サーバル「新しい必殺技を会得するよ!」 (50)



サーバル「というわけで新しい必殺技を身に着けようと思うんだ!」

かばん「どうしたの? サーバルちゃん、急に必殺技だなんて」

サーバル「いいからいいから! 何かアイディアはないか、カバンちゃんも一緒に考えてよ!」

かばん「でもサーバルちゃんってもう必殺技みたいなの持ってなかった?」

サーバル「うん。あるにはあるんだけど……」

かばん「ほら。あの、爪がピカーって光って、うみゃみゃみゃみゃー! って言いながらひっかくやつ」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491000647



サーバル「うーん。あれは烈風のサバンナクローって言うんだけど。正直、あれ一本でやっていくのは厳しいかなーと思って」

かばん「そうかなー? 弱点さえつければ大き目のセルリアンでも一撃で退治できちゃうんだから、十分じゃないかな?」

サーバル「あまーい! 考え方があまいよカバンちゃん!」

かばん「え? 何?」

サーバル「新しいちほーで、もっと強いセルリアンが出てきたらどうするの? インフレに取り残されたらスタメンから外されてベンチを温めるのが得意なフレンズに成り下がっちゃうよ!」



かばん「大丈夫だよサーバルちゃん。サーバルちゃんはマスコット枠だから戦力外でも常にメインストーリーに絡めるよ」

サーバル「そんなのヤダよ! アニメ2期はきっと謎のテコ入れでバトルメインのシナリオだよ! このままじゃライオンとかヘラジカに主人公のポジションを取られちゃうよー!」

かばん「(主人公は僕のような気もするけど……)」

サーバル「お願いカバンちゃん! 2期では非戦闘員の避難誘導ばかりする地味系ヒロインの枠になんか収まりたくないよー!」

かばん「わかったよサーバルちゃん。サーバルちゃんがそこまで言うんだったら一緒に考えよう?」

え?あの爪技ってストライクレーザークローじゃないの?



サーバル「本当! わーい! ありがとうカバンちゃん!」

かばん「でも、僕も戦いは得意じゃないから……必殺技って、どうすればいいんだろう?」

サーバル「えーっと……こう、ピカーンって光って、ドババババーとやっつけて、パッカーンと凄いのがいいな!」

かばん「う、うーん……僕たちだけで考えても良いアイディアは浮かばないかも」

サーバル「えー!? カバンちゃんでも思いつかないの!? どうしよう……」

かばん「こういう時は、戦いが得意そうなフレンズさんに聞くのがいいんじゃないかな?」



ヒグマ「なるほど。話は分かった」

かばん「セルリアンハンターとして第一線で活躍しているヒグマさんならきっと良いアドバイスを頂けると思って」

サーバル「おねがいヒグマ! どんなセルリアンでも一撃で倒せる必殺技が欲しいの!」

ヒグマ「そんな都合のいい技があったら私が使ってるよ」

かばん「ですよねー」

サーバル「そんなぁ……」

ヒグマ「だが今より格段に戦闘力を上げる方法はある」

>>4 へーアニメ版の技名ってそんなカッコイイ……ってゾイドじゃねーか!


サーバル「強くなれるの!?」

かばん「どうすればいいんですか?」

ヒグマ「うん。『野生解放』」と言ってだな。我々フレンズの内なる獣性を呼び覚まし、一時的に戦闘力を上げる技がある」

かばん「なるほど。それを身に付ければ疾風のサバンナクローも威力が上がるわけですね」

サーバル「『烈風の』だよカバンちゃん! 疾風じゃないよ!」

ヒグマ「だが『野生解放』は長時間使い過ぎると暴走状態となり、敵味方の区別なく傷つけてしまうという恐ろしい面もある」

かばん「え……こわいですね」

サーバル「わー! なんだか主人公っぽいね!」



サーバル「みゃみゃみゃみゃ……」

ヒグマ「違う。もっと怒りを込めるんだ」

サーバル「みゃみゃみゃみゃ……!」キラーン

かばん「サーバルちゃんの目が赤く燃えている……!」

ヒグマ「今だサーバル! 旋風のサバンナクローを放つんだ!」

サーバル「烈風のサバンナクローだってばあああああああああ!!!!」ドカーン!

かばん「すごい……大きな岩が一撃で砕けちゃった……」

サーバル「やった……やった! やったよカバンちゃん!」



ヒグマ「野生解放にはリスクもある。あまり多用しないようにな」

サーバル「うん。わかったよ。ありがとうヒグマ!」

かばん「ヒグマさん。ありがとうございました」

サーバル「よーし。次は誰の所に行こうかなー」

かばん「え? サーバルちゃん。もう十分じゃない?」

サーバル「ダメだよ。確かに威力は上がったけど必殺技が地味なままだよ。次は必殺技の見た目を派手にしなきゃ。ほら次行ってみよー!」

かばん「ま、まってよサーバルちゃん!」

ヒグマ「サーバル……何故そこまで力を求めるのだ……」



オオカミ「お二人さん。どこへ行くんだい?」

かばん「あ、オオカミさん。僕たちはちょっと……何と言うか……」

サーバル「修行の旅だよ! 新たなる必殺技を求めてるの! オオカミこそ一人で何やってるの?」

オオカミ「博士たちに新しいマンガを借りてね。さっき読み終えた所だよ」

サーバル「へー、マンガかぁ。面白そうだけど必殺技の参考にはならなそうかな」



オオカミ「そうでもない。このマンガは主人公が悪と戦う冒険活劇だ。見てくれ、このページ」

サーバル「どれどれ……何これ何これ!? 高ーく飛び上がって……」

かばん「急降下しながらキックしてる……?」

オオカミ「キックを受けた敵は大爆発! どうだ? すごい技だろう?」

かばん「すごいよサーバルちゃん! これならサーバルちゃんのジャンプ力も活かせるし、何より派手で目立つよ!」

サーバル「たしかに凄いけど……ホントに出来るかなぁ?」



かばん「そっか。サーバルちゃんはジャンプが得意なフレンズだけど、キックが得意なわけじゃないもんね」

サーバル「でも一応、やってみようかな……とうっ」シュバッ

かばん「サーバルちゃんがあんなに高く……!!」

オオカミ「そこで必殺技の名前を叫びながらキックだ!」

サーバル「いくよー! 烈風のサバンナク……キーック!!」ドカーン!



オオカミ「おお……! 凄い……」

かばん「大きな木の幹に、穴が空いちゃった……!」

サーバル「ばくはつっ!!!」

ドガーン!!

かばん「木が爆発したー!??」

オオカミ「『烈風のサバンナキック』……サーバルの卓越したジャンプ力と俊敏性から繰り出される急降下キックはまさに歯車的小宇宙! 触れたものは容易く削り取られ、その後なんやかんやあって爆発する……おそろしい技だ」



サーバル「ありがとうオオカミ。これでまた強くなれたよ!」

オオカミ「まさか北風のサバンナキックを会得するとは。末恐ろしいな、君は」

サーバル「北風じゃないよ、烈風の、だよ!」

かばん「これで安心だねサーバルちゃん」

サーバル「なに言ってるのカバンちゃん。これだけじゃまだ不安だよ」

かばん「え? サーバルちゃん?」

サーバル「キックの効かない敵が出てきたらどうするの? さあ、他のフレンズの所にも行ってみよう!」

かばん「ちょ、ちょっと待ってよー!」

オオカミ「サーバル……力に呑まれなければ良いが……」



かばん「待ってよサーバルちゃん!」

キタキツネ「あれ。サーバルとカバン。どこ行くの?」

サーバル「あ、キタキツネ。修行の旅だよ。もっと強くなろうと思って。必殺技を探してるの!」

キタキツネ「必殺技……なら、いっぱいある所、知ってるよ」

かばん「え? そんな場所あるの?」

サーバル「え! どこどこ!? 教えて教えて!」



キタキツネ「……ここだよ」

サーバル「ここって温泉の……」

かばん「ゲームセンターだよね」

ギンギツネ「あら二人とも来てたんだ。遊びに来たの?」

サーバル「遊びじゃないよ! 修行だよ!」

かばん「サーバルちゃんの新しい必殺技を探しに来たんですけど……」



ギンギツネ「新しい必殺技? なんでまたそんなものを?」

サーバル「今よりもっと強くなるためだよ!」

かばん「だ、そうです……」

ギンギツネ「ふぅん。それでどうして温泉に?」

キタキツネ「ほら。このゲーム見て。いろんな必殺技を出し合って戦ってる」

かばん「ほんとだ。でも何コレ。手から光みたいなのが飛び出してるけど……」



キタキツネ「これは『ビーム』だよ」

かばん「び、びーむ?」

キタキツネ「そう。離れた所から一方的に攻撃できるから凄く強いんだよ」

サーバル「へー! よくわからないや! でもすごいんだね!」

かばん「でもこれゲームの中の事ですよね。実際には出来ないんじゃ……」

ギンギツネ「そうでもないわよ」



かばん「え? 本当ですか?」

ギンキツネ「わたしの独自研究によると、サンドスターの力を借りることによってビームも出せるわ」

かばん「ええー!?」

サーバル「本当に!? やったー! さっそく試してみるね!」

ギンキツネ「あ、でも理論上の話であって本当に出るかどうかは――」

キタキツネ「技名の最後に『破ァーーー!!!』を付けると出やすいみたい」



サーバル「ジャァァ……パァァァ……リィィィ……破ァーーーー!!!」ドカーン

かばん「本当に出たー!?」

ギンギツネ「い、いけない! 今の衝撃で雪崩が――」

サーバル「破ァーーーー!!!」ドカーン

ギンギツネ「な、雪崩をうち消した!?」

キタキツネ「『ジャパリ破』をこの一瞬で使いこなせるようになるとは……サーバル、恐るべし……」



ギンギツネ「た、確かに凄い技だけど、一歩間違えれば大事故だったわよ……」

かばん「サ、サーバルちゃん。流石にもう十分だよね? ……サーバル、ちゃん?」

サーバル「グルル……敵ハ、ドコダ……グルルル……!」ギラーン

かばん「さ、サーバルちゃん!?」

サーバル「テ、敵……ハッケン!!」

ギンギツネ「カバン! あぶない!!」ドンッ


ザシュッ!!!



キタキツネ「ギンギツネ!!!」

かばん「ギンギツネさん! そんな……僕を庇って……」

ギンギツネ「かすり傷よ。それよりサーバルが……」

サーバル「……え? そんな……あたし今、かばんちゃんを攻撃して……ギンギツネに怪我を……っ」

かばん「サーバルちゃん!? どうして僕たちを襲ったりなんか……」

サーバル「ごめんなさい……そんなつもりじゃ……力が、抑えられなくって……うっ」ギラーン

かばん「またサーバルちゃんの目が赤くなって……!?」



サーバル「み、みんな……ごめんっ……!!」

かばん「待ってサーバルちゃん! どこ行くの!?」

ギンギツネ「待ちなさいカバン! 今のサーバルは暴走状態になっているわ。近づくと危険よ!」

かばん「でも、だけど……だったらなおさら放っておけないよ!」

キタキツネ「ごめんなさい。わたしが余計な事を教えちゃったせいで……」

ギンギツネ「キタキツネ。あなたのせいじゃないわ」

かばん「ええ。キタキツネさんのせいじゃありません。サーバルちゃんを止めるのは僕の役目だったのに……っ」



かばん「ギンギツネさん、キタキツネさん。ご迷惑をおかけしました」

キタキツネ「かばん……」

ギンギツネ「行くのね、カバン」

かばん「ええ。後の事は……お願いします」

キタキツネ「そんな……待ってカバン! カバーン!!!」

ギンギツネ「あの子……死ぬ気だわ」

キタキツネ「そんな……っ、ならわたしも……」

ギンギツネ「私たちが行っても暴走状態にあるサーバルを無駄に刺激するだけよ。でもカバンなら……一緒に長い時間を過ごしたカバンの声なら、サーバルに届くかもしれない」

キタキツネ「カバン……サーバル……どうか無事で戻ってきて……」

うわもうこんな時間か。出かけてきます。夜にまた続き書くよ。

本当かどうか知らないけどサーバルちゃんが野生解放すると恐怖心を克服するとか聞いた
火のついた紙飛行機飛ばしたとき目光ってたのはそのせいだとか

アプリ版だと全フレンズにそれぞれスキルが設定されてるそうで
名称や絵面を想像すると笑えるのがちらほら

ハシビロコウが頭突きとか

バーニングディバイドも戦隊もデュエリストもサッカーもカプコンも関係ないから。これけものフレンズだから。

>>29 野生を解放したら更に火を恐れるようになるんじゃないかって思うけど、そのへんはどうなんだろうね。
>>35 アニメ勢としてはどこまでアプリ要素を入れていいのかさじ加減がわからんのよね。名前だけ借りて基本はアニメ準拠?でいいのかな?

というわけで続き書きます。そんな長くならないはず。



かばん「サーバルちゃん! よかった、やっと追いついた……」

サーバル「かばんちゃん、ごめん……わたし、強くなりたかっただけなの。かばんちゃんを守れるぐらい、つよく……」

かばん「サーバルちゃん……」

サーバル「でも、ダメ……力が……抑えられないっ……!!! ガアアアアアア!!!!」

かばん「サーバルちゃん! お願い、もとに戻って! サーバルちゃん!!!」



サーバル「ガルルルルゥ……」

かばん「大丈夫……大丈夫だよサーバルちゃん。何があっても僕はサーバルちゃんの味方だから」

サーバル「ウ……グウウ……アタマ、ガ……っ」

かばん「さあ、一緒に帰ろう。みんな待ってるよ」

サーバル「か、バ、ん、ちゃ……」

かばん「サーバルちゃん! 意識が戻って……」

サーバル「おねガイ……に、ゲ……テ」

かばん「……え?」

サーバル「グルアアアアアアア!!!!!」

かばん「う、うわあああああ!? やめて!! サーバルちゃ――



トキ「『北斗有情断迅拳』――!」

ドガッ!

サーバル「グアッ!?」

かばん「トキさん!? どうしてここに!?」

トキ「殺意の波動を感じたから急いで飛んで来たの。まさかサーバルがジャパリ波動の暗黒面に呑まれていたなんて……」

かばん「ジャパリ波動……? いったいそれは……」

アルパカ「ジャパリ波動っていうのはねぇ~、ジャパリパークに古くから伝わる伝説でねぇ~?」

かばん「知ってるんですかアルパカさん! って、いつからいたんですか!?」



サーバル「グゴゴ……ジャマヲ、スルナアア!!!」ドガッ!!

トキ「クッ!? あまりに強大なジャパリ波動のせいで秘孔が通らないわ。厄介ね……フンハッ!!」バキッ

かばん「トキさんってあんなに強かったんですね。てっきり歌って飛んでるだけのフレンズかと思ってました」

アルパカ「トキはねぇ~、世紀末ちほー出身のフレンズだからねぇ~。本気出したら邪魔するヤツはゆびさきひとつでダウンだゆぉ~?」

トキ「サーバル……あなた相手にコレを使うことになるなんて……行くわよ」スッ

アルパカ「あの構えは!」

かばん「何なんですかアルパカさん!?」

アルパカ「トキ! その技は危険すぎるから使っちゃダメだよぉ~!!」



トキ「せめて奥義で葬ろう……『北斗有情破顔拳』――!!」

ピカー!!!

かばん「トキさんの両手からビームみたいのが……!」

サーバル「グアアアアアア!!!!」

かばん「サーバルちゃあああああああん!!!」

アルパカ「トキいいいいいいいいいい!!!」



トキ「私に出来るのはここまで。後は頼んだわよ、カバン……ぐふっ」ばたっ

アルパカ「トキ……病んでさえいなければ……」

かばん「サーバルちゃん! サーバルちゃん!!」

サーバル「……かばん、ちゃん?」

かばん「サーバルちゃん! よかった、元のサーバルちゃんに戻ったんだね!」

サーバル「かばんちゃん、ゴメンね……あたし、もうダメみたい……」

かばん「そんな……サーバルちゃん!?」

サーバル「今まで、ありがとう……何をやってもドジばっかりの、こんなあたしといっしょに、いてくれて……」

かばん「サーバルちゃん!? そんな……しっかりしてサーバルちゃん! 僕を一人にしないでよ……サーバルちゃああああん!!!」



トキ「べつに死なないわ。何か正義っぽいパワーで悪の力を追い払っただけだから」

かばん「あれ? トキさん死んだんじゃ……」

トキ「紅茶の飲みすぎでちょっと吐いただけだから。心配ないわ」

かばん「あ、そうなんですか」

サーバル「なんだかあたしもだいじょーぶみたい!」

アルパカ「いやぁ~、みんな無事でよかったねぇ~!」



こうしてジャパリパークの危機は去りました。

ですがジャパリ波動の暗黒面が完全に消え去ったわけではありません。

人は誰しも心にジャパリ波動の暗黒面を持っているのですから――



おわり。というかおわれ。

ごめん。明日も朝早いから寝るわ。誰かちゃんとしたけもフレSS書いてくれ。さらだば。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom