側近「側から聞いていると酷い話ですね」
魔王「まあねー。作りたくないんだけどね、まだ私若いのに」
勇者「仕方がないからな。私だって魔物と子を為す気など毛頭なかったが、仕方あるまい」
側近「の割にはノリノリですね、勇者」
戦士「ばっかお前側近、折角なんだから楽しまなきゃダメだろ」
側近「折角とは?」
戦士「勇者の好み的に、魔王はジャスト」
側近「あらあら」
魔王「まあまあ」
勇者「戦士は今日の夕飯を抜く」
戦士「そりゃないわ」
勇者「外で獣でも狩ってこい」
戦士「はっはー、ご冗談。俺に死ねって言ってるのか?」
側近「でしょうね」
魔王「だろうね」
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勇者「性が乱れている」
魔王「どっちかというと、生?」
戦士「クソみたいな冗談だ」
側近「でも本当ですから」
戦士「……僧侶は」
勇者「やめろ戦士」
戦士「……」
勇者「この場に居ない人間の話をするな」
戦士「……相分かった」
魔王「きゃーこわーい勇者くーん」
側近「発情期みたいですからね、仕方ありません」
勇者「なんでも仕方ないで解決するな」
魔王「だって、実際そうだもんね」
戦士「外の様子はどうだった、側近」
側近「相も変わらず水晶が紫のまま何も映してくれませんよ」
魔王「実際、映してはいるんだろうけどね」
勇者「……『瘴気』と呼ぶことにしたんだったな」
側近「ええ、過去の文献にあれに近いものが記されていましたので、一旦はその呼称を」
戦士「で、対策は」
側近「……発生から五十年で、あの紫の霧が晴れた。何度読み返してもそれだけの情報しか得られませんよ」
勇者「……魔王、生存者は」
魔王「この北方向へ索敵魔法の範囲を広げてる。……相変わらず、何にも?」
戦士「あーやめだやめ、気が滅入ってきたから子作りの話に戻そうや」
側近「他人の子作りで気が晴れるのもどうかと思いますが」
戦士「うるせえわ。魔術の使えない俺の数少ない楽しみだわ」
勇者「楽しむな」
魔王「ドン引きだね」
戦士「あ、待って待って。また俺ここで孤立しちゃう」
側近「懐かしいですね、それ」
勇者「つっても3ヶ月前くらいだろ? 『ここ』に入ってから」
戦士「勇者は時間の感覚がいつも狂ってんな。一昨日でちょうど半年だよ」
側近「はー」
魔王「あれ、そんなに?」
戦士「くそ、この人外共も寿命が長すぎて狂っとる」
勇者「……ん?」
魔王「どうかした?」
勇者「上から声がするような」
側近「……ふふ、そんな馬鹿なことありませんよ。魔王様の索敵魔法を私が引き継いでいますが、生体反応はこの近辺じゃありません」
魔王「大丈夫?」
勇者「あ、ああ……いや、しかしだな」
戦士「晩飯作るの、俺が代わるか?」
勇者「それだけはダメだ」
側近「死活問題です」
戦士「ひどくね?」
魔王「私は美味しいと思ったけどね」
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