ぐだ男「男になってるー?!」 (77)
沖田さんでませいっ!(でませんでした)
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~レイシフト先~
マシュ「マスター指示を! このままでは物量で押しつぶされます……!」
ぐだ子「ロマン! まだっ?!」
ロマニ「30秒! あと30秒!」
クー・フーリン(術)「お嬢ちゃんはマスター守ってな! 行けるぜマスター!」
ぐだ子「うん! 令呪を以って命ず! 眼前の敵を焼き尽くせ!」
クー・フーリン(術)「おうよ! 焼き尽くせ木々の巨人。『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!」
マシュ「マスター! 下がってくだ」
ぐだ子「あで」ゴンッ
マシュ「マスター!」
マシュ「マスター?! しっかりしてくださいマスター?!」ギュゥウウ
ぐだ子「うぅっ……マジュぐるじ……」
マシュ「ダメです! 意識を強く持ってください! 寝ちゃダメです先輩っ! 寝たら死にます!!」ギュゥウウウ
ロマニ「立香ちゃんの意識レベルが下がってる! 何が起きてるんだいマシュ!」
クー・フーリン(術)「あー気にしなくていいぞDr.軟弱」
ロマニ「……ちょっとその呼び方はひどくない?」
クー・フーリン(術)「お嬢ちゃんお嬢ちゃん、マスター窒息死すっから離してやれって」
マシュ「ですが敵の攻撃が! 先輩にっ!」
クー・フーリン(術)「飛んだ石が当たっただけだっての。つば付けときゃ治る。治療のルーンしといてやっから。ほら離した離した」
マシュ「は、はい。お願いします」
ぐだ子「うぅっ……マシュのマロなマシュが……」
ロマニ「えっと、強制退却準備できたけど、する?」
ぐだ子「……マシュマロぉ……」
・・・・・・・・・・
「せ、せんぱ……いですよね?」
「えっとマシュ? 誰連れてきたの?」
「ふ~む、意識レベルの低い際にレイシフトするとこうなることもあるってことかな?」
「と、とりあえずまずは医療チームを結成しよう。次にえっとえっとデータの収集もしないといけないしそれに」
「コフィンの修理もあるだろう? まずは落ち着きなよロマン。命に別状はないんだ」
(ん……はなし、こえ?)
「とりあえずマシュは立香ちゃん? くん? のそばにいてくれ。何かあったらすぐ連絡!」
「はい!」
「私はコフィンの修理に行くとするよ」
「あぁお願いするよ。僕は作業の指示を出してくる!」
(……だめだねむけが……)
「先輩……大丈夫、ですよね?」
・・・・・・・・・・
「んっ……」
マシュ「目が覚めましたか先輩?」
「うん……まだ眠いけど。おはようマシュ」
マシュ「はい。おはようございます先輩」
「……うん? 声がなんか変な気がする」
マシュ「えっと、先輩。気を強く持ってくださいね?」
「う、うん」
マシュ「ここに手鏡があります」
「そうだね」
マシュ「これを先輩に向けます」
「……ねぇマシュ?」
マシュ「はい先輩」
「なんかこう、私好みの男の子が鏡に映ってるんだけど、なにかな?」
マシュ「先輩です」
「ふぅん」
マシュ「先輩なんです」
ぐだ男「えぇええっええぇっ?! なにそれなにこれ!? 聞いてない! 聞いてないよ!?」
マシュ「落ち着いてください先輩!」
ぐだ男「なにこれ! 儂の名は? 儂の名はなの?! 尾張で大ヒットしたあれなの?! ノッブとおき太が入れ替わってる?! ってどっちも女じゃない!」
マシュ「先輩、媒体が違います」
ぐだ男「アストルフォきゅんに会いに行かなきゃ……うちのカルデアにいないけど」フラフラ
マシュ「落ち着いてください先輩!」ロード・カルデアス!
ぐだ男「クイックッ!?」
・・・・・・・・・・
マシュ「――というわけなんです」
ぐだ男「なるほど。何も分かってないってことだね?」
マシュ「はい。今ドクターが原因の究明を行っていますが……」
ダ・ヴィンチ『はいはーい。それについての最新情報をお届けするよー』ブォン
ぐだ男「ダヴィンチちゃん! 早く早く!」
ダ・ヴィンチ『急かさない急かさない。早漏はいい男になれないぞ~?』
ぐだ男「男になりたくないから急いでるの!」
マシュ「早漏?」
ぐだ男「復唱しないでぇ!」
ダ・ヴィンチ『結論から言えばごく一部の意味消失。意識レベルが低い状態でレイシフトを行った弊害だね』
ぐだ男「意味消失……ってそれ大丈夫なんですか私?」
ダ・ヴィンチ『大丈夫さ。どんなに意識レベルが低くてもシフト成功率が95%以下ならレイシフトはできないからね。レイシフト自体は成功している』
ダ・ヴィンチ『原因に関してはまだ調査中だけど、推測でよければ聞きたいかい? 戻る方法も一応推測はできているからね』
ぐだ男「教えてください!」
ダ・ヴィンチ『うんうん、切羽詰った様子が感じられるいい返事だ』
ぐだ男「当たり前じゃないですか! 起きたら男の子なんですよ?! ついてるですよ! 焦るに決まってるじゃないですか! 切羽詰まるに決まってるじゃないですか!」
ダ・ヴィンチ『性別なんて大した問題じゃないと思うんだけどねぇ。まぁ答えよう。立香が今男性になっている理由は』
ぐだ男「り、理由は」
ダ・ヴィンチ『レイシフト時の思考が男性寄りだったからではないかと推測中だ』
ぐだ男「……ん?」
マシュ「……?」
ダ・ヴィンチ『レイシフトする時に何を考えていたか思い出せるかい? 立香』
ぐだ男「えっと、あの時は」
――――――――――
マシュ「マスター! しっかりしてくださいマスター?!」ギュゥウウ
ぐだ子(あぁマシュのふとももやわらかいなぁ)
ぐだ子(おなかもいいにくかんだなぁ)
――――――――――
ぐだ男「あっ」
ダ・ヴィンチ『思い出したかい?』
マシュ「思い出せましたか?」
ぐだ男「思い出したけど……。マシュごめんね」
マシュ「? どうして先輩があやまるんですか?」
ぐだ男「えっとなんていうか、その……」
ダ・ヴィンチ『戻る方法に関しても簡単さ。今度は自分を女性だと強く意識してレイシフトすればいい』
ぐだ男「じゃあすぐにでも!」
ダ・ヴィンチ『焦っちゃいけない。コフィンの修理が必要でね。1日はかかりそうなんだ』
ぐだ男「そ、そんなぁ……」
ダ・ヴィンチ『まぁまぁ、私とロマンに優秀なスタッフの全員で調査・対策中さ。すぐに解決できるよ。それまで少しの間待っていて欲しい。じゃあ私はコフィンの修理に戻るよ』ヴォン
ぐだ男「ま、まってダヴィンチちゃん!」
マシュ「げ、元気出してください先輩。戻る方法が明確になったのですから、後は実践するだけです」
ぐだ男「そ、そうだねマシュ」
マシュ「はい。頑張りましょう先輩」
ぐだ男「う、うん頑張ろうねマシュ」
ぐだ男(近い! 近いよマシュ!)
ぐだ男「ま、マシュ? もうちょっと離れてくれるとなんというかありがたいなーってマスター思うの」
マシュ「? 何か不都合がありますか?」
ぐだ男「ほら、距離が近いと稼動域が狭くなっちゃうでしょ? ゆ、有事の際に困るなーなんて」
マシュ「いえ、私は先輩の盾ですから。迫り来る脅威から先輩を守る使命があります。それにまだ先輩は覚醒したばかりでふらつくことがあるかも知れませんから」
ぐだ男「そ、そうだねー。マシュは私の盾だもんねー」
ぐだ男(矛が! 矛が危ない! 矛盾しちゃう矛盾!)
マシュ「まずは服ですね先輩。いつまでも病衣のままでは治るものも治りません」
ぐだ男「服……うんそうだね。でもこれ病気なのかな」
マシュ「病は気から! とレオニダスさんもおっしゃってました」
ぐだ男「うん、レオニダスさんが言うと説得力あるね。風邪とかひいたことなさそうだもんね彼」
マシュ「では行きましょうか先輩。ドクターのところに行けば男性用の魔術礼装もありますから」
ぐだ男「そうだね。……そういえば元々私が着てた服はどこにあるの?」
マシュ「先輩の服は現在洗濯中です。あっ、もしかしていつもの服のほうが落ち着きますか?」
ぐだ男「いや、大丈夫。丈とか絶対合わないだろうしただの怪しい人になっちゃうからいいや」
マシュ「では行きましょう先輩。衣は急げです」
~スタッフルーム~
マシュ「ドクターいらっしゃいますか?」
ぐだ男「ロマンいるー?」
ロマニ「立香ちゃん?! 出歩いて大丈夫なのかい? 体に不調は? 何か精神的に負担のかか」
ぐだ男「あー大丈夫大丈夫。大丈夫だから安心してロマン。とりあえず問題はなさそうだよ」
ぐだ男「それより、ロマン忙しそうだね?」
ロマニ「いや、今一通りの指示を出し終わったところ。……ごめん立香ちゃん、調査にはまだ時間がかかりそうだ」
ぐだ男「ごめんね、忙しいのに余計な仕事増やしちゃって」
ロマニ「そんなことは無いさ! 僕らが何より優先すべき事柄は立香ちゃんのフォローだからね!」
ぐだ男「でもとって置いた大判焼きは食べるんだね」
ロマニ「そ、それはほら名前が書いてなかったから」
マシュ「ドクター最低です」
ぐだ男「人のお菓子食べておいて「つぶ餡かよ」って言ってたのも覚えてますからね」
ロマニ「作業漏れしたペーストに何の価値があるんだ」
ぐだ男「これだからこし餡派は。こし餡派は淘汰される運命にあるというのは人理的に明らかなのに」
ロマニ「はっ、見聞を広めなよ。こし餡は実に70%近くの指示を得ているのは統計的に明らか。つまりこし餡が大多数の支持を得ているという揺ぎ無い事実」
ぐだ男「あーやだやだ。情報操作された統計情報を鵜呑みにしちゃうなんて。こんな人がトップだなんてカルデアの未来は暗いなー。アンリマユより真っ暗だよ。ねぇマシュ?」
ロマニ「そんなことは無いさ。人類の未来は明るい。そうだろマシュ」
マシュ「えっと……」
ぐだ男「つぶ餡!」
ロマニ「こし餡!」
マシュ「あ、間をとってカスタードはどうでしょうか?」
ぐだ男・ロマニ「邪道!」
マシュ「お、おいしいじゃないですかカスタード! ……なんで二人ともやれやれって顔してるんですか?」
ぐだ男「マシュ、今度レイシフトで日本に行くことがあったらおいしい和菓子を食べに行こうね」
マシュ「そ、その提案は抗いがたい魅力に満ちています……」
ロマニ「そのときはお土産よろしくね」
ぐだ男「はいはい。そうだそうだ、今は餡について議論しにきたわけじゃないんだった」
ロマニ「どうかした……どうかはしてるんだろうけど、僕にできることがあれば何でも言って欲しい」
ぐだ男「大した話じゃないんだけどね?」
マシュ「男性用の衣類を貸していただけないでしょうかドクター」
ロマニ「あぁなるほど。お安い御用さ。僕の白衣、は丈が合わなそうだね。魔術礼装でもかまわないかい?」
ぐだ男「うんそれでいいよ」
ロマニ「えっと今の立香ちゃんの身長は……」
ぐだ男「何センチくらいなんでしょう?」
マシュ「私の身長が158センチですから」スススッ
ぐだ男「ま、マシュ近い、近いよ」
マシュ「頭ひとつ分程度の差がありますね」ピタ
ロマニ「じゃあ170後半くらいかな。はいMサイズの魔術礼装一式だよ。一応Lサイズも持っていく?」
マシュ「持っていきましょう先輩。備えあれば憂いなしです」
ぐだ男「そうだね。でもブリリアントサマーは要らない」
マシュ「憂いなしです」
ぐだ男「いらない」
・・・・・・・・・・
~マイルーム~
ぐだ男「よーし、じゃあ立香ちゃん着替えようかなー」
マシュ「はい」
ぐだ男「……立香ちゃん着替えようかなー」
マシュ「はい先輩」
ぐだ男「…………ま、マイルームで一応現在精神的にはどうか分からないけど肉体的特長は男性な私が着替えようかなー」
マシュ「問題ありません先輩」
ぐだ男「問題あるよマシュぅ! 着替えづらい着替えづらいよ!」
マシュ「ですが先輩、気配遮断したアサシンがちか」
ぐだ男「いないから! ここカルデアだから!」
マシュ「カルデアにこそいる可能性だっ」
ぐだ男「出てってー!!」
マシュ「先輩!!」
ぐだ男「もう、マシュはたまに頑固になるからなぁ」ゴソゴソ
ぐだ男「へー、男の人の魔術礼装ってこうなってるんだー」ゴソゴソ
ぐだ男「……この帯はどっちにもあるんだ。何のためにあるんだろう」ゴソゴソ
ぐだ男「ん? そういえば下ぎ……は?」ポロン
ぐだ男「……うん……?」エクスカリバーッ
マシュ「……」タイキチュウ
イヤァアアァアア゛!!
マシュ「?! 先輩入ります!」
ぐだ男「おおおぉちん!! ってマシュ?!」
マシュ「敵襲ですか先輩! くっ、丸腰の先輩を襲うなんて」
ぐだ男「丸腰なのは着替え中だからだよ! 敵襲でもなんでもないよ!」
マシュ「ですが先ほど先輩の悲鳴が聞こえたのですが」
ぐだ男「それはエクスカリバーがエクスカリバーだからだよ!」
マシュ「はい?」
ぐだ男「■■■■■が■■■■なってたから■■■■■としただけだよ!」
マシュ「せ、先輩? ヘラクレスさんみたいなしゃべり方になってますよ」
ぐだ男「D――ettttekeeeee!」
マシュ「先輩っ!!」
ぐだ男「そうだよね……下着これしかないよね……」
ぐだ男「まさかブリリアントサマーを借りとけばよかったなんてことになるなんて」
ぐだ男「……うわぁ……もっこりしてる……」
ぐだ男「…………ええいっ、ままよ!」
・・・・・・・・・・
マシュ「お、お疲れ様でした? 先輩」
ぐだ男「……」
マシュ「えっと、その、似合ってますね。男性用の魔術礼装」
ぐだ男「……そりゃ男の子だからね」
マシュ「えっと、先ほどなにがあったのか聞いてもよろしいでしょうか?」
ぐだ男「……」
ぐだ男「――」
ぐだ男「もう私はバーサーカーたちに囲まれて心静かにすごすよ。私の心はバーサーカーだったよ」
~カルデア通路~
ぐだ男「……」トボトボ
マシュ「……」
ぐだ男「……」トボトボ
マシュ「……」
マシュ(先輩が落ち込んでいます。どうしよう、なにか元気付けられるようなことを)
ぐだ男「……あっ」
マシュ「? アステリオスさんですね。散歩中かとおもわれます」
アステリオス「? ますたー……ますたー?」
ぐだ男「そうだよマスターだよー」
アステリオス「ますたー、ちょっと、ちがう?」
ぐだ男「う、うん。いろいろあってね」
アステリオス「でも、ますたーは、ますたー」
ぐだ男「あ、アステリオスー! やっぱりアステリオスはいいこだよぉ~」
アステリオス「ますたー、くすぐったい」
ぐだ男「よーしよし、よーしよしよしよし」
アステリオス「あはは、ますたー、おもしろい」
ぐだ男「あぁーもふもふだぁー」
???「なんか面白いことになってるわねマスター?」
ぐだ男「ん? 髪の中から声がする?」
???「やんっ。もう、どこ触ってるのマスター」
ぐだ男「え、ええっ! えええええうりゅあれぇ?!」
アステリオス「あ、えうりゅあれみつけた」
エウリュアレ「あーあー見つかっちゃった」
マシュ「えっと、お二人は何をしていたのですか?」
ぐだ男「あわわわわっ、さわ、さわちゃ」
アステリオス「かくれんぼ」
マシュ「だ、大胆な隠れ方でしたね。探している人の背中にしがみつくとは」
エウリュアレ「まぁ私を探してうろうろするアステリオスを見てるのも面白かったけど、それ以上にジタバタと面白そうなものを見つけたからいいわ」
エウリュアレ「ねぇ、なにあれ?」
アステリオス「ますたー」
エウリュアレ「固体名を聞いたわけじゃないのよ? あれがああなってる理由を聞きたいの」
マシュ「じつはかくかくしかじかでして」
エウリュアレ「まるまるうまうまってわけね。へぇ~。面白いじゃない」
ぐだ男「面白くないよ?! 必死だよ!」
エウリュアレ「私は人が必死にジタバタするのを見るのが好きなの。知ってるでしょ?」
ぐだ男「悪魔だ!」
エウリュアレ「女神よ」
アステリオス「じたばたして、たのしい?」
マシュ「えっと、そのような嗜好のサーヴァントもいらっしゃるということです」
エウリュアレ「ほら、せっかく男性になったのだから、男性でしか味わえない、愉しめないことをしてみたら?」
ぐだ男「そ、そんなことはしないです!」
エウリュアレ「触ったくせに?」
ぐだ男「あ、あれは不可抗力で」
エウリュアレ「したいでしょ?」
ぐだ男「はい女神様」
マシュ「先輩?!」
エウリュアレ「あら、素直な子は好きよ?」
ぐだ男「……はっ! わ、私は何をっ」
エウリュアレ「む、私の魅了から逃れるなんて生意気ね。女神本気出しちゃおうかしら?」
ぐだ男「う、うわぁああああぁああん!」
マシュ「せ、せんぱーい!! まってくださいー!!」
アステリオス「……じたばたするの、たのしい」
エウリュアレ「あら、あなたも分かってきたじゃない」
・・・・・・・・・・
~エミヤルーム~
ぐだ男「うぅ……ひぐっ……」グスグス
エミヤ「……何があったマスター。いやそもそもキミはマスターなのか?」
ぐだ男「マスターなんです……あなたのマスターなんです……」
エミヤ「確かに私とのパスはつながっているし魔翌力の質も以前と同じだ。だが、その姿は……?」
ぐだ男「えっぐ……ひぐっ……」グスグス
エミヤ「あぁもう男が泣くな! 話が見えてこない!」
ぐだ男「女だよぉ!」
エミヤ「ええいややこしい! いいから落ち着け!」
・・・・・・・・・・
エミヤ「落ち着いたか?」
ぐだ男「う、うんなんとか」
エミヤ「しかしレイシフトとやらにそんな危険性があるとはな。まぁ召還される我々には縁の無いことではあるが」
ぐだ男「ぐぬぬっ、そのうち褐色ロリでキス魔の魔法少女にしてやる」
エミヤ「はっはっは。そんなことがあってたまるか」
ぐだ男「えっと、エミヤ? さっきから何してるの? なんだか甘い匂いがするけど」
エミヤ「まぁそのまましばらく待っていたまえ」
ぐだ男「うん」
エミヤ「それで、どうしてキミは私の所に来たんだ? こういった事象の専門家は他にもいるだろうに」
ぐだ男「解決方法はロマンたちが調べてくれてるからいいの。エミヤはなんかこう、女性のあしらい方に詳しそうだなーって思って」
エミヤ「それは……褒められているのか貶されているのか難しいところだな」
ぐだ男「ほらエミヤ女たらしじゃない?」
エミヤ「よしつまみ出すか」
ぐだ男「冗談! 冗談です!」
エミヤ「まったく。まがいなりにも英霊にそんな冗談を言えるのは世界広しとはいえ君くらいだろうよ」
ぐだ男「褒められてる?」
エミヤ「あぁ。もちろん褒めているとも」コトリ
ぐだ男「えっと、これは?」
エミヤ「食パンのあまりをもらったのでね。フレンチトーストにしてみた。腹が減っていては考えも悲観的になろう。まずは食事、それに睡眠だ」
ぐだ男「あ、ありがとうエミヤ」
エミヤ「なに、礼には及ばない。……廊下で待機しているキミもどうだ?」
ぐだ男「ん? はれはひふの?」
エミヤ「口にものを入れたまま喋るな」
マシュ「し、失礼します。エミヤ先輩」
ぐだ男「まひゅ?! んぐっ」
エミヤ「口にものを入れたまま喋るな。ほら紅茶だ。流し込め」
ぐだ男「んぐっ……ま、マシュどうして廊下に?」
マシュ「先輩の身辺の警護を行っていました。それに……男性サーヴァントへの相談は私がいてはお邪魔になるかと思いまして」
ぐだ男「そんな……! マシュが邪魔だなんて思ったことは一度も無いよ!」
マシュ「……でも着替えのときに追い出されましたよね?」
ぐだ男「うっ、そ、それは」
エミヤ「マシュ、キミもまずは座りたまえ。話し合いはそれからだ」
マシュ「は、はい」
エミヤ「あと先輩呼びで愛が重い女性はトラウマなのでどちらかの要素を落として欲しい」
ぐだ男「私が認めません」
マシュ「いやです」
エミヤ「そうか」
・・・・・・・・・・
ぐだ男「はぁぁ~甘い~」
マシュ「はい。おいひいでしゅ先輩」
エミヤ「それは何よりだ」
ぐだ男「お菓子とか久しぶりに食べたよ~」
マシュ「カルデアの食糧事情は余裕があるとは言えませんから。仕方ないですよ先輩」
ぐだ男「それもこれもロマンのせいだ。ちくしょうあのこし餡派めぇ。それにしても食べものかぁ。深刻な問題だよね」
マシュ「そうですね。自給自足をしようにもここでは作物が育ちません」
ぐだ男「なんかこう、お米とか魚とか肉とかがバーっと出てくる宝具ってないのかなぁ」
マシュ「うーん……」
エミヤ「そんな宝具があるとすればまさに英雄だな。お目にかかりたいものだ」
ぐだ男「うーん、彦麻呂って英霊登録されてると思う?」
エミヤ「されててたまるか」
マシュ「せ、先輩。そのヒコマロさんとはどのような英霊なのでしょうか? 私の知識にはありません」
エミヤ「気にするな。いつもの世迷言だ」
ぐだ男「英霊史上初の対レポ宝具を持つ英霊だよ」
マシュ「た、対レポ宝具……ですか」
エミヤ「贋作英霊でももう少しマシだろうよ」
ぐだ男「我は前に食は全て同じ。『食の宝石箱(アリマン・エクラン)』」
クー・フーリン(術)「なんだなんだ、新しい宝具かマスター」
エミヤ「ランサー……ではないのだったな」
クー・フーリン(術)「いい加減慣れろよ弓兵。んでなんだなんだ? うまそうなもん作ってやがるじゃねーか」
ぐだ男「フーリンも食べる?」
クー・フーリン(術)「おっ、わりぃなマスター」
マシュ「先輩先輩」
ぐだ男「じゃあここからここまでは食べていいよ」
クー・フーリン(術)「おいおい耳しかねぇじゃねぇか。真ん中食わしてくれよ」
マシュ「先輩先輩!」
ぐだ男「そこは私の領地だからダメ」
クー・フーリン(術)「なるほど陣取り合戦だな。望むところだぜ!」
マシュ「先輩!」
エミヤ「キャスター、キサマの分も作ってやるからフォークにルーンを刻もうとするのはやめろ。あとマスター、マシュが呼んでいるぞ」
ぐだ男「ん? どうしたのマシュ?」
マシュ「クー・フーリンさんが一発で先輩を先輩だと見抜かれましたよ?!」
ぐだ男「そりゃ私は私だもの」
マシュ「そうではなくて!」
クー・フーリン(術)「あぁ、マスターが男体化したって話だろ? もうそこら中に知れ渡ってるぜ?あの女神が触れ回ってたからな」
ぐだ男「へー」
クー・フーリン(術)「蛇女のバーサーカーとガキのアサシンと侍のバーサーカーが血眼になって探してたな」
ぐだ男「へー……」
エミヤ「やはりキミには女難の相が出ているようだ」
クー・フーリン(術)「厄除けのルーンでも刻んどいてやろうか」
ぐだ男「是非お願い致します」
ぐだ男「……命が是非もないネ!」
マシュ「き、気を確かに持ってください先輩」
ぐだ男「筋力Aの源頼光、ストーキングスキルBの清姫、気配遮断A+の静謐のハサン。気を確かに持てる要素が無いよマシュ」
マシュ「先輩は私が守りますから!」
ぐだ男「ありがとうマシュ」
クー・フーリン(術)「それで弓兵のところに来たってわけか。そりゃ正しい判断だぜマスター」
ぐだ男「ん? どういう意味?」
クー・フーリン(術)「なに、うちにいる英霊の中でそこらへんのあしらい方知ってるのはコイツだけだろうからな」
エミヤ「誤解を招く発言だ。私にそんなスキルはない」
ぐだ男「ええーほんとうにござるかぁー?」
エミヤ「ええい! その微妙に苛立つ話し方をやめんか!」
ぐだ男「女難避けの加護とか無いの?」
エミヤ「あってたまるか! キャスター! 誤解を招くような発言を撤回しろ!」
クー・フーリン(術)「だがなぁ、他の英霊は「英雄色を好む」な連中ばかりだぞ?」
ぐだ男「そう」
マシュ「言われて」
エミヤ「みれば」
クー・フーリン(術)「他のやつらに相談でもしてみろ。どんな答えが返ってくるか想像くらいできんだろ」
――――――――――
叔父貴『おや、マスター、悩み事か? 異性の事なら任せたまえ。同性でも勿論構わないぞ? はっはっはぁ!』
赤王『うむ! 美少年美少女! 美しいのであれば皆平等に愛でるがよいぞ!……どうしたマスター? 愛で方が分からんとでもいうのか? よし! では余が芸術品の愛で方を直々にその体に教えてやろう!』
騎士団長『私は佇むだけで姫君に求婚され、美しき魔女の姉妹からツイン告白されたりするからわからん』
――――――――――
クー・フーリン(術)「その点コイツは万全だ」
エミヤ「待て、その言い方では私がまるでモテなかった男のようではないか」
クー・フーリン(術)「違うのか?」
エミヤ「断じて違う! オレは一つ屋根の下に金髪外人、黒髪ツンデレ、後輩の通い妻、ハーフのロリ妹、幼馴染の教師とすご……」
ぐだ男「……」
マシュ「……」
エミヤ「……していたような気がするが気のせいだろう! あぁ気のせいだ! 気のせいだとも! 英霊になる前の記憶などほとんど覚えていないさ!」
ぐだ男「つまりヤリ逃げってことですか?」
エミヤ「違う! 断じて違う!」
ぐだ男「ランサーですか? ランサーなんですか? ご自身のゲイ・ボルグでいたいけな少女たちに勝利か何かを約束しちゃったんですね」
マシュ「エミヤ先輩最低です」
クー・フーリン(術)「ランサーを汚しやがって」
エミヤ「やってない! オレは無罪だ! そもそもキャスター貴様は」
クー・フーリン(術)「モテたぞ? まぁそのせいで死んだりもしたがな」
エミヤ「ぬぅおおおおおおお! なんだ、なんだこの四面楚歌は!」
ぐだ男「自害しろアーチャー。後悔を抱いて溺死しろ」
エミヤ「えぇい! 令呪を使おうとするな! そもそもキミには絶対命令権があるじゃないか!」
ぐだ男「あっそうだ。なーんだ令呪使えば簡単じゃーん」
マシュ「でも今日一画使っちゃいましたよね?」
ぐだ男「あっ」
エミヤ「当面のエネミーは三体、令呪は二画、どうやっても直接対決は避けられないな」
ぐだ男「だめじゃん! エミヤのばかぁああ!!」
マシュ「せ、先輩! 待ってくださーい!!」
バタバタバタバタッ
エミヤ「行ったか」
クー・フーリン(術)「厄除けしていかなかったけど、まぁ大したことにはならないだろ」
エミヤ「だといいのだがな。何事もなければいいが」
クー・フーリン(術)「ところでオレに甘味はねーのか?」
エミヤ「ホットドックでいいか?」
・・・・・・・・・・
~マイルーム~
ぐだ男「うぅう……もうだめだぁ。きっと鐘の中に閉じ込められた上で子供扱いされながら毒で全身を蝕まれつつ焼死するんだぁ……」
マシュ「絶対にそんなことにはさせません!」
ぐだ男「せめてマシュだけは逃げてぇ……」
ダ・ヴィンチ『もしもーし?』ピピーッ
マシュ「先輩、通信ですよ」
ぐだ男「自分で性格変えちゃうような人からの通信なら出ません」
マシュ「先輩」
ダ・ヴィンチ『かっちーん。よーしダヴィンチちゃん怒ったぞー。耳寄りな情報があったけど教えなーい』
ぐだ男「うそうっそでーす! わーなんだろうなー、天才美女ダヴィンチちゃんの発見したこと私知りたいなー!」
ダ・ヴィンチ『まぁ教えちゃうんだけどねー。ロマンは教える必要は無いだろうって言ってたけど、私としては知っておいたほうがいいと思うから伝えるよ』
マシュ「先輩、なんだかいやな予感がします。聞かないほうがいいかと」
ぐだ男「おぉ、マシュも直感スキル持ちに?」
ダ・ヴィンチ『一言で言うと純潔は守りたまえってことさ。戻れなくなるかもだからね』
ぐだ男「……は?」
ダ・ヴィンチ『ほら、お湯を浴びると性別が変わる話があるだろ? あれと同じさ。行為に及んだ時点で乙女ではなくなってしまって戻れなくなるのさ』
ぐだ男「あれってそんな話だったっけ? ってかなにそれ!」
ダ・ヴィンチ『では頑張りたまえよ~』ヴォン
ぐだ男「待って! 待ってダヴィンチちゃん!」
マシュ「大丈夫です先輩。先輩の純潔は私が守ります!」
ぐだ男「うん、頼もしいけどあんまり口に出して欲しくない日本語だったかなー?!」
清姫「あら、それは困りました」
ぐだ男「うんそうだよ純真無垢なマシュにいわれ出たー?! 小学生で僧侶に逆夜這いかけた嘘つき絶対焼き[ピーーー]マンだー!!」
マシュ「先輩、それをいうならウーマンです」
清姫「ガールではなくて?」
ぐだ男「それもそうだねじゃなくて! こ、こんにちは清姫さん? えっとご機嫌麗しゅう?」
清姫「はい旦那様。ご機嫌麗しゅう」
ぐだ男「えっと、何から聞けばいいのかな?」
清姫「わたくしに答えられることでしたらなんなりと。どこで生まれ、どのように生きたのか。好きな食べ物は何で、嫌いな食べ物は何で、好きな男性のタイプ……は聞かれるまでもありませんね。好きな女性のタイプも同じことです。一日のスケジュールはまず旦那様の寝顔を眺めるところから始まり、旦那様が寝静まるまでを心行くまで眺めるまで、一秒一瞬たりとも旦那様から離れることはありませんわ。えぇと、なんといいましたか……そうです、ゆりかごから墓場まで。ですわね。あっ、思い出しました。旦那様昨日わたくしの部屋に来ていただきたいとお手紙をしたためましたのにどうして来ていただけなかったのですか? お手紙を読まれていないことは存じておりますが、旦那様とわたくしの仲、以心伝心などという言葉では捕らえきれぬ他生の、そして今生の縁。読まずとも来ていただけると信じていましたのに……。それも一度や二度ではありません、此度召還されてからただの一度もわたくしの元に来て下さらないとは。もしやまたわたくしから夜這いをかけて欲しいというお誘い……? 申し訳ありません旦那さま、この清姫失念をしていました。安珍様は攻めるよりも攻められるのがお好みの奥手な殿方でした。もう、あの頃も夜這いは男性が女性の元に通うのが常でしたのに「俺の元に来い」などと安珍様は……。そうと決まれば同衾は急げですわ。わたくしが一度部屋から出ますので旦那様は狸寝入りをなさって下さい。この清姫、旦那様のためだけに守ってきた純潔を捧げます。ふふっ、大丈夫ですわ旦那様。こう見えてもわたくし、勉強家ですのよ? あぁ、でもそれには一人邪魔者がおりますねぇ。分かりました、旦那様が望むのでしたらこの清姫鬼にも蛇にもなりましょう。さぁご照覧あれ、転身か――」
ぐだ男「ストーップ! あぁもうなんとなく私の部屋にいた理由はわかった! ずっといたんだね!」
清姫「隠密的にすら見える献身的な後方警備です」
ぐだ男「さすがストーキングスキルB! スキルレベル上げられなくてごめんね! 身の危険を感じるから!」
清姫「なんと、旦那様を付け狙う輩がいるとは。だがご安心くださいませ。この清姫、その御身には塵ひとつ触れることなしと約束いたしましょう」
ぐだ男「わぁい安心だなぁ! 石油コンビナートで放火魔に子守されてる気分だぁ!」
マシュ「せ、先輩を守るのは私の役目です! 誰にも渡しません!」
ぐだ男「マシュも変なところで張り合わないでっていうか今私を守って!」
マシュ「はい! 先輩は後ろに下がってください!」
清姫「……ふふっ、うふふっ、あはははは」
マシュ「……先輩、清姫さんの目が怖いです!」
ぐだ男「目だけじゃないよ! 今の清姫は存在が怖いよ!」
清姫「うふふふふっ、また私と安珍様の逢瀬を邪魔翌立てするのですね熊野。あははっ。あっはははははははははははははははは!!!」
ぐだ男「だから私は安珍さんじゃないよ! って熊野さんってだれ?!」
マシュ「おそらく安珍清姫伝説における」
ぐだ男「マシュも解説しなくていいよ! それはツイ4さんに任せよ?!」
清姫「いいでしょういいでしょう、諸共荼毘に付して差し上げましょう! 転身火生三昧!」
マシュ「先輩! きます!」
ぐだ男「ここカルデアー! あぁもう宝具展開宝具展開!」
マシュ「はいっ、宝具展開します! ロード・鐘ロット!!」
ぐだ男「鐘じゃだめじゃーん!?」
・・・・・・・・・・
マシュ「――い、せんぱい、先輩!」
ぐだ男「けほっけほっ……マシュ大丈夫だった?」
マシュ「はい。マシュ・キリエライトは健在です。清姫さんも健在ですが、気を失っていますね」
清姫「――」キュウ
ぐだ男「あぁよかった、マイルームが全焼しただけですんだ……」
マシュ「せ、先輩。気を強く持ってください……」
ぐだ男「大丈夫、まだ大丈夫……。まずは清姫をどうにかしないとね」
マシュ「そうですね」
ぐだ男「令呪使っちゃおうか。うんそうしようそれしかない。我がサーヴァント清姫に令呪を以って命ず、私が女性に戻るまで部屋から出ないこと!」
マシュ「これで残り一画なってしまいましたね……。そういえば先輩、なぜ私は「カネロット」といって宝具を展開したのでしょうか? ……もしかしてこれが真名なのでしょうか?」
ぐだ男「いやな真名だね!」
??「おぉ、これは……! 新たな演劇の練習をしておるのかマスターよ! だが――余の黄金劇場にはちと及ばんかのう? どうじゃ? 余を舞台監督にせぬか?!」
ぐだ男「ネロにはこれが演劇の練習に見えるんだね?」
ネロ「違うのか?」
ぐだ男「違うよ。これは人生という名の悲劇だよ」
ネロ「悲劇も客席から見れば喜劇というものよ。しかしなるほどなるほど。話は伝え聞いていたがなかなかの美少年になっているではないか!」
マシュ「はい。先輩は美少年です」
ぐだ男「こ、これは喜ぶべきところなのかな……?」
ネロ「何を言う! 世界を統べる皇帝たる余のハレムに加わるということ以上の喜びがこの世にあろうか?! いや、ない! さあ――開け、黄金の劇場よ!」
ぐだ男「待って待って! ま、まずは友達付き合いからはじめよ? ねっ?」
ネロ「観念せい。ほれ、そなたも我がハレムに加わりたいと膨らませているではないか」
ぐだ男「なにがふくら……ん」モルガーンッ
ぐだ男「ね、ねね、ね……」
ネロ「ん? どうした我がマスターよ」
ぐだ男「ネロがそんな服着てるからだー! うわぁあぁああん!」
マシュ「せ、先輩! 待ってくださいー!」
ドタドタドタドタッ
ネロ「……ふむ、刺激が強すぎたかのう?」
・・・・・・・・・・
~カルデア空き部屋~
ぐだ男「モウダメダダメナンダワタシハ…カハンシンカリバーヲセイギョデキナイダメマスターナンダ…」
マシュ「だ、大丈夫ですか先輩?」
ぐだ男「あぁぁああ! ダメだマシュ! 今の私に無意識両腕胸寄せで顔を近づけないでぇ!? 今の私は人類悪だから! いろんな所がビーストだから!」
マシュ「だ、大丈夫ですよ! ほ、ほら私は露出が少ないですから」
ぐだ男「体のラインが宝具級だよ! あぁもう明日から女性サーヴァントはみんなレインコート着用! あとジャージ!」
???「そ、それは困り、ます」
ぐだ男「せ、静謐ちゃんいつの間に!? さすが気配遮断A+……」
静謐のハサン「は、肌の露出を制限されては、私の能力が、発揮できません……」
ぐだ男「そ、そうだよね。服装で力が制限されちゃうサーヴァントもいるもんねー」
静謐「なにより、貴方のぬくもりを感じることができません」
マシュ「先輩離れてください! エネミーです!」
ぐだ男「だ、大丈夫だよマシュ! 静謐ちゃんなら話は通じる! ……はず!」
ぐだ男「狂化ないし! 一族のトップだったし! 話は通じる! ……はず!」
静謐「トップだなんて、褒められた、ものではなかったのですが」
ぐだ男「静謐ちゃんは私に変なことしないよね?!」
静謐「はい。私は寝床に潜り込むだけで幸せです」
ぐだ男「アウトっぽいなー! 残念ながらアウトっぽいなー!」
静謐「問題はありません」
静謐「……もしかしたら、寝ているマスターに粘膜が接触してしまうことがあるかも知れません」
静謐「でもマスターは問題ありませんから、きっと大丈夫です」
ぐだ男「だいじょばないよー?! 肉体的には死なないけど女性的な精神が死んじゃうよー!? 朝起きたら裸の褐色美少女が隣にとか死んじゃうから!」
静謐「大丈夫です。男性でも女性でも、私の想いは変わりません」
静謐「私が尽くすのは貴方一人ですマスター。私の全ては貴方の御心のままに」
静謐「この体は髪の一本から体液の一滴まで貴方のもの。この心の純潔は余す所なく貴方のもの」
ぐだ男「せ、静謐ちゃん……」
静謐「貴方に、全てを捧げます。全てを」
静謐「受け取って、ください。受け取り拒否は、できかねます」
静謐「んー……」
マシュ「やぁぁ!」Buster
静謐「ハシシッ!」バタッ
ぐだ男「……はっ! 今私の中で何かが目覚める手前まで来てたような気がする……」
マシュ「意識を強く持ってください先輩! 静謐さんはその肢体全てが男性を暗[ピーーー]るために特化している英霊です!」
マシュ「女性の先輩では耐えることができたかも知れませんが、男性の先輩はどうなるか分かりません!」
ぐだ男「いわれてみれば……! あ、危なかった。また助けられたね。ありがとうマシュ」
マシュ「い、いえ。私は先輩の盾ですから……」
ぐだ男「ええと、とりあえず静謐ちゃんどうしようか? 放って置くわけにもいかないし」
マシュ「どうしますか? 清姫さんと同じように令呪で行動を制限しましょうか?」
ぐだ男「……いや、静謐ちゃんよりも頼光さんのほうが怖いから令呪はまだ使わないでおこう」
ぐだ男「……ん? というか今頼光さんに令呪使えば立香ちゃん大勝利? やったよマシュ! 沖田さん大勝利だよ!」
マシュ「えっ? あっ、はいおめでとうございます」
ぐだ男「我がサーヴァント源頼光に令呪を以って命ず、私が女性に戻るまで私に何もしないこと!」
マシュ「……これで三画使い切ってしまいましたね、先輩」
ぐだ男「まぁ明日になれば戻ってるから大丈夫だよ。じゃあとりあえず静謐ちゃん送ろうか」ヨイショ
マシュ「先輩!?」
ぐだ男「大丈夫大丈夫。とりあえずハサンルームに送るだけだから。呪腕さんもいるし何とかしてくれるでしょ」
マシュ「……了解しました。マシュ・キリエライト、送迎の護衛を勤めさせていただきます」
ぐだ男「そんな大仰な。おっ? ねぇねぇマシュ、この体だと静謐ちゃんがすっごく軽く感じる!」
マシュ「身体機能も向上しているようですね。少しうらやましいです」
ぐだ男「今ならマシュと腕相撲しても勝てるかもよ~?」
マシュ「それは、どうでしょう? 私はデミとはいえサーヴァントですから、先輩の筋力では拮抗することもないかと思います」
ぐだ男「まぁそうだろうけどさー」
マシュ「負けそうになったら先輩の魔翌力を消費する、という手もありますし」
ぐだ男「それは反則じゃない?」
マシュ「戦略の一つです。腕相撲のルールに魔翌力に関する記載はありませんから」
・・・・・・・・・・
「――の魔術回路? って――」
「ドクターいわく――――」
「じゃあ魔翌力量――」
「私一人で――召還システム――」
(うん……ゆれてる……?)
「えぇーマシュ一人で全部使い切れちゃう――」
「先輩は魔術師の家系――」
(あぁ、マスターが背負ってくれてるんだ)
(……あったかい)
(ふれて、いいんだ。さわって、いいんだ……)
「魔術の力ってすげー」
「メディアさんに師事されてみては?」
(サーヴァントがマスターに負荷を強いてはいけない……)
(でも今は、もう少しだけ……)
ぐだ男「でもメディアさんちょっと怖いからなー」
マシュ「そんなことはないですよ?」
マシュ「……」チラッ
・・・・・・・・・・
~ハサンルーム~
マシュ「失礼します」
ぐだ男「呪腕さんいるー?」
呪腕のハサン「おぉ魔術師殿。私めはここに」
百貌のハサン「有事かマスター……むっ、なにやら担いでいるようだが」
ぐだ男「まぁ色々あってね……とりあえず、静謐ちゃんの面倒を見てもらいたいんだけど、いいかな?」
呪腕「? えぇ、構いませんとも。ですが魔術師殿、静謐のは……」
静謐「……」
ぐだ男「ん? どうかした?」
百貌「静謐、貴様起き」
呪腕「いえ、何でもございません。どうぞ我々にまかされよ。その使命十全に果たしましょう」
ぐだ男「そ、そんな重い話じゃないんだけど……じゃあお願いしまーす」
マシュ「し、失礼します。先輩待ってくださいー」
呪腕「……もう起きてもよいぞ静謐の」
静謐「……はい。ありがとうございました呪腕さま」
百貌「まったく、何をしていたのだ何を」
呪腕「あまり魔術師殿にご負担を強いてはいかんぞ」
静謐「はい……気をつけます」シュン
・・・・・・・・・・
ぐだ男「ふぅ……なんか色々疲れたねマシュ」
マシュ「はい。お疲れ様でした先輩」
ぐだ男「お風呂で疲れを落として寝たいねー」
マシュ「お風呂……いいですね。カルデアにも設置されないでしょうか」
ぐだ男「カルデアのルームについてるのはシャワーだけだからねー。ギルくん温泉の宝具とか宝物庫にしまってたりしないかな?」
マシュ「それは流石に所持していないのではないでしょうか?」
ぐだ男「それもそうか。じゃあマシュ、また明日」
マシュ「えっと、先輩? どちらに行かれるつもりですか?」
ぐだ男「どちらって、私のルームだけど」
マシュ「きよひ」
ぐだ男「あぁっそうだった……私のルームはあれがあれしてるんだった……」
マシュ「あ、あの先輩? 提案があるのですが」
ぐだ男「提案? なぁに?」
マシュ「わ、私の個室で過ごすというのはどうでしょうか?」
安価:下3(無効の場合は1つ下に)
1.[おぉ名案だね。そうしようマシュ!]
2.[いや、どこか空き部屋を借りるよ。]
……ちっ。
ぐだ男「お茶はいいのう。日本の心じゃよ……」
マシュ「お茶には動脈硬化や脳卒中の予防、美容健康、殺菌作用に体内のphの調節作用などなど、さまざまな効果があるそうです」
ぐだ男「難しいことはいいんじゃよ。体が欲している産まれ育った地のものこそ心なのじゃよ~」
マシュ「産まれ育った……。私の場合はここカルデアになるのでしょうか?」
ぐだ男「そっかー。マシュはカルデアに来て長いんだもんねー」
マシュ「はい。カルデア歴だけは先輩より先輩です」
ぐだ男「マシュ先輩ぃ~」
マシュ「や、やめてください先輩っ。なんだかむず痒いです!」
ぐだ男「はぁ~……なんかすっごい落ち着く~……」
マシュ「……お休みですか先輩?」
ぐだ男「うん……なんかもうねむい」
マシュ「では、椅子ではなくこちらに。そんなところで眠っては風邪を引いてしまいますよ」
ぐだ男「うん……あぁすっごくマシュの匂いする~」
マシュ「か、かがないでください先輩……!」
ぐだ男「マシュはどこでねるの?」
マシュ「……と、隣を失礼しようかと」
ぐだ男「そっかー……」スピー
マシュ「おやすみなさい、先輩」
ぐだ男「……わがし……たべいこね……わたしの……うち……」
マシュ「……はい。いつか必ず。私も、先輩が産まれ育った場所の空が見てみたいです」
・・・・・・・・・・
――今日も、同じ時間に目が覚めた。
体温を確認する、五感を確認する。
客観的にもわかるように、わたしの名前を口にしようとした。
「んっ……マシュ、葉っぱは取っていい……んだよ……」
開きかけた口を閉じる。
この幸せそうに眠っている横顔を、もう少し眺めていたい。
眠りから目覚めるたびに、わたしの意識はここに落ち着く。
わたしは今日もわたしだ。
今のわたしには、何ものにも代え難いものがある。
今の私が得たもの。何よりも得難い守るべきもの。
「……皮をむいて……あぁその川じゃなくて……」
色の雪がれた私の世界に色彩をくれた人。
私が欲しかった未来をくれた人。
起こさないように、そっとその横顔に触れてみる。
きっと、幸せはいうものは、こういう形をしているんだろう。
「……先輩、起きてください」
源頼光が出てきてない? 弊カルデアにいないからだよ。
厳密にはネロもいないよ。沖田さんも来なかったよ。
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