的場梨沙「ありすのお家に突撃!」 (18)

飛鳥「………」ペラ

飛鳥「なるほど……こうくるか」←読書中

飛鳥(いいところで次巻に続く、か。待ち遠しいが仕方ない)

飛鳥「……さて。有意義な時間を過ごせたことだし」



梨沙「……あ、またゲームオーバー! 難しいわね……!」ピコピコ

心「たっだいまー☆ ジュース買ってきたから冷蔵庫に入れといていい?」



飛鳥「そろそろ、この状況に一言物申してもいいだろうか」

梨沙「ん? なによ急に」

心「別にいつも通りの光景だよ?」

飛鳥「ここが事務所ならそうだろうさ。けれど残念ながら、ここは女子寮の中のボクの部屋なんだ。だというのにまるで自分の家かのように休日の午前中から穏やかにくつろいでいるのは」

心「だから、それがいつも通りだって」

飛鳥「………」

飛鳥「確かに、言われてみれば……すっかり入り浸られるのが日常と化していた」

梨沙「そもそも、本読み終わるまでツッコまない時点で認めてるようなものじゃない?」


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梨沙「飛鳥の部屋、漫画いっぱい置いてるし居心地いいのよね。今日はパパお仕事だし、だから来たの」

心「はぁとはなんとなく♪ 年下をかわいがってやろうと思って☆」

心「同じ寮だから飛鳥ちゃんの部屋近いしね☆」

飛鳥「ふうん」

心「別に休みの日にひとり部屋にいるのが寂しかったわけじゃないぞ☆」

飛鳥「誰もそんなことは言っていないけど」

心「なんかそんなことを言いたげな目だった」

飛鳥「えらく疑心暗鬼だね……」

梨沙「ま、そんなところじゃないかと思ってたけどね」

飛鳥「時を重ねるにつれ、増していく孤独もある……」

心「だから違うって言ってるだろ☆」



飛鳥「しかし、日常風景と化すほどにボクの部屋に頻繁に集まっているのはなぜなんだ」

梨沙「なんとなく」

心「なんとなく」

飛鳥「答えになっていない」

梨沙「答えがないのが、答えなのさ」フッ

飛鳥「それはボクの真似かい?」ツンツン

梨沙「あによー、似てるんだからつっつかないでよっ」


晴「飛鳥も大変だなー。みんなが部屋に集まるなんて」ポリポリ

飛鳥「ポテチを食べながらテレビを見ているキミが言えたことじゃないと思うよ」

晴「へへっ。なんか、梨沙につられて来るうちにくつろげるようになってさ。ここ」

薫「ありすお姉ちゃん! ここのステージのボス、どうやって倒すの?」

ありす「そこはですね、まず向こうが大技を出すのを待ってからカウンターで仕留めます」

薫「あ、そっか! やってみるね!」

ありす「がんばってください」

飛鳥「………」

晴「あっちはいいのか?」

飛鳥「微笑ましいから許す」

晴「なんか不公平だな……わかるけどさ」

心「はぁとも微笑ましいよね?」

飛鳥「ノーコメント」

心「やん、雑☆」

梨沙「ま、確かにこの部屋に6人は多いわね……来週は他のところに行ってみる?」

飛鳥「心さんの部屋は……同じ寮にあるから、部屋の広さも同じか」

梨沙「しかも散らかってるし」

心「ちょーっと小物が多いだけだぞ♪」

晴「梨沙の家は?」

梨沙「確か、次の日曜日はお客さんが来るらしいのよね。パパのお友達だって」

飛鳥「なら、大人数で騒ぐわけにもいかないか」

心「晴ちゃんのおうちは?」

晴「うちは……アニキたちがうるさいからなあ。絶対サインくださいとか言ってくるぞ」

心「それはそれではぁとは歓迎☆ だけど、そうじゃない子もいるかぁ」

薫「ありすお姉ちゃんのおうちは?」

ありす「え? 私の家ですか?」

薫「うん! かおる、行ったことないから行ってみたいな!」

ありす「ええと……空いては、いますけど」

梨沙「ということは」

ありす「次の日曜日は両親も夜遅くまでお仕事ですし……スペースは、余裕でありますけど」

晴「ということは」

ありす「多人数で遊べるゲームも、一応は置いてありますけど」

薫「ということは!」

ありす「なので、まあ。はい……あの」

心「はよ言わんかーい☆」

ありす「わ、わかりましたよ! どうしてもと言うなら、来ていいです!」

梨沙・晴・薫「やった!」

ありす「はあ……まったく」

梨沙「ちょっとうれしそう?」

ありす「そ、そんなことはありません」

ありす(お友達を招くの、久しぶりだなぁ……準備しないと)



飛鳥「次の標的はありすに決まったようだね」

心「なんか傍観者ポジションにいるけど、飛鳥ちゃんも来るでしょ?」

飛鳥「部屋のスペースを何度も提供した以上、ボクが提供される側に回らないと帳尻が合わないからね」

心「なるほど♪ 結構うまい理由考えたね」

飛鳥「考えた、ではなくて、最初からそう思っていただけさ」フッ

翌週


薫「おじゃましまー!」

心「うわ、玄関広っ!」

梨沙「予想はしてたけど、やっぱりありすの家ってお金持ちなのね」

晴「オレからしたら梨沙の家も金持ちぽかったけどな」

飛鳥「靴はどうしたらいい?」

ありす「そこに並べておいてくれれば大丈夫です」

飛鳥「わかった。それと、これ。ケーキを買ってきたから、冷蔵庫に入れておいてくれ」

心「はぁとと飛鳥ちゃん、ふたりで選んできたから♪ おススメのお店のおススメのケーキ☆」

ありす「あ、ありがとうございます。でも、いいんですか」

心「いいのいいの♪ お邪魔させてもらうんだから、このくらい当然♪」

飛鳥「9人分買ってきたから、あとでボクらもいただくしね」

ありす「……では、いただきます」

ありす「なんていうか、大人らしいところを見せてもらいました」

心「褒めるな褒めるな♪」

梨沙「ふーん。オトナ、ねえ」

晴「実はオレたちも、3人でクッキー買ってきたんだぜ」

薫「はい、どーぞ!」

ありす「そ、そちらもですか。なんだかもらいすぎて申し訳ないような」

晴「そんなこと言わずに、素直にもらってくれよ」

薫「みんなで選んだから、絶対おいしいよ」

ありす「……ふふ、そうですね。晴さん、薫さん、ありがとうございます」

梨沙「ま、提案したのはアタシだから、アタシがオトナってことよね~」ドヤァ

ありす「梨沙さんも、ありがとうございます」ニコ

梨沙「え、あ、うん。どういたしまして」

飛鳥「素直に返されて面食らったか」

梨沙「そ、そんなんじゃないし!」

ありす「ではみなさん、中へどうぞ。スリッパはここにあります」

一時間後


梨沙「あーっ! アタシのスターが!」

ありす「もらいました」

梨沙「むー……すぐに取り返してやるんだから!」

心「いやあ、盛り上がってきたね♪」

飛鳥「桃鉄ほどではないにせよ、マリオパーティーにも奪い合いの要素は存在するからね」

晴「でも、そうじゃないと面白くないだろ」

飛鳥「あぁ、理解るよ」

梨沙「さ、次薫の番よ」

薫「あ、かおるちょっとおトイレにいってくるね! あすかお姉ちゃん、かわりにやってくれる?」

飛鳥「代打か。うん、やっておくよ」

薫「ありがとう! いってきまー!」タタタッ

飛鳥「さて。盤上の状況は……」

ありす「なんだか本気ですね。1ターン限りのピンチヒッターなのに」

心「なんだかんだ負けず嫌いなとこあるからねー」


数分後


薫「ふー、すっきり!」


Prrrrr


薫「あ、電話だ!」

ガチャ

薫「はい、もしもしりゅうざきです……あっ」

薫(ここ、ありすお姉ちゃんのおうちだった! 電話にでちゃったよー……)

薫「ええと、ええと……もしもし、たちばなです」

『りゅうざき……もしかして、ありすのお友達かしら』

薫「あ、はい。そうです」

『はじめまして。ありすの母です』

薫「ありすお姉ちゃんの!? は、はじめまして! りゅうざきかおるです!」

『ふふ、礼儀正しくて偉いわね。ありす、いるかしら』

薫「あ、はい! 呼んでくるからまっててくださいっ」

薫「ありすおねーちゃーん!!」

ありす「うん……うん。わかった。待ってるね」

ありす「じゃあ、ばいばい」


ガチャ


梨沙「電話終わった?」

ありす「はい」

薫「ねえねえ、なんのおはなしだったの?」

ありす「両親の帰りが、予定よりも早くなるそうです。だから、夕ご飯はみんなで一緒に食べようって」

晴「みんなって、オレたちも?」

ありす「はい。もともと、みなさんが遊びに来ることは伝えていたので」

心「ありすちゃんのご両親にご挨拶か……おめかししておかないと」

飛鳥「心さん、親御さんと会う時は猫を被ろうとするんだね」

ありす「時々話題に出しているので、猫を被っても無駄だとは思います」

心「オイ☆ どんな話題を出してるのか気になるぞ☆」

飛鳥「しかし、9人で食卓を囲むとは、まるで大家族のようだ」

心「大きいテーブルが何個かあるみたいだから、できるにはできるだろうけどね♪」

薫「あ! かおる、いいこと思いついちゃった!」

梨沙「いいこと?」

薫「今日のばんごはん、かおるたちみんなでつくろうよ!」

ありす「私たちで、ですか?」

薫「うん! たのしそう!」

心「それ、ナイスアイディア♪ ご両親も、帰ってきてすぐにご飯があるとうれしいだろうし♪」

晴「まあ、作れるヤツがいるならいいんじゃねーの? オレも、なんか手伝いくらいはできるぜ」

梨沙「でも、火を使う料理なら大人がひとりくらいいないと危ないかも」

心「そこは問題ないぞ☆ だって」

梨沙「ま、中学生の飛鳥がいるからセーフかしら」

心「オイっ! こっち! こっちに26歳いる!」

晴「珍しく自分から年齢を主張してるぞ」

心「ぐさぁーっ!」

飛鳥「そのうえで自分の言葉でダメージを受けているが」

晴「元気だなー」

ありす「………」

ありす「くすっ……本当、にぎやかですね」

薫「ありすお姉ちゃん、いいかな?」

ありす「はい。作りましょう、みんなで」

薫「やったぁ!」

梨沙「じゃあ、なに作る?」

心「とりあえず、みんなで食べたいもの言ってみよっか♪」

心「せーのっ」


全員『ハンバーグ!』


ありす「………ふふっ」

薫「みんなおそろいだね!」

ありす「はい。仲良しですね」

ありす「では、イチゴハンバーグにしましょうか」

梨沙「なんでよっ!?」

ありす「冗談です」クス

心「よーし♪ 調理は任せろー☆」

晴「まずは買い出しだよな! 荷物持ちは任せとけ!」

飛鳥「ボクは……まあ、適当に使ってくれていいよ」

心「じゃあソース作る係で☆」

飛鳥「えらく本格的だな……本当に作るなら、やるけど」

心「おお、なんだかんだ乗り気だね♪」

ありす「………」

ありす「きっと、おいしいハンバーグができますね」

薫「うん! かおるもがんばりまー!」

ありす「お願いしますね」

心「あ、そうだ。買い出しにいくついでに、寮に戻って正装を取ってこなきゃ」

梨沙「だから、猫被っても無駄だって言ってるでしょーが」

心「ええー? スウィーティーじゃなーい」

梨沙「スウィーティー関係ない!」

飛鳥「晴。デミグラスソースは好きかい」

晴「って、マジでソースから作る気かよ!」

薫「かおる、ケチャップがすき!」

飛鳥「そうか。ならケチャップでいいね」

晴「切り替えるの早いなっ!」

ありす「ではまず、買い出しに行ってもらう人たちから選んでいきましょう」

心「そうだ、ありすちゃん。ごはんはこっちで作るってお母さんに伝えておかないと」

ありす「あ、そうですね。ライン、送っておきます」

ありす「………」

ありす(おいしいハンバーグを作れたら、お母さんとお父さん、喜んでくれるかな……えへへ)ニヘラ



心「………」

心「かわいい」

晴「かわいいな」

飛鳥「かわいいね」

梨沙「かわいいわね……」

薫「ありすお姉ちゃん、かわいい!」

ありす「んなっ!? か、かわいくなんてありませんからっ! にやけたりとかしてませんから!」


おしまい



おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
ありす、両親と遊びたいがゆえにパーティーゲーム持ってそうかなと思ってます。今はきっと、両親以外にも一緒にプレイできる人間がたくさんいると思います

シリーズ前作:的場梨沙「飛鳥が鏡の前で千鳥の練習してる」

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