【けものフレンズ】アリツカゲラ「オオカミさんはウソつきです」 (18)

アリツカゲラ「いらっしゃいませ~、ろっじアリツカにようこそ~!」


わたしはフレンズのアリツカゲラ。
このちほーでぐうぜん見つけたろっじの管理をしています。
あ、「ろっじ」というのは博士たちによるとお泊りができる場所のことらしいです。


キタキツネ「……まんぞく」

ギンギツネ「とてもいいサービスだったわ。わたしたちも見習わなくちゃ。またくるわね」

アリツカゲラ「ありがとうございました~(ペコリ)」


おかげさまで最近はお客さまの評判もよく、遠くのちほーから来てくれるフレンズの方も多くなってきました。
ろっじは広いので一人でみるのは大変ですけどとてもやりがいがあります。


アリツカゲラ「さてと。次のお客さまのためにお掃除しないと」


だけど同時にとある問題もあって……


????「きゃあああーー!!」

アリツカゲラ「森の方から……もしかして!?」

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~~夜の森~~

パンサーカメレオン「ひいいぃぃ~~(gkgkbrbr)」

シロサイ「なんですの誰ですの~!!」


バサッバサッ
アリツカゲラ「あの~、どうかしましたか?」

ヘラジカ「おのれぇ、セルリアンか!わたしと勝負しろぉ!」

ブンブン

アリツカゲラ「わあっ、危ないですよぉ!わたしはただのアリツカゲラです、やめてくださいー!」

ヘラジカ「な、なに?それはすまない、てっきりさっきのくせ者かと……」

アリツカゲラ「くせ者?なにがあったんですか?」

ヤマアラシ「わ、わたしたち合戦30回記念でろっじってところに泊まりに来たんですぅ」

アリツカゲラ「わぁ、わたしそこの管理人なんです。ありがとうございます~!」

オオアルマジロ「よよよ~、そしたら森から黒い何かが飛び出して『がおーっ』って……」

シロサイ「すっごくこわかったですの~!」

ハシビロ公「……(コクコク)」


アリツカゲラ「やっぱりまたそうだったんですねぇ」

カメレオン「ま、また?でござるか?」

アリツカゲラ「ちかごろこの辺りでみなさんと同じようなことがよくあるんですよ~」

ヘラジカ「なんと!やはりセルリアンが!?」

アリツカゲラ「ろっじを開く前、ハンターの方に見てもらったところこのちほーにセルリアンはほとんどいないそうなんですが~」
アリツカゲラ「しかしせっかく来ていただいたのにお騒がせして申し訳ないです……念のため周囲を見て回りますので」

ヘラジカ「では我々も共に行こう!」

オオアルマジロ「ええ!?」

ヤマアラシ「ヘラジカさま、わたしは怖くてムリですぅ~!」

アリツカゲラ「わたしならこの辺りはよく知ってるので大丈夫ですから~」

ヘラジカ「むむ、しかたない。我々は先にろっじに向かうとしよう」

ハシビロコウ「気をつけてね……」

アリツカゲラ「ありがとうございます~。ろっじはこの道をまっすぐ行けばつきますよ~」


~~森の奥~~


アリツカゲラ「うう~ん、とはいえもし本当にセルリアンならどうしよう……戦うのは苦手だし~」
アリツカゲラ「あっそうだ!動物だった時にしていた自分を強く見せる方法、あれをやってみようかなぁ」


ガサッガサガサ!

アリツカゲラ「誰ですかぁ!?」

ガサッ
????「うー!がおーっ!!」

アリツカゲラ「!!」
バサァッ!

????「!!? うわああっ、おおきいぃ!(ドテッ)」

アリツカゲラ「う、うまくいきましたぁ~。急に羽を広げて威嚇するなんて久しぶり……あれ?」

タイリクオオカミ「う、うぅ~ん……」

アリツカゲラ「フレンズさん、ですか~?」

タイリクオオカミ「うっ!し、しまった……まさかこちらがおどろかされるなんて……」


~~~~~~


アリツカゲラ「それじゃあ、あなたがこの付近でフレンズをおどろかせていた犯人さんですか」

タイリクオオカミ「まあ、そういうことになるかな」

アリツカゲラ「堂々としてますね~。セルリアンかと思いましたよ~」

タイリクオオカミ「ハハハッ。セルリアンがしゃべるわけないじゃないか。いや待てよ、しゃべるセルリアン……アリだな」

アリツカゲラ「あのぉ。じゃあなんでみなさんをおどかしたんですか~?こんな夜中に~」

タイリクオオカミ「わたしが夜行性だし暗い方が恐ろしいだろう?きみも鳥だからてっきり夜目が利かず怖がると思ったんだが」

アリツカゲラ「鳥目といってもほとんどの鳥はそこまで見えないわけじゃないですよ~」

タイリクオオカミ「なるほど。使えそうなネタだ、覚えておくよ」

アリツカゲラ「じゃなくて、どうしてこんなことを?」

タイリクオオカミ「ふふふ、それはね……これを見たまえ!」


アリツカゲラ「? これは紙?絵ですか?」

タイリクオオカミ「少しちがうね。これはマンガといってお話になってるんだ」

アリツカゲラ「へぇ~、確かによく見るとなんだか物語になっててすごいですね~!」

タイリクオオカミ「おもしろいだろう?わたしはこれを描く作家というものになろうと思うんだ」


アリツカゲラ「なるほど~。でもそれがどうしてビックリさせることに?」


タイリクオオカミ「わたしはホラーものを描きたいんだ!フレンズが恐ろしい目にあう話さ」

タイリクオオカミ「だけどフレンズは動物だった時とちがって本当の狩りなんかしないしみんな基本的に平和にくらしてる」

タイリクオオカミ「だからわたしはみんなをおどろかせてその顔をマンガの参考にさせてもらってるってわけ」


アリツカゲラ「それはいいですけどわたしのろっじのお客さんをおどかすのはかわいそうですよ~!」

タイリクオオカミ「ああ、きみがあのろっじのフレンズだったのか。あれがオープンしてから色んな子が来て執筆がはかどったよ」

アリツカゲラ「そんなぁ~!」


タイリクオオカミ「……まあ今回はきみにつかまっちゃったし次からは少しひかえるよ」

アリツカゲラ「うぅ~、やめる気はないんですか~?」

タイリクオオカミ「これが中々たのしくてね。まあケガはさせないと誓おう……またな!」

バッ


アリツカゲラ「あっ!……もういなくなっちゃいました。すごい速さ……」


オオカミさんの言うとおり、それからろっじのお客さんが怖がることは減りました。
でもやっぱり時々そんな目にあうフレンズさんはいるようで……

わたしはお客さんはもちろん、オオカミさんがなんだか心配で森を見回ることが多くなりました。
そんなある日……


~~空~~


アリツカゲラ「はぁ~、今日もオオカミさんいないなぁ。もう一度お話したかったんだけど……」


??「きゃ、ガアーーーー!ガアーーーー!!ガアーーーー!!!」

????「うわああああっ!!」


……ドーンッ


アリツカゲラ「なっ、なんですか今の音は!?というか、二つ目の叫び声は……オオカミさん!?」


~~森~~


バサッバサッ
アリツカゲラ「あ、あれは……」


トキ「けほっけほっ、び、ビックリした……あら?アナタは?」

アリツカゲラ「アリツカゲラです~。あの~、なにがあったんですか?」


トキ「わたしはトキ。仲間を探してこのちほーに来てみたの。そしたら急に茂みから何かが出てきて」

トキ「……あまりにおどろいたから威嚇の鳴き声を出しちゃったの。ごめんなさい、うるさくて」


アリツカゲラ「いえそれはいいんですけど……さっきの一つ目の声はトキさんだったんですね」

トキ「ええ。急に出てきたのは大声をあげながら森の中に走っていったわ。そのあと何かぶつかった音がしたけど」

アリツカゲラ「やっぱり……!それきっとオオカミさんです、探さないと!」

バサッ!

トキ「あっ、行っちゃった……なんだったのかしら」


~~森の奥~~


タイリクオオカミ「う、うぅ……(フラフラ)」


アリツカゲラ「……いました、オオカミさん!」

タイリクオオカミ「や、やあ……また、会ったね……」
バタッ

アリツカゲラ「あっ!大丈夫ですか!どうしてこんな……」

タイリクオオカミ「また……見慣れない子が来たからおどろかそうと思ったんだけどね……さっきの声、聞いただろ?」

アリツカゲラ「ええ、なんだかすごい声でしたけど……」


タイリクオオカミ「わたしは耳が良くってね……どうも、彼女の声はひどいダメージになったらしい」

タイリクオオカミ「あんまりびっくりしたもんだからあわてて逃げだしたら岩に思い切りぶつかって、このザマさ。もう走れない……」


アリツカゲラ「そ、そんな……!」


タイリクオオカミ「まあこれまでたくさんのフレンズをおどろかせた罰が当たったのかもね……しかたないさ……ってきみ!?」

グイッ
バサッバサッ
アリツカゲラ「しっかりしてください!すぐろっじに運びますから、そうしたらきっとだいじょうぶです!」


タイリクオオカミ「おどろいた……あんがい力持ちなんだなきみは……キツツキはあんなに小さい鳥だったのに」

アリツカゲラ「アリツカゲラです、よぉ!うーん!こんなの今回だけですからね!」

タイリクオオカミ「そうだった……ありがとう、アリツさん……」

アリツカゲラ「オオカミさん……?」

タイリクオオカミ「わたしみたいなのを気にかけてくれて……それに最後にこんな空の旅ができるなんて……」

アリツカゲラ「! 最後だなんて、そんな、ちょっとぶつかったくらいじゃないですか!弱気になっちゃ……」

タイリクオオカミ「そうだな……どうせ最後なら……きみのおどろく顔が……みたかっ……た……」

アリツカゲラ「え……」


タイリクオオカミ「……」


アリツカゲラ「そ、そんな、ウソですよね?」


タイリクオオカミ「……」


アリツカゲラ「あんな、むだに元気でみんなをおどろかせてたオオカミさんが、そんな、死んじゃう……なんて……」

アリツカゲラ「オオカミさぁーん!!返事をしてくださいよぉ!」


タイリクオオカミ「うん、なんだい?」


アリツカゲラ「……へっ……?」

タイリクオオカミ「いやあ空を飛ぶのは最高だね。あまりに気持ちよくて返事を忘れたよ」

タイリクオオカミ「それにしてもむだに元気とはひどいんじゃn」


ポロッ

タイリクオオカミ「あ」
アリツカゲラ「あ」


ひゅうううー

タイリクオオカミ「うわああああああああ!!?」

アリツカゲラ「オオカミさあぁーーん!?」


~~ろっじ~~


アリツカゲラ「まったくひどいですよぉ!」

タイリクオオカミ「いやあ、ごめんごめん」

アリツカゲラ「いいえ、ゆるしません!あんなウソまでついて!本当におどろいたんですから!」


タイリクオオカミ「でもウソはついてないよ。ほら、ぶつかった時に足をくじいたから走るのはしばらくムリだ」

タイリクオオカミ「トキの声で平衡感覚も変になってたし。空を飛ばせてもらうのも一生に一度だろうしね」

タイリクオオカミ「どうせ最後ならアリツさんのおどろいた顔を見たいと思ったのも、本心さ」

アリツカゲラ「むむむ……」

タイリクオオカミ「ははっ、いい顔いただきました!あっ、いてて……」

トキ「ごめんなさい、わたしのせいで」

アリツカゲラ「トキさんがあやまる必要はありませんよ!オオカミさんの自業自得なんですから!」


トキ「そう?ならせめてお詫びに歌を歌おうかしら」

タイリクオオカミ「びくっ!い、いやそれは遠慮するよ!」


アリツカゲラ「とにかく、オオカミさんはケガが治るまでここにいてもらいますから!もう無茶しちゃいけませんよ?」

タイリクオオカミ「うっ、それじゃ誰もおどろかせられないじゃないか……」

アリツカゲラ「そんなことしなくていいですから~!」

トキ「あら、誰かをおどろかすなんて簡単じゃない?わたしなんて歌を歌うだけでみんなびっくりするみたいだし」

タイリクオオカミ「それはきみだけ……いや待てよ。確かに直接おどかさなくたっていいわけだ……」

アリツカゲラ「……またなにか考えてます~?」


~~しばらくして~~


タイリクオオカミ「……というわけで、パークは本当はセルリアンの女王が支配されていて……」

ギンギツネ「こわいこわいー!」

キタキツネ「ゲームの話みたい……もっと聞きたい……」

タイリクオオカミ「いい顔いただきました。そっちの子はけっこう強いね~。じゃあ今度は……」


アリツカゲラ「オオカミさん、まーたそんな怖いウソばかりついて~」

タイリクオオカミ「いいや、わたしは全部うわさを話してるだけさ」

アリツカゲラ「そのうわさの出どころはオオカミさんじゃないんですか~?」

タイリクオオカミ「さぁ~どうかな?まあ記憶まちがいくらいは誰にでもあるからね。そうだ、ある歴史的なマンガ家の名言にこんなのが……」

アリツカゲラ「もう消灯時間ですよ~。みなさんまた今度にしましょう」

ギンギツネ「はーい。ほら、キタキツネ行くわよ」


アリツカゲラ「ほらウソつきオオカミさんも。一日13時間は寝るんでしょう?」

タイリクオオカミ「夜行性だからへいきだけどね。しかしウソつき扱いは心外だなあ」

アリツカゲラ「いいえ、ウソつきですよ~」


アリツカゲラ「だって、わたしはいつだって二人で空を飛んでもかまいませんから」


タイリクオオカミ「え?それって……あ、ちょっと待って!」



ねえ今また空を飛ばせてくれるって言った?
さあ、オオカミさんの聞き間違いでは?
いやわたしは耳がいいんだそんなはずはないよ
うーん、オオカミさんがたのむならいいかもですけど~
ほんとに!?
でもそれだとオオカミさんはやっぱりウソつきになりません~?
あっ、い、いや最初にウソをついたのはアリツさんだから……
あはは、オオカミさんなんだか子どもみたいです~
うう……とにかくだね……


~~終わり~~

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