梨子「拝啓 12の私へ」 (9)
ss初投稿です。
至らない点も多いかと思いますが宜しくお願いします。
・地の文多め
・超短い
それではどうぞ
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「はぁ…」
私は深くため息をついた。
作曲が進まないのだ。どうやらスランプというやつらしい。
とか言いながら逃げてても仕方ないなぁ。
気分転換に絵でも描こうかしら。
「よいしょっと」
ガラガラガッシャーン
「いててて…」
画材を取り出そうとしたら余計なものまで引っ付いてきた。気分転換させてくれないみたいね。片付けなければ。
「あれ?」
と、私は懐かしいものを見つけた。
昔描いた絵だ。べったりとした油絵だ。
懐かしい。
「私だけだったなぁ…」
そう。油絵を描いていたのは私だけ。みーんな水彩画を描いていたの。あの頃の私はどんだけ頑固だったのかしら。
「あれ?これは?」カサカサ
中学校入学時に書いた手紙みたい。未来の私に向けてね。私はそっと開いてみた。過去の自分との対面式だから少しドキドキする。
「油絵具で書かれてるじゃない…」
どんだけ油絵好きだったのよ。もはや意地ね。
少々呆れたあと手紙をゆっくりと読み上げる。
「拝啓 15の私へ
高校入学おめでとうございます。私は中学校へ入学しました。高校でも元気でやれていますか?地味な私から変われていますか?
もしそうだったら幸いです。
特に書くこともありませんのでこれだけ言っておきます。
"友人を大事にしてください"
お返事待ってます。
さくらうち りこ より」
なるほど高校入学時の私に向けて書いたのか。1年遅れになってしまったなあ。に、しても"友人を大事にしてください"って…過去の私は何かやらかしたのだろうか。
いや、記憶にない。ノープロブレム。
しかし地味な私から変われていますか?と言われてもねえ…
変わったのかしら?自分を地味と言うのを辞めた、という意味では変わったのかもね。実際は知らないけど。
とりあえず返事を書いておこう。
と、色々考えているうちに寝入ってしまった。
━━翌日
ジリリリリリ ジリリリリリ ジリリリリリ
「う、うーん……はっ!」
「やばい!遅れる!」
やってしまったー!寝坊だ寝坊。千歌ちゃんと曜ちゃんを待たせてしまう!
急い私は待ち合わせ場所に向かった。
「はあ…はあ…」タッタッタッタ
ようやく待ち合わせ場所が見えてきた。案の定千歌ちゃんと曜ちゃんは待っていた。
「りーこちゃーん!おそいぞー!」
「遅刻とは!船長失格でありますぞ!」
「ごめーん!寝坊しちゃってー」
「よーし!じゃあ学校まで競走だー!」
「ヨーソロー!負けないぞー!」
「待ってー!」
拝啓 12の私へ
まず、質問に答えましょうか。高校では元気で
やってるわ。地味から変われてるか分からない
けれど、今が人生で一番輝いてる気がする。
一つだけ言わせてもらうわ。私は地味で頑固だ
った私の自分が心底嫌だった。
だからそんな私とはもうお別れ。
「りこちゃーん!もっとダッシュー」
「あ!しいたけが追いかけてきてるぞー?」
「ひいいいい!助けてえええ!」
「嘘だよー」
「千歌ちゃん嘘ついたわねー!待ちなさい!」
あ、そうそう、私はAqoursというスクールア
イドルグループにいるの。みんな面白くていい
人よ?
これで私の書きたいことは終わり。
桜内 梨子 より
私は水彩絵の具で書いたその手紙をそっとポストに入れた。
以上です。
短くて申し訳ない…
長編とか書ける人ほんとに凄いですよね…
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