梨子「ナイトサイクリング」 (22)

曲パロです。書き溜めあり。

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ニュース『―――数百年に1度と言われる〇〇座流星群は今夜が最も見頃と言われ―――』


梨子(流星…か。)


内浦に引っ越してきて数ヶ月。まだ知らない

道や場所も多くて、登下校の道から逸れると

不安が募る毎日。


梨子(東京は夜でも明るくて…星空なんて見上げたことないかも)


内浦の浜辺で、誰にも邪魔されずに

満天の星空を見上げられたら

どんなに綺麗だろう。

そして、私の隣にいる人が―――――










好きな人だったら、どんなに幸せだろう。

梨子「行ってきます」

梨子母「行ってらっしゃい、気をつけてね」


そうはいっても、今日は平日。

星が流れても、私の日常は変わらない。

分かっているはずなのに、バスの中から私

は、今夜星を見るのによい場所を探してい

た。

曜「あ、千歌ちゃん! 梨子ちゃん! おはよーっ!!」

千歌「曜ちゃんおはよ~…」

梨子「おはよう、曜ちゃん」

曜「あはは…千歌ちゃん、眠そうだね…」

千歌「昨日あんまり眠れなくて…」

梨子「また動画見てたんじゃないの?」ジトッ

千歌「うっ…だって…」

曜「ま、まあまあ…他のスクールアイドルから学ぶこともたくさんあるし、ね?」

千歌「そ、そーだよ! ほら梨子ちゃん! 曜ちゃんだって…」

梨子「それで寝不足になったら本末転倒よ…今日はちゃんと寝てよね?」

千歌「分かってるよ~、梨子ちゃん志満姉みたい…」

曜「え、美渡姉じゃないの?」

千歌「そーいうこと言うのは志満姉だよ…美渡姉は一緒に見るって言ってくるかも」

曜「あぁ…なんか納得かも」

曜「あ、そういえばさ、今日流星群くるんだって」

梨子「あぁ、朝のニュースで言ってたわね」

千歌「流星群って、願い事たくさん叶うのかなぁ…!?」

曜「ど、どうだろうね…」アハハ

梨子「千歌ちゃんは、何をお願いするの?」

千歌「ええー…。うーん…なんだろ…」

曜「た、たくさんあるんじゃないの?」

千歌「あると思ったんだけど…いざとなると思いつかな…あ!」

梨子「思いついた?」

千歌「Aqoursのみんながずっと仲良くいられますようにって!」

曜「わぁ…いいね、私もそうしようかな!」

梨子「いいわね。…でも千歌ちゃんのことだから、てっきり『ラブライブ優勝!』って言うかと思った」

千歌「それは実力で成し遂げるの! …神頼みじゃなくて!」

梨子「実力…そうね」ニッコリ

曜「それでこそ千歌ちゃんだね」ニヤニヤ

千歌「も、もういいでしょっ!! 授業始まるから!!///」

梨子「どうせ寝てるじゃない…」

>>4 修正
曜「あ、千歌ちゃん! 梨子ちゃん! おはよーっ!!」


千歌「曜ちゃんおはよ~…」


梨子「おはよう、曜ちゃん」


曜「あはは…千歌ちゃん、眠そうだね…」


千歌「昨日あんまり眠れなくて…」


梨子「また動画見てたんじゃないの?」ジトッ


千歌「うっ…だって…」


曜「ま、まあまあ…他のスクールアイドルから学ぶこともたくさんあるし、ね?」


千歌「そ、そーだよ! ほら梨子ちゃん! 曜ちゃんだって…」


梨子「それで寝不足になったら本末転倒よ…今日はちゃんと寝てよね?」


千歌「分かってるよ~、梨子ちゃん志満姉みたい…」


曜「え、美渡姉じゃないの?」


千歌「そーいうこと言うのは志満姉だよ…美渡姉は一緒に見るって言ってくるかも」


曜「あぁ…なんか納得かも」


曜「あ、そういえばさ、今日流星群くるんだって」


梨子「あぁ、朝のニュースで言ってたわね」


千歌「流星群って、願い事たくさん叶うのかなぁ…!?」


曜「ど、どうだろうね…」アハハ


梨子「千歌ちゃんは、何をお願いするの?」


千歌「ええー…。うーん…なんだろ…」


曜「た、たくさんあるんじゃないの?」


千歌「あると思ったんだけど…いざとなると思いつかな…あ!」


梨子「思いついた?」


千歌「Aqoursのみんながずっと仲良くいられますようにって!」


曜「わぁ…いいね、私もそうしようかな!」


梨子「いいわね。…でも千歌ちゃんのことだから、てっきり『ラブライブ優勝!』って言うかと思った」


千歌「それは実力で成し遂げるの! …神頼みじゃなくて!」

梨子「実力…そうね」ニッコリ



曜「それでこそ千歌ちゃんだね」ニヤニヤ


千歌「も、もういいでしょっ!! 授業始まるから!!///」


梨子「どうせ寝てるじゃない…」



授業も、当然ながら何事もないように進んだ。


あっという間に放課後。





~部室~


鞠莉「ふっふーん、こんなポンコツオバサンに負ける気はナッシングね~」ニヤニヤ


ダイヤ「お、おばっ…! …いいでしょう。 吠え面かかせてやりますわ!!」


曜「えぇ…ちょっとなにこれ、ねぇ果南ちゃん!?」


梨子「けっ、喧嘩…??」


千歌「鞠莉さんと…ダイヤさんが…」


果南「まぁ、黙って見てなって」アハハ…


鞠莉・ダイヤ「「最初はグー! ジャンケンポン!!」」


鞠莉「Noooooooooooo!!!!!!」


ダイヤ「ほら見なさい! 正義は勝つんですわ!!」


曜「ま、鞠莉ちゃん負けちゃったよ…!?」


千歌「い、一体どんな罰ゲームが…」

ダイヤ「さぁ鞠莉さん! 行くのです!! ジュースを買いに!!」



二年生『いやそれだけ!?』


果南「3年生が買いに行くべきだってダイヤが…私は最初に勝って抜けてたの」


曜「ここぞとばかりに煽り合いしてたね…」


果南「普段からかわれてばっかで悔しいんでしょ、ダイヤも」


ダイヤ「そこ!聞こえてますわよ! 私は決してそのような器の小さい女では…」


部活でも特に変わったことは無かった。


…よくも悪くも。


こうして、私のなんでもないような1日は、夜を迎える。

~桜内家~


ピロン♪


梨子「あれ…LINE。 千歌ちゃんから?」


千歌っち『梨子ちゃん』


Rico♪『なに??』


千歌っち『星が流れてない』


千歌っち『願い事出来なくなっちゃう』


Rico♪『1時くらいがピークらしいから』


Rico♪『それまで起きてなさい』


千歌っち『もう限界』


千歌っち『梨子ちゃんに願いは託した』



千歌ちゃん、限界らしい。まぁ昨日寝てないって言ってたし…仕方ないのかな。


それにしても…


梨子(はぁ…今日も果南さんに声かけられなかった…)


…ちなみに『声かけられなかった』には『声


をかけることができない』と『声をかけても


らわない』の2つが掛かっている…自分で言っ


てて悲しい。




はっきり言って、最初はすごく話しづらい人だと思ってた。


年上だし、掴みどころがなくて不思議な人で


でも話しているうちに


気がつくと


『好き』が抑えきれなくなっていた




梨子(明日はいい事あるかな…)


時刻は深夜零時。千歌ちゃんじゃないけれど、私もだいぶ眠くなってきた。

ピロン♪


梨子(あれ…また…)




松浦果南『梨子ちゃん、今から出てこれる?』


梨子「えっ!?」



私はベッドの上で飛び上がった。だって、今思い描いていた人からLINEが、それもお誘いの内容が来たのだから。



Rico♪『はい、大丈夫です』


Rico♪『すぐ出ます』



なぜインターホンを押さないのか…などの疑問も湧かないほど、私は動揺して、同時に舞い上がっていた。


そして玄関のドアを開けた先に――――




果南「やっほー梨子ちゃん。」


梨子「果南…さん…」


果南「2人で会うのって初めてじゃない? ねえねえ、流星、見に行こうよ!」



そうだ、この人は、星が好きだと言っていた。でも、どうして私なんだろう。



少しだけ、期待する自分がいる。

果南さんは、自転車の後ろを指さして笑った。


まるで悪戯っ子のようなその笑顔に、私は胸が締め付けられる


ような、それでいてじんわりと暖かくなるような感覚を覚え


た。


梨子「星…好きって言ってましたね」


果南「お、覚えててくれたの? そうなんだよね~、昔からなの」


なぜ私なんですか、とは聞けなかった。


梨子「…どこに行くんですか??」


果南「んー? …海かな。 いい場所があるんだよ」


私も、海から星空が見たかった、とは言えなかった。


果南「あ、そうだ、これ着て」


梨子「あ、ありがとうございます…ごめんなさい、私上着持ってきたら良かったですね」


果南「いいよいいよ、私も急に呼び出しちゃったし。 ごめんね?起こしちゃった?」


梨子「いえ! …まだ起きてました」


こうなることを期待して、とは言えなかった。


伝えたいことがたくさんあるはずなのに、喉に何かが詰まったみたいに言葉が出ない。


まるで…白紙のラブレターが詰まっているみたい。


大人になったら、こういう時にお酒の力を借りるんだろうか。


そう思った時、みかん酒を飲んで酔っ払っている千歌ちゃんが浮かんで、少しだけ笑った。



嬉しさとか、情けなさとか、緊張とか、色んな感情が溢れて胸が苦しい。


でも…こんなチャンス、二度とないかもしれないから、勇気を…


梨子「へ、へいまいドライバー!!///」


果南「お、おおぅ、どしたの梨子ちゃん?」


梨子「と、飛ばしてください!」


果南「…うん、任せて!」ニコッ

…やってしまった。


想いが溢れたとか、そんな綺麗なものじゃないかもしれない。これじゃ暴走だ。


夜風に当たれば顔の熱も冷めるかもしれない…というのは、咄嗟に出た言葉への言い訳だろうか。強ち嘘でもない気がするけれど。


深夜テンションって本当に怖い。…でも、果南さんは優しい笑顔で受け入れてくれた。それがせめてもの救いかもしれない。



…お店の自転車なんだろうか、果南さんの自転車は年季が入っていて、漕ぐ度に音が鳴っている。


そんなことすら特別に思えるのは、一緒にいる人が特別だからなんだろうか。


果南「梨子ちゃん!」


梨子「は、はい!」


果南「自転車、壊れそうじゃない!?」


梨子「え、えっと…」



気がつけば物凄くスピードが出ている。会話も少し大きな声を出さないと聞こえない。

確かに風が心地いいけれど、自転車が悲鳴を上げているようだ。…でも。


梨子「壊れるなら! それでもいいです!」


果南「…了解っ!!」



いやいや。良くない。さすがに壊れるのはまずいんじゃないだろうか。けれど…果南さんと一緒なら、どうにかなってしまう気がしてくるから不思議だ。

私はふと思いついて、果南さんの背中をなぞり、文字を書いた。


果南「えー? 分かんない! なんて書いたの!?」


梨子「…内緒です!」


果南「えぇー!!」



こんなに思い切って果南さんと話ができるなんて、今日の私は、本当にどうかしている。



きっと、夜の風のせいだ。






そのまましばらく飛ばし続けていると、段々海の香りがしてきた。

目的地が近いのかもしれない。


梨子「あ、あの…果南さん、大丈夫ですか?」


果南「へーき! 梨子ちゃんは軽いからね~」


梨子「そ、そんな!…無理しないでくださいよ?」


果南「んー」


坂道に差し掛かって、自転車がギシギシ言ってる。色々と大丈夫なんだろうか。

…それにしても、果南さんの背中が温かい。私は知らない間に、あくまで振り落とされないようにだけど、果南さんにギューッと抱きついていた。意識するとまた顔が熱くなる。


果南「梨子ちゃん、いい匂いするね、お風呂入ったからかな」


梨子「なっ…!/// か、嗅がないでください…」


果南「えーいいじゃん、女の子っぽくて」


果南「私そういうの似合わないって言われるからな~」


梨子「そんなこと…」


果南「あ、そうだ、ごめん私汗臭くない?」


梨子「えっと…いい匂い…です」


果南「う、これは確かに恥ずかしいかも…」

坂道を漕ぎながら、それも二人乗りで会話が出来てしまう果南さんは本当にすごいと思う。話しているうちに、坂道を登りきってしまった。


果南「梨子ちゃん。 …交代!」


梨子「え、えぇ…!?」


果南「無理するなって言われたし」ニヤニヤ


果南「それに、下りだから平気だよ」


梨子「う、うぅ…分かりました」


果南「よいしょっと…重くない?」


梨子「はい、平気です」


果南「よーしっ しゅぱーつ!」


果南さんの言った通り、下り坂は力もいらないから、私でも大丈夫かもしれない。


淡いライトが、私たちの足元を照らしている。力がいらないとは言っても、なかなかの悪路で、その凸凹道は、私の進む恋路のようだ。


少女漫画なら、きっとこんな日に告白するんだろう。そして大好きな人と結ばれて、みんなに祝福されるんだろう。


でも、私は漫画みたいに上手く自分の気持ちを伝えられそうになかった。


告白の仕方も、理屈だと知ってるはずなのに、実行できない私は、恋のペーパードライバーとでも呼ぶべきだろうか。

果南「へいマイドライバー!!」


梨子「そっ、それはもういいです!!///」


果南「なんでよー、可愛かったよ」


梨子「…飛ばしますよ」


果南「了解~♪」



羞恥をぶつけるようにがむしゃらにペダルを漕いでいると、私でも結構なスピードが出せた。


果南「おっとと…結構揺れるね~。 …おじぃに言って買い換えて貰わなきゃなこれは」


梨子「あ、あの…しっかり掴まっててください」


果南「んー? …ふふ、分かった」ギュッ



そう言って果南さんが、私の腰に手を回す。




果南さんにとって、誰かにハグをするということは、私が思うほど特別なことではないと、頭では分かっていた。


けれど、毎日誰かとハグを交わす果南さんを見る度に、その腕の中にいるのが、自分だけだったらいいのにと
何度も思った。




それが今、こうして実現している。

果南「梨子ちゃん…細い…女の子だ…」


梨子「果南さんも女の子じゃないですか。 引き締まってて素敵です」


果南「おぉ、優しい。」


果南「いやぁ、この前千歌に硬いって言われちゃって」


果南「ちょっと傷ついてたんだよねー」アハハ


梨子「私は…」



好きですよ。



そうやって喉から出かけた言葉は、やっぱり白紙のラブレターに邪魔された。気持ちを隠すのは癖になっているのかもしれない。


私は、続きを口にする代わりに、5回ベルを鳴らした。


果南「どーしたの急に?」


果南「あ、そういえばさ、昔の歌で、5回なんかするやつあったよね! ア、イ、シ、テ、ルのサイン!」


梨子「…車のランプじゃないですか?」


果南「お、そうそう! ああいうの梨子ちゃん好きそうだねぇ」


梨子「き、嫌いじゃ…ないです」




今やりました。なんて言えるはずがない。


というより、なんでそこまで知っていて気づかないんだろう。この人は。

でも、この夜を通して改めて思った。




私は、この人が好きだ。




自覚した途端、今までと何も変わらないはずなのに、鼓動が高まる。


顔が熱い。胸が苦しい。


そして同時に…






ものすごく、幸せだ。






私の中で、ブレーキが壊れたみたいだった。


今なら、どんなことも素直に言える気がする。




果南「あー、梨子ちゃん、そこ右だよ」


分かれ道を右側に曲がって、少し進むと、砂浜が見えてきた。


終着点だ。


海だ。ここが果南さんのおすすめの場所なのだろう。


月光を受けて光る砂浜と水面は、まるで星空が地上に降りてきたようだった。


果南さんが自転車を飛び降りて駆けていく。


果南「ねぇ見て梨子ちゃん! すっごく綺麗だよ!! 来てよかったなぁ…!」


こんなにウキウキしている果南さんも珍しいかもしれない。

キラキラと輝くその瞳も、星空のようだった。


私も自転車を止めて、果南さんの後を追う。


ちょうどそのタイミングで、星が流れた。


果南「あ!見て梨子ちゃん!!一つ目だよ!」


空を見上げるその横顔と、流れ星に背中を押されて。


私は白紙のラブレターに、言葉を綴る。



梨子「果南さん!!!」



胸いっぱいに息を吸い込んで、名前を呼んだ。

果南「んー?」


果南さんがこちらを振り返る。


目が合って、心臓が跳ねる。


けれど、心の中にあるこの気持ちは、不安と呼ぶには温かすぎた。



どうか、笑わないで聞いてください。








梨子「あなたが好きです、果南さん」














果南「いやぁ、もう夜が明けちゃうね」


果南「今日は学校、どうしよっか?」


梨子「…一緒に行きたいです」


果南「んー…私は船だから…」


梨子「港まで!…迎えに行きますから」


果南「…ふふっ、了解♪」


梨子「だから…もっと飛ばしてくださいよ、マイ…ドライバー…」


果南「今更なに照れてんのさ」アハハ


果南「じゃ、飛ばすから掴まっててね♪」

梨子「果南さん」


果南「んー?」


梨子「…なんて書いたでしょうかっ」


果南「……分かんないっ!!」


梨子「ぜ、絶対嘘じゃないですか!」


果南「えー分かんないなー、口で言ってくれないとー」ニヤニヤ


果南「でも…梨子ちゃんって意外と大胆?」


梨子「さっ、さっきの…余熱です…」


果南「あはは、なにそれ」


果南「でも…私鈍感だからなー」


果南「そのくらいグイグイ来てくれると丁度いいかも」


梨子「…頑張ります」


果南「まぁお互い、支え合っていこうよ…梨子」


梨子「…もう一回書きます」


果南「えーそこは口で言ってよー」アハハ























『好き』

終わりです。
タイトルと同じ名前の曲に自己解釈を加えてかなりこにしてみました。曲もすごく素敵なのでぜひ聴いてみてください。

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