」

晶葉「そういうことになるな」

オリ久保「な、ならないんですけど……も、もりくぼはもりくぼですけど……」

オリ久保「って……何ですかこの部屋。もりくぼがちょっと眠ってる間に、知らない人が増えてるんですけど……」


蟻久保「……ふ、ふふふ……お仕事楽しいんですけど……労働最高……」イソイソ

入久保「ひ、ひぃ!? ち、違うんです違うんです! い、入久保は怪しいものじゃないですから……!」

エリ久保「ふしゃあ! じゅ、十分に怪しいんですけど! こ、こっちに来ないで下さい……!」バサバサ


オリ久保「な、何だか変わってるけど、可愛い女の子達ですね、プロデューサーさん。あ、新しいアイドルの人たちですか……?」

P「えっ」

晶葉「まあ、自分と同じ顔を見ても、意外と自分だと分からないものなんだろうな」

晶葉「恐らく森久保乃々は、普段から鏡で自分の顔を見そうにないし」

P「なるほど……」

P(自分のことを可愛いって言う乃々……ナル久保か。幸子とキャラが被るな)

乃々「え……あ、あの人たち、もりくぼのコピーなんですか?」

乃々「つ、つまりもりくぼは、自分のことを可愛いなんて、自意識過剰なことを……」プルプル

乃々「う、うぅ……も、もりくぼ、恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいんですけど……」カァァ

乃々「というか、いいところに穴があるので、入るんですけど……」ヨジヨジ

P「待て待て。洗濯機の中に戻ろうとするな」グイグイ

晶葉「おい2人共。次のコピーが来るぞ」

スポーン

?「……」

乃々「あわわ……ほ、本当にもりくぼそっくりな女の子が出てきたんですけど……非現実的な光景過ぎて、眩暈が……」

晶葉「お、近づいてきたぞ」

トコトコトコ

?「あ、あの……い、いきなりでとても失礼なんですけど……」モジモジ

?「そ、その……お、お手洗いを借して欲しいんですけど……」モジモジ

晶葉「あ、ああ。トイレならそっちだ」

?「じゃあお借りします……!」フラフラ

P(生まれて即効トイレに行く乃々か……。漏久保かな?)

ジャー
バタン

?「ありがとうございました。本当に助かりました」

?「あ、あの、そこの人、その……私、ハンカチを持ってなくて、貸してもらえませんか」

P「ん? ほらどうぞ」スッ

?「ありがとうございます」フキフキ

?「えっと……オリ久保さん」

乃々「森久保です」

?「あの……私、おなかが空いてて、でもお金持ってなくて……その、できれば同じ顔のよしみで、少しお金を……」

P(同じ顔のよしみって凄い言葉だな)

乃々「え……は、はい。どうぞ」スッ

?「えっと、そこの……プロデューサーさん、でいいんですよね? 私、ご飯食べたらすぐに眠くなっちゃうんです。だ、だからその……もし、よかったらプロデューサーさんの家でお昼寝してもいいですか?」

P「ああ、構わないよ。ほら鍵だ」スッ

?「え、えへへ。ありがとうございます。それでは失礼しますね」

バタン


P「……」

乃々「……」

晶葉「……」

P「はっ!? 家の鍵を貸してしまった!?」

乃々「も、もりくぼ、会ったばかりの子にお金を……!」

晶葉「私もトイレを……ってこれは普通か。ふむ、何故か全く躊躇せず、貸してしまったな」

P「あ、ああ。不思議だ。むしろあげちゃってもいいやとさえ思ってしまった」

乃々「あぅ……も、もりくぼのお金……か、返してくれるんでしょうか」

晶葉「借りるのが上手い森久保乃々……借久保か?」

バタン

ヘレン「それは違うわ!」ヘーイ

P「うわ、ヘレンさん。いきなりどうしました?」

ヘレン「世界レベルのオーラを感じて来たのだけど……どうやら、擦れ違ってしまったみたいね」

ヘレン「そう易々と世界レベル同士の邂逅は許されない……つまりはそういうこと」ファサッ

乃々「あのもりくぼ、何言ってるか全然分からないんですけど……」

ヘレン「久しぶりに他の世界レベルを感じて機嫌がいいから、説明してあげるわ」

ヘレン「あの森久保乃々が纏っていたのは、間違いなく世界レベルのオーラ」

ヘレン「彼女はありとあらゆる、万物全ての事柄を借りる事で済ませるプロ」

ヘレン「借りて済ませる――いわばカリスマ!」

ヘレン「つまりカリ久保。オーケー?」

P(ダジャレだ……)

晶葉(ダジャレだな……)

ヘレン「そして彼女は狙った物を借りるまで、決して諦めない。さながら熟練した狩人の如く! カリスマで狩人、つまりはそういうこと」

P(しかも被せてきた……!)

楓(カリ久保ちゃんはカリーライスが好き……ふふっ)

P(楓さん脳内でダジャレ呟くのやめて)

スポーン

?「……」ユラリ

?「ふ、ふふふ、ふふふふ……今宵の蘭子丸は……血に飢えてるんですけど……」キラリ

P「お、セーラー服着てるぞ。結構似合うな」

乃々「そ、それよりも刀……刀持ってるんですけど……!」

晶葉「ついでに言うと、目つきが確実に何人か人を殺しているそれだな」

?「うふ、うふふ……やっと見つけましたぁ……私の運命の人……ふふふ」フラフラ

P「え。俺?」

斬久保「斬久保が……いっぱい、いっぱい愛してあげますからねぇ」

乃々「あ、あわわ……プ、プロデューサーさん……! に、逃げないと斬られちゃいますよ……!」ガタガタ

P「うーん、セーラー服に日本刀の乃々……アリだな」

乃々「い、言ってる場合ですか……!?」

斬久保「えへへぇ……隙アリなんですけど……!」ブゥン

乃々「プロデューサーさん、危なっ――って、ひぃっ!?」サッ

斬久保「ちっ、もう少しだったのに……」

乃々「な、何でもりくぼを狙うんですか!? な、流れ的にプロデューサーさんを斬って自分だけの物にするとか、そういう感じじゃないんですか!?」

斬久保「うふふ……やっと出会えた運命の人にに酷いことなんてするわけないんですけどぉ……」ユラリ

斬久保「それよりオリジナルのアナタを斬って、私がオリジナルの森久保乃々になるんです……うふふ」

斬久保「そしていつまでもプロデューサーさんと一緒に……うふふ、うふふふ……!」

乃々「ひ、ひぇぇ……」

晶葉「ほぅ、自分殺しか。いずれそういった感情を抱く固体が出てくるとは思っていたが、思いのほか早かったな」

P「ペ○ソナみたいな展開だ」

乃々「そ、そんなこと言ってないで、助け――ひぅ!?」サッ

斬久保「もう……動かないで下さいよ。動いたら上手く乃/々に出来ないんですけど……」シャッ

乃々「う、うぅっ、も、もりくぼだってまだまだやりたいことがあるんです……! こ、こんな所でやられはしないんですけど……!」サッ

斬久保「な、中々やりますねぇ……でも、これでどうです……!」シャシャッ

乃々「ふっ、ふっ……!」サッサッ

斬久保「なっ! い、今のを避けるなんて……はぁはぁ……い、今の動き……!」

乃々(まさかこんな風に卯月さんから教えてもらった横ステップが役立つなんて思いもしなかったんですけど)

斬久保「はぁ、はぁ……い、いい加減に斬られて欲しいんですけど……。か、刀って重いから……はぁはぁ……つ、疲れるんですけど……」ゼーゼー

乃々「はっ! チャンスなんですけど……! えいっ、えいっ」ポカポカ

斬久保「いたっ、いたいいたいっ! や、やめて……!」

乃々「この、このこのっ」ポカスカ

斬久保「や、やめてってばぁ……! ひ、酷い……! い、いぢめないでぇ……!」ウルウル

乃々「えい、えいっ。みくさん直伝の猫パンチを受けてみるんですけど……!」ペニャペニャ

斬久保「うぅ、うぅぅっ……!」ジワァ

斬久保「……っ!」ダダッ

ギュッ

斬久保「プ、プロデューサーさぁん……! オ、オリ久保さんがいぢめるんですけどぉ……!」

P「おお、よしよし」ナデナデ

晶葉「ふむ。どうやらしっかりとレッスンに励んでいたオリジナルが基礎体力の面で勝利したようだな」

P「おい森久保。あんまり自分のコピーを苛めるなよ」

乃々「なっ……! も、もりくぼもう少しで真っ二つにされちゃうところだったんですけど……!?」

P「いや、だってお前。これおもちゃの刀だぞ」ペラペラ

乃々「あ、本当です」

斬久保「えへ、えへへぇ。プロデューサーさんの胸、あったかい……」グリグリ

乃々「か、勝ったのはもりくぼなのに……な、納得いかないんですけど……! うぅ……」ジワァ

ポン

ヘレン「乃々。あなたは勝負に勝って試合に負けた。つまりはそういうこと」

乃々「ま、まだいたんですか……」


スポーン

?「……あぅ」ゴロン

?「……んしょ、よいしょ」ジタバタ

P(栗だ……)

晶葉(ああ、これは間違いなく栗だな……)

乃々(大きな栗に、手足が生えて、もりくぼの顔が付いてるんですけど……)

P(形が形だけに、ニコ〇ャン大王みたいだ……。でもよかった栗で。クリだったら確実にモザイクが必要だっただろうからな。自分でも何言ってるか分からんけど)

栗久保「あうぅ……お、起き上がれない……」ジタバタ

栗久保「あの……誰もいいんで、起こして欲しいんですけど。栗久保、こんな体ですから、1度倒れると1人じゃ起きられないんです」ジタバタ

P「お、おう」ヨイショ

栗久保「……ありがとうございます」

栗久保「……」

栗久保「栗久保、こんな体で生まれて、これからどうすればいいんでしょうか。この先の人生、夢も希望もないんですけど……」

P「うっ、そ、それは……」

晶葉「なんだろう……今更ながら、自分達がやってることが恐ろしく罪深いことに思えてきた」

乃々「う、うぅ……自分のことながら、泣けてくるんですけど……」グスン

シュイーン

仁奈「本当にこっちで合ってるでやがりますか?」

芳乃「ええ。こっちでしてー。確かにこっちから良い気を感じるのでしてー」

P「あれ? 仁奈に芳乃? どうしたんだ?」

P「それにその格好……蟹と蜂の着ぐるみか?」

仁奈「あっ、P!」タッタッタ

仁奈「どうでやがりますこれ? 蟹さんの気持ちになってるですよ! カニカニー♪」ギュッ

仁奈「可愛いでごぜーますか?」

P「おお可愛い可愛い」

仁奈「えへへー♪」スリスリ

芳乃「そなたー、わたくしの蜂さんはどうでしてー」グイグイ

P「いい感じに似合ってるぞ。つーか芳乃が足丸出しにしてるの初めて見たな」

芳乃「大胆になってみたのでしてー」ポッ


P「で、その格好は?」

仁奈「仁奈たち、今度のぼーねんかいで、劇をすることにしやがりました!」

芳乃「ええ。そういうわけで、今は劇団員を探している途中でありましてー」

仁奈「臼はきらりおねーさんがやってくれるですよ」

仁奈「お猿さんも愛海おねーさんが『劇中に猿が柿と間違えて全員のお山を揉むシーンを入れてくれたらいーよ、うひひ……』って言って、手伝ってくれるでごぜーます」

P「晶葉、今のセリフ」

晶葉「うむ。録音して早苗に送っておいたぞ」

芳乃「後は馬糞役と栗役が必要で、探しておりましたらこちらから良い気を感じ、来たのでしてー」

栗久保「はぁ……こんな体で、栗久保はこれからどうすれば……こうなったら、文字通り身を削って生計を立てるしか……」

栗久保「いや、こんな栗久保の体なんてお金を出してまで欲しがる人はいないですよね……。そうだ、旅に出よう……旅先でお腹を空かせて困ってる人に、栗久保を体を分けてあげるんです……うふふ……」

仁奈「ああー! 栗でやがります! 乃々おねーさんが栗の着ぐるみを着てるでやがります!」

芳乃「ほー。誘う前に準備をしているとは用意周到なのでして」

栗久保「え、な、何ですか? く、栗久保に何か用ですか……?」ビクビク

仁奈「仁奈たちの劇に出て欲しいでやがりますよ! おねげーします!」ペコリ

芳乃「この通りでしてー」ペコリ

栗久保「え……」

栗久保「く、栗久保を必要としてくれるんですか……?」

栗久保「こ、こんな……私を……?」

仁奈「超必要でごぜーます! 乃々おねーさんしか頼れる相手がいねーですよ!」

芳乃「神様仏様乃々様でしてー」ナムナム

栗久保「う、うぅ……く、栗久保、こんなに頼りにされたの、生まれて初めてなんですけど……」ウルウル

栗久保「こんな栗久保でよかったら……何でもお手伝いするんですけど……!」

仁奈「わーい! メンバーが増えやがりました!」ピョンピョン

芳乃「では早速行くのでしてー。次は馬糞役……こちらから良い気を感じるのでしてー」

仁奈「じゃあP、晶葉おねーさん! さよならでごぜーます! 仁奈たちの劇を楽しみにしやがってください!」

ワイワイガヤガヤ

P「これが本当の適材適所か。いい話だなー」

晶葉「ああ、そうだな。掛け値なしに」

乃々「も、もりくぼ、それよりも馬糞役が誰になるか、気になるんですけど……」

スポーン

?「……」

?「……」ツカツカツカ

晶葉「脇目も振らずにこちらに来たな」

乃々「うっ、目つきが鋭いんですけど……当社比、3倍くらいなんですけど……」

?「……」ジー

晶葉「Pの目の前で止まって、Pを睨みつけてるな」

P「どうした? 俺に何か用か?」

?「……っ」ゲシッ

P「いたっ。お、おい、いきなりなんだよ。言いたいことがあるなら、口で……いたっ」

?「……っ、……っ」ゲシゲシ

晶葉「ひ、ひたすらPの脛を蹴り続けているな。蹴久保……でいいのか?」

蹴久保「……っ」ゲシリ

乃々「あ、あの……何が気に入らないのか分からないですけど、そんなに蹴るとプロデューサーさんが困っちゃうので……」オソルオソル

蹴久保「……っ!」キッ

乃々「あ、はい。何でもないです……はい、好きなだけどうぞ」スッ

晶葉「弱いなオリジナル」

晶葉「しかし参ったな。これじゃまともにコミニュケーションもとれないぞ」

ピンポーン

晶葉「む、また来客か。今日は多いな。開いてるぞー」

ウィーン

文香「……お邪魔します」

晶葉「おお、文香か」

P「文香? 晶葉と文香ってあんまり接点があるようなイメージがないんだけど」

蹴久保「……っ」ゲシッ

文香「……あ、プロデューサーさん。こんにちは」ペコリ

晶葉「文香にはこの間、機械工学の本を貸したんだ」

文香「……その節はありがとうございました」スッ

晶葉「ああ、どうも。それでどうだった?」

文香「……専門性の高い本でしたが、とても興味深く思いました。少しですけど、機械の知識も学べたので……これからSF小説を読むときに、また変わった感想を抱くと思います」

晶葉「そうかそうか。それならよかった♪」

文香「……」キョロキョロ

文香「あの……暫く見ない内に……部屋が随分とにぎやかになりましたね」

ワイワイガヤガヤ
フシャーゴシゴシニャーニャーニャー

乃々「こ、これはその……」

文香「……森久保さんと同じ顔をした女の子がいっぱい」

文香「……不思議の国に迷い込んだアリスは、こんな気分だったのでしょうか、ふふっ」

乃々(この光景を見てその感想……鷺沢さんって、結構変わってますね……)

P「賑やかで楽しいだろ?」

文香「……はい、とても」コクリ

蹴久保「……っ! ……っ!」

P「痛い痛い! もうさっきから何だよお前」

蹴久保「……」ツーン

蹴久保「……」ゲシゲシ ゲシゲシリ

蹴久保「……」ゲシゲシゲシ ゲシゲシ

文香「……あれ、このリズム」

文香「……あの、紙とペンお借りしますね」

文香「えっと、確か……こうだったはず」サラサラサラ

P「どうしたんだ文k……いたっ」

文香「さっきからそちらの森久保さんがプロデューサーさんを蹴ってる間隔が、その……モールス信号と一緒で」サラサラ

文香「あ、やっぱり文章になってます」

晶葉「なに? それは本当か?」

文香「えっと……『他の女の人と話してないで、もっと私に構って欲しいんですけど』」

蹴久保「……っ!?」

文香「『頭撫でたり、抱っこしたりしてください。もっともっと可愛がって欲しいんですけど』……えっと、こういう文章です」

P「ほー、そうだったのか」

乃々「えぇー……愛情表現が不器用すぎると思うんですけど……」

蹴久保「……っ!」キッ

乃々「あ、はい。もりくぼ黙ってます。お、お口にチャックしてます」ビクビク

P「よしよし、じゃあ可愛がってやろう」ナデナデ

蹴久保「……っ! ……っ!」ゲシゲシゲシリ

文香「『嬉しいんですけど! えへへ……もっともっとお願いします!』と。ふふっ、可愛らしいですね」ニコリ

晶葉「割と容赦なく蹴り続けているけどな。脛に貼る湿布でも用意しておくか」


晶葉「壁を蹴って返事してきたぞ。まあ照れるから止めてくれとか、そういう感じだろうな」

P「うーん、可愛い。不器用ながらも伝えて来る感情はまっすぐでなお可愛い」

乃々「……」ムッ

乃々「……」テシテシ

P「ん? 何だ乃々? 足が当たってるぞ?」

乃々「べ、別に何でもないですけど……?」テシテシ

P「いやぁ、しかし色んな森久保が増えてきてなんだか楽しくなってきたなぁ」

P「次のMSVはどんなのが来るか、楽しみだわ」

晶葉「MSV?」

P「M(もりくぼの)S(すごい)V(バリエーション)。略してMSV」

晶葉「君は何かと略すのが好きだな」

晶葉「さて、つぎの準備が出来たようだな」

P「次はどんな面白可愛いのが来るのが、楽しみだ」

乃々「……もりくぼはありのままのもりくぼを見てもらいたかったり……」ボソリ



ガタガタガタ

ポーン

ズゥゥゥゥゥン


?「……」キョロキョロ

?「……ホッ」

?「ウホ! ウホウッホッ! ウホッ!」

P(ゴ、ゴリラだ……)

乃々(ど、どこからどう見てもゴリラなんですけど……)

晶葉(正確に言えばアレは、ニシローランドゴリラだな。学術名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラだ)

P「な、何でゴリラが? 故障とか?」

晶葉「いや、装置からエラーは検出されていない。間違いなく正常に稼働しているはずだ」

P「ということは……あのゴリラも森久保なのか?」

乃々「えっ」


晶葉「ああ、そういう事になる」

P「つまり、ゴリ久保か」

乃々「ちょ、ちょっと待って欲しいんですけどぉ……!? あ、あれをもりくぼ一族に加えるのはむーりぃー……」

乃々「そ、そもそも……あのゴリラさんからは森久保要素を微塵も感じないんですけど……」

P「そうかなぁ。あのいぢめたくなる目とか、自信なさげな表情とか乃々そっくりだと思うけど」

乃々「ど、どこがですか。プロデューサーさんは春菜さんに言って、新しい眼鏡を買うべきだと思うんですけど……!」

ゴリ久保「ホホッ、ウホホッ」ノシノシ

乃々「ち、近づいてきました!? ひ、ひぃ……! 大きい! 黒い! 怖い!」ササッ

P「おいおい折角仲間が近づいてきたんだから、俺の後ろに隠れてないで挨拶しろよ」

乃々「だ、だからもりくぼは、あのゴリラを自分の仲間と認めてないんですけど……!」フシャー

乃々「そ、それより早く逃げないと、襲われちゃうんですけど……!」アワワ

ゴリ久保「ウッホウッホ」ノッシノッシ

ゴリ久保「ウホ」ペコリ

P「大丈夫そうだぞ。礼儀正しいし」

晶葉「ああ。瞳にも穏やかな知性を感じる。そういえばゴリラは森の賢者と呼ばれていたな」

P「ゴリラ……森の賢者……森……森久保……ゴリ久保……」

P「繋がったな」

乃々「ご、強引すぎぃ……」

ゴリ久保「ウホ。ウホホウホ。ウホホウホホ。ウッホウッホ」

晶葉「む、何かを伝えようとしているな」

ゴリ久保「ウホウッホ……ウホホ? ウホウホウホ。ウホー……ウホッホ! ウーホ! ウッウー!」ガルーン

P「う、うーん。何かを伝えようとしてるのは分かるけどなぁ。なあ乃々、このゴリラなんて言ってるんだ?」

乃々「そこでどうしてもりくぼに振るんですか……わ、分かるはずないじゃないですか……」

ゴリ久保「……ウホ」ウーン

ゴリ久保「ウホ!」ピコーン

P「あの表情は乃々が何か思いついた時の顔にそっくりだ! きっと何か思いついたに違いない。俺には分かる。7:3で一瞬で分かった!」

晶葉「そうか」

ゴリ久保「ウッホウッホ」ドンドン

ゴリ久保「ウッホウッホホ! ホッ、ウホッ、ホウッ!」ドンドンドン

晶葉「これは……ドラミングか! だが、このタイミングでどうしてドラミングを……!?」

ゴリ久保「……!」ドンドンドドンドンドドン

文香「……どうやら、これもモールス信号のようです」ヌッ

乃々「い、いたんですか文香さん……」

文香「……今解読します。えっと……『私の名前はゴリ久保乃々。初めまして』と」

P「ほらな?」ポン

乃々「う、うぅ……み、認めたくない……」

ゴリ久保「ウホホウホ」ドンドンドン

文香「『私を受け入れたくない気持ちは分かる。なにせこんな姿だ。だが分かって欲しい。オリジナルがいくら否定しようとも、私とあなたは同じ細胞で構成されている。いわば家族のようなものだ』」

文香「『ほんの少しでいい。私に歩み寄ってはくれないか? 種族という壁は大きい。……だが、例え種族は違っても、私たちは同じ森久保乃々。きっと私達は同胞になれるはずだ』」

P「乃々」ポン

乃々「……う、うぅ」

乃々「わ、分かりました……そ、その……よろしくお願いします……」ペコリ

ゴリ久保「……!」パァァ

ゴリ久保「ウッホッホ!!! ウホー! ウホォォォォ!!!!」ドンドンドン

乃々「ひぃぃ!? やっぱり怖いんですけど!?」サッ

ゴリ久保「……!」ガーン

ゴリ久保「……ウホホ」トボトボ

ノッシノッシ
ガタガタガタン

P「あーあ。ゴリ久保、落ち込んじゃったよ。ほら見ろよ。あんな悲しい表情で机の下に潜り込んで……あーあ、机メキメキいってんぞ」

晶葉「ふむ。やはり種族間の壁は大きいということか」

乃々「だ、だって、だって……こ、怖かったんですもん……」ウルウル

乃々「も、もりくぼだって頑張ったのに……ただでさえチキンなもりくぼも頑張ったのに……」

P「そ、そうだな。乃々は頑張ったな」ヨシヨシ

乃々「うぅー……」

晶葉「キミは何だかんだいって、森久保乃々に甘いな」ヤレヤレ

スポーン

晶葉「さて次はどんな森久保が現れるか」

乃々「せ、せめて人間で……」

P(愛海みたいな性格の揉久保とか出てきたらいいなぁ。ユニット組ませてみたい)

晶葉「……」ワクワク

乃々「……」ドキドキ

シーン

P「……出てこないな。ちょっと洗濯機の中見てくる」ツカツカツカ

バタン
シーン

P「ん? 中に誰もいませんよ? あれ? 何だコレ……手紙?」ピラ

?『あなたがこの手紙を読む頃、私はきっといなくなっているでしょう』

?『私の名前は去久保。趣味は失踪なんですけど』

?『何か目が覚めて外を見たら、去久保と同じ顔の女の子がいてま凄く気持ち悪いし、何かゴリラもいるしで、去久保こんなのと同じ部屋になんていられないんですけど』

去久保『というわけで去久保はクールに去ります。……Cool属性だけに、ふふっ』

去久保『探さないで下さい。去久保は自分の中の小動物の本能に従って、森とかでドングリを食べて生きていきます』

去久保『人寂しくなったら、自分で作ったポエムノートを売りに人里に降りるつもりです』

去久保『では長くなりましたが、去久保が作ったオリジナルの別れの言葉で締めさせてもらうんですけど』

去久保『――さーりぃ』

ピラリ

P「……」

P「まあ元が乃々だし、腹が減ったら帰ってくるだろ」

スポーン

?「……」ベチャ

?「……」プルルンプルルン

?「……」プルン

晶葉「な、なんだアレは……」

乃々「大きめの桃……に見えるんですけど」

P「かなりプルプル揺れたな。……ていうかアレ本当になんだ? 今までで一番非人間的なんだが」

晶葉「とりあえず近づいてみるか」ツカツカツカ

P「近づいてはみたものの……やっぱり何か分からん」ジー

晶葉「おや、よく見るとこの物体、一部が白い布で覆われているな。布には小さなリボン……」

乃々「……う、うーん、この布……もりくぼ、どこかで見たような……」ウムム

P「おーい。もしもしー」

?「……」プルン

晶葉「声掛けにも反応せず、か」

P「まあ口無いしな。……ちょっと触ってみるか」

乃々「えぇ……!? あ、危ないと思うんですけど……」

P「多分大丈夫だろ。どれどれ……」プニプニ

P「おっ、柔らかい」

P「肌触りも……おお、凄いスベスベしてるな。すっげえ水とか弾きそう」サワサワ

P「なんだこれ。いいわ。すっごい癖になる感触。ずっと触ってたい」モミモミ

晶葉「ほう……どれどれ。むむっ、こ、これは中々……!」サワサワ

晶葉「かなり知的好奇心を刺激される感触だ……!」モミモミ

乃々「ふ、ふたりとも大丈夫ですか? し、痺れたりとか……」

P「いや、特にないな。軽い中毒性はあるけど」

P「乃々も触ってみろよ」

乃々「じゃ、じゃあ少しだけなんですけど……」オソルオソル

乃々「あ、本当です。やわらかい……」モニモニ

乃々「……?」

乃々「あれ……この感触、どこかで……」

P「しかし触っても何か分からんな」

晶葉「ああ。これが生物なのかすら分からん」

晶葉「ふむ……一ノ瀬志希辺りに画像を送るか。何か参考になる意見をもらえるかもしれない」パシャパシャ

乃々「うーん、うーん……この触り心地と見覚えのある布……」ウムム

シュイーン

愛海「お邪魔しまーす」

P「あれ愛海? どうしたんだ?」

愛海「もー、どうしたんだ?じゃないよぉ! プロデューサー、早苗さんに告口したでしょ!」

愛海「劇の途中で、合法的に皆の前でたくさんのお山を愛でる最強すぎる計画の!」プンスコ

愛海「おかげで早苗さんと清良さんにたっぷり絞められちゃってさぁ」

愛海「反省文まで書かされたんだよ! もうっ!」

P「自業自得じゃねーか」

愛海「というわけでハイ! 反省文書いたから読んでよね。ちゃんとあたしが提出したこと、早苗さん達に言っといてよ」

愛海「……あれ? 乃々ちゃんと晶葉ちゃん? 珍しい組み合わせのお山だね」

晶葉「む!」サッ

乃々「ひっ」サッ

P「っ」ササッ

愛海「あーだいじょぶだいじょぶ。流石にあんだけ絞られた後ではやんないから。ていうかそもそもプロデューサーのお山になんて興味ないから」ヒラヒラ

愛海「ん? そっちのそれ……なに?」

?「……」プルン

晶葉「分からん」

P「それを調べてるところなんだ」

愛海「ふーん」ジー

愛海「どれどれ」モミモミ

愛海「ほーほー」モミンモミミンモーミミン

愛海「あ。あたしこれが何か分かったかも」

P「本当か?」

愛海「うん、多分ね。もう少し詳しく知りたいなら、ちょっと協力してくれる?」

晶葉「ああ、こちらからも頼む」

愛海「じゃあちょっと失礼して」ワキワキ

愛海「よっ」モミモミ

晶葉「ひゃっ!」

愛海「それっ」モミモミ

乃々「ひえっ!?」

愛海「んー一応……ほいっ」モミモミ

P「あふんっ」

愛海「はいおしまい。なるほどなるほど……」ワキワキ

P「あ、早苗さんですか!? 愛海がとうとう下のお山にも手を出して……!」モシモシ

愛海「わぁー!? ストップストップ! だからアレの正体を調べるための行為だってば!」ババッ

愛海「そもそもあたし、お尻にはあんまり興味ないし! ていうか……下のお山って、その言い方だと勘違いする人もいるからやめてよ……」カァァ

晶葉「……それで、私達の……その、なんだ……お、お尻を触って、何かが分かったのか?」モジモジ

愛海「まあね。アレは……」

?「……」プルルン

愛海「乃々ちゃんのお尻だね」

乃々「ふぇ!?」

愛海「触感、肌の暖かさ、揉んだ時の指の沈み具合……間違いないね。乃々ちゃんのお尻だから……尻久保かな?」

P「間違いないのかそれ?」

愛海「もー、あたしを誰だと思ってんの? 棟方愛海だよ?」ワキワキ

愛海「流石にお山じゃないから100パーセント正確にとは言えないけど……99.89%乃々ちゃんのお尻で間違いないよ」

尻久保「……♪」プルルン

乃々「あ……そうだ。あの布、もりくぼのお気に入りの下着……」

乃々「……」

乃々「……っ!?」ボンッ

乃々「と、とととということは……! さ、さっきからみんなで揉み放題してたのって……もりくぼのお尻なんですか!?」

P「そういうことになるな」

乃々「ひぇぇぇ!!!」

乃々「み、見ないで下さい……! も、もりくぼのお尻見ないで……!」カァァ

乃々「むーりぃぃぃぃぃっ!」ガシッ

ダダダッ

晶葉「おい待て! 自分の臀部を持ってどこへ行く気だ!?」

乃々「こ、こんなの他人に見られたら、もりくぼ生きていけないんですけど! 事務所の貴重品入れに隠してきます……!」

ダダダッバタン

P「行ってしまった……」

愛海「事務所の貴重品入れってアレだよね。みんながお財布とか預けてるあの小さい金庫だよね」

愛海「絶対入らないでしょ……アレ」

P「涙目になりながら、必死の形相で金庫に自分の尻を押し込める乃々か……」

P「よし! 撮影に行くぞ愛海!」ダダッ

愛海「オッケープロデューサー!」ダダッ

晶葉「早く帰ってくるんだぞー」ヒラヒラ

スポーン

?「……」スタッ

P「お。今度のは珍しい格好してるな。着流しか」

乃々「うぅ……ちょ、ちょっと胸元開けすぎだと思うんですけど……」

晶葉「ああ、今にも見えそうで……なっ、ノーブラだと……」

ツカツカツカ

?「あ、あのー……どうも、スリ久保なんですけど……」

スリ久保「……」ジー

P「ん、何だ? 俺の顔じっと見て」

スリ久保「えっと、その……カ、カッコイイなぁって」モジモジ

スリ久保「あなた、遠くから見てもそうでしたけど、近くで見るともっともっとカッコイイなぁって。だ、だからジッ見ちゃったんですけど……」

P「お、おいおい。何だよいきなり」

スリ久保「それに凄く頭も良さそうだし……優しそう……顔から人柄が滲み出てます……」

P「なんだよ……て、照れるな……」ポリポリ

乃々「……プロデューサーさん」ジトー

スリ久保「……」ジー

乃々「え? な、何ですか? もりくぼの顔に何かついてるんですか?」

スリ久保「あの……オリ久保さんって、凄く可愛いですね。くるくるヘアーがキューティクルで、ファッションも凄く可愛いし……」

スリ久保「服とかどこで買ってるんですか? スリ久保にも是非教えて欲しいんですけど」

乃々「じ、自分に褒められても……あ、あんまり嬉しくないんですけど……」

乃々「あぅ……」テレテレ


晶葉「……」

晶葉(な、なんて見え見えのお世辞なんだ……)

スリ久保「あ、晶葉さんも眼鏡が似合ってますね。その……眼鏡だけじゃなくて、雰囲気も隠しきれない知性が感じられて……こう、天才のオーラが……ジーニアスって感じでムンムン来てるんですけど……」

晶葉(私も色んな人間に会ってきたが、こんなに世辞が下手な人間を初めてみたぞ)

スリ久保「白衣も真っ白で清潔感があって……こう、晶葉さんに着られる為に、生まれたような、そんな……」

晶葉(ゴマスリばかりしてくるから……スリ久保か?)

スリ久保「スリ久保、皆さんに会えて、本当に嬉しいんですけど……」

スリ久保「あの……もし、よかったらなんですけど……親交の証に、ハグとかしてもいいですか?」

P「え? ああ……いいんじゃないか? なあ?」

乃々「えっと……もりくぼは別に」

スリ久保「ありがとうございます……! で、では失礼して……」

ギュッ 
ギュッ 
ギュッ


スリ久保「……ありがとうございました。ではスリ久保、ちょっと用事があるのでこれで」ススッ

バタン

P「……いい奴だったな。人を見る目がある。特に男のな」

乃々「はい。くるくるヘアー好きに悪い人はいないですから……あの人はきっといい人です」

晶葉(あんなゴマスリでここまで心を許すとは……この2人の将来が心配になってきたぞ)


乃々「……」

乃々「……あ、あれ?」

P「どうしたんだ乃々?」

乃々「い、いや……その……何か変な感じが」モゾモゾ

乃々「体に何か違和感が……」モソモソ

乃々「……」サワサワ

乃々「えっ……!? あ、嘘……」

乃々「~~~~~~っ!!」カァァァ

晶葉「どうしたんだ乃々?」

乃々「そ、その……」ゴニョゴニョ

晶葉「なにぃ? 着けていた筈の下着がなくなっただと?」

乃々「わざわざ小声で言った意味がないんですけど……!」カァァ

P「なに? 乃々お前、ノーパンなの?」

乃々「うぅ……」モジモジ

乃々「さ、さっきまでちゃんと穿いてたんですけど……」モジモジ

P「下着が消えたってことか?」

乃々「……」ジトー

乃々「あ、あのプロデューサーさん。もりくぼの下着……か、返して欲しいんですけど……」

P「アァン? 何お前、俺を疑ってるのか?」

乃々「だ、だってもりくぼの下着欲しがる人なんて、プロデューサーさんくらいしかいないし……」モジモジ

晶葉「実際、さっき売久保からも、下着を購入してたしな」

乃々「や、やっぱり……!」

P「やっぱりじゃねーよ! いくら俺でも、履いてる下着を抜き取るなんてできねーし!」

P「あれか? 俺をゾルディック家の人間とでも思ってんのか? ああ?」

P「いいよ。疑うならボディチェックだろうとなんだろうと……あれ?」

P「……」サワサワ

P「俺の下着もない。めっちゃスースーする」

晶葉「乃々に続き、Pもだと……?」

晶葉「これは一体……」

P「おい乃々。俺のボクサーパンツ返せよ。ぴにゃこら太のやつ。誕生日に穂乃香からもらったお気に入りの」

乃々「も、もりくぼ、そんなの盗ってないんですけど……! り、凛さんじゃないんですから……」

乃々「それよりもりくぼのパンツとブラジャーを……!」

P「だから盗ってねーよ!」

晶葉「おい、喧嘩をするな! むぅ……一体何が……」

ウィーン

?「あ、あの……私……は、犯人知ってるよ?」

晶葉「む、小梅か」

小梅「う、うん……お、お邪魔します」

カエセヨ! タッタイチマイノオキニイリナンダ!
モ、モリクボノダッテ オキニイリダッタンデスケド

小梅「け、喧嘩しちゃ……だめだよ……!」オロオロ

晶葉「ほっておけ。それで犯人とは? どうして今来たばかりの小梅がそれを知っている」

小梅「あ、えっとね。一部始終をあの子が……見てたから」

小梅「あの子、最近……Pさんのストーカーするのが趣味だから……一部始終ずっと見てたって」

小梅「ね? あはは……あの子、照れちゃって可愛い」

晶葉「……そ、そうか」

晶葉(一体誰と話しているんだ……)

小梅「それでね。あの……さっき私と擦れ違った……スリ久保ちゃん? その子が下着を盗ったって。あの子は……そう言ってる、よ?」

小梅「抱きついた瞬間に、凄い速さでスリ盗ったって」

小梅「あ、あの子じゃなきゃ見逃すくらいの凄い速さだったって……!」グッ

晶葉「……」カタカタ

晶葉「む、本当だな。この部屋の監視カメラを確認してみたが、ほんの一瞬、奴が手を懐に入れる場面が映っている」

小梅「ね?」

晶葉「あ、ああ……」

晶葉(小梅の言う『あの子』とやらは分からないが……なるほど)

晶葉(ゴマスリではなくスリが得意な森久保乃々か。どうりでゴマスリが下手だったわけだ)

晶葉(さて後はこの真相を2人に伝えるだけだが……)

P「分かった。分かった分かったわ。せめて、せめて大胸筋矯正サポーターだけは返してくれ。愛海に貰ったあれ、つけてないと気持ち悪くて落ち着かないんだ」

乃々「うぅ……も、もりくぼだって、ブラを返して欲しいんですけど……。その……こ、擦れちゃって痛いんです……」

晶葉(面倒だから後でいいか)

晶葉「しかし監視カメラにも殆ど映らない速度で……元が森久保乃々とは思えない、身体能力だな……ん?」グイグイ

晶葉「どうした小梅?」

小梅「あ、あのね……あの子が『晶葉ちゃんも同じように下着を盗られたはずなのに、スリ久保ちゃんの手に晶葉ちゃんの下着はなかった』って不思議がってるの。……どうして?」

晶葉「ん? ああ、元々履いてなかったからな……あっ」

小梅「えっと……趣味?」

晶葉「ち、違う違う! 誤解しないでくれ。これはあくまで健康法の一環だ!」ワタワタ

晶葉「以前試してから、かなり体調が整ってな。だ、だからその、なんだ……断じて趣味ではない!」

晶葉「健康法だ。そこを勘違いしないでくれ」

小梅「う、うん」

晶葉「ただPには言わないで欲しい。……この歳でこんな健康法にハマってると知られたら、その……恥ずかしいからな」ポリポリ

小梅「え、えへへ……りょーかい。2人だけの……秘密だね」ニコ

スポーン

?「……」ササッ

?「……」キビキビ

ガタガタガタ

P「スーツを着た乃々か」

晶葉「随分と忙しそうに動いているな。何だ……壇を作っているのか?」

?「……よし」

カンカンカン

?「あ、あの……み、みなさんお待たせしました……!」

競久保「本日のオークションを仕切らせてもらう……せ、競久保なんですけど……よろしくお願いします」ペコリ

競久保「では、第72回、森久保オークションを開催するんですけど……!」カンカンカン

ザワザワ
    ザワザワ

ザワザワ

乃々「な、なんかいっぱい集まってきたんですけど……」

晶葉「ふむ、オークションか。興味深いな」

競久保「で、では早速最初の商品なんですけど……」

競久保「いきなり本日の目玉商品……」スッ

ザワザワ

競久保「先ほど仕入れたばかりの、脱ぎたてホヤホヤ、男物のブラジャーとボクサーパンツです……!」

ザワザワ……!
    ザワザワ……!

P「あっ、俺の下着セット!」

晶葉「どうやらスリ盗られた後に、何らかのルートを通って流れてきたようだな」

P「くっそ、ふざけんなよアイツら……!」

乃々「お、落ち着いてくださいプロデューサーさん……」

P「ブラジャーじゃなくて大胸筋矯正サポーターだっつーの!」

乃々「え……そこなんですか?」

カンカンカン

競久保「えー……では、最低落札価格の100円から始めさせて頂きます……」

『1000円!』
『1200円なんですけど……』
『ウホホウホ!』
『2000円!』

晶葉「す、凄い人気だな……」

P「人気なのは嬉しいけど、複雑な気分だ。アレお気に入りだったのに。落札されたら、そいつに交渉して返してもらおうかな」

カンカンカン!

乃々「あ……落札されたみたいなんですけど……」

競久保「は、はい落札です……! 今回の目玉商品、プロデューサーさんのブラジャーは蒼久保さんに。ボクサーパンツは紅久保さんに落札されました……!」カンカン

蒼久保「……ふーん」スッ

紅久保「……うふふ」スッ

競久保「あ、あの……見ない顔ですね? あれ? それ……お面……」

タッタッタ

競久保「い、行っちゃったんですけど……。えー……あーはい。じゃあ次のオークションに移ります」

P「くそっ、さっきの2人は……もういないか。返してもらおうと思ったんだけど……」

乃々「あ、あの……さ、さっきの2人って……」

晶葉「ああ。まあ……そうだろうな。Pは気づいていないが」

競久保「では続きまして……オリ久保さんの下着が商品となります。では開始……!」カンカンカン

乃々「あ……も、もりくぼの……」

シーン
  
P「誰も挙手しないな」

晶葉「まあ、ほぼ自分と同じ存在が履いてた下着だからな」

P「仕方ない。俺が落札してやるか。あー仕方ない仕方ない」ゴソゴソ

P「うっ、財布の中身が……殆ど無い。そうか、売久保買ったからか」

P「なあ乃々。金貸してくれないか?」

乃々「も、もりくぼだってさっきカリ久保さんに貸したからお金ないんですけど……」

乃々「そもそも、お金持ってたら、自分で落札するんですけど……」

P「晶葉」

晶葉「すまない。この装置を作るので、今月のお小遣いは全て使い切った」

P「くそ……仕方ない。残った1200円を全部使って、落札する……! 今だ! パワーを1200円にッ!」ハイ

競久保「はい、そちらの方、1200円」

競久保「他にありませんか?」

P「決まれ決まれ決まれ……!」

?「あ、あの……2000円……フヒヒ」スッ

P「な……!?」

競久保「はい2000円。他にありませんか? はい……では、そちらのお方に2000円で落札なんですけど……」

カンカンカン

?「や、やった……ら、落札できた……!」

P「くそ! 落札したのはどこの誰だ! 俺の物になるはずだったのに!」

乃々「いや、もりくぼのなんですけど……」

?「あ、あれ? どうかしたのか?」

P「この声……輝子か!」

輝子「あ、P……ど、どうだ? これ、私が落札したんだぞ……フヒヒ」ドヤァ

P「ああ、知ってるよ。ていうかどういうつもりだ? 乃々の下着なんて落札して……も、もしかして、ソッチのケがあるのか?」

輝子「……? そっち……の毛? い、いや……多分、まだ、だと思うけど……あ、あんまり分かんなくて」カァァ

輝子「え、えっとPが知りたいなら……は、恥ずかしいけど、親友同士だし、見せても……いいぞ?」

P「何か勘違いしてるな。それだよそれ。乃々の下着なんてどうするつもりなんだ?」

輝子「へ? こ、これか?」

輝子「こ、これはアレだ。この間、更衣室でボノノさんがこの下着を着けてるの見て、す、凄く可愛かったから……しょ、正直わ、私も欲しかったんだ」

輝子「ど、どこで買ったか聞くのも何か恥ずかしいし……でも、よ、よかった。まさかこんな所でオークションがあって、ボノノさんの下着が出品されてるなんて……フヒヒ」

輝子「こ、これ……た、大切にする……」ギュッ

晶葉「いいのか乃々? 今なら返してもらえるかもしれないぞ?」

乃々「……」

乃々「べ、別に……大切にしてくれるなら……それなら、それで」

乃々「もりくぼのお下がりなんかで喜んでもらえるなら……別にいいんですけど」

晶葉「そうか」

乃々「と、ところで晶葉さん。もしよかったら、その……下着の予備なんかを持ってたら、貸して欲しいんですけど……」

乃々「スースーして、これ以上、むーりぃ……」

晶葉「その内慣れるから安心しろ」

スポーン

?「……」スタッ

?「……なーむぅ」

P(!?)

乃々(!?)

晶葉(!?)

スタスタスタ

?「失礼。拙僧、剃久保と申す者なんですけど……」ペコリ

剃久保「ここの主は何処に?」

晶葉「あ、ああ……わ、私だが」

剃久保「では今夜、屋根を貸していただけないでしょうか。1晩だけで構わないんですけど……」

晶葉「う、うむ。好きにしてくれ」

剃久保「感謝するんですけど。あなたに仏のお恵みを……」スッ

スタスタスタ

P(坊主だ……乃々が坊主になってる……髪が……)

乃々(……も、もりくぼのくるくるヘアーはどこに……)

晶葉(ある意味、今までで一番インパクトがあるな)

楓(僧ですね、ふふっ)

剃久保「~~~~~~」ポンポンポン

P(うわ、お経だ……乃々がお経を唱えてる……)

ザワザワザワ

乃々(ま、周りに、もりくぼのコピーさん達が集まってきたんですけど……)

剃久保「――」ペラペラペラ

晶葉(集まってきた森久保コピーたちに相手に説法を始めたぞ)

P(何だこの光景)

楓(乃々ちゃん、アイドルが嫌になって家出してお坊さんになっちゃったんですって)

楓(それを言うなら家出じゃなくて出家やないかーい……うふふ)

P(楓さん、直接脳内にダジャレ囁くの止めてくれません?)

ガタガタガタ

P「何か入り口で引っ掛かってるな? あれ……コタツか?」

ガタガタ……スポーン

晶葉「出てきたな」

?「……」

P「動かないなこのコタツ。おーい」コンコン

?「……はい」ニュッ

乃々(コタツから首だけ……)

P(こたつカウンターで低レベルクリアに貢献しそう)

?「えっと……だり久保に何か用でも?」

晶葉「いや、用はないのだが……」

だり久保「だったらだり久保、コタツの中に失礼するんですけど……はぁ、喋るのだるい……」モソモソ

だり久保「何もかもだるいんですけど……このままコタツの中で生を終えたい……」

だり久保「あうぅ……こんな事考えるのすら、だるい……無です。無心になってだらけるんですけど……だーりぃ……」スポン

P「どうしようも無いのが出てきたな」

乃々「だ、駄目人間過ぎてみてられないんですけど……」



シュイーン

ウサちゃんロボ「ウササ!」キュラキュラキュラ

晶葉「ん? ああ、掃除用のウサちゃんロボか。お疲れ様」

杏「おっすおっすお疲れー」キュラキュラキュラ

晶葉「……おい。杏よ。前も言ったが、ウサちゃんロボをタクシー代わりに使うのはやめろ」ハァ

杏「えー、きらりが仕事でいないから仕方ないじゃん。それに杏軽いから大丈夫だよ」スタッ

杏「運んでくれてありがと。ばいばい」フリフリ

ウサちゃんロボ「ウササー」フリフリ

P「それでどうした杏こんな所に」

杏「プロデューサーに用事が……って、何この部屋? 乃々と同じ顔した女の子……いや、女の子じゃないのもいるか。何コレ……」

杏「あ、いや、いい。説明とかいいよ。面倒そうなことに巻き込まれたくないし」

杏「それよりもこっちの用事だよ」

杏「ねぇ……プロデューサー……れ、例のやつ……持ってない? 今日の分、もう無くなっちゃって……」モジモジ

P「なに? もう無くなったのか?」

杏「うん。だ、だからさ……ほら、ちょーだい?」

杏「ねぇ、お願い。もう杏、アレがないと駄目な体になっちゃった。プロデューサーのせいなんだからね?」

杏「ほら早く……ねぇねぇ」グイグイ

P「仕方ないな。ほら、何個だ? 何個欲しいんだ? 3個か? イヤしんぼめ!」スッ

杏「わーい。……んー、おいひぃー!」コロコロ

乃々(あ、飴の話だったんですか……よかったんですけど……)

晶葉(ああ。私も会話を録音して、早苗に伝えるところだった)

杏「ほんと、この飴ちゃん美味しいよねー。ねえ、どうせすぐ食べちゃうんだから、最初からいっぱい持たせてよ」

杏「それかどこで売ってるかでもいいからさー」

P「駄目だ。この飴はお前を仕事に来させるための餌、つまり杏のやる気を爆発的に高める餌なのよ」フフ

杏「ちぇー」

杏「ん? おお、コタツあるじゃーん! ラッキー!」モゾモゾ

杏「さっきまで事務所のコタツに入ってたんだけどさぁ、年少組が帰ってきて五月蝿かったから逃げてきたんだよね。はぁー気持ちいい~」ヌクヌク

P「へぇ、小さい子達に譲ってあげたのか。偉い偉い」ナデナデ

杏「いや、だから逃げてきたんだって。撫でるな撫でるな」ブンブン

乃々(そう言ってる口元がニヤけてるんですけど……)ジー

杏「はぁー……やっぱり冬はコタツだよねぇ――いたっ!?」

杏「か、噛まれた……! 何かに足噛まれたぁ!」ゴソゴソ

杏「え? なになに? 中に何かいるの?」バックステップ

P「ああ、いるぞ。主がな」

モソモソ

だり久保「こ、このコタツはだり久保の領地なんですけど……」ピョコン

だり久保「な、なんびとたりとも、この中に侵入するのを許可しないんですけど……」

杏「むっ。ケチ臭いなぁ。ちょっと温まるくらいいいじゃん」

だり久保「それはむーりぃ……ど、どうしてもコタツに入りたければ、このだり久保を倒すことなんですけど……」

だり久保「でもこのコタツはだり久保のホームグラウンドであり最後の領地……あ、あなたみたいな子供に負けるなんてありえないんですけど……ふふふ……」

だり久保「……はぁ、喋りすぎて疲れた。ではさようなら……」モソモソ

杏「……」

杏「ふーん。じゃあ倒したら、このコタツ杏の物ってことだよね」

杏「へー、ほー……よし」キリッ

P(この眼……杏が珍しくやる気を出すときの眼だ……! 最後に見たのは、この間開催された、全員参加の大規模ライブの時……!)

P(杏の眼が言っている。『別に倒してしまっても構わないんでしょ?』。ひ、久しぶりに杏の本気が見られるぞ……!)

杏「じゃ、失礼しまーす」モソモソ

「うわ、侵入者なんですけど……!」
「で、であえーであえー」
「あ、だり久保1人だったんですけど……」
「ええいっ、この中でだり久保に勝負を挑むなんて、無謀なんですけど……か、返り討ちにしてやるんですけど……!」
「えい、えい……う、うわぁ……こ、このようじょつよい……」
「あ、やめてやめて……そこばっかり狙うのやめて欲しいんですけど……あうぅ」

ガタガタガタ
ガタガタガタ

P「コタツが凄い揺れてるな」

晶葉「ああ。中で凄まじい攻防が行われているのだろう。一体どちらが勝つのか……」

乃々「ど、どう聞いても一方的なんですけど……」

ニュッ

だり久保「あうぅ……つ、強いんですけど……こ、このままじゃ負けちゃうぅ……」ガタガタ

だり久保「お、お願いです……オ、オリ久保さん……同じ顔に免じて、だりくぼに力を貸して欲しいんですけど……このとーりぃ……」

乃々「え? あ、えっと……はい……」モソモソ

「さ、さあ仕切り直しなんですけど……!」
「愛と友情のツープラトン……食らうといいんですけど……!」
「ふ、二人に勝てるわけないんですけど」
「あ、甘いんですけど……そっちは本体なんですけど……!」
「み、身代わりにするなんて酷い……あうぅ……」
「あいたぁ! ど、どこ狙ってるんですかぁ……へたっぴ……!」
「しゃ、射線上に入るなって言ったんですけど……」

ガタガタガタ
ガタガタガタ
ガタガタ……シーン

P「静かになったな」

晶葉「ああ。勝負は決したようだ。勝者は――」

スポーン
スポーン

乃々「……あうぅ」ベシャリ

だり久保「……ま、負けたんですけど……」ベシャリ

P「まあ、こうなるな」

杏「というわけで、このコタツは杏が戴いたー、ふははー」ニュッ

だり久保「うぅ……だり久保の最後の領地が……」トボトボ

P「杏」

杏「分かってるってば。どうせもう少しで杏、レッスンに行かないといけないし、それまでの間だけだよ」

杏「はぁ……極楽極楽」


スポーン

?「……」バサァ

P「何だあの服……」

晶葉「海賊、か? 左目に星のメイク……地球儀を持っているぞ」

?「えっと……あ、あのどうも。地理☆久保なんですけど……」



地理☆久保「あ、あなたのハートに……レボリューション☆……!」ビシッ



乃々「!?」

地理☆久保「じゃあ、あの……ショートコントします」

地理☆久保「コント――ライブ後」

地理☆久保「『本田さん、どうしました?』」

地理☆久保「『なんで……』」

地理☆久保「『え?』」

地理☆久保「『お客さん、めちゃくちゃ少ないじゃん!』」

地理☆久保「少ないじゃん……少ないじゃん……」



地理☆久保「少ないじゃん――アゼルバイジャン! ソ、ソーレ☆!」ダダダダ

地理☆久保「こ、ここ……! アゼルバイジャンなんですけど……」ピタッ



P「本当だ……凄い」

晶葉「ああ、確かにアゼルバイジャンだ……。何て卓越した地球儀の使い方……」

乃々「……」カァァ

地理☆久保「じゃ、じゃあ続きまして、ショートコント『残していこうか、私達の――』」

乃々「死にます」

地理☆久保「えっ」

乃々「こ、これ以上続けるなら、もりくぼ自害して死にます」カァァ

乃々「自分のこんな姿を見るくらいなら、舌噛み切って死ぬんですけど……本気なんですけど……!」

地理☆久保「えぇ……こんな展開ファンタスティックなんですけど……」

晶葉(もう少し見たかったんだが)

P(とりあえずムービーで保存したし、後でみんなに見せてやろう)


スポーン

?「……」

P「お。麦わら帽子に釣竿……釣り吉○平みたいなファッションだな」

乃々「ボーイッシュな格好は……もりくぼ的に、あんまり似合わないと思うんですけど……」

P「いや、アレはアレでありだ」スタスタ

P「えっと……釣久保でいいのか?」

釣久保「シッ……!」

釣久保「静かにしてほしいんですけど……魚が逃げます」

晶葉「ここ室内なんだが」

釣久保「……」スタスタ

P「何だ? 洗面台に向かって行ったぞ」

釣久保「……釣久保の釣力(チョーラ)がビリビリ感じます。ここなんですけど」スッ

P「洗面台の前で、釣竿を構えたけど……何をする気だ?」

キリキリキリ

乃々「……あ、あの、洗面台の排水溝に釣り糸をたらしてるように見えるんですけど」

晶葉「奇遇だな。私にもそう見える」

釣久保「……」

P「すげえ真剣な表情だな。渾身のポエムを書き殴ってる時の乃々みたいだ」

乃々「え……もりくぼ、あんな顔してるんですか? て、ていうか、もりくぼ……ポエムはお家でしか書かないんですけど、どうして……」

晶葉「見ろ! 糸が震えてるぞ!?」

グググ

釣久保「……っ、あうぅ……」キリキリキリ

釣久保「ふっ……うぅ……うぅぅ……!」キリキリキリ

釣久保「くっ――フィッシュなんですけど……!」グイッ

ザバア

?「はれ~♪」ビタン

七海「わーい、釣られちゃったのれす~♪」ビタンビタン

P「な、七海が釣れた……!」

晶葉「い、いや……いくら小柄でも、洗面台の排水溝をくぐり抜けることは物理的に不可能なはず……!」

乃々「そ、そもそも洗面台から七海さんが釣れる時点でおかしいと思うんですけど……」

釣久保「……」

釣久保「……海へお帰り」スッ

七海「リリースリリース~♪」

キュポン

P「また排水溝に飲まれて行ったぞ。七海、水着だったよな? 確か今は水着グラビアの撮影だったはず……北海道で」

P「……」

P「釣りって凄い、俺は素直にそう思った」

乃々「ああ……釣久保さん、次はおトイレに向かって……」

晶葉「よし、次の森久保コピーに行こう。トイレから現れる同僚なんて見たくないからな」

フギャー!
ナ、ナンデスカコレハー!?

グゥ~

乃々「あ、あうぅ……」

P「何だ乃々。腹が減ったのか?」

乃々「うぅ……きょ、今日は朝ご飯を食べてないので……」

晶葉「それはいかんな。正常な成長には十分な栄養が必須だ。しっかり栄養を取らないと、杏のような体型になってしまうぞ」

P(いや、晶葉の体型も大概だろ……)

P「次の森久保一族を見たら、飯にするか」

スポーン

シーン

晶葉「……ふむ。また誰も出てこないな」

P「俺が確認してくるよ」スタスタスタ

P「んー、洗濯機の中は……誰もいないか。ん? 何だコレ……チラシ?」


P「どれどれ」

『まごころデリバリー森久保――1周年記念感謝祭のお知らせ』

『あなたに愛を届けます。今なら1周年記念で半額になってるんですけど』

『電話番号はコチラ』

P「デリバリー? デリバリーピザか?」

P「ちょうどいいや。昼飯頼むか」

ピポパポパ
プルルル
ガチャ

?『は、はい……あの、森久保デリバリーの……電話受付、デリバリー、会計、事務担当のデリ久保なんですけど……』

P「ワンオペ過ぎじゃね?」

P「まあいいや。えっと今からデリバリーしてほしいんだけど。場所は――って所」

デリ久保『えっと……はい。大丈夫なんですけど……』

P「で、メニューは……」

デリ久保『あ、ウチのお店、メニューはないんですけど……』

デリ久保『お客様の顔を見て、何が欲しいのか……それを見抜いて奉仕するのも仕事なんですけど……』

P「奉仕?」

デリ久保『じゃあ今から行きます。えっと料金なんですけど……今は感謝記念で普段の半額になってるんですけど』

デリ久保『もろもろ込みで……90分1万円になります……』

P「えっ」

デリ久保『あ……初めてのお客さんですよね? 初めての人にはオプションが無料になってるんですけど……』

デリ久保『コスチュームがセーラー服、エプロン、チャイナドレスの3つから選べるんですけど』

P「あ、じゃあエプロンで……って待った!」

デリ久保『承りました。では……後ほどなんですけど……』ガチャン

ツーツーツー

P「90分1万円……オプション……コスチューム……デリバリー……」

P「……」

P「あっ」

スタスタスタ

晶葉「何だP。電話か? ん……デリバリー? 何だピザでも頼んだのか?」

P「あ、晶葉。その、今すぐこの部屋を俺1人だけに……!」

ピンポーン
モリクボデリバリーナンデスケドー

P「はっや!?」

ドッドッドッド

デリ久保「お、お届けに来たんですけど……」キキー

晶葉「おい原付のまま部屋に入ってくるな!」

デリ久保「ご、ごめんなさい……。えっと……あ、あれ? 人がいっぱい……」

P「さっきの注文なんだけどちょっと勘違いで……!」

デリ久保「複数相手はあんまり経験ないんですけど……でも、頑張ります、はい……」ヌギヌギ

P「待て! 脱ぐな! せ、せめて部屋を暗く……!」

デリ久保(エプロン)「暗かったらお料理できないんですけど……」

P「ん? 料理?」

デリ久保「はい……えっと、愛を込めた手作り料理を目の前で……というのが、森久保デリバリーのモットーなんですけど……」

晶葉「ほー、最近はそんなデリバリーがあるのか」

デリ久保「じゃ、じゃあ、そろそろお料理を始めるんですけど……」

トントントン
ジャージャージャー
グツグツグツ

乃々「うぅ……も、もりくぼと比べ物にならないほど、お料理が上手いんですけど……」

P「……」

乃々「あ、あの……やっぱりプロデューサーさんも結婚するなら、お料理が出来る方が……」

P「……」

乃々「プ、プロデューサーさん?」

P「……値段設定が紛らわしいんだよ」ボソッ

スポーン

?「こ、ここは……?」

?「ま、まさか……!」ギュィィィィィン

P「お、普通の森久保に見えるな。……手がドリルだけど」

晶葉「ああ、ドリル以外は普通の森久保乃々に見えるな」

乃々「ド、ドリ久保乃々……でいいんでしょうか? あ、ち、近づいて来たんですけど……」

タッタッタ

ドリ久保「あ、あの……も、もしかしてアナタ……森久保乃々さんですか?」

乃々「え? は、はい……も、もりくぼはもりくぼですけど……」

ドリ久保「やっぱりいいいい!」ギュイィィィィン

ドリ久保「生森久保乃々なんですけど!」ギュオォォオン

ドリ久保「あ、あのあの……ファンなんですけど! よ、よかったら握手してほしいんですけど!」ギュィィィィン

乃々「え、いや……も、もりくぼの手がミンチより酷いことになりそうなので、お断りします……」

ドリ久保「……そ、そうですか。残念なんですけど……」シュン

ドリ久保「でもアイドルになる夢を叶えるなんて凄いんですけど……本当に尊敬するんですけど……」キラキラ

乃々「い、いや別に夢とかじゃ……プロデューサーさんに引っ張られて色々やってたら、いつの間にかアイドルやってただけですし……」

ドリ久保「テレビで見てから、ずっと応援してたんですけど……まさか本物に会えるなんて……」

ドリ久保「か、感動で涙が出ちゃうんですけど……!」ギュゥゥゥン

晶葉(どうやら感情とドリルの動きが連動しているらしいな)

晶葉(しかし……ずっと応援していた、だと?)

晶葉(彼女は森久保乃々のコピー……この瞬間に生まれたはず……)

ドリ久保「いつかドリ久保も森久保さんみたいに夢を叶えるんですけど……!」キラキラ

乃々(うぅ……視線が眩しい……落ち着かないんですけど……)ソワソワ

乃々「夢って……な、何かあるんですか?」

ドリ久保「はい。こう……大きくて、とにかくビッグで……凄い、皆が驚くようなことをしたいんですけど……!」キラキラ

ドリ久保「クリエイティブでセンシティブな……それでいてファンタスティックかつエキセントリックな……センショーナルな夢ですけど!」

P(仕事探せって言われて言い訳するヒモ男みたいな発言だな……)

乃々「あ、あの……もりくぼが言うのもなんですけど……もっと具体的な夢を持ったほうが……」

ドリ久保「大丈夫ですけど! どんな夢だろうと諦めなければ夢は必ず叶うって……ドリ久保は信じてるから!」ギュオォォォン

P(夢見がちな性格だな)

楓(ドリルを持ったドリーマー……うふふ)

スポーン

?「へぐっ」ズコー

?「あうぅ……痛いんですけど……ナリ」



P「風呂桶にゴム鞠みたいな大きさの乃々の顔が乗ってる変な生き物が出て来た……何アレ……」

晶葉「ドラ○もんみたいだな」

乃々「何で体はあんなにコミカルなのに、顔はリアルなんですか……」

ペタペタペタ

ナリ久保「あっ、キテレツ! 会いたかったナリ~」

晶葉「断じて違う」

ナリ久保「あ、こっちは豚ゴリラ!」

P「どうも時子様の豚です」

ゴリ久保「ウホホ!」

ナリ久保「みよちゃんはどこナリ?」

美世(誰か呼びました?)

ナリ久保「あっ! この匂いは……コロッケナリ! わーい!」

テテテー
ムシャムシャムシャ

乃々(ひぇぇ……得体の知れない生き物がコロッケを貪り食べてるんですけど……こ、怖い……)

乃々(新作眼鏡の無料配布にやってきた春菜さんが、勉三さんとか呼ばれて困惑してるんですけど……)

乃々(突然乱入してきた珠美さんとチャンバラを……ひぇぇ……)




菜々(キテレツ大百科の最終回は感動しましたね……も、勿論菜々は再放送で見たんですけどね! キャハっ☆!)


スポーン

?「……」ズゥゥゥゥン

?「……」



P「バイクだな」

晶葉「ああ、どこからどう見てもバイクだ。詳しくは知らないが……中型バイクか?」

乃々「あうぅ……とうとう無機物が出て来ちゃったんですけど……もりくぼの遺伝子とは一体……」

P「フリルでデコってるところが乃々っぽいぞ」

P「バイクだから……バイ久保か?」

乃々「も、もりくぼはノーマルなんですけど……」

晶葉「……ふむ、どうやら違うようだ」カチャカチャ

乃々「ち、違うってなんですか……た、たしかに他のアイドルの皆さんを見て、かわいいと思うことはありますけど、それはそういう意味ではなくて……」ワタワタ

晶葉「違うそうじゃない。名前だ名前。ここに書いてある。平仮名で『にりくぼ』とな」

P「にりくぼ? 二輪久保? ……少し苦しく無いか?」

晶葉「私に言われても困る」

晶葉「ついでに軽く調べてはみたが、特にこれといって変哲のない、ただのバイクだ」

P「そうか……何か残念だな」

P(コイツが喋ったら乃々を乗せて、ノノの旅ごっこができたのに……)

晶葉「強いて言うなら、所々に使われている金属に見覚えがないくらいだな。何かのレアメタルか?」コンコン

晶葉「ここは……給油口?」カパ

晶葉(何か書いてあるな。『素敵なポエムを入れてくれたら、頑張って働きます』だと?)

晶葉(ポエムが燃料……)

晶葉(は? 科学に喧嘩を売ってるのか?)



P「レアメタル……謎の金属で出来たバイク……」

P「なあ乃々。ちょっとこのバイクと合体してみないか?」

乃々「体が真っ二つになるからむーりぃ……」

スポーン

?「……」

スタスタ

?「あ、あの……どうも、ぬり久保です」モジモジ

P(普通だ)ジー

晶葉(ああ、見た目は普通の森久保だな)ジー

乃々(特に変わったところはないんですけど……)ジー

ぬり久保「え、えへへ……そ、そんなに見られると照れるんですけど……」モジモジ

ぬり久保「……ハァ……ハァ……」

P「どうした? なんか息が荒くないか? それに何か顔も赤いような……」

ぬり久保「べ、別に普通ですけど……普通普通……ぬ、ぬり久保は普通の女の子ですから……ハァハァ」モジモジ

P「いや、でも汗もかいてるぞ? 熱でもあるんじゃないか? ちょっとデコくっ付けるぞ?」ピタァ

ぬり久保「はぅ……!」ビクンビクン

乃々(おでこくっ付けあってお熱はかるなんて……しょ、少女漫画みたいなんですけど……!)

乃々(……いいなぁ)

乃々(そ、それにしても、ぬり久保さん、凄い汗……)

ぬり久保「こ、こんなに近くでぬり久保見られて……ハァハァ……み、見られて……」モジモジドロドロ

乃々(んん? な、なんか……あれ? 服が……あれれ?)ゴシゴシ

ドロォ

乃々(服が……溶け……てる?)

ぬり久保「ハァハァ……」ダラダラ

乃々(あ、あの服……よ、よく見たら……か、体に描いてるだけ……!)

乃々「ひぃぃぃっ!」

乃々「へ、変態なんですけど! へ、変態! 変態がここにいるんですけど!」

P「ど、どうした乃々?」

乃々「い、いいからその人から離れてください……!」グイグイ

ぬり久保「あっ……も、もっと見て欲しいんですけど……もっともっと……ありのままの姿を見せたいんですけど……」ハァハァ

乃々「お、おまわりさーん! ち、痴女が……痴女がここにぃ……!」

ぬり久保「け、警察は困るんですけど……おさらばなんですけど……!」ダダッ

ガチャン

晶葉「なんだったんだ一体……」

乃々「あうぅ……自分の体じゃないとはいえ……プロデューサーさんに……見られちゃったんですけど……」カァァ

スポーン

?「……」

晶葉「む、オレンジ色の胴着を着た乃々か。ははは、驚くほど似合ってない格好だな」

P(うわ……あの格好、見覚えありすぎるわ。つーか漫画持ってる)

乃々(も、もりくぼも……日曜日の朝のアニメで見たんですけど……)

P(間違いなく、亀○流の胴着だ)

乃々(よ、よく見ると……○の中に森って書いてあるんですけど……森仙流……?)


?「オ、オッス……オラ、練り久保……ど、どうも……いっちょ自己紹介でもしてみます……」ペコリ


練り久保「えっと……しゅ、趣味は色々練ったり捏ねたりすることなんですけど……」

練り久保「うどん生地とかパン生地とか……こねこねするのが好きなんです……」

P(見た目に反して家庭的な趣味だな)

練り久保「あ、あと……作戦とか練ったり、駄々捏ねたりするのも好き……」

P(そうでもなかった)

練り久保「森仙人様のところで、森仙流の技を学んでました……」

P「あれか? ぱふぱふを要求されたりしたのか?」

練り久保「いえ……森仙人様は……ばぶばぶが好きで……修行のあとによく求められました……」モジモジ

P(ばぶばぶ……興味深いな)

練り久保「えっと、じゃあ自己紹介はこれくらいにして……」

練り久保「あ、あの……いきなりでとても失礼だと思うんですけど……」

練り久保「その一身上の都合で……非常に言いにくいんですけど……」

P「……一体なんだ?」


練り久保「――今から、ここを破壊しつくすんですけど」ギロリ

晶乃P「……!?」

練り久保「ハァァァァ……!」シュインシュインシュイン

晶葉「な、何だ一体……か、髪が金色に……!?」

練り久保「世界中の森久保よ……オラに力を貸して欲しいんですけど……!」バッ

ゴゴゴゴゴ

練り久保「ふ、ふふふ……集まってきたんですけど……森久保力が……森久保玉がどんどん大きく……」

ゴゴゴゴゴ

P「練り久保の頭上にエネルギーの塊が……!」

晶葉「森久保力だと? そんなわけの分からない力でここを破壊する? ふん、この研究室の強度は核シェルター並みだ。やれるものならやってみるがいいさ」ウデグミ

?「ところがギッチョンなのでしてー」ヌッ

P「芳乃か?」

P(コタツから首だけ出す芳乃は可愛いなぁ)

芳乃「悪い気の流れを感じたので、来てみればまさかこのようなことになっていようとはー」モゾモゾ

芳乃「よいしょ……んしょ……」モゾモゾ

芳乃「むぅ……で、出られないのでしてー」ジタバタ

芳乃「……そなたー」

P「はいはい」グッストン

芳乃「感謝するのでしてー」ペコリ

芳乃「では改めまして……このままだと、この研究室は一片の欠片も残さず消滅することになるのでしてー」

晶葉「なに? どういうことだ?」

芳乃「周りを見てみるのでしてー」

P「え?」キョロキョロ

蟻久保「うぅ……急に力が抜けていくんですけど……は、働けない……」

ゴリ久保「ウホ……ウホホ……ウッウー……ウッウワー……」

だり久保「……か、体がだるくて力が出ない……元からだけど……」

地理☆久保「力が入らない……入らない……はえらない……はえられお……シエラレオネ! ココ!」

デリ久保「くっ……お米が炊けたのに、おにぎりを握る力が……」

蹴久保「……っ……っ」ゲシ ゲシ 


P「うわ……何か全体的にぐったりしてる……」

乃々「あうぅ……も、もりくぼも何だか、フラフラするんですけど……」

芳乃「どうやらあの金髪の乃々が、森久保乃々達から力を強制的に徴収しているようでしてー」

芳乃「わたくしが感じるに、恐ろしいほどの力があの光に凝縮されているようでー」

芳乃「あの光はよくない光でして、恐らく彼女の言う通り、この部屋くらいは簡単に消し飛んでしまうかとー」

P「マジでか」

芳乃「でしてー。下手をすればこの部屋だけでなく、事務所全体も……更に一番最寄のミスタード〇ナツすら木っ端微塵にー」

P「そりゃマズイな。法子が死ぬ」

晶葉「隣にはみちるがお気に入りのパン屋もあったな。つまりみちるも死ぬ」

乃々「そ、それどころじゃないんですけど……そ、そもそも芳乃さんの言うことって信じられるんですか……?」

P「ああ、芳乃だからな」

晶葉「そうだな。芳乃が言うならどれだけ荒唐無稽な事だろうと必ず起こるはずだ」

芳乃「心地よい信頼でしてー」テレテレ

乃々「ひぇぇ……ど、どうしましょう……こ、このままじゃもりくぼたち、死んじゃうんですけど……」ワタワタ

P「そうだな……とりあえず仕事の引継ぎ準備でもするか」

晶葉「私は今までの研究成果をネットにアップロードしておこう」カタカタ

乃々「ふ、二人とも潔すぎだと思うんですけど……!?」

晶葉「科学に魂を売った時点で、いつか何らかの実験で死ぬだろうと覚悟していたからな。それが今日だっただけだ」

P「俺も。プロデューサーになるって決めた時点で、まともな死に方できると思ってなかったし」

晶葉P「はははっ」アクシュ

乃々「ひ、ひぇぇ……」ガタガタ

乃々「い、嫌なんですけど……! も、もりくぼはまだまだ死にたくないんですけど……!」

乃々「も、森久保には叶えたい夢があるんです……」

乃々「アイドルして貰ったお金がそこそこ貯まったらこっそり引退して、普通の女の子になって……そ、それから何だかんだでプ……運命の人と再会して……ち、小さな家を買ってプロ……旦那様と男の子と女の子の4人で慎ましく平凡に暮らす夢があるんですけど……!」

乃々「テレビに映ってる皆さんを見てたら旦那様が『やっぱりまだアイドルに未練があったんじゃないか?』って聞いてきて、もりくぼは『……も、もりくぼ……今はあなただけのアイドルで十分なんですけど……』って言い返して『おいおい。もう……もりくぼじゃないだろ?』『あうぅ……いつもの癖で……』『ほら、俺だけのアイドル。こっちにこいで』『も、もう少しで子供達が帰ってくるんですけど……』『大丈夫だ。「お○がいシンデレラ」くらいの時間で済むから、な?』『そ、それ絶対嘘なんですけど……「約束」くらい長いに決まってるんですけど……』それから……」ポワポワ

芳乃「しっかりするのでしてー、現実逃避するのはまだまだ早いのでしてー」テシテシ

乃々「は……!?」

乃々「あうぅ……よ、芳乃さん……た、助けて欲しいんですけど……」

芳乃「そのつもりで来たのでしてー。そなた達と会い、幾多の縁を結んだこの場を壊されるのは困るゆえー」ニコリ

練り久保「何をしようと無駄なんですけど……この森久保玉はもう、練り久保にすら止めることはできないんですけど……」

練り久保「練り久保をどうにかしようとも、勝手に発動するのがこの技……森仙流に伝わる禁断の奥義なんですけど……」

P「あんなこと言ってるけど芳乃」

芳乃「大丈夫でしてー。そなたのことはわたくしが守りますゆえ、後でしっかりとナデナデしてくだせー」ニコリ

P「ヨシノチャーン……」

芳乃「ではまず準備を……これはいいところに炊飯ジャーがありましてー」スッ

芳乃「マイ茶碗に装うのでしてー」ペタペタ

晶葉(炊きたての米を一体何に使う気だ?)

芳乃「よいしょー」ペタリ

乃々(練り久保さんの目の前に正座を……)

芳乃「ではいたきますー」パン

芳乃「はむはむ」モグモグ

晶葉「米を……食べてる……!?」

乃々「あうぅ……もりくぼの人生、ここで終わりなんですね……」

P「いや諦めるのはまだ早いぞ。芳乃のやることだ。必ず何か意味がある」

芳乃「はむはむ、ほーほー」ヒョイ

芳乃「……はむ。これはなかなかー、しつこく、それでいてピリっとしてお米に合うのでしてー」

晶葉(なんだ……何も無い場所を箸で摘んで、それを口に運んでいる?)

芳乃「食が進むのでしてー」モクモク

P「……ん? 森久保玉が……どんどん小さくなってないか?」

晶葉「確かに。芳乃の箸が進むたびにどんどん……まさか、食べているのか? あのよくわからない森久保力を!?」

芳乃「でしてー。珍味よりですが中々の美味なのでしてー」モクモク

練り久保「あ、あれれ……う、うぅ……も、森久保玉が……」

シュゥゥゥ……ポン

P「消え……た」

芳乃「ごちそうさまでしてー」ケプッ

乃々「た、助かったんですけど……」ヘナヘナ

晶葉「ああ、間一髪だったな」フゥ

練り久保「そ、そんな……練り久保の極秘任務が……失敗……あわわ……」

P「さて練り久保とやら。どうしてこんなことをした! 言え!!」ユサユサ

練り久保「だ、だってだって……こうしないと……いぢめるからって……」

晶葉「なに? どういう意味だ?」

練り久保「で、ですから……ここを破壊しないと……練り久保のこと、いっぱいいぢめるって手紙が……」

P「は? 手紙? え……待て待て。家とかあんの? コピーなのに? つーかどこに住んで……えぇ?」

晶葉「待て助手。そこはいい。……今はいい」

晶葉「手紙の差出人は?」

練り久保「差出人は……あ、あれ? 書いてあったんですけど、お、覚えてない……あれあれ?」

晶葉「……」

P「晶葉? どうしたんだ?」

晶葉「いや……すまない。ちょっと考えることがあってな。だがデータが足りない。あと少しで何かが……」

P「……? まあ、いいか。とりあえず悪いことした子には罰を与えなければならない」

練り久保「ひっ……ご、ごめんなさいごめんなさい……!」

P「いや、ここを破壊しようとしたんだ。許さない。おい蟻久保ォ!」

蟻久保「お仕事ですか?」

P「ああ、この罪人を……調教べ、んんっ……時子様の部屋に連れて行ってくれ」

蟻久保「了解したんですけど……」ビシッ

練り久保「ひぇぇぇ……」ズルズル

芳乃「一件落着なのでしてー。そなたー」

P「あ、そうだった。ありがとうな芳乃」ナデナデ

芳乃「いえいえー、いつだってわたくしはそなたの味方なのでしてー」ナデラレ

芳乃「……むふー。堪能したのでしてー。では劇の練習中ですので、名残惜しいですがこれでー」フリフリ

乃々「こ、このご恩は一生忘れないんですけど……」ペコリ

P「しかし驚いたな……まさか、乃々のコピーの癖に、あんな大それたことをするなんて……もぐもぐ」

晶葉「ああ、私も予想していなかった。森久保乃々に『暴力』や『破壊』といったものは無縁だと思っていたんだが……まさかあんな事を仕出かす固体が現れるとは……むぐむぐ」

乃々「もりくぼ暴力とか物を壊したりするの……むーりぃ……なんですけど……はむはむ」

晶葉(さっきの練り久保は森久保乃々の中に極僅かに存在する『悪』の遺伝子が発現したのか……それとも……)ウムム

ペタペタ

デリ久保「あの……おにぎりのおかわり……いりますか……?」

P「ああ、貰うよ。しかしこのおにぎり美味いな。それに巻かれたこの海苔が滅茶苦茶合うわ」モグモグ

P「この海苔はどうしたんだ?」

デリ久保「えっと、その海苔は……この人がさっきから……」

海苔久保「あ、どうも海苔久保です。……海苔久保の海苔……美味しいですか……?」ペリペリ

P(何かデリ久保の隣に眉がめっちゃ太い乃々がいる……)

P(で、その眉を剥がしておにぎりに巻いてるんですけど……)

P「……まあ、美味いからいいか」

海苔久保「い、いくらでも再生するので……好きなだけ食べていいんですけど……」

海苔久保「あ、よかったら……海苔の佃煮も……どうぞ……」ニュー

P「右手から海苔の佃煮を産み出している……だと……」

P「ダ・カーポの主人公みたいな特技だな」

バン!

奈緒「朝倉○一は手から海苔なんて出せないから!」

P「うわ、びっくりした。奈緒、お前大きな声でツッコミ入れながら入ってくるなよ……」

奈緒「い、いや部屋の前を歩いてたら、Pさんの意味不明な呟きが聞こえてきたから……つい……」ポリポリ

奈緒「って何だこの部屋!? の、乃々が……いっぱい……!?」

奈緒「七人の菜々さんってレベルじゃないぞ!?」

スポーン

?「……」ズゥゥゥゥウン

?「……」ミシミシミシ

?「……」メキメキメキ

パラパラパラ……

晶葉「こ、これはまた……想定外の物が……」

乃々「ひぇぇ……凄い……10mくらいあるんですけど……」

P「デカァァァァァいッ! 説明不要!! 」

晶葉「いや、いるだろう。まあアレだな」

?「……」ゴゴゴゴゴ

晶葉「ロボだな。どこからどう見ても。乃々をメカメカしくしたロボ……いや、まさかこんな物まで出てくるとは……本当に想定外だ」

P「バイクに続いて、無機物第二弾か……森久保の遺伝子とは一体……」

?「……」シーン

晶葉「大きすぎて部屋の天井に頭が当たっているが……ふむ、全く動く気配が見られないな」

P「調べてみようぜ!」ワクワク

乃々「な、なんでそんなに楽しそうなんですか?」ビクビク

P「いやお前、だってロボだぞ? 男の子なら誰だって憧れるだろ?」

P「今だから言うけど、俺の小学生の頃の夢『機動兵器のパイロット』だからな。勿論試作型の」

晶葉「かく言う私も、かなり興奮している。ふふふ……まさか巨大ロボを目にする日が来るとは……」ニヤニヤ

ツカツカツカ

晶葉「……ふむ」サワサワ

晶葉「ほうほう」コンコン

P「どうだ晶葉?」

晶葉「軽く調べてみたが、やはり動く様子はないな。気になるのは……このロボもまた、未知の金属で構成されているようだ」

晶葉「そして……どうも中に空洞がある。人が1人乗れるくらいのな」

P「それは、つまり……」

晶葉「ああ。人が乗ることを前提としたロボというわけだ」ニヤリ

P「うおおおおおお! クロスファァァァイトッ!!」

P「俺を! 俺を乗せてくれぇぇぇぇぇ!」ガンガン

晶葉「……ふむ、やはり動かないな」

P「乗りたいよおおお! 乗らせてよおおおお!」ガンガン

P「初陣で3機も撃墜して、連邦の白いホニャララとか言われてぇぇぇぇ!」ジタバタ

乃々「うわぁ……プロデューサーさんが子供みたいに駄々を……正直ひくんですけど……」

乃々「だ、大体ロボットなんてどこがいいんですか? もりくぼには……全然分からないんですけど……」ツカツカ

乃々「こんなの……ただの大きい機械だと思うんですけど……」スッ

?「……!」キュピイイイン

乃々「へ?」

晶葉「なんだ? 急に動き始めたぞ……!?」

?「――森久保因子保持者を観測」

?「――搭乗シークエンスに移ります」プシュウゥゥゥ

P「コクピットが……開いた!? 乃々、お前何を!?」

乃々「あ、あわわ……も、もりくぼ何もしてないんですけど……」

乃々「……ひぃぃ!? な、何ですかこれ……も、もりくぼの右手に……変な模様が……」

晶葉「これは……アルファベットの『M』か?」

晶葉「そうか。そういうことか……」

晶葉「何故私はPに何の反応もしなかったのか分かったぞ。コクピット内のモニターを見るんだ」

P「え? こ、これは……モニターにも乃々と同じ『M』の文字が……」

晶葉「どうやらこのロボは森久保乃々専用のロボらしい。恐らくはこのモニターに乃々の右手を押し付けると起動するんだろう」

P「つまり俺は乗れないってことか……チクショウ!」

P「だが……まあいい。それなら仕方がない。さあ乃々! 乗るんだ!」

P「そして見せてくれ! このロボが華麗に動く様を!」

晶葉「……まあ、私としても是非このロボが動いているところを見てみたいが……無理だろうな」

P「え?」

晶葉「肝心の本人がアレだ」スッ

乃々「あ、あわわ……何か急に動いたんですけど……大きい物が急に動くと、もりくぼ心臓がドキドキして……むーりぃ……」ガタガタ

晶葉「あっという間に机の下に隠れてしまった」

P「くっ……猫に小判ならぬ、乃々に機動兵器か……」

P「折角のロボットなのに、動くところが見られないなんて……生殺しもいいところだな」

P「しかしロボットの乃々か……ロボ久保か?」

晶葉「いや、メカ久保かもしれん」


奈緒「――バリ久保だな」


P「奈緒? え……名前とか書いてあったのか?」

奈緒「いや名前っていうか……どこからどう見てもバリってるじゃん」

P「……?」

晶葉「……?」

奈緒「い、いやいや! 見れば分かるだろ? 作画といい、ポーズといい……え!? マジでわかんないの!?」

P「すまん奈緒。正直、奈緒が何を言ってるかサッパリ分からん」

奈緒「……」

奈緒「……そっか。Pさん達には分からないか……この領域(レベル)の話は」ムスゥ

奈緒「アレだ。Pさんは今度の休み、あたしの部屋でロボットアニメの鑑賞会だからな!」

P「え、何で!?」

奈緒(それにしても……)

奈緒(このロボ。見た感じの雰囲気といい、微妙な貧弱さといい……明らかに他のメカが……)

スポーン

?「……あぅぅ」

晶葉「……何だ、今度の乃々は普通だな」ハァ

P「露骨にがっかりするなよ晶葉」ハァ

乃々「そういうプロデューサーさんも……目に見えてがっかりしてるんですけど……」

?「えぇ……何でビリ久保いきなりがっかりされてるか、分からないんですけど……」

ビリ久保「なんか期待に添えなくて……ご、ごめんなさい……」ペコリ

P「あっ、いやこっちこそすまん。お前が悪いわけじゃないんだ。ただロボの後だから……」ツカツカ

P「で、お前は一体どんな乃々で――」スッ

ビリ久保「あっ、ビリ久保に触ると……!」


バチッ

P「いたっ!」

ビリ久保「ビリっと来ちゃうんですけど……」

ビリ久保「ごめんなさい……」

晶葉「ほう……帯電体質か」

ビリ久保「この季節は特にビリビリが抑えられなくて……」

P「お、凄いな。下敷き頭の上に翳すと昆布みたいになるぞ」ペラペラ

ビリ久保「あ、あうぅ……や、やめてほしいんですけど……やーめーてー……」イヤイヤ

晶葉「まあ、とりあえずキミはこの辺りの機械には絶対触れないでくれ。なにせ精密機械が多いからな」

晶葉「絶対にな! いいか? フリじゃないぞ? 絶対に触るな。触って機械をオシャカにしたら、キミを幽閉して永遠にこの研究室の動力源にしてやる」

ビリ久保「は、はい……!」ブンブン

奈緒「……」

奈緒「あ、あのさ……このコイン持ってくれない?」

ビリ久保「へ?」

奈緒「コインをさ、こう指で弾いて……」

P「何やってるんだ奈緒?」

奈緒「へ!? い、いや何でもないよ!? リアルレールガン見てみたいとか思ってねえよ!?」

ブルルルル

奈緒「ん? 凛からのLINEか」

奈緒「Pさん、あたしそろそろ行くよ。凛たちに呼ばれてるから」

P「そうか。奈緒(みたいなツッコミ役)がいなくなると、寂しいな」

奈緒「ば、ばかっ! そ、そういうこと言うなよ……もう」カァァ

奈緒「じゃあもう行くから! ……それにしても凛からの『お宝ゲット。今、加蓮と卯月、未央と一緒にお楽しみ中』ってどういう意味だろ」

バタン

P「さて次はどんな乃々が出てくるのやら」

P「……!」

P「俺凄いことに気づいたんだけど。あのさ、もしかして乃々が出てくる順番って50音順なんじゃないか!?」

晶葉「え? 今気づいたのか?」

P「え? う、うん。ていうか晶葉は気づいてたのか?」

晶葉「まあ、そうだな。いやPもてっきり気づいていたとばかり」

P「乃々は?」

乃々「結構前に……気づいてたんですけど……」

P「……そうか。気づいてなかったのは俺だけか」

P「次は『ふ』だな。よーし予想しちゃうぞ俺!」

乃々(相変わらずプロデューサーさんは切り替えが早いんですけど……でも、そういうところ、もりくぼ的には結構いい感じ……)

P「うーん、フリフリの服を着たフリ久保とか?」

晶葉「智香のように応援するのが特技なフリ久保かもしれんな。……こう、ポンポンをフリフリと」フリフリ

楓(ふり……不倫……センテンススプリング乃々……ふふっ)

P「脳内でネタ潰しやんの止めてくれません?」

乃々「自由を愛するフリー久保、だったり……」

晶葉「さて、答え合わせだ」

スポーン


?「……」ベチャッ

?「……っ……っ」ピッチピッチ

?「……っ……っ」パクパク

?「……」ピクピク

?「……」グッタリ

晶葉「……なるほど。そう来たか」

P「魚だな。どこからどう見ても」


釣久保「……銀白色の腹部、黄色の縦帯……間違いなくイカ……じゃなくてブリなんですけど……」スッ


P「なん……だと……」

乃々「とうとう魚類のもりくぼまで……」

乃々「もう何が何だか分からないんですけど……」

鰤久保「……」パク パク

乃々「……死んだような目が……もりくぼそっくりですね……ふふふ……」ハイライトオフ

晶葉「とりあえず虫の息な彼女……彼女か? とにかく水槽に運ぼう」

P「よっこいしょ……と。うわ臭っ。生臭っ!」カカエアゲ

P(しかしこう、ブリを抱えていると……あの名作ゲームの某CGを思い出すな)

鰤久保「……」スイー

P「おお元気に泳いでるな。しかしこんなデカイ水槽、どうしてここにあるんだ?」

晶葉「ああ。水中活動用に作ったウサちゃんロボの活動試験にな」

晶葉「あとはまあ……私が泳ぎの練習に使ったり。内緒だぞ?」

鰤久保「……」スイースイー

鰤久保「……」パクパク

P「しかし流石に魚相手だと何言ってるか分からんな。……乃々、分かるか?」

乃々「あの、取り合えずもりくぼにふるの止めてほしいんですけど……」

乃々「分かるはずない……と言いたいところなんですけど」

乃々「このもりくぼそっくりな目を見ていたら……何を言いたいか伝わってくる気がするんですけど……」

乃々「鰤久保は……このままこの水槽の中でひっそり生を終えたいんですけど……」

乃々「誰にも邪魔されず干渉されず1人で……貝のように生きて行きたい……そう言ってる気がします」

P「魚が貝て」

鰤久保「……」パクパク パクパクパク

乃々「ふふふ……鰤久保さんも、その通りって言ってるんですけど……」

晶葉「む、そういえば」ゴソゴソ

晶葉「文香が残していったモールス信号をまとめたノートに……あったぞ! 魚が発するモールス信号のページだ!」

P「でかした!」

晶葉「では早速――」

晶葉「んんっ」

晶葉「『あのぉ……鰤久保を助けてくれぇ……ありがとうございますぅ」』

晶葉「『あの……すっごく逞しい腕に抱かれてぇ……鰤久保……あなたのことを……えへへぇ』」

晶葉「『好きになっちゃったんですけどぉ……は、恥ずかしいよぉ……! もぉ……てれてれ』」

P「……」

乃々「……」

晶葉「おいやめろ。そんな目で私を見るな。こう言っているんだ! この舌っ足らずで媚びるような口調で喋っているんだ!」

P「す、すまん。そうだったな」

乃々「あうぅ……凄いぶりっ子なんですけど……流石のもりくぼもイラくぼなんですけど……」

晶葉「『あのぉ……もし、よかったらぁ……生殖を前提にぃ……お付き合いしください! キャッ、言っちゃったぁ! はぅぅ……顔が熱いんですけどぉ……恥ずかしくて照り焼きになっちゃう……!』」

鰤久保「……っ///」パクパク

P「こっち見んな」


楓(ぶりっ子の鰤……ふふっ)


スポーン

?「……」パタパタパタ


P「またデカイのが……」

晶葉「ヘリか。洗濯機からヘリが押し出される光景は中々にシュールだな」

乃々「もう、もりくぼの要素なんてどこにも……あ、よく見たら森久保の顔が描かれてるんですけど……」


亜季(いわゆるノーズアートでありますな!)

亜季(ちなみにあのヘリの種類は攻撃ヘリコプター『AH-64 アパッチ』であります。名前の由来はアメリカの先住民に由来してるであります)

亜季(映画でいえば、ニコラス・ケイジ主演の『アパッチ』が有名でありますな)

亜季(戦闘ヘリを見ていると脳内にワルキューレの騎行が流れるのは、あるあるネタでありますな!)

亜季(以上! 説明終了!)


P(ありがとう亜季)

P(何で亜季が当たり前のようにテレパシー使ってるか分からんけど……まあ、亜季はサバゲーやってるからな)


ヘリ久保「……」パタパタパタ

ヘリ久保「……」ズゥン

晶葉「どうやら今度は人が乗っているらしい。誰か降りてくるぞ」


斬久保「……あ、マズイですねぇ。退避退避……」コソコソ

塗久保「か、隠れないと……」コソコソ


P(何だ? 一部の森久保が隠れ始めたぞ)

ガチャ

?「……こ、ここは?」

P「おっ、警察官の乃々か。ポリ久保に間違いないな。……しかしすげえミニスカ」

ポリ久保「……!? あなた達は……。ここは……まさか……信じられないんですけど……」

晶葉(何だ? Pと私の顔を見て、随分と驚いた顔をしているな)

ポリ久保「……んんっ、失礼。えっと……私の名前はポリ久保なんですけど……」

ポリ久保「現在、護送中に脱走した凶悪犯を追っている途中なんですけど……」

乃々「ひっ……きょ、凶悪犯ですか……?」

ポリ久保「ええ、この顔写真を見てください」

ポリ久保「こちらの犯人の名前は『斬久保乃々』。夜中におもちゃの刀を持って徘徊して、たくさんの住人をびっくりさせた極悪人です」

ポリ久保「こっちは『塗久保乃々』。は、裸の……裸の上に服の絵を描いて徘徊し、たくさんの住民を恥ずかしがらせたハレンチ極悪人です」

ポリ久保「他に借りた物を全然返さない『借久保乃々』、人の脛を蹴って痛がらせる『蹴久保乃々』、人が大切な物を盗って行っちゃう『スリ久保乃々』、全然働かない『だり久保乃々』……いずれも森久保界を恐怖のどん底に陥れたA級犯罪者達なんですけど……」

P「極……悪……?」

晶葉「あー……まあ見たが、殆どが外に出て行ったぞ」

ポリ久保「な、なんですって……!? は、早く追いかけないと……」

ポリ久保「あんな人たちが野に放たれたら、この世界は滅びてしまうんですけど……!」

P「多分大丈夫だろ。元が乃々だし」

ポリ久保「……そ、そうだ。この人に見覚えは……?」

P(白衣を着た乃々?)

P「いや、見てないな」

ポリ久保「そうですか……この人は森久保界で指名手配中のS級犯罪者なんですけど……。見つけたら、ポリ久保に連絡を是非……」

ポリ久保「あ……これ、ポリ久保の連絡先なんですけど……。えっと……べ、別に特に用がなくても……かけてもいいんですけど……」モジモジ

ポリ久保「じゃ、じゃあこれで……!」タタッ

P「ポリ久保のアドレスを……登録っと」ポチポチ

乃々「……プロデューサーさん、随分と嬉しそうなんですけど」ジトー

P「そりゃ可愛い女の子に連絡先教えられたら嬉しいだろ」

乃々「……///」

晶葉「何故キミが照れる」

P「さて次からマ行か。……マリ久保、世界で最も有名な配管工の格好した髭が生えた乃々に1票」

晶葉「私は鞠だと予想する。もしくはマリモか」

乃々「せ、聖母(マリア)様みたいに神々しいもりくぼ……とか?」

スポーン

P「さて正解は……」


?「……」フワァ

?「……」スタ


乃々「ウエディングドレスを……着てるんですけど……」

タッタッタ

晶葉「ドレスの端を摘み上げて、走ってきたぞ」

P「アニマス8話で見た」

?「はぁ……ふぅ……」ゼーゼー

?「あ、あのあの……わ、私……マリ久保っていうんですけど……」

マリ久保「あ、あなたのお名前は……?」

P「俺? 俺はPだけど」

マリ久保「Pさん……Pさん……いい名前なんですけど……えへへ」

マリ久保「あの……Pさん……いきなりですけど、マリ久保と……け、結婚してほしいんですけど……!///」

乃々「!?」

晶葉「なるほど。結婚(マリッジ)か。だからウエディングドレスを……ふむ」

乃々「れ、冷静に考察してる場合じゃないんですけど……! プロデューサーさんがいきなりプロポーズされちゃったんですけど……!」

乃々「あ、あのあの! ……会ったばっかりでいきなり結婚を申し込むのはちょっとやめた方がいいと……もりくぼ思うんですけど……」

マリ久保「ううん。これはマリ久保の体質なんです……初めて会った男の人にプロポーズを申し込まなきゃならない……そういう運命なんですけど……」

P「雛の刷り込みみたいだな」

マリ久保「で、でも……よかったんですけど……優しそうだし、カッコイイし……初めて見た男の人がPさんで……よかった……」ポッ

乃々「か、考え直してください……見た目はそれなりにカッコイイし……や、優しそうに見えるし、実際優しいときは優しいですけど、基本的にこの人、もりくぼの困った顔を見るのが趣味な変態さんなんですよ……!」

P「変態て。まあ趣味に関しては否定しないけども」

マリ久保「えへへ……マリ久保にも遂に運命の相手が……」

マリ久保「あのあの……子供は何人くらいほしいですか……マリ久保は女の子と男の子1人ずつで、あとは子犬を1匹飼って小さくて可愛らしいお家に住みたいんですけど……」ポワポワ

乃々「そ、それもりくぼの! もりくぼの密かな夢なんですけど……!」

乃々「と、とにかく、プロデューサーさん……早く断らないと大変なことになるんですけど……!」グイグイ

P「……結婚……人妻……人妻系アイドル……ウチにはまだいないタイプのアイドル……」ブツブツ

晶葉「これは駄目だな。Pが『アイドルの方向性を検討するモード』に入ってしまった。こうなったら、何を言おうが無駄だ」

マリ久保「じゃ、じゃあ……マリ久保はPさんがプロポーズの答えを出してくれるまで、部屋の隅でジッとしてるんですけど……」

スタスタスタ
ストン

マリ久保「えへへ……」ジー

晶葉「部屋の隅からウエディングドレス姿の少女が熱っぽい視線を向けてくる……滅多にない光景だな」

乃々「あうぅ……だ、大丈夫……プロデューサーさんは絶対に断るんですけど……」

乃々「断ってくれないと……もりくぼ……いーやぁー」ナミダメ

スポーン

P「ん? 何も出てこないな」

晶葉「そうだな。機械の中に残っているのか? どれどれ……」

ガチャ
シーン

晶葉「中にもいないな」

P「どこに行ったんだ? いや、それとも機械の故障で生まれなかったとか」

晶葉「5秒待て」カタカタカタ

晶葉「……妙だな。モニターを確認してみたが、やはり新たな森久保コピーは生まれている」

乃々「で、でも……どこにもいないんですけど……」キョロキョロ
晶葉「ああ。これは一体……」

P「うーん、謎だ」

バーン

都「謎と聞いて!」ドドーン

都「アイドル探偵! 安斎都! 参上! ババーン!」

P「おお都か」

都「安心して下さいPさん! 私が来た!」

都「うーん、匂いますよ……謎の匂いがプンプン……」

ワイワイ
   ガヤガヤ
 ウホウホ

都「何か乃々ちゃんがわんさかいるーーー!?」

都「こ、これは事件です! ずばり犯人はこの中にいる!」

晶葉「私だ」

都「解☆決!」ヨコピース!

P「うん都。この増殖した乃々については別に構わないんだ。実はな――」

カクカクシカジカ モリモリクボクボ

都「な、なるほど……現れたはずのコピーが影も形もない、と」

都「任せてください! レッスンが始まるまでの……33分間で見事この謎を解き明かして見せましょう!」

都「ではまずは現場検証です! この探偵七つ道具――虫眼鏡を取り出して、と」

都「現場に残ったわずかな痕跡を……」ジー

乃々「あ、あのあんまりかがむと、下着が……」

P「見えそうで見えないな」

都「ええ、そうです。謎というのはは見えそうで見えないもの。ですがそれを見つけるのが探偵!」

P「ほう……あ、マジで見えそう」

乃々「エッチなのはいけないと思うんですけど……」バッ

晶葉「ああ。私の研究室でハレンチな真似は困る」バッ

P「くっ、2人がかりなんて卑怯だぞ……!」

都「ほんの少し……小さな痕跡を……髪の毛1本でも……」ジー

都「……あれ?」

都「……」ジー

都「あ、あの皆さん」クルリ

P「オオオオオオ!」サッサッ

乃々「は、速い……!」バッバッ

晶葉「だ、だがこちらは2人だ! 2人に勝てるわけないだろう!」バッバッ

P「くっ、こうなったらエナンザムを……!」


都「……何をしてるんですか? カバディですか?」

都「そんなことより! あのー……見つけちゃました」

P「なに? 消えたコピーの痕跡をか?」

都「いえ、痕跡というか……そのものです」

都「ここ。ここ虫眼鏡で覗いてみてください」

P「ん?」ジー

P「何か……小さな物が動いてる? 小さい……虫か? いや、違うな。虫はもっとカサカサって動くもんな」ジー

ココナンデスケドー
ココニイルンデスケドー

P「……あ、これ乃々か。滅茶苦茶小さい乃々がいる」

晶葉「なに? どれどれ……ほ、本当だ」

乃々「お米より小さいんですけど……」

ミリクボデスケドー
ハジメマシテナンデスケドー

P「何か○ップとデールみたいな小さな声が……ミリ久保か」

晶葉「とりあえず確保して、分かりやすい場所に居てもらうか。このままだといずれ踏み潰してしまう」

P「そうだな……って、おい乃々。あんまり顔近づけるな。か、髪の毛が鼻にかかって……」

P「へ、へ――ぶりっつぇん!」クシュン

キャー!!
ハリケーンナンデスケドー!!!

P「あっ」

都「……」

晶葉「……」

乃々「……」

P「コ、コンタクトレンズを探すときの要領だ。大丈夫、必ず見つかる」

P「だ、大丈夫だって! 砂漠に落ちたゴマを探すより遥かに簡単だから!」

P「だから……その……」

P「すまぬ……本当に……すまぬ……」



P「いやぁ、見つかってよかったな!」

乃々「大変でした……」グッタリ

晶葉「まさか事務所の外まで飛ばされるとは……」

P「ミリ久保を探す為に晶葉が発明したミニマムライトで俺たちも小さくなって……」

乃々「大冒険でした……」

晶葉「私は危うくみちるに食べられるところだった」

P「俺なんて雫の胸の間に落ちてさ……南極のクレバスに落ちた人の気持ちが少しだけわかったよ……」

乃々「もりくぼはなんか、アリさんとお友達になったんですけど……」


ゴリ久保「ウホ? ウホホ?」ボリボリ


晶葉「とりあえずミリ久保はゴリ久保の体に住み着くことにしたようだな」

P「ノミかよ」

あ、ここから新しい部分になります。


スポーン

?「……」

P「お、次の森久保だ。俺が挨拶してこよう」

P「やあ! あなたは何の森久保なの?」


?「……」

?「あなたに名乗るのとか、むーりぃー」

?「ていうか、顔見られるのもむーりぃー」

?「同じ空気吸うのもむーりぃー」

?「同じ世界で生きているのもむーりぃー」

?「むりむーりぃー……無理無理無理……無理だから嫌なんです、無理無理……」


P「……」

P「何だいつもの森久保か」

乃々「わ、わたしあんなに無理無理言ってないんですけど」

晶葉「なるほど無理久保か。言動といい、見た目といい、オリジナルの森久保乃々とそう変わらないな」

P「いや、待てよ。よく見ると……乃々の代名詞である困り眉の角度が……オリジナルより3度ほど違う。より困ってる感じがする!」

晶葉「ほう……見ろ助手。これは私が発明した何でも計れる測定器『ハッカレール』だ」

晶葉「この装置で森久保乃々から常に放たれている特殊な力――無理力(略して無力)を計ってみたんだが……何と、オリジナルより250mkbも高い!」

P「すげえ! あと単位が乳首の略っぽい!」




無理久保「何か勝手に計られるのとかむーりぃー」

無理久保「何かもう、無理って言うのもむーりぃー」

無理久保「無理無理無理……MURYYYYYYYYYYYY!!!!」


晶葉「なっ!? 270……280……300mkbだとッ!?」

晶葉「見ろ助手! 324! 324まで上昇したぞ!」

P「おお!」

晶葉「まあ、だから何だって話だが」

P「そうだな。まあ騒ぐほどでもないな」


晶葉「次はメリ久保か」

P「メリケンサックを装備してるか、それとも常に体の一部が壁にめり込んでるか……」

乃々「ど、どっちも無理なんですけど……もりくぼ的にはもこもこふわふわしたメリー(羊)久保とか……いいと思います……」


シャンシャンシャン シャンシャンシャン


P「装置の中からどこかで聞いた音が……」

晶葉「この音は……12月になったら街のあちらこちらで聞こえてくるあの……鈴の音……!」

乃々「もりくぼ的にあの時期はあんまり外を出歩きたくないんですけど……カップルがイチャイチャしてて、見てるだけで恥ずかしくなります……」


スポーン


?「しゃんしゃんしゃん、しゃ、しゃんしゃんしゃん……ふぅ」

?「め、めり~……くりすます……なんですけど」ノソノソ

メリ久保「よ、よい子のみんなにメリ久保サンタがプレゼントを届けに来たんですけどー」

P「今夏だぞ」

メリ久保「メ、メリ久保、こう見えても慌てんぼうなので……えへへ」

メリ久保「どうも……は、初めまして、メリ久保です」

乃々「あわわ……ミ、ミニスカート過ぎるんですけど……!」

晶葉「ああ、かなりミニだな。そして付髭。……どうしたいんだ?」

メリ久保「まあまあ、プレゼントどうぞ」スッ

P「え? いいのか? 俺もう大人なんだけど」

メリ久保「森久保界では大人も子供もおねーさんも、みんなプレゼントがもらえるんです。あ、どうぞ」スッ

晶葉「む、どうも。こ、この年になってクリスマスプレゼントをもらうのも何だか恥ずかしいな」

P「どれどれ? 本か。タイトルは……『飴玉みたいで、でもずっと溶けない私の甘い心』」

P「ほうほう……ポエム集だなこれ」

メリ久保「え、えへへ……恥ずかしながら自作です」

乃々「ひいいい!? 何て物を配ってるんですか……!? 遠まわしな自殺行為ですか……!?」ガクガク

メリ久保「プ、プレゼントは全部自前なので……お金がかからない物になるとこれが一番……えへへ」

乃々「はわわ……し、しかも内容も全部もりくぼが考えそうなポエムばっかり……!」ペラペラ

P「流石コピーだな」

乃々「こ、こんな物を全世界に……あわわ……あわわわ……むーりぃー」バタン

晶葉「気絶したぞ」

P「自分のゴリラを見ても大丈夫だったのに……」

メリ久保「この事務所には……いっぱい良い子がいるみたいですね……」

メリ久保「今からクリスマスが楽しみなんですけど……ふふふ……」



?「そういうわけには行きませんよ~」

メリ久保「だ、誰ですか!?」

シュイーン

イヴ「ここでのサンタリング(サンタ行為)はダメで~す」

イヴ「この事務所は私の縄張りですから~。後から来たサンタさんには悪いですけど~」

ブリッツェン「ブモオオ!」

P「イヴ! あとブリッツェン!」

晶葉(今サラッと縄張りとか言わなかったか?)

メリ久保「うぅ……まさか他にサンタが居るなんて……」

イヴ「そういうわけで~お引き取り下さいね~、同じ事務所にサンタは2人もいらないですから~♪」

メリ久保「で、でもだからって、はいそうですかと退けないんですけど……!」

メリ久保「メリ久保はここでサンタをするって決めたんです! サンタの世界に早いもの勝ちなんてルールはありません!」

イヴ「むむっ、確かに……サンタの世界では2人のサンタが被ってしまった時、より優れたサンタがサンタをするという決まりですからね~」

イヴ「でもメリ久保さん? あなたにはサンタとして決定的に欠けている物があります~」

メリ久保「えっ」

イヴ「私にあって、あなたに無いもの。それはずばり――相棒です!」

ブリッツェン「ブモオオッ♪」

イヴ「相棒もいないあなたが私に勝てますか~?」

メリ久保「た、確かに……!」

メリ久保「あうぅ……な、何とかしないと……」キョロキョロ

メリ久保「あっ!」


ゴリ久保「ウホ?」

メリ久保「そ、そこの黒くて大きい人……ちょ、ちょっとこっちに……」

ゴリ久保「ウホホ」ノッシノッシ

メリ久保「あ、あの、かくかくしかじかで……メリ久保に力を貸してほしいんですけど」

ゴリ久保「ウホホ……」

ゴリ久保「ウホ!」ドン

メリ久保「あ、ありがとうございます!」



メリ久保「しょ、紹介します。私の相棒の……ゴリッツェンです!

ゴリッツェン「ウホオオオ!」

イヴ「ぐむむ……や、やりますねぇ。あっという間に相棒を見つけるとは……サンタとして大切な、臨機応変に対応する能力を備えてますね~」

メリ久保「ふっふっふ……」

イヴ「でもこの事務所は譲りませんよ~」

メリ久保「メリ久保だって退く気はないんですけど……!」


イヴ「だったらここはサンタとして対決して、より上手くサンタを出来た方が晴れてこの事務所のサンタとして君臨するということでいいですか~?」

P(君臨って言ったか今?)

メリ久保「の、望むところですっ!」

イヴ「じゃあ、えっと~……私がこの家、桃華ちゃんの家に行って、桃華ちゃんの枕元にプレゼントを置いてくるので~」

メリ久保「メリ久保がこっち、村上巴ちゃんの家に行けばいいんですね」

イブ「はい~。どっちが早くそして正確にサンタをこなせるか……勝負ですっ!」グッ

メリ久保「ま、負けないんですけど……!」

イブ久保「じゃあ早速行きますよ~。ブリッツェン!」

ブリッツェン「ブモオオオン!」パカラパカラッ

メリ久保「こっちも行きますよゴリッツェン!」

ゴリッツェン「ウホオオン!!!」ノッシノッシ


シュイーン

P「……」

晶葉「……」

P「今年のクリスマスにサンタは来ないかもな」

晶葉「そうなる可能性が高いな」



P「さて、次は……もり久保か。晶葉はどう思う?」

晶葉「無人島生活が得意そうな銛久保はどうだ?」

P「『とったんですけどー』が口癖のか。俺的にはボンキュッボンな盛久保とかアリだと思う」

乃々「……」ペタペタ

乃々「ま、まだ成長期ですし……これからですし……」

P(あと公園大好きな守久保とか……守護い面白そう……)

晶葉「さて、来るぞ」

シーン

P「何も飛び出てこないな。ちょっと見て来るわ」

P「どれどれ……」

ガチャ

P「……何だこれ」

晶葉「どうした助手。何が入ってた?」

P「た、種ぇ……」

晶葉「は?」

P「いや、ほら。何かの種が入ってた」スッ

晶葉「確かに、何らかの植物の種だな。ふむ」ジロジロ

晶葉「特にこれといって変わったところはないが……」

晶葉「とりあえず埋めてみるか」

晶葉「確か植木鉢がここに……」ゴソゴソ

晶葉「よし、あったぞ。助手、その種をここに植えるんだ」

P「植え植え」ペタペタ

晶葉「乃々は水を」

乃々「よ、よいしょっと……」ジャー

晶葉「……」

P「……」

乃々「……」

P「何も起こらないな。つーか何の種か分からないけど、そんなに早く芽が出たりしないんじゃないか?」

晶葉「普通はそうだが、あの機械から現れた以上、何か特別な種のはずだ」

ニョキ

乃々「……! な、何か出てきたんですけど……!」

ニョキニョキ

P「うわ、マジでもう芽が出た。つーか凄い勢いで育ってる。……ト〇ロみたい」

ニョキニョキ
ニョキニョキニョキ
ニョキニョキニョキニョキ

P「あ、あっという間に……」

晶葉「木が生えたな」


?「……」


乃々「き、木の幹にもりくぼの顔が……」

P「アレだな。小学校の演劇とかでよくある木の役みたいだな」


?「……」


P「おーい。もり久保……でいいのか?」


?「……」


晶葉「喋らないな。真顔で宙を見つめているから、何だ、その……かなり怖いな」

P「予想してたのと全然違ったな。これ、本当にもり久保なのか? 木じゃん。木久保じゃん」

木久保「……」ポトッ


乃々「あ、枝から何か落としたんですけど……」

乃々「種?」


ズブブ
ポン
ニョキニョキ

晶葉「た、種が床から芽を出したぞ!」

ニョキニョキニョキ
ニョキニョキニョキ


木久保「……」

木久保「……」


P「増えたな」

乃々「あ、また種が……」

ズブブ
ポン
ニョキニョキ


木久保「……」

木久保「……」

木久保「……」


晶葉「ま、また増えた……」

P「これ以上は増えないみたいだな。しかし木の仮装をした真顔の乃々が3本……怖い。子供が見たらトラウマになるぞ」

乃々「で、でも何だか……この人たちの近くにいると落ち着くんですけど……」ハフゥ

晶葉「マイナスイオンでも出てるのか? 私は何も感じないが」

P「俺も感じないけど……他の森久保たちもかなりリラックスしてるな」

P「でもこの木のどの辺がもり……は!?」ピコーン

晶葉「どうした助手?」

P「そうか! 木が3本……来るぞ晶葉ッ!」

晶葉「だから何だ」

P「いや、だからさ……木が3本じゃん。木が3本で森じゃん? ……木久保が3体で森久保ってことじゃないか?」

乃々「えぇ……」

晶葉「助手……」

P「そんな目で俺を見るなよ! 下らないと思うけどそうだろ!?」

楓(乃々ちゃんがもりもり生えて、森になった……うーん、微妙。プロデューサーさん20点です♪)

P「まさかの駄目出し!?」


晶葉「さて次は定石通りだと、やり久保か」

晶葉「ふむ。槍を持った武闘派な森久保か?」

乃々「やーりぃ! が口癖のスポーツ少女……いや自分で言っててなんですけど、これはちょっとないかも……」

晶葉「助手はどう思う?」

P「……」

乃々「ど、どうしたんですかプロデューサーさん。むずかしい顔してますけど……」

P「いや……」

P(まさか……な。ないない)

スポーン

?「……」スタッ


晶葉「学校の制服を着ているな。それ以外は特に変わったところは……む、だらしないな。制服を着崩しすぎだ。胸のボタンが空いてるし、スカートもずいぶん短い」

乃々「ふ、太ももがあんなに……あ」

乃々「ひぇぇっ」

晶葉「どうした乃々」

乃々「ピ、ピアス……あんなにいっぱい……ひいぃ……!」ガタガタ

晶葉「……いや、乃々も空けてるだろう」

乃々「1つ空けるだけで痛くて怖くて大変だったのに、あんないっぱい考えただけでむーりぃ……!」ガタガタ


?「あ、あのー」ツカツカ

P「ん、俺か?」

?「ど、どうも……ヤリ久保ですけど……」

ヤリ久保「えっと」スッ

P(指を3本立てて何を……)



ヤリ久保「――ホ別でこれくらいなんですけど……どうです?」

P「うおおおおい!」

晶葉「なに? ホ別? どういう意味だ?」

乃々「わ、分からないです……」フルフル

P「知らなくていいよ! つーかお前! 自分をもっと大切にしろよ! 3万て! PS4も買えんぞ!?」

晶葉「中古品なら買えるんじゃないか?」

P「中古とか言うな!」クワッ

晶葉「えぇ……何で怒られたんだ私……」


ヤリ久保「あ、あの違うんですけど……3万円じゃなくて3千円なんですけど……3万円なんて、そんな大金おこがましくてむーりぃ……!」ブンブン

P「中学生のお小遣いかよ!」

ヤリ久保「ひぃっ、ご、ごめんなさい……! 2000円でいいですから、怒鳴らないで……!」ビクビク

ヤリ久保「オ、オプションも無料にしますからぁ……!」ビクビク

ヤリ久保「お、終わった後にパンツもプレゼントするんですけど……!」

乃々「あ、あの、さっきから何の話をしてるんですか? も、もりくぼさっぱり分からないんですけど……ホ別? オプション?」

ヤリ久保「へ? えっと、ホ別っていうのは、ホテル別――」

P(いかん! このままじゃ乃々と晶葉が汚される!)

P「――あやめ!」

あやめ「ニンニン!」ヌッ

ヤリ久保「ひっ、影からニンジャが……!」

あやめ「てぇい!」ドスッ

ヤリ久保「うっ……」ガクッ

P「よくやったあやめ。そのまま部屋の端に転がしといてくれ」

あやめ「了解ですっ!」

あやめ「ところで結局ホ別とはどういう意味なんですかP殿?」

晶葉「そうだ、気になるじゃないか」

P「アイドルは知らなくていい事だ」

P(そうだ。世の中には知らなくていい事がたくさんあるんだ)

P(そういう物からアイドル達を守るのも俺の仕事なんだ)


楓(巴ちゃんにエンコーさせて、エンコを詰められる……なんちゃって)

P(おいアイドルおい)

お待たせしてしまい申し訳ありません。
引っ越しの準備やらで少し忙しいので、もう少しだけお待ちください。

はい戻ってきました。おまたせしていまい申し訳ありません。
のんびり付き合ってください。

晶葉「次はゆり久保か」

乃々「えっと、百合の花みたいに華憐で優雅な……お嬢様っぽい……うぅ、自分で言っときながら想像できないんですけど……」

晶葉「森久保の例もあるし、そのまま植物の百合の花で出て来るかもしれんな」

P「……」

晶葉「助手はどう思う……ってどうしたそんな神妙な顔をして」

P「へ? あ、いや別に……」

P(……)

P(ゆり……百合かぁ……ゴクリ……)

由里子(ゆり……ユーリ……ユーリ久保!!!on ICE……つまり、生えてる乃々ちゃんなんだじぇ! プロデューサーとユーリ久保、男と男の娘……何も起きないはずはなく……)

P(おいやめろ)

スポーン

?「……」スッ

?「……」スタスタ


晶葉「ふむ。一見すると普通の乃々だな」

乃々「でも……歩き方にすっごく品があるんですけど……見惚れちゃいます……」


?「……」キョロキョロ

?「……」ハァ

晶葉「周りの乃々達を見て、溜息を吐いているな」

?「……!?」クワッ

?「……」タッタッタ

?「そ、そこのあなた」

晶葉「む? 私か?」

?「ええ、そこの白衣を着た可愛らしいあなたですけど。私の名前は百合久保、あなたは?」

晶葉「あ、ああ……池袋晶葉だ」

P「俺はモバP。こいつはもりくぼ、見ての通り小動物っぽい女の子だ」

乃々「ど、どうも……もりくぼです」

百合久保「……」チラッ

百合久保「そう……晶葉ちゃん。ふふふ……見た目通り、可愛らしいお名前なんですけど」

百合久保「本当に可愛らしい……うふふ……」


P「俺ら無視されてね?」

乃々「晶葉さんしか目に入ってないみたいなんですけど……」

百合久保「体も小さくて、小動物みたい……肌もすごくキレイ……」

晶葉「そ、そうか……う、うん、ちょっと顔が近いな」

百合久保「ふふ、ふふふ……」

百合久保「ああ、本当に……可愛い。ねえ……晶葉ちゃん、私の妹になりませんか……」

晶葉「は?」

百合久保「お姉さまって。試しに呼んでみてほしいんですけど。その小さくてプルプルした唇で、百合久保のことを……ねぇ、呼んで……さあ……」ハァハァ

晶葉「ちょっ、顔が近っ、おい!」

百合久保「嫌がる顔も可愛い……うふふ……」サワサワ

晶葉「だから近いと……ひっ!? ちょっ、どこを触ってる!? は、白衣に手を入れるなぁ!」

百合久保「羞恥に悶えるその顔……たまらないんですけど……」ハァハァ

百合久保「はぁはぁ……」

百合久保「タマ姉たまんねえ!」クワッ

晶葉「オイこいつ何かヤバイぞ!」

晶葉「おい助手! た、助けてくれ!」ジタバタ

P「やっぱり……百合は……最高やな!」パシャパシャ

晶葉「撮るな! の、乃々!」

乃々「は、はわわ……恥ずかしくて見てられないんですけどぉ……」

晶葉「つ、使えない……ひゃっ!? や、やめっ、やめろ! 変なところを触るなぁ!」

百合久保「うふふ……変なところってとこですかぁ?」

百合久保「も、もう我慢できなくなってきたんですけど」ハァハァ

百合久保「さ、晶葉ちゃん。行きましょう」

晶葉「ど、どこへ連れていく気だ?」

百合久保「うふふ……2人っきりになれる場所ですよ。私と晶葉ちゃん、2人だけの空間。何の不純物もない、乙女だけの楽園」

百合久保「最初は怖いと思うけど、すぐによくなるんですけど……」

晶葉「い、いやだ……」

百合久保「さあ……蜜月満ちる乙女の園――私達だけの花園にいざ!」

バーン

茜「誰か今花園って言いました!!??」

百合久保「び、びっくりした……え、ええ今、私が言ったんですけど」

茜「やっぱり!!!」

百合久保「えっと……そこの元気なあなたも私たちの花園に興味が?」

茜「大好きです!!!!」

百合久保「あらそう……うふふ。なら一緒に行きましょうか。あなたみたいな元気な女の子がしおらしく甘えて来るのもまた乙なもの……」

百合久保「両手に花……最高……」ウットリ

百合久保「さあ、子猫ちゃん、私のところへいらっしゃい」オイデオイデ

茜「はい!!!」

茜「ボンバー!!!!」ダダッ

ズムッ

百合久保「うごぉ!!?」メリッ

百合久保「うぐ、うぐぐ……おぐ」ズサッ

茜「まさか乃々ちゃんもラグビーに興味があるとは思ってませんでした!! でも同じ趣味の子がいて、とてもうれしいです!!!」

茜「さ、行きましょう!!!」ガシッ

百合久保「ちょ、ちょっと待って……ど、どこへ……」

茜「花園ですよ花園!! ちょうど今日試合がありますからね!!! 今から走っていけば間に合います!!!」

百合久保「え、ラグビー……走って……え……?」

茜「ここからだと4時間くらいですね!!! いい運動になります!!!」

百合久保「は? いや、花園っていうのはね、こう、女の子だけの閉じた世界のことで……」

茜「さあ花園目指して、いざボンバーッ!!!!」ダダッ

百合久保「だ、誰か助けっ」

百合久保「ああああああああああ!?」ズサササササ


バターン


P「うーん、相変わらず茜は元気だなぁ。夜の収録までには……間に合うか」

晶葉「……」

P「いや、晶葉。大変だったな。大丈夫か? 白衣が乱れて凄いことになってるぞ? ……あれ? お前、なんか下着が無いような……」

晶葉「……」

P「そ、そんなに睨むなよ。しょ、しょうがないじゃないか! 百合の花が! 百合の花が目の前に咲き乱れたら傍観するしかないだろ!? 俺みたいな男が割り込むのは無粋ってもんだろ!?」

晶葉「……」ジトー

晶葉「この間、アイドルがオッサンに見える薬を発明したんだが」

晶葉「……」

P「したんだが何!? こえーよ! ごめんって!」

スポーン

?「……」ズゥゥクン


P「……」

晶葉「……」

乃々「……」

P(装置から現れた乃々を見て、俺たちは絶句していた)

?「……」ズゥゥゥゥン

P(それは森久保と言うには、あまりに大き過ぎた)

?「……ふぅ、ふぅ」ノッシノッシ

P(大きく、分厚く、重く)

P(そして太過ぎた)

?「ひぃ、ふぅ……はぁはぁ」ノシノシ

P(それは正に――)


?「ど、どうも。ごっつぁんですけど……寄り久保です」


P(力士だった)

晶葉(RIKISHIだ……相撲レスラーだ……)

P(ああ、凄まじい厚力を持った体だな。体はプロの力士レベルなのに、顔だけは普通の乃々だから、アンバランスさがパネエ)

乃々「……」

P「なあ、乃々。乃々? き、気絶している……!」

晶葉「無理もあるまい。だってアレだぞ? 自分と同じ顔してるのに、体がアレだぞ?」

寄り久保「アレでごめんなさい……」

P「いや、お前は悪くないんだけど。個人的に興味があるから、ちょっと自己紹介とかしてくれ」

寄り久保「へ? え、えっと……寄り久保です。得意技は寄り切り、好きな食べ物は寄せ鍋なんですけど」

晶葉(ちゃんこじゃないのか……)

P「しかし凄い体だな。もりくぼの身でよくぞそこまで練り上げたな」

寄り久保「あ、いや。これ……」カチッ

カシュー
カシンカシン
パカッ

寄り久保「スーツなんですけど……」スタッ

P(力士の中からビキニを着た汗まみれの乃々が出てきた)

寄り久保「これ、博士に作ってもらったんです……」

晶葉「パワードスーツの様なものか……どんな発想だ」

P「……」

P「昔、し〇ちゃんの映画でこんなの見たな」

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