タイリクオオカミ「名探偵アミメキリンの事件簿」 (27)

ロッジアリツカ

アミメキリン「おかしいわ。どうしてなのよ」

アリツカゲラ「どうかされましたか?」

アミメキリン「こういう場所では毎日事件の一つぐらい起こるはずなのに、あの幽霊事件以来なにも起こらないじゃない!」

アリツカゲラ「幽霊って、かばんさんとサーバルさんがここに泊まっていたときのことですか」

アミメキリン「そうよ! これじゃあ、私の名探偵っぷりが発揮できないじゃない!」

アリツカゲラ「そう言われましても、ここで提供できるのは素晴らしいお部屋とジャパリまんぐらいですし」

アミメキリン「嵐になれば立派な密室空間になるのに……」

アリツカゲラ「事件なんて起きない方がいいですよぉ」

アミメキリン「私がここに滞在しているのは、事件が起きそうだからなのっ」

アリツカゲラ「そ、そうだったんですか」

アミメキリン「はやく事件おきないかしら……」

アリツカゲラ「やめてくださいよぉ」

アミメキリン「はぁ、ギロギロみたいに事件を解決したいわ」

アリツカゲラ「都合よく事件なんて起きないと思いますけど」

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オオカミ「お……! いいネタを思いついた」

オオカミ「今回はこれで行こうか」

アリツカゲラ「ジャパリまんをお持ちしましたよ」

オオカミ「ありがとう。テーブルに置いていて欲しい」

アリツカゲラ「分かりました」

オオカミ「……」カキカキ

アリツカゲラ「楽しそうですね」

オオカミ「ああ。今、良いネタを思いついてね。筆が進むんだ」

アリツカゲラ「キリンさんとは正反対ですね……」

オオカミ「ん? キリンがどうかしたのかい」

アリツカゲラ「退屈だーって先ほども仰っていました」

オオカミ「退屈を体感できるのは幸せなことだよ」

アリツカゲラ「そう思ってくれるのならいいんですけどね」

オオカミ「何かったようだね。ネタになるかもしれないし、話してくれないか?」

アリツカゲラ「それが……」

オオカミ「事件が起きてほしい、か」

アリツカゲラ「このロッジは事件が起きそうだとも言っていました」

オオカミ「確かに。雨が降れば、事件が起きてもおかしくない雰囲気はあるかも」

アリツカゲラ「けど、実際には事件なんて起きませんよね」

オオカミ「現実のほうがホラーだと思うけれど、そう簡単には出会えないだろうね。それだけ尊いものだろうけど」

アリツカゲラ「どんな理由であれ、このロッジを利用されているのですから、キリンさんにも楽しんでもらいたいです」

オオカミ「なるほど。一理ある」

アリツカゲラ「でも、どうすることもできないですよねぇ」

オオカミ「それはどうかな」

アリツカゲラ「はい?」

オオカミ「事件なんて起きるときはすぐに起きるさ」

アリツカゲラ「何を言っているんですか」

オオカミ「ふふっ。最高級のネタを思いついたよ。少しだけ協力してくれるかい?」

アリツカゲラ「何をするつもりなんですか」

オオカミ「なぁに、退屈な日常に一つまみの刺激を与えてあげようと思っただけの話だよ」

数日後

アミメキリン「今日も平和ね……」

アミメキリン「事件、起きないかしら」

プリンセス「ここね! みんなー!! 集合ー!!」

イワビー「おぉー。すっげーなぁ」

コウテイ「広いな。どの部屋に泊まるんだ?」

ジェーン「ふわふわってところが良さそうですけど」

フルル「ジャパリまん、誰かもってない?」

プリンセス「ちょっと、みんな! オフだからって気を抜かないの! オフだからこそ、アイドルとしての自覚をもって――」

アミメキリン「ペパプじゃない。今日はどうしたのよ」

イワビー「よぉー。実は――」

アミメキリン「待って!! 私が推理するわ!! ジャパリパークのアイドルがこのロッジに全員集合……。考えられるのは一つだけ……。分かったわ!!」

アミメキリン「ここで歌って踊るのね!! 間違いないわ!!!」

フルル「おぉー。そうなんだー」

コウテイ「いや、普通に泊まりにきただけだが」

アミメキリン「な……!? ちょっと図星だからって嘘をつかないで!!」

プリンセス「残念だけど嘘じゃないわよ。アリツカゲラさんから招待券をもらったの」

イワビー「で、マーゲイがたまにはゆっくり休んできてほしいって言ってくれてさぁ」

ジェーン「最近、ずっとライブでしたからね」

フルル「そうなんだぁ」

アミメキリン「ぐっ……。まぁ、そういう可能性もあるってちゃんとわかってたわよ。2分の1を外しただけの話よ」

イワビー「なんの話だ?」

ライオン「ここかなぁ?」

ハシビロコウ「うん。ここみたい」

ヘラジカ「いいところではないかぁ。いくぞ!」

ヤマアラシ「おー! 泊まるですぅ!」

アミメキリン「ちょっと!! どうしてこんな大勢でロッジに来るわけ!!」

ライオン「え? ああ、実はさぁ」

アミメキリン「待って!! 私が推理するわ!! ライオンとヘラジカの両陣営が一斉に……。はっ!! 分かってしまったわ!! ここで縄張り争いをするわけね!!!」

ヘラジカ「いや、普通に泊まりにきただけだぞ」

アミメキリン「そんな!! ペパプと全く同じ理由なんて不自然よ!! 偶然にしては出来すぎているわ!!」

ライオン「アリツカゲラから宿泊招待状がきたから、みんなで行こうって話になっただけだよ?」

アミメキリン「またしても招待状……!? こんな偶然が1日に2度もあるはずがない!! どちらかが嘘をついているはず!!」

スナネコ「ここで泊まれるってきいてきたのですが」

ギンギツネ「フレンズが多いわね」

キタキツネ「こんなにたくさんで寝るの、なんか嫌だ……。のんびりできない……」

ギンギツネ「こら、文句いわないの」

アルパカ「ふわぁぁ。たっくさんいるよぉ。これは紅茶の出し甲斐があるにぇ」

トキ「ぬふっ。歌い甲斐もあるわね」

アミメキリン「あ、あなたたちまで招待状をもらったと言い張るつもり!?」

スナネコ「そうですが」

ギンギツネ「これのことでしょ?」

アミメキリン「ありえない……!! だれの陰謀なの!? 大事件の臭いがプンプンするわ!!」

カバ「あらぁ。随分と混んでますのねぇ。思い切って遠出してみて良かったわぁ」

フェネック「良い部屋にあたればいいなぁ」

アリツカゲラ「ようこそ、みなさん。ロッジアリツカへ。遠いところから来ていただき、ありがとうございます」

ライオン「全然平気だったよ」

ヘラジカ「ああ。こちらこそ招待してくれたことに感謝したい」

プリンセス「結構な数だけど、みんな泊まれるの?」

アリツカゲラ「はい。部屋数は十分にありますから。立ち話もなんですし、中へどうぞ」

イワビー「おじゃましまーす!!」

フルル「あ、木の中に部屋があるぅ。しんはっけん、しんはっけん」

コウテイ「最初から分かっていただろう」

アライグマ「いそぐのだー! フェネック!! 良い部屋をおさえるのだー!!」

フェネック「まってよぉ、アライさぁん」

ライオン「探検でもしよっかぁ」

ヘラジカ「いいな! そうしよう!」

アミメキリン「ちょ……! 待ちなさい!! 念入りに荷物検査からしないと!! 誰かの手荷物の中に脅迫状があるかもしれないわよ!!」

アミメキリン「今日の夜に、誰かが、怪我をする。とか!」

ハシビロコウ(なんだか楽しそう。今声をかけたら、邪魔しちゃうかも)ジーッ

アリツカゲラ「ええと、ペパプのみなさんはふわふわでよろしいですか」

プリンセス「ええ。お願い」

アリツカゲラ「ライオンさんは、どうしましょうか」

ライオン「どこでもいいよー」

アライグマ「良い部屋を用意してほしいのだっ!」

アリツカゲラ「ええと、すこしまってくださぁい!」

フェネック「アライさぁん。忙しそうだから順番は守ったほうがいいよー」

オオカミ「おやおや。大忙しだね」

アリツカゲラ「は、はい! ロッジ始まって以来の忙しさです!!」

オオカミ「良いことだね」

アリツカゲラ「でも、めがまわりそうで……」

カバ「私のお部屋はどこかしらぁ」

アリツカゲラ「申し訳ありません!! もう少しだけ待っていてください! すぐにご案内いたしますので!!」

アミメキリン「あなた、本当にイワトビペンギン? 誰かが変装しているんじゃないの?」

イワビー「何言ってんだ?」

オオカミ「ふむ」カキカキ

アミメキリン「先生!!」

オオカミ「どうしたんだい?」

アミメキリン「今日、何か事件が起きるかもしれません!! 先生は部屋に戻ってちゃんと戸締りをしておいてください!!」

アミメキリン「先生の身に何かあったら一大事ですし!!」

オオカミ「事件ってどんな?」

アミメキリン「そんなの勿論、誰かのジャパリまんがなくなったり、起きると全然知らない場所で寝てしまっていたり!!」

アミメキリン「あとは……あとは……。そう!! 先生の原稿が盗まれたりするかもしれません!!」

オオカミ「それは怖いな」

アミメキリン「ですから、今日は早めに部屋へ戻ってください!」

オオカミ「君はどうするつもりなのかな」

アミメキリン「私は名探偵として今日1日、このロッジ内の警戒にあたります」

オオカミ「それだと事件は起こらないかもしれないね」

アミメキリン「はっ……!? け、けど、犯人は私の目を掻い潜って事件を起こすかもしれません!!」

オオカミ「それだと名探偵とは呼べなくなるね」

アミメキリン「はぅ!? け、けど、あれです! 事件を未然に防ぐのも名探偵の使命ですからぁ!!」

オオカミ「おかしいな。君は随分前から事件を望んでいたようだったけど」

アミメキリン「そ、それは……」

オオカミ「今日が絶好の事件日和というなら、黙って1日を過ごしてみてもいいんじゃないかな」

アミメキリン「けど……」

オオカミ「けど、なにかな」

アミメキリン「とにかく! 先生は早く部屋に戻ってください!!」

オオカミ「ああ、分かったよ」

アミメキリン「お願いしますね!!」

オオカミ「ちょっと待って」

アミメキリン「なんですか」

オオカミ「おやすみ」

アミメキリン「は、はい。おやすみなさい。あぁ、急がなきゃ。ロッジは広いし、犯人が隠れられる場所はいくらでもあるわね!」

オオカミ「そして、さよなら」

オオカミ「さて、行こうかな」

深夜

キタキツネ「……」ガバッ

ギンギツネ「すぅ……すぅ……」

キタキツネ「……」モジモジ

キタキツネ「ギンギツネ……ギンギツネ……」

ギンギツネ「うぅん……」

キタキツネ「ギンギツネ……ギンギツネ……トイレ……」

ギンギツネ「すぅ……すぅ……」

キタキツネ「そんな……」

キタキツネ「ギンギツネ……」

ギンギツネ「もう……なぁに……」

キタキツネ「まっくらだよ? ひとりじゃトイレいけないと思う」

ギンギツネ「はぁ……? しかたないわね……」

キタキツネ「一緒にトイレ」ギュゥゥ

ギンギツネ「はいはい。ふわぁぁ……」

ギンギツネ「はやく済ませてきなさい」

キタキツネ「うんっ」

ギンギツネ「全くもう。いつまでも子どもなんだから」

キタキツネ『ぎんぎつねー』

ギンギツネ「居るわよ」

キタキツネ『ぎんぎつねー』

ギンギツネ「はいはい。いるわよー」

ギンギツネ「……」

ギンギツネ「……キタキツネ、まだなの?」

ギンギツネ「……」

ギンギツネ「キタキツネー?」

ギンギツネ「ちょっと、キタキツネ、返事しなさい」

ギンギツネ「キタキツネ?」

ギンギツネ「……悪い冗談はやめて。キタキツネ、もう終わったんでしょ? 早く出てきなさい」

ギンギツネ「キタキツネ? どうしたのよ。なにが――」

廊下

スナネコ「すぅ……すぅ……」

アリツカゲラ「スナネコさん、廊下では寝ないでください」

スナネコ「んぅ……? 部屋で寝るのに飽きたので、廊下で寝ています」

アリツカゲラ「困るんですけど……」

ライオン「おーい! ツキノワグマー」

アリツカゲラ「ライオンさん、どうかされましたか」

ライオン「ツキノワグマがさぁ、帰ってこないんだよね。トイレ行くって言ってたんだけど」

アリツカゲラ「外には誰もいませんでしたよ。中のトイレは見ていませんけど、使うとは思えませんし」

ライオン「中にトイレってあるの?」

アリツカゲラ「はい。でも、どうやって使うのか分からないんです」

ライオン「ふぅん。そうなんだ」

ギンギツネ「あ、あの!! キタキツネみなかった!?」

ライオン「え?」

スナネコ「すぅ……すぅ……」



アミメキリン「ここも異常はなさそうね!」

アミメキリン「これだけ巡回していれば犯人は何もできないはずよ」

アミメキリン「事件なんて起きっこないわ! この名探偵アミメキリンがいるかぎり!!」

アミメキリン「……」

アミメキリン「ま、まぁ、事件は起きてもいいけど、私がすぐに解決しちゃうし、起きないのと一緒よ」

トキ「どぉぉこにぃいるのぉぉ~!! きぃたきぃつぅねぇ~!!」

アミメキリン「な……! なによ! こんな夜中に歌って! 怪しいわね!」

トキ「あなた、キタキツネを見なかった?」

アミメキリン「見てないけど? どうしたの」

トキ「いなくなったらしいわ」

アミメキリン「ど、どうして?」

トキ「それが分かれば話が早いけれど」

アルパカ「トキぃ、キタキツネちゃんみつかったかなぁ?」

トキ「いいえ。こっちにもいないわ」

ロッジ内

アルパカ「紅茶、いれてみたよぉ。はい、どうぞぉ」

ギンギツネ「ありがとう……」

ヘラジカ「確認するがセルリアンではないんだな」

ライオン「大型なら流石に気が付くし、小型のセルリアンに後れをとるほどツキノワグマは弱くないしね」

ハシビロコウ「キタキツネは……」

ライオン「うぅん……」

トキ「心配ね。突然、消えてしまうなんて」

ギンギツネ「目を離すんじゃなかったわ……」

ヤマアラシ「トイレのときは仕方ないですぅ」

イワビー「けど、一番近くにいたならショックは大きいよな」

コウテイ「もう一度、ロッジの周りを探してみないか」

プリンセス「賛成よ。行きましょう、みんな!」

ジェーン「はい!」

アミメキリン「ま、待って!! 私はずっと外の見回りをしていたのよ!! でも、不審な物音も生物の影もなかったわ!!」

ライオン「見逃したんじゃないの」

アミメキリン「この名探偵を疑うつもり!?」

ヘラジカ「しかし、まだ見ていない場所もあるかもしれんぞ」

アミメキリン「ロッジの中にいるかもしれないじゃない。わざわざ夜の森にいくことはないわ。危険すぎるわよ」

イワビー「けどよぉ」

アミメキリン「ダメったらだめぇ! まずはロッジの中を探すわよ!!」

アリツガゲラ「あの、残念なお知らせなのですが……」

ライオン「どしたの?」

アリツカゲラ「ロッジの中は私が隈なく探しました。けど……」

ギンギツネ「外に行くわ」ガタッ

アミメキリン「やめなさいってばぁ!!」

ギンギツネ「離して! あの子は! キタキツネは……!!」

ヘラジカ「我々も行くぞ」

シロサイ「こうしてはいられませんわ!」

アミメキリン「ちょっと! もし誰かがまた行方不明になったらどうするのよ!?」

アルパカ「みんなぁ、おちついてぇ。紅茶、いれるよぉ」オロオロ

トキ「キリン。それじゃあ、ツキノワグマとキタキツネはどうするつもり?」

アミメキリン「……私が行くわ」

ライオン「ひとりじゃ余計にあぶないって」

アミメキリン「とにかく貴方達はここにいて。私が見回りしてくるから」

ヘラジカ「何故、一人で行こうとする」

プリンセス「ここは協力したほうがいいわ」

アリツカゲラ「そうですよ」

アミメキリン「いいから、みんなはここにいて!」

イワビー「何意地になってんだよ」

アミメキリン「なにも意地になんてなってないわ」

ハシビロコウ「やっぱり何人かで行ったほうが……」

アミメキリン「いいって言ってるでしょ! 私がキタキツネもツキノワグマも見つけてくるわ!!」

ライオン「いっちゃったね」

ヘラジカ「大丈夫か」



アミメキリン「わたしの……わたしのせいだわ……」

アミメキリン「みつけなきゃ……なんとかしてみつけなきゃ……」

「何をしているのです」

アミメキリン「きゃぁああ!?」

ワシミミズク「おぉ」ビクッ

オオコノハズク「びっくりするのです」

アミメキリン「は、はかせとじょしゅ……。びっくりさせないでよね」

ワシミミズク「こちらの台詞です」

アミメキリン「何か用なの」

オオコノハズク「ここで事件が発生したとの連絡を受けたのです」

ワシミミズク「キタキツネとツキノワグマがいなくなったらしいですね」

アミメキリン「え、ええ。そうよ」

オオコノハズク「これは大事件なのですよ、助手」

ワシミミズク「パークの歴史から見てもかなりの大事件ですね、博士」

アミメキリン「そ、そこまで? セルリアン騒動よりも大事件なの?」

オオコノハズク「比べられないのです」

ワシミミズク「比較できないのです」

アミメキリン「そ、そんな……」

オオコノハズク「ですが、我々が来たのでもう解決したも同然です」

ワシミミズク「我々は賢いので」

アミメキリン「わ、私だって名探偵なんだから、すぐに解決してみせるわ」

オオコノハズク「分かりました。我々はロッジの中を見てくるのです」

ワシミミズク「キリンはこのまま外を見て回って欲しいのです」

アミメキリン「分かったわ!」

オオコノハズク「行くのです、助手」

ワシミミズク「キリン、何か見つけた場合は無理はせず誰かに声をかけるのですよ」

オオコノハズク「無理をしては美味しいものを食べられなくなるです」

アミメキリン「忠告として受け取っておくわ」

ワシミミズク「いえ、完全に忠告なのです」

アミメキリン「ここも何もなかったわね」

アミメキリン「やっぱり外は異常なし。となれば、ロッジ内が怪しいわね」

アミメキリン「……」

アミメキリン「念のためもう1周ぐらいしておこうかしら」

「おっ」ガサガサガサ

アミメキリン「きゃぁぁあああ!!?」

スナネコ「なにをしているのですか」

アミメキリン「はぁー……はぁー……。あ、あなたこそ、こんな夜更けにどうして外にいるのよ!! まさか、貴方が犯人なの!? どこ! どこにキタキツネとツキノワグマがいるの!?」

スナネコ「僕はロッジの中で寝るのが飽きたので外で寝ようと思っただけですが」

アミメキリン「怪しい……怪しすぎるわ……! 大体、一度寝たら暫くは起きないはず……!! はっ!! その眠りの浅さ……!! あなた、イルカね!!!」

スナネコ「そうかもしれませんね」

アミメキリン「あたった……!! 初めて私の推理が当たった……!!」

スナネコ「けど、僕が外に移動したのは中がうるさかったからですよ」

アミメキリン「うるさかった?」

スナネコ「うわーとかきゃーとかたくさん聞こえてきたので、寝るに寝れなくなりました」

ロッジ内

アミメキリン「飽きたんじゃなくて、中で何かが起こったってことでしょ!? それを先にいいなさいよ!!」

スナネコ「飽きたのは本当ですよ。騒がしいのも最初は楽しかったのですけど」

アミメキリン「どうしてそんなに呑気なのよ……! あなた、本当にイルカなの!?」

スナネコ「スナネコですけど」

アミメキリン「もー!! どっちなのよ!!!」

スナネコ「それより、誰もいませんね」

アミメキリン「中で何があったの?」

スナネコ「わかりません。うわーっていう声ときゃーっていう声が何回かきこえてきたので、ロッジの中を歩いてみたのですが、何も見つからなくて」

アミメキリン「それで飽きちゃったのね」

スナネコ「はい。あと、外で寝てみたくなったので」

アミメキリン「くっ……。とにかく、今度は誰かを見つけるまで外に――」

スナネコ「わー。この木、なんていう木ですか。おっきいですねぇ」

アミメキリン「なにしてるのよ!? はやくきなさい!!」

スナネコ「えー?」

アミメキリン「この部屋にもいない……」

スナネコ「見つかりませんねぇ」

アミメキリン「みんな……どこに……」

アルパカ「あれぇ? ふわぁぁ。やっとみつけたよぉ」

アミメキリン「あなたは……ええと……。羊ね!!」

アルパカ「アルパカだよぉ」

アミメキリン「この際、どっちでもいいわ! 他のみんなはどうしたの!?」

アルパカ「わかんねえんだぁ。みんなしてきえちゃってにぇ……」

アミメキリン「そ、そんな……」

スナネコ「この部屋、まだ見てないですよね」

アミメキリン「あ……! そうだった!! 先生!! 先生は無事なの!?」

スナネコ「せんせーって誰のことですか」

アルパカ「たしかぁ、オオカミさんのことだったようなぁ」

アミメキリン「先生!! 先生!! いらっしゃいますか!!」ドンドンッ

オオカミ「どうかしたのかい? 休んでいたんだけど」

アミメキリン「先生……! よかった!! 無事だったんですね!!」

オオカミ「ん? どういうことだい」

スナネコ「今日、ロッジにきていたフレンズが消えてしまったんです」

アルパカ「みんなどこいったのぉ。紅茶、飲んでもらおうとおもって、いっぱいもってんきんだよぉ」

オオカミ「ついさっきまで外が騒がしかったけど……」

アミメキリン「そのとき先生は部屋の中にいたんですか」

オオカミ「大人数が宿泊している夜なら騒がしくもなると思ってね」

アミメキリン「確かに」

スナネコ「その説明で納得するのですか」

オオカミ「フレンズが短時間に大勢消えたとなるとかなりの事件かもしれないね」

アミメキリン「博士もそういっていました」

オオカミ「博士もきているのか。大事になっているね」

スナネコ「オオカミも一緒にみんなをさがしましょー」

オオカミ「喜んで」

アミメキリン「先生と一緒なら心強いです!!」

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