安価で密室から脱出せよ (34)

take 1


男「!?」

男「え、どこだよここ、え?」

男「……えー、何この白い部屋」

男「……」ガチャガチャ

男「ふんっ!」ガンッ

男「あってて……扉はカギがかかってんのか」

男「窓も無いし……つまりこれは密室ってことか、マジかー」

男「うーん、何か脱出に使えそうなものとか無いのかな」

男「えーと……おっ」

男「これは……」


↓1
何があった?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489838765

男「エロ本だ!」

男「え、エロ本? へー……」

男「脱出には使えねーよな、エロ本」

男「……」

男「……」チラッ

男「……」キョロキョロ

男「密室だし、誰もいないよな」

男「……」ペラッ

男「……おー、おっぱいデケー……」

男「うほ、このポーズエロっ」

男「あー、この脚はそそる……いいなこのタイツ」





男「うーむ、悶々としてしまった」

男「発散するにしてもティッシュ持ってないし」

男「いやいや待った、俺はここから脱出しなきゃいけないんじゃないか!」

男「無駄に時間を喰ったな……」

男「……」

男「脱出できた時に持っていくか」スッ

男「さて! 他に何かないかな」


↓1
何があった?

ドラえもん「やあ」

男「ドラえもんだ」

男「え!? ドラえもんだって!?」

ドラえもん「はい、僕がドラえもんです」

男「な、え? マンガのキャラがいるだって?」

男「……」ギュウ

男「いってぇ、夢じゃないのか、だとしたら一体なんなんだ」

ドラえもん「一人で何してるの君」

男「さっきエロ本見たからナニをしたいと思ってて……って、何言わすんじゃい!」

ドラえもん「はあ?」

男「深く考えない方がいいな……」

ドラえもん「そうそう、君のポンコツな頭じゃあいくら考えても時間の無駄だよ」

男「俺をのび太と一緒にしないでくれ」

ドラえもん「あ、ごめんごめん、よく見たら君はのび太くんじゃないみたいだね」

男「俺のび太に似てねーだろ! メガネもかけてねーし!」

男「ええいそれはどうでもいいや、ドラえもんならここから脱出出来るひみつ道具があるよな?」

男「通り抜けフープとか、どこでもドアとか!」

ドラえもん「いいよ、一つ1000万円ね」

男「金取るの!?」

ドラえもん「ジョーダンだよジョーダン」

ドラえもん「でも困ったなあ……」

男「何が?」

ドラえもん「実は、四次元ポケットが無くなったんだ」

男「えっ」

ドラえもん「よく分からないんだけど、気が付いたらこの部屋にいたんだ」

ドラえもん「それと一緒にポケットも無かったんだ」

男「俺と同じ境遇だったのか」

男「しかし四次元ポケットが無いとか、役立たずなたぬきじゃねえか、使えねー」ボソッ

ドラえもん「何か言った?」

男「いや何も」

男「うーん、他に何か無いかな?」


↓1
何があった?

男「うわキモ! なにこれキモ!」

ドラえもん「なんだろうこの顔のパーツがバラバラに付いた卵みたいなの」

男「これドラえもんのひみつ道具だったりしない?」

ドラえもん「僕だってこんな不吉そうなものを持ち運びたくないよ!」

男「あんまり触りたくないなあ……下手につついたら指噛まれそう」

男「ちょっとドラえもんが調べてよ、指無いから噛まれないでしょ」

ドラえもん「えー? 僕だってひみつ道具が無いから心細いんだけど……」ヒョイ

ドラえもん「うーん……よく分かんないね」

ドラえもん「あ、裏に何か書いてるよ、ベヘリットだって」

男「ベヘリット? 持ち主の名前かな」

ドラえもん「汚い字だなあ、のび太くんとタメを張れるね」

男「これ、扉のカギだったりしない? はめ込む所があるとか」

ドラえもん「扉にははめ込むような窪みはないなあ」

男「じゃあ扉に向かって投げつけてみようか」

ドラえもん「えいや!」ブンッ

ゴンッ

男「……何ともなんないよね」

ドラえもん「投げた後に聞くのもなんだけど、なんで投げつけようと思ったの?」

男「何となく。投げやすそうな形してるし」

ドラえもん「まあそれはわかる」

男「どうやらどうにもならなさそうだな」

男「他に何か無いかな」


↓1
何があった?

男「へえ、USBメモリとパソコンか」

ドラえもん「これはいい情報が得られそうだね」

男「とにもかくにもパソコン起動だな」ポチッ

男「……」

ドラえもん「……」

男「……」

ドラえもん「……」

男「起動おせーな……」

ドラえもん「僕の時代のコンピュータはものの数秒で起動完了するんだけどなあ」

男「あ、やっとついた」

男「マウスが無いから操作が面倒だな、ネット環境も当然無いよな」

男「さて、こんな時に遊ぶゲームといえば」

ドラえもん「ソリティア?」

男「ビンゴ!」

ドラえもん「それはいいから何かデータがないか調べてよ」

男「へーい、うーん……特に何も無いなあ」

ドラえもん「このUSBメモリは?」

男「挿してみるか」カシャ

男「……」

ドラえもん「……」

男「読み込みがおせー……」

ドラえもん「性能の良くないパソコンみたいだね」

男「やっと開いた、どれ……」

男「お? なんかそれっぽいデータが」

ブオンッ

男「は? ブルースクリーン? なんで?」

ドラえもん「なんだいこりゃ、ヘッポコなパソコンだなあ」

男「強制終了して再起動っと」

男「あれ、画面がつかない」

ドラえもん「充電が切れたのかな」

男「えー、電源ケーブルも無いし、そもそもコンセント差し込み口も無いし……どーしよーもねーじゃんか」

男「ソリティアやりたかったんだけどなあ」

ドラえもん「そっち?」

男「パソコンはこれ以上どうにもなんねーか、他に何かないかな」


↓1
何があった?

男「蟹味噌だな」

ドラえもん「蟹味噌だね」

男「そういえば腹減ったな、ここに来てから何も食ってないもんな」

ドラえもん「僕はどら焼きが食べたいなあ」

男「四次元ポケットに無いってんじゃないの」

ドラえもん「入ってるよ、四次元ポケットが無くなってなければなあ……」

男「(入ってんのかよ)」

男「せっかくだから食べるか、この蟹味噌」

ドラえもん「箸やスプーンも無いのにどうやって?」

男「え? そりゃあ、こう、指ですくってだな」

ドラえもん「汚ったない食べ方だなあ、脳みそが蟹味噌みたいだね」

男「なんなんだお前」

ドラえもん「いや食べるのは止めないよ、知能蟹味噌レベルの食べ方で食べたいならどうぞ」

男「あーもーいいよ、そこまで言われたら食わねーよもう!」

男「じゃあこの蟹味噌どうすんだよ、ナマモノだから放置したら腐るぞ」

ドラえもん「そもそもそれ自体ここに放置されてたものなんじゃ?」

男「あ、言われてみればそうだな、まーそこは深く考えない方がいいな」

ドラえもん「いや考えようよ! お腹壊すよ!」

男「食わねーからいいの!」

男「あ、さっきのキモいのに口付いてたよな、こういうのって食べるのかな?」

ドラえもん「どれどれ」スッ

ベヘリット「ガツガツ」

男「キモ! うわ食ってる! キモ!」

ベヘリット「ゲフゥー」

男「ゲップしてる! キモ!」

ドラえもん「空になった蟹の殻にこれを乗せよう」スッ

ベヘリットon蟹「……」

男「ピッタリハマってる! キモ!」

ドラえもん「うん、キモイだけだね、蟹臭くなっちゃったし」

男「はあ、もういいや、他に何かない?」


↓1
何があった?

男「わお、これは立派なズワイガニだな」

ズワイガニ「ギチギチ」

ドラえもん「まだ生きてるね」

男「これ、食えるかな」

ドラえもん「ハサミもなしにどうやってバラすんだい?」

男「え? そりゃ、引っ張れば……」

ドラえもん「それに道具が無ければうまく身を取り出せないよね」

男「……」

ドラえもん「それ以前に茹でてないじゃないか、加熱しないまま食べるつもり?」

男「…………」

ドラえもん「知能蟹味噌レベル(笑)」

男「何故そこまで言われなきゃならんのだ!」

ドラえもん「君が食べるとか原始人的なことを口走るからだよ」

男「もしもの話だろーが」

男「あーくそ、もしもボックスがあったらそもそもこんな所に閉じ込められてなかったのによ」

ドラえもん「もしも男が蟹を生きたまま食べていたら」

男「そっちをもしもにするんじゃねーよ!」

ドラえもん「なんとそこには蟹の殻を噛み砕く凶暴な男の姿が!」

男「お前を噛み砕いてやろうか!」

ドラえもん「歯が折れるよ、僕鉄で出来てるから」

男「そこだけ真面目に返すの?」

ドラえもん「まあまあ落ち着いて、指を蟹に挟まれて落ち着いて」

男「いや、その状況で落ち着けるわけないよね?」

ズワイガニ「ギチギチ」

男「くっそー、こんなのがポンといても使い用がねーよな……生臭いし」

男「他に何かないのか!」


↓1
何があった?

男「お? これは……まさかドラゴンボール!?」

ドラえもん「聞いたことがあるよ、七つ集めると願いを叶えてくれるとか言うやつだよね」

男「ちゃんと七つある! これならいけるぞ!」

男「えーと呼び出し方は確か……いでよ神龍! そして願いを叶えたまえ!!」

ボンッ

神龍「さあ願いを……」

ギュウウウウウ

男「ぐえっ!?」

ドラえもん「あぎゃあ!?」

男「せ、せまっ!! 動けねえ!」

ドラえもん「こんな小さい部屋で呼び出したらそりゃこうなるよ!」

男「神龍デカすぎだろ! ぐえぇ死ぬぅ」

ドラえもん「つ、潰れるー」

神龍「……さあ願いを言え、どんな願いでも一つだけ叶えてやろう」

男「一旦消えてください!」

神龍「わかった」

ボシュウッ

男「ひい、ひい、死ぬかと思った……」

ドラえもん「今のはさすがの僕でもヤバかったよ」

男「さて、それじゃあ改めて願い事を」

神龍『願いは叶えてやった』

男「え? まだ何も言ってない……」

ドラえもん「あー!! きっと君が一旦消えてって言ったから、それが願い事になっちゃったんだ!!」

男「な、何ぃー!?」

神龍『ではさらばだ』

ボンボンボン

男「あ、ああ、待ってシェンローーーン!!」

ドラえもん「だめだ、ドラゴンボールも消えちゃった」

男「せ、せっかくこの部屋から脱出させてって願おうと思ってたのに……」

ドラえもん「君がいらないことを言ったせいだぞ! どうしてくれるんだ!」

男「うるせー! あんな状態で冷静になれるか!」

ドラえもん「全くもう、君は本当にのび太くんレベルだな!」

男「うぐぅ!? その言われようは突き刺さる……」

ドラえもん「はあ……過ぎたことは仕方ないか、他に何かないかな?」


↓1
何があった?

男「な……なんだこのスイッチは」

ドラえもん「これは……独裁スイッチ!?」

男「え!?」

ドラえもん「では無いね」

男「違うのかよ!」

ドラえもん「僕のひみつ道具ではないことは確かだね」

男「つまりよく分からない謎のスイッチってことか」

ドラえもん「うーん、どうする? 何が起こるかわからないよ?」

男「まあ、こういう時の行動は決まってるんだよな」

ドラえもん「だよね」

男「押してみなければ始まらない! ポチッとな!」ポチッ

……

男「……」

ドラえもん「……」

男「……?」

ドラえもん「なにか起こった?」

男「いや、わかんねえな……えー?」ポチポチ

ドラえもん「……何も起きないね」

男「なんなんだこのスイッチ? んんー?」ポチポチ

ドラえもん「長押しは?」

男「………………なんともなんねーな」ポチーーーー

ドラえもん「16連打!」

男「うおおおおおおお!!!」ポチポチポチポチ

ドラえもん「正解は?」

男「越後製菓!!」ポチッ

ドラえもん「……変化無しか」

男「だめだ、わからん!」

ドラえもん「謎のスイッチは結局謎のままだね……」

男「これ以上押してもどうにもならないな、他に何かない?」


↓1
何があった?

男「え、マンホールじゃん! こんなのあったの?」

ドラえもん「君は今まで気付かなかったのかい?」

男「お前だって気付いてなかっただろ!」

男「それより、ここから脱出できるかもしれないぞ!」

男「フタをどかすから手伝ってくれ!」

ドラえもん「無理だよ、僕指無いもの」

男「いや指無くてもなんだかんだで持ったりなんなり出来るだろ!」

ドラえもん「仕方ないなあ、一つ貸しだよ?」

男「お前は一体何様なんだよ……」

男「せーの!」

ドラえもん「よいしょ!」

ガコン

男「はー重い! マンホールのフタってなんでこんな重いんだか」

ドラえもん「ハシゴがあるよ、どうやら本当に外に繋がっているみたいだ」

男「よーし! それじゃあ早速脱出だ!」

男「俺先に行くからな」

ドラえもん「僕も一緒に行くよ」

男「結構深そうだな……」

ギュム

ドラえもん「ぐえっ」

男「ん?」

ドラえもん「た、助けてー」

男「どうした?」

ドラえもん「体が穴にはまっちゃった……」

男「あー、お前デブいもんな、ダイエットすればよかったのに、どら焼きの食いすぎだな」

ドラえもん「ロボットだからダイエットも何も無いだろ!」

ドラえもん「それより助けてよ! このままじゃ身動き出来ない!」

男「うーーん……」

↓1
1.助ける
2.見捨てて自分だけ脱出する

男「イヤだね」

ドラえもん「な、何だって!?」

男「今はこんなよくわからん状況なんだ、他人の身よりも自分の身を心配するもんさ」

男「つーわけで俺は脱出するぜ! 達者でな!」

ドラえもん「ま、待って! この裏切り者!」

男「何を裏切ったんだよ! じゃーな!」

ドラえもん「この野郎! 次に出会ったらぶっ殺してやるからな!!」

男「どうせよくわからん世界だ、マンガのキャラのお前と再会する機会なんざねーよ!」スタコラサッサ

ドラえもん「ま、待ちやがれー! 蟹味噌ヤローー!!!」

ドラえもんを見捨てて下まで降りた俺は下水道をしばらく歩き、上に登るハシゴを見つけた。

そこを登ると地上に出た。見慣れた風景だ。俺は驚くほどあっさりと日常に戻ってきたのだ。

結局あの部屋は何だったのだろうか。時が過ぎてひょんとその時を思い出した頃。


男「そういえばあの時エロ本を持って来てたよな」

男「とりあえず俺の部屋に隠してから、すっかり忘れてたぜ」

男「今日はそれをオカズにしようかな、ぐへへ」


俺は隠し場所の本棚に目をやった時、


男「っ!?」


マンガの棚にあった表紙のドラえもんと目が合った。

それはギョロリとこちらを睨みつけており、えも言われぬ恐怖が身を走った。


男「……は、はは、考えすぎか」

男「あれは確かに夢じゃなかった。エロ本もあるし」

男「だけど、現実にドラえもんがいるわけ」

「いるんだなあ、これが」

男「っっ!?!?」

男「(う、後ろに誰かいる!? ま、まさか……)」

「僕は言ったよ、次に出会ったらぶっ殺してやるってね」

男「あ、あああ……」


この大山のぶ代の声、間違いない、あいつだ。


「君を殺すために、取っておきのひみつ道具を用意したんだよ」


後ろに振り向く。


ドラえもん「巨大カニバサミ~♪」

男「それひみつ道具じゃねえ!?」

ドラえもん「死ね」

ザシュ

男「かっ」

ドラえもん「はい、これで首が身体とオサラバしました」

男「」

ドラえもん「どうしようかなあ、この首」

ドラえもん「君、食べる?」

ベヘリット「?」

ドラえもん「多分、蟹味噌よりはまずいと思うけれど」

ベヘリット「グチャグチャ」

ドラえもん「うわ、脳みそ食ってる、キモ!」



Dead end

飽きたのでこれで終わります
見てくれた方や安価取ってくれた方、ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom