ライナー「俺の同郷がこんなに可愛い」(156)

※同郷が幼馴染み、それを皆知ってるなどご都合主義設定

――――――――――――――――――――――――――――――――

―男子寮 朝

アルミン「朝だよエレン、起きなよ」

エレン「ああ、おはよう……」

ライナー「ベルトルト、お前もそろそろ起きろ」

ベルトルト「…………」

ライナー「おーい」ユサユサ

アルミン「姿が見えないね」

ライナー「こいつ丸まって寝るからな、布団の中に入り込んでる」

エレン「窒息しちゃうんじゃないか、布団剥がしてやれよ」

ライナー「それもそうだな、そうすりゃ起きるだろう。ほら」ガバッ

…ウワァァァ!?

―同時刻 女子寮

ミーナ「んー……あれ、私が一番かあ。珍しいなあ」

ミーナ「むふふ、アニの寝顔見ちゃおうっと」

ミーナ「アーニッ」ペラッ


キャアアアア!


ミカサ「何事!?」バッ

ハンナ「むにゃ……あれ、フランツはどこ……?」パチッ

ミーナ「わあ、起こしちゃってごめんね!あのね、アニがね、アニがっ」ワタワタ

ミカサ「落ち着いて。もう起床時刻だから大丈夫」

アニ「……んう……うっさい……」

ハンナ「ね、ねえミーナ、その子は誰なの?」

ミーナ「……アニ、じゃないかな……って」

ハンナ「アニ?確かに似てるけど……子供だよ?」

ミカサ「うん、アニを小さくしたよう」

アニ「……」ポー

ミーナ「ねぇ、お名前なんていうのかなぁ?」ニコニコ

アニ「……あんた誰なの」

ミーナ「」

―男子寮

ライナー「な…な…」

アルミン「い、いきなり叫んでどうしたの、ライナー」

エレン「おどかすなよ……ベルトルトは起きたか?」

ライナー「すまん……いや、起きたは起きたが……」

ベルトルト「んー……あ、おはようライナー」チンマリ

アルミン「えっ、こ、子供?」

エレン「……ベルトルトそっくりな子供だな」

ライナー「おそらく本人だ、俺はこの顔をよく知ってる。七歳くらいか」

アルミン「本人……でもなんで子供に?」ジッ

エレン「小さいな。コニー、いやクリスタより小せえんじゃないか」ジー

ベルトルト「ライナー……」サッ

アルミン「あ、怖がらせちゃったかな」

ライナー「人見知りなんだ、小さい頃は特にひどかった」

エレン「ベルトルト、俺たちのこと忘れちまったのか?」スッ

ベルトルト「……ライナー」ギュッ

ライナー「大丈夫だ、顔は恐いが悪い奴じゃない」

エレン「恐い顔で悪かったな……」ムスッ

アルミン「あはは、拗ねないでよエレン。でも本当に分からないんだね」

ライナー「みたいだな。どうしてこうなったか見当もつかないが……一先ず着替えて教官に会うか。お前らもついてきてくれるか?」

アルミン「うん、いいよ!」

ライナー「アルミンがいると説得力段違いだからな、心強いぜ」

エレン「頑張れよアルミン!」

アルミン「正直僕も分からないことだらけだけど……やれるだけやるよ」

ライナー「よし。ほら、行くぞベルトルト」

ベルトルト「うん……」

―食堂

ミーナ「ライナー達いないね」

ハンナ「まだ来てないのかな……フランツ!」

フランツ「ハンナ!」

ウフフフフ

ミーナ「ああー、二人の世界に行っちゃった……」

アニ「……降ろして」

ミカサ「それはできない相談」ガッシリ

アニ「蹴るよ」

ミカサ「小脇に抱えられているのに?今のあなたではリーチが足りない」

アニ「……」ムスー

ミーナ「ふふ、むくれるアニかわいい」


ジャン「お、おはようミカサ!」スッ

ミカサ「ジャン。おはよう」

ミーナ「ジャン、ライナー見なかった?」

ジャン「ライナー?見てねえな。用があるのか……その子供は何だ」

ミカサ「この子のことで用があるの」

マルコ「ライナーならエレンやアルミンと一緒に教官室へ向かうのを見たよ」ヒョコッ

ジャン「マルコ、よく見てたな」

マルコ「ジャンはミカサを見つけて一人で行っちゃったからね」

ジャン「そうだったか」

ミカサ「教官室……ありがとう」

ミーナ「行こっか、朝ごはんはまだ大丈夫だよね?」

ミカサ「ええ。速やかに済ませれば、きっと」

パタパタパタ

ジャン「行っちまった……」

マルコ「何だったんだろうね?」

ジャン「さあな、どうせまた面倒事の種だろ」

マルコ「今の子供、アニによく似てたね」

ジャン「妹かなんかか?……いや、ないな」

―教官室付近 廊下

ミーナ「あ、居た!ライナー!」

ライナー「どうした?……ってミカサ、その子供」

ミカサ「おそらくアニ」

アニ「ライナーだ、早く降ろさせてよ」ジタバタ

エレン「アニもか……」

ミーナ「も?そういえばベルトルト居ないね」

ミカサ「まさか」

アルミン「この、ライナーの陰に隠れてる子がベルトルトだよ」

ベルトルト「……知らない人増えてる……」ビクビク

ミーナ「へえ……小さくて可愛いね」エヘヘ

エレン「和んでる場合かよ……」

ライナー「俺たちは教官に事情の説明をしに来たんだが、お前らもか?」

ミーナ「ううん、アニが名前も教えてくれなくてね。ライナー探そうってなったの」

アルミン「じゃあこのまま一緒に説明しちゃおうか、教官室へ行こう」

―教官室

コンコン

キース「入れ」

ライナー「失礼します!本日――」

ハンジ「大丈夫、大体の事情は分かってるよ!」

エレン「!? 調査兵団の方がなぜ」

キース「それはな……」チラッ

ハンジ「私のせいだからだよ、ごめんね」

ミカサ「えっ」

キース「こちらは調査兵団のハンジ分隊長だ。……訓練兵の中に自身の開発した薬で

被害を受けた者がいる可能性がある、と昨晩連絡を受けてな」

ハンジ「今朝こっちに来たんだ。そこの二人でいいのかな、薬を吸っちゃったのは」

ライナー「薬の被害……?二人は大丈夫なのですか」

ハンジ「大丈夫だよ。ちょっとの間子供になるだけ。一日か二日間かな」

アルミン「その、断定される根拠とは?何の薬なのですか?」

ハンジ「一つずつ答えようか。薬はね、以前作った失敗作なんだけど」

アルミン「はい」

ハンジ「巨人を小さくする薬」

ライナー「」ビクッ

エレン「巨人を小さく……?」

ハンジ「実際投与したらさ、一日~二日で効果が切れちゃって。なんとか取り押さえたけど、あの時はもう」

キース「分隊長殿」

ハンジ「ごめんなさい。で、その後私もうっかり吸っちゃってね!人体にも同様の効果が出ました、って訳さ」

アルミン(生き急ぎ、って噂は聞いてたけどここまでとは)

エレン(戻らなかったらどうするつもりだったんだよ)

ハンジ「君達」

アニ「?」ポカン

ベルトルト「はい……」オドオド

ハンジ「少し前に、倉庫のお掃除しただろう?覚えてるかな?」

ベルトルト「え……」

アニ「知らない」

ハンジ「んー、やっぱり記憶も戻ってるか……困ったね」

ライナー「私が覚えています」

ハンジ「おお、頼むよ」

ライナン「あの日は私とレオンハート、フーバーの三名で第五倉庫の清掃を担当していました。」

ハンジ「うんうん、そこでなにか薬品こぼれてなかったかな?」

ライナー「そのような報告はありませんでしたが、蓋がとれた空瓶の入った箱があったかと。中身を点検し、棚に納めました」

ハンジ「じゃあ、その時に気化したのを吸い込んだんだろうね……君は平気なの?」

ライナー「ハッ、今のところは」

ハンジ「そうか、吸引量が少なかったのかな……じゃあキース教官、私は早速薬を回収に。倉庫の鍵借りますね」ガチャ

キース「お願いします……貴様らは両名が元に戻るまで面倒を見てやれ。その体では不自由も多いだろう」

「ハッ!」バッ!

アニ「……なにあれ?」

ベルトルト「ライナーもやってるね……まねしておこうか」バッ

アニ「うん」バッ

ミーナ(きゃわわ……っいけないいけない)

一旦ここまで

二人から見るとライナーのほうがでかい兄ちゃんになっちゃってるわけなんだが
そこら辺は違和感ないのかw

―食堂

ミーナ「よかった、朝ごはんまだ残ってて」

ミカサ「ええ、意外とすんなりいった」

アルミン「ハンジ分隊長が居たからね、原因も治る条件もすぐ分かったから」

エレン「そこは不幸中の幸い、って感じだったな……ライナーは大変だけどな」

アニ「ライナー、スプーン大きくて使いにくい」グイッ

ベルトルト「ライナー、知らない人が沢山いる……こわい」ギュウ

ライナー「アニ、小さいスプーンを借りてきてやるから引っ張るな。ベルトルト、少し離してくれるか」

ベルトルト「えっ……」

ライナー「こいつらがいるから大丈夫だ。俺の友達だからな、怖くないのは分かっただろう」

ベルトルト「……うん」チラッ

アルミン「あっ、ちょっと気を許してくれたね」ホッ

エレン「怯えられっぱなしにはならなさそうだな」ホッ

アルミン「はは、今朝の「恐い顔」気にしてたの?」

エレン「まあな……」

ミカサ「大丈夫、エレンは優しい。私達はよく知っている。きっと分かってもらえる」


アニ「パン大きい」ムグ

ベルトルト「大きいね」ニコニコ

ミーナ「ウフフ、今の二人には多いかな?」

サシャ「食べきれないのでしたら是非私に!」ズイッ

ミーナ「わあっ!サシャ、どこから」

サシャ「パンが余る匂いがしましたので!」

アニ「……パン欲しいの?」ムグムグ

サシャ「下さるんですか!小さいアニは天使ですね!」パアア

アニ「ちょっとならいいよ、はい」チギリ

サシャ「やったぁー!ありがとうございます!」

ベルトルト「……あ、あの」オドオド

サシャ「ウム?」モゴモゴ

ベルトルト「そんなにお腹空いてるんですか?」

サシャ「ごくん。ええ!」

ベルトルト「……はい、どうぞ」チギリ

サシャ「どうもありがとうございます!小さいベルトルトも神様の如しですね!」


ユミル「おい見ろクリスタ、芋女がガキに餌付けされてるぞ」

クリスタ「……この子たちって、アニとベルトルト?」

ユミル「確かによく似てるが……おい、ライナー」

ライナー「やっと戻ってこられた……うん?どうした」

クリスタ「おはようライナー」

ライナー「クリスタ、おはよう」

ユミル「このガキ共はベルトルさんと、アニか?」

ライナー「そうだ。色々あってな……教官にも話はつけてある」

クリスタ「その小さいスプーンは二人の?」

ライナー「ああ、いつものが使いづらいと言うから借りてきたんだ」

クリスタ「ふふ、ライナー優しいんだね」ニッコリ

ライナー「そ、そうか?」テレッ

アニ「ライナー、スプーン早く」グイーッ

ベルトルト「…………」ガシッ

ライナー「だから引っ張るな……ベルトルトも無言で腕にしがみつくな」

ミカサ「フフ、ライナーはお父さんみたい」

アルミン「ミ、ミカサ、せめてお兄さんって」

エレン「いや、どう見ても父さんだぜあれ」

ライナー「ほら、アニ。ベルトルトも」

アニ「ありがと。やっとスープ食べれるよ」パシッ

ベルトルト「僕のも?ありがとうライナー」ニコ

ミーナ「はあ、可愛い……お手手小さい……」ポワーン

クリスタ「ミーナ、幸せそうだね」

サシャ「可愛いもの好きですもんねえ」

一回休み また後でもう少し投下

>>17 一応理由はあります しょうもない理由が

ジャン「お前ら何を固まってんだよ?……子供が増えてやがる」

マルコ「みんなおはよう。アルミン、その子達は誰だい?」

アルミン「おはよう、色々あってさ……」カクカクシカジカ

マルコ「それじゃ、弟妹とかじゃなくて本人なのか?」

ジャン「何でもありだな調査兵団……」


サシャ「もぐもぐ……あっ、おはようございますコニー」

コニー「よっ。そいつらは誰かの弟妹なのか?」

サシャ「アニとベルトルトです!天使のような子たちですよ!」

コニー「まじか!ベルトルトが俺より小さい!うちの弟くらいか?」

ワイワイキャッキャ

ジャン「……感覚で理解できる奴らは楽だな」

アルミン「そうだねえ」ハハハ

アニ「またいっぱい来た……」ゴクン

ベルトルト「……この人たち、みんなライナーの友達?」

ライナー「そうだ、だから怖くない」ポンポン

ベルトルト「……そっか、怖くないんだ」

アニ「もぐ……ライナー」

ライナー「なんだ、スープが熱いか?」

アニ「ちがう。あんただけなんでそんなに大きくなってるの?」

ベルトルト「ほんとだ、ライナーが大人みたい!」

ジャン「今疑問に思ったのか、結構遅いな」

ユミル「そういや、今まで何で普通に懐いてたんだろうな」

ミカサ「幼馴染みの本能を侮ってはいけない……私も、エレンやアルミンが大人や子供になっても即座にわかる自信がある」

マルコ「な、なるほど。そういうものなのかな?ミカサが言うとやたら説得力があるなあ」

ベルトルト「ライナー、ここはどこなの?この人たちは?」

アニ「なんでそんなに大きいの?」

ライナー「ここは訓練兵団だ。俺達はここで兵士になるため様々な訓練を……」

ベルトルト「??」

アニ「わかんない、もっと簡単に言って」

ライナー「俺達は色々あってここで暮らしている。こいつらは仲間だ。

お前達も少ししたら大きくなるから気にするな。分かったか?」

ライナー(……まだ戦士として教育を受ける前か、うっかり口を滑らすことはなさそうだ)

ベルトルト「うん、わかったよライナー。ライナーは先に大きくなったんだ」

アニ「あんた年上だもんね」

ベルトルト「大きいライナーは友達がいっぱいいるんだね」

ライナー「……そういうことだ、よく分かったな」ナデナデ

ベルトルト「えへへ……」

アニ「ちょっと、髪やってもらったのにくずれるでしょ」アセッ

ミーナ「またやってあげるよ」ウフフ

ユミル「なんともまあ。随分ザックリした結論が出たもんだな」

クリスタ「まだ小さいから、あんまり難しいこと言われてもわかんないもん。

私達が仲間だって知ってくれてるだけで十分だよ」

ユミル「はいはい、相変わらずの女神さまっぷりで」ナデクリ

カンカンカンカン

サシャ「お、鐘の音。あと十分で朝食が終わりますね。ふふふ、食べきるお手伝いなどしますよぉ、皆さん」

アルミン「わわっ、皆食べ終わってたの!?」

ライナー「俺達は遅れて来たからなあ」

ミーナ「すっかりみとれてたあ!」

エレン「やべえ、急いで食っちゃわないと……!」モグモグ

ミカサ「エレン、急ぎつつよく噛むようにして」


アニ「……さわがしい」

ベルトルト「うん。でも、よかった。ほんとに怖い人たちじゃないんだね」

短いけど一回終わり また深夜に投下します

―兵舎廊下 各寮への別れ道

ミーナ「じゃあ、アニはここで一回お別れね」

アニ「なんで?」

サシャ「私達は男女で別れて生活しているからですよ。起きた時もライナー達は居なかったでしょう?」

アニ「なんで別なの?一緒にいればいいのに」

ミカサ「流石はアニ。私もそうしたいのは山々……

でも、大きくなると色々不都合が出るらしいから駄目、と上の人が。家族なのに」ションボリ

アニ「大きくなるのも面倒くさいんだね」

ユミル「お前は大きくなってもチビッ子だったけどな」

クリスタ「もう、ユミル!そういうこと言わないのっ」

ライナー「すまん、女子寮までは入れないからな」

ミーナ「うん、アニはまかせて!」ギュッ

アニ「じゃあまたね。ライナー、ベルトルト」フリフリ

ベルトルト「うん、またね」

ライナー「またな。……さて、俺達も着替えて訓練に急ぐか」


アルミン「午前は立体機動だよね、ご飯ゆっくり食べればよかったなあ」

ベルトルト「ごめんなさい……僕たちのせいで」

アルミン「あっ、ごめんね。ベルトルトのせいじゃないよ」ワタワタ

エレン「別に敬語じゃなくてもいいんだぞ、ベルトルト」

コニー「そうだぜ、いつもみたいにさ」

ジャン「元は一つ上だしな。いつものタメ口のがやりやすい」

ベルトルト「元?」

マルコ「今は気にしなくていいよ。ただ、ライナーに話すときみたいにお話してほしいなってことだから」

ベルトルト「……でもお兄さんたち年上だし……そうだよね、ライナー」

ライナー「普通はな。こいつらは俺の友達で、お前の友達でもあるんだ。遠慮せず普通に接していいと思うぞ」

ベルトルト「……じゃあそうする」

アルミン「小さい頃から大人しいんだね。ベルトルトは」

エレン「その点アニって怖いものしらずだよなぁ」

コニー「さすがレオンハートだよな!」

ジャン「どういう理屈だ、馬鹿」

投下終わり 次は昼か夕方の予定


―立体機動訓練場 午前

キース「それでは、本日も三人一組での立体機動訓練を行う!

目標は迅速な目的地点への到達!チームの連携も重要だ、一人で先走りすぎるな」

ライナー「教官」

キース「どうした、ブラウン」

ライナー「あの二人、連れては来ましたが。訓練に参加させるのは危険すぎるかと」

キース「その事か。貴様が心配せずとも、私と共にゴール地点で待機させておく」

ライナー「ハッ、出すぎた真似を」

キース「いや、友を思う気持ちの発露だろう。よし、出発しろ!」

「ハッ!」パシュッ

アニ「おおー」

ベルトルト「空を飛んでる……」

キース「さあ、お前達も行くぞ。馬車まで手を繋ぎなさい」

アニ「はい、教官」バッ

ベルトルト「おねがいします、教官」バッ

キース「……もう敬礼を覚えたか、偉いな」ニコ



エレン「……なあ、アルミン。あれ……」

アルミン「きょ、教官にも色々あるんだよ、きっと」

ミカサ「お孫さんが欲しかったのかも」

―立体機動訓練場 ゴール地点

ジャン「よし、やったな!一位だ!」

ライナー「ああ、やっぱりお前は立体機動が上手いな」

ジャン「まあな……ん?教官はどこだ?」

サシャ「あそこです!」ビシッ

ジャン「さっさとチェック貰うぞ……おい」

ライナー「あれは……」

サシャ「……アニをおんぶしてますねえ。ベルトルトの手を引きながら」


ベルトルト「ご、ごめんなさい、教官……」ウトウト

アニ「ぐう」zzz

キース「構わん、お前も眠いならこの木陰で寝るといい」

ベルトルト「はぁい……」ウトウト

キース「よしよし、レオンハートも降ろしてやろう……」ニコニコ

ライナー「きょ、教官っ」

キース「!」

ジャン「第一班、只今到着致しました!」

キース「…………」

「…………」

キース「…………よし、貴様らが一位だ。ここで待機していろ」

「ハ、ハッ!」バッ

ジャン(恐え……何だよあのオーラ)ヒソヒソ

サシャ(見られたのが不覚だったんですかね、教官的に)ヒソヒソ

ライナー(だろうな。……それにしても)ヒソヒソ

アニ「むにゅ……」zzz

ベルトルト「……」スヤスヤ

ライナー「よく寝てるな」フッ


サシャ「ミカサも言ってましたけど、やっぱりライナーってお父さんの風格ありますよね」

ジャン「ああ、あの笑い方は父親のそれだな」

ライナー「せ、せめて兄貴だろう。まだ17だぞ俺は」

ジャン「俺らにとってはな、あいつらに対しては兄貴よりか父親寄りだ」

サシャ「いいお父さんです!」

一旦ここまで 次回は夕方予定
個人的にデレキースは幼児化の醍醐味

夕方とかいってだいぶ遅れた ごめんなさい
投下再開

―立体機動訓練場 数十分後

モブ「第十五班、只今到着致しました!」

キース「貴様らが最後だな……全員整列!」

アルミン「最後の班が到着したみたいだね」

エレン「やっとか、これで解散だな」




キース「――――くれぐれも次の訓練に遅れないように。では、解散!」

ライナー「……参ったな」

クリスタ「どうしたの、ライナー?」

アニ「すぴすぴ」

ベルトルト「……」スウスウ

ユミル「まだ寝てんのか、本当にガキなんだな」

ライナー「こいつら、一向に起きる気配がないんだ……抱き上げるにも装置を着けて二人は難しい」

ユミル「行きは馬車で来たんじゃないのか?」

アルミン「教官は臨時の施設点検が入って、しばらく残るらしいよ」

サシャ「ハイッ、私がアニをおんぶしますよ!パンの恩がありますからね!」ビッ

コニー「なら俺ベルトルト!いつもは絶対ムリだもんな!」ビッ

ライナー「気持ちは嬉しいが、どっちかでいいんだぞ?」

ジャン「まあそう言わず任せたらどうだよ?一日一人で子守も疲れるぞ、オトーサン」ポン

マルコ「ジャンの言う通りだよ、ライナー。僕らにできることがあったら言ってほしい」

ライナー「……そうだな。よし、サシャ、コニー!頼んだぞ」

サシャ「はい!ミーナ、アニを乗っけてください」

ミーナ「わかった、お願いね……寝顔可愛いな」

サシャ「子供でも、結構ずっしりきますね」

ミカサ「眠っている人間は、完全に脱力しているから。起きてるのを背負うより重いの」

ミーナ「なるほど」


コニー「エレン、こっちも頼む」

エレン「落とすなよ」

コニー「落とさねえよ、これでも村では弟妹をよくおぶってたんだからな!」

エレン「そっか、コニーはいい兄さんなんだな」ニカッ

コニー「おうよ!」フンス

――兵舎廊下 各寮への別れ道

ジャン「次は固定砲の模擬練だったか。起きねえな、そいつら」

サシャ「ぐっすりですね」

ミーナ「壁上に連れて行くのも危ないよね……どうしよう」

クリスタ「キース教官もいないし……寮でお留守番?」

アルミン「ちょっと不安だけど、置き手紙でもしてあれば安心かな」

エレン「ああ、大砲の横にいるよりはマシだろ」

ライナー「じゃあ俺達の部屋に二人とも寝かせるか。起きたら一人ぼっち、じゃな……サシャ、アニを渡してくれ」

サシャ「お願いしますね」ヨイショ

――男子寮

アニ「……」zzz

アニ「……んむ」パチッ

アニ「……ここどこ」


ベルトルト「……」スヤスヤ

アニ「ベルトルト、起きな」ペシペシ

ベルトルト「……ぅ……アニ?」

アニ「おはよ、ここどこ?」

ベルトルト「おはよう……あっ、僕が朝いたところだよ」

アニ「じゃあライナーの部屋?」

ベルトルト「うん、あとエレンと、アルミンと僕」

アニ「エレンとアルミン……?ああ、まん中分けと金髪の?」

ベルトルト「そうだよ」



ベルトルト「」キョロキョロ

アニ「どうしたの」

ベルトルト「みんな、いないね……」

アニ「……ほんとだ」

ベルトルト「……ライナーどこ?」グスッ

アニ「もう、すぐ泣かない。男でしょ」ゴシゴシ

ベルトルト「ごめん……」

今日はここまで コニーのお兄ちゃん属性はいいものだ

<カサッ

アニ「あれ、なんかある」

ベルトルト「なにその紙?」

アニ「字が書いてある。読むね」

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アニとベルトルトへ

オレはくんれんにいってくる

すこしあぶないところでのくんれんなので、

おまえらはここでおとなしくしておくこと

2じかんくらいしたらもどる、いいこでまってろ

               ライナー
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ベルトルト「ライナーの手紙だ!」

アニ「訓練だって。また空飛ぶのかな」

ベルトルト「危ないところって書いてある、ライナー大丈夫かな」アセッ

アニ「あいつは強いから大丈夫だよ」

ベルトルト「……そうだね、ライナーなら大丈夫だよね」ニコ

アニ「いい子で待ってろ、だって。なにする?」

ベルトルト「アニがしたいことでいいよ」

アニ「じゃあねえ……」ウーン

―1時間経過

アニ「かくれんぼ飽きてきた」

ベルトルト「もうかくれる場所ないもんね……」

アニ「ままごとも飽きたし」クテー

ベルトルト「じゃあ、次はなにする?」

アニ「ん……ねえ、ライナー遅いね」

ベルトルト「……うん」

アニ「”2じかん”ってどのくらい?」

ベルトルト「わかんない……危ないところでケガしてないかな」ションボリ

アニ「ライナーなら平気だよ。もうちょっと待とうか」ポフポフ

ベルトルト「……うん」

―1時間45分経過

ベルトルト「……なんでだれの声もしないんだろう」

アニ「もしかして、みんないなくなっちゃったのかな……」

ベルトルト「えっ」ビクッ

アニ「ライナーも、もう帰ってこないのかも……」

ベルトルト「や、やだよそんなの!……ライナーがいないなんて……うぇっ」

アニ「な、泣かないでよ」アセッ

ベルトルト「だって……ひぐっ……」ボロボロ

アニ「」ウルッ

ベルトルト「! ア、アニ……泣かないで」ヨシヨシ

アニ「……泣いてない」ウルウル

―15分後 男子寮 廊下

テクテク

ライナー「なあ、エレン。なんか、泣き声みたいの聞こえないか?」

エレン「ああ、そういえば微かにするような。あいつらか?」

アルミン「二人に何かあったのかな……あっ、ライナー!」


バタン!


ライナー「おい、どうしたお前らっ!?」

ベルトルト「うえええっ……ライナー!」パアッ

アニ「……ライナー?」グスッ

ベルトルト「ライナー!ケガしてない!?」ギュウウ

アニ「バカぁ……ふえっ」

ライナー「ど、どうした、そんなに泣いて!? どこか痛いのか?ケンカしたか?」オロオロ

ベルトルト「ちがうよ、ライナー帰ってこないからっ……」ポロポロ

アニ「遅い……えぅっ」ギュッ

ライナー「……ああ、悪かったな。俺は無事だから、二人とももう泣き止んでくれ」ギュッ ナデナデ

ベルトルト「……っ」ギュウ

アニ「うー……」ギュー

エレン「……なあアルミン、特に訓練は長引いたりしなかったよな?」

アルミン「子供のうちって、時間が実際より長く感じるからね。急に寂しくなったりもするしさ」

エレン「ああ、そういや小さい時はそんなこともあったような」

アルミン「僕も一人でいたとき、妄想が妄想を呼んで不安になったりしてたし。二人もそうだったんじゃないかな」

エレン「なるほどなあ……アレ、ライナーは大変だろうけど微笑ましいな」ハハッ

アルミン「そうだね」フフ

ここまで

―食堂 昼食

クリスタ「ライナー、私達も前いい?」

ライナー「ああ、いいぞ」

ミーナ「なんだか二人には久しぶりに会う気分……朝以上にくっついてない?」

ライナー「まあ色々あってな」

アニ「ライナーがどっか行くから」ギュー

ベルトルト「」ギュー

ミーナ「いいなぁ、今だけライナーになりたい……」

クリスタ「……ちょっと分かるかも、それ」

ユミル「やめてくれクリスタ!」

ライナー(クリスタが俺に……どうなんだそれは)

ユミル「にしても、甘えん坊だなチビ共は……元に戻ったときに言ってやろう」ニヨニヨ

クリスタ「いじわる言わないの!今は小さいんだから仕方ないでしょ」プクッ

ライナー「大きい時が冷静な奴らだったからな、違和感はあるだろうが」ハハ

クリスタ「」ジー

ミーナ「アニ、どうしたの?パン持ったまま」

アニ「パンの人は?」

ミーナ「パンの人?」

アニ「朝パンあげた人」

ライナー「サシャか」

クリスタ「ちょっと遅れてくるって。……サシャにパンあげたいの?」

アニ「うん」チギッ

ベルトルト「あっ、僕も」チギリ

ユミル「芋女の餌付けが進むな。……餌付け、か」フム

―食堂 昼休み

ミーナ「パンだけでも食べられてよかったね。サシャ」

サシャ「罰則でご飯を抜かれた時はどうしようかと思いましたけど……天使達のおかげですよ」モグッ

アニ「スープはとっとけないから」ポンポン

サシャ「有難い……有難い……」モグモグ

ミーナ「あれ、ユミルは?」

クリスタ「どこかに行っちゃった……すぐ戻ってくるらしいけど」

ガチャッ


ライナー「噂をすれば、だな」

クリスタ「どうしたの、ユミル?」

ユミル「寮に行ってた。なあチビ共、これ欲しいか?」チラッ

サシャ「ビスケット!欲しいです!!」ガタタッ

ユミル「お前には聞いてねえし、第一前にやっただろ……で、どうなんだ?」

アニ「くれるの?」キラキラ

ベルトルト「……」ドキドキ

ユミル「欲しいなら手出してみろ」ヒョイッ

アニ「はい」スッ

ベルトルト「……はいっ」スッ


ユミル「よーし……」スー…


ユミル「」パクッ

アニ「!」

ベルトルト「!?」


ユミル「……プッ……ダハハハハ!キレイにひっかかったな!」

ライナー「おっ、お前なあ」アセッ

アニ「な、なんで食べちゃうの!」ムウー

ベルトルト「……」ジワ

クリスタ「ユミル!いじわるしないでって言ったじゃない」

サシャ「アニがどんどんむくれてますねえ……ベルトルトも涙目ですし」

ミーナ(かわいそうだけどかわいい)ウットリ


――――――――――――――――――――――――――――――――――

ユミル「あー笑った……いや、悪かったよチビ共。今度は本当にやろう」ヒョイ

アニ「アニ」

ユミル「ん?」

アニ「チビじゃなくてアニ。こっちはベルトルト」

ユミル「……ああ、悪かったなアニ。ベルトルさんも」ナデナデ

ベルトルト「ベルトルさん?」キョトン

ユミル「あだ名だよ。ほら手出せ」

アニ「……ありがと」テレ

ベルトルト「あ、ありがとう」ニコ


クリスタ「ごめんね、ユミルなりに遊んでみたかっただけだと思うの……気を悪くしたのなら」

ライナー「気にするなクリスタ。あいつの性格上、素直に遊びたいと言えなかったんだろう。最後は仲直りしたみたいだしな」ニッ

クリスタ「……ふふ、そうだね。ありがとう、ライナー」

ここまで 多分ライナーもスレタイ言ってる時はちょっと自慢げだと思う

―座学教室 午後

ライナー「いいか、静かに大人しくしてるんだぞ」

アニ「うん」

ベルトルト「わかったよライナー」

ライナー(小さい時から無闇に騒ぐタイプじゃなかったが……興味のない話で1時間半、大丈夫か?)

ガララ

眼鏡教官「講義を始めるぞ」

―30分後

眼鏡教官「では、この問題について順番に……レオンハート、フーバー、ボット」

マルコ「!?」

アニ「はい」カタッ

ベルトルト「……次は僕かあ」ドキドキ

ライナー「きょっ、教官!二人は……」ガタッ

眼鏡教官「うん?ああ、すまない。そうだったな」

眼鏡教官「レオンハート、着席」

アニ「ちゃくせき?」

眼鏡教官「座っていいぞ」

アニ「はい」

眼鏡教官「それでは二名に代わって……ブラウン、アルレルト」

―座学終了後 廊下

ベルトルト「みんなすごいなあ、頭いいんだね」

ライナー「ありがとよベルトルト」ナデナデ

アニ「アルミンも教官みたいだったよ」

アルミン「ほ、褒めすぎだよ」テレッ

ミーナ「二人もちゃんとしててお利口さんだったね」

ミカサ「アニ、立っていたけど問題がわかったの?」

アニ「ううん。呼ばれたから」

エレン「……まあそうだよな」

コニー「後は飯食って、風呂入って寝るだけだなー」ノビー

サシャ「今日も頑張りました!」フイー

ジャン「てめえらは座学でも寝ただろうが……」

―食堂 夕食


エレン「もうライナーが子供に挟まれてる光景にも慣れたな」

アルミン「ハンジ分隊長によると、明日か明後日の朝には戻るんだよね」

アニ「ライナー」ツンツン

ライナー「どうした?」

アニ「なんで私とミーナのチーズは色がちがうの?私たちは三人とも一緒なのに」

ベルトルト「あれ、アルミンのチーズも黄色だね」

ミーナ「成績上位者にはちょっといいチーズがつくらしいよ。その白いの。二人が頑張った結果ね」ニコ

アニ「ふーん……」ジー


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

エレン「アルミン、ちょっと交換しようぜ」

ミカサ「私のも」

アルミン「え、嬉しいけど……悪いよ」

エレン「いいんだって。黄色も食べてみたいんだ」

ミカサ「うん。半分ずつ分けよう」

アルミン「それだと僕全部白になっちゃうよ……」アハハ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アニ「ミーナ、私たちもあれしよう」グイ

ミーナ「えっ、いいの?」

アニ「ライナーとベルトルトとはできないもん」

ミーナ「ふふ、じゃあ半分とりかえっこね」

アニ「……うん」ニコッ

ミーナ「あっ、今ちょっと笑ったね。可愛いよ」

アニ「……笑ってない」フイッ

ベルトルト「……」ジー

ライナー「お前もあれ、やりたいんじゃないのか?」

ベルトルト「……でもライナーは」

ライナー「俺じゃなくてもいいだろ。そうだな……ユミル!」

ユミル「あん?」クルッ

ライナー「ベルトルトとあれをしないか?」

ベルトルト「ラ、ライナー!」

ユミル「アレ?……ああ、いいぞ。待ってろ」スタスタ




サシャ「ユミルもすっかりいいお姉さんですねえ」フフフ

ユミル「そんなんじゃねえよ、私が得する交換だから乗ったんだ」

クリスタ「もう、またそんな言い方したりして」ウフフ

ユミル「クリスタ……お前もか」

ユミル「ほらよ、ベルトルさん」スッ

ベルトルト「あっ。え、えっと……」

ユミル「なんだよ」

ベルトルト「ありがとう、ユミル」フワッ

ユミル「……ああ。そっちのも半分寄越せよ」ポフ

ベルトルト「うん」



サシャ「むむ、私も黄色いチーズが気になります。ハンナなら分けてくれますかね?」

クリスタ「サシャ、あの二人の世界に入っていけるの?」

サシャ「……危険な匂いがしますね。トーマスあたりと交渉するとしましょう」

ここまで 実際訓練兵ってどの程度のもの食べられるんだろう

―廊下 夜

ライナー「じゃあ、アニはあっちでな」

アニ「うん。おやすみライナー」ギュー

ライナー「おう」ギュッ

「!?」

アニ「ベルトルトも」ギュー

ベルトルト「おやすみ、アニ」ギュー

ミーナ「あ、あの……それは?」

アニ「?おやすみのあいさつだけど」

アルミン「ライナー達の故郷の風習なの?」

ライナー「流石にこの歳ではしなくなったけどな。小さいうちは皆やる」

クリスタ「アニ、私達にもしてくれる?」

アニ「おやすみの時にね」

―男子寮 廊下

マルコ「じゃあ、僕らはこっちだから」

コニー「また明日なっ、ベルトルト」ギュー

ベルトルト「コニーもおやすみ」ギュー

ジャン「……おい、何してんだ馬鹿」

コニー「分からねえのか?あいさつだ」

ジャン「それは分かるけどよ」

マルコ「おやすみ」ギュー

ベルトルト「おやすみなさい」ギュー

ジャン「マルコ!?」

マルコ「子供だから、儀式としてこういうのが必要なんじゃないかな?ジャンもしなよ」

ライナー「してやれよ、ジャン」ハハハ

アルミン「弟ができたと思ってさ」

ジャン「お前らからやれ!」

エレン「アニがおやすみの時って言っただろ、俺達は部屋でするんだよ。お前らはここで別れるじゃねえか」

ジャン「くっ……」

ベルトルト「ジャ、ジャン……」

ジャン「あ?」

ベルトルト「……迷惑かけてごめん……」ショボン

ジャン「…………ほらよ」ギュ

ベルトルト「!……おやすみ」ギュー

―同時刻 女子寮廊下


クリスタ「アニ、おやすみなさい」ギュム

アニ「クリスタおやすみ」ギュー

サシャ「私ともしましょう!」ギュウッ

アニ「うん」ギュー

クリスタ「次はユミルね!」

ユミル「はいよ……これは何の効果があるんだよ」ギュ

アニ「よく寝れるよ」ギュー

ユミル「どうだか……」ギュー

ミーナ「ア、アニ」ソワソワ

ミカサ「私達は部屋でするんでしょう」

ハンナ「うふふ、フランツ素敵だった……皆はなにしてるの?」

ミカサ「おやすみの挨拶を」

ハンナ「そうなの?よくわからないけど素敵ね」

投下ここまで

―女子寮 夜

アニ「」ウトウト

ミーナ「消灯時間までまだあるけど……アニが眠そうだし、もう寝ちゃおうか」

ハンナ「ええ」


ミーナ「じゃ、じゃあアニ」

アニ「……うん、あいさつして寝るよ。ミカサ、おやすみ」ギュウ

ミカサ「おやすみなさい」キュッ

アニ「ハンナもおやすみ」ギュウ

ハンナ「ふふ、おやすみなさい」ギュッ

アニ「ミーナもおいで」

ミーナ「うん!アニ、おやすみっ」ギュムー

アニ「はいはい、おやすみ」ギュウ

ガチャ

キース「……」

ミカサ「……教官」

ミーナ「こ、これはですねっ、あの」

アニ「おやすみのあいさつです。教官も」スッ

キース「……うむ、ゆっくり休め」ギュ

アニ「おやすみなさい」ギュウ

「……」

キース「……」

キース「……急激に発生した暴風雨が接近中だ、雨戸を閉めておけ。連絡事項はそれだけだ」

「ハ、ハッ!」バッ

アニ「?」バッ

―15分後 男子寮

アルミン「おやすみー」ギュッ

ベルトルト「おやすみなさい」ギュー

エレン「ん、ベルトルト」スッ

ベルトルト「おやすみエレン」ギュー

エレン「おう、おやすみ」ギュウ

ガチャ

キース「……」

ライナー「教官!?」

キース「暴風雨が接近している、雨戸を閉めろ。……フーバー」スッ

ベルトルト「教官、おやすみなさい」ギュー

キース「うむ……早めに寝るように」ギュ


バタン


アルミン「……ビックリしたね」

エレン「……教官はなんで「あいさつ」知ってたんだ?」

アルミン「先に女子寮に行ったんじゃないかな。その時アニに会ったとかだよ……多分」

ライナー「まさか乗ってくるとはなあ……」

ベルトルト「? ライナーの番だよ」ギュー

ライナー「あ、ああ、そうだな。おやすみ」ギュウ

―翌朝 男子寮

ライナー「ベルトルト……お前……」

エレン「ふわぁ……どうした?」

アルミン「ベルトルト戻った?」

ライナー「いや……それが」

ベルトルト「」スウスウ

エレン「うわ、すげえ寝方してるな」

アルミン「ベッドの隅っこにいる……大移動だね」

ライナー「こいつ、小さい頃から寝相が凄まじく悪くてな……

最近は治まったと思ったんだが、ぶり返したな」

エレン「あれ、昨日昼寝してた時大人しかったよな?」

アルミン「今日で二日目だし、子供に慣れてきてぶり返したとかじゃない?」

ライナー「そんなところだろう。しかし、天気が大荒れだな」

アルミン「昨日は晴れてたのにね。せっかくの休日だけど、今日は兵舎にいるしかないかな」

―食堂 朝


ライナー「おはよう」

クリスタ「おはよう、すごい天気だね」

アニ「」ボー

ベルトルト「アニ眠いの?」

ミカサ「嵐の音でよく寝られなかったみたい」

ミーナ「途中から私が抱きしめて寝たんだよ。それでやっと寝てくれたの」

アニ「! ミーナ、それ言わないでよ……」


ピシャン!


アニ「」ビクッ

サシャ「アニ、雷怖いんですか?」

アニ「こ、こわいわけ、ないでしょ」ギュウウ

ミーナ(そんなこと言って。ライナーにしがみついてるのに……)ウフフ

ベルトルト「……ライナー、ライナー」ドキドキ

ライナー「ああ、お前はそうだったな。ちょっと落ち着け」ポフポフ

ベルトルト「窓見てきていい?」

ライナー「開けるなよ」

ベルトルト「うん!」トテテ


ワアー…


ジャン「マルコ、ベルトルトってあんなに落ち着きなかったか?昨日は大人しい子供だったよな」

マルコ「嵐の非日常感と恐怖でわけわかんないテンションになってるんじゃないかな。大きいときは抑えてたとか」

ジャン「……ああ、いるよなそういう奴」

投下ここまで


エレン「一日兵舎で過ごすのかー、何するかな」

アルミン「僕は図書室で本を読んで過ごそうかなって」

ミカサ「エレン、危ないから絶対に外に出ては駄目」メッ

エレン「するかよ、ガキじゃあるまいし!」

ミカサ「エレンは小さいとき、外に出て風雨を体感しようとしておばさんに怒られていた」

エレン「いくつのときの話してんだよ……」


アニ「ベ、ベルトルトも出ちゃダメだからねっ」

ベルトルト「出ないよ、こわいもん。窓から見るだけ」

アニ「よし、いい子」ナデナデ


サシャ「姉弟みたいですね」

ミーナ「今日で二日目だから、もうすぐ治るんだよね。ちっちゃい二人も見納めかあ」

ライナー「そうだったな、明日の朝には元通りだろう。……ところでお前ら」

アニ「なに?」

ライナー「あんまり両方から乗り出されると、挟まれて狭いんだが」

アニ「だってライナー大きいから、こうしないとベルトルトなでれない」

ベルトルト「ねえ」


ユミル「クリスタぁ、私も外に出ないからいい子いい子してくれ」

クリスタ「ユミルはもう……。私たちの歳なら当たり前でしょ!」


ベルトルト「……」

ユミル「なんだよベルトルさん、じっと見て」

ベルトルト「ユミルはけっこう甘えんぼなんだなあって」

クリスタ「うふふ、言われてるねユミル」クスクス


ユミル「……こっちこい」

ベルトルト「? わあっ!」ガシッ

ユミル「お前たち今日は生意気だな、こうしてやる!」ワッシャワッシャ

ベルトルト「やめてよお」アハハ

クリスタ「なんで私もなのー」キャー


ミーナ「ユミルもすっかり仲良しだね」

ライナー「ああ、案外いい姉さんだな」

アニ「まったく、子供なんだから……」


ピシャーン!


アニ「」グッ…

ライナー「アニ、脇腹に顔を突っ込むのはやめてくれ!くすぐったい!」

アニ「いや!」グリグリ

ライナー「せ、せめて背中にしろ背中に!」

ミーナ「あらら……」

投下ここまで


―食堂 午前

エレン「結局皆食堂から動かないんだな」

アルミン「そうだね」

ミカサ「アルミン、図書室には行かなかったの?」

アルミン「なんか寂しくてさ、皆がいる中で読もうかなって」

ミカサ「ええ、それがいいと思う」



コニー「なあなあお前ら!いいもの見せてやるよ」

ベルトルト「いいもの?なに?」

コニー「へへっ、まあ見てろって……」プス

スッ

コニー「ほら、パンが空中に浮くんだぜ!」ドヤア


エレン「おいコニー、いくらなんでも」

マルコ「あ、あれのためにパンを残しておいたんだね」

ジャン「相手は子供だが、気づくなって方が……」

ベルトルト「……わあ……」

アニ「……すごい」

コニー「だろお?」

アニ「それ、どうなってるの?」

コニー「天才だからな、感じろとしか言えん」ムフー

ベルトルト「コニーはすごいね!」


キャッキャッ


ジャン「……まさかだろ」

エレン「あいつらすげえ素直だな」

マルコ「故郷の弟妹と、ああやって遊んでやってたのかもね」


コニー「俺は天才だからな、親指が抜けるんだ」スッ

ベルトルト「うわあっ!」ビクッ

アニ「!?」


ユミル「私も驚いたよ。子供だましに引っかかるガキって実在したのか」

ライナー「ハハッ、あいつらにもあんな頃があってな。……懐かしいな」


サシャ「楽しそうですねお三方」ヒョコ

アニ「サシャ。手品見に来たの?」

サシャ「フッフッフ、私も手品ができるんですよ!コニー、そのパン貸してください」

コニー「おう……返せよ?」

ベルトルト「サシャは何ができるの?」

サシャ「パンが一瞬で消える手品です」ヒョイ


アニ「それ、食べちゃうんでしょ。わかるよ」

サシャ「……アニは鋭いですね」パクッ

コニー「サシャ、お前!返せって言っただろうが!」

サシャ「……ゴクン。諦めてください、消えたパンは返ってこないものです」フー

コニー「消したんじゃなくて食ったんだろ!俺だってそのくらいわかるぞ?」

ベルトルト「お、お昼の僕のパンあげるから……」オロオロ


コニー「いや、自分より小さいやつの飯取るのは駄目だ。お前が食えよ」

アニ「へえ、コニーはちびっ子だけど立派だね。サシャも見習えば」

サシャ「取ってませんよ!多い分を頂いてるだけです」

コニー「今俺の取ったじゃねえか!あとアニ、俺はちびっ子じゃねえ!」


ワーワー


アルミン「ああ、途中までいいお兄ちゃんしてたのに。最後はいつも通りだね」ハハ

ジャン「あいつらほんとよく馴染んでるよな。頭の中同じくらいなんじゃねえか」

投下おわり

投下再開 今日で終わりです


―食堂 午後

エレン「あー……やることなくなってきたな」グテー

アルミン「自習でもしたらどうだい、はかどるよ」

ミカサ「アルミンはえらい。エレンも見習うといい」ナデナデ

エレン「今勉強なんてしたら確実に寝るぞ、俺は」


ジャン「さて、俺も自習するかな」キリッ

マルコ「ジャン。心がけはえらいけど、撫でてはもらえないと思うよ」


コニー「雨の日って眠いよなー……ふあぁ……」

サシャ「夕飯まで一眠りしましょうか……むにゃ……」



ミーナ「ね、ねえねえみんな!あれ見て、あれ!」ヒソヒソ



ユミル「お前テンション高えなぁ、どうしたよ一体」

クリスタ「ライナー達がどうかしたの?」

ミーナ「いいから見て!見れば分かるから!」ヒソヒソ



ベルトルト「……zzz」スヤスヤ

アニ「すぴー……」

ライナー「ぐあ……うむ……」グウグウ

クリスタ「寄り集まって寝てる……三人ともかわいいね」

ユミル「三人って。ライナーもかよ?」

クリスタ「そうだよ?くっついててかわいいじゃない」


サシャ「ライナーがまるでサンドイッチの具のようです。こう、ギュッとされて」

ジャン「お前はいつでも食い物だな」

アルミン「……すごくサシャらしい例えだね」

ミカサ「私は猫の親子のようだと思った。……二人ともライナーが好きで、信頼しているのが伝わってくる」ニコ

エレン「実際そうなんだろうな、いつもは三人とも大人っぽい感じだから分かりにくいけどさ」ジー


―翌日 男子寮 朝

エレン「朝だぞアルミン、起きろ。いい天気だぞ」ユサユサ

アルミン「うーん……」

ベルトルト「おはよう、二人とも」

エレン「ベルトルト!戻ったのか」

アルミン「えっ!? わっ、大きくなってる!」

ベルトルト「アルミン、元がこっちなんだよ」

アルミン「ああっ、そうだよね。寝ぼけてた」アハハ

エレン「ライナーはまだ寝てるのか?」

ベルトルト「うん。二日間、僕とアニの面倒みてて疲れたんだろうね」

アルミン「この二日間のこと覚えてるんだ」

ベルトルト「ぼんやりだけど。君達にも世話になったよね、ありがとう」ニコ

エレン「水臭いな、気にすんなよ」ニッ


「……ベルトルト、おはよう」ムク

ベルトルト「あ、おはようライナー」クルッ


……ライナアァァァ!?


おまけ

―教官室前 廊下

アニ「ベルトルト」

ベルトルト「アニ」

アニ「聞いたよ。ライナー小さくなったんだって?」

ベルトルト「うん、そうなんだ。やっぱり薬を吸いこんでたんだね」

アニ「時差があるなんてね……今度はライナーが子守される側か」

ベルトルト「だいぶ迷惑かけちゃったし、僕が面倒見るよ。アニはいつも通り」

アニ「あんた一人占めする気?」

ベルトルト「えっ?」

アニ「いつもは兄貴面してるあいつを子供扱いできるいい機会でしょ、私にもやらせてよ」ニヤッ

ベルトルト「……うん!二人でライナーの兄姉やろう。ライナーは先に食堂にいるから」


―食堂 朝食

ライナー「ベルトルト、お前早起きできるようになったんだな。頑張ったな」ポンポン

ベルトルト「あ、ありがとう……」

ライナー「アニはニンジンが食えるようになったのか、えらいぞ」ナデナデ

アニ「うん……」モグ…


サシャ「ライナーは小さくなってもお兄さんなんですね、二人とも複雑そうな顔してます」

ミーナ「うん……でも、なんだかちょっと嬉しそうだよ」フフ


おわり

投下終了 話も終わりです
感想ありがとうございました

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