【ミリマス】志保「一人暮らし」 (61)


(30も行かないくらい短いと思います)





「志保、あなた一人暮らしするって本当?」

「ええ、何となく。してみたいと思って」

一人暮らしをしたい。

そう思って親に相談したらすぐに良いと返事をくれた。
別に、親と不仲な訳でも弟と仲が悪いわけでもない。

クリスマスには家族と過ごしたいな、と思うし、
もし仮に一人暮らしを始めたとしても
大晦日、元旦には家族みんなで過ごしたいと考えている。


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同じくらいの歳で一人暮らしをしている先輩、如月千早さんに聞くと
「最初は選ぶ部屋に苦労すると思うけれど、それさえ乗り越えれば
 後は本当に自由よ。それこそ静香を家に呼ぶことも自由に出来るし」


なんで静香の名前が飛び出してきたのかは分からないけれど。



千早さんのアドバイスは特に当てにならず
私はサッと部屋を決めてしまった。
ここなら事務所も近い。電車で一本で行ける。

それに都内にしてはだいぶ安い。
その割には周辺環境は色々充実している、とてもいい物件だ。



引っ越しの当日は、プロデューサーと静香と可奈に手伝って貰って
荷物を運んで貰った。
私の荷物は多くはなかった。


断捨離。
少しでもいらないと思ったものは全部捨てるようにした。
服もほとんど、持っていた服が半分以上なくなってしまった。
まあこれから家で一人で暮らすわけだし、そんなに部屋着もいらないでしょう。


しかし困ったことに捨てようと思ってゴミ袋にまとめた服が
運悪く可奈に見つかって「え!? こんなに可愛い服いっぱいあるのに? 私貰っても良い?」
と拾われてしまった。


のちに事務所で
「あれ? 可奈ちゃんそれ志保ちゃんが着てた服?」
と色んな人にバレてとても恥ずかしい思いをするのだった。が、それは別の話。


「ありがとうございました。あのお礼に何かお茶でも」

「志保、あなたこの人数分のカップも用意出来ないんじゃない?」

「あっ、そうだった……ごめん。近くの自販機でお茶くらいしか買ってあげられないや」

静香には梱包の時から手伝って貰ったりしていたので
すっかり何を家から持ってきたのかもバレてしまっている。


「今日の重労働が自販機のお茶とは……」


プロデューサーは軽く笑い飛ばしてくれていた。
可奈は私の捨てた服の入ったゴミ袋を嬉しそうに抱えている。


「いつか遊びに来てもいいよね!?」

「うん、いつでも来て」

「その時はこの服着ていくよ」

「……それは何か複雑だから辞めて」


それから静香と可奈はここでお別れ。
仕事とレッスンにそれぞれ向かっていった。
ゴミ袋を抱える可奈はちょっと不審者っぽかった。


残ったプロデューサーはお隣近所にあいさつ回りに付き合ってくれることに。
これはプロデューサーの方から提案してくれていたことだったけど、
お母さんにも「お父さんとか着いていけないから、プロデューサーさんにお願いしてもらったら?」
なんてちょうど言っていたくらいだから、本当にちょうどよかった。


「志保が一人でちゃんとご近所付き合いなんて出来るか分からないからな」

「……馬鹿にしないでください」


そう強がるけれど、実際怖かった。
ここに来てろくに調べもしないで決めたことを少し後悔していたが、
そんなこともう今さら考えても仕方ない。


私はアパートの二階の角部屋。
まずは下の階の人から。


ピンポーン。


今日は土曜日だし、普通の会社員の方ならいるはず。
中からは何も音がしない。留守?

「うーん、留守みたいだね……」

「そうですね」


じゃあここは後回しにして、と去ろうとした時、
ガチャリとドアが少しだけ開いた。


中からは男性、30代後半といった所、
今起きたかのようなボサボサの髪に無精髭だった。


「ああ、こんにちは。すみません、起こしてしまったみたいですかね」


とプロデューサーが仕事スイッチを急に入れて愛想笑い全開で迫る。
なんというかこの人のこういう裏表がハッキリしている所、しすぎている所はとても好き。


「今度うち2人で家に引っ越すことになったんで、これもし良かったら……つまらないものですが」


と手に持っていた菓子折りを渡す。

プロデューサーとは事前に打ち合わせをしていて、
隣近所が男性の場合はプロデューサーが挨拶を基本行うようにした。
私もアイドルだし、防犯のためにも彼氏と同棲してます、
という体で男の人には挨拶する、といった感じ。


ちなみに、私とプロデューサーはそういう仲では無い。
そうなることも無い。


「あ、はい……上?」

「はい、上に、今日からになります。どうぞよろしくお願いいたしますね」

「ふぅん……まあ、頑張ろーね」

「はぁい!失礼しますー」


そうペコリと軽く会釈をすると男性は扉をそっと閉めた。
新生活に対してお互いがんばりましょうということなのだろうけど、
あの人、あの雰囲気からして……


「志保今の見たか? あのおっさんは要注意だな。
 うっかりお前がアイドルなんて知れたらストーカーなんてされかねない」


さっきの愛想笑いが嘘のように唾でも吐き捨てるかのような
毒にまみれた顔でそう言い切った。


「はあ、そうですね。私も気をつけます」

それしか言うことがなかった。


2階建てのアパートで新築同様の物件の割には
下の住人は疲れ切ったサラリーマンだったな、と思いながらも
お隣の部屋に行く。

ピンポーン。


「はーい」

軽快な返事とともに
パタパタと音がして扉が開く。

それは40代後半といったおばさんだった。
少し顔周りがふっくらとした丸っこい笑顔の素敵なおばさんだ。


「あら、あなた達がお隣来たカップル?」


打ち合わせでは女性が隣の場合は防犯の都合上、
味方につけるのが一番だろうとしてる。


「いえ、実は今度からこの子が一人暮らしをお隣でやらしていただくんです」


とプロデューサーは丁寧な対応をする。
私も「よろしくお願いいたします」と頭を下げる。


「あらぁ~そうなの~~」

「まだ彼女も若いので防犯上、女性の方には本当のことを言ってありますが
 下の階に住んでいらっしゃる男性の方には私のような男と同棲をしていることに
 なっていますので、本当のことは内密にお願い致します」

「なるほど!そりゃそうね!」

ぽんと手をたたくおばちゃん。
いちいちリアクションのでかい人だ。
奈緒さんを思い出すのは失礼だろうか。


おばちゃんは最後に私に

「何か困ったことがあったら、
なーんでもおばちゃんに相談してね!
虫なんか出たらおばちゃんがやっつけてあげるから。あははは」
 

おばちゃんは何が嬉しいのか豪快に笑っていた。
こうして私の挨拶まわりは終わった。

一旦私の部屋に戻るとプロデューサーは自分の部屋のように
いきなり床に寝っ転がりだした。


「あー疲れた。ちょっと休むわ」



「邪魔なんですけど。荷物も開けなきゃいけないし」

「良かったな隣のおばちゃんがいい人そうで」

「そうですね。もし何かあればあのおばちゃんに頼ります」

「お役御免か~~」


と大の字になって手足をバタバタ動かしていた。
本当に邪魔だ。早く帰ってくれないかな。


「じゃ、俺帰るわ。可奈のレッスンに行ってくる。志保も行くか?」

「いえ、荷物あけたいんで」

「そっか」


新生活も始まるこの季節にはいい引越しをしたな、
と自分でも思いながら荷物を開けていく。


それからあらかじめ買っておいた冷凍食品で
簡単に晩御飯も済ませて
お風呂を掃除して、お風呂に入って、布団を敷いて寝た。


初めての一人暮らしにしては中々上出来だったな、と思う。
日中の疲れからか私はすぐに眠ってしまった。






次の日。
レッスンがあるから私は朝早くから家を出た。

レッスン場では静香に会った。
「昨日はありがとう」

「どういたしまして。寂しくて寝られなかった?」

「そんなことないわ。おかげさまでぐっすり。
 でも起きても一人って変な気分ね」


「そう……」

「いつもはお母さんがご飯作ってて、
 お父さんが会社行く支度でバタバタしてて
 色々あるのに」

「そうね。そうかもね」

麗花さんとか一人暮らしどうしてるんだろう……。
部屋は汚いって聞いたことはあるけど。
今日はクレシェンドブルーのレッスンだし、
あとで聞いてみようかな……。


時刻は夕方。陽が落ちかけた頃。
一日レッスンだった今日は最高に疲れた。
家に着く頃にはお腹空いたなぁ……なんて考えながらいた。


そして、家に着いた時に「そうだ。一人だから作ってくれる人なんていないんだ」
ということに初めて気がついた。


「一回帰ってから近くのスーパー行かなきゃ。
 真っ暗になる前に早く行こ……」

そんなことを考えてると。


「あら、こんばんは」

「あ、おばさん。こんばんは。あ、ごめんなさいおばさんだなんて……」

「いいのよいいのよ! 私ってばもう立派なおばさんなんだから~。今帰り?」

「はい、今日も色々あって疲れてて買い物するの忘れちゃって今からまた行ってきます」


プロデューサーに言われたことを思い出した。
「防犯上隣のおばさんには全て伝えたが、お前が味方につけていないと、
 防犯の意味がないし、いざって時に防犯にならないからな。
 だからせめて、あのおばさんとだけでも仲良くしとけ」


私は疲れ切った顔を精一杯アイドルモードまで引き上げて笑顔で対応する。
そうか、プロデューサーもいつもこうやって仕事の時愛想笑いするのか。


いつかプロデューサーに言われた。
「そうやって愛想笑いもしないで無表情でいるのは怠惰だ。
 コミュニケーションを怠るな。人間、最後は人と人なんだから」


今度からビジュアルレッスンももっと真面目にやらなくちゃ。
倍に増やしてもらおう。


「あっっ、じゃあおばちゃんがいいものあげる!
 ちょっと待ってて!!」


おばちゃんは自分の部屋に飛び込んでいくと、
中でバタバタと音を立てる。

春といえど夜は寒いし
早くしてほしいな、なんて思いながら待っていると
おばちゃんがタッパーを持って出てきた。


「はいこれ、煮物。多く作っちゃったから食べて食べて」

「いいんですか?」

「いいのよいいのよ~!」


そういっておばちゃんは私に煮物をくれた。
そうか、今時でもこうやって温かい人もいるんだなぁ、と。


とりあえず今日はこれだけでいいや、とレンジで温めた煮物を食べる。


「……んまっ」


次の日。
学校からレッスンへ。


レッスン場ではプロデューサーと会った。

「あれからどうだ?なんかあったか?」

「隣のおばちゃんから煮物もらっちゃいました」

「ははは!そっか!いるもんなんだなぁーそんなおばちゃん」

「はい、漫画の中だけかと」

「わかるわかる。ちゃんと洗って返して思った感想を言ってやれ」

「はい、すっごい美味しかったですよ」


帰宅。
夜の8時回った頃だったけど、
とりあえずおばちゃんにお礼をしないといけないので
呼び鈴を鳴らす。

おばちゃんは派手な寝間着にカーラーを頭に装着した「THEおばちゃんスタイル」だった。
思わず笑いそうになってしまったが、


「あのありがとうございました。すごく美味しかったです」

「あらぁ~わざわざありがとうねー。あ、今日はアップルパイ焼いたの、食べる?」

「えっ?ああ、今日は別に」


「いいのよ遠慮しないで持っていって。ちゃんとあなたの分も作ったから。
 焼きたいから焼いたのアップルパイ♪」

「私の分ですか?」

「はい」

うろ覚えの歌詞をご機嫌に歌いながら
奥からお皿にカットされたアップルパイをラップして渡してくれる。
てっきりホールまるまる寄越されるかと思って焦ったけど
そんなことなかった。

私は部屋に戻りご飯を買ってきた分より少なく作り、
最後にデザートとしてアップルパイを食べた。


「……んまー」

疲れた身体にしみる。




とある日。
おばちゃんはいつものように私を捕まえた。
嬉しそうにおばちゃんは「この辺りでねー」と
周辺地域の情報を一通り教えてくれた。


あの辺の道は変出者が3年前に出た。
でもあそこには最近どこかの家の飼い猫がうろうろしててね
人懐っこくてねー
今度の近所の小学校ではお祭りがあってね、
去年は焼きそばをやってね、
あなた可愛いからお店手伝ってくれたら売上伸びると思うの
その小学校の卒業生にはスポーツで有名なあの~
最近ゴルフでも活躍してるっていう人がね、名前忘れちゃったけど
私も昔ゴルフのキャディさんやったことがあって
その頃はモテてモテて



あと……なんだっけ思い出せないや。
なんだかおばちゃんの会話に相槌うつだけだったけど
おばちゃんは嬉しそうだった。





とある日。



「あーおかえり志保ちゃん」

「あ、おばさんこんばんは」

「これ、また作ったからあげる!食べて食べて~」

「いつもすみませんありがとうございます」





とある日。


「……こんばんは」

「今日早かったのね!はい、これ。この前のポテトサラダ食べてくれた?」

「ええ、美味しかったです。あ、タッパー返さないと。
 あ、ごめんなさいまだ食べっぱなしで洗ってなくって
 すぐ洗いますね」

「いいのいいの。もうそのまま返してくれても大丈夫だからね」








「……なぁ美奈子ぉ」

「……うん」

「最近志保、太ったんちゃう?」

「うん。でもね奈緒ちゃん、顔はやつれてない?」

「せやねん。なんでやと思う?」

「カロリーは足りてるんだと思うけど……」





……。


……。
よし、今日は居ない。
抜き足差し足忍び足。


自分の部屋の扉の前におばちゃんの部屋の扉がある。
そこを超えないと部屋にはいけない。



ガチャ。



「あーっ志保ちゃんおかえり~!」

「うっ……ただいまおばさん」

「今日もお疲れだったねぇ~。はい、これ景気付けに食べてね」

「あ、……ありがとうござい……ます」


家に帰って冷蔵庫をあける。
食べてない、開けてもないタッパーが山ほどある。


「……」




「……」




ボトボトッ……。べちゃ。


「……」



ゴミ袋にまとめて中身を捨てる。

……。

空になったタッパーは洗って返す。



「これありがとうございます。いつも」

「うんうん、はーい」


この日だけ、いつも私から行くときはそのまま10分以上話し出すのに
なるべく目を合わせないようにしていたからか、やけに早く引っ込んでいった。



またとある日。


帰宅時間も10時と遅くして
そっと帰る。
この時間になればおばちゃんは寝ている。




はずだった……。






玄関のドアノブには引っかかったビニール袋があった。
「お疲れ様、これ食べてね」
中にはタッパーとお惣菜が。



私はそれを食べずに中身を捨てた。





それはレッスンでの時だった。


……めまいがする。
クレシェンドブルーの曲なんて
静香ができるのに私ができない訳がない。


でも脚がもつれて、倒れてから全然起き上がれない。
ぐるぐるぐるぐる、目の前がまわる。




気がついた時は傍に立っていたのはプロデューサーだった。
私はベンチに寝かされていた。


「よぉ大丈夫か」

「……ええ」


立ち上がろうとした所を止められる。



「もう少し休めって。はい、水飲んで」



プロデューサーが未開封のペットボトルの水を目の前で開けてくれる。



「あーしほりん起きた!?」


茜さんが元気よく近づいてくる。
麗花さんも星梨花も静香も。


「はいはい、茜ちゃんの元気印の飴ちゃんだよこれ食べて元k


これ食べて


こ れ 食 べ て



「うっ、ああああァァア!!」



バシッ!!

「痛っ!?」


「志保……?」

その場にいた全員が私を異常者のように見てくる。


「ハァ……ハァ……ごめんなさい」


無い気力を振り絞って立ち上がる。


「プロデューサー、すみません。今日は帰ります」

「……お、おう送ってこうか?」

「……いえ、結構です。ほんと、大丈夫ですので」



家に着くと私はおばちゃんに会わなかったことに安堵していた。
今日は居ないんだ。
いつものように会えないことが分かるともうドアノブに引っ掛けるようになっていた。



……。


しかし、今日は様子がおかしかった。




引っかかっているビニールの大きさがいつもより大きい。
ドアノブにはメモ用紙に「ちゃんと食べないと元気でないよ!」と書かれていた。


ビニールの中身はタッパーに居れられもしないぐっちゃぐちゃの何かだった。
違う、よく見れば普通の食べ物だ。



ぐちゃぐちゃの……


ぐちゃぐちゃに


私が今朝ゴミ袋に捨てたタッパーの中身たちだった。

「……っっっ!!!!」



胸の奥から熱い何かがこみ上げてくる。
それもぐっちゃぐちゃの……。


ビニール袋を扉の前に捨てて自室に駆け込んだ。
便器に胃の中にあったものを全て吐き出す。


「ェ゛ェ゛ーーッッ!!ぅえぇッ!!……げほっげほっ」

私はそのままトイレの前に倒れた。




気がつくとトイレの前に倒れたままで服も自分のゲロまみれで
最悪の気分だった。
プロデューサーには早急に連絡をいれる。「体調が悪いので今日は休みます」


一人暮らし、誰も助けに来てくれない。
そうか……。と服を手洗いしながら悲しい気持ちになった。


布団をもう一度ちゃんと敷いて眠りにつく。

何も考えない。
目を閉じて、瞼の裏の闇を見つめる。




コンコン。





玄関の扉を叩く音がする。 


コンコン。


……背筋が凍る。
まさか、いやそんなわけ。







「志保ちゃーん? 今日は学校いかなくていいのーー?」

「ッッッ!!!」




なんで私が家にいることを……!?
いやまだ気がついてない。
家で寝てるなんて気がついてないはず……。






ドンドンドン!



「志保ちゃーん!? 志保ちゃーん!?」







ドンドンドン!!!



ドンドンドン!!!!!!!


ドン!!!ドン!!!ドン!!!!




耳をふさいでも聞こえてくる。


早く居なくなって!!
早く居なくなって!!


少しでも布団の中から動こうもののなら気配を察知されそうで一歩も動けない。



ドンドンドン……。
ガサガサ。




扉を叩く音が止む。
諦めて帰ってくれたか。
またドアノブにビニール下げて帰っていったか。





「はぁ……」



ドアの所までゆっくり行って小さな覗き窓からドアの外を覗く。
……見えない。真っ暗。


まつげかかってるのかな、と考えた瞬間、分かってしまった。
違う、この真っ暗は……




ドアの外から部屋を覗いている……!!!!!





「ひっ……!!!」


パッ、と口を手で覆う。


「志保ちゃーん??? お部屋にいないのーー??」


再びドア一枚向こうからする声に
固まって身動きが取れない。




しばらくしてドアの前から足音がして遠ざかる音と
隣の家の扉が絞まる音がする。
小さな覗き窓から覗いても今度はちゃんとドアの前が見える。
やっといなくなった……。


そうだ、分かるはずがない。
外側から中なんて見えないようになってるんだし、
たとえ覗いてたしてもこっち側が見えるはずがないんだ……。






はぁ……。



私は布団に戻ろうと振り返る。
窓の外のベランダ、締め切ってたはずのカーテンの隙間からおばちゃんがこっちを見ていた。


「ほぉら、居た。みーつけた」












その後、卒倒した私が目を覚ましたのは病院だった。
倒れた衝撃で後頭部を強打したらしく救急車で運ばれた。


プロデューサーは言った。
「俺があんなこと言ったばっかりに……すまん。
 もっと早く気がついてやれば良かったな……すまん」

「あとは俺が話つけとくから。しばらくは実家に帰りなさい」


病院のベッドの上でそんな話を聞いた後、
私はまた、少しだけ眠った。


おわり

志保誕の時と同じくありえそうだからヤバイ
乙でした

>>2
如月千早(16) Vo
http://i.imgur.com/1A7JRDg.jpg
http://i.imgur.com/zQuBZXk.jpg

>>4
矢吹可奈(14) Vo
http://i.imgur.com/kQHQF7j.jpg
http://i.imgur.com/eSCKLAD.jpg

>>5
最上静香(14) Vo
http://i.imgur.com/ZezFIWG.jpg
http://i.imgur.com/8rwDTFp.jpg

>>28
佐竹美奈子(18) Da
http://i.imgur.com/zIEgDHM.jpg
http://i.imgur.com/XDI4u1A.jpg

横山奈緒(17) Da
http://i.imgur.com/43dnkaI.jpg
http://i.imgur.com/tojq7WL.jpg

>>35
野々原茜(16) Da
http://i.imgur.com/1jwpfsx.jpg
http://i.imgur.com/RaFrgbg.jpg

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