【京太郎SS】京太郎「冥球島?」【咲-Saki-】 (1000)

時は8月下旬。
激戦に次ぐ激戦の末に第71回全国高等学校麻雀選手権大会。
通称女子麻雀インターハイも清澄高校の優勝で終わってから数週間後の事である。

未だ猛暑が続く中、竹井久率いる清澄高校麻雀部は海の上にいた。

久「うーん、絶好のバカンス日和ね。 絶好過ぎて暑いくらいだわ」

まこ「だったら中で大人しゅうしてればええじゃろうに……」

久「何言ってんの。 折角のバカンス、目の前には海。 中でのんびりしていたって仕方ないでしょ。
  ……のんびり出来そうにないのも一部にいるみたいだしね」

潮風を受けながら受け答えする久とまこ、2人の視線の先にはぐったりと手摺にもたれ、
青ざめた表情でいる清澄麻雀部唯一の男子部員――須賀京太郎の姿があった。

優希「まったく、情けない奴だじぇ」

まこ「まさか京太郎がここまで船酔いが酷いとは思わんかったのう」

和「辛いならやはり中で休まれてた方がいいんじゃないですか須賀くん?」

京太郎「ああ、いや、大丈夫だ。 中にいるよりは風に当たってた方がまだマシだし……」

優希が詰り、和が心配する中、京太郎は軽く手を振って無事をアピールする。
相変わらず気分はすぐれない様子だが、彼の言う通り室内にいた頃に比べれば大分マシになっているらしい。

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彼らがいる場所は、先ほど述べた通り海の上――豪華客船の上である。
何故彼らがここにいるかと言えば、これもまた久が言っているようにバカンスの為。
インターハイが始まり、夏休み期間中にのんびりと過ごすことが出来なかった一同は、
さる人物から招待を受けて南の島への旅に出ていたのである。

京太郎「それにしても、俺までついてきちゃってよかったんですかね?」

まこ「流石に今回ばかりは京太郎を置いていくというのも心苦しいからのう」

和「何も同室で過ごす訳ではないでしょうし……前回のように部活動の延長の合宿という訳でもないのですからいいんじゃないでしょうか?」

ただ、京太郎にとって懸念だったのはこの旅行に自身がついてきていいのかという一点であった。
この旅行に招待を受けていたのは、清澄麻雀部だけではない。
招待をした人物が所属する高校はもとより、他の長野県内……県予選決勝卓を囲んだ4校も出揃っているのだ。
当然、招待を受けたほぼほぼの人たちは女性ばかりであり、京太郎としても引け目を感じて当然である。
しかし、以前あった合同合宿に京太郎を連れていけなかった負い目も清澄麻雀部の面々にはあり、
今回は強化合宿でもなんでもなく単なる旅行なのだから尚更彼を連れて行かないというのは可哀想だろうという考えもあった。

久「そうそう、それに須賀くんを連れてくるのはスポンサー様からのたっての希望だったからね」

京太郎「へ? 俺がですか?」

そんな一同とは違う答えを示したのは、実際に招待主からの交渉を請け負った久である。

京太郎「なんだって俺が?」

久「まぁ、それは追々わかるわよ。 追々ね」

京太郎「(全国で優勝したみんなにぜひとも来てほしいって事ならわかるけど……なんだって俺を指名したんだ?)」

てっきり慈悲の心で同行を許可してくれたと思っていた京太郎は内心首を傾げるも、どれだけ考えたところで答えが出る訳でもない。
それよりも……と、先ほどから見かけない幼馴染について、口に出す。

京太郎「それより、咲は?」

久「須賀くんの為に酔い止めを貰ってくるってどこかに行ったわよ」

京太郎「どこかに……って、咲を1人で出歩かせたんですか!?」

まこ「止める間も無かったしのう。 まあ、いくらなんでも船の中で迷子にはならんじゃろ。 ……多分」

青ざめた表情を更に青くする京太郎を見てまことしても失敗だったかもしれないと内心思うが、
さりとてこれ以上京太郎に心労をかける訳にもいかず表面上は平静を装う。
それから数分、這いずってでも咲を探しにいこうとする京太郎とそれを止める一同だったが……。

咲「あ、京ちゃん!」

京太郎「咲! ……っと、ハギヨシさん?」

ハギヨシ「どうも」

そこにようやく咲が酔い止めを手に戻ってくる。
ホッと安堵するも、その咲の後方にはこの暑い中相変わらず燕尾服を着こんだハギヨシの姿。
どうしてここに?と疑問を口にする前に、その心を読んだかのようにハギヨシが口を開く。

ハギヨシ「宮永さんが同じ場所を行ったり来たりしていたもので、何事かと思って声をかけさせていただきました。
     事情を聴けば、京太郎くんが船酔いに苦しんでいるとの事で……。
     こちらで酔い止めの方を用意させていただきました」

………

京太郎「やっぱり迷ってるじゃないか」

和「咲さん……」

咲「ま、迷ってないよ! ただちょっと……どこに行けば酔い止めのお薬貰えるかわからなかっただけで」

優希「それを迷子って人は言うんだじぇ」

案の定であった咲に一同は呆れつつ。

京太郎「ま、なんにせよ、ありがとな咲」

咲「あ、うん! はい、お薬! それと……」

和「水ですね」

京太郎は咲に一言礼を言いつつ、薬を受け取り、和から手渡された水で流し込む。
すぐに効果が出るという事はないだろうが、それでも薬を飲んだからという安心感からか、幾分か気持ちも楽になってきた。

透華「ハギヨシ、ここにいましたの?」

そこへやってきたのはハギヨシの主人、龍門渕透華。
――この清澄麻雀部が参加するバカンスを主催した、スポンサーである。
どうやら彼女はハギヨシを探していたようで……しかし、はてなと京太郎は首を傾げる。

京太郎「(龍門渕さんが呼べばすぐに傍に瞬間移動するのがハギヨシさんなのに探す? そんな必要ないのに?)」

ハギヨシ「これはお嬢様……何かありましたでしょうか」

透華「いえ、特に私は用はありませんわ。 ただ、何をしていらしたの?」

ハギヨシ「こちらの京太郎くんが少々船酔いがひどいとの事で、酔い止めの薬の用意を……」

透華「……はぁ」

疑問に思う京太郎の目の前では、主従が会話を交わす。
が、涼しげに受け答えをするハギヨシに対して透華は少々苛立たしげだ。

透華「ハギヨシ、言いましたわよね? 今日からのバカンスでは仕事を忘れて休養をとるようにと」

ハギヨシ「はい」

透華「だというのにそうやってまた誰かの世話をしてどうしますの……もう」

京太郎「(なるほど)」

そして、この透華の言葉を聞いてようやく京太郎も合点がいった。
常日頃から透華や衣の付き人として、執事として文字通り片時も離れず世話をするハギヨシ。
そのハギヨシに対する感謝の気持ちとしてか、どうやら透華はこのバカンスではハギヨシを自身たちの付き人から外し、
休養を取らせる腹積もりのようだ。
透華がハギヨシを探しているのに声に出して呼ばなかったというのも、つまりはその為だったのだろう。
また、透華がやや怒っているのは、そこまで気を使ったというのにも関わらずハギヨシが相変わらず誰かの面倒を見ていたからに他ならない。

ハギヨシ「申し訳ありませんお嬢様。 とはいえ、これは仕事ではなく私の友人を助ける為ですのでどうかご容赦を」

しかし、そんな透華を前にしても、やはりハギヨシは涼しげに応えるばかりであった。
そんなハギヨシに対して、透華は大仰に溜息を吐きつつ……今度はその鋭い視線を京太郎へと向ける。

透華「須賀くん……でしたわね。 お加減はもうよろしくて?」

京太郎「は、はい。 お蔭さまで、大分よくなりました」

透華「そうですの。 今回は私たちの招待を受けて戴いて助かりましたわ」

京太郎「いえ、こちらこそありがとうございます。 でもよかったんですかね、俺なんかがついて来て」

透華「何を仰いますの。 ハギヨシのご友人となれば、招かない理由がありませんわ」

京太郎「あー……俺が呼ばれた理由ってそういう事だったんですね」

以前タコスの作り方を教えてもらった縁から、京太郎はハギヨシと清く正しい友人付き合いをさせてもらっている。
とはいえ、ハギヨシもその特殊な環境と仕事柄から決して友人が多いという訳ではなく、
むしろ京太郎が唯一の同性の友人と言っていいくらいである。

透華としてみれば、そのハギヨシに休暇を出し息抜きさせるなら、その友人である京太郎も同行させた方がいいと判断したのだろう。
そう納得する京太郎に対して透華は得意げに笑いつつ……。

透華「もっとも、それだけが理由ではありませんわ」

京太郎「へ?」

透華「私個人としても、須賀くんには来ていただきたかったんですの」

京太郎「へ……へっ!?」

咲「え、えええっ!? きょ、京ちゃん!? どういう事!?」

さらりと爆弾発言をする透華を前にして京太郎と咲は驚き、ほかの面々は茫然。
唯一涼しげな顔をしているのは発端の透華と、何やら意味深な笑みを浮かべている久、そしていつもポーカーフェイスを崩さないハギヨシである。

京太郎「いやいやいやいや、どういう事も何も俺が聞きたいくらいで……」

透華「正確には須賀くん、というよりは男性ならば誰でもよかったのですけどね」

京太郎「……オーウ?」

優希「そんなこったろうと思ったじぇ」

和「何を期待していたんですか須賀くん?」

京太郎「…………」

穴があったら入りたいとはこのことだろう。
友人たちの冷たい視線から逃れるように赤面した顔を海の彼方へと向け……。

京太郎「あっ」

ハギヨシ「おや、どうやら見えたようですね」

先ほどまで水平線しか見えていなかった景色の中、ぽかりと……小さくだが影が見える。
船が進むにつれて少しずつ大きくなるその影は、まさしく今から自分たちが向かう旅行の滞在地。

透華「一応日本国内……東京都の中に入る離れ小島ですわ。
   小島と言っても、各種商業施設もあればレジャー施設、公共機関もありましてよ」

まこ「あの島全体が龍門渕グループのもんというのも大層な話じゃな」

京太郎「なんていう名前の島でしたっけ?」

透華「正式な名称は別にあるのですけれど……その名ではあまり呼ばれていませんわ。
   島民……それに、あの島を知る者にはこう呼ばれていますの」


透華「冥球島、と」


………
……


ざわざわ……
              ざわざわ……

京太郎「はぇ~……すっげぇでかいホテル。 こんなトコに泊まれるのか?」

優希「咲ちゃん、迷わないようにするんだじぇ」

咲「流石にホテルで迷子にはならないよ! ……多分」

まこ「さっきの船上での件を鑑みるに、不安しか残らんわ」

あれからしばらくして一行が乗る船は無事に島へと到着し、龍門渕高校の面々の先導のもと島内を移動。
こんな辺境の島にも関わらず都会にあっても全く不思議ではない高級ホテルの中へと入り、
些か緊張した面持ちで周辺を見回す。

久「さ、それじゃ龍門渕さんがホテルの会議室を借りてくれてるみたいだから移動するわよ」

和「会議室……ですか? あの、荷物を先に部屋に置きに行きたいのですが」

久「それより先に集合よ、荷物は持ったまま!」

咲「一体なんだろう?」

京太郎「この島で過ごすにあたっての諸注意とか? それにしたって荷物を置きに行かせてくれてもいいだろうけどなぁ」

とにもかくにも、スポンサー様のご意向には従わない訳にもいかない。
一同はようやく休めると思ったのもつかの間、再び重い荷物を持って会議室へと移動。
既に部屋の中には他の3校――龍門渕、鶴賀、風越の面々も集まっており、
京太郎達は慌てて自分たちの席へと移動し着席をする。

透華「皆様、お揃いのようですわね? それではこれより今回の企画の説明を改めてさせていただきますわ」

と同時に、会議室の中央部に座していた透華が口を開く。

京太郎「企画……ってなんだ?」

咲「旅行の事じゃないの? って言っても、旅行の説明って言っても今更だよね……」

優希「普通そういうのは出発前にするもんだじぇ」

和「皆さんお静かに。 まずは龍門渕さんのお話を聞きましょう」

透華の口ぶりにどことなく不穏なものを感じつつ、小声で相談し始める京太郎たち。
彼らの様子には気づかないのか、透華は立ち上がると檀上にあるスクリーンの横に立ち、
合図を送ると同時にそのスクリーンにイラストと文字が現れる。

そこにはこう書かれてあった。

京太郎「麻雀、五輪競技化計画……?」

世界の麻雀競技人口は1億人を突破しており、日本国内での盛り上がりは言わずもがな、
海外でも国際大会が開かれるなどして日常的に接する機会は多い。
しかしながら、麻雀が五輪の競技になるという話は……少なくとも京太郎は聞いた事が無い。

京太郎「(……スポーツじゃないしなぁ)」

仮に麻雀が五輪競技となったとしたら、それは大層盛り上がる事だろう。想像に難くない。
だが、どれだけ人気があろうと盛んであろうと、麻雀はそもそもスポーツではないのだ。
申請をしたところで通る事はないだろう。
内心透華のことを『何いってだこいつ』と思いながら見つつ、透華はそんな京太郎の心を当然知る事もなく更に説明を続ける。

透華「皆さんもニュースなどでご覧になって周知かと思いますが、
   先日次回の五輪から新たに『チェス』が新競技となる事が決定しました」

京太郎「へええええぇっ!?」

が、そんな京太郎の冷やかな視線はすぐさま驚き一色に染まる。

ジロッ

京太郎「あ……すみません」

思わず大声を上げ注目を集めた京太郎は小さくなりつつ……周囲の面々もこのことについてひそひそと話し始める。

咲「……そういえば、そんなことニュースになってたような、なってなかったような」

まこ「結構大々的に取り上げられてたがのう……」

とにもかくにも、京太郎の与り知らぬ所で『チェス』が五輪の新競技となっていたらしい。
いや、それ自体は別にいい……京太郎にとって、然程興味があるという話題ではない。
問題点はチェスというゲームもまた、スポーツではないという事である。
にも関わらず、何故五輪競技に選ばれたのか――そんな京太郎の疑問に答えるように、透華は更に続ける。

透華「何故チェスが五輪の新競技となったか……元々競技人口自体が多かったという事もありますが、当然それだけで選ばれた訳ではありません。
   チェスを推していた団体は、五輪協議会にチェス単なり『知的な遊戯』ではなく、『知的なスポーツ』として売り込みましたわ」

そう言うと同時に透華が指を鳴らすと、中央でプロジェクターを操作する龍門渕メンバーがわたわたとしながら画像を切り替える。
本来ならばハギヨシあたりがやっていそうな作業を他の者がやっている辺り、
本当に休暇をとっているんだなぁと場違いな事を京太郎は考えつつ、切り替わったスクリーンを見やる。

するとそこに映っていたのは2枚の写真。

やたらと屈強な、如何にもスポーツマンといった風貌の者たちが卓に向かい合ってチェスを差すものが1枚。
逆にひょろひょろとした如何にもスポーツなんてした事がありませんという者たちがサッカーをしているものが1枚ずつである。

透華「ご覧の通り。 スポーツ選手にチェスを、逆にチェスの競技者にスポーツをさせ、互いに互いの競技に対する認識を深めさせましたわ。
   結果、今までチェスに対する興味を示さなかったファン層も取り込む事に成功しつつ、
   他競技者やその関係者にはチェスの奥深さやむずかしさ、
   何よりも『なんか盛り上がるし五輪に入れてもいいんじゃね?』感を押し付ける事に成功しましたわ」

京太郎「それでいいのか五輪……」

和「なるほど。確かに、きわめて合理的で説得力のある手法ですね」

京太郎「それでいいのか和……」

むしろややこしいというか遠回しというか、ともかく少なくとも合理的とは言い難い手段に思えるが、
しかし実際にそれで結果が出ているのだから京太郎としてはぐうの音も出ない。

透華「そこで麻雀協会の方もまた、この手法をパクる……もとい、オマージュ、或はリスペクトする事となりました」

咲「もしかして……」

京太郎「すっげー嫌な予感がする」

透華「世界各国でも現在多くの雀士がスポーツをする事が検討、或は進行する中……。
   我々日本の雀士は……」


透華「野球をする事になりましたわっ!!」ババーンッ

言いながら、どこから取り出したのか野球ボールをその手に持ち掲げる透華。
思わず京太郎はあっけにとられかけるが……。

京太郎「ちょ、ちょっと待って下さい!」

透華「あら? 何かしら?」

ここで待ったをかけなければなし崩しに野球をやらされてしまうとして、慌てて口を挟む。
再び視線が京太郎に集中するがそんな事はお構いなしだと京太郎は立ち上がり、
混乱する頭を必死で纏めながらその口を開く。

京太郎「なんというかその……い、いきなり野球をやらされると言われても俺達何も聞かされてないですし。
    そもそもここに来たのだって旅行でって言われてたんですよ? それを……」

透華「……? おかしいですわね、一応こちらは事前に説明したはずなのですが……」

「ああ、鶴賀の方にもしっかりと連絡は届いていたぞ」

「風越にも。 私たち全員、納得をしてこの企画に参加させて貰うつもりで来ましたけれど……」

京太郎「え、えぇ……?」

とにもかくにも、自分たちはそんな話を聞いていないと言ってみれば、
返ってきたのはむしろ何で聞いていないのか?とでも言うかのような答え。
共に説明を聞いていた鶴賀、風越の部長……らしき者たちからも事前に話は聞いていたという声が上がり京太郎は困惑するのだが……。
ここで不意に、ここまで無言を貫いている清澄の部長に気が付いた。

京太郎「あの……部長?」

まこ「久……まさか」

久「ふぅ…………………」

感づいた京太郎、まこ……そして他の部員たちの視線を受け、久は小さく溜息を吐き……。

久「サプライズ!!」

とびっきりの笑顔でそう返すのだった。

まこ「おぉ……もう……」

優希「サプライズじゃないじぇ……」

久「まぁいいじゃない。 これも麻雀界発展の為ってね。
  それに嘘は言ってないわよ? 野球する時間もあるけど、その分ゆっくり羽を伸ばせる時間もあるはずなんだから」

京太郎「せめて事前に説明くらいしててくださいよ」

久「テヘペロ!」

怒りを一周以上通り越して文句すら出てこない一同を前に全く悪びれた風もなく笑う久。
他校の生徒からも同情とも憐れみともつかぬ視線が突き刺さるのを肌で感じつつ、京太郎は力無く再び着席する。

透華「……よろしいかしら? それでは説明を続けさせてもらいますわ。
   まず、野球をするにあたってですが……中には野球どころかスポーツすら碌にやった事が無いという方もおられるでしょう」

「実際透華がそうだしな……」

「野球部じゃなくてキャッチボール部を作ろうとしたくらいだしね」

透華「コホン。 そこで我が龍門渕グループの技術を結集し、このようなものを用意させてもらいましたわ。 純!」

純「はいはい」

声をかけると同時に、透華の前に複数のダンボールを次々と運んでいく純。
様子を見るに中身は相当軽いらしく、透華はその内の1つの封を開けると中身を取り出す。

咲「あれって……お菓子?」

京太郎「っていうか、プロ野球チップスだな」

優希「プロ麻雀煎餅のバッタモンだじぇ」

中から現れたのは、少年時代、野球少年が買い漁っただろうプロ野球チップス。
麻雀に深くかかわりを持つ少女たちからしてみればプロ麻雀煎餅のパチモンかもしれないが、
そこそこ少年時代から野球を見てきた京太郎にとってはどことなく懐かしい代物である。

透華「ここにありますはプロ野球チップス。 中にはポテトチップスと、1枚のカードが入っているのですが……。
   そのカードに細工が施してありますわ」

透華「カードの内部に特別なマイクロチップを混入し、そのカードに書かれた選手の能力……。
   を模倣したものをカードの所持者に与える代物となっております。
   カードについては現役、OB、関係無くランダムとなっておりますわ」

京太郎「かがくのちからってすげー」

優希「のどちゃんいつもみたいにそんなオカルトありえませんとか言わないのか?」

和「マイクロチップから電磁波的なものかプラズマ的なものが出て人体に影響を与えるという事なら至って科学的ですからね。
  そんな科学的な事はありえます」

優希「それでいいのかのどちゃん……」

京太郎「なんにしても……それが本当なら咲が野球やるって言っても一安心だな」

咲「まだちょっと怖いんだけどね……」

まこ「ランダム……12球団のうち1球団のもんしか引けんちゅうことか……そうか、目当ての球団のは引けんか……」

透華「ちなみに、中には2枚、3枚が同封されているものもありますわ。いわゆるレアとして存在は稀ですが」

まこ「そうか……そうか!!」

とにもかくにも、本当にプロ野球選手――に近い動きが出来るようになるというのなら、
ずぶの素人ばかりの面々でもなんとか野球らしい野球は出来るのかもしれない。
その事実にホッと安堵をしつつ、京太郎は透華の説明に耳を傾ける。
因みにひっそりとやる気を出しつつあるまこがどこの球団のカードを引きたいかについてはなんとなく予想がついたのでスルーを決めた。

透華「また、今回の企画に関しては各校の交流という側面もあり……それぞれの高校単位などではなく。
   厳正で公平な抽選の末にチーム分けをして試合を行っていく形になりますわ」

咲「えっ……えぇぇぇ!?」

和「……つまり、私たちはそれぞれバラバラのチームに入らなくてはならない、という訳ですか」

久「まぁ完全にバラバラにする訳でもないなら、もしかしたら偶然1人くらいは清澄の生徒と同じチームに入れるかもよ?」

咲「うぅ……」

しかし、続く透華の台詞に、思わず咲が悲鳴を上げた。
ややコミュ障気味とも言える彼女にとって見知らぬ人とチームを組むというのは不安しかなく、既に半泣き状態である。
流石に京太郎としても見かねておけず、透華に対して口を開く。

京太郎「野球するのはいいとしても、せめてチームくらいはなんとかならないんですかね。
    完全ランダムってなると不安なんですけど」

透華「既に決定していることですし……それに、あなた達が参加するという事もあってチーム分けはランダムとなりましたのよ?」

京太郎「へ?」

透華「基本的に今回参加をする雀士たちはその殆どが女性ですけれど、あなたを含め男性も入り混じる事になりますわ。
   先ほど申し上げた通りカードがありさえすればある程度の野球をする能力が身に付きますけれども、
   女性と男性では身体能力にしろ、野球に対する知識にしろ差がありますわよね?
   その点を考慮しての抽選によるチーム分けですわ」

京太郎「oh……」

咲を助けようと思ったら、まさかの自分が原因での抽選だったでござるの巻。
言われてみればその通りで、女性の中に男性が混じって野球をするというだけでも大きなアドバンテージだ。
これが麻雀ならば逆なのだろうが、そういった意味での公平性を保つ意味でもそれは必要な事なのだろう。

透華「それではこれよりさっそくチーム分けをし、選手カードをお渡ししますわ。
   言い忘れておりましたが、この企画には我々長野4校の雀士だけではなく、全国からも複数の雀士が参加しておりますわ。
   当然チームを組む可能性はここにいる4校同士よりも高いでしょうから、そのおつもりで」

咲「あわわわ……」

京太郎「大丈夫か咲? 言えば棄権とかだって出来ると思うぞ」

久「とは言え、全国優勝校の大将ともなればこの企画の趣旨を考えれば是が非でも参加して貰わないと企画側は困るでしょうけどねー」

まこ「その説明をしておらんかった奴が何を言うとるんじゃ」

久「テヘペロ!」

咲「だ、大丈夫……多分。 ま、まだみんなと同じチームにならないって決まった訳じゃないんだし」

京太郎「そっか……でも無理はすんなよ」

咲「うん。 ……同じチームになれるといいね、京ちゃん」

京太郎「おう」

………
……

【ここまでプロローグ】

ここから京太郎の初期ステータスを決めます。
ステータスは固定で、カードによってステータスが変動します。
京太郎の所有カードは2枚ですが、1枚は投手で決定しています。
ここから提示される3つのポジションの内1つを選んでもらう事により決定します。

また、次にチームを組む際にチームメイトを選ぶ選択肢が出ますが固定で1名は決まっています。
そのチームメイトのポジションは「投手・外野手」です。それを参考に決定してください。

1.投手
2.捕手
3.内野手(捕手以外、全ポジションを守れる)
4.外野手(パワプロ方式でレフト・センター・ライトでの区別は無し)

↓1

>1.投手

チーム分けをすると言った透華は、
手元にあるリストを見ながら名前を呼ぶとそれぞれにメモとプロ野球チップスを渡す。
渡された者たちはメモを見るとそのまま退室――恐らくはそのメモに示されている、チーム別の集合場所へと向かったのだろう。

五十音順で呼ばれているらしく、清澄からはまず優希がこの会議室から姿を消した。
それからほどなくして須賀京太郎の名が呼ばれ、前人に倣って透華からメモとプロ野球チップスを受け取る。

京太郎「今更ですけど俺も参加していいんですかね」

透華「勿論ですわ。 期待していましてよ」

京太郎「はぁ……」

いまいち気が乗らないながらも、メモを見ながら退室。
その際、やはり不安げにこちらを見る咲に対して笑顔で手を振り……部屋を出ると同時に、その手でプロ野球チップスを開けた。

京太郎「(やっぱまずは何よりカードを確認しないとだよな。
     おっ!? 2枚入ってる、これってレアカードだよな?)」

事前に聞かされた話では、基本的に入っている枚数は1枚だが2枚以上はレアとなる。
正直あまりやる気は出なかったが少しばかりウキウキしつつそのカードの中身を見てみれば……。

パサッ

京太郎「…………oh」

出てきたのは、どちらも同じチームの選手。そして、同じポジション――ピッチャーのカードである。
1枚だけならず2枚ともなれば、相乗効果で自身の能力上昇も期待が持てる。
はずだが、そのカードが示す名前を見ているとどうにも期待よりも不安の方が先立ってしまう。

京太郎「よりにもよって、三嶋と国吉かよー!!」

【三嶋一輝】
横浜DeNAベイスターズ所属の投手。
ルーキーイヤーには6勝を挙げ(なお9敗)、翌年には開幕投手を務める。
が、そこからは右肩下がりでいまいち結果を残せず、先発をやったり中継ぎをやったりかと思えば先発をやったりと起用が安定せず。
中々期待されていた通りの活躍が出来ていない。
非常にカピパラに似た顔が特徴的。

【国吉佑樹】
横浜DeNAベイスターズ所属の投手。
育成枠で入団しながらも、恵まれた体格とそれを生かした速球を武器に支配下登録をもぎ取った努力家でもある。
しかし、非常に制球が不安定でありついたあだ名は「国与四」。

・須賀京太郎

所有カード:三嶋一輝(De)、国吉佑樹(De)

球威70 変化40 制球E 体力50
巧打30 長打30 走力40 守備30

【国与四】
四球を出した際、次の打者を相手にするとき制球力1段階下降。

【???】
対戦チームの投手が【???】のカードを所有していた際、球威・変化+30。制球2段階上昇。

[アナウンス]
それぞれのステータスの効果などについてはまた後で説明します。

思わず絶叫し、途方に暮れかける京太郎だったが、いつまでも廊下で立ち尽くしている訳にもいかない。
文字通り、カードは配られてしまったのだ。
手持ちのカードで勝負をするしかないだろう。

京太郎「チームメイトが凄いカード持ってるかもしれないし……」

震えた声でそう呟きながら、メモに書かれている通りの部屋へとエレベーターに乗り向かう。
そこで彼を待っていたのは……。

………
……

[アナウンス]
ここから初期のチームメイトを選択します。初期チームメイトは京太郎、固定のチームメイトを含めて5人です。
3人までここで選択ができます。
ここで選択できない人物も、後々仲間に出来る可能性もあります。
ここで選択しなかった人物も、後々仲間に出来る可能性もあります。
最終的にチームメイトは5人から+5人~8人くらいを予定しています。

現在選べる初期チームメイトは以下の通りです。

・清澄高校
竹井久(外野手)
原村和(遊撃手・三塁手)

・風越女子高校
福路美穂子(二塁手・遊撃手)
池田華菜(投手・???)

・鶴賀学園高等部
東横桃子(遊撃手・二塁手)

・龍門渕高校
国広一(三塁手・二塁手)
龍門渕透華(一塁手・三塁手)

・姫松高校
愛宕洋榎(外野手)
末原恭子(投手)

・宮守女子高校
エイスリン・ウィッシュアート(捕手)
姉帯豊音(外野手)

・永水女子高校
狩宿巴(二塁手・遊撃手・三塁手・一塁手・外野手)
石戸霞(捕手)

・白糸台高校
亦野誠子(一塁手・三塁手)
大星淡(外野手)

・阿知賀女子学院
松実玄(投手)
鷺森灼(捕手)

・千里山女子高校
二条泉(投手)
清水谷竜華(一塁手・外野手)

・新道寺女子高校
花田煌(外野手・一塁手)
鶴田姫子(二塁手・遊撃手)

・臨海女子高校
ネリー・ヴィルサラーゼ(一塁手・三塁手)

・有珠山高校
岩館揺杏(二塁手・外野手)

・その他
小走やえ(外野手・一塁手)




まずは1名チームメイトを選択してください。

現在の仲間
京太郎(投手)
固定チームメイト(投手・外野手)

↓1

キャップ

>福路美穂子

3人目が決定しました。4人目を選んでください。

・清澄高校
竹井久(外野手)
原村和(遊撃手・三塁手)

・風越女子高校
池田華菜(投手・???)

・鶴賀学園高等部
東横桃子(遊撃手・二塁手)

・龍門渕高校
国広一(三塁手・二塁手)
龍門渕透華(一塁手・三塁手)

・姫松高校
愛宕洋榎(外野手)
末原恭子(投手)

・宮守女子高校
エイスリン・ウィッシュアート(捕手)
姉帯豊音(外野手)

・永水女子高校
狩宿巴(二塁手・遊撃手・三塁手・一塁手・外野手)
石戸霞(捕手)

・白糸台高校
亦野誠子(一塁手・三塁手)
大星淡(外野手)

・阿知賀女子学院
松実玄(投手)
鷺森灼(捕手)

・千里山女子高校
二条泉(投手)
清水谷竜華(一塁手・外野手)

・新道寺女子高校
花田煌(外野手・一塁手)
鶴田姫子(二塁手・遊撃手)

・臨海女子高校
ネリー・ヴィルサラーゼ(一塁手・三塁手)

・有珠山高校
岩館揺杏(二塁手・外野手)

・その他
小走やえ(外野手・一塁手)

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・現在の仲間
京太郎(投手)
固定チームメイト(投手・外野手)
福路美穂子(二塁手・遊撃手)

↓1

>小走やえ

4人目が決定しました。5人目を選んでください。

・清澄高校
竹井久(外野手)
原村和(遊撃手・三塁手)

・風越女子高校
池田華菜(投手・???)

・鶴賀学園高等部
東横桃子(遊撃手・二塁手)

・龍門渕高校
国広一(三塁手・二塁手)
龍門渕透華(一塁手・三塁手)

・姫松高校
愛宕洋榎(外野手)
末原恭子(投手)

・宮守女子高校
エイスリン・ウィッシュアート(捕手)
姉帯豊音(外野手)

・永水女子高校
狩宿巴(二塁手・遊撃手・三塁手・一塁手・外野手)
石戸霞(捕手)

・白糸台高校
亦野誠子(一塁手・三塁手)
大星淡(外野手)

・阿知賀女子学院
松実玄(投手)
鷺森灼(捕手)

・千里山女子高校
二条泉(投手)
清水谷竜華(一塁手・外野手)

・新道寺女子高校
花田煌(外野手・一塁手)
鶴田姫子(二塁手・遊撃手)

・臨海女子高校
ネリー・ヴィルサラーゼ(一塁手・三塁手)

・有珠山高校
岩館揺杏(二塁手・外野手)

1名チームメイトを選択してください。

・現在の仲間
京太郎(投手)
固定チームメイト(投手・外野手)
福路美穂子(二塁手・遊撃手)
小走やえ(外野手・一塁手)

↓1

>石戸霞

チームメイトが全員決定しました。

須賀京太郎(投手)
固定チームメイト(投手・外野手)
福路美穂子(二塁手・遊撃手)
小走やえ(外野手・一塁手)
石戸霞(捕手)

京太郎「(303号室……っと、ここか)」

メモに書かれてあった部屋の前までやってきた京太郎は、一つ深呼吸をしてからドアをノック。
中からは、やはり知らない女性の声で返事があり、些か緊張した面持ちで京太郎はそのドアを開けた。

京太郎「失礼しま~す」

やえ「ほう……!」

部屋に入ると、やはり高級ホテルらしくまずは長い廊下が見え……その奥からは、
ひょっこりと小柄な女性が物珍しそうに顔をこちらに覗かせている。

やえ「当たりだ、当たりを引いたぞ石戸!」

京太郎「(男だから当たりって事かなぁ……すみません、思いっきり外れのカードです)」

京太郎を見た瞬間、はしゃぎながら既に来ているらしいチームメイトに報告する女性を見て内心謝りつつ、
京太郎は長い廊下を歩いてこれまた酷く広いリビングへと入った。

京太郎「(って……)」

霞「失礼よ、小走さん」

京太郎「でっ……!(やべっ、デカッ!!とか言いそうになっちまった)」

入った瞬間、目に入ったのは京太郎が今まで見た事が無いクラスの巨乳。
常日頃から和のそれを観察し、今更多少のものでは動じないという自負すらあった京太郎ですら驚愕してしまう程の見て、
思わず変な事を口走らなかったのは京太郎この日1番のファインプレーである。

京太郎「(って、この胸に巫女服……確か2回戦であたった……)永水の、石戸さんですか?」

霞「あら、私を知ってるの?」

京太郎「俺、清澄の1年なんですよ。 2回戦であたった時は見てたんで」

霞「そうだったの。 では改めまして、永水女子高校の3年、石戸霞です。 これからよろしく……ええと?」

京太郎「あ、須賀です。 須賀京太郎です、こちらこそよろしくお願いします」

微笑を携えながら挨拶をする霞に、ペコリンと頭を下げて挨拶をする京太郎。
正直これから超高校級のモノを持つ霞と同じチームで野球が出来るとなれば、
先ほどまでのゴタゴタに対する不満やら微妙なカードが出た事に対する不安やら咲に対する心配も、ほぼほぼ霧散してしまった。
咲には申し訳のない事だが。

京太郎「(野球をするとなれば当然激しく動いたりする必要がある訳で……想像するだけでたまんねーなオイ!!)」

やえ「あー、ゴホン! ゴホン!!」

京太郎「?」

やえ「…………」チラッチラッ

色々と妄想……もとい想像をする京太郎を現実に呼び戻したのは隣で聞こえる咳払いの声。

やえ「んっんー……私も全国には団体では出られなかったが、個人では出ていたからなぁ。 出ていたんだがなー……」

京太郎「………………」

1.「あっ、あなたは! 晩成の小走やえさん!?」
2.「ああ、えーっと確か小走さんですよね。奈良の」
3.「どうもはじめまして、須賀京太郎です。失礼ですけどお名前は?」

↓1

>2.「ああ、えーっと確か小走さんですよね。奈良の」

やえ「! ふ、ふふふ。 まあ、知っているか。
   団体戦だけでなく個人戦の主要選手にも注目しないようなニワカがこのような企画に参加する訳もないからな」

京太郎「(すみません、この企画に参加したのは完全に予想外だったのと、あなたを知ってるのは単なる偶然です)」

京太郎の言葉に気を良くしたのか、何故か胸を張りながらフンスと鼻息荒くするやえ。
そんな彼女を見ながら、再び京太郎は内心で謝罪する。
京太郎が彼女を知っているのは、本当に単なる偶然だったのだから。

~ここから回想~

全国での団体戦が終わり、続く個人戦。
相変わらず出番の無い京太郎は清澄唯一の男手として雑用などをこなしながらも個人戦に出場する咲たちを応援していた。
そんな折、不意にモニターに映ったのは小走やえ。
普段ならば特別気にすることもない、決して他意はないが、京太郎にとってやえはその他大勢の個人戦出場者の1人にしか過ぎなかった。
のだが――。

京太郎「なんだあの頭……」

長野にも、そして全国にも色々と奇抜なファッションなり特徴なりをした雀士はいたが、この小走やえもまあ、大概な髪型である。
ただのおさげなら清澄にもいる。いわゆる縦ロールならそこまで驚かない。
京太郎が驚いたのは右がおさげで左が縦ロールという、何を目指しているかわからない点であった。

優希「花田先輩も中々だけどこれには負けるじぇ」

久「だけど凄いわよこの人。 あの阿知賀がいた奈良で個人戦トップで全国に乗り込んできてるんだから」

京太郎「はぇ~すっごい……」

こうして京太郎の脳裏には、「奈良には小走やえというとんでもない髪型をした人がいる」という事実がインプットされたのだった。
めでたしめでたし。

~ここまで回想~

京太郎「ところで、まだ2人だけなんですか?」

霞「どうもそうみたいね」

やえ「まあ慌てなさんな、『いわと』と『こばしり』、それに『すが』ときたんだ。
   まだまだ序の口って所だろう」

京太郎「それもそうですね」

そうこう言ってる内に、コンコンと玄関から聞こえるノックの音。
この中で1番の最年少である京太郎が率先して出向き声をかけると、ゆっくりとドアは開き……。

京太郎「! ふ、福路さん? それに……」

美穂子「須賀くん?」

京太郎「えっと……津山さん?」

睦月「う、うむ」

そこにいたのは、同じ長野に在籍する2人。
風越女子高校キャプテン、福路美穂子。
そして鶴賀学園高等部新部長、津山睦月だった。

京太郎「とりあえず中に。 顔見知りがきてくれて、安心しました」

美穂子「そうね、私も……あの、風越のみんなや久は?」

京太郎「来てない……ですね。 部長も……」

睦月「私の方が後だったのに来てないのなら、多分違うチームに配属かな」

美穂子「そう……」

津山睦月の前に竹井久が来ていないというのなら、つまりはそういう事である。
一瞬悲しそうな顔をしながらも、それでも美穂子は笑みを浮かべながら京太郎と睦月について歩いていく。

美穂子「同じチームでなくても、また戦えるかもしれないものね。
    麻雀ではなく、野球で、だけれど」

やえ「ほう! 今度は風越のキャプテンが来たか、歓迎するぞ!!」

霞「はじめまして」

睦月「ど、どうもはじめまして」

ひとまずリビングにいた2人と顔合わせをして簡単な自己紹介をしつつ、そのまま他の者たちを待つ。

霞「ところで、どうして2人は同じタイミングでやってきたのかしら?」

やえ「そういえばそうだな。 『つ』と『ふ』では多少はズレるだろうに」

睦月「それはその……ちょっと、これを開けていて」

そんな中出た疑問に対し、睦月は頬を染めながら――開封済みのプロ野球チップスを取り出した。

睦月「行儀が悪いとは思ったんですが、その……」

やえ「まあいい、みなまで言うな。 自分がどんな有能なカードを引いたか、知りたかった。 そういう事だろう」

霞「そうね。 確かに気になるのは仕方ないわ」

美穂子「でも私が声をかけた時、本当に嬉しそうな顔をしていたものね。 余程いいカードが引けたのかしら?」

睦月「う、うむ! これは……本当にいいカードです!!」

美穂子「ふふふ、私の所にも珍しいカードを引けて喜んでる子がいるもの。 本当に同じような顔をしていたわ」

京太郎「(いいなぁ……俺はなんで三嶋と国吉なんだろう)」

ともかく、いいカードを引いたという睦月がいるのならばとても心強い。
加えて、京太郎としては霞だけならず美穂子という中々のものをお持ちの人が加入してくれたのも非常に嬉しい。
このまま9人勢ぞろいしても自分だけ足を引っ張ってしまいそうだと思うと、
上向いていた気持ちがまた沈んでいきそうになるのだが……。

京太郎「そういえば……中々次の人来ませんね?」

霞「そうねぇ」

気づいてみれば、睦月たちを部屋の中に招き入れて数十分。
京太郎がこの部屋に来てから睦月たちが来るまでの時間を考えても、些かオーバーしすぎている。

美穂子「もしかして迷子とか?」

睦月「まさか……ホテルの中で迷子にならないでしょう」

京太郎「いや……心当たりがあるというか」

やえ「む?」

京太郎「ちょっと表出てきていいですか? 本当に迷子になっているかもしれないですし」

睦月の言うように、ホテルの中で迷子になるというのはあまり考えにくい。
構造上似たような部屋がずらっと並んでいるとはいえ、どこにも部屋番号や案内図などが描かれているのだから。
しかし、どんな事柄にも例外はあり、その例外というものを京太郎はよく知っている。

それに思い至ったと同時に京太郎は立ち上がると返事も聞かず外へと出ようとするのだが……。

ガチャッ

京太郎「うわっ!?」

「おっと」

瞬間、ドアが開き思わず京太郎はのけ反りながら一歩後退。
ドアを開けた人物も目の前に人がいるとは思わなかったのか驚いた様子で……しかし、
すぐに平静を取り戻すと室内に入り後ろでにドアを閉める。

「どこかに行かれるのなら、後で。 まずはこれからの事について説明しますので」

京太郎「え? あ、あの?」

「5人全員揃っているのでしょう? これからミーティングをスタートします」

テキパキと要点だけを絞って有無を言わせず京太郎をせっつく謎の女性。
まだ若そうだが、少なくとも京太郎たちのように制服は着ておらず、スーツ姿。
チームメイトであるとは、思えない。

京太郎「(何より5人全員そろった? は? 5人で全員!?)」

「スタンダップ。 さ、中に入りますよ」

京太郎「ちょ、ちょっと待ってください」

てくてくと歩いていく女性に慌ててついていく京太郎。
彼女がリビングに姿を現すと、ほかのメンバーもそれぞれが驚いた表情を見せるのだが……その理由自体は、京太郎のそれとはまた違い。
その中で、唯一、彼女と顔見知りである霞がその口を開く。

霞「良子さん?」

良子「お久しぶりです。 5人全員……ちゃんといますね。
   知らない方もいるでしょうから、自己紹介をしておきましょう。
   戒能良子、職業はプロ雀士。 そしてこれから、みなさんのチームの監督として引率をする事になります」

選手だけではチームも機能はしない、そもそも高校生だけでこれからの事を纏めるというのも難しい。
よって、振り分けされた各チームにはそれぞれ現役プロ、もしくは各学校の監督・コーチが引率役として監督という名目のもと配属する事が決まっていた。
驚く一同を見て、微笑を浮かべながら良子は続ける。

良子「中々に、タフなチームになりそうですね」

安価は無いですが一旦ここまで。
はじめてのスレタテはじめての安価スレでしたが、参加いただきありがとうございました。
遅筆で申し訳ないです。
明日は23:00くらいからはじめられたらいいなと思います。
それでは。


まさかのムッキー

京太郎「か、監督?」

良子「イエス」

しばらくは呆気にとられて誰もが口を開けなかった中、なんとか京太郎は平静を装いつつ疑問を口にした。
それに良子は冷静に答えつつ、5人を見回す。

良子「では、まずは移動をしましょう。 これからのスケジュールに関しては移動中に説明します」

睦月「移動って、どこにですか?」

良子「宿舎――いえ、寮と言った方が正しいでしょうか。
   野球をするこれからの期間、あなたたちにはその寮で共同生活をしてもらいますので」

やえ「このホテルで寝泊まりするのではないのか……」

良子「他チームと同じ場所でというのは問題ですからね。 各チーム毎に専用の寮が用意されています」

京太郎「………………」

良子「勿論、各人個別の部屋は用意していますので男性が入ってもノープロブレムです」

京太郎「(よかった。 流石に誰かと同室なんてのは居心地が悪いを通り越して気まずすぎる)」

一瞬、寮――少なくともこのホテルよりは小規模な場所で共同生活を送ると聞いて不安を感じる京太郎だったが、
良子の言葉を聞いてホッと安堵の溜息を吐く。
年相応に青少年として至って健全な下心は持ち合わせながらも、そこまで度胸というものがある訳でもない彼としては、
同年代の女性と万が一にも同室で過ごすという事はとてもではないがご遠慮願いたい事であった。

ある程度落ち着きを取り戻した一同は、良子の先導のもとホテルの一室を出る。
エレベーターに乗り、ロビーへと抜け、外へと出た所で……。

京太郎「ん?」

↓1

00~25:優希と???と出くわす
26~50:まこと????と出くわす
51~75:久と????と出くわす
76~99:和と????と出くわす
ゾロ目:咲と????と出くわす

>優希と???と出くわす

優希「おおっ、京太郎!」

京太郎「優希!」

外に出た所で鉢合わせしたのは、同じ清澄の1年生仲間片岡優希。
つい先ほどまで一緒にいたというのにここからは違う場所で生活をし、集団行動をするとあってか、
両者はまるで数年ぶりの旧友との再会とでもいうかのように互いを見つけ合うと声を掛け合う。

京太郎「同じチームじゃなくて残念だったな」

優希「まあしょーがないじぇ。 それよりそっちにも咲ちゃんはいないのか?」

京太郎「ああ。 せめて和たちとは組めてるといいんだけどな」

そんな互いの懸念といえば、やはり咲。
どちらのチームにも所属していない中、果たして彼女が無事に周囲のチームメイトとコミュニケーションが取れているかが不安であるが、
さりとて今更抽選の結果を変える事は出来ない。

と、ため息一つついたところで京太郎は優希の後ろに1人の女性が立っている事に気が付く。
恐らくは優希のチームメイトなのだろうと考えた所で、京太郎の背後から声がかかった。

霞「春ちゃん」

春「ん……霞さん」ポリポリ

巫女服を着、手に持った黒糖をポリポリと齧りながら、声かけられた少女――滝見春は無表情に小さく霞の声に答えた。

霞「姫様はそちらのグループには?」

春「…………」フルフル

霞「そう……」

続けて投げかけられた言葉に春が無言で首を振って否定すると霞は少々不安げな表情を浮かべつつ、
それでも表情を明るいものにすると京太郎に向き直り口を開く。

霞「紹介するわね、須賀くん。 私たち永水の1年生、滝見春ちゃん」

優希「はるるだじぇ!」

京太郎「もうあだ名で呼ぶくらい仲がよくなったのか。 ええと、よろしくお願いします滝見さん。
    清澄の1年、須賀京太郎って言います」

春「よろしく。 それと、はるるでいい」

京太郎「は?」

ひとまず紹介されたのでご挨拶。
そんな中で人懐っこい優希が会ってまだ1時間も経っていないであろう彼女をあだ名で呼んでいる事に驚いていた京太郎だが、
その件の彼女からいきなりあだ名でいいと言われて思わず素っ頓狂な声が飛び出す。

春「はるるでいい」

優希「もうチームメイトの中でもはるるははるるで定着してるからな!」

春「…………」コクリ

京太郎「……気に入ってるんですかそのあだ名」

春「とても」

無表情でどこかミステリアスに思えたが、案外彼女も人懐っこいのだろうか。
そう思って霞の方へと視線を向ければ、霞も困ったような驚いたような、何とも言えない表情を浮かべている。

京太郎「(だよな、どう考えてもそういうキャラに見えないよな)」

<ハルルー ユーキチャンー

<バスガデルデー

優希「おっと、そろそろ寮に向かう時間だじぇ。 じゃあな京太郎! いくじぇ、はるる!」

春「うん」ポリポリ

京太郎「お、おう」

そうこうしている内に優希たちはやってきたバスに乗り込み、そのままその場を去って行った。

霞「……春ちゃんもこの状況でちょっとテンションが上がってるのかしら?」

京太郎「なんというかこう、不思議な人ですね。 黒糖ずっと食べてたり」

霞「いえ、それはいつもの事よ」

京太郎「(……そういえば部長との卓でもずっとポリポリしてたっけ)」

※片岡優希、滝見春が同チームである事が判明しました。

プップー

美穂子「あっ、バスが来ましたね」

それからしばらくして、京太郎たちの元にもバスがやってくる。
5人程度ならば楽々乗れる程度のマイクロバス。
運転席には良子が乗っており、やはり監督というよりは引率する大人という立ち位置の方が濃いようである。

良子「人数が増えたらまた違いますが、しばらくはこのマイクロバスが移動手段となると思ってください。
   さ、乗って乗って」

せかされるまま、京太郎はバスに乗り込むのだが。
隣になったのは……。

↓1

睦月、美穂子、やえ、霞、良子の中から選択

>やえ

やえ「失礼するぞ須賀」

京太郎「あ、どうも。 すみません、変に図体でかくて」

やえ「気にするな。 むしろそれでこそこれからの中で頼りがいがあるというものだ」

先に座っていた京太郎の隣に座ったのはやえ。
バスとはいえ小型のものの為に座席も狭く、京太郎は少しばかり恐縮するのだがやえは不敵な笑みを浮かべながら構わないと述べ、
むしろ野球をする上でなら大柄な事は長所にもなるだろうと前向きに言う。

やえ「何せカードがあるといっても、殆どがニワカばかりだからな! しかも女ばかりだ。
   その中に男がいるとあってはいやがおうにも期待はして当然だろう」

やえ「無論、私はそんなニワカとは違うが」フフフ

京太郎「(やべぇ……この人の中で俺のハードルがどんどん上がってる)」

確かにやえの言うように期待されても仕方ない状況ではあるだろう。
実際、普通に野球をやるだけならば女性たちより男性である京太郎の方が何にしても有利。
おまけに京太郎自身、別競技ではあるがスポーツ経験者なのである。

だが、カードの力というものがあるのを考えると、そう簡単にはいかない。

少なくとも、京太郎が引いた2枚のカードはお世辞にも強いとは言えないと京太郎自身が思っているからだ。

京太郎「(どうするかな。 今の内に言っておくか、それとも話を替えてみるか)」


1.「期待されちゃ頑張らない訳にはいきませんね。まあ任せてください!」むしろ自分からハードルを上げていく
2.「すみません……期待させておいてなんですけど、俺のカードこれなんですよ」手持ちのカードを見せる
3.「ニワカとは違うって事ですけど小走さんは野球に詳しいんですか?」ここは話を変えてみよう
4.「そういえば小走さんの持ってるカードってなんなんです?」ここは話を変えてみよう part2

↓1

>2.「すみません……期待させておいてなんですけど、俺のカードこれなんですよ」手持ちのカードを見せる

やえ「む?」

これ以上ハードルが上がるのは御免だと言わんばかりに手持ちのカードを見せる京太郎。
三嶋と国吉。野球を詳しく知っているなら頼りにはあんまり出来そうにないと思える投手2人。
野球をそこそこ知っているなら、むしろ聞いた事が無い名前だから優秀な選手ではないと思える投手2人である。
普通ならば、これを見せればまあわかってくれるだろうと、京太郎は思った。

やえ「…………」

京太郎「だから……」

やえ「なるほど。 ピッチャーが2人か!! これはレアカードだ!! 流石だぞ、須賀!!」

京太郎「ええええええええええええええええええええ!?!?!?」

問題は、野球を殆ど知らない人は、むしろ知っている名前自体が少ない為、
カードに印刷されているプロ=大体強いと思いかねない事。
更に小走やえという少女は京太郎の想像以上にポジティブな思考であった事である。

京太郎「ちょ、ちょっと待ってください! ニワカじゃないんですよね!?」

やえ「な、何を言う! 当然だろう。 勿論この選手も知ってるぞ。
   あの……あれだな。 横浜ベイスターズの選手だ!」

京太郎「(そりゃカード見たらどこ所属かくらいはわかるだろうし、っていうかそもそも正式名称は横浜DeNAベイスターズだし!
     さてはこの人野球まるっきり知らない人だ!?)」

睦月「横浜ベイスターズではなく横浜DeNAベイスターズです!」

京太郎「(しかも横から突っ込んできた……って津山さん?)」

やえのニワカというか知ったかぶりにより、更に傷を深めた京太郎は、
とはいえ「あなた野球全然知らないでしょう!」と彼女のプライドを傷つけかねない事は言えず。
そうこうしている内に2人の会話に食いついてきたのは後方に座していた睦月である。

やえ「そ、そうか。 ともかくDeNAだ。 その選手だな、うん。 しかも2枚。 これは期待が持てる。
   いつも台風の目とか言われてるし」

睦月「うむ!! 期待の若手の数は本当に多いですから! と、ところで須賀くん、カード見せてもらっていいかな?」

京太郎「は、はい……(すげぇ嫌な予感しかしないけど断れない)」

あまり会話を交わした事は無いが、普段からは考えられない形相と勢いでバスの中を歩き京太郎のカードを要求する睦月。
その態度、そして合流する以前、廊下でプロ野球チップスを開封し、当人曰く「いいカードを引き当てた」と豪語していた姿を思い返し、
非常によろしくない予感を覚えながらも手渡す京太郎。
受け取り、そのカードを目にした瞬間……。

睦月「三嶋と国吉!! 凄い!!」

霞「そ、そんなに?」

美穂子「すごいのかしら?」

やえ「ふっ、見てみろ。 私はすぐに凄いと一目でわかったぞ」

睦月「いい時は本当にいい球を投げるピッチャーです! これはこのチームのエースも決まったね!」

京太郎「(いい時はいい球を投げるってそりゃ当たり前でしょう! そのいい時の割合がアレな訳で……。
     というかこの2枚を凄いとか当たりって言えるってどう考えても津山さん……)」

良子「トーク中すみませんけど、そろそろ説明していいでしょうか?」

京太郎「あ。 は、はい」

やたらと盛り上がりたくない事で盛り上がってしまった所で声をかけたのは運転中の良子。
内心、助かったと思いながら京太郎はキラキラした瞳でいる睦月からカードを受け取ると、
良子の説明に耳を傾け始める。

良子「まずあなたたち5人で全員と言いましたが、勿論これでは野球をするのに人数は全然足りません。
   そこで当然、補填として10人程がチームに登録をされています」

睦月「合計で15人って事ですか?」

良子「イエス。 とはいえ、彼らはあくまでも補填です。 チームメイトではありますが、全員一律能力は同じ。
   ……チームメイトというよりは、試合で力を貸してくれる助っ人と言い換えた方がいいかもしれませんね。
   寮で一緒に暮らす訳でもありませんから」

京太郎「(彼ら……って事は男の人だよなぁ。 いてくれた方が俺としては居心地が良さそうだけど。
     そうなると今度は他の人たちが大変だろうしなぁ)」

良子「それと、試合についてですが初戦は今から1週間後に組まれています。 まだどこと当たるかはわかりませんけどね」

霞「いつごろ決まるのでしょう?」

良子「今から3日後を予定しています。 試合はトーナメント形式で1週間毎、
   最後まで行けば計5試合を予定していますのでそのつもりで。
   ちなみに、試合は中継予定ですよ。 専用チャンネルですが」

京太郎「中継されるんですか……」

やえ「宣伝、PRの為にするのだからな、当然だろう」

良子「オフコース。 それと、試合終了後には勝利チームが敗北したチームから1人か2人、補充する事が出来ます。
   勝ち進むにつれて、チームの戦力は充足すると考えてください」

京太郎「……ところでさっき1か月って言ってましたけど、あの、学校はどうなるんです?
    2学期はじまっちゃいますけど?」

良子「? 既に説明があった筈ですが……こちらが用意するテキストをこなせば、ノープロブレムです。
   協会側から各校に話をつけていますからね」

京太郎「(部長、そのあたりも説明してなかったのかよ。 1ヵ月なんて聞いて無いのに……)」

良子「普段はテキストをしつつ、野球の練習。 もしくはレジャーに出かけるのもいいでしょう。
   基本的にこの島内での施設などの利用は企画参加者は無料ですからね」

美穂子「いいんでしょうか?」

良子「1ヵ月拘束して麻雀業界の為に働いてもらうのだから、という事らしいですよ」

京太郎「(太っ腹なんだかなんなんだかわからん。 もっと違う金の使い方があると思うけどなぁ)」

とにもかくにも、ある程度この島での生活について指針はわかった。
試合がある日は試合に集中。
それ以外の日は勉強したり、遊んだり、当然野球の練習をしたり、そこは自由なようだ。

良子「因みに優勝をすれば賞金だか商品だかも出るらしいです。 頑張りましょう。
   ……と、そろそろつきますね」

そしてあらかた説明が終わった所で、目的地へと到着した。
玄関横に乗り付けると、そのまま一同は降りてその建物――これから長ければ1ヵ月を過ごす寮を見やる……のだが。

睦月「あ、あわわ……」

京太郎「…………」

そんな中、明らかに様子がおかしいのが1名。ぷるぷると震えながら、幻でも見るかのように彼女は建物を見つつ、呟く。

睦月「せ、せ、青星寮……そっくり……」

野球にそこそこ詳しいとはいえ、流石にそこに所属する選手の一部が滞在している寮の名前までは知らない京太郎。
だが、流石に、『青』と『星』がつく名前を聞けば、この建物にそっくりな建物がどの球団のものなのかある程度察する事が出来る。
そして、何故睦月がそこまで震えているのか――感動に震えているのかまでも。

京太郎「(この人……ベイスターズファンだ)」

その後、いつまでも感動している睦月に良子が声をかけて正気に戻しつつ、寮内に入りまずは部屋を割り当てられる。
京太郎が割り当てられたのは一番奥の角部屋。
部屋の中は普通のワンルームマンションのようであり、中にはユニットバスやら洗濯機。
ミニキッチンまで揃っていて、生活するのに不自由は無さそうである。
ひとまず荷物を置いた後、京太郎はそのままの足でロビーへと向かう。

事前にある程度の説明は受けたが、改めてチームを結成するにあたりミーティングを行う事になっていたのだ。

良子「では、ミーティングをはじめましょうか。
   まずは各人の所有カードと……野球に対する認識、知識についての確認をしましょう。
   須賀くんは……既にカードは全員が知っていましたね」

京太郎「ええ、まあ……」

良子「では続いて、津山さん。 お願いできますか?」

睦月「はい! 私が引いたのはこの2枚です!」

意気揚々と立ち上がり、彼女が掲げたのは2枚。
やはりともいうべきかなんというべきか、その2枚ともがベイスターズ所属選手のもの。

睦月「高崎健太郎投手と乙坂智選手です!」

【高崎健太郎】
横浜DeNAベイスターズ所属。
とにかくぶっちぎりで弱かった時代のベイスターズのエース候補だった男。
好投をしても味方が打たずに勝てず、味方が打ってくれたら打たれる。
2011年シーズンの5勝15敗という数字が当時のベイスターズの悲哀を物語っているだろう。
(ちなみに5勝はチーム内最多勝タイ)

【乙坂智】
横浜DeNAベイスターズ所属。
右投げ左打ちの若手外野手。パンチ力のある打撃と俊足の持ち主であり飛躍が期待される1人だが、
彼の何よりの特徴は溢れる横浜愛。
小学校高学年頃からベイスターズの試合を観戦しに行く。
高校時代は先にプロ入りした先輩の試合を見る為にやっぱりベイスターズの試合を観戦しに行く。
高卒後プロ入りする際、当時ぶっちぎり最下位だった横浜以外からの指名は拒否すると言い切る。
プロ入りを反対する両親に対して家出をしちゃって説得する。などなどがある。

京太郎「(高崎と乙坂……また微妙な。 というか、4枚中3枚が横浜の投手って……せめてもうちょっといいのをさぁ)」

美穂子「津山さんも2枚持ちだったのね」

やえ「レアだな。 ふふふ、レア持ちが2人いるとはツキはわれらにあり!」

霞「……申し訳ないけれどそのお2人を知らないのだけれど、その……」

睦月「高崎はかつてエースになれると言われていた程の逸材。 そして、乙坂はこれからの横浜を背負って行ける楽しい若手外野手です!!
   正直、この2枚を引けたのはかなりラッキーでした!」

霞「そ、そうなの?」

睦月「うむ!!」

なんとも言えない表情の京太郎、素直に驚く美穂子に、したり顔のやえ。
そして、若干引き気味の霞と興奮気味の睦月。
良子はある程度睦月の興奮が収まった所で、美穂子に次を促す。

美穂子「私はこのカードを引きました」ピラッ

京太郎「おおぅ……」

睦月「雄洋!!」

美穂子「?」

それほど野球に詳しくないのだろう美穂子が手にしたカードを見て、収まった興奮が再び燃焼する睦月。
美穂子の手の中には……やはりベイスターズ所属選手、石川雄洋のカードがあった。

【石川雄洋】
横浜DeNAベイスターズ所属内野手。
愛称は雄洋、キャップなど。その愛称通りかつてはキャプテンを務めており、彼が変わればベイスターズは変わっていけるとまで言われていた。
長年ベイスターズを支え続けた主軸選手……なのだが、誤解されやすい態度や言動などからファンから叩かれやすい。
が、逆に熱心なファンがついている。
いないと困るが頼るようでは駄目、そんな愛すべきキャップ。

ふんふむ
今の所OBや代表クラスは無しと
やえさんと霞さん(谷繁が出ればベスト)に期待しますかね

美穂子「私はこの人の事を知らないのだけれど、いいカードなのかしら?」

睦月「うむ……うむ!石川は、勘違いされやすいけど誰よりも熱心に練習に取り組み色々な選手から尊敬されている選手です。
   たまに見せるファインプレーは凄いですし、何よりバントも横浜の中では上手いし、走塁技術も卓越してます!
   こういう選手がいるからこそ主軸が活躍できるんです。 まさに縁の下の力持ちと言える選手ですよ」

美穂子「そうなの……。 ふふ、なら嬉しいわ。 みんなの為に頑張れるような人なら、私もこのカードの人を見習って頑張らないとね」

京太郎「(見習ったら絶対駄目だ……って言いたいけど言ったら津山さんに何されるかわかんねぇ)」

またもベイスターズ所属の選手、しかもレギュラークラスのカードが出てきて興奮する睦月。
逆に唯一この場で冷静に出てくるカード1つ1つを分析出来るような立ち位置の京太郎としては、不安しかない。
少なくとも、ここまで5人中3人が京太郎の中で微妙なラインナップだ。

良子「次は霞、お願いできますか?」

霞「はい。 私はこちらを……」スッ

京太郎「これは……」

霞の提示したカードを見て、ようやく京太郎の表情も幾分か柔らかくなる。

霞「トバシラさん、というんですか? キャッチャーですね」

【戸柱恭孝】
横浜DeNAベイスターズ所属。
2015年のドラフトで選ばれ、2016年ルーキーイヤーながらほぼ全ての試合でスタメンマスクをかぶった捕手。
新人捕手の開幕スタメンは、セリーグでは2001年以来であり、新人が1軍の正捕手となる事は極めて異例。
それだけそれまでのベイスターズの捕手が不甲斐なかったという事もあるが、彼の捕手としての能力の高さがあってこそのものだろう。

ふんふむまた現役
やえさんに期待しますかね
現役なら筒香!
OBなら高木豊さん!

京太郎「これは比較的まとも……ああいや、いいんじゃないですかね」

霞「そう?」

睦月「うむ! 2016年の飛躍は戸柱が投手陣をルーキーながら引っ張って行った事ですからね!」

少なくとも、さっきまで出てきたカードよりはずいぶんといい……とは思う京太郎。
多少なりと小粒な気は否めないが。

京太郎「(っていうかそうか。 俺が投手だから、石戸さんとバッテリーを組む事になるのか?
     ……女房役かぁ)」ホワワン

そして、軽く妄想をする一方で睦月は更にヒートアップする。止まる事を知らない。

睦月「それになんといっても、戸柱のいい所はその落ち着きと貫禄ですね」

霞「落ち着き……」ピクッ

睦月「ルーキーでありながら動揺する姿を殆ど見せない、何より顔もいかつくてルーキーに見えないですからね。
   26歳と若いとは言えない年齢ではありますけどそれでも30代の選手より老けて見えますし」

霞「老けて……」ピクピクッ

睦月「大洋ホエールズ時代の生き残り、大洋戦士なんて言われてるくらいベテランの風格がありますからね。やはり頼りがいがある!」

霞「…………」

霞「…………」くすん

結果、色々と霞は気にしている事に切りこまれ少しだけ落ち込んでしまうもよう。

霞「(やっぱり私って老けてるのかしら……)」

やえ「ふっ、では真打登場と行こうか」

そして最後に、良子の声がかかるより前に立ち上がったのはやえである。
盛り上がり(一部盛り下がり)を見せる中、その輪の中に入れないのが嫌だったのか。
それとも単に目立ちたがりなのか、誰も聞いていないのに彼女は勝手にカードを掲げる。

やえ「お見せしよう、王者のカードを!」ババーンッ!!

睦月「あっ、ベイスターズじゃない……」

京太郎「おお、これは……!」

描かれていたのは、ここにきてようやくと言えるベイスターズ所属以外の選手。
打席に入りスイングをする姿はさながら野獣か恐竜か。

京太郎「T-岡田か!」

【T-岡田】
オリックス・バファローズ所属。
高校通算55本塁打を放ち、ついたあだ名は「浪速のゴジラ」、現在のあだ名は「浪速の豪砲」
恵まれた体格を武器にホームランを量産するオリックスのスラッガーであり、かつてはホームラン『キング』にも輝いた実績を持つ。
が、近年は怪我・スランプなどに苦しんでおりいまいち伸び悩んでいる。
しかし、ほぼ全ての年で2桁本塁打を放っている和製大砲である。

京太郎「いいじゃないですか! 足りなかったホームランバッターですよこれ」

やえ「う、うん? そ、そうか。 まあそうだろう! 私もそう思っていたのだよ」

睦月「そうですね。 確かに乙坂もパンチ力があるといってもまだ実績は無いですし。
   石川も戸柱もホームランバッターじゃないですから」

やえ「そうだろうそうだろう。 ふふふ、まあ私に任せときな」

やえ「(よかった、これいいカードだったのか……私だけ違うチームだから弱いカードなのかと思っていた)」

チームが弱いかどうかはともかく、T-岡田のスタイルを鑑みれば京太郎たちの言う通り足りない部分がピタリと揃う。
少なくとも、ここまで長打を打てる選手カードは出てこなかったのだから。

霞「これは……ええと、オリックスだったかしら?」

やえ「チーム名が英語で書いてあるぞ。 オリックスだな。 オリックスバッファローズだ」

京太郎「(バッファローズ……)」

睦月「バッファローズじゃなくて……」

京太郎「あの、津山さん。 ここでじゃなく後でそれとなく伝えましょう。 色々と拙い……」

ただ、それを引いた事によってやえは京太郎だけでなく睦月にもニワカぶりを露呈してしまったという。

良子「では最後に私も……」ピラッ

京太郎「おお……(っていうか監督も持ってるのか、カード)」

美穂子「外国人の、あの、巨人にいた人ですね」

霞「ゲッツの人ね」

やえ「フッ、にわかめ。 あれはヤクルトにいた選手だ」

睦月「今は横浜の監督です。 それと、NPBでの最後の所属球団も横浜ですよ」

最後に監督である良子が取り出したのは、この場にいる者たちでもわかるくらいの有名人。
少なくとも、先ほどまで出た面々よりかは一般的な知名度があるであろう、現横浜DeNAベイスターズ1軍監督。
アレックス・ラミレスのカードだった。

【アレックス・ラミレス】
横浜DeNAベイスターズ2代目監督。
現役時代はその陽気なパフォーマンスで知られたが、
実績面でも外国人選手として史上初の日本球界通算2000本安打を達成し名球会入りをしている。
口癖は「タフ」「エキサイト」「トゥモロー イズ アナザー デイ」

良子「改めて、確認が取れた所で互いを多少なりと知る事は出来たと思います。
   次の議題ですが……」

良子「このチームを引っ張る者。 キャプテンを決めましょう」

一旦ここで切らせてもらいます。安価があんまり出せず申し訳ないです。
明日あたりにキャプテン決定安価と、実際の試合をどんな感じでやるかのチュートリアルなどが終わらせられればなと思います。
それでは。

>>66
一応選択肢にあった雀士たちは、全員が全員横浜の選手カードを持っている、という訳ではなかったです。
大体5割くらいは横浜の選手でしたが。

取り敢えず乙です
其れにしてもやえさんだけオリックスとはww
他のチームも12球団毎にまとまって居るって訳じゃ無さそうですね
さて今後監督役の大人達が
「代打!私(orはやり)!」
って言う事は有りますかね?

これ勝てるのか?
頼れそうなのTと戸柱しかいないじゃん
辛うじて三嶋乙坂ってとこか?

>>72
乙ありです。雀士たちにカードを割り当ててると、私の趣味もあって色々偏りもあるので、まとまってる訳じゃありませんね。
あと代打私!に関しては無しの方向で考えてます。監督の所有カードもフレーバー的な感じです。

>>73
後々、初戦の相手が判明するタイミングで安価を取って対戦チームを決める予定です。
イージー、ノーマル、ハードくらいで試合を組む予定なので大丈夫だと思います。
あと、この後の練習などによっても強くなっていくので大丈夫だと思います。

京太郎「キャプテンですか?」

良子「イエス。 集団となって1つの目的の為に行動をする以上、リーダー、キャプテンは必要です。
   幸い、ここには経験者が多数いるようですしね」

言いながら、一同を見渡す良子。
風越のキャプテンである美穂子、永水の部長である霞、そして晩成の部長のやえ。
いずれも所属していた高校では麻雀部の長を経験し、チームを纏めていた。
とはいえ、良子の視線が自分たちに向くのを感じ取ると美穂子と霞は苦笑を浮かべる。

美穂子「確かに麻雀部のキャプテンではありましたけれど、野球については詳しくありませんし……」

霞「誰かほかの方にやってもらった方がいいんじゃないかしら?」

やえ「ふふふ、2人が辞退したとなれば必然的に残った最上級生である私が……」

美穂子「という事で須賀くんと津山さんを推薦します」

やえ「なにィ!?」

京太郎「俺ですか!?」

睦月「う、うむ!?」

確かにキャプテン経験者ではあるが、野球に関する知識はそれ程持ち合わせていない美穂子と霞は辞退。
そわそわしながら契機を見計らっていたやえをスルーし、京太郎と睦月の2人をキャプテン候補として推薦する。

京太郎「ちょっと待ってください、俺1年ですよ!?」

美穂子「だけど野球はわかるでしょう?」

京太郎「まあ人並みですけど……」

美穂子「津山さんも鶴賀では新部長に就任をしたのだし、何よりえーっと……横浜のチームが好きなのよね?」

睦月「な、何故それを!?」

京太郎「むしろ何故バレていないと思っていたのか」

先ほどまでの熱狂ぶりを見れば、いくらなんでも誰でも気づく。
思わず睦月に突っ込みを入れつつ、京太郎は頭をかきながら口を開いた。

京太郎「ともかく、野球に詳しくなくてもいいんじゃないですか?
    知識面とかならこれから覚えていく事もできますし、俺や津山さんでサポートだってできますよ。
    要はまとめ役って事なんですからそれなら皆さんの方が相応しいでしょう」

やえ「仕方ないな。 ここは私がひと肌脱ぐか」

霞「でもIHも終わって、私たちも引退の身だもの。 ここでキャプテンの経験をしておくというのもいいのではないかしら?」

美穂子「競技は違えど、得るものはあるでしょうし」

京太郎「引退した身っていう事を言われると弱いですけど……」

睦月「うむ……確かにその、少し興味が無い訳じゃないけど」

良子「どちらの言い分ももっともですからね。ここは多数決で決めましょう」

↓1

【京太郎、睦月、美穂子、やえ、霞の中からキャプテンを選択】

辞退したのに霞さんで確定とはww
やえさんめっちゃ気の毒ww

>霞

多数決を取った結果、霞が2票を獲得しキャプテンに決定した。
因みに投票をした2人のコメントは以下の通り。

京太郎「やっぱり落ち着きがありますし、ポジション的にもまとめ役があってそうなので」

睦月「福路さんと迷いましたけど、やっぱり扇の要に纏めて欲しいですね。
   負担を強いる事になりますけど私なりに精一杯サポートしますので」

なお、そのほかには京太郎、睦月、やえに1票ずつ入った。
誰が誰に投票をしたかは割愛する。

霞「うぅん……決まってしまったものは仕方ないわね。
  なんとかご期待に添えられるよう頑張るわ」

やえ「…………」くすん

【石戸霞がキャプテンに就任しました】

良子「さて、では……まだ少し時間がありますね」

こうしてある程度の話し合いを終えた所で、良子は時計を見て一言。
この島に着いた時間が早かった為か、こうして移動をしてもまだ外は明るい時間だ。

良子「早速体を動かしてみましょうか。 皆さん、着替えて隣接するグラウンドに集合しましょう」

京太郎「ええっ!? 今から野球するんですか!?」

睦月「今からやっていいんですか!?」

良子「軽く動く程度ですよ。 実際、どの程度自分が出来るか、能力を確認しておくというのも必要でしょう。
   タイムイズマネー、もう一度部屋に戻ってロビーに集合です。
   それぞれ自室にユニフォームがあるはずですので着替えてきてください」

有無を言わさぬ良子の態度に追いやられ、一同は再び部屋へと戻る。
言われてみると、なるほど、確かにダンボールに梱包された――青いユニフォーム。

京太郎「……これも横浜のユニフォームかよ。いや、文句ある訳じゃないけど」

更にどこで測ったのかサイズがピタリと合うスパイクやら、グラブ、バッティンググローブ、
その他諸々野球道具一式が揃えられており、京太郎は『SUDA』と背ネームが書かれ『17』の背番号がついたユニフォームに袖を通し、
それ以外の野球道は旅行の為にと持ってきていたカバンの中身を空けてからその中に積めてロビーへと戻る。

男である自分が1番早いかと思っていたが、どうやら思い違いだったようで京太郎は1番最後。
一言謝罪の言葉を口にしながら一同と合流するのだが……。

良子「では霞、キャプテンマークです。 胸につけますのでじっとして」

霞「はい」ポミュンッ

京太郎「(ふぁあああああああああああああああ!!)」

ユニフォームに着替え、パンツスタイルにベルトを巻き上をパンツの中に入れている関係上、
その霞の胸は先ほどまでの巫女服以上に強調されており、
更にはたった今、キャプテンに就任した為に良子から直接その胸へとキャプテンマークを取り付けられ、
その瞬間、豊満なそれは揺れる、というか撓む、つまりは眼福。揺れた際の音まで聞こえるかのようだった。

京太郎「(ありがとうございます!!)」

やえ「む、遅いぞ須賀。 まったく、たるんでいるな」

京太郎「あ、すみません」

良子「オーケイ、全員そろったようですね。 では行きましょう」

それでも平静を装い、京太郎たちは揃って寮を出てすぐ近くのサブグラウンドへ。
寮に到着した時は気づかなかったがそこでは既に10人程の選手たちが練習をしており、
なるほど、彼らが良子の言っていた補填のメンバーなのだろう。

良子「皆さん、お疲れ様です。 これから彼女たちも少し体を動かしますので、協力お願いできますか?」

霞「キャプテンに就任した石戸霞です。 これからよろしくお願いします」

ザコプロ「よろしくオナシャス!」

ザコプロ「センセンシャル!」

京太郎「(この人たちすげぇ……全員同じ顔してる)」

良子が声をかけ、霞が挨拶をすると返ってくる補填メンバーたちの返事。
非常に元気がいいのだが、何故か彼らは全員同じ声色で、同じ顔をしていた。ホラーである。
おまけに全員の名前がザコプロだった。ホラーもはだしで逃げるレベルの、世にも奇妙な物語である。
だが、京太郎たちはともかくとして良子はいたって平然としていた。
突っ込むのもなんだか怖い気もしたので、京太郎たちもそんな彼女に倣い気にしない事にした。気にしないように努力をした。

良子「さて、では……軽く準備運動をしたら早速対戦してみましょうか。
   須賀くん」

京太郎「はい!」

良子「1打席勝負をします。 あなたはピッチャーをお願いしますね」

京太郎「わかりました」

良子「ではバッターですが……」

睦月「私がやっていいですか?」

投手に関してはカード2枚持ちの京太郎でいいとして、打者は4人いる。
誰にしようかと良子が悩んでいた所で、睦月が挙手をし立候補する。

良子「オフコース。 いいですね、その積極性。 では、お願いします」

京太郎「(津山さんか……乙坂は1.5軍レベルの選手だった筈……けど、三嶋国吉も1.5軍レベルなんだよなぁ)」

睦月「(三嶋の球種はわかる。 落ち着いていけば打てる……もしくは四球で出塁出来る!)」

【打撃&投球システム】

良子「このスレでの打者対投手は『1打席』で1発勝負となります。
   投手は『内角攻め』『外角攻め』『低めに集める』『くさいところ』『敬遠』の5つの選択肢。
   打者は『引っ張り』『流し打ち』『センター返し』の3つの選択肢を取れます。
   効果は以下の通り」

・『内角攻め』←→『引っ張り』
・『外角攻め』←→『流し打ち』
・『低めに集める』←→『センター返し』 がそれぞれに対応

投手側・野手側の読みが外れた場合

・内角攻めで読みを外した場合、打者側長打-30
・外角攻めで読みを外した場合、打者側長打-20
・低めに集めるで読みを外した場合、打者側長打-10

・引っ張りで読みを外した場合、打者側巧打-30
・流し打ちで読みを外した場合、打者側巧打-20
・低めに集めるで読みを外した場合、打者側巧打-10

良子「ジャンケンですね。プレイヤー側ではない側の投手or野手の選択肢については、>>1がトリップに隠して選択をします。
   次に投手側の『くさいところ』の説明について」

・投手は1打席毎に体力を2消耗
・ランナーが1人いるごとに、+1ずつ増える(最大5)
・『くさいところ』を選択した場合、読みに関わらず打者側に巧打・長打-20の補正を強制する。
 ただし消費体力2倍、更に制球力によって判定が変動。
 判定表は以下の通り。

【制球S~A】
通常通りの判定。

【制球B】
投手側コンマ下一桁が9の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。

【制球C】
投手側コンマ下一桁が9の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。
投手側コンマ下一桁が8の場合、ボールが甘い所に行きジャンケンに関係なく打者側の補正を+10する。

【制球D】
投手側コンマ下一桁が9、7の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。
投手側コンマ下一桁が8の場合、ボールが甘い所に行きジャンケンに関係なく打者側の補正を+10する。

【制球E】
投手側コンマ下一桁が9、7の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。
投手側コンマ下一桁が8の場合、ボールが甘い所に行きジャンケンに関係なく打者側の補正を+20する。

【制球F】
投手側コンマ下一桁が9、7、6の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。
投手側コンマ下一桁が8の場合、ボールが甘い所に行きジャンケンに関係なく打者側の補正を+20する。

【制球G】
投手側コンマ下一桁が9、7、6の場合、打ち取る判定をしても四球扱い。
投手側コンマ下一桁が8の場合、ボールが甘い所に行きジャンケンに関係なく打者側の補正を+30する。

良子「これらの選択肢を使い補正を変えた所で、投手は『変化』、打者は『巧打』を使って判定をします」

・投手側変化+コンマ-打者側巧打+コンマが……

 +50以上→ランナーがいる場合はゲッツーなど最良の結果。
 +49~0→ランナーがいる場合でも1つのアウトを取れるのみ。状況によって内野ゴロの間に1点などもある。
 -1以下→『引っ張り』『流し打ち』『センター返し』の選択肢と、投手側球威・打者側長打を使って更に判定

良子「なお、ヒット判定についてはコンマ勝負ではなくコンマの数値自体を使って判定表を使って結果を導きます」

・打者側長打-投手側の数値+コンマで出た数値が……

【引っ張り】
00~50 シングルヒット
51~90 ツーベース
91以上 ホームラン

【流し打ち】
00~70 シングルヒット
71~110 ツーベース
111以上 ホームラン

【センター返し】
00~90 シングルヒット
91~130 ツーベース
131以上 ホームラン

良子「なお、投手側の球威>打者側の長打の場合でもマイナス扱いはせず、00として扱い判定します。
   そして、このコンマを使って守備の判定もします」

・右打者の引っ張り、左打者の流し打ちの際はサード・ショート・レフト・センター(数値半分)の守備力
・右打者の流し打ち、左打者の引っ張りの際はファースト・セカンド・ライト・センター(数値半分)の守備力
・両打者のセンター返しの際はピッチャー・セカンド・ショート・センターの守備力
・また、投手側の球威>打者側の長打の場合は投手側の球威-打者側の長打の数値を加算

→それぞれを足して10で割った数値のコンマが出た場合守備に阻まれアウト判定

良子「となります」

良子「まずはやってみましょう。ではプレイボール」

【京太郎・睦月のステータス】

・須賀京太郎

所有カード:三嶋一輝(De)、国吉佑樹(De)

球威70 変化40 制球E 体力60
巧打30 長打30 走力40 守備30

【国与四】
四球を出した際、次の打者を相手にするとき制球力1段階下降。

【???】
相手投手が【???】のカードを所有していた際、球威・変化+30。制球2段階上昇。

※前回投手選択分の体力強化加算忘れにつき50→60に上方修正。

・津山睦月

所有カード:高崎健太郎(De)、乙坂智(De)

球威40 変化40 制球E 体力50
巧打30 長打50 走力50 守備30

【高さ危険太郎/低め安全花子】
試合開始前に判定。
出たコンマが偶数の場合投手時制球力一段階上昇、奇数の場合二段階下降。

【筋肉がエキサイトしている】
ツーベースヒット以上を打った以降の打席で長打力+20。


【おまけ】
・ザコプロくん

所有カード:なし

球威20 変化20 制球F 体力20
巧打20 長打20 走力20 守備20

準備運動を終え、軽く投球練習をする京太郎。
当然、ハンドボールの経験はあるものの野球など体育の授業やら小学生時代友人同士の遊び位でしかやったことがないのだが……。

ビュッ! パァンッ!!

ザコプロ「ナイボール!」

京太郎「……ははっ(すげー……本当に野球が出来るからだになってる)」

指導を受けた訳ではない、練習をした訳でもない、にも関わらず、間違いなく普通の高校生では投げられないような球を投げられる。
無論、今すぐプロになれるような球という訳ではないのだろう。
カードを受け取った時に言われた通り、これはあくまで模倣、劣化コピー……しかし、それでも常識外れである事には違いない。

美穂子「すごい……」

霞「(キャッチャーっていう事は……あれを受けなきゃいけないのよね、私)」

やえ「(え? あんなにボールって早いのか? テレビだともっと遅く見えたが)」

投げた当人ばかりでなく、見守る美穂子たちも思わず驚きの表情を浮かべるのだが……。
打席の外で素振りをし、眼光鋭くこちらを見つめる睦月には怯えの表情は無い。
むしろ何かを覚悟したような面持ちで、何やらぶつぶつつぶやきながら打席に入る。

睦月「…………」ブツブツ

京太郎「ん?」

睦月「ょ~こぉ、はま~ べぇいすたぁずー……」

睦月「しょぉりの~ かがぁやき~ めざーしてぇぇぇー……」パンパンパン

京太郎「………………」

足を叩いてリズムを取りつつベイスターズ応援団が試合開始時に歌う勝利の輝きを歌いながら、構える睦月。
思わず脱力しそうになりながら、京太郎もまたセットの構えを取る。

京太郎「(多分大真面目なんだろうけど調子狂うな。 でも、こんなカード貰ったとはいえ俺だって出来ればいい所見せたい。
     打ち取るぞ!)」

レフト側守備力合計:20+20+20+10=70
センター側守備力合計:30+20+20+20=90
ライト側守備力合計:20+20+20+10=70

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

人いないから連投おk?

>>89
OKです。

>◆LglbzMMsZBGD=ニコ引っ張り
>京太郎:変化40+コンマ09=49
>睦月:巧打30-読み外し30+コンマ22=22

で京太郎の勝利の為打撃結果出さず進行とします。
本日は一旦ここまで。明日は盗塁・タッチアップ・バントあたりの説明とかを出来ればと思います。

乙ー


最初は説明多くて後で読むかってなって安価参加してない人も多いだろうし頑張って


横浜スレでワロタ

>>80
よく見たら京太郎が須田になっとる

>>91
乙ありです。
>>92
乙ありです。応援ありがとうございます。楽しんでもらえるように頑張ります。
>>93
乙ありです。横浜が好きなので申し訳ない。他球団ファン、咲好きの人にも楽しんでもらえるように頑張ります。
>>94
痛恨のミスでした。『SUGA』に脳内変換お願いします。

もうちょっとしたら開始します。

睦月「(1打席勝負……折角なんだから、大きいのを狙いたい……)」

打席に入った睦月は脳内で乙坂の応援歌を流しつつ、そう考える。
これが実際の試合ならばともかく、あくまでも練習――いや、それですらないお遊びの勝負だ。
普段麻雀で大きな役など滅多に上がれないという反発もあったのか、彼女は一発を狙い……。

京太郎「(明らかに大振りだな。 ならこれで……!!)」

1球目、低めに決まったストレートを審判がストライクコール。
2球目、大きく外れたストレートを見逃しボール。
3球目、ストレート狙いだったかチェンジアップにタイミングがあわずそれでも当ててファウル。
4球目、抜けたチェンジアップを捕手のザコプロくんが後逸し、しかしランナーはいない状況で振り逃げも無くボール。

続く5球目……。

ビュッ!!!

京太郎「(あっ! やべっ、すっぽ抜けた!!)」

低めに決める筈だったボールは、しかし高めに抜けてしまう。
だが、それが功をなしたのか睦月のスイングを誘い……。

ブンッ! スカッ!! アァァァイッ!!!!

京太郎「よーっし!!」

睦月「しまった……」

怪我の功名とでも言うべきか、明らかなクソボールに対して睦月は空振り。三振で両者の対決は終了するのだった。

パチパチパチパチ

美穂子「凄いわ……やっぱり、2枚持ちでも男性の須賀くんの方が強いのね」

霞「でも津山さんもボールにバットを当ててたもの。 引き分けくらいじゃないかしら?」

やえ「今の1アウトは3アウトくらいの値打ちがあるな。 うん、私にはわかるぞ」

京太郎「(やべぇ、この人たち本当に野球あんまり知らないみたいだ……)」

睦月「(たまにバッティングセンターに行く時よりもスイングが速くて、目もついてく……カードの力凄い!!)」

そして、その結果を見て観客と化していた3人はそれぞれ反応をするものの京太郎は内心で突っ込みを入れる。
打者の打率は、3割を超えれば一流と言われる世界。
言い換えれば7割は投手が勝たなくては話にならないのが野球である。
ある意味、ここで京太郎が睦月に1打席勝負で勝てたのは当然とも言え、むしろ打たれていた場合はやっぱり三嶋と国吉じゃ駄目じゃねーかと悪態をついていた事だろうが、
そう言い出せない雰囲気に閉口してしまう。

良子「グッド! 結果はどうあれ、互いにカードの能力は引き出せているようですね」

京太郎「引き出す?」

良子「イエス。 カードは基本的にそのままでも雀士に能力を与えますが、それ以上に適応力――シンクロというものがあります。
   うまくカードに描かれた選手とユニゾンすることで、よりカードの力を引き出せるようになるのです」

京太郎「(三嶋と国吉を引き出しても……って言うのは言わない方がいいのかなぁ)」

そもそもこの2人と適応、順応出来ると聞いて京太郎としてはそこまで喜ばしい訳ではない。

良子「では次に盗塁練習をしてみましょうか。 津山さん、1塁へ」

津山「はい!」

良子「打席にはザコプロくんがどうぞ。 京太郎くんは津山さんを警戒しつつ、先ほどと同じようにザコプロくんを相手に投げてください」

京太郎「はい」

………
……


【盗塁システム】

・盗塁は、ランナーが塁に出ている際に任意発動。
・攻撃側がプレイヤー側の時は打者判定の際に『引っ張り・流し打ち・センター返し』の選択肢の他に盗塁を選択。
・守備側がプレイヤー側の時は投球判定の前に強制発動。

・判定式は投手側は捕手の守備力+(投手の球威/2)、打者側はランナーの走力で判定する。

1塁から2塁への盗塁→そのままコンマ勝負。
2塁から3塁への盗塁→走者側-30の補正。
3塁から本塁への本盗→走者側-50の補正。
1塁・2塁からのダブルスチール等→1番前にいるランナーの補正を適用。判定されるのは1番前にいるランナー。

その判定の末、捕手の守備力+(投手の球威/2)-走者の走力で守備側が0以上の際アウト、それ未満の際はセーフとなる。

………
……


アァァァイッ!!

京太郎「…………」チラッチラッ

良子に言われるまま、投球をし打席に立つザコプロを1ボール1ストライクとカウントを刻んだ所。
セットポジションに入ったまま、京太郎は1塁ランナーとなった睦月に視線だけ送る。

睦月「…………」

ビュッ!

睦月「!!」バッ

牽制をするも、睦月は帰塁しセーフ。
京太郎は一つ溜息を吐いてから対戦打者であるザコプロに視線を向ける。

京太郎「(上手く捕手のザコプロさんが刺してくれる……のは期待しない方がいいか?)」

捕手ザコプロ「(次のカウントで走ってくるぞ、外せ)」

睦月「…………」

京太郎「(悩んでも仕方ない……後は天に任せた!!)」

ビュッ!!

睦月「!!」ダダダッ!!

投手側 20+35
走者側 50

↓1 投手側判定
↓2 走者側判定

>投手側 20+35+17=72
>走者側 50+82=132

1ボール1ストライクというカウントから果敢に走った睦月。
無論、通常ならば文科系部活動をしている女子高校生が、一応はプロよりも1段か2段下レベルの実力を持つザコプロの肩に勝てる筈もない。
だが、今の彼女には50メートル5秒9の俊足を持つ選手のカードがある。
京太郎がウエストせずに投球したという事もあってか、捕球をした時点で睦月は2塁ベースにほど近い場所におり……。

捕手ザコプロ「あっちゃー」

睦月「ふふ……。 ……乙坂にもこんな盗塁技術があればなぁ」

ザコプロが送球するのを諦める程に早く、睦月は盗塁を鮮やかに決めるのだった。
なお、盗塁を決めた側と決められた側、両者に微妙に暗い影を残したという。

霞「……ちょっと、早すぎないかしら? 今の津山さんの走り方」

美穂子「少なくとも、陸上部の子とかに混じってても遜色ない……というか、それ以上に早かったんじゃないかしら?」

睦月「大丈夫です、福路さん!! 石川のカードはもっと早いはずです!!」

美穂子「そ、そう……」

やえ「(あれ? 野球ってあんなに早く走るスポーツだっけ? っていうかあのキャッチャーも凄い速さで投げそうだったのにやめたって、どんだけ早いんだ?)」

良子「グッド、津山さんも須賀くんも非常にエキサイトしていますね。
   では次はタッチアップの練習をしましょう。 津山さんは3塁に進んでください」

睦月「はい!」

良子「バッターは変わらずザコプロくん。 ただし外野フライを上げる事を意識してくださいね」

ザコプロ「はーい」

良子「当然須賀くんは打たせないように。 では、はじめましょう」

京太郎「(タッチアップかぁ……まぁ、犠牲フライの練習ってトコか)」

………
……


【タッチアップシステム】

・ランナーが塁に出ていて打者側がアウトになる判定結果が出た際、任意でタッチアップ判定。
・プレイヤー側が攻撃側の際、安価を取ってタッチアップするかどうか決定。プレイヤー側が守備側の際は>>1がタッチアップするかどうかを決定します。
・打球方向の外野手の守備力と走者の走力で判定する。
 1塁からの進塁→走者側-30の補正。
 2塁からの進塁→打球方向がセンター・ライトの際はそのまま。レフトの際は-30の補正。
 3塁からの進塁→そのまま判定。

外野手の守備力-走者の走力が。

+30~→進塁阻止
+29~+0→進塁阻止、アウト
-1~→進塁成功

↓1 外野手守備力 20
↓2 走者走力 50

>外野手守備 20+23=43
>走者走力 50+23=73

カンッ!!

京太郎「うげっ……」

ランナーを警戒しつつも、投じた一球。
それはあっさりとザコプロにはじき返され、甲高い音を立てながら外野へと飛んでいく。
普段ならば打ち取ったあたりだが、距離的には犠牲フライとして十分な飛距離。
そして3塁には盗塁は決して上手いとは言えないが俊足の選手のカードを持つ睦月。

パシッ

睦月「!!」ダダダダーッ!!

外野手がボールを捕球し、急いでバックホームをするもその一連の動作よりも素早く睦月は塁を飛び出し、
ボールが帰ってくる暇も与えないままあっさりとホームベースを踏むのだった。

京太郎「(……うーん。 まあ仕方ないとして割り切るしかないか。 数字的には1勝2敗みたいな感じになっちゃってるけど。
     ……ってあれ?)」

睦月「ナイバッチです! 最高の最低限でした!!」

打者ザコプロ「お、おう……」

京太郎「いや喜びすぎでしょ」

睦月「欲しい所で1点を取れる犠牲フライを打てる選手なんて希少なんだよ!?」

京太郎「アッハイ……」

美穂子・やえ・霞「「「(なんでアウトになったのに津山(さん)はあんなに喜んでるんだろう(でしょう)……)」」」

良子「イエス、イエス。 非常にナイスな点の取り方でしたね。
   こういう点の取り方が、強いチームを作っていく。 スモールベースボールは重要です」

睦月「うむ!」

困惑、喜び、色々と入り混じってる一同(なお喜びは1名くらいのもよう)を見渡しつつ睦月と犠牲フライを打ったザコプロを褒める良子。

良子「では最後にバントをしてみましょう。 これこそスモールベースボールの究極と言えます。
   1アウトを犠牲に、1つ進塁させる。 その行為が1点をもぎ取る事に繋がる。
   非常に重要な技術です。 津山さん、再び打席へ。 ランナーにはザコプロくんが入って下さい」

睦月「はい!」

走者ザコプロ「はーい」

良子「須賀くんは当然、バントをさせないように意識をしてください。 とはいえ、警戒しすぎて四球を出すというのはご法度ですよ」

京太郎「ええ、注意します」

………
……


【バント判定】
・セーフティバントの際はランナー1塁の際のバントの判定表を使った後、捕手の守備力+30-打者の走力でアウト。
・ランナー1塁の際のバント→コンマ70以下で成功、71以上で失敗。
・ランナー2塁の際のバント→コンマ50以下で成功、51以上で失敗。
・ランナー3塁の際のスクイズ→コンマ40以下で成功、41以上で失敗。

・走者が2人以上いる際は、1番前にいるランナーの塁を適用。判定されるのは1番前にいるランナー。

↓1 ランナー1塁。 コンマ70以下で成功、71以上で失敗。

説明が抜けてしまっていたので1個だけ細く。

【投手の体力推移】
29以下→球威・変化-10。制球1段階下降。
19以下→球威・変化-20。制球2段階下降。
9以下→球威・変化-30。制球3段階下降。
0→球威・変化-50。制球5段階下降。

となります。ひとまずこれでチュートリアルは終了です。
野球にはもっと色んな要素があるので取り入れないと駄目とは思いますが、極力システムを簡易化する為なのでご理解いただければと思います。

>コンマ16 =バント成功

コンッ

京太郎「おうっふ……」

睦月「やたっ!」

バントをさせないようにと強い速球を投げた京太郎だったが、これに上手く睦月が合わせて一塁方向へと転がす。
正にお手本のような綺麗なバントに投球後すぐにダッシュしていた京太郎が慌てて捕球したところで、2塁には間に合わず。
捕手のザコプロからは1塁へ!との声がかかり転送。
結果、睦月自身はアウトになるものの犠牲バントを華麗に決められてしまう。

睦月「すごい、すごい……あんなに早いボールを綺麗に1球でバントに出来た!!」

京太郎「(そして凄く喜んでる……)」

アウトになったにも関わらず、ガッツポーズを取っている睦月。
相変わらず美穂子たちは何故アウトになって喜んでいるのかわかっていない様子だが、
京太郎としてはバントを決めるという事が当然のような風潮になりつつ、かといってそう簡単なものではないという事もある程度は理解している。
少なくとも、単なる女子高校生があっさりと決められるものではない。

京太郎「(単純に決められただけでも嬉しいだろうに、ベイスターズファン……ってだけでなく、野球ファンだからな。
     そりゃ嬉しいか)」

京太郎「凄いですね津山さん、完敗ですよ」

睦月「う、うむ? いや、ううん、そんなことないよ。 実際の打席勝負では私は負けたんだしね。
   須賀くんも、本当に頼りになりそう。 ううん、なるよ!」

京太郎「だといいんですけどね」

睦月「勝てる……勝てるんだ……」

喜色に染まった顔を綻ばせながら、京太郎の前でぼそりと呟く睦月。
勝つ――その言葉を聞いて、京太郎は逡巡をする。

京太郎「(勝つかぁ……津山さんは、やっぱり、凄くやる気に満ちてるんだな。
     でも……)」

はっきり言って、京太郎としてはここまで流されてきた形である。
負けるよりは勝つ方がずっといい、かといって、絶対に試合に勝ちたいという程勝利に貪欲な訳でもない。
睦月の言葉を聞いて、そんな中途半端な思考をしていた京太郎は少しばかり居心地が悪くなってしまうのだが……。

良子「グゥレイト。 エクセレント。 素晴らしいものを見せてもらいました。
   須賀くん、津山さん、お疲れ様です。 ザコプロさんたちも、今日はもう上がりましょう。
   そろそろ日が暮れますからね」

霞「あらあら、本当……」

そこで声をかけてきた良子たちの言う通り、既に辺りは夕暮れ時。
このままライトをつけて体を動かす事も出来るだろうが、既にカードの効力などは十分理解できており。
また、色々と激動の1日を過ごしてきた事で京太郎の体も休息を求めている。
他の面々も異論はないらしく、そのままザコプロたちと別れて寮へと帰り着く一行。

京太郎は自室に戻ると着替えを済ませて部屋着になり、落ち着くのだが……。

京太郎「夕飯までちょっと手持無沙汰だな。 部屋を出てみようかな?」

【睦月、美穂子、やえ、霞、良子の中から選択】

↓1

戒能プロ

>戒能良子

京太郎「そうだな……折角だし出てみよう」

見知らぬ部屋の中の為に落ち着かないという事もあってか、部屋を出てうろちょろする京太郎。
と、そこへノートパソコンを持った良子とばったり鉢合わせをする。

良子「おや、須賀くんどうしました?」

京太郎「なんだか部屋にいても落ち着かなくて……えっと……」

良子「戒能プロでも良子さんでも監督でも好きなようにどうぞ?」

京太郎「……監督はどうしたんです? パソコンなんて持って」

良子「色々と管理者にはあるんですよ。 上に連絡したり情報を集めたり、などなどね」

思った以上にフランクな良子に動揺しながらも、受け答えをする京太郎。
それに対して良子は至って余裕たっぷりといった様子で……。
他のプロ勢に比べれば年齢的にも近しい筈なのに、京太郎としてはずいぶんと大人と子供との違いというものを感じさせられた気がする。

良子「どうせです。 このパソコンを部屋まで運んでくれませんか?」

京太郎「えぇっ!?」

良子「ああ、部屋と言っても私のプライベートルームではなく監督室です。 こちらですよ」

京太郎「アッハイ……」

どうせ暇をしていたのだし、何よりデスクトップ型のPCではなくノートパソコンなら運んだ所で負担がある訳でもない。
言われるままに監督室に向かい、良子の先導のもと中に入るとパソコンをテーブルの上に配置。
そのまま退室しようとしたところで……。

良子「ストップ。 まあそうあわてなくてもいいでしょう。 椅子にかけてください」

京太郎「えっ?」

良子「どうぞ」

呼び止められ、訳もわからないまま良子が座る対面に着席する事となる。

良子「メンバーとコミュニケーションをとるというのも、監督として必要な事ですからね。
   ディナーまで、少しばかりトークをしましょう」

京太郎「はぁ……」

良子「まずは今日はお疲れ様でした。 私の考えとしては、あなたはやはりうちのエースとしてスターター……。
   先発ピッチャーを務めてもらうつもりです」

京太郎「まあ、ほかには津山さんしかピッチャーのカード持ちがいませんし……俺はピッチャーしか出来ませんしね」

良子「ノー。 例え君が他のポジションが出来たとしても、スターターは君ですよ。 少なくとも、君の球威は非常にレベルが高い」

良子の言う通り、京太郎の球威――球威70は周囲に比べれば非常に高い数値である。
ザコプロが20、大体一般的なカード所有者の普通の値が40程度と考えれば、それより30高いとなれば十分過ぎる値だろう。
だが、それでも、あくまで球威が高い……というだけの話。

京太郎「他はなんというかこう、無難って感じですからねー」

良子「仕方有りません。 そこはカードの特性というものでしょうから」

球威だけで押せればいいが、そう簡単にいけば京太郎の持つカードの持ち主は今頃大エースだ。
いや、それ以外にも色々彼らには問題があるのだが。
ともかく、京太郎としてはそこまで楽観できる話ではない。
自然と、ネガティブな形に近い発言をし表情を曇らせ、苦笑交じりな表情へとなってしまう。

良子「………………」

良子「どうも君は自身を過小評価し過ぎなように思えますね」

京太郎「へ?」

良子「というか、覇気というものを一切感じません。 何故この企画に参加したのですか?」

あまりの京太郎の流され体質具合に 眉を潜めながらそう問いかける良子。
問われた京太郎としては、そもそも企画に参加する気など毛頭なかったのだが、
それを言っていいかどうか判断に困りつつ……。

良子「男の子ならハッキリものを言う! ハリー!!」

京太郎「は、はいっ!!」

急かされ、仕方なくといった様子で半ば久のだまし討ちのような形でこの企画に参加したと説明。
それを聞かされると良子は呆れた様子半分、同情半分の様子を見せつつも、それでも毅然とした態度でこう言う。

良子「なるほど、理解はしました。 が……既に決まった事です。 来てしまった以上、そしてチーム分けがされた以上は、
   君には我がチームのエースとして頑張って貰わなければなりません」

京太郎「………………」

良子「……わかりますか? 言っている意味が?」

京太郎「?」

良子「あなたの力がこのチームには必要だという事です」

京太郎「……俺がですか?」

良子「イエス」

京太郎「でも、俺以上のカードを持ってる人だっていくらでもいるでしょうし」

良子「しかし、君以上のカードを持っているピッチャーは……少なくともこのチームにはいませんよ」

頼られている、という実感は――まだ京太郎には沸かなかった。
そこまで野球に対する、企画に対する熱も無ければこのチームに対する愛着も無い。
綺麗な人が沢山いるから少しくらいいい所を見せられたらいいな、という程度だ。
どうせやるなら勝てれば勿論いいが、負けてしまっても、それはそれで仕方ないという割り切りもある。

そんな京太郎の心情を察したのか、良子は溜息を一つ吐き続ける。

良子「企画には流れで参加した為に意志も目的も無い。
   おまけに何故だか争い事に対して勝利してやろうという覇気も無い」

京太郎「………………」

良子「野球も麻雀も同じです。 重要なのは、メンタルです。 それではいけませんよ」

京太郎「意外です。 麻雀も、メンタルが重要なんですか?」

良子「オフコース。 あなたの所の原村さんはともかく、人間、欲などの感情に左右されるのは必然です。
   大きなものを振り込んで戦意を喪失する、怯えてしまい上がれるものを上がらない。
   それはメンタルによるものです」

京太郎「………………」

良子「須賀くん、君はこのカードじゃ勝てない。 自分じゃ勝てない。 どうせ駄目だ。 そう考えてしまってはいませんか?」

良子「それはバッド。 非常に情けない、負け犬根性です」

四球・・・暴投・・・押し出し・・・ ウッ頭が

京太郎「……!!」

負け犬、と言われて、思わず京太郎の体がカッと熱くなる。
そこまで言われて何も感じないという事が無い程には、まだ、京太郎の心は死んでいないようだった。

良子「ふむ……いい顔です」

良子「須賀くん、何でも構いません。
   何かをしようという意思か、成し遂げようという目的か、はたまた貪欲なまでに勝利を求める覇気か」

良子「君は、見つけるべきです。 このチームの為にも、君の為にも」

京太郎「……俺は」

1.このチームのエースになろうという意思
2.清澄メンバーに勝ちたいという目的
3.誰でもいいからとにかく勝ちたいという覇気
4.とにかくみんなにいい所を見せたいという下心

↓1

>1.このチームのエースになろうという意思

エース、と呼ばれる者がいる。
麻雀の世界では点を稼ぎ、リードを保ち、周囲と差を広げる役職に掲げられるその称号。
しかし、野球においては似て非なる。野球のエースは、点を稼がない。相手に稼がせない者をエースと呼ぶ。

だが、どちらも、京太郎からしてみれば雲の上のような存在だ。
野球のエースはテレビで見るだけ。
麻雀のエースは、京太郎の傍にいた。近くにいた。
しかし、手を伸ばして届いても、実際にはもっと遠くにいるかのようにまるで存在を遠く感じる。
自分だけが、その場から置いて行かれたかのような感覚に、少なからず――京太郎はインターハイに出場した頃より感じていた。

京太郎「俺でもエースになれますか?」

良子「オフコース」

もしも、もしも、自分がそれでもエースになれるというのなら。

麻雀ではない、お遊びかもしれない、ただの宣伝用の企画かもしれない。

それでも、チームのエースとなれるのなら。

京太郎「(それに俺は……なってみたい!)」

周囲が化け物揃いで、被害妄想かもしれないが疎外感に苛まれ、いつの間にか達観したかのように、感情を置き去りにしてきた京太郎。
この時、ようやく彼は覚悟を決めた。
闘う覚悟を。

良子「トゥモロー イズ アナザー デイ」

そんな京太郎に、良子はフッ、と笑いながら声をかける。

良子「明日は明日の風が吹く。 昨日の君は、今日の君は――しかし、明日の君と同じではない」

良子「頑張りましょう、須賀くん」

京太郎「はい!!」

………
……


それからしばらく。

京太郎「なんだかすみません、色々と情けない所を見せたというか相談をしてしまったというか」

良子「ノー、気にする事はありません。 これも監督のお仕事ですからね」

やたらと熱くなってしまった事に少々気恥ずかしさを感じる京太郎に対し、手を振ってなんでもないと答える良子。
むしろ良子の方が色々と初対面にも関わらず京太郎に踏み込んだ事を聞いていたような気もしないでもないが、
まるで恥ずかしげな様子を見せないのはそういう性格なのか。

良子「何よりこうやって相談を聞いたりするって、自分が大人っぽくなったみたいで嬉しいじゃありませんか。フフッ」

京太郎「(ウインクが様になるなぁ……っていうか可愛い)」

単純に後者だったらしい。

良子「それに、やるからには勝ちを目指すというのも本当ですからね。君にはなんとかやる気を出して欲しかった」

京太郎「大丈夫です、ここからは俺の意志でチームの為に頑張りますよ」

良子「グッド。 ワンフォーオール、オールフォーワンですね」

京太郎「……それはラグビーじゃないですかね」

頼りになって、ポジティブで、可愛くて、だけどどこか抜けてそうな監督。
激動の1日の最後に彼女の素顔を少しだけ知れただけでも、京太郎としてはこの企画に参加して悪くなかったのかもしれない。

>>122
戸柱カードの霞さんが暴投に関しては体でしっかり止めてくれると思います……多分。

安価は無いですが一旦ここまでです。
明日は休みなので、少し早めに開始出来たらと思います。


エースばんてふの後継者になれるのか


野球詳しそうなのは大阪勢かな?

乙です


参加できなかったけどこれは面白そう

乙です
やっぱりやえさん筒香で良かった気がする
其の方がムッキーもテンション上がると思いましたし
さて文面の中で優希ちゃんとはるるのチームメイトに江口さんが居ると思われますが
彼女は関西の球団出身の選手を引き当てられたのでしょうか?
T岡田はやえさんに取られましたし
イチローは洋榎姉さんっぽいし
誰なんでしょう?

乙です

>>74
取り敢えず連書きすみません

大人組の
「代打!私(orはやり)」
が無いならやっぱり戒能プロを監督側に置くのは勿体無い様な気がしますね
高校生達とそんなに年の差が有るわけでも有りませんし
そう言えば今回監督役は何人居ます?
咲-Saki-シリーズの大人組の人数を考えると今の12球団の監督のカードだけでは足りないと思うのですが
代表監督や元監督も居たりするんでしょうか?
因みに咲-Saki-シリーズの大人組と言われる面々は…
プロ…瑞原はやり、小鍛治健夜、野依理沙、藤田靖子、三尋木咏、戒能良子(ラミレス)
監督&コーチ…須田山悦子、熊倉トシ、愛宕雅枝、貝瀬麗華、比与森楓、アレクサンドラ・ヴィントハイム、赤阪郁乃、赤土晴絵、久保貴子
不明…善野一美、石飛閑無、高橋千代子、丹波奈緒子、稲村杏果、白築慕、渡辺流音、ハギヨシ、宇野沢栞
辺りですが(まだまだ居ます!)
どう成りますかね?

>>128
乙ありです。ばんてふの後継者は色々いながら色々消えていきましたから、京太郎がここからなれるかどうかはコンマと安価次第?
>>129
乙ありです。大阪勢以外にも特定球団ファンや詳しい人とかも設定してました。
>>130 >>133
乙ありです。
>>131
乙ありです。楽しんでもらえるようにかけたらいいなと思います。
>>132>>134
乙ありです。
誰が誰のカードを持ってるかなどについては後々判明という感じにします。
また、監督枠については勿体ないかとも思いますが、一応はこのままで。
監督の所有カードについても、必ずしも監督経験者ばかりという事ではなく、経験の無いOBや現役選手を持っていたりする事もあります。
逆に選手として参加する雀士が現在の監督のカードを持ってる事もありますね。

もうちょっとしてから再開します。

その後、夕食の準備が出来たという事で京太郎と良子は揃って食堂へ。
食卓には既にほかのメンバーも揃っており、京太郎たちは遅くなった事を謝罪しながらも席につく。

京太郎「すみません、遅くなって。 いい匂いですね」

良子「カレーですね」

睦月「青星寮といえばカレーですからね! ハーフサイズは500円、レギュラーで800円、選手盛りで1200円っです!」フンス

やえ「選手盛り?」

京太郎「大盛りの事じゃないですかね」

食卓には皿に盛られたカレーが置かれており、付け合わせにはサラダ。
食欲をそそる匂いに口の中に涎が充満するのを感じつつ、そういえばと京太郎は口にする。

京太郎「これって誰が作ったんです? 調理師さんとかはいないみたいですけど……」

この寮の中には他のスタッフというものが存在していない。
よってこのカレーを誰が作ったのかという疑問も当然であるのだが。

美穂子「私と石戸さんと津山さんで……」

霞「とはいっても、私は殆ど何もしてないのだけどね」

睦月「私はレタスを千切っただけだし……」

返ってきたのは、なんとチームメイトである彼女たち自身が作ったという言葉。

京太郎「それは……すみません、俺も手伝えればよかったんですけど」

美穂子「ふふ、気にしないで。 料理は嫌いじゃないし、石戸さん達も手伝ってくれたから……。
    それより口に合わなかったらごめんなさいね」

京太郎「いやいや! そんな事はありえないですよ!!(福路さん達の手料理とかそれこそ金払ってでも食べたいレベルだし)」

良子「折角作っていただいたものです。 暖かい内に食べましょう。 では手を合わせて」

「「「「「「いただきます」」」」」」

匂いも良かったが、実際に食べてみても美穂子たちの作ったカレーは絶品だった。
練習から帰ってきてそれほど煮込む時間が無かっただろうに程よく味は熟成されており、スプーンもよく進む。

京太郎「でもそうか……他に人がいないから、少なくとも食事とかは自分たちで用意しないといけないんですね」

家事全般、洗濯については自室にそれぞれ洗濯機がある為に各々で処理が出来る。
掃除にしても同様――まあ寮で生活をする以上は寮全体の掃除も必要だろうが、1ヵ月しか過ごさないのならそう苦でもないだろう。
最悪、しなかろうとも、不便や不衛生はあるだろうが支障をきたす訳でもない。
ただ、食事については困る。食事を取らなければ一般生活を過ごす事などまずもって不可能だ。

良子「当番制としましょう。 朝昼夜、それぞれ数人で料理を作ってもらいます。
   丁度現在6人いるのですから、それぞれで分担もできますね」

睦月「うむ……それがよさそうですね」

美穂子「ふふ、なんだか合宿みたいで楽しいですね」

霞「洋食は苦手だけれど、和食なら……」

京太郎「(タコスは作れるようになったけど他の料理は特段得意って訳じゃないからなぁ……まぁ、頑張るしかないか)
    そういえば、小走さんは料理はどうなんです?」

先ほど美穂子たちを手伝った訳でもない。おまけにここまでの流れで会話に入ってきていないやえ。
話を振れば、やえは食事の手を止めて何故か自信満々に宣言する。

やえ「お見せしよう。 王者の目玉焼きとスクランブルエッグと卵かけごはんを!!」

京太郎「小走さんはなるべく料理の得意な人と一緒に作ってもらう方向でいってもらった方がいいんじゃないですかね」

良子「コレステロールが高まりそうなメニューですからね……」

あまり料理が得意な訳ではないらしい。

その後食事も終わり、京太郎が淹れたお茶(調理を手伝えなかった為にせめてもと京太郎自身が志願した結果)を啜りつつ、
一同は明日以降の予定について話し合う。

やえ「ところで監督、明日からはどうすればいい? 具体的な指針が欲しい」

良子「バスの中で言ったように、基本は自由ですよ。練習についてもザコプロさん方が手伝ってもらえますから全員が揃う必要はそこまでありません。
   出かけるのも練習をするのも、各人の判断にお任せします」

霞「完全に自由でいいのかしら?」

良子「練習にしたって強制はしませんからね。楽しんで、そして勝てるよう、頑張りましょう」

【日常パートの説明】
1日のスケジュールは朝2回・昼2回・夜1回。
朝、昼で会話・練習・お出かけ、対戦相手が決まってからは偵察も可能。
夜は会話をするか、知り合った人物に電話をかける事が出来る。

・会話
チームメイトと交流して好感度を上げる。
好感度を上げる事で能力値・スキル解放などが出来る。

・練習
チームメイトと練習をして経験値を貯める。
育成システムは経験値を貯めてスキルを得る方向。能力値の上昇は無し。

・お出かけ
朝・昼のみに可能。外出してチームメイト以外と知り合う・遊ぶ事が出来る。
チームメイトを誘って外出する事も出来るが一定の好感度が無いと断られる事もある。
一度でかけると夜まで帰ってくる事は出来ない。

・偵察
対戦チームの練習を偵察に行く。
偵察する事により対戦チーム所属選手の所有カード、能力などを確認、場合によっては対策なども出来る。

好感度判定

出たコンマの一桁が初期好感度

↓1 睦月(長野勢+5補正)
↓2 美穂子(長野勢+5補正)
↓3 やえ(バスとかで構ったので+2補正)
↓4 霞
↓5 良子(決意表明+3補正)

人いないから連投いいですかね?

>>141
連投は10分くらいの感覚でおkです。

好感度
睦月   9
美穂子 13
やえ  11
霞    0
良子   4

となりました。

食事が終わったところで、京太郎は1人食堂に残ったままこれからどう過ごそうか考える。

京太郎「(これから共同生活する訳だしもうちょっと誰かと交流しておいた方がいいかな。
     それとも清澄のみんなに電話でもしておくか……?
     みんな無事か、っていうのも変だけど結局離れ離れになって寂しいし……さて)」

[夜行動]

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲】

↓1 交流or電話する相手

>咲

京太郎「(やっぱり不安だし咲に電話しておくか)」

食堂から引き揚げて自室に戻った京太郎は、咲の携帯へと電話をする。
麻雀以外はポンコツであり、いまいち携帯の使い方もわかっていなかった咲だが、
全国大会が終わってからは持っていた方が楽だろうという周囲の説得と本人の努力もあって携帯を購入し連絡を取れるようになっていた。
……悲しい事にお年寄り用のらくらくフォンで、おまけにそれすらも使いこなせているとは言えないありさまだったが。

プルル プルル

咲『も、もしもし京ちゃん!?』

京太郎「おう!? ど、どうした咲」

電話をかけるとすぐさま繋がり、耳元に響いたのは聞きなれた幼馴染の大声。
思わず京太郎は驚きながらもどうしたのかと問いかけるが、電話先の彼女の声色は多少なりと怒気を含んでいる。

咲『どうしたじゃないよ! 電話遅いよ! 結局同じチームになれなかったし!!』

京太郎「いや電話するって約束してた訳じゃないし、チームに関しても俺の責任じゃねーだろ!?
    っていうか、電話なら咲の方からかけてくりゃいいじゃねーか」

咲『それはその……』

京太郎「……まさかかかって来た時は通話ボタン押して電話出来るけど、自分からかけるのは電話帳の開き方わからなくて出来なかったとか言わないよな?」

咲『ちっ、違うよ!! ダイヤルならかけられるし……京ちゃんの番号が覚えにくいのが悪いんだもん!』

京太郎「酷い責任転嫁だな。まあ悪かったよ、ごめんごめん」

使いこなせていないというレベルの話ではない咲のポンコツぶりだが、京太郎としては慣れたものである。
これ以上お姫様の機嫌が悪くならない内に、軽い調子で謝罪を口にする。

京太郎「でもその様子だと俺とだけじゃなくて他の清澄のみんなとも同じチームにならなかったのか?」

咲『うん……だからすごく怖くて。 ホテルを出る時に、和ちゃんとは会えたんだけどね』

京太郎「そっか。 俺は優希と会ったな、あいつはお前と違ってもう仲のいい奴見つけてたみたいだけど」

咲『うぅ……』

少なくとも、ここまでの時点で清澄1年生カルテットは全員がバラバラのチームに所属している事が判明した。
この様子ではまこと久に関しても同様だろうと思いつつ、京太郎はへこんでいる様子の咲に問いかける。

京太郎「…………」

1.「いい機会だしお前も友達くらい見つけておけよ。1ヵ月もここで過ごすんだからさ」
2.「和の様子はどうだった? あいつもまあ……結構勘違いされやすいような性格してるし苦労してそうだけど」
3.「何かあったら電話かけてこいよ。 手元にメモあるか?」

↓1

>3.「何かあったら電話かけてこいよ。 手元にメモあるか?」

咲『! う、うんっ! ちょ、ちょっと待ってね……わたっ!?』バタンッ

京太郎「あわてなくていいぞー」

電話先でメモ帳と書くものを探しているのだろう、
恐らく座っていた所から飛び跳ねるように立ち上がった所で大きな衝撃音が聞こえてくる。
『コケたな……』と思いつつ、しばらく待ち、ようやく咲が探し当てた所で自身の電話番号を咲に伝える。
無論、メモミスが無いよう、復唱させる事も忘れない。

京太郎「電話帳に入ってるのにメモを見ながら電話をかけるなんて聞いた事ねーよ」

咲『で、でもメモと電話番号を登録する時に表示されてたメモリーってなんだか語感が似てるし』

京太郎「いや、全然関係ないから」

どこかズレた事を言う咲の言葉に苦笑しながら突っ込む。

京太郎「メモなくすなよ」

咲『大丈夫! 肌身離さず持っておくから!』

京太郎「落としそうだな」

咲『そんなことないもん! ……京ちゃんの方こそ大丈夫なの?』

京太郎「俺?」

咲『私も……不安は不安だけど。 でも、京ちゃんだって、多分男の人1人でしょ?
  知らない人達ばっかりだし……』

コミュニケーション能力自体は、京太郎本人としては人並み程度にあると認識している。
少なくとも、今会話をしているポンコツ幼馴染とは雲泥の差だろう。
だが、彼女の言うように見知らぬ女性陣と――しかも一つ屋根の下で生活をする事になったのだ。
不安を感じても仕方ないだろう、と咲が思うのも無理からぬ事ではある。

京太郎「おっどろいた。 咲に心配されるなんて明日は雪が降るな」

咲『茶化さないでよ、もう! だって、それだけ、女の人の中に男の人がいるってなんだか違和感みたいなのがあるし……。
  京ちゃんが苛められてないか私だって心配なんだよ!』

京太郎「………………」

1.「女ばっかの所にいたっていうなら麻雀部だってそうだったし、別に平気だぞ?」
2.「まあちょっと不安はあるかもな。 でも大丈夫だって」
3.「いやむしろ役得というかありがとうございますっていうか、綺麗な人ばっかりでさぁ」グヘヘ

↓1

>1.「女ばっかの所にいたっていうなら麻雀部だってそうだったし、別に平気だぞ?」

咲『……そう?』

京太郎「みんないい人だしな」

まだそこまで深く知り合った訳ではないが、美穂子と睦月とは一応顔見知りの為に会話もしやすく、
やえにしてもなんというかこう、面白い人な為に苦手意識は無い。
良子にも色々と相談をした結果打ち解けた気はしないでもなく……霞とは、あまり会話を交わせていないが、
それでもこちらの事を歓迎していないというような態度をしていたようには思えない。

京太郎「まぁお互い頑張ろうぜ。 野球も……日常生活の方もな」

咲『うん……。 私も、京ちゃんに負けないように頑張ってみる。 また電話してもいい?』

京太郎「さっき言ったろ、いつでもかけてこいって」

咲『ありがとう。 それじゃ、そろそろ切るね』

京太郎「おう、おやすみ」

咲『おやすみ』

プツッ

京太郎「ふぅ、やっぱり清澄のみんなとは組めなかったのか……。
    でも珍しく咲が頑張ってみるって言ってたんだし、大丈夫……だと思いたいな」

電話を切った後で、そうごちる京太郎。
予想通り仲間と一緒になれず落ち込んでいた咲だったが、電話を終える時には元の調子とはいかずとも多少前向きになれていたようだ。
少しでも不安を取り除けたなら幼馴染冥利に尽きるというものである。

京太郎「俺もさっさとシャワー浴びて寝ようかな。 明日も早いし、何より疲れた」

旅行の為に早起きをし、かと思えばいきなり野球をする事になり、清澄メンバーからは離れてチームを組まされ、
おまけに軽くではあるが実践形式で野球をさせられたのだ。
心身ともに疲れており、体は休息を求めている。
室内に取り付けられたユニットバスで体を清め、そのまま就寝。

京太郎「ふぁああ……ZZZ……」

やがて寝息を立てはじめ、こうして野球生活初日は終了をするのだった。

【咲の好感度が+4されました】
【咲好感度:??+4】

一旦ここでストップ。見直しをしてから、改めて京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞のステータスを張って日常パートに移行します。

ところで好感度が高いキャラと弾道を上げるパワプロおなじみのアレはできたりする?

咲さんのチームメイトに長野勢&インハイで卓を囲んだ面々(姉帯さん、末原さん、ネリーちゃん、爽さん、穏ちゃー、あわあわ&個人戦出場者)や面倒見の良いキャラは居ないって言う事ですね?
って言うか監督カードと選手カードを両方持って居るなら
「代打!私(orはやり)!」
は有りそうな気がしますが
如何でしょうかね?

>>158
軽いお色気的な感じはあるかもしれませんがR-18なものはちょっと書けないと思います。匂わす程度なら好感度やコンマ次第?
>>159
咲ちゃんが清澄以外の人にちょっとバリア張ってる感じですかね。
あと代打についてはやっぱり無しの方向なのです。
申し訳ないです。

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
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・須賀京太郎

右投げ両打ち 守備位置:投手

所有カード:三嶋一輝(De)、国吉佑樹(De)

球威70 変化40 制球E 体力60
巧打30 長打30 走力40 守備30

【国与四】
四球を出した際、次の打者を相手にするとき制球力1段階下降。

【???】
相手投手が【???】のカードを所有していた際、球威・変化+30。制球2段階上昇。

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・津山睦月

右投げ左打ち 守備位置:投手/外野手

所有カード:高崎健太郎(De)、乙坂智(De)

球威40 変化40 制球E 体力50
巧打30 長打50 走力50 守備30

【高さ危険太郎/低め安全花子】
試合開始前に判定。
出たコンマが偶数の場合投手時制球力一段階上昇、奇数の場合二段階下降。

【筋肉がエキサイトしている】
ツーベースヒット以上を打った以降の打席で長打力+20。

                      __
                    ´        ` 、 r―ァ
                     ' . : : : : : : : : : : : : : ヾ  /
                ′: /: : /:::::/i∧:::i:::: i::::::::く

                  |: : /: : : :/⌒ヽ:/}:::::ト::.. ハ::\
                V/:::i: ::f斧刈 / /⌒i:::::::::i }:::〉

     _rvヘ^ヽ         / ミ/|::::| " `    f斧/::::://::/
    比∧}く>'7     /::::::::/\:::ト  、 __ ` {::::イ-==く
.     人  _ノ     ヾ::::::/ ⌒ヾ 、      人⌒>:::::::}
   / __彡ヘ__ -==ニ¨¨ヽ\  `ー-y< ≧ニ=<
    ∨  _ 人   `ヽ       \:ヽ/^ヽ{ ∧ `≫
    ∨    /}          }:::r≠‐rァ=ミVi {{ r'^ヽ
      \         __,  /::八///⌒7/〈  { `ヽ ヘ
       \  _,. =-   Y^ヽ/::::::::::∨∧::{//>ハ f   /
                     |::::::i : : : : : ⌒~:::|。: : :::iヘ〉  ∧
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                    >ァ: : : : :::::::|。:::::八  \/  ヽ
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・小走やえ

左投げ左打ち 守備位置:外野手/一塁手

所有カード:T-岡田(Bs)

巧打40 長打70 走力30 守備20

【チャンスに強い】
得点圏にランナーがいる際、巧打力+10。

【王者の打ち筋】
第1打席の時のみ任意発動。読みが一致した際、巧打・長打+20。外した場合巧打・長打-20。

.          /                           ヽ
         /             ′              :.
.        /   ′i i i     i      i           :.
        ′   ′ i i ii  i  i i      i   i   i  :.
.        i    i   i i_」iLi _i  i i       i   i   i   :
.        i    i i i ´i i i i`  i i  ii i  _i_!_ ,′   i } i
        八 i ii i ii i { i !{  ii i  ii i  从  /`ヽ   i ′i
.           ヽ从小「八八八从__i从__ハノ__//ハ//   ノ ノ/ i |
.           ′|{   ___      x''丐ミメ、ヽィイl/   |
            ′   i ゞ=≠''      し':::::::::ハV/^   i  |
           ′   i :::.:.:.           r辷'゚シ′/     i  |
          ′    i       ,       ̄^` /     i |
          ′    人            :::.:.:  ///    i   |
       ,′  / / へ、    ‐ -         イ//    i  |
       ,′   / /  // ト .         .イ //      ii  |
       ,′    /  // /  }  ー   ´{ |//      jj   |
       ,′  / /  // /..斗ノ      ト .」.'/ / /        |
.     {{{ { i{  {>'" r{       ノ〉 `ヽ/ /        |
     r‐くく { i{  |     |ー-、     ,′  { {     //从ノ
    /`ヽ \ヽハ i |     |________,′   ヽヽ从///ヘ、

・福路美穂子

右投げ左打ち 守備位置:二塁手/遊撃手

所有カード:石川雄洋(De)

巧打60 長打30 走力60 守備40

【タケタケステップ】
守備位置が二塁手・遊撃手の時に発動。ダブルプレーを取れない。

【痛恨のミス】
守備時能力。
得点圏にランナーがいて投手側が勝利して打球方向が自身の守備位置に絡んでいた判定の際、
投手合計コンマの下1桁が7の際エラーで出塁される。

【サンキューキャップ】
守備時能力。
得点圏にランナーがいて打球方向が自身の守備位置に絡んでいた判定の際、
投手側合計コンマの下2桁が07・77の場合アウトにする。

【バントが上手い】
バント選択時、バント判定を+20する。

【開眼】
7回以降発動。全能力+10。

                ---
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         |::::::|::l:|::|八 !从{:::/:::/::::/--.l::::|::|:::|l::|
         |:::八从斧苧ミxl厶厶イ- 、从::::|:::|l::|
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         |:::: 人|l  、、     Vツ }/:::::::::/ ノ
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    リ  /     |:::〈   /   /         ,
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   \ \{::{`l≧====≦三三三三三l  |:::l:::| 〉

・石戸霞

右投げ左打ち 守備位置:捕手

所有カード:戸柱恭孝(De)

巧打30 長打30 走力30 守備50

【フレーミング】
捕手時能力。投手の制球判定を1段階上昇。

【体で止める】
捕手時能力。投手の変化力+10。

【苦手分野】
任意発動。守備時スキル・守備力-30して巧打・長打力+20。一度発動すると試合終了まで継続。

【『練習』選択時の育成システムについて】

・経験値制でpt毎にスキルを得る事が可能。
・1回の練習につき1,2,3、5の経験値を取得。
・キャラクターの所持可能スキルは6つまで、7つ以上取得すると付け替え制。ただしバッドスキルはつけ外し不可。
・サブポジションの習得も可能。習得には現在の守備位置数×3のポイントが必要。
・練習で選択できるのは京太郎を含むチームメイト全員です。仲間も一緒に鍛えていきましょう。
・[~発展形]と書かれているスキルはそこに書かれているスキルの上位互換。習得時に自動的に上書き。

京太郎スキル群
【バントが上手い】pt5
バント選択時、バント判定を+20する。

【高さを生かす】pt5
身長が149cm以下の打者を相手にした際、球威+20。

【集中力】pt5
任意発動。体力消費量2倍にして制球力2段階上昇。

【国与四除去】pt5

睦月スキル群
【高さ危険太郎除去】pt5

【横浜愛】pt10
試合に出場中の横浜所属カードを持った選手の数×3、全能力上昇。

【意外性】pt5
打順が6~9番、ビハインド時に発動。巧打力+20、長打力+20。

【ピンチに強い】pt5
得点圏にランナーを背負った際発動。球威・変化+10。

やえスキル群
【フルスイング】pt5
任意発動。巧打力-20、長打力+30。

【ノーステップ打法】pt5
読みを外した際の巧打マイナス補正を2/3にする。

【ここで決める乙女】pt5[チャンスに強い発展形]
得点圏にランナーがいる際、巧打力+20。

【4番の一振り】pt5
4番に置いている時のみ発動。得点圏にランナーを置いた際、長打力+20。

美穂子スキル群
【タケタケステップ除去】pt5

【痛恨のミス除去】pt5

【忍者走塁】pt5
タッチアップ判定時走力+30。ホームへのタッチアップ時、-10以内での敗北の場合勝利で扱う。

【バントがとても上手い】pt5
バント選択時、バント判定を+40する。[バントが上手い発展形]

霞スキル群
【円熟したフレーミング】pt5
捕手時能力。投手の制球判定を1段階上昇。[フレーミング発展形]

【高速スローイング】pt5
捕手時能力。ランナーが盗塁した際守備力+10。

【意外性】pt5
打順が6~9番、ビハインド時に発動。巧打力+20、長打力+20。

【いぶし銀】
7回以降の同点・2点差以内のビハインドの際巧打力+20。

日常パート 1日目

京太郎「ふぅー、すっかり熟睡してたな」

ぐっすりと睡眠をとり、むくりと起き上がる京太郎。
目を開けた時は見慣れぬ部屋に少しばかり違和感を覚えたが、意識が覚醒してくるにつれてここがチームの寮だった事を思い出す。

京太郎「いよいよ今日から本格始動だな。
    さてと、まずは何をしようかな」

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>2.練習

京太郎「そうだな。やっぱりまずは練習だ。 勝つ為にも練習しないとな」

なんだかんだあって、昨日、このチームのエースになると決意をした京太郎。
とはいえ今のままでは不安があるというのも事実であり、その為にも練習をして今より強くなる必要があるだろうとやる気を見せる。
顔を洗って着替えを済ませ、昨日決まった食事当番――良子と共に簡単な朝食の準備をし、食べ終え、サブグラウンドへと向かう。

京太郎「さてと……」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>美穂子

京太郎「もう福路さんと津山さんも来てたんですね」

美穂子「おはよう須賀くん」

睦月「うむ、おはよう。 朝食の前に軽く練習をと思ってね」

京太郎がグラウンドに到着した時には、既に美穂子たちが練習をしていた。
やる気に満ち満ちていた睦月はともかく、美穂子が朝一でここに来ていた事に驚くのだが、
当の美穂子は微笑みながら口を開く。

美穂子「私だって勝負をするなら勝ちたいもの。 それに、私はあまり野球に詳しくないのだから……。
    人一倍練習して、勉強しなくっちゃね」

普段の穏やかな様子からは想像することも難しいが、彼女も強豪風越のキャプテンとなった雀士。
麻雀ではなくとも勝負事には熱い一面を持っており、京太郎はその事に意外に思いながらも同時に頼もしく思う。

美穂子「だから野球に詳しい津山さんに協力してもらって練習していたの」

京太郎「凄いですね。 俺もやる気はあったつもりですけど、遅れちゃって」

美穂子「仕方ないわ、食事当番だったのだもの。 ご飯は後でいただくわね、あと少しで切りあげるから」

京太郎「そうですか……あっ、それじゃあ俺も手伝いますよ」

美穂子「いいの?」

京太郎「勿論です!」

睦月「うむ。 ザコプロさん達にも協力してもらってるとはいえ、須賀くんにも手伝ってもらった方が確かに効率はいいね。
   福路さん、お言葉に甘えましょう」

美穂子「そう……それじゃあお願いしていいかしら?」

京太郎「はい!」

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>ゾロ目 経験値5

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。

美穂子ステータス>>165
美穂子新規習得可能スキル群>>169

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【タケタケステップ除去】
2.【痛恨のミス除去】
3.【忍者走塁】
4.【バントがとても上手い】

↓1

安価連取とかは決めてなかったですね。
あまり人のいないスレですので、>>1の書き込みから10分経過してついてなかったらあり。
コンマ判定についても同じ感じででいいでしょうか。

>1.【タケタケステップ除去】

福路美穂子は大変頭のよろしい少女である。
その麻雀のスタイルからしても、相手をよく観察し場を読み有利な状況を作るもの。
直感だけではなく、それを処理する頭脳もなければ到底出来るものではない。

そんな彼女は昨日の夜、監督である良子から受け取った小学生向けの野球のルールを書かれた本を読み勉強。
最低限、必要とされるであろう知識だけは身に着けた。

また、睦月に手伝ってもらい、先のように早朝特守にも励んだ。
自身が持っているカードは守備の要と言われている二遊間の選手のもの。
ノックを打ってもらい、最初はおっかなびっくりではあったが、徐々にボールに慣れてゆく。
京太郎が来てからもそれは続き、少なくともここまでで野球など未経験なようには思えない程に、
ボールを捕球する事に関しては上達をしていく。

ボールを捕球する事に関して、だけは。

カンッ パシッ!

美穂子「…………」タケタケタケ

美穂子「えいっ!」ビュッ!

京太郎「(なんだあのステップ……)」

捕球をした後、謎のステップを踏んでから1塁へと投げる美穂子。
それはほんの数秒の事だが、当然ながらその数秒が野球の世界では重要。
足の速いものならば、あの数秒が命取りとなりアウトに出来るものもセーフになってしまうだろう。

睦月「石川と同じ動きだね」

京太郎「そうなんですか?」

睦月「あれは石川の肩の弱さと送球の不安定さをカバーする為に彼がそれを補う形で行う動作だよ」

京太郎「(……なんで内野手やってるんだろう)」

口には出さなかったが、そう京太郎が思ってしまうのも無理はない。
しかし困った。
このチームのエースとなる、と宣言をした京太郎だったが全てのアウトを三振で取れるとは思っていない。
出塁だって許すだろうし、失点だってするだろう。打たれない投手などいないのだ。
そんな時に頼りたいのが守備陣だが、美穂子の様子を見る限りでは少なくとも彼女のいる守備位置に飛んだ場合ゲッツーなどは取れそうにない。
思わずため息を吐きたくなる京太郎だったが……。

美穂子「………………」

もう一度言う、福路美穂子は大変頭のよろしい少女である。
彼女はある程度のルールを把握する事により、野球にはダブルプレーと呼ばれるプレーがあるという事を知った。
それがランナーを背負った投手の助けになるという意味でも、相手チームの勢いを削ぐという意味でも、
非常に重要なものであるという事も把握した。

美穂子「(だけどどう考えても今のままじゃ時間をロスする分それが出来ないのよね。 なら……)」

カンッ パシッ

美穂子「(難しい姿勢だけどこの角度からなら届く!)」ビュッ

京太郎「おおっ!」

睦月「ええっ!?」

結果、彼女は頭を捻りだしなんとかステップを踏まずに送球動作に入るよう努力をした。
どの角度で投げ、どのような姿勢で投げ、どの程度の力加減で投げれば送球が安定するか、届くか。
捕球した後のボールの握りまでも様々な考察をし、見事に『石川の弱肩と不安定な送球能力』でステップを踏まずにスローイングする事に成功する。

京太郎「上手いですよ福路さん! 今のは取ってからが早かった!」

美穂子「ありがとう、須賀くん。 今の感覚を忘れない内に、もうちょっとやってみたいの。 いいかしら?」グッ

京太郎「か……勿論です! 津山さん、ほら」

睦月「う、うむ!(つまり石川も頑張ればあのステップを踏まずに投げられる?)」

先ほどまでとは比べ物にならない守備に京太郎が賞賛の声を上げると、美穂子は小さくガッツポーズをとりながら練習を続ける旨を伝える。
その仕草に思わず可愛いと言いそうになりながらも、京太郎と睦月は美穂子の練習に付き合うのだった。
なお美穂子が送球を改善出来たのは彼女の頭脳があった為であり、睦月の考えは的外れである模様。


※【タケタケステップ】が除去されました。
※新たに美穂子の新スキル候補が増えました。
 【勝利の輝き】pt5
初回、1番打者として出場した際に発動。その回のみ巧打・走力+20。

京太郎「いやー、福路さんは凄いな。 カードの力があるとはいえあんなに早く順応できるなんて。
    おまけにいい人だし、胸もでかいし、料理も上手いし、胸もでかいし、欠点が無いんじゃないか」

美穂子と睦月が朝食を取る為に寮に戻った後、彼女たちがいない前で思わずそんな独り言をつぶやく京太郎。
今まで彼の中でお嫁さんにしたい女の子最上位だった和に迫る勢いで京太郎の中では美穂子の株が急上昇中である。
無論、彼女たちに相手にされる訳もないけどと内心京太郎は思うのだが。

京太郎「さてと、昼まで時間はあるし俺はどうしようかな」

朝行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>1.会話(チームメイトと交流します)

京太郎「1人で練習も寂しいもんな……一旦寮に俺も帰ろう。 お昼もそろそろだし」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

本日は一旦ここで終わりにします。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。

乙です


ところでみんなの持ってるカードって現役選手のみなの?


久々に登板した三嶋がフルボッコにされてて笑った

乙です

>>190 >>193
乙ありです。
>>191
乙ありです。
現役・OB関わらず持ってます。といっても基本はOBでも近代で引退した選手が多めになってますが。
>>192
乙ありです。
球速があまり出ていなかったみたいで、なんとかもうちょっと頑張って欲しいですね。

もうちょっとしたら開始します。

>霞

霞「ふぅ……」

京太郎「? どうしたんですか、石戸さん?」

霞「あら、須賀くん。 おかえりなさい、練習に行っていたのね」

寮に帰り着いた京太郎は、玄関口で物憂げな様子で溜息を吐く霞を発見。
思わず声をかけた所で霞は苦笑を浮かべて挨拶をし、その手に持った携帯電話を翳す。

霞「少し永水のみんなと電話をしていてね……小蒔ちゃんが、やっぱり誰とも同じチームにはならなかったみたいだったから」

京太郎「小蒔さん……あー」

言われて思い出すのは、清澄2回戦の先鋒戦。
清澄の誇る東場だけは最強のタコス娘が囲んだ卓の中にいた、神代小蒔の姿。
控室で清澄麻雀部一同と共に観戦していた京太郎は、霞にこそ劣るものの和クラスは間違いなくあるものとして、
彼女の姿はしっかりと目に焼き付けていた。
無論、霞の前では到底言えない事だが。

霞「1人で心細くしてないかしら……」ソワソワ

京太郎「失礼ですけど、そんなに不安なんですか? ……まぁ、俺も似たような知り合いがいますけど」

霞「とてもいい子なんだけど、ちょっと浮世離れしているというか、世間慣れしていないというか……」ソワソワ

京太郎「(常に巫女服着てるような石戸さんが言うくらいだからよっぽどなのか、神代さん……)」

詳しく小蒔の事を知らない京太郎としてはそこまで心配するような事ではないのではないかと思うが、
霞にとってはどうやら大事らしい。
そわそわと体を揺するたびに巨大な胸がぷるぷる震えるのをなんとか見ないようにと努力しつつ(見なかったとは言ってない)。
京太郎は思わず疑問を口にする。

京太郎「そんなに不安ならなんでこの企画に参加したんです?
    全国から沢山の雀士が集められててランダムに分けられるなら、同じチームになれない可能性の方が高いじゃないですか」

霞「そうなのだけど……当の小蒔ちゃんと、それに巴ちゃんが凄く乗り気で。
  それにご当主様もやけにノリノリで……」

京太郎「ご当主様?」

霞「ああ、そうね……小蒔ちゃんのお父様よ」

曰く、今回の企画には霞が心配をする小蒔とその父親。
更には同じ麻雀部であった狩宿巴の強い意志もあり、全員を巻き込んでの参加だったようである。

霞「小蒔ちゃんの意志はなるべく尊重したかったけれど、やっぱり危険すぎるわ。
  もしも何かあったりしたら……」ソワソワ

京太郎「………………」

1.「石戸さんも言ってるじゃないですか、神代さんはいい子だって。俺はよく知らないですけど、それなら今頃新しい友達を作れてるんじゃないですか?」
2.「確かに不安ですね……さっきも言いましたけど俺も知り合いに似たようなのいますから」
3.「なんでその神代さんや狩宿さんは乗り気だったんですかね?」

↓1

>1.「石戸さんも言ってるじゃないですか、神代さんはいい子だって。俺はよく知らないですけど、それなら今頃新しい友達を作れてるんじゃないですか?」

霞「……そうかしら?」

京太郎「そうですよ」

詳しい事情はわからないが、ともかくとして、不安がっている霞を不安がらせるような事を言う訳にもいかない。
なるべく彼女を安心させることが出来るよう、京太郎は言葉を選びつつ、なんとかプラス思考になれるようにと言葉を紡ぐ。

京太郎「さっきも言いましたけど清澄にも似たような奴がいるんですよ。石戸さんも知ってる奴です」

霞「……もしかして宮永さん?」

京太郎「ええ、まあ。 卓を囲んだ時はわからなかったかもしれないですけど、あいつは結構人見知りが激しくて。
    正直俺もあいつをこんな企画に参加させて大丈夫かって思って昨日の内に電話したんですけどね」

京太郎「(悪い咲、ちょっとお前のイメージ崩すかもしれない)」

内心謝りながら、麻雀から離れた所の幼馴染の性格を説明する京太郎。
しかしこれも目の前にいる少女の心の負担を多少なりと和らげる為である。

京太郎「確かに不安がってましたけど、でも、頑張るって言ってくれてました。
    あいつにとってもいい機会だったんじゃないかなって、俺はちょっと思えてます」

無論、不安はある。不安はあるが、これが切っ掛けで咲の人見知りも幾分かは改善されるかもしれない。
そう考えればこの企画も悪いものではないのか、とは京太郎もある程度は思えるようにはなっていた。

霞「そう……」

京太郎「勿論、石戸さんと俺とじゃ事情とかも違うでしょうし比較にはならないかもしれないですけど」

霞「ううん、ありがとう。 少し気が楽になったわ。 励ましてくれようとしたのよね? ふふ……」

京太郎「い、いえ……(おおう、笑うと胸が揺れる揺れる……)」

霞「………………」

くすりと笑いながら、京太郎に感謝の意を伝える霞。
手を口に当て、上品に笑うのだが、どうしても京太郎の視線は笑った振動で揺れる霞の胸に行ってしまう。
仕方がない、男の性である。

京太郎「(っと、いかんいかん……あんまり凝視してたら嫌われちまう。ここは次の話を振って……)」

京太郎「で、でも石戸さんは本当に神代さんが大切なんですね。 凄く心配していて」

霞「あら、それなら須賀くんにとっての宮永さんもかしら?」

京太郎「いやいや、アイツはただの腐れ縁ですよ」

同じことを咲に聞いたなら、恐らくは京太郎のように返すに違いない。
そう思いながらバッサリと切り捨てると、霞はやはり笑いながら続ける。

霞「仲がいいのね。 ……そうね、私と小蒔ちゃん。 というより永水のみんなは、みんな親戚のようなものだから」

京太郎「そうなんですか? 珍しいというかなんというか……」

霞「それで、特に私と小蒔ちゃんの家は近しいからね」

京太郎「なるほど……つまり」

1.「石戸さんはお母さんみたいな存在なんですね」
2.「石戸さんはお姉さんみたいな存在なんですね」
3.「石戸さんはお婆ちゃんみたいな存在なんですね」

↓1

>2.「石戸さんはお姉さんみたいな存在なんですね」

霞「ふふ、小蒔ちゃんがそう思ってくれてるならいいんだけどね」

京太郎「いやいや、石戸さんみたいなお姉さんなら誰だって欲しいですよ!」

胸が大きくて、母性があって、胸があって、優しげで、胸があって。
土下座すれば姉になってくれるのなら、喜んで京太郎は土下座するだろう。

霞「あら? これでも私、結構厳しいのよ。 イタズラしたり悪い事をしたらおやつを抜いたりしちゃうんだから」

京太郎「(それくらいで厳しいのレベルなのか……)」

謙遜する訳でもなく、恐らくは大真面目に言っているのであろう霞の『厳しい罰』のあまりの可愛さに、
悶絶しそうになる京太郎。

霞「でも本当にありがとう、須賀くん。 小蒔ちゃんのお姉さんとして、もうちょっと小蒔ちゃんを信じてみるわ」

京太郎「大した事はしてませんよ」

霞「ううん、本当に気が楽になったから。 それじゃあ、お昼は私が当番だから行ってくるわね」

京太郎「はい」

京太郎「(良かった、元気になってくれたみたいだ。 しかもお昼は石戸さんの担当かぁ。
     思えば、美人な方々の手料理を毎日食べられるなんて贅沢な生活だなぁ)」

………

霞「(不安は不安だけれど……須賀くんの言うように、これもいい機会だと思うしかないわね……まだちょっと難しいけど。
   それでもそう思えるよう努力しましょう)」

霞「(それにしても、思ったより真面目でいい子ね……)」

霞「(髪の色とか、視線とか……まだちょっと警戒してしまいがちだけど。 でも、悪い子ではないのかしら……)」

※霞の好感度が+4されました。
※霞の好感度が4になりました。

昼行動2回目(1/2)

京太郎「さて、お昼時だな。 次は何をしようかな」

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1



>2.練習

京太郎「うん、練習をしよう」

良子「やる気十分ですね。 ベリーグッドです」

霞「須賀くん、おかわりはいかが?」

京太郎「あ、いただきます! すみません」

こうして霞の作った昼食を食べつつ、京太郎は練習する事にするのだった。

京太郎「ところで小走さんは何を手伝ったんです?」

やえ「ふっ、聞いて驚け。 卵を割ったぞ!!」フンス

京太郎「(なんでこんなに自信満々なんだろう……)」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>やえ

やえ「須賀、私も行くぞ!」

京太郎「それじゃ一緒に行きましょうか(この人もやる気はあるんだよなぁ。 野球殆ど知らないみたいだけど)」

昼食を終えてグラウンドに移動しようとしたところで、ユニフォームに着替えたやえが声をかけてくる。
特に断る事もなし、むしろ一緒に練習できるなら歓迎したいくらいだった為に2人は揃ってグラウンドへ。
グラウンドに到着するなり、やえは持参したバットを持って素振りをする――ではなく。

やえ「この練習は楽しいぞ、須賀!」ポヨポヨ

京太郎「ああもう、それはそうやって使うんじゃ……いや、合ってるのか? ともかく危ないから降りてください」

バランスボールに乗ってぽよぽよするやえ。
呆れながらも、落ちたら危険だからとそんなやえを止め、2人は練習内容について相談する。

京太郎「とりあえず準備運動をしてからランニング、それから詳しい事を決めましょう」

やえ「ふっ、ニワカめ。 基礎は走り込み、投げ込みというのは前時代的な練習方法らしいぞ。
   練習とはもっと効率的にやるべきだ」

京太郎「(こういう知識はあるのか)投げ込みも走るのも基礎中の基礎ですよ。勿論限度はありますけど。
    ペースは合わせますから、行きましょう」

やえ「仕方がない、基礎を盤石にしてこその王者だからな。 付き合ってやるとしよう」

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>ゾロ目 経験値5

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。
>>177では忘れてましたが一旦保留する事も可能です(サブポジ習得とかあるので)

やえステータス>>164
やえ新規習得可能スキル群>>169

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【フルスイング】
2.【ノーステップ打法】
3.【ここで決める乙女】[チャンスに強い発展形]
4.【4番の一振り】
5.保留

↓1

>4.【4番の一振り】

すったもんだもありながら、それでもやえは真面目に練習をこなした。
少しばかり(?)自信過剰で、ちょっと(??)知ったかぶりをするような所も見られるが、
しっかりとなすべきことは為す性格をしているらしいと京太郎は認識を改める。

京太郎「(まあそうでもないと全国に個人で出場できる訳ないか。 晩成高校って地元じゃ超強豪校らしいし、そこの部長らしいし)」

やえ「ん、どうした須賀? 何か顔についているか?」

京太郎「あ、いえ、それより小走さん凄いやる気ですね」

やえ「ふふん、当然だ。 私がこのチームの4番になるんだろう?」

しかし、野球を知らないにも関わらず溢れんばかりの熱意には正直疑問が起こる。
京太郎がその事について問いかけると、やはりやえはどこか自慢げに声を張った。

やえ「無論、監督やキャプテンである石戸がオーダーなどは決めるんだろうがお前も津山も私のカードをホームランバッターと言っていただろう。
   なら4番は私だ。 そして4番は1番凄い選手だ、そうだろう?」

京太郎「まあ……(そういう認識で間違いはないかな? 実際、うちで1番頼りになる打者は小走さんだし)」

少なくとも京太郎がオーダーを仮想しても、やえは4番。
主力選手が少ない為に初回に回ってくるようにする為に3番に置くという手もあるかもしれないが、
まず間違いなく中軸を打たされるのは確定だろう。

やえ「そのような者が手を抜けるか。 王者は常に王者らしく強くなければならん」

京太郎「凄いですね……」

やえ「試合では見せてやろう、この王者の打ちしゅじというものをな!!」

京太郎「(肝心な所で噛んでるけど……)」

野球に詳しくない者でも、4番という位置がどれだけ重要なものであるか知っている。
そんな訳でやえとしても、やる気に満ち満ちていたらしい。

京太郎「(でもやる気になってくれてるのはありがたい事だ。 俺も頑張ろう)
    よし、それじゃあ早速実戦形式でやってみましょうか!」

やえ「いいだろう、よし!」スッ

京太郎「……小走さん、バット、持つ所逆です。 それ持ちにくいでしょう」

やえ「…………」

やえ「今のは須賀を試したまでだ。 さぁ、やるぞ須賀!」

しかし、やはり、どこか間が抜けているように思えるやえになんとも言えない気持ちになりつつ。
こうして京太郎たちは練習に励むのだった。

※やえが【4番の一振り】を習得しました。
※新規スキルはまだ解放条件を満たしていません。

昼行動2回目(2/2)

京太郎「ちょっと変な人だけど小走さんも悪い人じゃないよな……ちょっと変だけど。
    さて、次は何をしようか」

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

連取安価ですが、10分経って他のレスも無いので、そのまま進行します。

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「まだまだ練習するか」

美穂子ややえの練習での動きを見て、
自分もまだまだ頑張らなければと気合を入れる京太郎は再び練習する事にした。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>京太郎

やえ「須賀、練習するのか。なら私もまだ付き合うぞ」

京太郎「い、いたんですか小走さん!?」

やえ「ちょっと席をはずしていただけだ」

京太郎「(よかった、変な人とか言ったのは聞かれてないみたいだな……)」ホッ

流石に聞かれてしまっていたら気まずいというレベルの話ではない。
その事に安堵をしつつも、京太郎は気を取り直して再びやえと共に練習に取り組み始めた。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>65 経験値2

ビュッ! ズバンッ!!

やえ「むう……」

京太郎「っし!」

再び実戦形式でやえを相手に投球をする京太郎。
多少ボールが散ろうとも球威でゴリ押しするそのスタイルに、先ほどの練習では好調だったやえもあまり打ち返す事は出来ないのだが……。

ズバンッ ズバンッ

やえ「…………」

京太郎「ス、ストライクが入らねぇ……」

が、それもしばらくすると、やがて京太郎の投げるボールがゾーンに入らないという弱点が発覚する。
何のことはない。
先ほどまではボールに目が慣れておらず、また、あまり野球を知らないが為にとりあえず振っていたやえが、
少しずつボール球は見逃すという事を覚え始めただけである。
それでもやえとしても多少なりと振ってしまうのだが、それ以上に大きく外れるボールが多すぎる。
今のままでも十分通用はするかもしれないが、京太郎としてはしっくりこない。

京太郎「うーん……」

やえ「須賀、そろそろ日も暮れる。 今日はここまでにしよう」

京太郎「でも、なんだか小走さんや福路さんみたいに成果が出てる気がしなくて……」

やえ「ニワカめ。 練習をしてすぐに成果が出る事を期待するな。 表にはすぐに出なくても、今日の事は糧になる。
   あまり根を詰め過ぎてもいかんぞ」

京太郎「そうですね……そうします」

京太郎「(うん……別に成果は表に出ていないだけで、少なくともあれだけ調子の良かった小走さんを抑える事も出来てたんだ。
     焦っちゃ駄目だな……)」

成果が出ていない為にもっと練習がしたいと言う京太郎と、それを諌めるやえ。
最終的には京太郎の方が折れ、しっかりと投球後の処理をした後に寮へと揃って帰宅をした。

寮に帰り着いた京太郎は着替えを済ませ、シャワーを浴びて食堂へ。
今日の夕食もまた美穂子の手料理であり、至福の時を過ごした京太郎は自室で今日の疲れを取っていた。

京太郎「いや~、しかしやっぱり福路さんの料理は美味いなぁ。
    石戸さんのも美味かったし、本当にそれだけでもこの企画に参加出来た価値がある!」

そこだけは久に感謝してもいいのかもしれないと思いつつ、京太郎は携帯に視線を向ける。
表示されている時間は、まだ寝るには少し早い時間帯だ。

京太郎「まだ時間はあるな。 何かしようか」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲】

↓1 交流or電話する相手

電話の前に和の初期好感度判定
コンマ1桁+部員仲間補正で15

↓1(部員仲間+15)

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
今日もご参加ありがとうございました。それでは。

>>228-230
乙ありです。
もう少ししたら開始します。

>和

京太郎「そうだな、和にでも電話しておくか。 あいつも咲とは違った方向で色々心配だし」

咲は極端な人見知りだが、和はなんというかこう、非常に面倒な性格である。
非常に真面目で堅物で、かと思えば負けず嫌いで、おまけに多少世間知らずな面も散見する。
果たして清澄麻雀部から離れてやっていけてるのかと京太郎が不安に駆られるのも仕方ないものであり、
携帯の電話帳を開いて京太郎は和へとコールをする。

プルル プルル

和『もしもし……須賀くんですか?』

京太郎「ああ」

和『何かありましたか?』

京太郎「そうじゃないけど、ちょっとそっちの様子が気になってさ」

思った以上に早く通話状態になった辺り、和の方もそこまで忙しい状況ではなかったのか。
いずれにせよ、京太郎は1日ぶりに耳にした清澄のアイドルの声を耳にしながら、口を開く。

京太郎「どうだ、そっちは? 合宿と言うべきか、なんというか……色々と巻き込まれちまったけど」

和『そうですね。 環境の変化に少し戸惑いはありますけど、なんとかやれてると思いますよ。
  知人とも同じチームになれましたしね』

京太郎「そうなのか? 和の知人っていうと……」

和『ええ、阿知賀にいた頃にいた友人です』

転勤族である親を持ち、子供の頃から転校をしてきた和。
そんな彼女が高校生になり、インターハイという全国の舞台で小学生時代過ごした奈良に残した友人たちと再会をしたというのは、
京太郎も耳にしていた。
……悲しいというべきか無常とも言うべきか、全国団体戦決勝の舞台では和は旧友と直接対決をする事は出来なかったらしいが。

京太郎「ならやりやすいだろ。 昔馴染みがいるっていうならそれだけで気が楽だ」

和『ええ、そうですね。 それに他の方々も悪い人はいませんし……騒がしい方はいますが』

京太郎「ならこっちとしても安心だよ」

和『? 私としては須賀くんの方が心配なんですけどね……他校の方に失礼を働いていたりはしませんよね?』

京太郎「ひでーなぁ、和はそんな奴だと思ってたのかよ。 ちゃんとやれてるって。
    (まあ多少なりと福路さんや石戸さんの胸を見ちゃう所はあるけど、気づかれてないだろうし)」

無論、気づかれている。

和『ならいいんですけれど……。 ただ、その様子を聞く限り須賀くんの方も清澄の方々とは同じチームではないんですよね?』

京太郎「ああ、綺麗にバラバラだ。 昨日咲に電話した時にも思ったけど、多分これは全員バラバラになってそうだな。
    少なくともここまで和と俺、咲と優希までは違うチームなのが確定だ」

和『後は部長と染谷先輩が同じチーム、という組み合わせだけがあり得る形ですけれど確率的には低いでしょう』

京太郎「まあ、完全にランダムでチームが決まる形だから仕方ないけど……」

1.「和に毎日会えないのは寂しいな」
2.「なんだか清澄のみんなと会えないのは寂しいな」
3.「これもいい機会かな。 他校の人と仲良くなるっていうさ」

↓1

>3.「これもいい機会かな。 他校の人と仲良くなるっていうさ」

どうやってこの企画に参加したか、もとい強制的に近い形で参加をさせられたかはともかく。
ポジティブに考えれば、この企画は他校と交流を深めるいい機会である。
全国優勝を果たした清澄とはいえ、その部員の数は6人。女子限定ならば5人。
久が卒業をし抜ける事を考えれば来年にはこのままいけば4人になるのが明らかであり、
幾らかは『全国優勝校』として新入部員もあるとおもえてもそれでもまだまだ歴史が浅い弱小部である事に違いない。
そんな弱小部である事を考えれば他校と交流を図り人脈を作っておくというのも悪くはない筈であり、
京太郎がそれを口にすると通話先にいる和も同意を示す。

和『そうですね。 多少なりと懇意になれれば、恐らくは来年度からは全国優勝という肩書もありますから部としての予算も出るでしょう。
  長野内だけでなく、他県の高校とも合同合宿や練習試合を組める筈です。
  その事を考えれば、他校と交流を深めるのは大切な事ですね』

京太郎「そっちの方もやっぱりチームメイトは全員高校はバラバラなのか?」

和『ええ。 ただ、うまくまとまっていますよ。 少々強引ですが引っ張っていくタイプの方がいますので』

京太郎「ふーん……(引っ張っていく……多分上級生だろうから2年か3年かな)」

ともかく、ここまで話した事で感じたのは和としてはそこまで清澄と離れても苦痛という程ではないという事だろう。
咲と割と近しいレベルで心配していた京太郎としては少々拍子抜けだが、
さりとて苦労をしていないというのならそれは喜ばしい事である。

が、それとは別の疑問が不意に京太郎の心中に浮上し思わず口に出た。

京太郎「そういや親御さんの方は大丈夫だったのか? いきなり家に1ヵ月近く帰らない事になったんだし。
    おまけに学校に通わない事になったのに」

父親を弁護士に、母親を検事に持ち、お嬢様として育てられた和。
インターハイが終わってから聞かされた事であるが、全国優勝が出来なければ転勤の都合で再び転校をする。
麻雀が将来何の役に立つ、友人が何の役に立つと言われた程にまで色々と石頭な親を持っているらしく、
京太郎としては果たしてそんな両親がこの企画に参加することに了承してくれたのかと不思議で仕方ない。

京太郎としては、親が放任主義という事もあってか電話一本ですぐさま解決したのだが。

和『ああ、それが私の父親が大の野球好きでして……』

京太郎「へ?」

和『それが、私の持ってるカードが父の好きな球団の選手だったらしくてですね。
  二つ返事で了承されましたよ』

京太郎「……いいのかそれで」

疑問があっさりと溶けてしまい、いいのやら悪いのやら。

和『むしろ現実の選手に負けないくらい頑張れと言われましたね』

京太郎「なんというか……凄い親父さんだな」

和『弁護士という職業柄堅く見られますけど、割と、子供っぽくて頑固なんですよ』

京太郎「(そういう所は和に似てる……と思っても言わない方がいいんだろうな)」

京太郎「まあ、それならそれこそ心配はなくなったよ」

和『須賀くんにそこまで心配される程の義理は無いと思いますけど……』

京太郎「そう言うなって、同じ麻雀部の仲間だろ?」

和『それは勿論。 でも、そうですね、ありがとうございます』

色々話を聞いた結果、少なくとも、和に関してはそこまで心配はいらないらしい。
チームメイトにも昔馴染みがおり、懸念であった少しお堅い親御さんもむしろ応援するレベル。
後は和自身だが、彼女自身、やはり頑固な所があるものの悪い奴ではない事は京太郎としても知っている。
むしろその頑固さは真面目さや真摯さと言い換える事が出来るものだ。

京太郎「なぁ和」

和『はい?』

1.「どうせだ。麻雀では勝てないかもしれないけど、野球ではお前に勝って見せるぞ!」
2.「もしも当たったらお手柔らかにな」
3.「麻雀ではまだお前に勝てないけど、まずは野球でお前に勝って見せるぜ!」

↓1

>3.「麻雀ではまだお前に勝てないけど、まずは野球でお前に勝って見せるぜ!」

和『…………』

京太郎「あ、あれ?」

心配がいらないなった以上、同じ高校の麻雀部だったとはいえ、今の和は己の敵である。
もしも対戦する事になったなら、必ず勝って見せると。
そして、そのうえで、今はまだ雲を掴むような話であるがいずれは麻雀でも勝って見せると強気に宣言する京太郎。
自分自身としては精いっぱい『キメた』つもりであったが、聞こえてくるのは沈黙。
思わず外してしまったかと情けない声が出た所で……。

和『ふふっ……』

京太郎「ちょっ、和!?」

和『ごめんなさい、バカにしたつもりはないんですよ!?』

京太郎「本当かよ……」

和『本当です!』

不意に届いたのは微かな笑い声。
京太郎としては笑われた事に憤慨半分、情けなさ半分といった形で感じ入るのだが、
和は慌てたように謝罪をしながら続ける。

和『と、ともかく。 須賀くんがそのつもりでも、私だってそう簡単に負けるつもりはありません』

京太郎「……ところで和って野球詳しかったっけ?」

和『……今はルールブックを読み込んでいます』

京太郎「(和の場合本当に小学生向けの本とかじゃなく、審判とかが持ってるようなルールブック読んでそうで怖い)」

見るからにお嬢様で、実際にお嬢様で、蝶よ花よと育てられた和。
親が特定球団のファンといっても、それに興味も無かったのかどうなのか。
ともかく、彼女自身はまるで野球について詳しく無かった。

それでも、この企画に参加をした以上。
頑固な程に負けず嫌いな彼女としては、そう簡単に負けたくはない。
例えその競技がどれだけ知らない野球であっても、である。

和『話を聞くに、私のカードは相当な名プレイヤーらしいですから。 それに、私自身も野球が出来るよう努力します。
  須賀くんにだって負けません』

京太郎「誰のカード持ってるか教えてくれたりしない?」

和『敵に塩を送りませんよ』

京太郎「ちぇ……まあいいや。 俺だって、さっき言ったように負けるつもりは毛頭ないからな!」

無論、まだお互いに対戦する事が決まった訳ではない。
しかし、もしも当たった時は互いに全力を賭して戦う――この時、京太郎と和は互いにそう思っていた。

和『こちらこそ。 では、もう遅いのでこの辺で……』

京太郎「ああ、悪かったな急に電話して」

和『電話は急に鳴るものですよ。 それじゃあ』

ピッ

京太郎「ふぅ……やっぱり、和は和だな。 麻雀以外でも、とにかく負けず嫌いだ。
    ……でも、負ける訳にはいかないな。 あんだけ啖呵切ったんだ、これで勝てなきゃ恰好悪いにも程がある」

こうして和との電話を終えた所で、京太郎は布団に横たわり天井を見上げた。
咲にしろ、和にしろ、程度の差はあれ清澄から離れても頑張っている。
昨日、今日と電話をしてみて、それがよくわかった。

京太郎「俺も頑張らないとな。 よし、その為にも!」

今日の事は今日の事。トゥモロー イズ アナザー デイ。
明日からを頑張る為に、布団に潜り英気を養う京太郎であった。

………
……


ピッ

和「ふふっ……」

一方、京太郎との電話を終えた和は微笑みながら切られた携帯を見つめていた。

和「(麻雀では、『まだ』勝てない……ですか。 ……やる気を失った訳では、無いんですね)」

京太郎が口にした言葉、麻雀ではまだ勝てないかもしれない、でも、野球では勝って見せる。
互いに言葉を交わした中で2人が集中的に焦点を当てたのは後者だったが、
それを聞いた時、和が何よりうれしかったのは前者――麻雀ではまだ勝てない、と言った事だった。

和「(まだ、というのは……つまり、将来的には勝とうと思っている事。 これからもまた、強くなろうとしているという事)」

それがこの上なく、和としては嬉しかった。

全国優勝という偉業を成し遂げた清澄、その中で、京太郎だけが雀力が低い。
はじめてまだ数か月程度の初心者。
全国に向けての合間を見つけて、和たちも幾らか指導をした事もあるが、
それでも自分たちの練習を優先させたり京太郎に雑用のような事をさせた事もあって彼の力は伸び悩んでいる。

もしかしたら、このままやる気を失くして退部をしてしまうのではないか。
和はそう考えた事もある。

周りとのレベル差を感じて、初心者が部活動をやめてしまう事など、幾らでもある。

だが、京太郎は――少なくとも、今はまだ、強くなろうという意思を口にしていた。
やる気はあった。気概はあった。
高校生活をはじめて数か月程度、短い期間とはいえそれでも小さな部を共に過ごしてきた仲間である。
気恥ずかしくて到底言えないが、もしも彼がこのままやる気を失い退部していってしまっていたら、
1人の麻雀を愛する少女としても、同じ部活動の仲間としても和としては悲しい事だった。

しかし、先の発言を聞く限り、今の京太郎にはその気持ちは無さそうである。

?「和ー、って……どうしたの? 何か嬉しそうな顔してるけど?」

和「ああ……いえ、なんでもありません。 それより何かありましたか?」

ホッと安堵をしていた所で、部屋に入ってきたのは旧友である。
何かあったかと問うと見れば、旧友は肩を竦めながらドアの外を指し示す。

?「なんか監督が話あるみたい、ミーティングよ。 話って言っても、何話してるかわかんないんだけどさ」

和「わかりました。 行きましょうか」

思考を切り替え、部屋を出る和。

和「(いずれ戦う時があれば、私も負けませんよ須賀くん。 持てる力を持って、全力で戦うのみです)」

※和の好感度が+3されました。
※和の好感度が21になりました。

日常パート 2日目

そして翌日。
この日もぐっすりと寝た京太郎は、顔を洗って身支度を整えて朝の時間の行動を考える。

京太郎「この生活も2日目か。 いや、初日を含めれば3日目か?
    ともかく、まだまだ先は長いな。 さて朝はどうしようか」

朝行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、練習に行くか!」

昨日の和への電話の件もあってか、それとも自分の練習がやえや美穂子程の成果を出せなかった事もあってか。
京太郎は朝食を後回しにして軽く動く為にグラウンドへ。

京太郎「……っていっても1人じゃ練習するにも」

ザコプロ「お前1人じゃないぜ!」

京太郎「ザ、ザコプロさん!」

ザコプロ「俺もいるぜ!」

ザコプロ「お前たちにいい恰好させるかよ」

ザコプロ「コーホー」

京太郎「こ、これが友情パワーか」

こうしていつもグラウンドにいるザコプロ10人の力を借りて、京太郎は練習に励むのだった。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

すみません。誰の練習か決めてませんでした。ちょっとやり直しでいきます。申し訳ないです。

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、練習に行くか!」

昨日の和への電話の件もあってか、それとも自分の練習がやえや美穂子程の成果を出せなかった事もあってか。
京太郎は朝食を後回しにして軽く動く為にグラウンドへ向かう。

京太郎「誰かいるかな?」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>京太郎

ザコプロ「お前1人じゃないぜ!」

京太郎「ザ、ザコプロさん!」

ザコプロ「俺もいるぜ!」

ザコプロ「お前たちにいい恰好させるかよ」

ザコプロ「コーホー」

京太郎「(なんかデジャヴ……)」

ザコプロ「正々堂々練習をしよう!」(プロテクター取り付け

ザコプロ「カピラリア光線をくらえ!」

ザコプロ「私はオメガケンタウルス星からきたザコプロ」

ザコプロ「パオーン」

京太郎「なんか増えた!?」

こうして色々と増えた気がしたザコプロたちと共に、京太郎は練習に励んだ。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>53 経験値2
>京太郎合計経験値4

入念にストレッチをし、ランニングをこなしてから、簡易ブルペンで投げ込む京太郎。
ミットにボールがさく裂する心地いい音がこだまし、キャッチャーを務めるザコプロは『ナイスボール!』と声をかける。
しかし、京太郎本人としてはやはり納得がいかない。

京太郎「なんかどうしても思い通りにボールが行かないなぁ」

とにかく、ボールが外れるのである。
投手カードを2枚持つ京太郎だが、その2枚ともが制球に課題しかないと言われている2人という事もあるのだろう。
渾身の力を込めたボールは時たますっぽ抜け、あらぬ方向に行ってしまう。

ブルペン捕手ザコプロ「何いってんだよ、このくらいなら球威でどんどん押していけるって。
           福路さんだってほら……守備がよくなったんだし」
京太郎「そうですかね?」
ブルペン捕手ザコプロ「それに俺なんかじゃなく石戸さんも捕手としてはレベル高そうだからな。
           お前がいない時にグラウンドに来てたけど、ありゃ相当だぞ。
           俺なんかよりよっぽどお前を上手くリードしてくれるって」

どうにも納得がいかない京太郎を、捕手を務めていたザコプロが諭す。
実際、彼の言うように制球が定まらなくても京太郎の球威は十分過ぎる程に高く。
また、捕手としての技量の高い霞がリードをすればもっと上手く実践ではやれる筈だと説く。

京太郎「(石戸さんにリードかぁ……)」ポワポワポワ

………

京太郎「い、石戸さん……実は俺はじめてで……」

霞「いいのよ、須賀くん。 全部私に任せて」

京太郎「石戸さん……」

霞「私がリードするから……ね?」

………

京太郎「うへへへ……」

ブルペン捕手ザコプロ「おお、もう……」

しかし、京太郎は霞がリードしてくれると聞いて、
それはもう口には出せないような妄想をしてしまう。
不幸中の幸いは、そんな京太郎の情けないというかだらしないというか到底人に見せられない顔をザコプロにしか見せなかった事だろうか。

なお、見せつけられたザコプロは絶句するしかなかったもよう。

ブルペン捕手ザコプロ「いい加減現実に戻ってこい!」

京太郎「ハッ!」

ブルペン捕手ザコプロ「よかったな須賀、今の顔をもし女性陣に見られていたらドン引きで済めばいいレベルだったぞ」

京太郎「そんなにだらしない顔してました?」

ブルペン捕手ザコプロ「ああ、そりゃもう。 通報するレベル」

京太郎「(これからは気を付けよう……少なくともみんながいる前では)」

いつまでも妄想をしている京太郎を叩き、正気に戻してくれたザコプロに感謝しつつ、
京太郎は気を取り直して次の行動について考える。

京太郎「さて次はどうしようかな……」

朝行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「この煩悩を鎮める為には、遮二無二練習するしかない!」

少し朝食を取る為に寮に帰る事も考えたが、今の邪な思考を打破する為にはとにかく練習に打ち込むしかないと考えた京太郎。
これを聞いてザコプロたちも思わずニッコリである。

京太郎「よーし、それじゃあ……!」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>睦月

睦月「あれ、須賀くん?」

京太郎「あ、津山さん」

気合を入れ直した所でグラウンドに現れたのは睦月。
ユニフォームに着替え、背に燦然と輝くのは『THUYAMA』の背ネームと『33』――睦月の持つ野手のカードの背番号である。
因みに、当人曰く、『22』番――これは投手のユニフォームもあるらしいのだが、こちらは一昨日の顔合わせの時にも着ていない。
恐らくは、京太郎を配慮しての事だろう。

睦月「早いね。 私も結構早めに来たつもりだったけど……」

京太郎「俺は朝食取らずに来ましたから」

睦月「そっか。 でも、あんまり無理のし過ぎはよくないよ」

京太郎「津山さんだって昨日は福路さんに付き合って朝も取らずに練習してたじゃないですか……。
    まあ、区切りがついたら俺も飯は食いますよ」

睦月「うむ、それがいい」

エースになろうとする京太郎に、とにもかくにも横浜愛が強く人一倍気合が入っている睦月。
互いにやる気は十分だが、無理のし過ぎは、オーバーワークは決していい結果を生むとは限らない。
睦月が注意をすると京太郎は苦笑をしつつ、了承をしながらひとまずは区切りがつくまではと言う。

京太郎「ストレッチが終わったら練習に付き合ってくれませんか? どうせですから、そっちの方が効率いいでしょう」

睦月「うむ、こっちこそ願ったりかなったりだよ。 それじゃあちょっと待っててくれるかな?」

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>01 経験値1

軽いストレッチを終え、準備を整えた後、やはり実戦形式で練習を開始する京太郎と睦月。
打席に入る睦月を相手に、渾身のストレート(なおすっぽ抜けも多いもよう)をお見舞いする京太郎だったが……。

<~♪

睦月「…………」ブツブツ

京太郎「(なんかまたぶつぶつ言ってる……)」

睦月「おぉ~ よこはまぁ~のほぉこり~ むねにだぁーいてぇー みちをぉー きりひぃーらーけぇー にーこぉー……」

京太郎「おお、もう……」

打席に入った睦月は、その横にスマホを置いて音楽を流しつつ構えを取る。
そのスマホから流れてくる音声は、彼女の持つカードの選手の応援歌。
むしろよく個人選手の応援歌をスマホに入れていたなと思いながら京太郎は投げ続けるが、
いまいち集中しきれていない様子の睦月はやはり手ごたえが無い様子である。

睦月「これじゃ道を切り開けない……」ガックリ

京太郎「というかなんで応援歌を流すんですか! いらないでしょどう考えても、今の!」

睦月「そんなことないよ! 応援歌は選手を鼓舞する歌なんだよ!? 力になるんだよ!」

京太郎「でも実際力になってないじゃないですか……」

睦月「それは私の力があまりに不足していただけだよ……」

ガクッと肩を落とす京太郎に、更にガクッと肩を落とす睦月。
ともかく、こうして朝の練習は終了をするのだった。

その後、2人揃って寮に戻り、京太郎は当番制の通りに昼食を作る。
とはいえ、メニューは簡単なものだ。
朝に男性である京太郎が食べなかった為、そして昨日の夕食時に多く炊きすぎて残ってしまったご飯を具材と炒めて作ったチャーハン。

京太郎「すみません、こんな簡単なものしかできなくて」

霞「いいえ、むしろ新鮮で……美味しいわよ?」

美穂子「ええ、石戸さんの言う通りだわ。 それに新しい発見もあるし」

京太郎「発見?」

美穂子「ふふ、ちくわやかまぼこをチャーハンには、うちでは入れないから」

京太郎「なるほど……」

正直簡単なものと言うにも簡単なものを作りすぎて申し訳なさを感じる京太郎であったが、
料理上手トップ2の2人に肯定されてはぐうの音も出ない。

良子「ところで小走さんは何をしたんです?」

やえ「ふふっ、なんとこの私は今回も卵を割ったぞ!」ドヤヤァ

京太郎「(むしろ仕事を与えられて助かりました)」

今回組む事になってしまったやえに、卵を割るという役割を与えられたのは京太郎としては自画自賛したくなるほどのファインプレーである。
他の事をやらせていたら、最悪大けがをしていたかもしれない。具材を包丁で切るとか。

ともかく、こうしてにぎやかかつ和やかに昼食の場は過ぎて行った。

京太郎「さて、朝昼兼用の飯を食って準備万端だな。
    次は何をするかな……」

昼行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>1.会話(チームメイトと交流します)

京太郎「そうだな、飯食ってすぐに動くのもなんだし少しゆっくりしよう」

そう考えた京太郎は、そのまま洗い物を済ませると食堂でのんびりするのだが……。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞・良子】から選択

↓1

会話で京太郎選んだらザコプロとの友情イベントが発生するのかな?

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
合いの手やご参加など、いつもありがとうございます。
明日は休みでちょっと早くはじめられると思うので、現在進行中の日が終わって次の日には対戦チームが決まるので、
対戦チームを決めるまで行けたらいいなと思っています。
先にも言いましたが、対戦チームは難易度別で分ける予定なので、また、対戦チーム次第では引き入れる事の出来るチームメイトも変わるので、
重要な安価になると思うので多数決などを考えています。
何票で、とかでいくと集まらない事もあると思うので、時間を区切っての投票で行こうと思います。よろしくお願いします。

>>270
転生選手!ではなく、コピペミスですごめんなさい。

改めましてお疲れ様でした。おやすみなさい。

乙です


のどっちかわいかったね

>>273-274
乙ありです。
>>275
乙ありです。なんとか可愛いように、かけたらいいとおもいますので励みになります。


もう少ししたら再開します。

>睦月

睦月「お疲れ様、須賀くん」コトッ

京太郎「あっ、ありがとうございます」

睦月「気にしないで、私の分も淹れるついでだったから」

洗い物を済ませてのんびりしている京太郎に、お茶を差し出す睦月。
礼を言いながら京太郎は一口啜り、ちらりと睦月に視線を向ける。
彼女もまた同じテーブルに座り、何やらカードを並べ始めていた。

睦月「うむ……うむ……」

京太郎「(これは……プロ麻雀カードか)」

京太郎「好きなんですか? 麻雀カード」

睦月「うむ! あ、もしよかったら煎餅もあるけどいる? 食べきれなくて」

京太郎「折角なんでもらいます」

丁度茶請けも欲しかった所で、京太郎は煎餅をパリパリ食べながら睦月がカードを並べている所を眺めていた。
どうやら整理をしているらしく、小脇にカードファイルを置きながら、ああでもないこうでもないと順番を入れ替えている。
京太郎としてはよくわからないが、当人には色々と拘りがあるのだろう。

京太郎「っていうか、なんでまたこの企画に持ってきてるんですか……」

睦月「うむ。 もしかしたらプロの雀士の人に会えるかもしれないと思ってサインしてもらおうと……。
   実際にほら、書いてもらったし」

京太郎「(あ、監督のカードだ)」

言いながら睦月が見せたのは良子のカード。
カードを保護する透明な袋(スリーブというらしい)に入ったそれを睦月は自慢げに見せる。

睦月「風越の文堂さんも持っていくって言っていたし、多分今頃は彼女も所属チームの監督のカードにサインしてもらってるだろうね」

京太郎「(文堂さん……えーっと、確か同じ1年生の人だっけ)
    でも監督は、引率役になるのは現役プロだけじゃなくて各校の監督やコーチもって言ってませんでしたっけ?」

睦月「うむ、その可能性もあるかもしれないね。 ……彼女、あまりカードの引き運がよくないとか言ってたし」

遠い目をしながら、あまりのダブりっぷりに消費者センターに電話しようとしていた文堂を想いしみじみとする睦月。

睦月「あ、そういえば今更だけどごめんねテーブル使っちゃって」

京太郎「別に構いませんよ。 それにもう終わる所じゃないですか」

睦月「いや、次はこっちがあるから」ドサッ

京太郎「……今度はプロ野球選手カードっすか」

あらかた整理も終わった所で、次に睦月が取り出したのはプロ野球選手カードである。
こちらもまた先ほどと同様、テーブルに並べ、うむうむ唸りながら整理整頓。
思わず呆れかけてしまう京太郎だったが、カードを手に取る睦月の表情は幸せそうで正に至福の時といったところだろう。
それに水を差す訳にもいかず、とはいえ暇だった京太郎は再び話を振ってみる。

1.「野球も麻雀も本当に好きなんですね」
2.「麻雀カードはともかく、野球カードはなんでまた持ってきたんですか?」
3.「もしかして風越の文堂さんも野球好きだったりするんですか?」

↓1

>3.「もしかして風越の文堂さんも野球好きだったりするんですか?」

不意に思いついたのは、先ほど話題に出てきた風越の文堂さん。
同じく麻雀カードをコレクションする者として、彼女と睦月は同好の士のようだが、
もしかしたら同じように野球ファンであるのかもしれない。
そう思った京太郎が質問をすると、睦月は首を縦に振って肯定をする。

睦月「贔屓球団は違うけどね。 私はベイスターズで、彼女はロッテみたいだから」

京太郎「ロ、ロッテ……ですか」

勿論、個人の趣味に対して京太郎がとやかく言う資格は無い。
そもそも長野に根付いている球団というのもないのだから、誰がどこを応援しようとそれは自由である。

京太郎「(でも何故ロッテ……)」

ファンの多い球団といえば、巨人、阪神、最近では広島辺りも増えている。
京太郎の周囲でも、クラスメイトのほぼ大多数はそのいずれかの3球団を贔屓としている者が多い。
そんな京太郎としては、目の前にいる睦月ともども、
あまり人気が無い――少なくとも前記した球団に比べればそうである球団を応援する彼女たちに困惑をしてしまう。

睦月「文堂さんもロッテのカード引けてるといいなぁ……」

京太郎「でもさっき引き運がよくないとか言ってませんでしたっけ」

睦月「うむ。 12球団の中から1つの球団のカードを引けるなんて余程運が無いと引けないだろうしね……。
   引けなくて落ち込んでないか少し心配だよ」

京太郎「仲がいいんですね」

睦月「鶴賀と風越じゃ距離が離れすぎていてアレだけど、時々カードを交換したりダブったカードを渡したり貰ったりしてるからね。
   それに、風越の方はレギュラーにはあんまり野球に詳しい人がいないみたいだから」

京太郎「(福路さんもそうだったしなぁ……)」

最近では○○女子などという単語が流行る程にはブームも来ているとはいえ、
やはりまだまだ野球は女性より男性の方がファンが多い。
特にこの企画に参加している雀士たちは揃いも揃って青春を麻雀に傾けた少女たちである。
あまり他の事に興味が無い、興味があっても触れる時間が無いというのも仕方のない事だ。

睦月「この企画で麻雀を五輪に……って話だけど、
   それを望むのと同じくらい私としては野球ファンが増えて欲しいと思ってるんだ」

そんな事を考えていた京太郎に、不意に睦月はぽつりとつぶやく。
カードを整理する手を止め、語る表情は真剣なものだ。
少なくとも、打席に入るたびに応援歌を歌っていた時とは比べ物にならない。

睦月「麻雀も野球も本当に楽しいからね。
   その楽しさを共有できる人が増えてくれれば嬉しいし、盛り上がれれば嬉しい」

京太郎「それが津山さんのこの企画に参加した理由ですか?」

睦月「うむ……まあ、それとは別にもあるんだけどね」

野球ファンとして、野球の楽しさ面白さを伝えファンを増やしたい。
企画に参加をした睦月の動機は、割とピュアだった。
……その楽しさを伝える一貫とも言うべきか、ベイスターズの話をする時だけやたらとヒートアップする点については、
京太郎のみならず他のチームメイトも引き気味であるのだが、それは置いておいて。

ともかく、納得のいく動機である。

京太郎「(ほぼ無理やり参加させられた俺とは大違いだな……いや、今の俺にも目標はあるけど。 さて……)」

1.「ならこのチームに関しては成功してる方じゃないですか?みんな真面目に取り組んでますし」
2.「さっき言いかけた別の理由ってなんですか?」
3.「より一層企画に長く参加する為にも、勝ち進まないとですね」

↓1

>3.「より一層企画に長く参加する為にも、勝ち進まないとですね」

睦月「うむ!」

対戦方式は負ければそこで終わりのトーナメント方式。
当然、負けてしまえば野球の楽しさを伝える云々の話ではなく、最後までやり遂げる為には、
すなわち最後まで勝ち進まなければならない。

京太郎がそう言うと、睦月もまた力強く頷き同意。

睦月「私も、私なりに精一杯頑張るからね。 須賀くんがいる以上、先発出場は野手としてだろうけど……。
   1人で投げ切るにも限度があるだろうから、リリーフとしても頑張るつもり」

睦月「どこでだって投げるし、打つし、守る。 チームの為にね」

京太郎「(本当にやる気満々だなぁ……でも、頼もしいな)」

握りこぶしを作りながらそう宣言する睦月。
自分が目立つ為だとかではなく、ただチームの為になんでもするという。
所有カードはいまいち頼りないと、正直京太郎としては思うのだが、
それでも彼女のやる気、そして野球に関する情熱や真摯さについてはチームで1番頼りになる存在だ。

京太郎「試合じゃ津山さんをクローザーにとかになったりするんですかね。 そこらへんは監督が決めるんでしょうけど」

睦月「! いや……それは駄目だ」

京太郎「へ?」

睦月「……私は下の名前が『睦月』で3文字だから、ゾンビネーションの掛け声が字足らずになっちゃう」

京太郎「あなたは何を言っているのか」

頼りにはなる。頼りにはなると言ったが、やはりどこかズレている。
大真面目に首を振って己の名前の字数を嘆く睦月に、京太郎は脱力をするしかないのだった。

【TIPS:3文字だから字足らず】
現在ベイスターズでクローザーとして9回に登板する選手がマウンドに現れた際、
その選手の名前を観客たちが音楽に合わせてコールするというパフォーマンスがある。
その選手の名前が4文字であり、3文字では字足らずになって呼びにくい為、睦月はそれを気にしているらしい。

※睦月の好感度が+3されました。
※睦月の好感度が12になりました。

その後、カードファイルを持って自室に戻った睦月を見送り、
京太郎は未だ食堂でまったりしていた。

京太郎「……なんか色々疲れてしまった。 何もしてないのに。
    さて、気を取り直して次は何をしようかな」

昼行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
x4.偵察(今は選べません)

↓1

>3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

京太郎「ん?」

のんびりしていた京太郎だったが、不意に視界に美穂子の姿を見つける。
キッチンの中にいて先ほどから夕食の下ごしらえをしていたようだが、
どうやら何か困りごとの様子で頬に手を当てて溜息を吐いている。

京太郎「どうしました、福路さん?」

美穂子「須賀くん……いえ、そのね。 夕食の下ごしらえをしていたんだけど……。
    恥ずかしながら、材料を買い足すのを忘れちゃってて」

買ったつもりだったが、うっかり忘れていた食材。
すぐにでも出かけて買い物に行きたいが、今から行っては夕食を作る時間が遅れてしまう。
無いものは仕方ないからと何かで代用する事も考えたが、それではやはり味のグレードが落ちてしまうらしい。

京太郎「なら俺がひとっ走り行って買ってきましょうか?」

美穂子「そんな……悪いわ、買い忘れた私が悪いのに」

京太郎「福路さんの美味い飯にありつく為ならおつかいくらいいくらでも行きますよ、気にしないでください。
    何を買ってきたらいいんです?」

美穂子「……ごめんなさいね。 それじゃあ……」

ならばと手の空いている京太郎はおつかいに立候補した。
彼自身が言った通り、おつかいをこなせば美穂子の料理のグレードが下がらないというのなら行かない選択肢が彼の中にはない。
手を合わせて謝る美穂子から買ってくるものと買い物籠を渡された京太郎は、そのまま寮を飛び出してスーパーに向かう。

京太郎「とはいっても近場のスーパーまでちょっと距離があるんだよな。 ちょっと急ぐか」

↓1 出会う人(高校生雀士のみ)

>穏乃

京太郎「ふぅ、これで全部かな。 急いで帰ろう」

無事スーパーにたどり着き、目的のものを買いそろえた所で帰路についていた京太郎。
が、スーパーを出たすぐの所で……。

??「おおっ! こっちの方にもスーパーがあるんだ! ……とりあえず一枚!」パシャッ

京太郎「(なんだ?)」

何故かスーパーを見て大声を上げ、スマホを使って写真を取っている少女を発見。
自分も映るように――いわゆる自撮りをしているが、何か珍しいスーパーなのだろうか。
中に入って実際に買い物をしたが、京太郎の感じた限りではどこにでもあるような至って普通のスーパーだったが。

京太郎「(っていうかこの人どこかで見た事あるぞ? 確か……)あっ!」

??「んぅ?」

京太郎「阿知賀……阿知賀の高鴨さんだ!」

穏乃「あれ? 私を知ってるの?」

ジャージ姿(下を履いているとは言ってない)にポニーテール、背丈が小さい割には、
どこか溌剌とし元気が有り余ってますという印象を受ける少女――高鴨穏乃。
全国大会決勝卓では咲と鎬を削り合い、終わった後には和から直接京太郎も紹介をされた事もある。
……まあ紹介といっても、ほかの清澄麻雀部員と一緒に、であった為。
京太郎もすぐには彼女を穏乃だと気付けなかったのだが。

京太郎「清澄麻雀部の須賀だよ。 全国が終わった後、ちょっとだけ会った事あるだろ?」

穏乃「…………。 ああ! 清澄のマネージャーの!!」

京太郎「マネージャーじゃないんだよなぁ……」

穏乃「え、そうなの?」

全国には出場している訳でもなく、割と雑用をこなしていた為にそういう目で見られる事は多いが、
京太郎はマネージャーではなく立派な部員である。
多少オーバーに肩を落としてリアクションを取ると、穏乃は頭をかきながら謝罪をする。

穏乃「ごめんごめん、てっきりそうだと思ってさー」

京太郎「いや、そこまで気にしてないから」

穏乃「そう? ならよかった」

穏乃「改めて、阿知賀女子学院1年! 高鴨穏乃です! よろしくっ!」ビシッ

京太郎「ああ、さっきも言ったけど俺は須賀京太郎。 よろしく(なんで敬礼?)」

気を取り直して、改めて自己紹介。
ビシッと手を横から額にあて、所謂敬礼ポーズを取る穏乃に疑問を抱きながらも、挨拶をする京太郎。
とはいえ、そこまで親しい間柄という訳でもない。
このまま別れてさっさと帰るべきか、美穂子も待っている事だろうし……と思った所で。

穏乃「あ、そーだそーだ須賀くんもいるならどうせだし一緒に撮っていいかな?」

京太郎「へ?」

穏乃「うぇっへへー。 同じチーム以外の人と会うのはこれが初めてだからさー、あ、今更だけど須賀くんも野球企画に参加してるんだよね?」

京太郎「そりゃまぁ……って、撮るって俺を!? なんで!?」

穏乃「だから言ってるじゃん。 同じチーム以外の人と会うのが初めてだから!」

京太郎「(いや……まあ記念とかっていう意味なんだろうけど、それは置いておいて。なんだこの展開!?
     っていうか、この人こんな性格だっけ?)」

以前紹介された時は短い時間であったが、少なくともその際、穏乃はこれだけやたらと写真を撮りたがるような性格であはなかったように思う。
元気はあるが目上・年上には敬語などを使っていたし、服装はともかくとして常識がある……ように、京太郎としては見えていた。

穏乃「いくよー。 あっ、ピースとかポーズ取る? もしくは変顔とか!」

京太郎「(訳がわからん……訳がわからんけど、とりあえず……)」

1.「ちょっと待て、撮った写真はどうするつもりだ?」
2.「じゃあとりあえず……これで」ピース
3.「どうせなら高鴨さんも一緒に入ろうぜ」

↓1

>3.「どうせなら高鴨さんも一緒に入ろうぜ」

穏乃「あっ、いーねいーね! よし、それじゃさっそく……」

毒を食らわば皿まで、いっそ毒皿で行く。
流れに身を任せこのまま付き合うのも悪くないと思った京太郎は、折角なのだから2人で撮る事を提案。
これに穏乃は食いつくと、スマホをいじりつつ京太郎に近寄る。

穏乃「須賀くん、もうちょっと腰屈めてくれる?入らないよ」

京太郎「おう」

穏乃「うん……そうそう、それくらい! よーし、それじゃいくよー。 1たす1はー」

京太郎・穏乃「「にー!」」

ピロリーン

穏乃「できたっ!」

出会って数分、それ程親しい仲でもない。
にも関わらず、何故か一緒に写真に写る事になってしまった2人――しかも、どこにでもあるスーパーの前で。
穏乃はそれでも撮れた写真を見てご満悦であり、京太郎としてもまんざらでもない。

京太郎「(強いて言うならもうちょっと胸のある方がよかったけど……)」

寄り添った時に鼻孔を擽った、意外にも甘い穏乃の匂いや柔らかい感触を思い出しつつ、
割と声に出しては言えない事を考える京太郎。
ほぼ初対面に近い人を前にそういった面を見せる訳にはいかないと気合を入れ直しつつ、京太郎は自身もスマホを取り出し声をかける。

京太郎「俺にも撮れたの貰えるか?」

穏乃「いいよー。 それじゃ番号交換しよう」

折角なのだからと自分も写真を貰い、その流れで電話番号なども交換する京太郎。
撮られた写真を見てみれば……少なくとも、悪い写りではないようでホッとする。

京太郎「そういえば……」

穏乃「ん?」

京太郎「なんで高鴨さんはスーパーに? 住んでる寮近いのか?」

穏乃「ううん、結構離れてるよ。 こっちには散歩で。 この島に来てから、昼過ぎくらいからは散歩するのが日課だからねー」

本当は山があればいいんだけど、無いみたいだからと苦笑する穏乃。
どれくらい住んでいる寮から距離が離れているのかと京太郎が問いかけてみれば……。
京太郎が考えるに、女子高校生が軽い散歩程度でうろつく範囲を優に超えてる位置にあった。

穏乃「こうやって企画に参加した人にもたまーに会えるし、やっぱり散歩して正解だったね。
   色々見つけて写真撮れるし、ロードワークにもなるし。
   山が無いのだけが本当に悲しいなぁ」

京太郎「(なんというかこう……パワフルだな。 優希とは違うベクトルで。
     さて……)」

1.「そういやそっちの方に和はいるか?」
2.「なんだってそんなに写真撮ってるんだ?」
3.「まあ遅くならない内に帰った方がいいぞ。 女の子が暗くなって出歩くもんじゃないし」

↓1

>1.「そういやそっちの方に和はいるか?」

穏乃「和? どうして?」

京太郎「実はさ……」

昨日和に電話をした折、阿知賀時代の友人と同じチームに配属されたと話していた。
ならば目の前にいる穏乃が同じチームメイトとなったのだろうかと考え、京太郎は事情を説明するも、
穏乃はあっけらかんとした様子で首を横に振り否定をする。

穏乃「私じゃないよ」

京太郎「そうなのか」

穏乃「うん、憧か玄さんじゃないかな……あっ、覚えてる?」

京太郎「ああ、まあ(胸が大きかったし……)」

憧は標準くらい、玄は中々のもの。京太郎の脳裏には、今もあの時の記憶が焼き付いている。
……もっとも、顔はいまいち思い出せないし、それ以上に玄の姉である宥の方が印象に残っているのだが。
ともかく、穏乃からは彼女たちいずれかが同じチームメイトとなったのだろうと言われる。

京太郎「っていうか、同じ部員に確認とか取ってないのか?」

穏乃「うん、まあね。 みんなはみんなで楽しくやってるだろうし、今はいいかなって」

京太郎「意外だなぁ。 阿知賀ってうちと同じく部員はギリギリだろ? もっと仲がいいのかと思ってた」

穏乃「悪い訳じゃないよ。 ただ、みんなと喋ったりするとやっぱり手心っていうかなんていうか……。
   なんていうか、全力で戦う気力が沸かないかもしれないから」

穏乃「どうせだもん、全力でみんなと遊びたいからね! だから、それまで連絡とるのは我慢!」

キッパリとそう言い切る穏乃の顔には笑みが浮かんでおり、彼女自身が言う通り、
仲間たちと全力で『遊べる』事が楽しみなんだろう。

穏乃「……まぁ、といっても電話とかとは違う形で交流はあるんだけどさぁ」ウェヒヒ

京太郎「えぇ……」

笑みは笑みでも、今度は苦笑に近いものを浮かべながら頭をかく穏乃。
さっきの格好いい発言はどうしたと言わんばかりに、京太郎は困惑の声を上げるのだが、
穏乃は慌てたように言い訳ともつかない言葉を並べる。

穏乃「いやさ、SNSにちょろちょろっと書き込んだりするとやっぱり反応があってさー」

京太郎「書き込まなきゃいいじゃないか……(っていうかSNS出来るのかこの人)」

割と失礼な事を考える京太郎だが、それも仕方ない。
ここまでの言動や行動を鑑みるに最低限の礼儀などはあるようだが、根本的にはちょっとアホの子で野生児。
少なくとも、そう見られてしかるべき態度を穏乃自身がとっているのだから。

穏乃「でもあれだよ、チームの内情を赤裸々に~とかいう訳でもないし!
   セーフ! これはセーフ! 私から積極的にほかに声かけたりしてる訳じゃないし」

京太郎「あー、わかったわかった。 っと、ごめん。 そろそろ帰らないと」

穏乃「あ、ごめんね長々と引き留めちゃって。 私もそろそろ帰ろうかな……」

こうして話している内に、時間を食ってしまったようで。
京太郎は時計を確認するとここらで切り上げる事を言い、穏乃もそれに同意をする。

京太郎「じゃ、また機会があれば」

穏乃「うん! 試合で当たったら負けないからね!」ビシッ

再度敬礼をしながら、走り去っていく穏乃。

京太郎「嵐みたいなやつだったなぁ……まぁ、悪い奴じゃなさそうだけど」

やたらと人懐っこく、しかし、悪意の無さそうな無邪気さは人に不快感を与えない。
色々と服装を含めてぶっ飛んでいるが、悪い奴ではなさそうだと京太郎は結論を出し帰路を急ぐのだった。

………
……


↓1 穏乃の初期好感度

>コンマ下1桁5

京太郎と別れて走る穏乃。
この島に来てから、初めて会うチームメイト以外の企画参加者がまさかの男という事で表には出さないもののそれなりには驚いていた彼女だったが、
彼女の中では割と京太郎の対応などは好感触だったらしい。

穏乃「今のチームメイトと初めて会った時も写真撮らせてって言ったら断られるか嫌がられるかしちゃったからなー。
   いいよって言ってくれた人もいたけど。
   でも、いきなり撮らせてくれるなんて須賀くんもいい人だー」

言いながら、不意に足を止めてスマホを開く穏乃。
画面には先ほど撮った京太郎と穏乃のツーショット写真。
考えてみれば――家族以外の男性と2人で写真を撮ったというのは、穏乃にとって初めての体験であった。
つまり初体験。

穏乃「早速アップしよっと」ポチポチー

が、それに対して特に感慨がある訳でもない穏乃は慣れた手つきでスマホを操作し、
あっという間に文章を添えて写真をアップロードした。
と、同時に早速反応がある。

穏乃「あ……憧がまたふきゅってる」

男性が苦手な友人からの反応に苦笑をしながら、穏乃は返信をするのだった。

なお、帰宅時間は夕食時にはまにあうもよう。

※穏乃の好感度が+3されました。
※穏乃の好感度が8になりました。
※穏乃の連絡先を入手しました。

一方、京太郎の方はと言えば途中から走る程急いで寮に帰り着いた為、なんとか美穂子の夕飯の準備に間に合い、
彼女の作るご馳走とも言える程の夕飯にありつける事が出来た。

京太郎「福路さんの料理は金を払うレベルだな。 あと1ヵ月近くあれを食えるなんて贅沢な話だ。
    おつかいを頼んだ事を申し訳なさそうにしてたけど、あれくらいで料理を食わせてもらえるなら本当にお安い御用だぜ。

    っと、まだ寝るには早い時間だな。 うーん……」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲・穏乃】

↓1 交流or電話する相手

>美穂子

コンコン

京太郎「? はい」

美穂子「ごめんなさい、須賀くん。 あの……今、少し大丈夫かしら?」

京太郎「福路さん? はい、むしろ暇だったんで……ちょっと待ってください、今開けます」

不意にノックが響き、ドアの外から聞こえてきたのは美穂子の声。
一体何ごとかと思いつつも京太郎は立ち上がり、慌ててドアを開ける。

美穂子「ごめんなさいね、もう夜なのに」

京太郎「い、いえ……(ワーオ)」

ドアを開けた先にいたのは、当然ながら、美穂子。
が、その服装は普段着ている制服や私服などではなく、所謂寝間着であった。
普通、そこまで親密ではない異性が見る機会などないその服装は、なんというかこう、色々と京太郎の中の京太郎を刺激する。

京太郎「と、ところでどうしたんです?」

何とか理性を総動員させながら美穂子が来訪した意図を聞くと、美穂子は頬を染め、どこか言いにくそうにしながらも……。
それでも意を決したかのように、その口を開く。

美穂子「じ、実は……部屋のお風呂が、壊れてしまったみたいなの」

京太郎「風呂が?」

美穂子「お水しか出なくて……それで、本当に申し訳ないのだけど、直してもらえないかしら?」

共に練習場で顔を合わせた訳ではないが、美穂子は今日もグラウンドで数時間練習を行っている。
当然ながら汗はかいているし、そもそも今の季節は夏――練習などしていなくても汗をかく。
というか、それ以前の問題として、年頃の少女である美穂子としては汗をかいていなかろうとお風呂にはしっかりと入りたい。

季節柄、冷水でも大丈夫かもしれないが、万一風邪を引いては集団生活をしている以上、周囲に迷惑をかける事となる。
それらを鑑みた上で、恥を承知で、美穂子は京太郎を頼って部屋へとやってきたのだった。

美穂子「本当にごめんなさい……寝てたかしら?」

京太郎「いえ、さっきも言いましたけど起きてましたしむしろ暇だったんで大丈夫ですけど……」

とはいえ、頼られた京太郎としては困った。
京太郎は一般的な高校生である。
人並みには機械類に強いかもしれないが、あくまでも人並み。
風呂を直すだなんだといった専門的な知識がある訳でもない。

京太郎「(とはいえ頼ってきた福路さんをそのまま返す訳にも……うーん)」

1.「今日の所は他の人の部屋のお風呂を借りてはどうですか? 明日業者に頼んで修理してもらいましょう」
2.「わかりました、とりあえず見てみます」
3.「ちょっと俺でも直せるかどうか……俺の部屋の風呂貸しますんで、今日はそれで我慢してもらえますか?」

↓1

>2.「わかりました、とりあえず見てみます」

迷う京太郎だったが、結局は美穂子の頼みを断れず折れた。
美穂子に手を合わせられ、申し訳なさそうにしながら頼まれては断れない。
京太郎はそんな畜生にはなり切れなかった。

京太郎「直せるかどうかは保証しませんけど……すみません」

美穂子「いいえ、こちらこそ無理を言ってごめんなさい。 もしも駄目なら……今日は我慢するから」

一言断りを入れながら、共に美穂子の部屋へと向かう。
鍵を回し、部屋へと招き入れる美穂子の後に続いて部屋の中へ。

ホワッ

京太郎「(なんだこのいい匂い!?)」

瞬間、香るのは自分の部屋とは全く違う花のような甘い匂い。
あまりジロジロ見るのも失礼なのでパッと見た限りではあるが、間取りも同じ、家具などもほぼ同じ、
にも関わらずこれだけ匂いが違うというのは、いったい如何なる事か。
恐らくは、これが美穂子の匂い――という事なのだろうが。

京太郎「(まだ寮で生活し始めて3日目程度だぞ。部屋にだって殆ど寝るとき以外いないのに何故ここまで差が……)」

美穂子「あの、須賀くん?」

京太郎「ハッ!(やべっ、少し意識が飛びかけてた……部屋に入ったとはいえ、用事があるからだ。紳士に紳士に……)」

京太郎「すみません、早速風呂見せてもらいますね? 入って大丈夫です?」

美穂子「ええ、お願いね」

一言断りを入れつつ、京太郎はユニットバスへ。
残念ながらそこには脱いだ下着などが置いているというラッキースケベ的なハプニングは無く、
京太郎はそのままとりあえずシャワーを手に取りバスに取り付けられているハンドルを捻る。
途端に出てくる冷水を手に当てながらしばらく待つが、確かに冷水だ。

京太郎「(給湯器の方は……。 …………。 …………おう?)」

給湯器の方に視線を向ける。
と、そこにあったのは温度を示すデジタル表記ではなく。というか、何も無く。

京太郎「(……電源ついてないじゃないですかー! やだー!!)」

そう、電源がついていない。
これではどれだけハンドルを捻った所で、出てくるのは冷水である。
無言で京太郎は電源をスイッチ一つで押してみると、しばらくしてシャワーから出てくるのは温水。

京太郎「………………」

ハンドルを元通りにし、シャワーを止め、出る京太郎。

美穂子「ど、どうだったかしら須賀くん?」ハラハラ

京太郎「えっと、まあ、治ったというか……とりあえず温水は出るようになりました」

治ったというか、治してないというか、そもそも故障でもなんでもないというか。
なんとも言えない気分になる京太郎だったが、その答えを聞いた美穂子はパァッと輝くような笑顔を浮かべる。

美穂子「ありがとう、須賀くん。 本当に助かったわ」

京太郎「いえ……」

殆ど何もしていないにも関わらず、感謝されるのは……なんというかこう、むず痒い。
眩しすぎる美穂子の笑顔を素直に見れないまま、京太郎は口を開く。

1.「そういえばなんで俺に? 部屋に入れるなら他の人を頼った方が良かったんじゃないですか?」
2.「何かあれば、また俺に何でも言ってください。出来る範囲でなら俺も頑張りますんで」
3.「とりあえず、確認だけはしっかりしてください……今後の為にも」

↓1

>2.「何かあれば、また俺に何でも言ってください。出来る範囲でなら俺も頑張りますんで」

冷静に思い返せば、確か、久あたりが言っていた気がする。
容姿端麗、頭脳明晰、家事万能で温厚篤実。
正にお嫁さんにしたい理想像のような美穂子であるが、兎角、彼女は機械に弱いという事を。

京太郎「(そりゃどんな人にも欠点はあるよな……うん。 むしろ咲あたりに比べれば問題ないレベルだろ)」

正直、給湯器の電源を入れられない程とは思っていなかったが、それでも、京太郎は美穂子の機械オンチぶりに理解を示した。
短い間とはいえ彼女の人の良さなどに触れたのだ。
むしろこれくらいの欠点が無ければ、つり合いも取れていないのではないかと思うくらいである。

そう思った京太郎はこれからも何かあれば、出来る範囲で手伝うと言い、美穂子は改めて感謝の意を示しながら頭を下げ、
しかし、それと同時にくすりと笑みを浮かべる。

美穂子「本当に、頼りになるわね、須賀くんは。 久の言っていた通りだわ」

京太郎「え?」

そして紡がれた言葉から出てきたのは、京太郎と美穂子、共通の知り合いである久の名前。
思わず間抜けな声が出た京太郎に、美穂子は更に続ける。

美穂子「ちょっと前にだけれどね、久から聞いていたの。 普段から、須賀くんは頼りがいがあるって」

京太郎「…………(部長……)」

美穂子「買い出しに行ってくれたり、みんなに気配りしてくれたり、痒い所に手が届く……とか色々」

京太郎「(って、やっぱり雑用としてじゃないですかー!)」

そうだと思ったよ!と内心血の涙を流しながらも、理性を働かせて絶叫まではしない京太郎。
やっぱり部長からも雑用としてしか見られてないのかと軽く落ち込むのだが……。

美穂子「だからこそ、清澄が県予選を突破して、全国でも優勝を出来たとも言ってたわ」

京太郎「へ?」

その言葉を聞いて、落ち込んでいた心が落下を停止する。

美穂子「監督もいない、補員もいない、人数はギリギリで何をするにも手一杯。
    でも、須賀くんが率先して雑用を引き受けてくれたお蔭で、自分たちは麻雀に集中する事が出来た。
    だから、本当に久は感謝していたのよ」

微笑みながらそう言う美穂子は、きっと、嘘は言っていないのだろう。
この人が笑顔で人をぬか喜びさせるような嘘を吐くとは、短い付き合いであるが京太郎も思ってはいない。
だが、久が京太郎に感謝をしている?
普段からは想像もつかないその言葉に、京太郎としては喜んでいいのやら怪しんでいいのやら、なんとも言えない気持ちだ。

京太郎「…………」

美穂子「だから、という訳じゃないけど……今日も須賀くんに頼っちゃったわ。本当に、ありがとう」

京太郎「あ、いえ。 これくらいお安い御用です」

美穂子「これからも、迷惑をかけるかもしれないけれど……よろしくね」

京太郎「いえいえ。 いつも美味しいご飯を作ってくれてるんです、これくらいしないと割に合わない……というかこれでも割に合わないですよ」

美穂子「ふふ、それじゃあ持ちつ持たれつ、という事で」

京太郎「ええ。 それじゃあ、俺はこれで失礼しますね。 おやすみなさい」

美穂子「はい、おやすみなさい」

就寝の挨拶をしてから、部屋を出る京太郎。

京太郎「(部長がなぁ……普段から、まあ、ねぎらいの言葉はかけてはくれるとはいえ……あの部長が? うーん。
     でも福路さんが嘘をつくとは思えないし……)」

美穂子の部屋に入るという割と重大なイベントをこなしながら、彼の心中にあったのは曲者としか形容しがたい清澄部長の自身への評価。
果たして嘘か真か。
真偽は確かではないが、ひとまず京太郎は自室へと戻り、もんもんとした気持ちで床につくのだった。

※美穂子の好感度が+4されました。
※美穂子の好感度が17になりました。

予定ではこの後、対戦チームを決定するつもりでしたが、書くのが遅くて遅い時間になってしまったので、
投票などは延期として今日はここで終了しようと思います。
明日、22時か23時頃から、1時間くらいの間での多数決でチーム決定をしたいと思います。

その際、今考えてるのは、対戦チームの選手を選択肢で表記するのは、知り合ってる選手だけ(現時点では清澄勢+穏乃)の予定ですが、
これだと大多数がシークレットのままになるので、どうしようかと悩んでいます。
参加者さん側からしたら、仲間に引き込める云々もあるので、お目当ての人がいるチームにという事もあるでしょうし、こちらとしても全部開示をするとお出かけなどで他チームと交流を図る意味も無くなるので、
解決策としてはとりあえず今回だけ(初回のみ。次の試合からは無しで)3人くらいは開示する方向で行こうかなと思っています。
他にこうしたらいいんじゃないかという意見があれば、また考えます。

とりあえず選択肢だけ出して、今日は一旦ここまで。
対戦チームになる可能性があるのは以下の4チームです。それでは。

1.【進撃の盟主】
2.【海の水底に沈む星】
3.【六甲颪に颯爽と】
4.【杜の都のドラゴンエース】

こんばんわ。
この後データなどを見返して、ちょっと整理をして難易度などを考えつつ改めて再開していきたいと思います。
23:00にははじめられたらなと思います。

日常パート 3日目

良子「皆さん集まりましたね?」

明くる日、京太郎は事前に聞かされた通り、いつもより早い時間帯に監督室へと集合をしていた。
他のチームメイトたちも勢ぞろい。
どことなくそわそわしている一同だが、無理もない。
今日この日、いよいよ初戦で当たるチームが発表をされる事となるのである。

果たしてだれと当たるのか、自分の知るメンバーはいるのか。
彼ら、彼女らの心中にはその事ばかりが浮かぶ。

良子「対戦チームはデータで送られてきます。 こちらのプロジェクターで映しますので、しばらくお待ちを」

京太郎「時間的には……もうすぐなんですよね?」

良子「ええ。 そろそろです」

時計を見れば、この企画を運営する者たちが通達した時刻まであと数分といった所。
京太郎はゴクリと唾を飲みながら、視線を前方のスクリーンへと集中させる。

京太郎「(清澄のみんなと……当たりたいような当たりたくないような……。 いや、どっちにしたって、俺はこのチームのエースになるって決めたんだ。
     誰が相手だろうと勝ちに行くしかない!)」

霞「(出来れば……出来れば、小蒔ちゃんと当たる事が出来たらいいのだけれど)」

美穂子「(久……華菜……)」

睦月「…………」

やえ「誰が相手だろうと王者の打ち筋を見せつけるまでだ。 恐るるに足りん」

各々、思う所があるのか一部以外口数が少なくなる。
そして、予定されていた時刻になると同時。白地だったスクリーンには対戦チームのメンバーの名が表記されはじめた。

京太郎「!!」

『1回戦対戦チーム』の選択

【進撃の盟主】(常勝軍団を率いる、常勝である――はずの少女)
難易度:イージー 選手:竹井久、白水哩、亦野誠子、????、???

【海の水底に沈む星】(静かに覚醒を待つ、今は無き星々の煌めき)
難易度:ノーマル 選手:大星淡、姉帯豊音、池田華菜、???、???

【六甲颪に颯爽と】(聖域に立ち続ける姉貴)
難易度:ハード 選手:愛宕洋榎、原村和、メガン・ダヴァン、???、???

【杜の都のドラゴンエース】(海兵たちを引き連れて、マウンドに立つ杜の都のエース)
難易度:ベリーハード 選手:松実玄、弘世菫、薄墨初美、?????、????

1.【進撃の盟主】
2.【海の水底に沈む星】
3.【六甲颪に颯爽と】
4.【杜の都のドラゴンエース】

23:00から24:00までの間の多数決とします。
同数の場合は、一番コンマの大きい人がいた選択肢で取ります。ゾロ目>通常コンマで扱います。
それでは投票お願いします。

24時になりましたので、打ち切らせてもらいます。
1.【進撃の盟主】 で進行します。

【進撃の盟主】

同時刻、京太郎たちがいる青星寮――を模した寮とはまた違う寮にて、その対戦チームもまたチーム一同集まっていた。
目的もまた、京太郎たちと同様。
自分たちの対戦相手が誰になるか、知人はいるのか、ライバルはいるのか。
ただただ、それに注視をしていた。

そして、スクリーンに映し出される名前。

『清澄高校所属 須賀京太郎』
『風越女子高校所属 福路美穂子』
『鶴賀学園高等部所属 津山睦月』
『永水女子高校所属 石戸霞』
『晩成高校所属 小走やえ』

顔写真と共に映し出されるそれを見て、一同は息をのみ、辺りを静けさが包み込む。
しばらくは誰も口を開く事が出来ずにいたのだが……。
そんな中、その沈黙を破ったのは―― 一番後方からスクリーンを眺めていた、竹井久であった。

久「須賀くんに美穂子が相手ね。 いいじゃない、面白そうだわ」

腕を組みながら不敵な笑みを浮かべ、そう呟く久。
同じ部活に所属をする、可愛い後輩。
実際に交流を深め始めたのはつい最近の事であるが、親友と言ってもいい間柄でもある他校のライバル。
彼ら、彼女らの他にも、名前を知っている面子がいる。

競技こそ麻雀と違えど、勝負をするに申し分無い相手だ。

哩「…………」

一方で、その久の隣に座り、いつもはクールな表情を難しいものに変化させていたのは新道寺女子部長、白水哩である。

この企画のルールとして、他チームの選手も、自身のチームがそのチームと対戦をして勝利をすれば引き抜けるというものがある。
哩としては、同じ高校からこの企画に出場し、しかし、現時点で離れてしまった大切な後輩と1回戦で当たる事を願っていたのだが、
そう簡単にいくほど世の中というものは甘いものではないという事を痛感している所である。

久「大丈夫、哩? お目当てのお姫様はいなかったみたいだけど」

哩「……あいつば、つよか奴ばい。 もともとこん企画ば参加したのも、こういうこつばあろう……。
  こいから先、進路ばちごうても、離れても、平気でいれるようにという為んこつばい。
  こんくらいで落ちこみはせん」

久「…………」

久「(やっぱり未だに方言が強くて何言ってるかわからない所も結構あるけど、とりあえず平気って事でいいのよね?)」

表情をキリッと引き締めたものにする哩の態度を見て、
言っている言葉はわからないがとりあえず落ち込んでいる訳ではないと推測をする久。
彼女の近くにも同じく方言が強い少女がいるが、そちらには慣れていても佐賀弁には慣れていない。

こうしてこのグループの最上級生2人組が部屋の後方で話し合う一方で、
前方に陣取っていた3人は三者三様の様相を見せていた。

佳織「あわわ……つ、津山さんと当たっちゃった……」

鶴賀学園高等部2年、妹尾佳織。
彼女は表示された『津山睦月』の名前を見た瞬間、良かったような悪かったような、複雑な表情を浮かべる。
なるべくなら知り合いと出会いたいが、かといって知り合いと戦うのも引け目がある。
特に、佳織としては睦月の野球好きを多少なりと知っている為に余計複雑な所だ。

泉「なんや……私らが当たった所の選手はいませんね」

千里山女子高校1年――このグループの中でも、唯一の1年である少女、二条泉はスクリーンに映し出された名前を見て、
どこかつまらなそうにそう呟く。
彼女の言う通り、表示されている選手たちの所属校は全て全国大会において泉が入ったブロックの逆サイド。
もしくは、県予選で敗退したか全国には個人でしか出場をしていない選手ばかりである。
因縁がある、もしくはどうせなら同じ千里山の選手ならば面白かったのに――と、彼女が思っても仕方のない事ではあった。

泉「折角ええカード引かせてもらったんやし」エヘヘ

そう、彼女はいいカードを引いていた。
球界の盟主――そう呼ばれる球団の選手たちのカードを多く引いた雀士がいるこのチームの中で、
その球団の選手カードではないものの、知名度に関してはそれらを大きく引き離しているだろうカード。
監督を含め、このチームの6人中6人が知っている程の名声を得たカードを、彼女は引き当てていた。

麻雀ではないというのが彼女としては不本意だが、それでも、全国大会でかぶってしまった汚名を返上する。
この企画はその為のいい機会だと、彼女は考えていたのだ。

久「まっ、勝ち上がっていけばそっち側のブロックだった選手にも会えるでしょう。
  頼りにしてるわよ、泉」

泉「任せてくださいよ! 私が抑えますんで、点取るのは頼みますよ!」

久「その点は大丈夫でしょ。 ね、キャプテン?」

無い胸を張って自信満々に言い放つ泉の言葉に、久は笑って受け流しながら『キャプテン』に視線を向ける。

最上級生であるのは久と哩。
しかし、彼女たちは野球のルールなどはある程度把握していても、そこまで詳しい訳でもなかった。
よって、部長経験があったといえど、キャプテンになるという事に難色を示した。

泉と佳織にしても、野球に詳しい訳でもない。下級生である泉、そしてどことなくおどおどしてお世辞にも人を引っ張れるタイプでもない佳織が、
久たちを差し置いてキャプテンになる訳もない。

誠子「…………ええ、まあ、そうですね」

結果、キャプテンに就任をしていたのは白糸台高校2年――亦野誠子だった。
幸か不幸か、父親の影響で釣りという趣味を持つ誠子。
その父親が同時に野球ファンという事もあってか、野球に関する知識もそれ相応に身に着けていた為である。

誠子「(確かに野球は知ってるけど……でも、うーん……)」

久に発破をかけられ、周囲から期待の籠った視線を受けながら、誠子としては空返事しか出来ない。
野球を知ってしまっている分、色々と不安に思ってしまう事もあるのである。

誠子「…………」チラッ

泉「? どないしました?」

誠子「ああ、いや、なんでもない」

泉に視線を向け、その視線に気づいた泉に問いかけられてとっさに何でもないと答える。
何でもない、訳でもないのだが――それを告げるのは、いいカードを引けた、と思っている彼女に対し非常に気の毒だ。

誠子「(まぁ……白水さんもいる事だし。 打たれても取ってくれる人はいる。
    ……なんかこう、白水さんを頼るっていうのは色々と釈然としない所があるけれど。
    あんまり知らないカードだったけど、竹井さんも練習を見る限りでは上手かったし)」

全国大会での事を思えば、誠子としては哩に対して一方的に苦手意識がある。
哩からしてみれば気にしていないし、そもそも今はチームメイトなのだからそういった意識を変えていかなければいけないのだが、
誠子も、あの全国大会で負ってしまった傷というものも中々大きくそう上手くはいかない。

誠子「(でも……二条さんじゃないけど、見返してやりたいっていう気持ちは私にも無い訳じゃない。
    幸い、私が引いたカードは本当に凄いカードだ。 並大抵のレベルじゃない)」

落ち込みそうになる気持ちを奮い立たせる為、ポケットに入れていた選手カードを握りしめ気合を入れる誠子。
彼女も、この企画でなんとか名誉を挽回しようと意気込んでいた1人でもある。
大会で受けた汚名、舐めさせられた辛酸、苦境に陥らされた立場。
それらを払拭する為に、どんな事でもいいから、何か結果を残したい。

遠回しとはいえ、この企画が成功し、そのうえで誠子が上位に進出すれば麻雀に対する貢献という面でも多少なりと評価も回復するだろう。

誠子「(宮永先輩や弘世先輩もいなくなった後、白糸台を引っ張っていくのは私か尭深。
    だけど、尭深はともかくとして私はあの結果。 流石に無い、とは思いたいけど虎姫から追い出されたって不思議じゃない。 無いと思いたいけど)」

だからこそ、誠子は結果を望む。

慕「みんな、対戦相手決まった?」

佳織「あっ、監督!」

悶々、と誠子が1人考え込む中、部屋に入ってきたのはこのチームの監督となっていた白築慕であった。
エプロン姿にお玉を持って、その様子を見るに料理中だったらしい。

哩「対戦相手ばスクリーンに出とるばい」

慕「……うーん、日本にはしばらく戻ってなかったから知らない子ばっかりだなぁ。
  みんなは知ってるお友達はいたの?」

久「ええ、私は2人程」

佳織「わ、私もいました!」

慕「そっか。 良かったねー」

ニコニコ、と笑いながら友人と会える事を素直に祝福する慕。

慕「それじゃあ決まった事だし、朝ごはんにしよう。 早くしないと冷めちゃうよ」

久「それは大変だわ、ほらみんな、行きましょう」

哩「(姫子ば会うまで負ける訳にはいかん……なんがあろうと勝つ)」

泉「(やるで……今度こそ、千里山に二条泉ありっちゅうところを全国に見せつけるんや)」

佳織「(みんなの足を引っ張らないようにしないと……あと、その前にルール覚えないと……。
    麻雀もそうだけど、野球もやっぱりルール難しいなぁ……)」

誠子「…………」

慕の声につられて、一同が部屋を出て行く中、誠子は不意に振り返りスクリーンを見つめる。

誠子「(誰が投手かはわからないけど……誰が相手だろうと、私のバットで粉砕する)」

京太郎たちが戦う1回戦の相手――チームキャプテンである亦野誠子は、静かにそっと闘志を燃やすのであった。

安価は無いですが、本日は一旦ここで区切らせていただきます。
明日は再び、日常パートの朝から再開していこうと思います。
それでは。


まさかのシノチャー


お互い打って打たれての草野球になりそうな予感···

乙です

巨人じゃない
みんな知ってる
打たれて取る
これはあの投手やろなぁ


お互い打って打たれての草野球になりそうな予感···

先ずは乙です
>>342
乱打戦に見せかけたファインプレーの応酬による投手戦に成ったりして

乙です

乙です

>>341
乙ありです。シノチャーの所有カードは巨人在籍経験があってという事を考えると割とすぐ思い浮かぶかもしれないです。

>>342>>344
乙ありです。
ザコプロさんも1回戦では多くいるので、そこまで乱打戦にならないかなぁとは思っています。
実際に動かしてみないとシステムのあたりとかわからないですが。

>>343
乙ありです。
期待してるんですけどね、あの投手。

>>345
乙ありです。
守備という面では今回の対戦チームはそこそこ高いです。ザコプロさんが多数いる為にあまり守備判定は出ないかもしれませんが。

>>346 >>347
乙ありです。


もう少ししたらはじめていきたいと思います。

………

『清澄高校所属 竹井久』
『鶴賀学園高等部所属 妹尾佳織』
『白糸台高校所属 亦野誠子』
『千里山女子高校所属 二条泉』
『新道寺女子高校所属 白水哩』

京太郎「部長……」

美穂子「久!」

睦月「妹尾さん……」

同時刻、視点を青星寮――に模した寮にいる京太郎たちに戻してみれば、
彼らもまたスクリーンに映し出された対戦チームの顔写真と名前を見て一喜一憂をしていた。
よく知る者がいる京太郎、美穂子、睦月はそれぞれ複雑な表情を浮かべ、
逆に親しくない――交流がある訳でもない者たちばかりが並ぶスクリーンを眺める霞とやえは残念なような表情である。

美穂子「久といきなり戦えるなんて……いえ、むしろいい機会なのかしら? ここで勝てれば久をチームに入れる事が出来るのだし……」ブツブツ

京太郎「福路さん、落ち着いて。 まだ勝てると決まった訳じゃないです。
    ……いや、勝つつもりですけど」

美穂子「そ、そうね。 ええ、うん……わかってるわ」

京太郎「それに……仮に勝てたとしても、部長を引き入れるかどうかまでもわかりませんし」

美穂子「………………」

そして、舞い上がったかのようにスクリーンを見つめながらブツブツ呟く美穂子に、京太郎は突っ込みを入れる。
そう、まだ勝てると決まった訳ではない――更に言えば、仮に勝った所で、久をチームに引き込むと決まった訳でもない。
久の引いたカード、その実力やポジションなどを加味しなければ、ほかの選手を取る……という事も十分に考えられる事である。

この京太郎の発言に美穂子は顔を俯かせるのだが、しかし、事実ではある。

霞「ふんふむ……」

やえ「どうした石戸、何かわかる事でもあったか?」

一方、親しい者がいる訳でもない霞とやえは、冷静に対戦チームの人員を見つめ分析をしようとしていた。
特にキャプテンにも指名されてしまった霞は、スクリーンに映る名前を読み取り、
口元に手を当てながら云々唸っていたのだが……。

霞「いえ、まったく。 名前を出されただけで、分析のしようも何もないわ」

やえ「……だろうなぁ」

結論としては、分析も何も無いというものだった。
それもまた当然である。

霞「麻雀ならば相手のスタイルにしろ、実力にしろ、ある程度は把握できるでしょうけど……。
  野球となると、そもそも引いたカードによって実力に差異が出てしまうとなると名前を見ただけじゃ何もわからないわね」

睦月「うむ……妹尾さんの場合、とにかく運がいいから強力なカードを引いてそうで怖い」

良子「ごもっともですね。 とはいえ、対戦チームが把握出来たのはいいことです。
   これで相手チームの偵察にも行けます」

京太郎「偵察ですか?」

良子「イエス。 データを集め、対策を練るというのは麻雀・野球共に共通をすることです。
   相手がどれだけの実力なのか、どのようなタイプの選手がいるのか。 それを把握する手段を我々は得ました。
   ……もっとも、相手にとってもそれは同条件ですがね」

【偵察コマンドについて】

・お出かけコマンドと同様、一度決定すると夜まで帰ってこれない。
・1行動を消費して、対戦チームの選手の選手カード・能力値・スキルを調べる事が可能。
 どこまで調べられるかは、コンマ次第。
・コンマの出目次第では、対抗策を講じる事が出来る。
 試合時、対抗策を講じた相手に全能力-10の補正をかける。

改めてスクリーンを見つめてみるも、そうそうたる面々である。
部員数ギリギリながら初の団体戦出場と同時に全国大会まで制覇した清澄高校を引っ張った主将。
北九州最強と言われた新道寺のエース兼部長に、全国常連の千里山唯一の1年生レギュラー、前年王者白糸台のレギュラー。
そして、麻雀素人ながら県大会で役満を上がった豪運の持ち主。

京太郎「(正直これが麻雀だったら勝てそうに無い面子だよなぁ……)」

こちらも美穂子、霞、やえと全国クラスの面々こそいるものの、どう考えても京太郎が足を引っ張る。
悲しい事に、京太郎の雀力というものは初心者の域を全く出ていないのだ。

京太郎「(でも、麻雀じゃないんだ。 俺達がやるのは、野球なんだ)」

引いたカード、そして、麻雀とは全く関係無い所での実力が問われる競技で京太郎たちは争う。

京太郎「勝つしかないですね」

美穂子「ええ……」

睦月「うむ」

霞「流石に1回戦で敗退は、寂しすぎるものね」

やえ「当然だ。 王者に敗北は許されないからな」

京太郎のつぶやきに、チームメイトたちが応える。
それを満足げに見ながら、良子はプロジェクターの電源を落とし、口を開いた。

良子「ベリーグッド。 やる気が十分で、結構な事です。 試合は7日目。
   それまでの時間は有限です。 タイムイズマネー、さぁ、今日も1日頑張りましょう!」

京太郎「しかし、まさか部長と1回戦で当たるなんてなぁ……。
    なんかあの人隠し玉とか、当たってないのにデッドボールをアピールしてきそうでやりにくそうだ」

その後、朝食を取った後、京太郎は改めて対戦相手を想起しながらまったりしていた。
割とその中に久に対する辛辣に思える感想が混じるが、仕方ない。
僅か数か月程度の付き合いとはいえ、久の食わせ物っぷりを把握するにはその期間は十分過ぎるものだったのだから。

京太郎「さてと、それはともかくとして試合までの時間も有限だ。
    今日は何をしようかな」

朝行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、対戦相手も決まった事だし気合入れて練習するとするか!」

パン!と頬を叩いて気合を入れつつ、京太郎は練習にとグラウンドへ向かった。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>京太郎

京太郎「あれ?」

霞「あらあら」

向かったグラウンドにいた先客。
それはここまでの練習でも中々会う事のなかった、霞であった。
思えばユニフォーム姿を見るのは初日以来の事であるが、相変わらず、色々とパツンパツンで、目のやりどころに困る。

京太郎「石戸さんも練習ですか?」

霞「ええ。 中々会う機会は無かったけれど、私も来てはいるのよ?
  なんとか、目を瞑らずにボールを捕球出来るようにもなったんだから」

駆け寄って言葉を交わす京太郎と霞。
捕手というポジションは、一般に思われている以上にずっと地味で重労働な役割である。
試合中、守備中はずっと中腰。投手が投げるたびに気を張らなければならず、配球に関しても頭を使わなければならない。
プロテクターなど、女性がするには重装備とも言えるものを装着せねばならず、そのうえで、目立たないのだ。

はっきり言って野球経験の無い女性にいきなりやらせるようなものではないのだが、
初日から短い時間とはいえ頻繁にグラウンドに通っては練習を積み重ねている辺り、霞もかなりの努力家のようである。

霞「須賀くんも練習かしら?」

京太郎「ええ、そのつもりです」

霞「なら一度、ボールを受けさせてもらえないかしら? ここまでザコプロさん達に手伝っては貰ったけれど、
  やっぱり試合で直接受けるのは須賀くんになるのだから」

京太郎「こちらこそ、お願いします! 試合で組む人に受けてもらえるならこっちとしてもありがたいですよ!」

ここまで色々と練習をしてきた京太郎であるが、思えば正捕手である霞とバッテリーを組むのはこれが初めてである。
準備運動を終え、ある程度肩を温めた所で、京太郎は意気揚々と霞の構えるミット目掛けて投げ込みを開始するのだった。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ83 経験値3
>京太郎合計経験値7

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。

京太郎ステータス>>162
京太郎新規習得可能スキル群>>168

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【バントが上手い】
2.【高さを生かす】
3.【集中力】
4.【国与四除去】
5.サブポジ習得(覚えるサブポジも併記)
6.保留

↓1

>4.【国与四除去】

ビュッ!! パァンッ!!

霞「ナイスボール」ぴゅっ

京太郎「どーも」パシッ

霞を座らせて投げ込みを続ける京太郎だったが、ただ受けてもらうだけなのに、ザコプロが相手とはまるで違う事を実感し始めていた。
ザコプロも、決して悪い訳ではない。
ただ、プロの選手の能力――を模倣するカードを持った、霞が受けてくれるだけで、安心感・安定感というものがある。

大きく抜けたボールが多数いってしまうが為に逆に委縮をしてコントロールを乱す事もあった京太郎だが、
どこに投げても必ず零さない、逸らさないだろう霞が座る事によって大きく腕を振る事が出来るようになり、
徐々にではあるがその一度コントロールが乱れたら息を吐くように連続四球を出してしまう悪癖も改善しつつあった。

京太郎「よし……それじゃ最後行きます!」ビュッ!!

ズバァンッ!!

霞「ナイスボール!」

宣言をして投げ込んだ球は、アウトロー一杯に決まった渾身のストレート。
審判がいたら『アァァァイッ!!』という奇声と共にストライクコールがされていたに違いない。

流れる汗を拭いながら、ほっと溜息を吐きつつマスクを上げて歩み寄ってくる霞を迎える京太郎。
彼女のような清楚な女性が無骨なプロテクターをつけているというのも、
なんだかギャップがあってこれはこれで味があると少々間の抜けた事を考える余裕も出てきた。

霞「やっぱり、凄いわね……。 ザコプロさん達を相手にするよりも、ずっとボールにノビがあるし重さもあったわ」

京太郎「石戸さんこそ、受けてもらって安心が出来ましたよ。
    やっぱ捕手って大事ですね……」

嬉しい事に、霞も京太郎のボールを受けていてザコプロとは違う、という感想を持ってくれていたらしい。
褒められた事に思わずデレっとしながら、京太郎も自身の感想を述べ……。
ちらり、と霞の顔から下へと視線を向ける。

京太郎「(でも捕手やってると、プロテクターをつける関係上体の凹凸が目立たなくなってなんか勿体ない……)」

先ほどはこれはこれでギャップがあっていいとおもった京太郎であるが、
しかし、それとこれとは別問題である。
霞程の超高校生級の"ブツ"を持つ少女が、その肉体をプロテクターで隠さなければならないとは如何なものか。

京太郎「(ただ投げてる間は石戸さんと見つめ合ってるようなもんだしそれはそれでありがたい事なんだけど……ああでも……)」

霞「…………」

なお、霞には大体京太郎の視線の意味を見透かされてしまうもよう。

※京太郎の【国与四】が除去されました。
※新たに京太郎の新スキル候補が増えました。
【テンポ○】pt5
ランナーを出さないまま2アウトを取った際、次の打者との対戦時に球威・変化+20。
その回が終わるorランナーを出すとリセットされる。

京太郎「なにはともあれ練習の成果がようやくはっきり出てくれて良かった……」

霞「そう簡単に出るものじゃないでしょうし……集中的に練習をしたのは3回目なんでしょう?
  大体、標準的な回数じゃないのかしら?」

京太郎「福路さん、小走さんはすぐに結果出してたんで……。
    と、それはともかく次は何をしようかな」

朝行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、続けて練習しよう!」

霞「じゃあ私も、お供しようかしら」

京太郎「ありがとうございます!」

霞「ふふ、このまま私だけ帰ってもキリも効率も悪いものね。
  それに、私の練習にだってなるのだから気にしないで」

京太郎「はい! それじゃあ……」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>京太郎

京太郎「もう一度、付き合ってもらっていいですか?」

霞「投球練習ね? 勿論……でも、肩は大丈夫かしら?」

京太郎「これくらいなら平気ですよ」

連日投げ込み、そして今日も既に数十球投げ込んでいる京太郎。
あまり野球には詳しくはないものの、それだけ肩を酷使して平気だろうかと霞が心配をするのも無理からぬ事だが、
京太郎は大丈夫である事をアピールするかのようにグッとガッツポーズを取る。

京太郎「それに試合はもうすぐなんです。 休んでる暇なんてないですよ」

霞「無理はしないようにね。 それじゃあ、はじめましょう」

京太郎「うす!」

マスクを被り、座り込んでミットを構える霞。
京太郎はマウンドからそれを眺めつつ、再び投げ込みを再開するのだった。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ13 経験値1
>京太郎合計経験値3

経験値が3なので、サブポジの習得だけが出来ます。
サブポジを習得しますか?
(習得していないポジションを守る際、守備力が-30されます)

1.サブポジ習得(覚えるポジションを併記)
2.保留

↓1

体力切れのときのために睦月と兌換出来てたほうがいいのかな
よくわからんね

>>373
守備力低下に関しては結局の所コンマ03くらいの影響なので、そこまで重いものではないかもです。
イチタリナイならぬサンタリナイなどになる事態にはなるかもしれませんが。
現状でも例えば体力切れの後に京太郎をレフトあたりに置くという事は出来ます。
ただ、フレーバー的に仲間から心配されたりはあるかもです。そこまで深く考える必要はないですが。

>2.保留

ビュッ! パシンッ!!

京太郎「はぁ……はぁ……」

霞「うぅん……」

投げ込みが再開されてしばらく、京太郎は霞の構えたミット目掛けて一心不乱に腕を振るのだが、
先ほどまでの様子が一転、制球が一切定まらない。
一旦インターバルを置いてしまったのがよくなかったのか、それともスタミナが切れたのか。
いずれにせよ、あまり成果が上がったとは言えない結果だった。

京太郎「……乱調っぷりまで再現されてるんじゃないだろうなぁ」

思わず悪態を吐いてしまう京太郎。
彼の知る限り、彼の持つ2枚のカードは、どちらも途中まではいい意味で目の覚めるような好投をしながらも、
どこかのタイミングでスイッチが入ったかのようにストライクが入らない悪い意味で目が覚めてしまうような乱調に陥る選手のものだった。

霞「こらこら、カードのせいにしないの」

京太郎「あ、すみません石戸さん。 折角付き合ってもらったのに」

そんな京太郎を、軽く嗜める霞。
彼女の言うように、カードの強弱もあるとはいえ、それを使いこなせるかどうかは自分次第。
ついでに言うと、先ほどまでの練習で四球癖も改善出来た事から、必ずしもカードの力だけが野球の実力に直結する訳ではないという事もわかっている。
些か情けない事を言ってしまったかと反省し、謝罪をする京太郎に対し、霞はニコリと微笑みながら返答する。

霞「いいえ、私もいい練習になったもの」

京太郎「そうですか?」

霞「ええ。 少なくとも、捕球技術は上がった気がするもの」ニッコリ

京太郎「…………」

京太郎の荒れ狂うボールを前に、殆どボールを零さなかった霞(流石に全部を止めるのは無理だった)。
彼女の言うように、それは捕球の練習にはもってこいだったのだろう。

京太郎「……嫌味とかじゃないですよね?」

霞「あらあら、そう聞こえた? 割と、本心だったのだけど」

京太郎「それはそれでなんというか……」

邪気は無いのだろうが、京太郎としては複雑なところである。
ガックリと肩を落としてへこむ京太郎を、トドメを刺した張本人である霞は励ましつつ。
ひとまず2人は昼食をとる為に一旦寮へと戻るのだった。

………

京太郎「石戸さんも割と天然気味なのか? しっかりしてそうなのに……今更ながら不安になってきたぞこのチーム」

完璧に見えて機械類についてはポンコツな美穂子に、野球・横浜の事になると色々と暴走する睦月。
それに加えて霞まで天然となってしまうと、流石に京太郎としてもこの先が不安だ。
やえ?今更説明するまでもない。

京太郎「さて、気を取り直して昼からは何しよう……」

昼行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、まだまだ練習するぞ!」

やえ「おお、気合十分だな須賀!」モグモグ

美穂子「小走さん、お行儀悪いわよ」

対戦相手が決まって気合はまだまだ十分。
朝の練習だけでは足りず、京太郎は再びグラウンドに向かう事にした。

なお、昼食を遅れて取っていたやえはリスのように口いっぱいにものを入れたまま喋り、美穂子に注意を受けていた。

………

京太郎「さぁ、午後も張り切って練習するぞ!」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>霞

霞「なら、私もまたご一緒させてもらうわね」

京太郎「えっ、い、石戸さん!?」

声に出し、気合を入れて練習に励もうとする京太郎の耳に飛び込んできたのは、
午前中も共に練習をした霞の声。
ぎょっとしながら振り向くと、そこにはやはりユニフォームを着た霞の姿がある。

京太郎「い、いいんですか? 午前中からずっと練習漬けじゃないですか」

霞「あら、おかしいかしら? 須賀くんだってずっと練習をしてるじゃない」

京太郎「そりゃまぁそうですけど」

確かに京太郎も朝から練習を続けてしているが、そもそも京太郎は男で霞は女性。体力も違う。
おまけに中学生時代ハンドボール部だったという事もあって、京太郎自身も体を動かす事には慣れているのだ。
しかし、対する霞はといえば――お世辞にも体を動かすのが得意そうでもなければ、体力もありそうにはない。

霞「心配してくれるのはわかるけれど、大丈夫。 カードのお蔭でしょうけれど、体を動かすのもそれほど苦じゃないの」

京太郎「はぇ~……カードってすっごい」

霞「ふふ、それに捕手は女房役とも言うんでしょう? 須賀くんが1人で練習するよりも、私も付き合った方がやっぱり効率がいいんじゃないかしら?」

京太郎「女房役……」ゴクリ

霞の言葉に、思わず唾を飲み込む京太郎。
以前、彼自身もそれを想起した事はあるが、霞から言われてみるとまた違った味わい深いワードだ。
霞が女房役……付き合う……といった単語がふよふよと京太郎の脳裏を漂い……。

霞「………………」ニコッ

京太郎「ひぇっ」

色々と妄想をはじめようとしたところで、現実に引き戻された。
向けられる笑顔は、笑っているようで笑っていないように見える。

京太郎「(天然気味かと思ったら威圧感たっぷりの笑顔で圧殺されそうとか何コレ何……)」

霞「さぁ、冗談はさておいて……」

京太郎「アッハイ」

霞「早速練習、はじめましょうか」

気づいてみれば、霞にペースを握られながら練習の開始を促される京太郎。
なんだかんだでまとめ役としてはやはり頼りになるのだろうと思いながらも、
色々と底知れぬ不安も感じつつ京太郎たちは練習を開始するのだった。

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ76 経験値3
>霞合計経験値3

ここまでの練習で壁役として京太郎の投球を受けていた霞であったが、
打席に立ってみる事でまた違った視点で見れるのではないかという事もあり今回は打者として京太郎と対峙していた。
彼女自身は麻雀のスタイルも守備が得意であり、それは野球でも同様。

京太郎の四球癖が無くなったとはいえ未だに酷い制球をなんとか誤魔化すフレーミング技術と、
大きく外れても体で止めてくれるという安心感は投げる京太郎のプレッシャーを軽減し結果的にチーム全体の守備力を向上させている事になる。

逆に打撃面は決して得意という訳ではなかったのだが……。

カーンッ!!

霞「あらあら」

京太郎「oh……」

練習を開始してからしばらく、霞はバットから快音を連発する。
流石に京太郎の球威には押し負けるようだったが、長打は出なくとも上手く内野の脇を抜け頭を超え、
実際の試合ならばヒット性の当たりが生まれる。
思わず京太郎としては自信を喪失しかねない所だが、霞はそれに気付いたのか否か。
ある程度の所で打席を外すとヘルメットを取り、京太郎へと歩み寄っていく。

霞「大丈夫、須賀くん? 調子が悪いのかしら?」

京太郎「いや……大丈夫です。 調子が悪いって訳でもないです。
    むしろ、石戸さんが絶好調というか……」

霞「そうねぇ……なんというか、須賀くんのボールは読みやすいから」

京太郎「読みやすい、ですか?」

霞「ええ」

今はフリー打撃の形式でやっているとはいえ、京太郎の制球は基本的に甘い。
実際の試合とは違いボールもストライクも無いのだが、霞はボール球はある程度見極められる程度の技術はあるようであり。
また、ボールを連発していればその霞の練習にもならない。

結果、京太郎はボールになる球を投げた直後はその基本的に甘い制球が更に甘くなってゾーンに入り。
霞はボールが来たら次は打ち返せると集中をしてバットを振る。
当然、甘く入ったボールは狙い撃ちをする霞に簡単にヒットにされてしまうのだった。

からくりを聞いた京太郎は、それはそれで霞の練習になってないんじゃないかと脱力。
まともな練習相手にもなれないのかと自虐しそうになるが、そんな京太郎を励ますように霞は宥める。

霞「練習にはなったわ。 やっぱりザコプロさんに比べれば球威がある分、押し負けてしまうし。
  それに、打ち損じだってあったもの」

京太郎「はぁ……」

霞「自信を持って。 試合では私が受けるから、そう簡単に読まれるような事はさせないわ」

京太郎「……なんかすみません。 野球素人だろう石戸さんに迷惑かけて」

霞「気にしないで。 女房役なんでしょう? ふふ」

京太郎「………………」

笑みを浮かべながらそう言う霞を目にして、練習を開始する前の一連の流れはからかわれていただけだと気付いた京太郎。
余裕を持っていたずらっぽくする霞に、これは敵いそうもないなと苦笑を浮かべるのだった。

京太郎「(この余裕。2つしか違わない筈なのにずっと大人に思えるなぁ……)」

霞「………………」

京太郎「ひぇっ」

なお、今度こそ本当の殺気を感じ取ってしまうもよう。

ともかく一旦練習の区切りをつけて、休憩を取る京太郎たち。
時計を見るに、まだ夕食までは時間もある。

京太郎「(さてと、次はどうしようかな)」

昼行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>1.会話(チームメイトと交流します)

京太郎「(朝からずっと動いてたしなぁ……もうちょっとゆっくりしよう)」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞・良子】から選択

↓1

ごめんなさいまたコピペミス。
京太郎は選べません。安価なら↓でお願いします。

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
遅くまでご参加ありがとうございました。
お疲れ様でした。

乙ー

乙です
そう言えばこの作品でも咲-Saki-キャラ達の固有の能力は発動したりするんでしょうか?
京太郎くんのチームなら監督の戒能プロは集団練習時にテスカトリポカを使って相手の偵察を無効にしたりとか
ミッポさんは開眼したら対戦相手の守備位置の穴を見つけ易く成るとか
有るんでしょうか?

日本にいなかったってことは慕さんドイツで叔父姪婚でもしたかな?

>>392-393
乙ありです。
>>394
乙ありです。
キャラ達の能力は、ステータスにある通り、美穂子の開眼や霞の苦手分野とかは一応それっぽくはしてあります。
敵の偵察に関してですが、されても、特にこちらに不利益とかは無いです。
あちらが偵察してきたからといって、>>352にあるような味方にマイナス補正がかかるとかは無いです。
>>395
そこらへんは、コンマ次第になるかと今の所は考えてます。一応ドイツには生活の拠点を置いてる設定ですが。
慕リチャ好きです。


もう少ししたら開始します。

>良子

良子「お疲れ様です、須賀くん、霞」

京太郎「監督!」

霞「良子さん」

しばらくのんびりしていた京太郎たちに声をかけてきたのは、監督である良子。
特に彼女自身は動く必要はないというのにユニフォーム姿なのは、監督としての姿を示す為か。

京太郎は差し入れにと手渡されたスポーツドリンクを受け取り、ありがたく乾いた喉を潤わせてもらう。

京太郎「それにしてもどうしたんです? グラウンドに来て」

良子「おや、監督である私が選手たちの練習を見ておかしいですか?」

京太郎「そういうつもりじゃないですけど、でも、今まではいなかったじゃないですか」

現有戦力を把握する為に、京太郎たちの練習を監督である良子が見るというのは理屈ではわかる。
だが、このチームを結成して数日間――少なくとも京太郎は良子がグラウンドに姿を表した所を見た事が無い。
それは霞も同じらしいが、彼女は彼女でこのタイミングで良子が来た事にある程度の推測が立っていたようである。

霞「チームを結成して、諸々の手続きとかが終わった……という事じゃないかしら?」

良子「イエス。 これで、結構面倒なものです」

寮にはある程度の備えがあり、また、すぐに使えるようにとこの企画を運営する龍門渕グループが手配をしてくれている。
しかしながら、実際に住んでみると色々と不具合なども発生。
一部にそこそこ我がままな王者もいる事もあり、それらを用意するのにも手間取り。
また、良子としても霞以外は全員初対面。
それぞれの所属校のデータなどを整理する事でも、ある程度時間が必要。
それらを片付ける為に、グラウンドに来たくても来る事が出来ない期間があったという事らしい。

京太郎「なんというか……お疲れ様です」

良子「ノープロブレム。 実際に試合で頑張るのは皆さんですからね。
   その準備などをする段階では監督でもある私が頑張りませんと」

表には出さず人知れずチーム運営に苦労していた良子に、京太郎は労いの言葉をかけるも、
良子は相変わらずクールな表情のままなんでもないと手を振って答える。
僅か20歳。一般的な尺度で言えば、まだ学生でも可笑しくない身分。
それでもこうやって一同を纏め、見守ってくれてる辺りに、京太郎は年の差以上の経験の差などを感じる。

京太郎「でも、今更ですけど何でプロの方々が監督を引き受けてくれたんですか?」

良子「? どういう事でしょう」

京太郎「いや、引率するってだけなら別に大人の人なら誰でもいい訳じゃないですか。
    各校のコーチとか監督とかがするならともかく、プロの人たちにしてもらうっていうのは……」

良子「あー……そういう事ですか」

京太郎の疑問も尤もである。
そもそも、今はプロ雀士たちもシーズンまっただ中の筈。
暇があるどころか毎日の試合に忙しいだろうにも関わらず、この企画に参加した理由について不思議に思っても仕方ない。
その疑問を聞いた良子といえば珍しく困ったような顔を浮かべながら、歯切れ悪く答えを返す。

良子「まずはじめに、そちらの方がウケがいいというものがあります。
   恥ずかしながら、我々も知名度はありますからね。 企画をアピールするにはもってこいです」

京太郎「なるほど……」

霞「ふんふむ」

彼女の言う通り、この企画に参加をしているプロ雀士達の顔ぶれたるやそうそうたる面子である。
彼女たちがユニフォーム姿でベンチに座っているというレアな姿を見れるというだけでも、
ファンからしてみれば女房を質に入れてでも見る価値のある光景だ。

良子「そして次にですが、プロ雀士側もむしろこの企画に参加をしたいと志願する者が多くて……」

京太郎「へえ! 野球ファンが多いんですか?」

良子「まぁ、野球ファンというかなんというか……ですね」

そこまで言うと、良子は一旦切って溜息を吐き……観念したかのように続いて言葉を吐き出した。

良子「プロ野球選手って、こう……結婚相手として中々の物件、のようなのです」

京太郎「……はい?」

昔の事はともかく、現代のプロ野球選手というのは中々にお洒落だったりイケメンが揃っていたりする。
無論、一部にはそうでない者も含まれているのだが――ともかく、ルックスのいい選手も多い。

トッププロで活躍する雀士達にとっては男性の年収というものはあまり関係ないと思われがちかもしれないが、
逆に女性側の方が高年収であると男性側が引け目を感じたりして言い寄ってくる事も少ない。
しかし、プロ野球選手の場合はその問題点もクリアしている。

若くて独身、という選手も多い。若くて独身。いい響きだ。

ガッチリしてるスポーツマンって、いいよね!

良子「そんな諸々な理由で、結構プロ野球が好きという雀士もいまして。
   この企画には野球選手こそ参加していませんが、彼らもこの企画を見る機会はあるでしょう。
   そうして知ってもらったうえで接点を作ってなんやらかんやらという人が割と多数……」

京太郎「……いやいやいや!! そんな事しなくても、誰かに紹介してもらったりとかでいいんじゃないです?
    雀士の人って解説とかで女子アナさんと組んでる事多いですし、女子アナさんに紹介してもらったりとか」

良子「それはなんだかがっついてるみたいで恥ずかしい……らしいです」

京太郎「(なんの恥じらいだよ! いらないよそういうの!!)」

内心突っ込みを入れながら、頭を抱える京太郎。隣にいる霞も思わず苦笑いである。

1.「もしかして監督もそれが目当てで……?」
2.「ここに1人もっと若いスポーツ(経験有り)マンがいるんですけど駄目なんですかね?」
3.「そういう無駄な恥じらいがあるから……アレなんじゃないんですかね」

↓1

>3.「そういう無駄な恥じらいがあるから……アレなんじゃないんですかね」

具体的にナニとは言わないが、アレである。
思わず口を出たその言葉に、霞は苦笑を更に深め、良子も同意を示すように首を縦に振る。

良子「まったくです。 付き合わされるこちらの身にもなっていただきたい……」

京太郎「(やっぱり巻き込まれたのか……)」

大多数のプロ雀士が立候補をした為に、プロ雀士協会の方でも多くの名の知れた雀士をこの企画に参加させた。
その煽りを受けて良子は監督に就任した、というのが事の真相のようである。

良子「ああ、いえ。 監督を引き受けたのが嫌だったという訳ではありませんよ。
   野球はあまり知らなかった為に一から勉強する事になりましたが、内容が違うとはいえ他の競技に触れるのはいい経験です。
   それに、こうして後進の雀士達と触れ合うというのも悪くありませんからね」

良子「ただ、私が彼女たちと同じような動機で参加をしたと思われるのがベリーベリー、心外というだけで」

京太郎「でしょうね……」

先にも記述したように、良子はまだ20歳である。
結婚を焦るような年ではない……というか、結婚するにしても早すぎるくらいの年齢。
それでいながら、結婚相手を探す――みたいな名目でこの企画に参加したと思われるのは、不本意だろう。

京太郎「監督なんて美人ですし、クールで知的って感じですし。
    相手なんていくらだっているでしょ」

良子「おや、お上手ですね。 まあそのあたりはシークレットで」

良子「それより須賀くんの方はどうなんです?」

京太郎「は? 俺ですか?」

不意に話を振られた京太郎は何のことだろうかと首を傾げるが、良子は淡々と続ける。

良子「聞いた所によると、清澄は全国団体に出たあの5人以外は須賀くんがいるだけで、部員はわずか6名だとか」

京太郎「はぁ……そうですが」

良子「どなたかが彼女だったりするんではないんですか?」

京太郎「えぇ!?」

霞「そうなの!?」

京太郎「ちょっ、石戸さん!? なんで急に食いついてきた!」

実際、良子の言うように清澄はあの5人の他には男子である京太郎が1人のみ。
居心地が悪いと思った事は無いが、外部から見ればやはり珍しいものなのかもしれない。
事実として、学友にも色々とそういった邪推をされた事も無い訳ではなかった。

良子「ルックスは悪くありませんし、思ったよりも真面目ですからね。 彼女の1人や2人いてもおかしくないでしょう。
   私としては、宮永さん辺りが怪しいと踏んでいますが」

霞「そうなの!? あ、そういえばそうよね! 初日に心配で電話をかけたって言ってたし……」

京太郎「いや、それは無いです。咲が彼女とかありえねー」

霞「そうなの……」

京太郎「確かに咲とは幼馴染ですけど、そういう色気のある関係じゃないですよ」

霞「ふんふむ……幼馴染。 ……これはあれよ。 近くにいすぎて、逆に恋心に気づいていないのパターンよ」

京太郎「さっきから凄いグイグイ来ますね石戸さん!?」

女子高育ちだからなのか、それともそういう性格なのか。
やけにコイバナに食いついてくる霞に辟易する。

良子「意外ですね。 ベジタリアン系男子でしたか」

京太郎「草食系の事ですか? っていうか、男と女を見たら付き合ってると思う方がアレじゃないですかね?」

良子「ふふ、まあそれもそうですかね。 でもあれだけいれば好みの女性でもいるのでは?」

1.「まあいるっちゃいますけど……高嶺の花ですよ」
2.「いやいや。そういうの、興味ないんで。 俺ほら、硬派ですから!」
3.「好みのタイプといえば監督みたいなのが理想ですよ」

↓1

>1.「まあいるっちゃいますけど……高嶺の花ですよ」

気になる女性となれば、いるといればいる。
が、その女性が自分を意識しているかと言えば持ちたくない自信を持ってノーと言えるだろう。
あちらからすれば友人、部活仲間が精々。
前回電話をした時だって、そこまで心配される義理は無いとまで言われたのだから、まずもって間違いない。

京太郎「監督風に言えばアウトオブ眼中って感じじゃないですかね」

良子「そうですか? ふむ……」

霞「誰なのかしら? 誰なのかしら?」ソワソワ

京太郎「石戸さん、落ち着きましょうか」

乾いた笑いを浮かべながら呟く京太郎に、先ほどまでの悪戯っぽい笑みを潜め、 眉を寄せる良子。
京太郎は興奮する霞を落ち着かせつつ、なんとかころあいを見て煙に巻き、
こうなっては練習を続けるも何もあったもんではないという事で揃って寮へと帰る事にする。

ちなみに、興奮が収まった後、霞はコホンと咳払いをして先ほどまでの振る舞いを反省しつつ。
京太郎の片思い(霞にとっては相当ロマンチックなものに思えてるらしい)を応援すると、
それはそれは極上の笑みを浮かべて宣言するのだった。

京太郎「(そりゃまぁ会って数日、殆ど知らない仲とはいえ、あれだけの美人に他人との恋を応援するって言われると傷つくなぁ)」

その宣言が、京太郎の心に新しく傷を作った事は言うまでもなかったのだが。

練習以上に色々と疲れた、といった様子で歩く京太郎。
前方では霞がどことなく上気した表情で歩いており、良子はその中間にいたのだが……。
不意に歩くスピードを緩めると、京太郎の傍に寄り添いその口を開く。

良子「また暗い顔をしていますね。 霞の事が気になりますか?」

京太郎「へ? ああ、いえ……まあそれも多少はあるっちゃありますけど」

良子「ふむ……ではアウトオブ眼中の意中の女性の件でしょうかね」

京太郎「………………」

良子「失礼。 デリケートな問題ですものね。 とはいえ、面白半分で話している訳ではありませんよ」

良子としても、決して意地悪のつもりで京太郎をからかっている訳ではない。
選手と監督として、気兼ねないコミュニケーションを取りつつ、
なるべくなら京太郎の持つ不安や不満を取り除いてやりたい、という指導者としての想いも持ち合わせていた。

良子「初日にも言ったように、君は少々自信が無さすぎるようですね。
   今も明らかに覇気がない顔で、情けない顔をしていますよ」

京太郎「それは……」

良子「スマイルスマイル、何事もポジティブにしなければなりません」ムニーン

京太郎「ひゃ、ひゃめてくだひゃい」

無理矢理京太郎の口元をつまみ、吊りあげる良子。
身長が京太郎よりもかなり小さい為に背伸びをしてまでしている姿に、不覚にも可愛いと思いつつ。
京太郎は弱弱しく抗議をする。

良子「謙虚な事は良い事ですが、程度というものがあります。 行きすぎはベリーバッドですよ」

京太郎「はぁ……」

良子「恋に勝負に、自信を持って文字通り全力投球で行きましょう。
   なんなら意中の女性というのを忘れてここで見つけても構いませんよ? ステディ」

京太郎「はぁ!?」

そして、続いて飛び出した良子の言葉に思わずそこまで気の無かった返事も大声になる。
聞こえた霞が一体何ごとかと振り返り、何でもないと京太郎は誤魔化しつつ……。
京太郎はしれっとした顔の良子に突っ込みを入れる。

京太郎「いやいやいや、何考えてるんですか。 それこそ監督問題になるんじゃないですか?」

良子「ノープロブレム。 不純異性交遊はいけない、なんて言われてませんし。 恋愛は自由です。
   それで君たちがやる気を出してくれるなら、いっそ推奨したいくらいですね」

京太郎「えぇ……」

良子「ああ、でも、複数の女性に手を出すというのはやめておいてくださいね。 面倒事になりそうです」

京太郎「しませんよ。 というか、誰も俺に興味ないですって」

良子「そうでもありませんよ。 少なくとも、今の所は恋愛感情を持ってる人はいないかもしれませんけどね」

京太郎「ほら」

良子「会ってまだ数日程度ですよ。 福路さんや津山さんとも知り合いだったようですが、それだって深い仲だった訳ではないんでしょう。
   これから交流をしていけば、また違った感情も湧いてくるかもしれません」

京太郎「(いいのかなぁ……いや、そりゃ俺だって出来ればお近づきになりたいとは思うけどさ)」

監督である良子からの、まさかの恋愛推奨指令。
困ったように頭をかく京太郎に、良子は更に続ける。

良子「諦めの前に動くこと。 先にも言った通り、全力投球で行きましょう。
   どんな事であれ、それが人の道を外れない事ならば私は君たちを応援しますよ」

京太郎「……はい」

良子「ああ、それともう1つ」

そこまで言うと、良子はくすりと笑みを浮かべ、ウインクをしながら告げた。

良子「私も現在はフリーですので。 今後の参考になれば幸いです」

京太郎「………………」







京太郎「現在はフリーって、過去にはいたことがあるんですかね」

良子「君はあれですね、結構ポイズントークですね」

※良子の好感度が+3されました。
※良子の好感度が7になりました。

その後、寮に帰った京太郎たちは夕食を取り、その後は思い思いに就寝までの時間を過ごす。

京太郎「さてと、後は寝るだけか。 とはいえまだ寝るには早い時間なんだよなぁ……っていうか、飯食うのが早すぎるんだろうか?
    ともかく、どうしようかな」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲・穏乃】

↓1 交流or電話する相手

あまり進められなくてごめんなさい、本日は一旦ここで区切らせていただきます。
明日はお休みなので、もうちょっと進められたらと思います。
お疲れ様でした。

一つ突っ込ませてもらうと麻雀もスポーツだぞ


戒能さんいいキャラしてる

>>414-416
乙ありです。
>>417
あまり麻雀に対する知識が無いもので、申し訳ないです。
今後そういった描写に関してはそうしたものとして描写していこうと思います。
>>418
乙ありです。
なんとか色んなキャラを魅力的に書けていけたらいいなと思います。

もうちょっとしたら開始します。

>やえ

京太郎「そうだ、久しぶりにコレでもやるかな」

言いながら京太郎が取り出したのはスマホ。
中に入っている麻雀アプリを起動し、久方ぶりに麻雀に勤しむ。
普段から暇を見つけては練習をしていたのだが、ここの所はドタバタがありご無沙汰だった。

やえ「ん、何をやっているんだ須賀?」

京太郎「麻雀ですよ。 暇だったんで、それに最近全然やってなかったですから」

やえ「ああ、麻雀アプリか」

移動をするのも面倒であり、また、ここなら好きなタイミングで飲み物を飲める。
そういう訳で京太郎が食堂でスマホをポチポチしていると、やえもまた飲み物でも探しに来たのだろう。
コップを片手に、スマホを弄る京太郎に話しかけてくる。

やえ「私もよくやっているが、やっぱり実際に打つのとは感覚が違っていかんな」

京太郎「そうですかね。 俺はどっちかというとネト麻とかの方がやる機会は多いんで」

やえ「そうなのか? まあいい、で、今はどんな感じになってる」ズイッ

京太郎「うわっと」

背後からスマホを覗き込んでくるやえに、思わず京太郎は驚きの声を上げながらも画面を見せる。
京太郎の現状は、あまり芳しくない。
トップとは大きく差をつけられており、局も終盤に差し掛かっている。
2位になれれば上々、といったところで――やえは難しい顔をしながらも京太郎の肩に手を置き口を開く。

やえ「このまま見てていいか?」

京太郎「そりゃ構わないですけど、面白いですか?」

やえ「面白いかどうかは須賀の打ち筋次第だ」

やえ「私は口出しはしないから、好き勝手打ってみるといい」

京太郎「はい」

そのまま京太郎の隣に座り、スマホ画面をのぞき込むやえ。
部でネト麻などをする際に部員たちに指導を受ける際、そのように覗き込まれるのには慣れてるとはいえ、
今京太郎がやっているのはパソコンのそれではなくスマホのそれである。
当然画面は小さく、それを見る為にやえも寄り添うような形であり、京太郎としては少し気が気でない。

とはいえ、麻雀に集中する内にそういった感情も次第に収まる。
それから数分後。
やえは言った通り口出しをしないまま終わり、京太郎は結局3位。
あの後上がる事は出来たものの安手であり、上位に届く事はなく結果としてはマイナス収支だった。

京太郎「駄目だったかぁー」

やえ「………………」

京太郎「どうでしたか、小走さん?」

やえ「うん? ああ、中々面白かったぞ」

やえ「聴牌してから待ちが変わる訳ではないのに一手待って、その後に立直をかけたりだとか。
   場に3枚見えてるもので待ったりだとか。
   親がもう来ないのに安手で済ませたりとかな」

京太郎「それ、褒めてないですよね?」

やえ「褒められるような闘牌ではなかったからな」

ガクッと肩を落とす京太郎に、キッパリと言い切るやえ。

やえ「中々見る機会が無い打ち筋ではあった」

京太郎「…………」

1.「すみません、まだ初心者なもので」
2.「そういう小走さんは、さぞお強いんでしょうね」
3.「やっぱり俺って才能無いんですかね……」

↓1

>2.「そういう小走さんは、さぞお強いんでしょうね」

思わず京太郎の口から出た言葉は、些か挑発めいたものだ。
自身の事を弱い弱いとは思っているが、さりとてオブラードに包まず直接的に言われては京太郎としてもカチンと来る。
ジロ、と隣に座るやえを睨みながらそう問いかけるも、やえはむしろその言葉を待っていたと言わんばかりに胸を張る。

やえ「当然だ! この私は王者だからな!」フンス

京太郎「……でも晩成は団体では出れなかったじゃないですか。
    全国だって、小走さんも確かに出てましたけど、そこまで好成績だった訳でもないですし」

皮肉がまるで効いていないやえに対し、京太郎はいつになく辛辣な言葉をつづける。
しかし、やえはやはり胸を張ったまま、威風堂々と返答をした。

やえ「確かに結果は出せなかったがそれもまた時流よ。
   しかし、来年こそは晩成が再び奈良において個人でも団体でも優勝を果たすぞ。
   有望な後輩も多いしな!」

京太郎「………………」

やえ「無論、私も大学ではレギュラーを目指すぞ。 そして、その先でインカレの制覇も当然目指す」

ふっふっふ、と笑いながら自身の未来のビジョンを語るやえ。
その表情に迷いや不安といったものは見受けられず、本気でそう言っているのだという事が伺える。
あまりにも前向き。あまりにもポジティブ。
その態度に思わず京太郎は閉口する。

京太郎「(この人は……なんでここまで自信満々なんだろう)」

それは一種の呆れでもあり、また感心でもあった。
今までの短い期間の付き合いでもわかった事だが、兎角、やえは自信家である。
一体どこからその自信はきているのだろうかと京太郎としては思ってしまうくらいだったが、
やえはそんな京太郎の視線に気づいたのか否か、ふぅ、と溜息を吐きつつも続けた。

やえ「しかし、存外に須賀も闘争心はあるようで。 安心した」

京太郎「はい?」

やえ「ふふん、さっきのアレは言外に『弱い』と言われて憤ったが故の皮肉だろう?」

京太郎「……皮肉ってわかってたんですか」

やえ「お前は私を何だと思ってるんだ。 私とてその程度わからない程阿呆じゃないぞ」

皮肉だと知ったうえで、それを窘めるでもなく怒る訳でもなく、
真正面から受けてみせたやえ。
むしろそれくらい言い返せる気概が京太郎にある、という事に関心をしている様子に、京太郎としては驚きを隠せない。

やえ「そもそも、あの程度皮肉にしても可愛いものだ」

京太郎「はい?」

やえ「晩成は伝統ある高校だぞ。 過去40年間で39回のインターハイ出場。
   臨海や白糸台すら足元にも及ばん、常勝高校だ。
   そこが今年は県予選1回戦で敗退だぞ?」

京太郎「…………」

そこまで言われれば、京太郎でも先はわかる。
当時の晩成が周囲から言われた批判などは、先ほどの京太郎のそれよりもよっぽど苛烈なものだったのだろう。
特に部長でありエースでもあったやえに対するそれは、より一層酷いものだったに違いない。

京太郎「……凄いですね、小走さんは」

やえ「言っているだろう、私は王者だからな」

感嘆とする京太郎に対し、やえは右手を翳しながら続ける。

やえ「須賀、お前はいつから麻雀をはじめた?」

京太郎「高校入ってからです」

やえ「そうか。 私は小学生からだ。 小3の頃から、マメも出来ていない」

実際、やえの翳した右手にはマメ1つ無い。
京太郎のそれより小さい、至って可愛らしい手だ。

やえ「それでも今年は全国に団体で行くことは出来なかった。 だから、という訳ではないが。
   今は弱い事を気にしなさんな。 向上心さえ忘れなければ強くはなる。
   成長速度は、人によるかもしれないがな」

言いながら、笑みを浮かべるやえ。
それに対して京太郎は二の句を告げず……それでもなんとか口を開き、言葉を絞り出す。

京太郎「小走さんは……」

やえ「うん?」

1.「悔しくなかったんですか?」
2.「理不尽だと思わなかったんですか?」
3.「どうしてそんなに自信があるんですか?」

↓1

>2.「理不尽だと思わなかったんですか?」

やえ「理不尽? 何故だ?」

京太郎「だって小3の頃から麻雀に打ち込んでたんですよね? なのに、今年は1回戦負けで……。
    なんというかこう、阿知賀ってオカルト持ちの人が沢山いるみたいだし」

長い間努力をして、強豪晩成の部長兼エースとして臨んだ今年のインターハイ。
しかし、蓋を開けてみれば晩成はまさかの1回戦敗退。
10年前阿知賀を全国に導いた阿知賀のレジェンドと、
その教え子たちの噛ませ犬と言ってもおかしくないような立場に押しやられたのだ。

京太郎がもし自分が同じ立場ならば納得できないかもしれない、と思うそれに、やえはキッパリと言い切る。

やえ「無いな。 悔しさはあるが、理不尽だと感じた事は無い」

京太郎「なんでまた……」

やえ「麻雀は運が大きく左右する競技であるし、何より相手も全力であっての事だ。
   練習した期間が長い方が勝つ、などという競技がもしあれば、それはそちらの方が余程理不尽だろう」

努力と才能。どちらが重要か、という問題なのではない。
麻雀とは、そういう競技――練習期間であるとか、オカルトであるとか、天運であるとか。
そういった一切合財の要素を全て含めた上で、雌雄を決する競技である、とやえ自身は思っている。

京太郎「なんというか……凄いですね」

やえ「ふふん、そうだろうそうだろう。 何せ私は、王者だからな!」フンス

負けてもそれを悔しいとおもえど、決して理不尽だとは思わない。
意外なようにも思えるドライさと、勝負に対する熱い感情を持つやえを知り、
京太郎は初日から続いてきたやえのとにかく騒がしい髪型が変な人、という認識を改める。

やえ「まあ、理不尽だと思う事があっても――それが麻雀なら少なくともそういう競技だと思って精進する事だな。
   麻雀はそういう競技だ」

京太郎「デカい手になりそうだったのに安手で他に上がられたりとかですか?」

やえ「そういうことだ。 わかってるじゃないか」

くすり、と最後に笑いながら、もしもやる気があるなら今度は指導をしてやってもいい、と告げつつ、
やえは京太郎の肩を叩いてから自室へと戻っていった。

京太郎「(なんというか……変な人だと思ってたけど、予想以上にしっかりしてたなぁ。
     まぁ、そうでもなきゃ晩成なんて名門で部長は出来ないか……あれ?)」

やえ「………………」テテテ

京太郎「どうしました、小走さん?」

そして、すぐに戻ってきたやえを見て、思わず問いかける京太郎。
彼女は頬を染めつつ、ぷい、と顔を背けてキッチンの方へと駆け込みながら返答した。

やえ「コ、コップを戻すのを忘れてた!」

京太郎「………………」

話に夢中になり、持っていたコップをそのまま自室にもっていこうとしてしまったらしい。
しっかりしている、とは思った。
しかし、それでもやはり抜けている所は抜けている。
やえへの評価が二転三転しながら、こうして夜は更けていくのだった。

※やえの好感度が+4されました。
※やえの好感度が15になりました。

日常パート 4日目

そして翌日。
対戦チームが決定した次の日、そのチームとの試合を3日後に控えた中。
京太郎は簡単な朝食を作りつつ、今日の予定を考える。

京太郎「試合は7日目だったな。 それまでにはまだ時間があるとはいえ、なるべくなら無駄にはしたくないな」

やえ「須賀、卵を割ったぞ!」

京太郎「じゃあ次はこっち割って下さい」

やえ「ふっふっふ、お見せしよう! 王者の卵割りを!!」

京太郎「(しっかりしてるようで抜けてて……これもうわかんねぇな。
     さて、それはともかくとして朝飯作ったらどうしようかな)」

朝行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、今日もまずは練習するか」

良子「では私も付き合いましょう」

朝食の席で朝のスケジュールを立てた京太郎に、良子も同行を申し出る。

良子「これからはグラウンドにいられる時間も増えそうですからね。
   皆さんの実力などをじっくり見させてもらいますよ」

良子「他には……」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>睦月

睦月「わ、私も行っていいでしょうか?」

良子「オフコース。 では、準備が出来たらロビーへ集合です」

更に立候補をした睦月も連れて、一同はグラウンドへ。
プロ雀士である良子が見ているという事もあってか、それとも良子がベイスターズの現監督であるカードを持っているからなのか。
或いは両方か。
睦月は少しばかり緊張していた様子だったが、軽く準備運動をして体を動かし始めると、すぐに練習に集中をし始めた。

京太郎「気合入ってますね、津山さん」

睦月「うむ! 昨日は練習に参加出来なかった分、今日は頑張らないとだからね!」

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ70 経験値3
>睦月合計経験値4

そして始まる本格的な練習。京太郎はザコプロを座らせて脇のブルペンで投げ込みをする一方。
睦月はノック役を買って出た良子を相手に守備練習を行っていた。

カーンッ!!

睦月「うむっ!!」

パシッ!

綺麗にノックを打つ良子の姿にも驚きだが、フライを上手く処理する睦月の姿にも京太郎は驚く。

良子「中々にグッドですね。 少々フライの追い方が怖いですが……」

京太郎「(フライを取るのって結構難しいんだよなぁ。 勿論、内野だってゴロの処理とか難しいんだけど)」

一般に思われている以上に、外野フライを捕球するというのは難しい。
高速で飛んでくる小さいボールを目視で確認するのは簡単な話ではないし、
風で流される事で予想される落下地点から大きく離れてしまう事もある。
捕球に失敗すれば長打になってしまう以上、そこには大きなプレッシャーもかかる。

熟練した、名手と呼ばれるプロの中には打球音やスイングの出方、
投手の投げた球種を判別する事である程度の落下地点を割り出して走りこむ事も出来るそうだが、
いくらカードを持つとはいえ素人である睦月が上手く守備を出来ているのはほめられてしかるべきものだった。

睦月「(投げる須賀くんを助ける為にも、しっかりと基礎を固めておかないと。
    本当、守備は大事だから……)」

贔屓球団のせいで守備の重要性をよく知る睦月は、それでも慢心せずに一心不乱に白球を追った。
打ち取った筈の当たりがヒットになる、その悲しさを彼女はとてもよく知っている。

睦月「もう一度お願いします!」

良子「いえ、いったんブレークしましょう。 根の詰め過ぎはいけません」

睦月「う……はい、わかりました」

パンパン、とグラブを叩きながら更にノックを要求する睦月を良子は諭し、
京太郎もまた一旦区切りをつけてベンチへと下がりしばし休憩をする。

良子「いい調子でしたね、津山さん。 このパフォーマンスを試合でも維持してもらえれば言う事はありません」

睦月「ありがとうございます。 私なりに、精一杯頑張りますから!」

良子「グッド。 大変よい返事です」

京太郎「本当に絶好調って感じでしたね、津山さん」

睦月「ありがとう。 須賀くんは昨日も殆ど練習してたんでしょう? 私も負けてられないよ」

京太郎「(さて、練習も一区切りついたことだし。 次は……)」

朝行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>1.会話(チームメイトと交流します)

京太郎「(監督の言う通り根の詰め過ぎはよくないな。 もうちょっとのんびりしよう……)」

【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】から選択

↓1

>やえ

やえ「お待たせ!」

京太郎「あれ?」

やえ「この王者も練習にやってきたぞ! ふふふ、さあ張り切ってやるぞ!」

そして休憩中、颯爽と現れたのはやえである。
ユニフォームに着替え、帽子を被り、おまけに何故か両手にバットを持つその姿。
いや、バットを2つ持つ必要は無いだろうと京太郎は内心で突っ込みを入れる。

やえ「……ん? どした?」

良子「バッドタイミングですね。 今はブレークタイムですよ」

やえ「えぇっ!?」

ガーン!という効果音をバックにしながら、落ち込むやえ。
というか、休憩中というのはベンチでまったりと京太郎たちが過ごしている所を見れば一目瞭然なのではないだろうか。
やはり、どこか抜けている。

睦月「でも十分休憩しましたし、そろそろ練習開始しましょう。 小走さんもやる気を出してくれてますし」

やえ「そ、そうか! よしよし、それじゃあ始めるぞ! 続けお前たち!」

良子「ストップ。 次はバッティング練習と行きましょう。 須賀くん、申し訳ありませんがマシーンを持ってきてもらえますか?」

京太郎「あ、わかりました!」

やえ「では私も行こう! 続け須賀!」

京太郎「すっげー張り切ってますね……」

良子「あちらで休憩しているザコプロさん達にも手伝いに行ってもらうようお願いしますから、先にお2人で行ってください。
   私と津山さんはボールなどの準備をしておきますので」

良子に言われるがまま、ピッチングマシンを取りに向かう京太郎たち。
グラウンドの脇に置かれたそれを見つけたやえは、しげしげと興味深そうに見つめている。

やえ「今までは須賀やザコプロ達に投げてもらっていたが、これを使うのは初めてだな」

京太郎「存在自体はあるとは思ってましたけど、場所は監督しか知りませんでしたしね。
    あ、変な所触っちゃ駄目ですよ」

やえ「心配しなさんな。 見ているだけだ」

何かいらない事をしそうで怖いな……と思いつつ、ピッチングマシンを観察するやえを観察する京太郎。
ちょろちょろと動き回っては、機械のどこがどうなっているという所を珍しげにして見ているやえだったのだが……。

やえ「ほほう、ここはこうなっているのか……」ピョコピョコ

京太郎「(揺れてる……)」

そうして動き回っていると、揺れるのだ。
やえの胸――ではなく、片側の髪、ドリル部分が。

毎日顔を合わせるようになって慣れたとはいえ、やはり改めてみると珍しい髪型である。
ふらふら、ぴょこぴょこ、とやえが動くたびに連動して動くそれを見て、京太郎は……。

1.あえてお下げの方を引っ張った。
2.当然ドリルを引っ張った。
3.そんな事はしない。したくても我慢するのだ。

↓1

>2.当然ドリルを引っ張った。

京太郎「(いいや、限界だ! 引っ張るね!!)」

目の前にボタンがあれば押したくなる。
小石や空き缶があったら蹴ってみたくなる。
それらの心理状況と似たような形になっていた京太郎は、躊躇無くやえのドリル部分を引っ張った。
自分はやえにはボタンなどを押さないようにと注意をしていながらである。

京太郎「そい!」ミョイン

やえ「ふひゃっ!?」

京太郎「思った以上に伸びる!?」

当然、力強く引っ張る事はしなかったが、ぐっとドリル部分の先を掴み引っ張ってみると、思った以上に髪が伸びる。
巻いている分、直線にすれば長くなるとは京太郎も思っていたが、逆側のおさげ部分との長さの差はかなりのものだ。

やえ「な、何をする須賀!」

京太郎「すみません、どうしても我慢できなくて……! だって目の前でぴょこぴょこ揺れてるんですよ!?」

やえ「その理屈はおかしい! というか、いい加減離さないか!」

京太郎「すみません!」パッ

パシンッ

やえ「げふっ」

京太郎「(あ、クリーンヒット……)」

思わず感心をしていた京太郎に、当然ながらやえは怒りながら手を放すよう注意。
京太郎が慌てて離すと、直線になっていたドリルが再び元の形に戻った際の反動が強すぎて、小さな音を立ててやえの顔面にヒットする。

やえ「す、須賀ぁ……」

京太郎「いや本当すみません……最後のはわざとじゃないです」

やえ「わざとだったら、ぶってる所だ!」

当たった鼻を押さえながら、恨みがましい顔で睨み付けてくるやえ。
京太郎としては悪い事をしたのは当然自覚しているのだから、平謝りするしかないのだが、
その視線は先ほどあれだけ伸びたのにすっかり元通りになっている形状記憶ヘアーの方に向いている。

京太郎「(少しくらい乱れるもんじゃないのか普通……)」

やえ「まったく、何を考えてるんだ。 軽々しく女性の髪の毛を触るもんじゃないぞ。
   私だからいいものの、下手をすればセクハラで訴えられても仕方ない!」

頬を膨らませ、腰に手を当てながら注意をするやえ。
それに対して京太郎は……。

1.「私だからいいものを……って、え、触っていいんですか!?」
2.「すみません、物珍しかったものでどうしても興味があって」
3.「目の前でぴょこぴょこ揺れて可愛かったもので、つい……反省してます」

↓1

>3.「目の前でぴょこぴょこ揺れて可愛かったもので、つい……反省してます」

やえ「ぶっ……」

京太郎の言葉に、思わず吹き出すやえ。
京太郎としては素直な言葉で謝罪をしたまでだが、やえからしてみれば叱っていた所にいきなり可愛いと言われ、
虚を突かれた形だ。
思わず顔が熱くなるのを感じる。
小走やえ17歳、(自称)王者であるがそこまで男慣れはしていないのだ。

やえ「ば、バカ! ニワカめ! だからといって掴む奴がいるか! 反省してるのか!」

京太郎「はい。 でもどうしても触ってみたかったので」

やえ「も、もういい。 とにかく、こういう事はやめておけ。 先ほども言ったが、女性にやるとセクハラにもなるぞ。
   そういった人を見つけてからすることだ」

それでも平静を装いながら注意をした所で、ザコプロ達が現れ、この話題もおしまい。
京太郎たちは協力をしてピッチングマシンをグラウンドへと運んでいく。
やえも手伝おうとしたが、流石に女性にさせるのは危険すぎるという事で、
やえは手持無沙汰になりながらマシンを運ぶ彼らの後方を歩いていた。

やえ「まったく……」

京太郎「よいしょ、よいしょ」

ザコプロ「えっさ、ほいさ」

前を歩く京太郎の背中を見ながら、ため息を吐き……そっと自身の髪の毛に触れるやえ。

やえ「………………」

極めて特徴的な髪型だが、このヘアースタイルはやえとしてもお気に入りである。
というかまぁ、お気に入りでもなければこのような髪型にもしない。
その事を褒められた事が無い訳ではないが、面と向かって男性に可愛いと言われたのは初めてであった。

やえ「(父親や親戚とかには無い訳ではないが……うん……赤の他人には初めてだな。
    だからといって、どうという訳でもないが。 うん、どうという訳でもない)」

自分にそう言い聞かせているが、再び顔が熱を持ってくるのをやえ自身は感じ取っていた。

やえ「(ええい、ニワカでもあるまいし。 というか、髪を引っ張られたんだ! 怒ってしかるべきだろう!!)」

ぶんぶん、と頭を振って浮かびそうになる変な考えをどこぞへ追いやろうとするやえ。
と、当然それだけ頭を振ればドリルもまた一緒に揺れ動く事となり。

ペチンッ

やえ「へぶっ」

勢い余ったそれは再びやえの顔面に当たるのだった。

京太郎「小走さん? どうかしましたか?」

やえ「なんでもない! いいから早く運べ! もう!」

思わず声を上げるやえに、京太郎は振り返って問いかける。
それに対してやえは顔を抑えながらつっけんどんに返しつつ、京太郎から顔を背けるのだった。

なお、その後の練習は滞りなく行われるもよう。

※やえの好感度が+4されました。
※やえの好感度が19になりました。

京太郎「やってしまった……つい、出来心だった」

練習を終え、寮に帰って昼食を取りつつ朝の出来事を反省する京太郎。

京太郎「結局あの後は顔も合わせてくれなかったしなぁ……でもどうしても触りたくなってしまう。
    あれは魔性の髪だ」

そんな事を考えながら、京太郎は昼からはどうしようかと思案する。

京太郎「さて……」

昼行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、午前中に引き続いて練習をするぞ!」

気合を入れ直し、京太郎は再びグラウンドへと向かった。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

>京太郎

京太郎「ザコプロさん! また球受けてくれますか?」

ザコプロ「こいついっつも練習してんな」

京太郎「いつ来てもグラウンドにいるザコプロさん達に言われたくないですよ……」

ザコプロ「一理ある。 まあいいや、それじゃさっそくやるとするか」

今度は睦月たちも他の用事があったらしく、京太郎は単身グラウンドに向かった。
とはいえ、1人で練習をするという事はなく、いつもグラウンドにいるザコプロ達に相手をしてもらって練習をする。
1人ぼっちは寂しいもんな。

ザコプロ「さあ来い! 俺は石戸さんよりも捕球も下手だから割とすぐポロるぞー!!」

京太郎「自慢げに言う事じゃないでしょ!」

01~33 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ89 経験値3
>京太郎合計経験値6

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。

京太郎ステータス

守備位置:投手

球威70 変化40 制球E 体力60
巧打30 長打30 走力40 守備30

【???】
相手投手が【???】のカードを所有していた際、球威・変化+30。制球2段階上昇。

新規習得可能スキル群
【バントが上手い】pt5
バント選択時、バント判定を+20する。

【高さを生かす】pt5
身長が149cm以下の打者を相手にした際、球威+20。

【集中力】pt5
任意発動。体力消費量2倍にして制球力2段階上昇。

【テンポ○】pt5
ランナーを出さないまま2アウトを取った際、次の打者との対戦時に球威・変化+20。
その回が終わる、ランナーを出すとリセットされる。


習得or削除するスキルを選択してください。

1.【バントが上手い】
2.【高さを生かす】
3.【集中力】
4.【テンポ○】
5.サブポジ習得(覚えるサブポジも併記)
6.保留

↓1

>4.【テンポ○】

ビュッ! パァンッ!!

ザコプロ「ボール走ってんなぁ。 ナイボー、ナイボー」

京太郎「あざっす!」

どうやら今日は調子が良い日のようであり、京太郎の球はいつも以上に伸びてザコプロのミットの中へ。
制球難も幾分かはマシであり、テンポ良く投げ込んでいく。

ザコプロ「っていうかすげーテンポよく投げ込むな」

京太郎「いやー、中継とか見てても、やたらと時間かける投手って嫌じゃないですかなんか。
    ダレるっつーかなんつーか」

ザコプロ「あー、わかるわかる」

投球テンポというのも投手によって大きく違う。
早い投手は殆ど間隔を開けないまま続けるようにして投げるが、遅い者は極端に遅い。
当然、あえて間隔をあける事で打者を焦らさせ、自分のペースに持っていくという投球術もあるのだが、
京太郎としてはサクサクと投げ込んでサクサクと抑えたい。

ザコプロ「そこらへんはそれぞれ長短あるからなぁ。テンポよく投げるのはそれはそれで相手に間を突かせない事になるし。
     何より守備してる側も集中力切れにくくなるだろうしな」

京太郎「サックリアウトを取っちゃえば、ムードも良くなりますしね」

ザコプロ「んじゃもうちょっと投げ込んでその辺り伸ばしていこうぜ」

京太郎「はい!」

こうして京太郎はテンポ良く投げる投球術を身に着けるのだった。

※京太郎が【テンポ○】を習得しました。
※京太郎に新スキル候補が増えました。
【ピンチに強い】pt5
得点圏にランナーを背負った際発動。球威・変化+10。

京太郎「ふぅ、なんとか成果が出てくれて良かった」

ある程度成果が出た所でいったん練習を止め、休憩を取る京太郎。
これで初日から考えれば、幾分かは制球がマシになり、テンポ良く投げられるようになった。

京太郎「四球出すとテンポ悪いからな……うん。 さて、まだ時間はある。
    この後はどうしようかな」

昼行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

先にコンマ判定だけ。
ここでのシノチャーの現況。

下1桁0~4 白築慕
下1桁5~9 白築(旧姓白築)慕
ゾロ目 白築(旧姓白築)慕で……

↓1

本日は一旦ここまでで区切らせていただきます。
遅くまでご参加ありがとうございました。お疲れ様でした。

ゾロだったら子持ちになってたのかな?

乙です

>>471-472
乙ありです。ゾロだったら子持ちでしたね。

>>473-474
乙ありです。

あと少ししたら再開していきます。

>4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
>白築(旧姓白築)慕

良子「須賀くん、少しよろしいですか?」

京太郎「監督?」

これから何をしようかと思案をしていた京太郎に、声をかけてきたのは良子である。

良子「これから対戦チームの偵察に行こうと思うのですが、よろしければご同行願いたいのです」

京太郎「俺が? っていうか、今からですか? もうすぐ日が落ちますけど」

まだ明るいが、もうじき日も落ち夜がやってくる。
今から偵察に行った所で碌に研究をする時間もないのではないかと京太郎は疑問に思うが、
良子は指を振ってウインク一つ、京太郎のそんな疑問を吹き飛ばす。

良子「ラッキーな事に対戦チームの練習グラウンドはここより離れていないのですよ。
   今から向かえば十分練習風景を見る事が可能です。
   それと須賀くんに来て欲しいのは、野球に相応の知識を持っているからですね。 当然、津山さんにも声をかけています」

京太郎「そういう事ですか……わかりました、それならお供します」

良子「サンキュー。 では、早速行きましょう」

京太郎は練習に付き合ってくれていたザコプロ達に一言断りを入れつつ、
良子の先導を受けてついていく。
比較的近い場所にあるとはいえ、徒歩ではやはり時間がかかる距離のようで、この寮に来た際と同様バスで行くことになったのだが……。

良子「今回は少人数ですからね。 こちらを使います」

京太郎「これは……B級バス!!」

バスのグレードは偵察に行く人数が少なくなったせいか、思い切り下がっていた。

良子「大丈夫、シートがすぐに倒れたりだとかはありませんので。 さあ、乗って下さい」

京太郎「はーい……っと、あれ? 福路さんも行くんですか?」

バスに乗り込むとそこにいたのは、事前に聞かされた睦月ともう1人。美穂子。
てっきり3人で行くことになるのだと思っていた京太郎は思わずそう問いかけてしまうのだが、
美穂子は少し困ったかのような顔をしつつ返答をする。

美穂子「その……確かにあまり野球は詳しくないかもしれないけれど、久に会えるかもしれないから……」

京太郎「ああ、なるほど」

久と美穂子の仲の良さについては、京太郎もよく知っている。
もしも久に会えるかもしれない、と彼女が淡い期待を抱いて偵察に志願したというのも納得出来る話だ。

良子「それじゃあ出発しますよ」

ブロロロ

睦月「(ああ、安全運転って本当にいいなぁ……)」

京太郎「(なんだろう、津山さんが凄く安心した表情してる……)」

………

……

そして数十分後、良子の至って安全な運転で京太郎たちの乗るB級バスは目的地へと到着した。
京太郎たちが日ごろから練習をするグラウンドによく似たその場所の横に乗り付け、
一同はバスから降りてグラウンドを観察する……と。

京太郎「あれ? あの方は誰です?」

良子「対戦チームの監督ですよ。 彼女にも私たちが偵察に来る事を話してます。
   まずは挨拶をしておきましょうか」

京太郎の目に留まったのは、髪の長い謎の美女。
対戦チームが決まった際に見た選手の顔写真の中には、彼女の姿は無かった筈だがと疑問を口にすれば、
良子から彼女の正体を聞かされ、挨拶をする事となる。

一応敵対するチームだというのにいいのだろうか?と京太郎は少しばかり思うのだが、
コソコソするよりは堂々と練習風景を見せてもらえる方がいいのも事実である。

良子を先頭にグラウンドに入り、良子がその女性に声をかけると、すぐさまその女性はてとてとと小走りに駆け寄りぺこりと頭を下げる。

良子「紹介しましょう。 白築慕プロ、今回の対戦チームの監督です」

慕「白築慕です。 よろしくね、みんな」ニコッ

京太郎「よろしくお願いします(……やべぇ、全然知らない人だ。でもすげー美人!)」

綻ぶような笑みを浮かべ、挨拶をする慕。
京太郎は自身の無学を恥じながらも頭を下げ、返礼をするのだが……。

睦月「あばっ……あばばばばば……」

京太郎「津山さん?」

その折、不意に気づいたのは睦月の様子がおかしい事。
目を見開き、口を半開きにし、声にならない声を上げている彼女の隣では――。
同じく美穂子が、目を見開き(なお右目はちゃんと閉じてるもよう)驚いている。
ただ、彼女はまだ睦月よりも冷静であったようで……。

美穂子「白築プロ……あの、確か、ドイツに移住をされていた筈では?」

京太郎「ド、ドイツ?」

慕「都都逸じゃないよ、ドイツだよ」

白築慕。
高校を卒業後プロに入り、小鍛治健夜、野依理沙、瑞原はやりらと共に数々の名勝負を繰り広げてきたプロ雀士。
しかし、彼女はある時を境に日本国外――ドイツに活動拠点を移す。
その後、海外においてさまざまなタイトル戦などに参加をし獲得をしてきたトッププロの1人なのであるが、ともかく。

そんな彼女が何故ここにいるのか、という点について睦月たちは驚いているのである。

睦月「ま、また日本で活動されるんですか!? また白築プロの試合を日本で見れるんですか!?」

慕「ごめんね、そういう訳じゃないんだ。 今回はこの企画に参加する為に帰ってきただけなの」

睦月「そんなー……」シュン

またトッププロの活躍を日本で見れるのかと期待をする睦月だが、それをあっさり否定されしょげ返る。

良子「お疲れ様です、慕さん。 ……大変だったでしょう」

慕「大丈夫大丈夫。 確かにちょっとこっちに来るのは色々面倒事もあったけど、はやりちゃんのお願いだったしね」

くすり、と口に左手をあてて笑う慕。
その仕草を何とはなしに見ていた京太郎だったが、不意にその左手を見て衝撃を受ける。

京太郎「(け、結婚指輪!?)」

その左手の、薬指に嵌められているのは、紛う事無き結婚指輪。
先ほどまでの会話などから牌のお姉さん、瑞原はやりらと同世代らしく、そしてトッププロ。
トッププロであり雀力が強い程結婚出来ないというジンクスがあるというものを知っていた京太郎が、
驚きのあまり口を開けない中で、相変わらず目の前の2人は会話を重ねる。

良子「しかしドイツに旦那さんも置いてくる事になったでしょう……」

慕「仕方ないよ。 ちょっと自活が出来てるか不安はあるけど……」

良子「旦那さんも、慕さんみたいな若いお嫁さんを貰って幸せ者ですね」

慕「そうかなぁ。 私ももう若いって年じゃないよ」ニコニコ

良子「いえいえ、相対的に見れば若すぎるくらいでしょう」

京太郎「(マジか……マジで結婚してるのか……すげぇな白築プロどうやったんだ?
     っていうか、若い? ……確かに見た目は若いけどはやりんとかと同世代だよな? 多分)」

その内心をもし知られたら一部の方々から同じ卓につかされてもおかしくない事を考える京太郎。
なんにせよ、目の前にいる白築慕プロは、相対的に見れば若すぎる――逆に言えば慕から見れば年上過ぎる男性とはいえ、
無事に結婚をしているという事らしい。
おめでとう、白築プロ!

良子「……ところで慕さん、そろそろ本題ですが」

慕「うん、わかった。 ちょっと待っててね、丁度今の時間練習したいって言ってた子がいるから」

世間話を終えた所で、良子は本題に取り掛かる。
忘れかけていたが、ここに来ていたのは対戦チームの偵察の為。
良子の言葉を受けてコクリと頷きながら、慕は一旦ベンチへと下がっていく。

その後ろ姿を見ながら、京太郎は今更ながらに慕の着ている服――ユニフォームに着目する。

京太郎「……初戦から、むっちゃくちゃキツそうですね」

睦月「うむ」

白地に黒とオレンジのライン。帽子に輝くYGマーク。
誰もが知る、野球を知らない者でも知る、絶対的なセ界の盟主。

美穂子「ジャイアンツ……よね」

ベイスターズの選手カードを多く者たちが配属された京太郎たちのチームのユニフォームは、ベイスターズのものそっくりそのまま。
その理屈が通じるのならば、今回の対戦相手の多くはジャイアンツに所属をする選手――の筈である。

良子「よく観察しておいてください。特に須賀くんと津山さん、お願いします」

京太郎「はい」

睦月「うむ!」

そしてしばらく待つ事。ベンチから出てきたのは……。

【久・哩・誠子・泉・佳織】から選択
↓1

>佳織

美穂子「あれは鶴賀の……」

睦月「妹尾さん!」

佳織「津山さん、久しぶり!」タタッ

ベンチから出てきたのは、やはりジャイアンツのユニフォームを着こんだ少女。
鶴賀学園高等部2年、妹尾佳織であった。
彼女が姿を現した途端、睦月はその名を呼び、佳織もまた嬉しそうに笑みを浮かべながら睦月に駆け寄る。
なんだかんだ言って、それぞれの高校がバラバラになった中、初めて会えた同じ高校の仲間だ。
今は敵対しているとはいえ、お互いにその名を呼び握手を交わしても仕方のない事である。

佳織「津山さんの方は大丈夫? 何か問題とか……」

睦月「うむ、至って平気。 むしろというか、妹尾さんの方が心配なんだけど……」

佳織「酷い!?」

天然気味である佳織の事を心配しての言葉だったが、佳織としては不本意だったらしくショックを受けているらしい。

睦月「ご、ごめん。 でも、平気なんだよね?」

佳織「うん。 みんないい人ばかりだしね。 鶴賀の他のみんな……特に桃子さんの事は心配だけど」

睦月「うむ……」

佳織「……あっ、そういえば練習を見たいんだよね? あまり上手くないけど、頑張るから見ててね!」

睦月「う、うむ!」

そう言いながら、バットを持ってバッターボックスに駆けていく佳織。
その勢いに圧倒されながら、睦月は困惑したように彼女の姿を見やる。

京太郎「……俺達に見られてるのに張り切って練習しようっていうのも凄い話な気もしますね。情報与える事になるのに」

睦月「妹尾さんは一生懸命だから。 ……さぁ、見させてもらおう。 どんなカードを持ってるか、フォームとかを見てれば後は背番号とかで予想は出来る」

………

佳織「(野球好きな津山さんが見てる前で情けない所は見せられないよね。が、頑張ろう!)」

01~32 選手カード判明
34~65 選手カード&能力値判明
67~98 選手カード&能力値&スキル判明
ゾロ目 上記に加えて対戦時全能力-10

↓1

>ゾロ目 選手カード&能力値&スキル判明 +対戦時全能力-10

練習を開始する前、睦月と京太郎はその背番号を見て戦慄をした。

京太郎「55番って……マジですか」

ジャイアンツの55番。
野球を知る者ならば、その背番号が持つ重みを誰しもが理解するだろう。
高校時代、プロ時代、そして海を渡ってのメジャー時代。
日本を代表するスラッガーとして一時代を築いた、まさにスーパースター。
『ゴジラ』と呼ばれた男の背番号である。

まさか、佳織がそんな彼のカードを持つというのか。
流石にそれは初戦から難易度が高すぎるのではないかと京太郎が内心頭を抱える中で……。

佳織「…………」てくてく

佳織「お、お願いします!」

京太郎「…………」

睦月「右打席に入ったね……」

そう、佳織は右打席に入った。
京太郎たちが思い描いた強敵――『ゴジラ』は、左打ち。打席が違う。
元々は右利きであり右打席で打っていたとかいう豆知識は、この際置いておく。
ともかく、佳織は『ゴジラ』ではありえない打席に入った。

では、一体誰のカードを引いたのか?
答えはすぐに出た。あっさりと。

ブンッ! ブンッ! ブンッ!!!!

佳織「ふぇ~ん!」

京太郎「………………」

睦月「………………」

打席に入った佳織は、ザコプロの投げるボールをとにかく振った。来るボール来るボールとにかく振った。
落とす球を振り、曲がる球を振り、直球を振り、そして、バットに当たる事はなかった。

落ちる球は見逃せず。
曲がる球は合わせられず。
直球には振り遅れ。

目でも瞑ってバットを振った方がまだ当たるんじゃないか、と言える程、当たらなかった。

美穂子「あ、あの……今、すごくバットとボールの間に差があったように思えたのだけど」

京太郎「見間違いじゃないです。 なんというか……なんというかなぁ、もう……」

良子「……あのスイングスピードを見るに、当たれば飛びそうではありますが。
   ああ……ところで津山さん、須賀くん。 選手カードに見当はついたのですか?」

京太郎「ええ……55番で、『ゴジラ』じゃない。右打席で、あのスイング。 ……まあ、一発ですよね」

睦月「多分、『大田泰示』のカードだと思います」

【大田泰示】
元読売ジャイアンツ所属、現日本ハムファイターズ所属。
ジャイアンツ入団当初はその身体能力の高さなどから期待され、
背番号『55』(かのゴジラ松井がつけていた背番号)を与えられていた。
飛ばす力や肩の強さなど、肉体的には超一流レベルでありながら、元々は内野だったにも関わらず外野へとコンバートされた守備難。
当たれば飛ぶがそもそも当たらないスイングなど、問題点が数多くあり、また、怪我も多く一軍定着には至らず。
2016オフシーズンに日本ハムファイターズへのトレード移籍が決定した。
とにかく、当たれば飛ぶ『ロマン砲』。このまま未完の大器では終わって欲しくない選手の1人。

           ,..-‐: . : . : . :,、: . : . : . : . \: し-<_>、__

            /: . : .:/.:./..:../ ヽ.:..、:..:..:i.:..l:. ヽ.\ \ \ `フ
          /;..:./.././..:/ .//   } i :i_}:-|、 |:.. i:..:.:\/!_/!/
          .// i { { .{,.:A-i/、   }ィ ´リ }ハ`:}ー:|.|.:..:..:.i..:..:..:..ヽ
        {ハ: |ハ:..:!..:!.ハ.{!   ノ}..:ノ .}! |ハi!:..}ノ.、:.|.:.|:..:..:..|:..|
         丶!、!:.|:.:ゝ `    '´     }ノ!:..:..i:|.:.|.:..:. |..:|
           }人!、__`○_,===、_`○_/7 } :..|.ト!..|:..:..i..:|.:.|
          //:..〉 ー;;‐;;―′  `ー‐;;‐;;‐′! .:.|i:リノ:..:/:./!:..!
           {ハ:..!      r----┐    //..:..|イ!:..:./::/ }:/
           {! |:.ト、      !    ノ     /.:..:..:/!ノ:..:/ / ,jノ
            丶゙、`ー-、_`ー'"   ,..ィ.:..: /ノ:..:..{:/
            ヽ:゙、____7! ̄ ̄ノy':..;イ‐(:.|:..:..:.{
            /r) V ,.ィ リ  /〈:..:〈 !|  i..|、:..:..\
           ハ{/) / |  |/ /ヽ:..)!/、{ `ーr-、ヽ
            |__{(_,/ .|/ /  r)ケぅー'    |  )ノ
            r<_ ク/   / /    /((ハ \:... |ノノ

・妹尾佳織

右投げ右打ち 守備位置:外野手/一塁手

所有カード:大田泰示(巨)

巧打10 長打50 走力50 守備10

【当たれば飛ぶ】
読みが一致した際、長打力+30。

【ビギナーズラック】
打者時コンマ下2桁が55・44・33の際、コンマ数値を2倍にする。

※ここから対戦時には全能力が-10されます。

その後、たまたまバットに当たったボールが場外へと消えていった辺り、
やはりパワーに関しては佳織もまた規格外ではありそうである。
パワーはある。パワーは。

良子「須賀くん……対策はありますか?」

京太郎「………………」

佳織「津山さん、今ので良かったかな!?」キラキラキラ

睦月「う、うむ……見事なホームランだった。凄いよ、妹尾さん」

佳織「よかったぁ……」ホッ

ホームランを打ちはしゃぐ佳織を見て、バツが悪そうに頭をかきながら、京太郎は言う。

京太郎「落ちる球3つで、いいんじゃないですかね……」

良子「私も同じ見解です」

勿論、実戦ではどうなるかはわからない。
京太郎自身制球がいいとは言えない方であるし、佳織も試合までに成長をする可能性も……あるかもしれない。
だが、少なくとも、今の打席を見ている限りでは。

まともに勝負するでなく、ストライクからボールになる落ちる球3つで簡単に三振が取れそうではある。

良子「まぁ……油断は禁物です。 何度も言いますが、パワーはあるんですから。
   上手く当てられたら、一発。 という事もあり得なくはありません」

美穂子「須賀くんの球威なら、それでも押し込めそうだけど……」

いずれにせよ、初めての偵察は最高の結果で終わったと言っていい。
佳織の選手カードのみならず、能力の詳細や弱点(弱点しかないとは言ってはいけない)も判明したのだから。

しばらくしてから佳織も練習を取りやめ、京太郎たちは再びB級バスで帰路につく事となった。
慕たちに挨拶をしてからその場を立ち去ろうとした京太郎だったが、
不意にそんな京太郎に佳織が背後から声をかけてくる。

佳織「あの、須賀くん」

京太郎「? はい、なんですか?」

京太郎が振り向けば、佳織はどこか弱弱しく、京太郎に怯えたようにびくついている。
はて、何かしただろうか。ほぼ初対面に近い状況である為、怖がられる意味がわからない。
というか、話しかけておきながら怖がるとは一体どういう事かと疑問に思うのだが、
そんな中、佳織は意を決したようにキッと京太郎を――やはり弱弱しく睨み付けつつ、その口を開く。

佳織「つ、津山さんが綺麗だからって、襲っちゃ駄目だからね!」

京太郎「ええ!?」

予想外の言葉に、思わず京太郎としても驚きの声が飛び出す。
バスに乗り込もうとしていた睦月や美穂子、良子もギョッとする中、佳織は更に続ける。

佳織「お、男の人は狼だって言うけど、けど、だから、駄目だからね!
   津山さんを傷つけたら鶴賀の皆で、えーっと、怒るんだから!」

京太郎「ちょ、ちょっと待って……(なんだこれ? 濡れ衣もいい所だぞ。 まさか極端な男嫌いの人……いや、津山さんも驚いてるしそれは無いか?
    ここは……)」

1.「……部長の入れ知恵ですか」
2.「いやいや、しませんよそんなこと!」
3.「それじゃあ妹尾さんが代わりに襲われてくれますか?」

↓1 ついでに佳織の初期好感度判定。下コンマ1桁

>2.「いやいや、しませんよそんなこと!」

流石にそんな不名誉な事を、これから対戦する相手とはいえ思われてはたまったものではない。
必死になって否定する京太郎に、佳織は「でも……」と疑いの眼差しを弱めはしなかったのだが、
これを見かねてようやく睦月も仲裁に入る。

睦月「落ち着いて妹尾さん、須賀くんはそんな事しないよ」

佳織「本当に? 津山さんが庇ってるとかじゃなくて?」

睦月「本当だよ」

当の睦月から否定をされては、佳織としてもこれ以上追及する事は出来ない。
とはいえ、まだ納得はしていないのか……それとも睦月に言われた事と、"吹き込まれた事"。
どちらを信用すればいいのか迷っているのか。
頭上に"?"マークを浮かべて首を傾げている。

睦月「そもそもそんな人なら一緒に住めてないでしょ」

良子「イエス。 合意の上でならともかく、そんな人ならとっととこの企画からご退場願ってますよ。 ついでに人生の方も」

佳織「そう……だよね? うーん……」

そして更に良子も加勢した所で、ようやく佳織も腑に落ちたのだろう。
ホッと安堵の溜息を吐いて睦月を見やった後、京太郎に頭を下げて謝罪をする。

佳織「ごめんね須賀くん……勘違いだったみたい。 本当にごめんなさい」ペコッ

京太郎「ああいえ、気にしてないんで」

疑いが晴れたはいいが、一体どうしてそんな事を思ったのか。
問いかけてみたい気もしたが、時間も無いという事で京太郎たちはすぐにバスに乗りその場を去る。

京太郎「(そんなにエロそうな顔してるかなぁ……俺。 いやまぁ、確かに妹尾さんの胸はチラチラ見てたかもしれないけど)」

バスの中でも腕を組み、頭を悩ませる京太郎。
不意にそんな彼の耳に『ヒーサッサッ』という笑い声が聞こえた気がしたが、きっと幻聴だろう。

※佳織の初期好感度が6になりました。
※佳織の好感度が7になりました。

その後、寮に帰った京太郎たちは偵察の結果を留守番していたやえ達に報告した後、
そのまま夕食を取った。

京太郎「何はともあれ、こうして直に対戦相手を知るといよいよ試合が近づいてきたって感じがするな。
    さて、飯も食ったし後の時間は何をしようか」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲・穏乃】

↓1 交流or電話する相手

>美穂子

京太郎「……ん?」

結局何をするでもなく、食堂で時間を潰していた京太郎だったが、手持無沙汰になり寮を徘徊する事にした。
寮の中にはトレーニング室などもあるがこちらは殆ど使われている事がなく、
京太郎も使用経験は無い。
にも関わらず、何故かその部屋が今は明かりが点いており、おまけに中からは何やら物音がする。

京太郎「(って言っても体鍛えるのが趣味って感じの人いなさそうだし……強いて言うならもっと野球で強くなりたいから津山さんとか?
     誰がいるんだろ……)」

京太郎「すみません、失礼します」コンコン

興味が沸いた京太郎は一言断り、ノックをしてから部屋を開けるが――。

京太郎「……福路さん?」

美穂子「あ、須賀くん」

京太郎「何してんですか」

美穂子「お掃除よ。 お昼の間には出来なかったから……」

京太郎「(そりゃまぁ、見ればわかりますけど!)」

三角巾にエプロンを身に着け、箒と塵取り、バケツを傍らに置き、
自身は雑巾を持って懸命に床などを磨いている、美穂子。
京太郎が声をかけると平然と返しながら掃除を続けるが、違う、そうじゃない。

京太郎「でもこの部屋って誰も使わないですよ?」

実戦的な練習ならばともかく、筋力などをつけるようなトレーニングは京太郎たちは殆ど取り組んでいない。
精々、グラウンドで練習を開始する前に行うランニングや準備運動など、単純なものばかりだ。
よって、このトレーニング室もいわば形だけの存在である。

美穂子「そうかもしれないけれど、でも、やっぱり汚れがあると気になるし……。
    それにほら、もしかしたら誰かが使うかもしれないでしょう?」

京太郎「それは……まぁ、そうですけど」

美穂子「その時に、気持ちよく使ってもらいたいじゃない」ニコッ

ただ、それが美穂子が掃除をしないという理由にはならない。

彼女にとっては自分たちの住まう場所の1つの部屋が汚れていれば、綺麗にするのは当たり前。
使われる事は今後も無いかもしれないが、もしかしたら使われる事もあるかもしれない。
その時に汚れていて、嫌な思いを誰かにさせるのは御免だから、綺麗にする。

笑顔でそう言う美穂子に、京太郎は思わず頭を押さえる。

京太郎「(……いい人いい人と思ってたけど、度が過ぎてるレベルでいい人だ。
      多分1円とかでも拾ったら交番に届けるタイプだこの人!)」

美穂子「あ、もしかして須賀くん……使いに来たのかしら?
    ごめんなさい、すぐにお掃除終わらせるわね」

京太郎「いえいえ、違います! ぶらぶらしてたら明かりがついてたんで誰がいるかなって見に来ただけですよ」

美穂子「そうなの?」

京太郎「そうです。 ……っと」

1.「俺も手伝いますよ。 2人でパパッとやっちゃいましょう」
2.「あまり無理しない方がいいですよ。 適度に気を抜かないと……」
3.「そういや偵察の時の事ですけど、俺ってそんなにスケベそうに見えますかね……」

↓1

選択肢は+1、+1、+2なので、どれを引いても上がるようにはなっています。
会話で上がる好感度は+2~+4までになります。
説明してなかったですね。

>3.「そういや偵察の時の事ですけど、俺ってそんなにスケベそうに見えますかね……」

ふと気になったので、そう問いかける京太郎。
あの時は気にしていない風を装いはしたが、須賀京太郎15歳、そこそこ図太いものの繊細な部分も持っている。

果たしてこんな事を女性に聞いていいのかどうかという気もしたが、
美穂子ならそこまで手酷い事も言わないだろうと考えての質問であり、そういう意味では打算的な考えもあったのだが、
その言葉を受けた美穂子は驚いた表情を浮かべた後、いったん手に取っていた雑巾をバケツの縁にかけ、手を拭いてからキッパリ言う。

美穂子「気にしてたのね……須賀くんは、真面目でいい子よ。
    毎日強くなる為に練習をしてるし、ちゃんと食事当番もこなしてくれてるもの。
    この前だって私の部屋のお風呂を直してくれたし、本当に頼もしいわ」

京太郎「そ、そうですか?」

美穂子「ええ。 須賀くんと同じチームになれて、良かったって思ってるもの。
    男の人と一緒のチームというのは、少し怖かったけれど……。
    それが知り合いの須賀くんで、数日程度だけど一緒に過ごせて、やっぱりいい子だって思えたから」ニコニコ

京太郎「(……女神かな?)」

どうやらそれは本心のようで、微笑みながら告げる美穂子。
京太郎としては練習をするのはエースになると決めたから当然。
食事当番にしたって決まっている事なのだから、それをこなすのは団体生活をする上でやはり当然。
部屋の風呂を直したというのも、あれはそもそも単に電源を入れただけだ。

最後の事については美穂子の名誉にもかかわるであろう為にぼかしたが、
ともかく、やって当然である事だと言うも、美穂子は首を振る。

美穂子「やって当然の事かもしれないけれど、それでもやった事は事実なのだから。
    それに感謝されたり、凄いと思われたりするのは、やっぱりそれも当然だと思うわ」

京太郎「(世の中がみんな、福路さんみたいな人ばかりだったら戦争なんて無くなるんだろうな)」

ここまで言われると、もはや嬉しいを通り越して気恥ずかしいくらいである。
だが、勿論、悪い気はしない。
しばし京太郎は心地よい言葉を耳にしふわふわとした幸福感に包まれていたのだが……。

美穂子「あ、でも……」

京太郎「?」

美穂子「その……あのね。 たまに、その……」

京太郎「なんです?」

美穂子「じょ、女性の……む、胸を見るのは……ちょっと、やめておいた方が、いいんじゃないかしら」

京太郎「」

急転直下で叩き落された。
人生、そんなに甘くない。

京太郎「しょ、そんなに見てますかね……」

美穂子「た、たまに……」

あくまで、美穂子はたまにと念押しをしながらも、その悪癖はやめておいた方がいいのではないかと苦言を呈する。
言っている側の美穂子も、やはりそういった事には耐性が無いのだろうから顔が真っ赤であるが、
京太郎からしてみればそれ以上に地獄だ。思わず噛んでしまうレベルである。
先ほどまで女神か聖母かと思っていた女性から、胸の見過ぎで注意を受けるのは流石に厳しい。

無論、誰が悪いかと言えばどうしても見てしまう京太郎の方が悪いのだが。

美穂子「その、須賀くんがそういう風に思われたくないというのなら、だけど……な、なるべくね?」

京太郎「(何という事だ……何という事だ……。折角褒められてたのにとんでもない事になってしまったぞ。 え、えーっと)」

1.「はい、気を付けます……すみません」
2.「なるべく気を付けたいですけど、出来るかどうか……」
3.「これはもう本能みたいなもので……」

↓1

>1.「はい、気を付けます……すみません」

ともかく、ここは平謝りしかない。
相手に気取られていないつもりではあったが、事実としてバッチリ相手からは察知されており、不快にさせてしまっていたのだ。
それに対してしっかりと謝罪をしない訳にはいかず、これからは改善すると頭を下げて宣言をする。

美穂子「う、ううん。 私こそ言い方がキツくなってごめんなさいね……」

全くキツくはない。むしろ優しいくらいである。

美穂子「私は気にしてないから……ね?」

京太郎「はい……」チラッ

そして、顔を上げる京太郎だが――。
胸を見ないように、と意識をし過ぎたせいか、逆に気になり……顔を上げる途中、見てしまう。
見てしまうのである。その美穂子のたわわなものを。舌の根も乾かぬ内に。

美穂子「…………」カァッ

京太郎「す、すみません! 俺、もう寝ます! お疲れ様です!」スッタカター

美穂子「あっ、須賀くん!」

その視線に気づいた美穂子が頬を赤らめた所で、京太郎は己の失敗に気づいたか、
もう一度頭を下げると脱兎の如く部屋を逃げ出した。

後に残ったのは美穂子1人である。

美穂子「悪い事しちゃったかしら……」

それでもなお自分が悪かっただろうかと考えてしまうあたりが、福路美穂子。

女子高育ちでお嬢様、そんな美穂子であるが、一応は、男性の性的な色々なども、多少なりとは知っている。
女子高だからといって全員が全員清楚でおしとやかという訳ではないのだ。風越の大将などを見ていてもわかる。
結果、耳にしたくなくとも勝手に入ってくる色々な事。

やれ、男の人は胸がすきだの。大きいのがいいだの。小さいのはステータスだの。
でも結局の所は大きい方がいいだの。いや、尻だの。尻は大きいのがいいだの。いや小さいのだの。

それらのデータは美穂子にとってはやはりあまり理解しがたいが、ともかくとして、知識としては知っていた。
実際、町を歩いていても、すれ違う男性から視線を感じる事もある。

美穂子「(そんなにいいのかしら……?)」

ふと視線を下に降ろせば、確かに平均よりは大きな胸がある。
足元が見えない程度には、大きい。
が、美穂子としてはこれがそんなにいいものかとは思えない。悪いとも思った事は無いが。

ただ、先ほどの京太郎の反応や、聞いた話、それに街ですれ違う男性などの反応を考えるに、
やはり男性は、こういったものが好きなのだろう。
それを我慢しろ、というのは――やはり酷だったのかもしれない、と彼女は思う。筋金入りの聖人である。

美穂子「(視線なんかはどうしても意識しても治せないものだし……仕方ない、のかしら。
     何もさ、さ、触ったり……なんて、いう訳じゃないんだし)」カァッ

そこまで考えて、美穂子は再び頬を赤く染めた。
京太郎に胸を触られる所を想像して――流石にそれは、遠慮願いたいし何より恥ずかしいらしい。聖人にも限界はあった。

美穂子「そ、そうね……見るくらいなら、何も……。 流石に、じっくり見られたりしたら恥ずかしすぎるけれど……。
    意識しても、どうしても無理な事ってあるものね。 ええ……」

ぽつぽつと独り言をつぶやきつつ、掃除を再開する美穂子。

美穂子「それに、それだけ難しくても、頑張るって言ってくれたんだもの……多少は、出来なくても、その努力を誉めてあげないと」

むしろ本能に負けず抗おうとする京太郎を評価までする始末であった。

………

京太郎「ああああああああああ!! くっそ、憎い! 俺の性的趣向が憎い!!! 俺の男としての性が憎い!!!」

なお、部屋に戻った京太郎は自己嫌悪に苛まれ夜も眠れんもよう。

※美穂子の好感度が+3されました。
※美穂子の好感度が20になりました。

日常パート 5日目

京太郎「ぉはよーございます……」

良子「グッドモーニング。 ……どうしました、元気が無いようですが」

京太郎「なんでもないです」

美穂子「おはよう、須賀くん」

京太郎「! あ、ふ、福路さん。 おはようございます」

翌日、起床してきた京太郎は欠伸をかみ殺しながら食堂へ。
良子たちからも心配されるのだがそれに何でもないと答えつつ……そこに美穂子が現れ、明らかに動揺をするのだが、美穂子はいつものように静かな笑みを浮かべるだけである。

京太郎「(お、怒ってないのか……?)」

美穂子「どうしたの、須賀くん? 何か顔についてるかしら」

京太郎「あ、いえ。 それよりその、昨日はすみませんでした……」

美穂子「ううん、こちらこそごめんなさい。 さぁ、朝食も出来たから座って」

京太郎「はい(天使か……本当にこの人の期待を裏切っちゃいけないな)」

失望されるか怒られるかすると思った京太郎だが、美穂子はまるで怒ってもいない様子である事を見て、ホッと安堵しつつ、
今度こそ胸を見ないよう努力しなければと気持ちを新たに誓うのだった。

美穂子「(……須賀くん、今日はまだ1回も見てない……頑張ってるのね! 私も頑張らなきゃ)」ニッコリ

これには美穂子もニッコリ。

京太郎「ふぅ……福路さんが優しい人で良かった。 本当によかった。
    さて、それはともかくとして今日も1日がはじまるぞ。
    試合は7日目。 今日が5日目、明日が6日目だから自由に使える時間は試合まで丸2日分だな。
    いよいよ試合が迫ってきた感じがする。 今日はまず何をするかな」

朝行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
好感度についてですが、25を超えたあたりから名前呼び解禁くらいを考えてます。
それではお疲れ様でした。

乙です
シノチャーの夫婦生活が気になる所っす

>>519-520
乙ありです。
>>521-523
乙ありです。旦那さんはドイツでシノチャーの帰国を待ってる感じですね。
夫婦生活はほのぼの仲良くやっているんじゃないでしょうか。

もうちょっとしたら開始します。

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、今日もまずは練習からだな」

試合まで残り時間が少ないのならば、尚更練習しなければと発奮をした京太郎。
朝食を終えたその足で練習場へと向かうのだが……。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

↓1

次は4P貯まってたと思うむっきー選びたいな

>>527
京太郎が1、霞が3、睦月が4、やえと美穂子が0ですね
次からは現在の経験値も併記するようにします。

>霞

霞「あら、須賀くん」

京太郎「石戸さん? もう来てたんですか」

朝食を終えてすぐに来たつもりの京太郎であったが、既にグラウンドにはザコプロだけでなく霞の姿がある。
傍らには今日も今日とて監督である良子がおり、どうやら2人は京太郎に先んじて練習をしていたらしい。

霞「これでも早起きは得意だから。 ふふ」タユン

京太郎「(やっぱり笑うと揺れ……って、いかんいかん! 俺は見てない、俺は見てないぞ!!)」バッ

霞「?」

笑うたびにその振動でたゆたゆ揺れる霞のそれを思わず目で追ってしまいそうになる京太郎であったが、
昨日の失態、今日の反省を思い返しその顔を背ける。
その様子に霞は首を傾げるが、京太郎としては美穂子への誓いを裏切る訳にはいかないという信念がある。

良子「どうしました、須賀くん? 霞と何かありましたか?」ポヨン

京太郎「(ノオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!)」

しかし、顔を背けた先にあったのもまた、巨乳。
京太郎は嬉しい筈であるがしかし今はなるべく避けたいという二律背反を背負いながら、
内心絶叫しつつその場を離れた。
見ないようにと思ってしまうと、どうしても見てしまう。仕方ないね。

京太郎「ら、ランニング行ってきます!!」スタコラー

ダダダッ、と凄まじい勢いで走り出す京太郎を、茫然と見送った後、霞と良子は顔を見合わせる。

霞「良子さん……何かしたんですか?」

良子「いえ、まったく身に覚えがありません。 ともかく、須賀くんが戻ってきたら練習再開と行きましょう。
   試合に向けて2人の息も合わせないとなりませんからね。 勿論、私もレクチャーしますので」

霞「はい」

01~32 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

> 経験値2
>霞合計経験値5

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。


霞ステータス>>166
霞新規習得可能スキル群>>169

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【円熟したフレーミング】[フレーミング発展形]
2.【高速スローイング】
3.【意外性】
4.【いぶし銀】
5.サブポジ習得(覚えるサブポジ併記)
6.保留

※円熟したフレーミングの制球判定上昇は1段階上昇でなく2段階上昇でした。訂正します。

↓1

>1.【円熟したフレーミング】[フレーミング発展形]

ランニングから戻ってきた京太郎を捕まえ、以前と同じようにバッテリーを組み投球練習をさせる良子。
どこか落ち着かない様子であった京太郎だったが、練習を始めてしまえば集中出来たようで、
しっかりと球威のある球を霞のミットめがけて投げ込み始める。

しかしながら、幾ら四球癖が多少なりと改善されたとはいえ、相変わらず京太郎の制球が定まっているかといえばそうでもない。
厳しい所を突こうとすれば外れる事も多くなり、このままではいざ試合になった時、
『くさいところ』を要求したとしても最悪の場合四球祭りになってしまう可能性もある。

そこで霞である。

霞「……っ!」

バシンッ!!

良子「お見事です」

フレーミング――いわゆるミットずらしと呼ばれる技術。
際どいボール判定になりそうな球を、キャッチの際にミットを僅かに動かしてゾーンを掠めていると審判に判断させるそれを、
霞は引き当てたカードの恩恵により既に身に着けていた。
露骨にやれば逆に審判の心象を悪くするそれだが、霞のそれは繊細にして豪胆。
中継カメラなどでスローで見ればまだわかるかもしれないが、審判の目線からは気づく事も難しいだろうものである。

今回の練習において、霞はそれを更に昇華させた。
より一層外れたボールも、なんとかゾーンに入っていると錯覚させる技術を身に着けたのである。

ボールを受ける霞の背後で審判役となっていた良子も太鼓判を押し、
霞はマスクを外して小さく溜息を吐くと微笑みを見せる。

霞「試合までになんとかものになってよかったわ」

良子「これならば十分試合でも使えるでしょう。 本当に、わかりません」

霞「ありがとうございます」

霞「須賀くんも、付き合ってくれてありがとう」

京太郎「い、いえ。 俺の練習にもなりましたし」ソワソワ

一定の成果が出たという事で練習も区切りがつき、京太郎の方へと歩み寄ってくる霞。
一方で京太郎として、近づく――すなわち歩くたびにぶるんぶるんと揺れているそれを見ないようにするだけで必死だ。
思わず顔を背けたまま、返答をしてしまうのだが……。

霞「こらっ」コツン

京太郎「うわっ」

そんな京太郎にしびれを切らしたのか、軽く頭を拳骨でコンと叩く霞。
まるで力が入っていないそれは叩くというよりは撫でる、といった方が的確であるが、
ともかく、京太郎は叱られたという事を理解する。

霞「人と話をする時は目を合わせなさい。 本当にもう、どうしたの須賀くん?」

京太郎「すみません、やんごとない事情がありまして……でもそうですね。 失礼でしたね」

胸を見ないようにと注意をするばかりに、胸どころかその人の目――その人自身を見ないようにとし過ぎてしまっていた。
それは確かに霞の言う通り失礼であり、相手を不快にさせない為にとやろうとしていた事が逆に更に不快にさせてしまっていたという本末転倒ぶりである。
京太郎は素直に謝罪をすると極力胸を見ないようにとしながら霞と顔を合わせる。

霞「そう、ちゃんとお話は相手の顔を見てね」

京太郎「はい。 (そうだな……あまりに胸を見ないようにと言ったって、さっきまでのじゃ逆に失礼だしな。程ほどにしよう。 それはともかく……)」

反省をする京太郎であったが……。

京太郎「(……さっきの叱ってる時の霞さん、小さい子供を叱るお母さんって感じだったなぁ)」

霞「………………」ゴッ

京太郎「ひぇっ」

良子「……何をしているんですかあなたたちは」

先ほどまでは優しく叱ってくれた霞が、不意に殺気を放った事に怯える。
なお、良子が間を取り持ち無事まにあうもよう。

※霞が【円熟したフレーミング】を習得しました。
※霞の新スキル候補に【ささやき戦術】が追加されました。
【ささやき戦術】pt5
捕手時能力。対戦打者のコンマ下1桁が2・4の際巧打力-10。

その後、一旦休憩となりベンチで体を休める京太郎。
霞と良子は何やら話をしており、少し離れた位置にいる。

京太郎「(石戸さんも福路さんもとても穏やかで優しいんだけど、石戸さんだけは時々恐ろしさを感じる。
     あれは一体なんなんだ。
     ……さて、気を取り直して次は何をしようか)」


朝行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、続けて練習するか!」

良子「気合が入ってますね、須賀くん」

霞「ええ。 なんだかんだ言って、真面目そうではあるのよね……」

昼になるまでは練習に時間を費やそうと考えた京太郎は、ベンチから立ち上がると颯爽とグラウンドへと走っていく。
その様子を笑みを浮かべながら見つつ、良子と霞もゆっくりと後を追うのだが……。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

経験値一覧
京太郎 1
睦月  4
美穂子 0
やえ  0
霞   0

↓1

>睦月

睦月「あ、今から丁度練習する所かな?」

京太郎「津山さん!」

やえ「ふっ、私もいるぞ!」

美穂子「私も来ました」

これから練習をしよう、というタイミングで同じくグラウンドに姿を現したのは他の3人。
寮にいた筈の睦月、やえ、美穂子だった。
これだけの人数がグラウンドに勢ぞろいをしたのは初日以来初めての事であり、
一体どうしたのかと京太郎たちが顔を見合わせると、美穂子は苦笑をしながら答える。

美穂子「もう試合は明後日なのだから、全体練習をしておいた方がいいんじゃないかって……津山さんが」

確かに睦月の言う通り、試合までに全体での練習はしておきたかった所である。
如何に選手カードがあるとはいえ、中身は全員が野球素人な上に所属高校もバラバラ。
うまく連携が出来るか――特に守備面では不安が残る。

やえ「麻雀ならば団体戦でも実際に戦うのは個人となるのだからこういった事は不要と言えば不要なのだが……。
   流石に野球をする上ではそういう訳にもいかなさそうだしな!」

良子「ベリーグッド。 選手たちが自主的にそう言ってくれるのは、素晴らしい事です。
   津山さん、よく声をかけてくれましたね」

睦月「う、うむ……いえ、むしろ福路さんと小走さんには迷惑だったんじゃないかと……」

美穂子「とんでもないわ。 私も、やっぱり野球には詳しくないからそういった事には気が回らなかったから。
    本当にありがとう、津山さん」

京太郎「(津山さんは本当にこの中で人一倍やる気あるよなぁ。 俺も見習わないと)」

謙遜する睦月であったが、実際、彼女が声をかけなければこういった機会は試合まで訪れなかったかもしれない。
野球を知る京太郎としても反省する所であり、また、キャプテンである霞もどこか申し訳なさそうな表情である。

霞「ごめんなさい、津山さん。 本来なら私がするべきだったわね」

睦月「いえ、石戸さんも他に色々忙しいでしょうし、これくらいは……。
   それにキャプテン就任の時にも、支えられるようにと言いましたから」

霞「そう。 ありがとう、これからも頼りにさせてもらうわね」

良子「さぁ、それでは早速練習に取り掛かりましょう。 時間は有限、タイムイズマネーです」

01~32 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ78 経験値3
>睦月合計経験値7

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。

睦月ステータス>>163
睦月新規習得可能スキル群>>168

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【高さ危険太郎除去】
×2.【横浜愛】 !ポイントが足りません
3.【意外性】
4.【ピンチに強い】
5.サブポジ習得(覚えるサブポジ併記)
6.保留

↓1

>6.保留

それから5人はザコプロも交え、全体練習を行った。
その内容はといえば、殆どが守備での連携の確認。
京太郎が投げ、霞が受けてからの盗塁をされた時を想定しての美穂子のセカンドカバーの確認。
ランナーがいる際にはセカンド、ショート、どちらが入るべきなのか。
外野ではやえと睦月が揃ってフライを取り、或いはゴロを受け、返球をするという練習を行っている。

京太郎「(なんか楽しいな。 いや、体を動かして辛くはあるんだけどさ)」

和気藹々と、しかしながら真面目に、多人数で練習に打ち込むのは、中々に楽しい事である。
考えてみれば、この雰囲気は清澄で部活動をやっていた時に似ているかもしれない。
自分は中々周囲の者たちと卓を囲んでも勝てなかったが、それでも楽しかった。

京太郎「(みんなもなんだか楽しそうだし)」

ふと見てみれば、京太郎を除く4人もどこか楽しげである。
それも当然と言えば当然だろう。
彼女たちもまた、元いた学校では頂点を目指して時に厳しくも、仲間と共に切磋琢磨をしてきた雀士である。
競技の違いこそあれ、全体で1つの目標に向かって練習に励むという行為に、どこか楽しさを感じても不思議ではない。

京太郎「(特に楽しそうなのが……)」

睦月「うむっ!!」ビューンッ!!

外野フライを捕球すると同時、碌な助走もつけずにバックホームをする睦月。
それでもボールは凄まじい速度で突き進み、一気にホーム――横で構えていた外野練習に付き合ってくれているザコプロくん(捕手)の元に届く。

前回の練習に引き続き、睦月の様子もまた絶好調。
正しく躍動していると言っていいくらいである。

睦月「今日も練習が楽しい。 私の筋肉がエキサイトしている!」

やえ「……言葉の意味はわからんが、ともかく凄いな津山。 絶好調じゃないか」

睦月「うむ! 絶好調!」ガッツポ

やえ「………………」

思わずやえですら引いてしまいかねない……。
否、軽く引いている程にテンションを上げて、キラキラした瞳でそう言い放つ睦月。

霞「なんというか……津山さんは、本当に野球が好きなのね」

京太郎「人が変わりますよね。 まあ、悪い事じゃないですけど」

美穂子「ええ。 あれだけ一生懸命になれるんだもの。 それはとても、素敵な事だわ」

少し離れた所でその光景を見ていた京太郎たちは、改めて睦月の野球好き。横浜愛に呆れるやら感心するやらである。
しかし、まあ、決してそれは悪い事ではない。
少々面倒というか、ヒートアップし過ぎる所はあるが、その情熱はこれからの事を考えれば頼もしい事である。

睦月「監督、もう一度お願いします!」

良子「オーケイ、それでは行きますよ。 小走さんも準備お願いします!」

やえ「ふっ、お見せしよう! 王者の守備力(20)を!!」

京太郎「俺達も続けましょうか」

霞「ええ、そうね」

美穂子「ふふ、津山さんたちにも負けないよう、頑張りましょう」

ふんふむ
全体練習時に1人にしか経験値がいかないのは何とも
練習が選ばれた時に全員って言う項目を加えても良い様な気がして来ました

………
……


京太郎「さて、そろそろ昼時だな。 みんなも一旦小休止って所だ。
    この後はどうしようかな……」

昼行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>>549
全員という形にすると、そうですね。01~49で経験値+0、50~98で経験値+1、ゾロで+2くらいでしょうか?
ただ今後仲間が増えて行った際の事とかもあるので、どうしようかと悩ましいですね。
またちょっと考えてみますが、ひとまずはこのままでお願いします。

>1.会話(チームメイトと交流します)

京太郎「そうだな、折角休憩中で手が空いてるんだし誰かと話でもしてみよう」

【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】から選択

↓1

>霞

霞「須賀くん、どうしたのきょろきょろして」

京太郎「あ、石戸さん。 いや、なんというかじっと休憩するのも暇だったもんで……」

話し相手を探していましたというのは流石に気恥ずかしく、適当にはぐらかしながら返答する京太郎。
それにくすりと笑いながら、霞はそっと手に持っていた弁当箱を取り出す。

霞「お腹、空いて無いかしら? よければご一緒にどう?」

京太郎「弁当ですか!? いや、いただけるならご馳走になります!」

霞「ふふ、お礼なら私じゃなくて津山さん達に言ってね。
  もしかしたらお昼を過ぎてもこちらにいるかも、と思ってお弁当を作ってきてくれたのは彼女たちなんだから」

京太郎「そうなんですか。 ありがとうございます!」

睦月「気にしないで。 簡単なものしか作れてないから」

やえ「堪能するといい、この王者が割った卵を使った卵焼きの味を!!」

一旦寮に戻るというのも手間である為に、わざわざ睦月たちが練習前に弁当を作ってきてくれたらしい。
ザコプロ達の分まで用意している辺り、結構な労力があったのだろうが……。

美穂子「おかわりはありますから、沢山食べてくださいね」

ザコプロ「天使かな?」

ザコプロ「これは女神やろなぁ」

ザコプロ「聖母でしょ」

大体美穂子のお蔭でなんとかなった。サンキューキャップ。

ともかく、そんな訳で一同は思い思いに弁当を食べ始めるのだが、京太郎は霞と共に食べていた。
日常生活を思えば、無論、女性と一緒に昼食を食べた事はある。
レディースランチを頼む時に、幼馴染にお願いした際にだとか。

しかし、しかしだ。

霞「うん、おいしいわ。 和食には自信があったんだけど……福路さんには敵わないわねぇ」タユユン

京太郎「(また揺れてるぅううううう!)」

こんなに大きな胸をした女性と、2人きりで、京太郎は食事をしたことが無い。
悲しいかな、どれだけ誓っても、どれだけ反省しても、目の前で揺れる胸から京太郎は中々視線を外せず、
かといって逃げるという失礼な事も出来ないまま、ただ悶々としてもそもそと食事を続ける事となる。

霞「……須賀くん、またよ」ハァ

京太郎「へ?」

霞「また、顔を背けてるわ。 さっきまでは平気だったのに……私、何かしたかしら?」

少しだけ不安げな表情を浮かべながら、霞はそう問いかけてくる。

そもそも霞が京太郎を食事に誘ったのは、練習の時から様子のおかしい京太郎に、その態度について聞く為であった。
昨日までは至って普通だったのが、今日は朝からどこかよそよそしい。
特に何かをした覚えのない霞としては、何か京太郎に距離を置かれるような事をしただろうかと、そう思っても仕方のない事である。

当然、そんな訳はないのだが……。

京太郎「………………」

1.「いや、こんな美人と食事をするなんて緊張しちゃって」
2.「実は昨日福路さんと話したんですけど……」
3.「すみません。 どうしても……どうしても胸に目がいってしまうんです!」

↓1

>3.「すみません。 どうしても……どうしても胸に目がいってしまうんです!」

それは懺悔であり、悔悟を現す慟哭であった。

違う、わざとじゃない。そうしたいと思ってる訳では――いや、そうしたいとはやっぱり思っているけれど。
しかし、それが人を不快にさせるのならばやめなければならない。
だが、やめられない。止まらない。正しくエロスのかっぱえびせん状態。
京太郎としては、己を恥じて仕方ない現況である。

霞「…………はい?」

が、霞としてはそんな京太郎の慟哭も、よくわからないカミングアウトにしか聞こえない。
というか、霞自身、京太郎が自身の胸によく視線を向けているのはわかっている。
それが一体どうしたというのか。一切説明が無い以上、霞の思考は止まりかけるのだが――。

霞「……ふんふむ」

それでも、石戸霞という少女(断固少女である)は冷静であった。
永水では部長として、一同のまとめ役も担っている彼女は、この程度の事ではうろたえない。
さまざまなケースを想定し、一体どういった意図で京太郎がこんな告白をしたかあたりをつけ……。

霞「つまり、私の胸を見るのが失礼だからといって、顔を背けていたの?」

京太郎「そうです……すみません、すみません」

見事に的確に答えを導き出した。

泣きそうになりながら、ぺこぺこと頭を下げる京太郎。
その姿を見てはぁ、と大きな溜息を吐きつつ、霞は――。

霞「えい」

京太郎「いてっ」

デコピンをした。割と強めに。

霞「あのね須賀くん……だからといって、それで顔を背けちゃ駄目って言ったわよね? さっきの練習中にも」

京太郎「でも、顔を見ようとすると自然と視界に入ってしまって、つい……」

霞「そうね。 それはわかるわ」

顔を間近で見る、というのならともかく。
常識的な人と人との距離感を持ってみようとした場合、どうしてもその視界の中には胸が入る。
そして、京太郎としては、その胸が視界に入ったら――それが大きなものならば、どうしてもそちらに視線が集中してしまうのだ。
どれだけ注意をしていても、それはもはや体に染みついた反射、本能なのである。

京太郎「俺も、俺もなんとか直したいと思ってるんですけど……」

霞「あのね、須賀くん」ハァ

霞「少なくとも私は、そのくらいの事で気にしたりはしないわよ」

京太郎「え……」

霞「勿論、見られている視線は感じるし、それに対して恥じらいが無い訳じゃないけれど……。
  でも、もう慣れたものだもの」

超高校級のものを持つ霞が、街を歩いてそこに視線を集める量は美穂子のそれの比ではない。
男性のみならず、女性からも羨望だったり嫉妬だったり、或いは謂れのない侮蔑の籠った視線を受ける事もある。
しかし、それも仕方ない――と、受け止められるくらいには霞も大人だった(まだ少女だけど)。

霞「須賀くんが、気を付けよう、治そうという気持ちはわかるわ。
  だけど、男性が、どうしても、そういう……女性の胸を見てしまう、というのも私はわかってるつもり。
  何もまじまじ見られる訳じゃないんだし、私は気にしてないから」

京太郎「石戸さん……」

霞「それより、私としてはやっぱり目を見て話してくれない方が悲しいかしら?」フフッ

美穂子のそれとはまた違う、余裕のあるような穏やかな笑みを浮かべながらそう言う霞。
これを受けて京太郎は……。

1.「えっ、それじゃあこれからも胸を見ていいんですか!?やったー!」
2.「すみません、気にしすぎたせいで失礼にあたったみたいですね」
3.「でも、やっぱりなんとか直さないと……」

↓1

>2.「すみません、気にしすぎたせいで失礼にあたったみたいですね」

ようやく、霞の言葉を聞いて京太郎としても胸のつかえが取れた気持ちである。
昨日、美穂子から胸を見過ぎてはいないかと指摘をされて以来、
バレてはいないだろうと盗み見ていたそれに対して罪悪感を感じていたが、
霞に許されてその気持ちも幾分かは和らいだ。

無論、だからといってまじまじと見ようというつもりは毛頭ないが、それでも、気にしすぎてはいけないだろう、と。
なんとか前向きになれるようには回復をしたのである。

霞「ええ、今まで通り、よろしくね」

京太郎「はい!」

霞「うん、目を見て話せてる。 いい子いい子」

そして、そんな京太郎の様子を見て頭を撫でてくる霞。
そうすれば自然と体が近寄り、つまりは霞の体が近寄り、つまりは霞の胸が近寄る訳で。

京太郎「…………」チラッ

霞「…………」

京太郎「違うんです。努力はしてます。してるんです」

霞「…………」

霞「くすっ」ナデナデ

京太郎「ふぇっ」

それでも、霞は、京太郎の頭を撫で続けた。

霞「よく目を離さずにいられました。 急に近づいたせいもあったわね。 ごめんなさい」

乙女石戸霞、多少の視線では動じない。

※霞の好感度が+3されました。
※霞の好感度が7になりました。

その後、昼食を取り終えた一同は食休みののち、再び練習。
それも一区切りを終えると、再び一旦休憩を取る。

京太郎「今日も1日が終わろうとしている。さて、これからの時間は何をしようかな」

昼行動2回目(2/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)

京太郎「よし、このまま練習しよう! 皆、頑張りましょう!」

睦月「うむ!」

美穂子「いよいよ試合も明後日だものね。 私も、頑張ります!」

やえ「初戦敗退は流石に嫌だからな。 まあこの私がいる以上は、優勝も間違いなしだが!」

霞「今日一日の締めくくりね。 行きましょう」

全員揃っての練習。最後まで、全員でする事を京太郎は選択した。

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】から選択

経験値一覧
京太郎 1
睦月  7
美穂子 0
やえ  0
霞   0

↓1

>睦月

睦月「ジャイアンツ相手なら近年はそこそこ勝負になるようになってきた。
   絶対勝つ……!」ウムウム

京太郎「(津山さん凄く張り切ってるなぁ……)」

全体練習中、やはり張り切っていたのは睦月であった。彼女の横浜愛は留まる所を知らない。

01~32 経験値1
34~65 経験値2
67~98 経験値3
ゾロ目 経験値5

↓1

>コンマ72 経験値3
>睦月合計経験値10

経験値が5に達したので、スキルを習得or削除できます。

睦月ステータス>>163
睦月新規習得可能スキル群>>168

習得or削除するスキルを選択してください。

1.【高さ危険太郎除去】
2.【横浜愛】
3.【意外性】
4.【ピンチに強い】
5.サブポジ習得(覚えるサブポジ併記)
6.保留

↓1

>2.【横浜愛】

京太郎「ふぅ、よく動いたなぁ……今日は」

美穂子「今日も、の間違いじゃないかしら? ふふ」

やえ「毎日のように練習しているからな須賀は。 まあ、だからこそ頼りがいはあるが」

そして、無事に全体練習も終わる。
これといって目立った成果は現れなかったが、全員で連携などを確認出来たのは大きな収穫。
野球をそれほど詳しくないやえ、美穂子、霞に対してケースバッティングなどを教えられた事もあり、
目に見えない結果は着実に出ていると言っていいだろう。

やえ「つまりランナーがいる時は右に打てば進塁出来るから打った方がいいという事だな? わかるわかる」

京太郎「いわゆる最低限ってやつですね。 まあ、ヒットを打てればそれに越した事はないんですけど」

霞「……ところで、津山さんは?」

良子「そういえば姿を見ませんね。 ……おや?」

ピーピッピ

良子「笛の音ですね。 なんでしょう、夜に笛を吹くとスネークが出ると言いますが」

京太郎「それは口笛じゃ……っていうか、この音は……もしかして……」

嫌な予感を感じて、音のする方向を見る京太郎。

睦月「…………」ピーピッピ!!

京太郎「何やってんだあの人!?」

そこには、水色の法被を着て、ホイッスルを口に咥えた睦月の姿があった。

ザッ

ザコプロ「俺達もいるぜ!」

ザコプロ「コーホー!」

霞「……何やってるのかしら、津山さん。 おまけにザコプロさん達を引き連れて」

京太郎「しかも、ザコプロさん達あれペット持ってますよね。太鼓持ってますよね」

思わず呆気にとられる京太郎達を後目に、睦月はくるっと反転してザコプロ達に向き合うと、
その手を大きく上げてその口に笛を咥えたまま口を開く。笛は噛んでる。

睦月「練習通り行きましょう! まずは福路さんから!」

美穂子「はい?」

睦月「そーれっ!」ピッピッピ

https://www.youtube.com/watch?v=Ye-TLRgoNgI

ザコプロ「「「えいかーん つかむそのひまで おそれーずとびこめべーすへ きーみのーあつきちしおでー
       もえろー! みほこー!!」」」

睦月「かっとばせー! みっほっこー!!」

美穂子「まあ……」

京太郎「そうか、そうきたか……」

睦月「続いて石戸さん行きます! 新応援歌ですが、間違わず、慌てずに!」

睦月「そーれっ!」ピッピッピッ

https://www.youtube.com/watch?v=hJbqikzru6I

ザコプロ「「「ふるいーたて よこはーまの だいこーくばしーらよー!
       さあうてとばせしょうりへのーとびらをひーらけー」」」

睦月「かっとばせー! いっわっとー!!」

霞「ふんふむ……」

京太郎「…………」

睦月「最後に須賀くんの行きます!」

京太郎「どうせ投手汎用なんでしょう」

睦月「甘い! 須賀くんにピッタリの応援歌はあるんだから、さあ皆さん、行きましょう!」

睦月「そーれっ!」ピッピッピッ

https://www.youtube.com/watch?v=-FDyjMjtYUA

ザコプロ「「「ゆけーよ ゆけゆけ 京太郎!
       うてーよ うてうて 京太郎!
       すすーめ 進めよ 京太郎!
       さあうつーぞ 京太郎!」」」

睦月「かっとーばせー! 京太郎!!」

………

睦月「どうかな?」

京太郎「適当過ぎませんかね?」

睦月「でも名曲だし……」

睦月「ともかく、この3つで……」

ザコプロ「待ってください、津山さん!」

ザコプロ「津山さんの応援歌だって、勿論俺達も用意してるんだぜ!」

睦月「う、うむ!?」

ザコプロ「津山さんだけ、応援歌無しなんて真似させるかよ!」

ザコプロ「コーホー」

睦月「み、みんな!」

………

ザコプロ「そーれっ!」ピーッピッピピ

https://www.youtube.com/watch?v=N81DfX8fmJs

ザコプロ「「「オー よこはまーのほーこーりー むねにだーいてー みちをー きりひーらーけーむっきー!
       つやまむっきー!」」」

ドドドン ドドドン

ザコプロ「「「つやまむっきー!」」」

ドドドン ドドドン

ザコプロ「「「はしれ! とばせ! つやまむっきー!!」」」

睦月「み、みんな……」ジーン

京太郎「これが友情パワーか……」

ザコプロ達の、粋なサプライズにジーンと感動をする睦月。
その姿を見て呆気にとられながら……京太郎は睦月に声をかける。

京太郎「それで、これは一体なんなんですか津山さん」

睦月「うむ! これから試合をするんだから、応援歌の1つでも無いと寂しいでしょ?
   だからみんなでインスパイアというかパクったというかさせてもらったんだ!」

京太郎「いいんですかねそれ……」

睦月「ユニフォームの事とか考えると今更じゃないかな?」

京太郎「確かにそうですけど……」

睦月曰く、要は、今いるチームの全員に応援歌をつける事で、チームの皆が打席に立つ際、
少しでも背中を押す効果があれば、と思い、ザコプロ達と共にこの場を設けたらしい。
曰く、実際の試合当日にはザコプロの友人たちがこの応援歌を流してくれるのだとか。

睦月「応援歌ってね、本当に格好いいんだよ。 これを聞いたら、きっと打席でも元気が出ると思うんだ!」

美穂子「そうね……少し、驚いたけれど。 今のを聞いていたら、なんだかやる気が出てきたもの」

霞「ええ。 こういうのも、麻雀では味わえない感覚ね」

睦月「うむ!」

麻雀でも、応援される環境というものはある。
しかし、それはあくまで外部――実際に対局をする者たちは、集中する為か隔離された一室で競技が行われる。
応援する者たちは、観戦する別室でしか彼女たちの武運を祈る事しか出来ない。

だが、野球は違う。
実際に打席に、マウンドに、守備に立つ者たちへ生の声がかけられる。
打席に立つバッターに、流される応援歌というものがその最たる例。
物珍しいそれに美穂子と霞は感心するも、その表情は決して嫌がっているそぶりはない。

睦月「よかった、気に入って貰えて……正直、応援歌とはいえ、下の名前とかで呼んだりもしたから、不快にさせてないかって、心配だったんです」

美穂子「ふふ、そういうものなのでしょう? 何も気にしてないわ」

ホッと安堵をしたように溜息を吐きつつ、法被を脱ぐ睦月。
野球を愛し、横浜を愛した少女。
彼女はこの一連の行動で色々とタガが外れたのか、それとも一皮以上向けたのか。

なんにせよ、今後もその横浜愛をプレーに全力で示すだけの力を身に着ける事が出来るようになったのだった。

………

やえ「別に私だけ応援歌が無くてしょげてる訳ではないぞ!」くすん

京太郎「小走さん、しょうがないですって……」

なお、横浜所属カードを持ってない為に悲しい思いをする少女もいたもよう。

※睦月が【横浜愛】を習得しました。
※睦月が新スキルを習得可能になりました。
【道を切り開け】pt5
その回の先頭バッターの際、巧打力+20。

こうして色々と睦月がはしゃいだ事もありつつ、京太郎達は寮へと帰り着いていた。
彼女の横浜愛は留まる所を知らないどころか、色々と臨界点を突破している。

京太郎「頼もしいと同時にちょっと怖い。 と、それはさておきこの後は何をするかな……」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲・穏乃】

↓1 交流or電話する相手

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
深夜テンションと言い訳してもあれですが、色々とはしゃぎすぎてすみません。でも応援歌はどこかでやっておきたかったです。
それではお疲れ様でした。

乙です


試合開始のファンファーレから石川の応援歌に繋がるのめっちゃ好きだったなあ


ザコプロさん達ー、やえさんにも応援歌作ってあげてー

>>588-589
乙ありです。
>>590
乙ありです。勝利の輝き→石川の応援歌は綺麗な流れで、ファンも多いですよね。
今年も開幕は2軍スタートのようですが、どこかで上がってくると思うので私は期待しています。
>>591
乙ありです。やえさんのカードの応援歌も格好いいので、多分睦月やザコプロさん達も勉強して作ってくれるでしょう。

もうちょっとしたら再開します。

>咲

京太郎「おっ?」

これからの予定を考えていた折、不意に振動をする京太郎の携帯。
取り出して画面を見てみれば、着信がある事を示している――のだが。

京太郎「咲……よかった、ちゃんと電話をかけられるようになったんだな」ホロリ

その画面を見てみれば、登録している『宮永咲』の文字。
先日は電話をかけたくても携帯の扱いにやはり不慣れでいた彼女が、
しっかりと自分に電話をかけられるようになった事に思わず京太郎は目頭を熱くする。

京太郎「っと……もしもし?」

咲「も、もしもし……須賀京太郎さんの携帯でしょうか?」ビクビク

京太郎「なんだその他人行儀な言い方」

咲「京ちゃん! よかった、ちゃんと繋がったぁ……」

京太郎「(……そういや、わざわざ電話帳に登録してるのにダイヤルでしかかけられないから俺の電話番号メモさせたんだっけ)」

今回にしても、恐らくは咲はそのメモを片手に四苦八苦をしながら携帯を操作し電話してきたのだろう。
いい加減携帯の使い方に慣れた方がいいだろうと思う京太郎であったが、
多分ここら辺が彼女の限界ギリギリだ。京太郎は、その辺りをよくわかっている為、特に何も言わない。

京太郎「どうしたんだ、咲? 何かあったか?」

咲「何かって訳じゃないけど……京ちゃんがどうしてるかなって思って。 駄目だった?」

京太郎「いや、どうせ暇してたしな」

以前電話があった際も、いつでも電話をかけてくるようにと言ったのは京太郎自身である。
何より、実際暇をしていた。暇つぶしと言ってはなんだが、咲の電話は大いに京太郎としても歓迎する所。
その京太郎の返答を聞いて咲はホッと安堵しつつ、言葉をつづける。

咲『この前も電話したばかりだけど、京ちゃんちゃんとやれてるの? 迷惑かけたりしてない?』

京太郎「お前に言われるのは心外だな。 ちゃんとやってるって。
    そっちこそ、いつもみたいにドジ踏んで無いだろうな?」

咲『それこそ心外だよ! 私、これでもチームの食事当番殆どやってるんだから!』

京太郎「……そういやお前、料理だけは出来たな」

咲『だけはって酷い!』

事実、家庭の事情などもあり咲の家事スキルなどについてだけは一般的な女子高生よりも幾分かは水準が上だ。
彼女がチームの台所事情を担っているというのも納得が出来る話である。

咲『京ちゃんなんか料理なんて出来ないでしょ!』

京太郎「……まぁ、チーム内に即お嫁さんに来てほしいレベルの料理の達人が2人いるしなぁ」

咲『お嫁さんっ!?』

京太郎「それくらい料理が上手いって事。 でも俺だって料理は人並みには出来るぞ? 1日に1回は台所立ってるし」

咲『な、ならいいけど……』

そこで一旦会話が途切れる。
咲は電話口の向こうで何やら言いよどんでいるようだが、京太郎はそれを気にせず口を開く。

1.「そういや今度の試合、部長のいるチームと戦う事になったぞ」
2.「迷惑かけてないならいいけど……ちゃんと仲のいい奴は見つかったか?」
3.「でも久しぶりに咲の料理は食ってみたいな」

↓1

>3.「でも久しぶりに咲の料理は食ってみたいな」

確かに美穂子と霞の料理は、筆舌に尽くしがたい馳走である。
ただ、咲の料理も――決して華美であるとかそういう訳ではないが、美味であった事を京太郎は記憶している。
特別な素材を作っている訳でもない、咲の腕にしたって、美穂子たち程洗練されている訳でもない。
しかし、なんというべきか――京太郎の舌に合う。
好みの味付けの料理だった事を、以前咲の料理を食す機会があった際感じたのを京太郎は覚えていた。

咲『そ、そう?』

京太郎「ああ。 この企画が終わったらまた何か作ってくれよ」

咲『えー、どうしよっかなー』

京太郎「………………」

咲『ふふっ、冗談冗談。 でも、代わりに買い物に付き合ってね』

京太郎「わかったわかった」

元々お願いをしたのは京太郎の方である。
買い物――今までの経験上、恐らく女の子らしいような買い物などではなく、本を買い漁っての荷物持ち。
それくらいならば、京太郎としても幾らでも付き合う。

咲『でも、企画が終わるまでって言っても……1ヵ月近くあるんだよね』

京太郎「まあそうだな」

咲『……1ヵ月、京ちゃんたちと会えないのかなぁ』

京太郎「…………」

1ヵ月という時間は、短いようで長い。
咲の口調などから考えるに、別に今いるチームで苛められたりだとか孤立しているという訳ではなさそうではあるが、
それでもやはり初日に言っていたように不安に駆られているのだろう。
そして、その口ぶりから――少なくとも、咲は今度の試合において京太郎と久以外の清澄の面子とも対戦する事が無いようである。

咲『ご、ごめんね。 対戦相手も決まっちゃったから、そうしたら、最低でもあと2週間はみんなと会えないのかなって思って……』

京太郎「いや……」

京太郎としても、咲の気持ちはわかる。
彼自身は幸運かどうかは定かではないが、久と無事に初戦で戦う事になった。
彼女をチームに引き入れるかどうか、そもそも勝てるかどうかはまだわからないが、
一応は試合当日――あるいは偵察の際にでもその顔を合わせる事が出来、場合によってはその後も共にチームを組む事となる。

だが、咲の場合はそうではない。
もしも京太郎が咲の立場だったならば、程度の違いこそあれど、やはり寂しいと感じていたとは思う。

京太郎「(みんないい人ばかりだけど、それとこれとは話も違うもんな……)」

京太郎「なあ咲……」

咲『? 何、京ちゃん』

1.「お互い勝ち進もうぜ。 時間はかかるかもしれないけど、そうすれば絶対に会えるだろ」
2.「明日会えないかな。 久しぶりに遊びに行こうぜ」(具体的な時間については後で再安価します)
3.「試合の時間いつだ? 時間がもし違うなら、俺の試合見に来いよ」

↓1

質問なんですけど偵察を朝一で行った場合、1日潰れる分より多くの選手のデータが得られたりする?

>>599
朝2回昼2回を偵察行為に充てる形になりますね。
ただ、今回はありませんでしたが、対戦相手チーム分の情報を全部集めた段階で、偵察は打ち切りになります。
その後は寮に帰って他の行動にという形になりますね。

>1.「お互い勝ち進もうぜ。 時間はかかるかもしれないけど、そうすれば絶対に会えるだろ」

咲『……うん、そうだね』

とはいえ、寂しがる咲に対して京太郎が出来る事など励ます事くらいである。
こういう時、一緒にいられない事がどうしても歯がゆい。

京太郎「ごめんな、こんなことしか言えなくて」

咲『ううん、私こそごめんね。 頑張るって言ったのに、弱音はいちゃって……。
  そうだね、勝っていけば……京ちゃんとも、清澄の皆とも会えるよね』

しかし、京太郎の励ましに咲は――少なくとも声色だけはいつものように明るく、返答をした。

京太郎「全部で5回って話だからな。 最低でも、4回勝てばお互い勝ち進んでれば会えるんだ。
    頑張ろうぜ、咲」

咲『うん! 京ちゃんこそ、いきなり1回戦で負けるなんて事にならないでね』

お互いに笑い合いながら、その後しばらく雑談をした後、電話を切る流れになる。
前回に比べれば、些か短い時間であった為、京太郎は不思議に思うのだが……。

咲『折角だから、明日は早起きして練習したいからもう寝たいの。 目標も、出来たから』

京太郎「そっか……ああ、それじゃ頑張れよ。 おやすみ」

咲『うん、おやすみ!』

通話を切り、しばらくその画面を眺める京太郎。

京太郎「頑張れよ咲……って言っても、やっぱり不安だなぁ。 大丈夫かなあいつ」

なんだかんだ言っても、京太郎も割と過保護なのであった。

………

咲「…………」

一方そのころ、咲もまた通話が切れた携帯電話とじっと眺めていた。

咲「(京ちゃん……凄く、やる気だったな)」

咲の知る限りでは、京太郎は中学時代ハンドボールをやっていただけ。
野球経験は無く、また、普段から会話をしていても話題に野球が上る事は無い。
たまに、クラスメイトと京太郎が話していて、プロ野球の事を話している事を耳にする事はあったかもしれないが……。
それにしてもそれほど多い頻度という訳ではない。

よって、咲としては、京太郎がここまでこの企画に熱意を傾ける意図が、わからない。

彼自身、良子の叱咤などもあって、初日からエースになれるようにと誓いを立てていた事など、皆目見当もついていなかったのだ。

咲「(なんだか、中学時代の京ちゃんみたい……)」

ただ、その事実を――咲自身は、好ましいものだと思っていた。
中学時代はハンドボール部に所属をし、県大会の決勝まで行った京太郎。
高校からはハンドボールどころか体育会系の部活を辞めて麻雀部に入ったが、
先ほど話した京太郎からは、中学時代のような闘志に燃えるギラついたような意志を咲は感じ取っていた。

??「……何をしているんだ、宮永?」

咲「あっ……で、電話を。 ごめんなさい」

??「いや、何で謝る……ただ何をしているか聞いただけだろう」

と、そこに通りかかったのは咲と同じチームに所属をする少女である。
自分の部屋で電話をすればいいものを、ロビーでしていたという辺り、咲も色々とやはり抜けている。

??「しかし電話か。 清澄の者にか?」

咲「はい、京ちゃんに……えっと……」

??「ああ……清澄唯一の男子部員か。 うん、覚えている」

咲「言われました。 会えなくて、その……私がちょっと、寂しがってたんですけど。
  そうしたら、勝っていければ、絶対に会えるから、お互い頑張ろうって」

??「そうか」

少しだけ恥ずかしそうに、或いは照れたように。
そう言う咲を見て少女はふっ、と笑みを浮かべながら自身も携帯を取り出す。

??「私は逆の立場だった」

咲「ああ……」

??「話を聞くに、アイツもかなり周囲のチームメイトには恵まれたようだったが、それでもやはり孤独感やら寂しさは感じたようでな。
   その辺りに慣れる為、という訳ではないが……そういう意味もあって参加した企画。
   しかし、愚痴を吐かれたよ」

咲とは逆で、少女の方にはチームを離れて――というよりは、少女から離れて寂しがる後輩がいる。
無論、少女としてもその別離は寂しい事であったのだが、
その後輩からしてみればその比重というものはあまりにも大きい。

??「ただ、私も言ったよ。 勝っていければ、どこかで必ず会えるとな。
   アイツも、それを聞いて……やっぱり少し納得はいかない、寂しいって様子ではあったが、周囲に慣れられるよう、勝てるよう頑張ると言ってくれた」

咲「そう、なんですか……」

??「まあ、私は決勝で会えたらいいなと言ったんだが、アイツはすぐに当たって同じチームになりたいって言ってきたがな」

咲「ふふっ……なんだか、とても"らしい"ですね」

??「いずれにせよ、当たるのがいつかは天運だ。 それまで私は負けるつもりはない」

肩を竦めながらも、キッパリとそう言い放つ少女。
そんな少女からは、彼女の後輩を想う強い感情と絆が感じ取れる。

咲「私も……」

コンマ下1桁偶数 咲「京ちゃんに会うまで、絶対に負けられません」
コンマ下1桁奇数 咲「京ちゃんに会うまで……当たる敵は全部倒す」ゴッ

↓1

>咲「京ちゃんに会うまで、絶対に負けられません」

理由は知らないが、京太郎は野球に対して――この企画に対して真剣な様子である。
そんな京太郎の気持ちに応える為にも、そして、また会う為にも。
咲は少女の言葉に同調をするように、普段からは考えられそうにも無い程、闘志の籠った瞳で強くそう宣言をする。

??「……驚いたな」

咲「え?」

??「いや。 ここに来て、久しくお前のそういった表情は見ていなかったと思ってな。
   ……今の宮永からは、卓を囲んだ時に感じたような強い気持ちを感じたよ」

どこか愉快そうに笑みを浮かべながら、そう言う少女。
実際、この時になって、ようやく咲本人としてもこの企画に対して前向きになる事が出来たのだ。
野球をする、その理由が出来たのだ。
その事を指摘されて咲は恥ずかしそうに顔を俯かせながらも、座っていたソファーから立ち上がり自室へと戻ろうとする。

咲「あ、あの、それじゃあ私はもう寝ます。 おやすみなさい」

??「ああ。 ……しかし、少し羨ましいよ」

咲「?」

??「その、須賀くんだったかな? なんというかまあ、共学はやはり違うというか……」

咲「あの?」

??「彼氏なんだろう?」

………

咲「かっ、彼氏違いますっ!」

??「えっ、そ、そうなのか!?」

※咲の好感度が+3されました。
※咲の好感度が??+7になりました。
※このスレの咲ちゃんは咲ちゃんです。

日常パート 6日目

そして明くる日。
昨日とは打って変わって京太郎はぐっすりと眠る事が出来、気持ちのいい朝を迎える。
空は晴天、季節の事もあって非常に暑い。

良子「グッドモーニング。 予報によれば、明日も晴れるようです」

京太郎「おはようございます。 そうですか、それなら問題無く試合が出来そうですね」

やえ「そういえばどこで試合をするんだ。 あのグラウンドか?」

良子「その辺りはまた説明しますよ。 さあ、ブレックファーストを取りましょう」

その後、朝食を取り終えた京太郎は一服しながらこの後の予定を考える。

京太郎「いよいよ試合は明日だ。 今日が最後の自由に使える時間だな。
    何をしようか……」

朝行動1回目(1/2)

1.会話(チームメイトと交流します)
2.練習(練習をして京太郎・チームメイトの経験値を貯めます)
3.お出かけ(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)
4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

↓1

>4.偵察(選ばれた場合夜になるまで帰ってきません)

現在敵チームでデータを集めていないのが久・哩・泉・誠子の4人。
朝1からの行動なので4回行動なので、自動的に4人全員を偵察する形で進行します。

良子「さて、では今日の予定ですが……皆でもう一度、対戦チームの偵察に向かいたいと思います」

京太郎「皆で、ですか?」

食後のコーヒーを飲みながら、その場にいる全員にそう告げる良子。
前回の偵察では5人中1人しかその実力を見極める事が出来なかった為、
朝から偵察に行くという良子の提案はわかる。
しかしながら、全員で行く必要はあるのだろうか?と京太郎は思うのだが、良子はその疑問を晴らすかのように続ける。

良子「確かに相手の戦力を分析するのならば、須賀くんと津山さんの2人だけで構わないかもしれません。
   が、実際に戦うのは他の方々も同様です。
   ならば、その目で見ておくというのもまた重要ですよ」

睦月「うむ!」

京太郎「なるほど……」

良子の言う事ももっともである。
他の一同も今日の予定は特に無かったのか、良子の提案に賛同。

美穂子「それじゃあ早速お弁当を作らないとね」イソイソ

霞「手伝うわ」

やえ「卵を割るのは任せろ!」

良子「私は足を用意してきます。 では、また後で」

………
……

今日は5人揃ってでの移動という事で、以前使ったB級バスではなくこの寮に来た時と同じくマイクロバスでの移動であった。

京太郎「(ところで普通に乗りこなしてるけど、監督って大型の免許持ってるのか……。
     ……他のチームの監督さん達ももしかして?)」

そんなとりとめのない事を考えつつ、無事にバスは目的地に到着。
やはり事前に話をつけていてくれたのだろう、グラウンドへと向かうと先日と同様、
慕が待ち構えており京太郎たちを歓迎してくれる。

慕「おはよう。 今日は沢山来てくれたんだね~」

良子「グッドモーニングです。 早くからすみません」

初対面である霞とやえは挨拶をしつつ、一方で京太郎らはそれもそこそこに、グラウンドを見渡す。
時間は有限。一刻一秒も無駄にはしたくない。
ザコプロではない、誰か別の敵チームの主力選手がいないかと探してみれば……。

美穂子「久……久……」

京太郎「部長はいないみたいですね。 あっ、でもあそこ!」

睦月「あれは確か……千里山の、二条さんだったかな?」

グラウンドの外周を走っていた、二条泉の姿を見つける一同。
どうやら現在グラウンドにいるのは彼女だけのようであり、観察対象は決まる。
決まるのだが……。

京太郎「……いいんですか、あれ」

やがてランニングを終え、近づいてきた泉の姿を見て思わずそう呟く京太郎。
練習をする為に、彼女はユニフォームを着ている。
頭には、帽子をかぶっている。
恐らくは投手なのだろう、ザコプロからグラブを受け取ると、早速マウンドへと向かっている。

ただ、その一連の当たり前の行動の中。ユニフォームだけがおかしい。

霞「袖が、無いわね」

ノースリーブなのである。

泉「(ふふん、度胆抜いとるな)」

呆気にとられる京太郎達を横目で見ながら、泉は得意げな表情だ。
元々、千里山麻雀部においても、本来の制服ではなく袖無しの改造制服を着用している泉。
それでいいのか名門校と言われるかもしれないが、そこらへんは緩い。
そもそも女子制服でなく学ランを着ている少女もいるのだから。

ともかく、いずれにせよ袖の無い服というものに並々ならぬ執着と拘りを持つのが彼女である。
ユニフォームにしてもそれは同様であり、彼女はユニフォームが支給された際、
なんとか袖の無いように出来ないか、それで出場できないかと監督である慕に直訴した。
これを受けた慕は、とても人のいい事が災いしたとでもいうべきか。
企画を運営する側に問い合わせ、ノースリーブユニフォームの着用の可否を聞いた。
結果、許可が出た。それでいいのかと言われるかもしれないが、そこらへんは緩い。
結局のところお祭りなのである。

その後、慕が夜なべをして泉のユニフォームの袖を寸断し、泉専用ユニフォームが完成したという事である。

泉「(私専用のユニフォームや。 これ着てバシッと抑えたらかっこええ、ウケる事間違いなしや!)」

にやにやしながら内心そう思う泉。

京太郎「……いいのか、本当にいいのかアレ」

慕「ちゃんと許可は取ったよ?」

睦月「アンダーシャツが常に半袖っていうのがトレードマークの人はいたけどね」

霞「なんというか、その……日焼けとか気にならないのかしら?」

やえ「炎天下だからな、今日も」

美穂子「(久じゃない……)」

なお、見ていた一同からの評判は微妙だったもよう。

良子「さて、そろそろ集中しましょう。 本格的に投球練習をするようですよ」

思いがけない事に気を取られかける一同であったが、
良子の言葉を聞いてここに来た本来の目的を思い出す。

マウンドでは泉が軽くザコプロに向かって投げ、肩を温めている最中。
やはり、ピッチャーであるようだ。

睦月「ジャイアンツのピッチャーはいいのが多いからね。よく観察しよう」

京太郎「(ベイスターズと比べたらどこでもいいんじゃ……っていうのは多分言わない方がいいんだろうな)」

泉「ほな行きますよ、ザコプロさん!」

ザコプロ「あいよー」

泉「(今度はユニフォームやなくて投球の方で度胆抜かせたるわ! いくで!)」

01~32 選手カード判明
34~65 選手カード&能力値判明
67~98 選手カード&能力値&スキル判明
ゾロ目 上記に加えて対戦時全能力-10

↓1

>コンマ36 選手カード&能力値判明

投球を開始した泉は、小気味よいペースでミットを構えるザコプロ目掛けて投げていく。
最初の段階で京太郎と睦月がわかった事は、まず彼女が右利きの投手であるという事。
次にその改造ユニフォームを見て、背番号が『18』であるという事も判別がついていく。

京太郎「また『55』番に続いていい番号来ましたね」

やえ「そうなのか?」

睦月「うむ。 18番は基本的にエースナンバーとして扱われている事が多いんです。
   まあ、球団によっては他の番号がエースナンバーっていう所もありますけど」

霞「だとしたら、相当な強敵という事かしら」

背番号だけで能力が決まれば世話は無いが、警戒をするには十分である。
霞の言葉に京太郎は無言でうなずきながら、一層泉に注視をするのだが……。

ビュッ! パシンッ!!

泉「どないですか!」

ザコプロ「いいぞーコレ」

泉「フハハ! 私も、今のはええのが行った思ったんです」

京太郎「(……何か、何かがおかしい)」

最初は、まだ肩が温まっていないのかと思った。
それ程までに球速もそれほど出ておらず、制球も定まっている訳でもなく、また、変化球にしても甘い。
曲がりの鋭さや曲がる速度、そもそもその変化球にしても定まっていない。
それが肩が温まっていない為が故のものだと、京太郎は思っていた。

しかし、今の会話を聞いていて、違うという事に気づく。

京太郎「(多分二条さんは本気で……というか、そもそも調子がいいくらいなんだろう。
     手ごたえを感じている、っていうのはさっきの会話からもわかる。 けど……)」

美穂子「……なんだか、須賀くんのボールの方が、凄いような」

霞「そうね。 変化球の精度もそうだけど、特に球威に関しては段違いだし」

京太郎「やっぱり、そう見えますよね?」

そして、そう感じていたのは京太郎だけではないようだった。
ここ一週間で野球に触れたとはいえ、殆ど素人と言って過言ではない美穂子や霞からも疑問に思う声が飛び出す。

京太郎「(でも誰だ? ジャイアンツの18番なんだろ?)」

睦月「……うむぅ」

京太郎「津山さん、わかりました?」

それでも泉の持っているカードに見当がつかない京太郎であったが、
京太郎よりもはるかに高いレベルで野球に詳しい睦月は、既にあたりがついていたらしい。
腕を組み、難しそうに唸りながら、視線を泉に向けつつ小さく呟く。

睦月「多分、ジャイアンツの選手じゃない」

京太郎「そうなんですか?」

睦月「うむ。私たちのチームの小走さんみたいに、全てが全て、特定の球団の選手カードを持ってる訳でもないなら。
   そうだとしたら、あのフォームとスタイル、背番号から見て……思い当たる選手はいる」

言われて、京太郎は睦月に倣って泉のフォームを見る。
自分の投球フォームもそこまで綺麗なものとは思わないが、泉のフォームは――何かを庇っているのかなんなのか、少しぎこちないようにも見える。

やえ「それで、なんていう選手のカードなんだ?」

美穂子「私たちが聞いても知らないかもしれないけれど」

睦月「いえ、皆さん聞いた事がある筈です。 あれは……斎藤佑樹」

睦月「……『ハンカチ王子』って言った方がわかりやすいですか?」

【斎藤佑樹】
日本ハムファイターズ所属。
野球を知らない人でも、誰もが聞いた事があるだろう「ハンカチ王子」その人である。
2006年夏の甲子園、早稲田のエースとして正しく主人公のような扱いをマスコミから受け一躍時の人に。
ハンカチで汗を拭う仕草、端正な顔立ちなどが拍車をかけ、社会現象にもなる程の影響を与えた。
当時、彼が使ったものと同じハンカチが飛ぶように売れたとか、写真集まで発売されたとか、彼をイメージしたCDまで売れたとか、
ともかくその影響の大きさは計り知れない。

しかしながら、この高校時代。そして大学時代が彼の野球人生での絶頂期でもあった。

プロ入り後は故障、不振などに苦しみ、プロ入り6年間で上げた勝利は14勝。
今なお抜群の知名度と人気を誇る彼が、このまま終わるかもう一度返り咲くかは誰にもわからない。
もう一度、あの輝きを見せてくれる事を祈るばかりである。

                                   __     /ヽ/ヽ
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     |: : : ヽ: : : {: : 乂__.ノ: : : : :{{   }} :} :|        .!:.:.:.:!               /:.:.:./   二二ア:.:./___
     |: : : { \{ヽ     , ‐- 、 乂_ノⅥ/       ィ/                \/    /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    Ⅵ: :廴__     /   V   ,ィ}       イ  // ,. ャ                       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ヽ: : : : :ヽ   .′ ∧{ /{//      ./ {/ /'´/
         \ト、 : ≧-廴_./  /. :/───ァ / . : : /
             ヽ:キ、:.\/  く: : :〈__.  -‐'´′{ヽ : : \
            ,i `ヽ{    .> ========{  .〉 ===========---
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.             ,′ }  ‘,  : : > : : /{  ', ‘,: : く
          ,′ ハ   ∨ヽ、{ : : : :/ヽ   \  r .、 \
          ,′./ :} / : : : : : : /  ‘.,   \!   `¨`
           ¨´  └} : : : : : : /  \   `ヽ、
                  /: : :_> ´ ,     ` ー┘ヽ
                ̄ \   ‘,     `¨¨
                   \  ゚。、
                      ㌧ノ }
                       ヽ./

・二条泉

右投げ右打ち 守備位置:投手

所有カード:斎藤佑樹(Fs)

球威30 変化30 制球E 体力50
巧打20 長打20 走力30 守備20

【???】
???

スキル不明の???と京太郎の???は別物だよね

>>623
はい、別物です。今回はコンマ判定でスキル判明まで出なかったので、???になっています。
スキルの内容が判明してなくても、個数だけは判明するようになっているのでこういう形です。
つまり、泉の所有スキルは1です。

やえ「ああ、あの」

霞「確かに、聞いた事はあるわね」

良子「ハンカチーフ・ガイですか」

睦月の言葉を受けて、他の者たちも名前くらいは聞いた事がある、と反応を示す。
当時、彼女たちはまだ幼かったが、それでもTVを見ていればその名前が毎日のように上がるという時期も確かにあったのだ。

京太郎「なるほどなぁ……」

そして、京太郎としては納得といった所である。
ガチャガチャのフォームは、あれは元となったカードが怪我の影響から新たにフォームを変更した為。
球威・変化の乏しさについてもまた、悲しい事に納得が出来てしまう。
贔屓目抜きに、京太郎は自身の方が泉よりも投手としての能力が優れていると自覚出来る程度には、
泉の能力というものは非常に低い。

その後も泉の投球を見ていた一同だったが、やはり投げる球は変わらない。
やがてそれらの練習が終わると、泉はポケットからハンカチを取り出して汗を拭いつつ、
ふっ、と不敵な笑みを浮かべながら京太郎達の方へと歩み寄ってくる。

泉「おはようございます」

京太郎「おはようございます。 お疲れ様」

泉「君が須賀くんか。 話聞いたけど、君がそっちのピッチャーなんやろ?」

京太郎の知らない所で、恐らくは相手チームも偵察をしていたのだろう。
泉は京太郎達についての情報も集めており、京太郎がエースを務めている、という事も認識していた。

知られているのなら特に隠す事は無い、と京太郎は首を縦に振って肯定。
すると泉は挑発的な視線を向けながら更に続ける。

泉「言うとくけど、私は相手が男やから言うて負けへんで。
  折角ええカードも引けたんや。 絶対に投げ勝ったる」

京太郎「いいカード……」

泉「見ててそっちも私が持ってるカード気づいたんやないの?」ニヤッ

気づいたからこそ、それがとても『いいカード』では無いとわかってしまったのだが……。
どうやら泉は、本気でそれを強いカードだと認識してしまっているようである。

京太郎「(多分、野球あんまり見ないんだろうな。
     津山さん以外の人たちも、実際に俺のボールを知ってるからああいう反応だった訳だろうし)」

泉「お互い、どっちのチームも1年生がエースや! まずは初戦で勝って、今度こそ私が最強の1年やいうところを見せつけたるで!」

京太郎「(どうしよう。すっげー指摘しにくい。 ……もう言わなくていいかな。 ここは……)」

1.「俺だって負けないさ。 正々堂々、いい勝負をしよう」
2.「俺が勝負するのは二条さんじゃない。 そっちの打線だ。 そして、そこでも負けないぞ」
3.「うちの打線は凄いぞ? 抑えられるかな?」

↓1 ついでに泉の初期好感度判定 コンマ下1桁

>2.「俺が勝負するのは二条さんじゃない。 そっちの打線だ。 そして、そこでも負けないぞ」

泉の挑発にも、京太郎は安易に乗るような事はせず、あくまで冷静に返答をした。
ある意味、あのカードを持つ泉に言われたからこそ、冷静になれたのかもしれない。
これに泉はどこか不服そうであり、その眼差しの鋭さを弱めて溜息を吐く。

泉「そこは『俺も負けへんぞ!』って燃える所やないの?」

京太郎「頭はクールに、心はホットにだよ。 大体、間違った事は言ってないぞ?
    こっちとしてはそっちの打線は本当に警戒したいんだから」

まだ3人ほど情報は集められていないが、ジャイアンツの選手といえば――。
近年はさておき、強打者揃いとして有名である。
先日偵察をした際にいた佳織の持つカードも、『当たれば』飛ぶだけのパワーを持つ選手カードだった。
京太郎としては十分に警戒をしておきたい所である。

泉「ま、ええわ。 そっちも負ける気はないみたいやからな」

京太郎「当然。 勝つのは俺達だ」

泉「今の内にそう言うとったらええ。 ほな」

それだけを告げると、泉は帽子を取って他の面々に一礼をし、そのまま去って行った。
今日の練習はこれで終わり、という事なのだろう。
彼女の背中を見送りながら、そっと京太郎はやえに問いかける。

京太郎「で、実際打てそうです?」

やえ「誰に言っている。 この王者が5打席連続ホームランくらいしてやろう!」

京太郎「……全部が全部ホームラン狙いばっかりしないでくださいね? そんなホームランって出るもんじゃないんですから」

美穂子「ただ、今の感じを見る限り」

睦月「須賀くんが味方で良かった、って思えるかな」

無い胸を張って言い放つやえを注意しつつ、京太郎は美穂子たちの言葉を聞き思わず照れる。
事実として、泉と京太郎、どちらがチームにいて欲しかったかと言われれば、後者だろうという事は京太郎にもわかる。
しかし、それを面と向かって言われるというのまた、面はゆい。

良子「いずれにしろ、相手のエースを確認出来たのはいい事ですね」

京太郎「後は他のメンバー……部長と、白水さんと、亦野さんですか」

良子「慕さんの話によれば、そろそろ練習に来る時間のようです。 しばらく待ちましょう」

※泉の初期好感度が3になりました。
※泉の好感度が+1され、4になりました。

中途半端ですが、いったんここで区切らせていただきます。
明日は残りの3人の処理が出来ればなと思います。
お疲れ様でした。

乙ー


試合楽しみ


今年こそは斎藤佑樹はそこそこ活躍できそうな感じはするんだよなぁー投球フォームも高校時代のに戻したっていうし

>>636
斎藤佑樹は松坂大輔や寺原隼人と同じ位どうしたよ?おい!
って言いたくなる状態ですからね
さて今の所当たりくじを引いて居たのはT岡田を引いたやえさんだけって言う感じですが
やっぱり久部長のチームの中にもそう言う当たりくじを引いた人って居るんでしょうかね?

泉は脇的に菊池だと思ったんだけどな

T岡田開幕戦で1発出ましたね
なおオリックス

Y!Y!HOMERUNQUEEN! ってやるのかやえさん
横浜にヤクルト打線を抑えられる……勝負できる投手急募

>>632>>634
乙ありです
>>635
乙ありです。試合は、日曜日か月曜日までには入れたらなと思います。
試合に入ると都合上、安価とか沢山する事になると思うので、ご参加戴ければ幸いです。
>>636
乙ありです。あまり情報集めてないのですが、先発と中継ぎ結局どちらで行くのか気になります。
>>637
強いカードは勿論引いてます。
そこらへんは、今日で書けたらいいなと思います。
>>638
脇毛出し投法でしたっけ。菊池雄星も期待されておきながら中々結果をあまり出せていませんでしたが、去年ついに開花という感じでしたね。
>>639
T-岡田は好きな選手の1人ですので、活躍は嬉しいです。
>>640
ザコプロ「ここでー決める乙女ー、このチャンスをものにしろ! 遠くー遠く派手にー飛ばせ阿知賀の豪砲!」

やえ「阿知賀じゃない!」

石田は調子悪そうながら試合は作れたのですが、打てず中継ぎも打たれてという感じでしたね。
明日以降に期待します。

もうちょっとしたら再開します。

良子の言葉通り、京太郎たちがしばらく待っているとグラウンドに新たな人影が現れた。
その人影を見た瞬間、声をかける者がいる。

美穂子「久!」

京太郎「部長!」

久「やっほー、美穂子。 須賀くんも久しぶりね」

真っ先に反応を示したのは、今か今かとその登場を待ちわびていた美穂子。
続いてその美穂子につられるようにして京太郎が声をかけると、
久はいつものように軽い調子で手を振りながら近づいてくる。

久「津山さんもお久しぶり。 石戸さんと小走さんははじめましてかしら?」

睦月「う、うむ……お久しぶりです」

霞「実際に卓を囲んだ事はありませんからね。 ええ、はじめまして」

やえ「(清澄を全国優勝に導いた部長と聞いてもうちょっと硬いものをイメージしていたが……。
    思った以上になんというかこう、フランクだな)」

そして、そのまま睦月たちにも挨拶。
初対面である霞ややえにも軽く声をかける辺り、やはり彼女のコミュニケーション能力は抜群のようである。

久「で、私の練習を見たいのよね?」

京太郎「まあ……そうですね。 明日には戦う間柄で、こういうのもなんですけど」

久「こっちだってそっちの様子は見させて貰ってるんだから、別に構わないわよ。
  それに、私が真面目に練習するとも限らないでしょう?」

京太郎「………………」

久「うそうそ、冗談よ」

久の発言を受けて思わずジト目になる京太郎に、笑いながら久は訂正。
実際問題、真面目に練習に取り組んでくれなければデータの集めようも無いのだから、
久の性格を考えるとおざなりにやっても不思議ではない。
しかし、一応はしっかりと練習をしてくれるらしい。

久「そんな気なら、そもそもここに来てないって。少しは私を信用して欲しいわね?」

京太郎「普段の言動や行動を考えると……」

久「あら酷い。 どう思う、美穂子?」

美穂子「須賀くん……」

京太郎「いやいやいや、福路さんを使うのは卑怯ですよ!」

久「ふふふ、いやー、やっぱり須賀くんは面白いわ」ケラケラ

ここで美穂子に話を振る辺りが、久の実にいやらしい所だろう。
思わず非難めいた視線を向けてくる美穂子のそれを痛い程感じながら、久に突っ込みを入れると、
久はカラカラと笑いながら片手に持ったバットを持ち、バッターボックスへと向かっていく。

久「さーて、それじゃ後輩に1ついい所でも見せてあげようかしらね」

その途中で、ポケットから取り出したヘアゴムを装着し、卓につく時と同様、お下げを作る久。
表情は、余裕綽々。口調は、威風堂々。
しかしながら、その様子を見て京太郎は戦慄をする。

京太郎「左打席で……背番号1……?」

ジャイアンツで、左打席で、背番号1番。
その背番号は、永久欠番――日本のみならず、世界記録すら持っていた、偉大なる選手のものである。

京太郎「(まさか……いやいや、流石にそれは無いよな!?)」

久「さーて、ザコプロくん! いきましょうか!」

ザコプロ「へい、久さん!」

01~32 選手カード判明
34~65 選手カード&能力値判明
67~98 選手カード&能力値&スキル判明
ゾロ目 上記に加えて対戦時全能力-10

↓1

>コンマ49 選手カード&能力値判明

カーンッ! カキーンッ!!

久「よしよし、絶好調!」

京太郎「………………」

そして、始まる久のバッティング練習。
左打席に入った背番号1番は、ザコプロの投げるボールを簡単に広角に打ち分けていく。
バットから出る快音は心地よく、その技術に京太郎以外の者たちは感嘆の息を吐くのだが……。

美穂子「やっぱり久は凄いわ!」

京太郎「確かに凄いですけど……」

京太郎「("世界の王"として考えると、なんというか、こじんまりしているような?)」

栄光ある巨人軍の背番号1。
かつては日本記録であったシーズン通しての本塁打記録を有し、
そして未だ破られぬ通算本塁打記録を持っていた、"世界の王"。
口に出して言うのは非常に憚れるが、やえの所持するカードよりもよっぽど『キング』の名に相応しいそれにしては、
久の放った打球は決して大きなものではない。

むしろ低い弾道で、どちらかといえばただ当てるだけ――それよりも足で稼ぐといった形に見える。

京太郎「どういう事だ?」

霞「どうしたのかしら、須賀くん?」

京太郎「いや……巨人の背番号1と言ったら、もっと大飛球――アーチを量産しておかしくない筈なんです。
    なのに、確かにさっきから部長はヒット性の当たりを出してますけど、どれもこれもが弾道は低いしなんならゴロでのコースヒットもあります。
    だから……」

久「さて、それじゃ次! ザコプロくん左腕バージョンきてくれるかしら!」

左腕ザコプロ「あらほらさっさー!」

京太郎「……はァ!?」

悩む京太郎を知ってか知らずか、突如そう宣言する久。
思わず驚く京太郎を後目に、先ほどまで投げていたザコプロに変わって、マウンドには左腕のザコプロが。
それを受けて、久はニヤリと笑みを浮かべながらバッターボックスを外し……。

久「さーて、それじゃガンガン飛ばすわよ!」

京太郎「(右打席……スイッチヒッター!?)」

右打席へと、入るのだった。

やえ「……おい、あいつは両利きなのか?」

京太郎「いえ、そういう話は聞いて無いですけど……っていうか、え、なんだこれ?
    もしかして2枚持ちとかそういう事か?」

霞「須賀くんも、確か打席に立つ時は両方で入れるのだったわよね?」

京太郎「は、はい。 それはまぁ、俺の持つカードが投手にも関わらず両打ちだからっていうのがあるんですけど……。
    (もしかして部長が持ってるのも、両打ちのカード? でも、ジャイアンツに……)」

睦月「あ、あばば……」

京太郎「津山さん?」

一体どういう事なのか、と頭を捻る京太郎だったが、不意に睦月の様子がおかしい事に気づく。
思えば先ほどから、彼女は一度も発言をしていない。
食い入るようにして久の左打席でのバッティングを見つめ、
そして、今また、右打席に入って構えを取る久の事をじっと見つめている。

美穂子が久を見つめるそれと、或いはそれ以上の情熱を秘めているような瞳で。

京太郎「あの……津山さん、大丈夫で……」

思わず、そんな睦月の様子が気になり声をかけた所で……。

睦月「…………」プチプチ

京太郎「おわッ!?」

霞「まぁ!」

やえ「なっ!?」

睦月はやおらその身に着けていたユニフォームのボタンを外し、脱衣。
勿論、中にアンダーシャツは着こんでいるが薄着である為に京太郎としても目に毒である。
一体何をしているのか、と突っ込みを入れる前に睦月は脱いだユニフォームを片手に久目掛けて駆け出した。

京太郎「ちょっ、何してるんですか津山さん!? え、なんだこれ!?」

美穂子「久!」

久「……え、なにこれは」

当然、その意図が不明な行動に久は思わず硬直。流石の久もまさか睦月がこのような突飛な行動をとるとは思っていない。
美穂子は何があったのか理解できずおろおろしており、その他の者たちも同様である。

睦月「そのユニフォームを今すぐ脱いでください! このユニフォームを着てください!!」

久「え? え?」

睦月「そのカードにジャイアンツのユニフォームは似合わない!!」

京太郎「(……ああ。 なるほど、そういう事か)」

そして、睦月の発言を聞いて、ようやく京太郎も久の持つカードに思い当たった。
熱狂的ともいえるベイスターズファンの睦月が、このような行動をとった事にも。

睦月「帰ってきて、金城!!」

【金城龍彦】
元横浜DeNAベイスターズ所属、元読売ジャイアンツ所属。現役引退済み。
元々は投手としての入団であったが、入団と共に打者に転向、スイッチヒッターにも挑戦。
2000年に首位打者、新人王のタイトルを同時受賞。これはプロ野球史上初の事である。
右打席では振り切り、左打席では打った直後に1塁へ走り出すのが特徴。
バッティングフォームが独特であり、変態打ちと呼ばれる。

また、悪球打ちの名手であり、金城にはボールではなくストライクを投げれば打ち取れると言われる事もしばしばあった。

長年ベイスターズ一筋でいた、ミスターベイスターズになれた男であったが、現役晩年、FAでジャイアンツへと移籍。
そして、その後たった1年で引退をした。
どうしてベイスターズでやめてくれなかったのか、と今もファンの中には悲しむ者もいる。
或いは、最後の最後でベイスターズを裏切ったと憤りを感じる者もいる。

しかし、間違いなく、暗黒期のベイスターズを支えた主力選手でもあった。

                /: . : . : . : . : . : . : . : . : . : :\
               /イ: . : . : . : . : . : . : . : . : . : . : .:∧

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             /ィ:. : . : . : イ ´  〃: . : . :ヘ: . : .ヘ: . : . : ,
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           〃,: . :/`ヽ、/    ヾ{ ヽ{ヘ: リ: . : .:}. : . : .

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          ,' .{: . :.i i {:::㍉    'ー―‐‐‐'' !: . : . : . : ,
            ,:.:.:.:|. `ー’    -ァ==ュ、 , . : . : . : .
            {: . :{         { :::: ノヾ ,ノ: .: .ノ: . ,
    ,. . -‐: . :--ヾ、: .ハ    '    `¨" ´. : . /: . ,
  /'"孑´: . : .: . :彡ゞ‐-丶  _      /: . /: . :,

  ,' ,ィ'´: . : .> '"___,,,,,....>  `    _,/: . : . : . :./
  /: //´ ,ィ 7´ ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:7 `r - ''   {_: . : ..>'
  {;/  { /  {.ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:7  !     /ミュ={
  ヾ / ヘノ {.ii:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;7_   --‐ /: . : . }、

   /   i! ヘ', :;:;:;:;:;:;:;:;:;i ``  、_,/;:;i!: . : .ノ;:;:\
  /  {  .i! / ヘ', :;:;:;:;:;:;:;i    /;:;:;::;7 . : /;:;:;:;:;:>>、
./   {   レ  ヘ', :;:;:;:;:;i    /;:;:;:;:;:;7 . : /;:;:;:; /  ∨
     ', , '     ヘ', :;:;:;i ./;:;:;:;:;:;:;:;7 . :./;:;: / イ´ }

・竹井久

右投げ両打ち 守備位置:外野手

所有カード:金城龍彦(De)

巧打50 長打50 走力40 守備50

【???】
???

【???】
???

【???】
???

【???】
???

………

睦月「金城……金城……」グスッ

霞「よしよし、泣かないの」ナデナデ

それからしばらく、睦月が久に抱き付いて離さなかったり、それを見た美穂子が卒倒しそうになったり、
その他の者たちは事態の急転についていけなかったりした中。
唯一この場で事情がわかった京太郎は、まずは睦月を久から引きはがし、倒れそうになった美穂子を抱きかかえ、
混乱する久に睦月がベイスターズファンである、という事を説明し、
そのうえで久が持っているのだろうカードの選手が睦月にとって如何に大切な選手であるかもまた説明した。

久「なるほどねぇ……いや、びっくりしたわ。 津山さんがここまでエキセントリックだったなんて」

京太郎「俺も最初は驚きました」

最近では慣れてしまったが、それにしても先ほどの行動は異常ともいえるレベルである。
それだけ睦月の中で色々と感情の高ぶりもあったのだろうが、
久は驚いた様子ではあったものの、だからといって特に不快ではなかったらしく軽く笑って見せる。

久「まあ、珍しいものを見れたって事で」

京太郎「本当なんていうか、サバサバしてますよね部長」

久「これが須賀くんに抱き付かれたとかならぶん殴ってる所だけどねー」ケラケラ

美穂子「須賀くん……」

京太郎「しませんよ!」

そんな事をしたら後が怖い。

美穂子からの非難めいた視線を受けて、必死で否定する京太郎。
久の事が嫌いな訳でもない、女性としての魅力もまあ、あるとは思う。美人だしスタイルもいい。
ただ、どう考えても、それ以外の諸々の面が怖すぎる。

久「でもま、私でなくても……」

京太郎「?」

久「さっき美穂子を抱きしめてたんだから、そっちの方が良かったんじゃない?」ニヤッ

京太郎「はぁ!?」

そう、確かに先ほど、京太郎はしっかりと美穂子を抱きかかえた。
抱きしめる、ではないが、その腕の中には未だに彼女を支えた温もりだとか感触だとかが残ってる……ような気がする。
なんだか凄くいい匂いがして、柔らかかった……と思う。

しかし、それを今こうして蒸し返すのはどうなのだろうか。
相変わらずニヤニヤと笑みを浮かべながら、久はポカンと口を開ける京太郎と顔を真っ赤にする美穂子に視線を向けるだけだ。

久「で、どうだった、美穂子の感触は?」

美穂子「ひ、久!」

京太郎「(この人は本当にもう引っ掻き回すのが大好きというかなんというか……ええっと)」

1.「んな事感じてる暇無かったですよ、倒れないよう支えるのが精いっぱいで」
2.「すっげー柔らかくていい匂いがしました!」
3.「いや、福路さんよりも俺としては部長の方を抱きしめたいかなって」

↓1

1

ごめんなさい忘れてました。ついでに久の初期好感度判定。
書き忘れたので、>>655さんの下1桁である6より下のが出たら6で進めます。

↓1 久の初期好感度(部活仲間補正+15)

>1.「んな事感じてる暇無かったですよ、倒れないよう支えるのが精いっぱいで」

一瞬からかわれるのも癪だと感じ、いっそ美穂子より久の方を抱きしめたいと言おうかとした京太郎。
だが、その場合久についてはともかく美穂子から殺されかねないと感じ、至って無難に返答をした。
これを受けて、久は実につまらなそうに口を尖らせる。

久「なーにー、面白くないわね。 男の子なんだからもっとこう、無いの?」

京太郎「無いですよ。 何期待してるんですか、何を」

美穂子「そうよ久、須賀くんはそんなえっちな子じゃありません! ね、須賀くん?」ニコッ

京太郎「…………はい」

美穂子の視線が、逆に痛い。

久「あらら、知らない間に仲良くなっちゃって。 嫉妬しちゃうわねー」

京太郎「何言ってるんですか……」

久「ま、これ以上練習って気分じゃなくなったし。 キリもよかったしここまでにしましょう」

霞「丁度いい時間だし、私たちもお昼にしましょうか」

美穂子「久、良ければ一緒に……」

久「あら、いいの? 敵対するチームなのよ、私?」

良子「問題ありませんよ」

京太郎「(本当にこの人は人との距離の詰め方が凄いな)」


流れるような勢いであっさりと京太郎たちの輪の中に入ってくる久に内心舌を巻きつつ、昼食を取る京太郎たち。

久「やっぱり美穂子の作る料理は格別ね。 美味しいわ」

美穂子「ふふ、ありがとう。 これも食べて、自信作なの」

久「ええ、いただくわ」

美穂子「須賀くんも、どうぞ。 あ、お茶のおかわりもあるわよ。 いかが?」

京太郎「すみません、いただきます」

相変わらず給仕に勤しむ美穂子に申し訳なくなりながらも、
ありがたく彼女の好意を受けて食事を進める京太郎。

久「ふふっ」

京太郎「? なんです、部長?」

おにぎりをパクつきながら、自身を見て笑みを浮かべる久にそう問いかけると、
久はやはり笑いながらこう言う。

久「嫉妬しちゃってっていうのは嘘だけど、本当に仲良くやれてるみたいね」

京太郎「……お蔭さまで。 皆さんいい人ばかりですから」

久「安心したわ」

京太郎「………………」

久「あら、なーにその顔? 私が須賀くんの心配したら駄目かしら?」

駄目という訳ではないが、そこまで自分を気にして貰えていたとは思っていない、とは京太郎も言えなかった。
よって、無言でそのままおにぎりを口に詰め込む。
そんな京太郎の様子をしばし見つめた後……久はそっと溜息を吐くと、自身も同じように食事を再開したのだった。

※久の初期好感度が21になりました。
※久の好感度が+1され22になりました。

その後、一同は食事を終えて後片付けを済ませると再びグラウンドで練習を見学しようとする。
美穂子は渋っていた様子だったが、流石にこの後もいる訳にはいかないと言い、
久はそそくさと一同から離れて寮へと戻っていった。

睦月「金城……金城……」

やえ「おい須賀、津山が相変わらずだ。 どうすればいい」

京太郎「津山さん、落ち着いてください。 あれは、金城のカードを持っただけの部長です。 金城じゃないです」

睦月「う、うむぅ……うむぅ……」

なお、相変わらず睦月はショックから立ち直れていなさそうではあったが、
京太郎の言葉を聞いて、幾らかは回復をしていた。

良子「さあ、気を引き締め直しましょう。 グラウンドで、もう新たに練習が始まっているようですよ」

言われて視線を向けてみれば、確かにそこには1人の少女がいる。
グラブを身に着け、監督である慕のノックを受けているのは――。

美穂子「新道寺の白水さんね」

哩「…………」バッ

1人、無言で黙々とノックを受ける哩。
北九州最強と言われる新道寺女子高校のエース兼部長である彼女だが、果たして所持カードは一体何なのか。
雀士としての格を考えれば、相応に、所謂強カードと呼ばれるものを引いてそうではあるが。

京太郎「(でも、福路さんの事を考えると雀士としての強さ=カードの強さでもなさそうだし……)」

その辺りは、必ずしも連動しないという事なのかもしれない。

良子「ポジションは……ショートですね。 はて……」

京太郎「(一体どんなカード引いたんだろ? っていうか、バッティングフォームならともかく守備を見てわかるんだろうか?)」

01~32 選手カード判明
34~65 選手カード&能力値判明
67~98 選手カード&能力値&スキル判明
ゾロ目 上記に加えて対戦時全能力-10

↓1

>コンマ44 ゾロ目
>選手カード&能力値&スキル判明 + 対戦時全能力-10

京太郎の考えた通り、普通、守備を見ただけで特定の選手を想起するというのは難しい。
まだタケタケステップをしていた頃の、美穂子のような選手ならば別であるが。

京太郎「(ただ……)」

哩「…………」ダダッ! バッ!!

京太郎「(なんっだあの人!? むっちゃくちゃ上手いぞ!?)」

ノックを受けている哩を見て、京太郎が思ったのは――とにかく、無茶苦茶守備が上手い、という事である。
今までチーム内にいる内野手がそれこそ美穂子、或いは守備の苦手なやえくらいだった為か、
哩の打球を受けての反応速度や身のこなし、捕球してからのスローイングの正確性などなど。
おおよそ、守備に必要とされる一連の行動の練度に驚愕してしまう。

良子「野球の基礎はやはり守備からと言いますが……なんとも。 これは、中々手ごわそうですね」

霞「二遊間、或いは三遊間を狙う打球はゴロ性のものなら軽く取られてしまうかもしれないわね」

京太郎「(こりゃ二条さんがいくら打たれても、ある程度はカバーされちゃいそうだな。
     勿論、ある程度って範囲だけど……しかし、一体誰のカードだ? 結構ジャイアンツってショートもいたよな)」

そして、京太郎の脳裏に浮かぶのは一体誰のカードを所有しているのだろうか、というもの。
事実として、哩の守備力が驚異であるというのはわかった。
そこから更に、選手カードも絞り込めれば――更なる対策を講じる事も出来るかもしれない。

美穂子「須賀くん、津山さん、わかる?」

京太郎「難しいですね。 なんだかんだ、巨人には名ショートがいますし」

睦月「過去にも遡ったりすると……うむぅ」

しかし、中々判別がつかない京太郎たちだったが――意外な事から哩の所有カードが判明する。

カキンッ!

哩「っ!!」

慕の放ったノックが、二遊間目掛けて強い打球となって飛んでいく。
ポジショニングを誤っていた哩は慌てて反応するも、京太郎たちの目から見るに間に合いそうには無い。
少なくとも、美穂子ならば悲しい事に間に合ってないだろう。

哩「ふっ!」バッ! パシィッ!!

京太郎「おおっ!!」

しかし、哩は横っ飛びになりながらもそのボールをグラブの中に収めた。
ユニフォームが土で汚れるのも厭わずに飛び込むその姿は男性である京太郎から見ても凛々しく格好良く、
ただ、その態勢からでは1塁への送球はとてもではないがやはり間に合いそうにない。
無論、止めただけでも十分立派とも言えるのだが――。

哩「!」パッ!

そこから哩は倒れた姿勢のまま、グラブを動かして中のボールをトス。
いわゆるグラブトスと言われる動作で、ボールをセカンドを守っていたザコプロへと渡そうとする。
その光景を見て、思わず京太郎と睦月は息を飲んだ。

??『部長!』ビュッ!

京太郎「……うーわぁ」

睦月「うむ……」

そこにはいない筈の少女が、哩のトスしたボールを取り、一塁へと華麗に送球する姿が目に浮かんだのである。
勿論、それはありえない。
現実にはそこにいるのはザコプロであり、彼の処理は遅れている。これが試合ならば、一塁は間に合っていないだろう。

ただ、確かに、京太郎と睦月には見えたのだ。
哩がトスをした瞬間、彼女を慕う後輩が彼女の託したボールを受けて繋ぐ所を。

そして、京太郎たちはそれを見た瞬間理解をした。
その光景が、京太郎たちのよく知る――。
否――知っていた、何度もヒットを潰してきた鉄壁の二遊間を構築した2人のプロ野球選手の共同作業に瓜二つであるという事を。

睦月「須賀くんも、見えた?」

京太郎「ええ、まあ。 一瞬、重なるっていうんですかね……あれを受ける人の姿が、見えました」

良子「……わかったんですか、津山さん、須賀くん?」

京太郎「はい。 ……でも、そうか。 ジャイアンツかぁ」

睦月「白水さんのカードは、『井端弘和』。多分、間違いないと思います」

【井端弘和】
元中日ドラゴンズ所属。元読売ジャイアンツ所属。現役引退済。
中日時代には同僚である『荒木雅博』と二遊間、1・2番コンビを組み、
外野に抜けようとする打球を片方が捕球し、片方がそれを受け取ってアウトにする。
など、2人での連携プレーでの芸術的な守備を見せ対戦チームのヒットを悉くアウトにしていった。
(なお、描写では哩が捕球をしてトスをしているが、実際には荒木が捕球をして井端が受けるという事が多かったらしい)
打撃においても長打力は無いが、生涯打率.281という数字を残している。

しかし選手生活晩年、彼もまた中日から契約を結ばない旨を伝えられ、巨人へと移る。

その後は主に内野の守備要員などをしながらもスタメンとして活躍をしていたが、
2015年、とある事情から現役を引退しコーチとなった。

もう少しやれば2000本安打に到達(引退時点で1912本)していただけに、惜しまれる声も未だにある。
中日黄金期を支えた、名選手。

               ,. : :´          `: : 、
            ./                `ヽ
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        ,.:゙ ,      |  |             ),
       ./ /         |  |             / ハ
      厶ニ| i     l   |  |
.     「 ̄ | l     ト,| |  |
.       i   | |   _,以 || 「二ニ=‐- ..,,_
     |   l,斗<  .| i |`||
      |  ∧ | j云ニL」ノ .|├=Y⌒ヽ
     .从  .从 jI八::rⅱ || ヾ   }
.      ヾ:、  ハ   ,)ヅ ||       ./
          `ト己   .:::::: ノイ    ,.イ     \
         | .ノ           :' 从       \  jI斗┐
         | ,心、             `ヽ   ___(   |
        ||| 心r_;          ,.厶=孑ヘ\ ├ヘ,_|
            || |!.心、  ,.。o心,  ´    _,,.⊥、L| |
         ! |[レ' `i´  rく    /     `ヽ|
            ! ;||     r 1 :|   /        ∨
.            ! 小|    ,ハ|| /           ∨
          ! |     _|///|/               ∨
           !|     /  / /              ___∨
            弋   厶イ/            /////∧
                / //             ////////∧
             / ./          \////////// ∨
            ./ ./        ヽ  \///////   ∨

・白水哩

右投げ右打ち 守備位置:遊撃手/二塁手/一塁手

所有カード:井端弘和(巨)

巧打50 長打30 走力40 守備80

【起死回生の同点打】
ヒットが出れば同点の際発動、巧打力+30。

【黄金の二遊間】
『荒木雅博』のカードを持つ選手と二遊間を組む際、守備力+30。

【リザベーション】
自身の次の打者が『鶴田姫子』の際に任意発動。巧打力-10。
自身がヒットを打った際、『鶴田姫子』の巧打力+30。

※実際の試合の際、ここから更に全能力-10されます。

それからしばらくして、一区切りついたのか。
哩は練習を終えるとザコプロが手渡すタオルを受け取り、汗を拭きながらノックをしていた慕と二、三、言葉を交わす。
その後、ちらと京太郎たちの方を見ると……多少悩んだそぶりを見せた後、つかつかと歩み寄ってくる。

哩「個人戦で会ったのも何人かおるが……殆どが初対面ばい。
  白水哩、試合ではよろしゅう頼むばい」

京太郎「(うおっ、すげー訛り)」

一見するとクールに見える外見だが、人当たりはいいらしく。
哩はそう言いながらペコリと頭を下げると、一同に握手を求める。
美穂子、霞、やえ、睦月、そして監督である良子。
次は俺の番だなと京太郎はユニフォームで手の汗を拭い取ってからその手を差し出したのだが……。

京太郎「(あれ?)」

哩「わいとはよろしゅうせん」

京太郎「へ?」

哩「私はちゃらちゃらした男ば好かん!」ビシィッ!!

京太郎「えええええーっ!!」

なんというか、初対面から第一印象が最悪だったらしい。
ズビシッ!と指をさされた京太郎は思わず絶叫をするが、哩はといえば腕を組み、
ふんと鼻を鳴らしながら京太郎の頭からつま先までジロジロとねめつける。

哩「もう……見るからに、おなごばたぶらかすのが生き甲斐って顔ばしとるばい」

京太郎「酷い言いがかり!?」

哩「鏡ば見んね、なんばいそん髪の毛。 いやらしか……」

京太郎「金髪なら俺だけじゃないでしょ!? 福路さんだって、そっちにも妹尾さんだっているじゃないですか!」

哩「おなごはよか」

京太郎「えぇ……」

京太郎としては、身に覚えのない、とんでもない言いがかりである。
金髪にしたって地毛であるし、顔つきにしたって――まあ、時と場合によってはそれはそれは助平な顔をする時もあるかもしれないが、
少なくとも、今はいたって真面目な顔をしている、つもりである。
しかしながら、哩からしてみれば納得がいかないらしい。というか、警戒心ビンビンである。

哩「他のもんには悪かが、私にも可愛い後輩がいるばい。
  そんままそっちを勝ち上がらせて、変に対面させる事になっても困る。
  試合じゃたたっつぶさせっもらう」

京太郎「(取り付く島もない……)」

哩「久の後輩ば言うからどげな男か思ったが……やっぱり東京もんはいかん」

京太郎「(しかし嫌われたなぁ……でも、このまま言われっぱなしも癪だぞ)」

1.「東京もん? いや、俺、生まれも育ちも長野ですよ?」
2.「そのちゃらちゃらした男に負けても、泣かないでくださいよ? 俺も負けるつもりはありませんから」
3.「可愛い後輩? いやー、俺、そっちの方に俄然興味ありますね」

↓1 コンマ下1桁が哩の初期好感度

>2.「そのちゃらちゃらした男に負けても、泣かないでくださいよ? 俺も負けるつもりはありませんから」

流石にここまで言われては、京太郎としても黙っていられない。
怒鳴るようには決して言わず、冷静に、しかし熱く宣戦布告をすると、哩は一瞬ピクリと眉を吊り上げ……。
しかし、すぐに不敵な笑みを浮かべる。

哩「ふん、口だけは達者な奴ばい」

京太郎「さて……口だけかどうかは試合でのお楽しみって事で」

哩「よか。 少なくとも、なんも言い返せんような腑抜けではなさそうばい」

それで京太郎への評価を改めたかというとまた違うのだろうが……。
少なくとも、彼女の言う通り、腑抜けではない、とは断定したのだろう。
それ以上話す事は無い、とでも言うかのように哩は踵を返すと、グラウンドを立ち去っていく。

京太郎「…………俺ってそんなにちゃらちゃらしてるように見えますかね」

後に残ったのは、割とショックを受けている京太郎。
以前佳織にも言われた時もそうだったが、やはり女性に面と向かってそういう事を言われると、凹む。

霞「そうねぇ。 確かに、初めて会った時はちょっと不安だったけど……」

京太郎「ぐふぅ」

やえ「まあ髪の色もそうだが、なんとなく女慣れしてそうな感じだからな」

京太郎「いやいや……彼女とかいた事無いんで、俺」

良子「大丈夫、須賀くんが真面目な人だという事はここにいるみんなはわかっていますから」

美穂子「もしも白水さんも同じチームになる事があったら……誤解も解けるとは、思うのだけど」

京太郎「どうですかねぇ……(結構思い込み激しそうな感じする、というかちょっとポンコツ臭がする。咲に比べれば微弱だけど)」

チームメイトに慰められながら、そんな事を考える京太郎。
哩の態度に比べれば可愛いものかもしれないが、彼も彼で割と失礼だった。

※哩の初期好感度が2になりました。
※哩の好感度が+2され4になりました。

京太郎「って、もう日が落ちそうですね」

美穂子「本当。 そんなに時間が経ってたのね」

気づいてみれば、空は既に夕暮れ時。
朝から張り付いて練習を見ていた京太郎たちだが、中々に有意義な時間を過ごせた。
相手のエースに久、哩といった恐らくは主軸となるであろう野手陣の確認が出来たのである。
後はそれについて対策を練る事が出来れば、明日の試合にも万全の状態で挑めるのだろうが……。

睦月「まだ1人、確認出来てないですね」

やえ「……言っていたら来たようだぞ。 その最後の1人が」

そして、そんな折――この遅い時間帯になってようやく表れたのは、対戦チームの最後の1人。

誠子「こんにちわ。 でなくてこの時間だとこんばんわかな?」

白糸台高校2年、亦野誠子その人であった。

彼女はグラウンドに姿を現すと、まずは帽子を取って一同に挨拶。
京太郎達もそれに倣い、挨拶をする。

誠子「……さっき寮で話を聞いたけど、本当に5人全員で。 いや、監督さんも含めて6人全員で来てるんだね」

良子「すみませんね、このような大所帯で」

誠子「ああいえ、別に問題は無いですから。 見られるなら何人だろうが同じ事ですし」

そのボーイッシュな風貌からは意外な程に、誠子の受け答えは大人しく、穏やかである。
慕から事前に聞かされていたが、彼女がチームキャプテンだというのも、なんとなく納得がいく人選である気がした。
大本としては、彼女しか野球に詳しい者がチームでいなかったというのもあるらしいが。
それでも、性格上出来そうに無いのなら、久なり哩なりがやっていた所だろう。

誠子「時間も無いし、すぐに練習始めちゃうけどいいかな?」

良子「どうぞ、こちらは見させて貰う立場ですから。 そちらのお好きなタイミングでお願いします」

誠子「わかりました」

そう言うと、誠子は入念にストレッチをし、体を解して練習の準備に取り掛かる。

誠子「そういえば……そっちは野球に詳しい人は何人くらい?」

美穂子「こちらは津山さんと須賀くんが……私たちはちょっと、そういうのには疎くて」

やえ「何を言う! 私も野球は知ってるぞ! よく見るし!」

霞「小走さん、少し黙ってましょうか」

やえ「何故に!?」

そんな折、不意にそう問いかけてきた誠子に対して、美穂子が応え、やえが名乗りを上げ、霞が窘める。
3年生組、三者三様の反応を見て、誠子はくすりと笑みを浮かべながら、
そのまま視線をスライドさせて京太郎と睦月を見やる。

誠子「……カードまではちょっとわからなかったけど、凄い球威の球を投げるエースさん」

京太郎「俺の事ですか」

誠子「それに、一発もあるしピッチャーも出来る二刀流さんだね。 二枚持ちなのかな?」

睦月「うむ! あ、私が持ってるのはベイスターズでも特に期待されている……」

誠子「あ、うん、ごめん、聞いて無い」

睦月「うむー……」シュン

そこまで言うと、誠子はストレッチを止め、バットを手に取り立ち上がる。

誠子「野球を知ってるなら、多分、私の事を見ればすぐわかると思うよ」

京太郎「……有名な選手なんですか?」

誠子「まあね。本当に、このカードを引けたのはラッキーだって、私は思ってるんだ」

自信ありげにそう言う誠子の表情は、やはり笑顔だ。
言外に、誠子が見てもわからなかった程度の「カード」の持ち主が、
誠子に敵うとは思えないとも言っているようにすら聞こえる。

誠子「まあ、見ているといいよ。本当に、一発でわかると思うから」

言いながら、誠子はヘルメットをかぶると打席へと向かった。

睦月「……友好的な態度に見えるけど」

京太郎「はい、そうですね……正直言って、白水さんよりも……」

京太郎「亦野さんの方が、すっごい敵意を感じます。 敵意っていうか……なんだろう」

睦月「……なんとなく、亦野さんの感情はわかる。 ような気がする。 私も、多分、似たようなものを持っているから」

京太郎「え?」

睦月「………………」

それだけ言うと、睦月はぷいと視線をバッターボックスの誠子へと向ける。

誠子「ザコプロさん、お願いします!」

ザコプロ「オッケェェェイ!!」

01~32 選手カード判明
34~65 選手カード&能力値判明
67~98 選手カード&能力値&スキル判明
ゾロ目 上記に加えて対戦時全能力-10

↓1

>コンマ36 選手カード&能力値判明

誠子の言った言葉は、正しかった。
左打席に入り、バットを構える誠子の姿を見た瞬間――京太郎と睦月は、それが一体誰のフォームなのか瞬時にわかったのだから。

霞「……なんだか、独特の構え方をするのね」

知らない霞は、そのフォームを見て思わずそう口にする。
先ほど見た久のバッティングフォームも中々に珍しいものだったが、誠子のそれも独特だ。
バットをピンと立て、ただただまっすぐ、構えを取る。

その立ち姿は、さながら一振りの刀を握った、侍。

京太郎「……マジか」

睦月「間違いない。 亦野さんが、あれだけ自信があったのも、うなずける」

理解をしていた京太郎と睦月は、そのままザコプロがボールを投げ込む所を見る。
そして、誠子が刀を――バットを振るう所もまた、見る。

普通ならば、あの独特のフォームから、強い打球を打つ事は出来ない。
バット全体にスピードを乗せる事が難しいからだ。
しかしながら、誠子はしっかりとそのフォームからフルスイングをしてみせた。
強靭なリストを持つ、その選手だからこそ出来るフルスイング。

バットはボールを捉え、そのままライト方向へと大きな弧を描いて飛来する。

ピョインッ

誠子「…………」

打った瞬間、フルスイングの流れそのままに小さく跳ねる誠子。
その動作もまた、京太郎たちは知っていた。

良子「……柵越えですね」

打球の行方を見なくても、音と今のスイングとを見れば結果もわかった。
この小さなグラウンド、今の当たりならば文句なしで柵越えだろう。

良子「須賀くん、津山さん……その様子だと、もうわかったんですか?」

美穂子「たった1打席だけで?」

京太郎「さっきも石戸さんが言ってましたけど……独特なフォームですから。 あれは……ガッツ!」

やえ「ガッツ?」

睦月「『小笠原道大』……。近年の野球界で、1番のバッターはって話題があったら、まず間違いなく入ってくるような打者です」

【小笠原道大】
元日本ハムファイターズ所属。元読売ジャイアンツ所属。現役引退済。
愛称は『ガッツ』、『北の侍』(ファイターズ時代)
入団当初はどこでも守れるコンビニルーキー、という触れ込みでいたが、1999年にファースト転向後大ブレイク。
この年に25本の本塁打を放つと、2000年から2003年まで4年間連続30本塁打。
2005年から2010年までは6年間連続30本塁打と、和製大砲として常に打線の主軸として活躍をする。

長打力だけではなく、打率を残す事も出来、生涯での通算打率は.310。

2007年には当時低迷していたジャイアンツへとファイターズから移籍をし、そこでも活躍。
ファンなどからはジャイアンツを救ってくれた救世主と言う声も上がっていた。

常にフルスイングを続ける、日本のラストサムライ。

                 、、_,/(ィ-―ァ
             ≦゙        ` ヽ、
            /ィ   ,.、,、、  、    \
            /...;、;リ'"  ` ヽiヽ:.、:.:.:.:.:.. ヽ
            /;.:リ'           jハ:.:.:.:.:.:.:!、
             i;.:.|  _     ,.=-   iハ!:.:.:.:.:!、
               iハ:.:! __`ニ  ´ ‐_,...、  |:.:.:.:.:.i`
           | !、i< ('::i゙     ´Lン'゙ |^ }:i:N
               、!               /ル
                 i   ′      ,:‐'/
                  丶   ‐--   ,.:V′
                     `丶 _  _,..::'   !
                      〕´     |-.、
              _,...-‐''/7   __/   `丶、_
           rrr''"    i   ′/        >>、
          λi:!      |   /         //  ヽ
          / ヽヾ、     |  /    ,,:=='"イ

・亦野誠子

右投げ左打ち 守備位置:一塁手/三塁手

所有カード:小笠原道大(巨)

巧打70 長打70 走力30 守備40

【???】
???

【???】
???

安価などはありまえんが本日は一旦ここで区切らせていただきます。
遅くまでご参加ありがとうございました。おやすみなさい。


走力は並みの選手しかいないから敬遠の活用も考えとくべきかな

乙です


金城とか絶対悪球うちもってんだよなあwwwwww

乙です
久部長のチームにキャッチャーは居ないみたいですね
だとするとその辺りが付け込めるスキって言う感じでしょうかね?

って言うか姫子さん…荒木の可能性がデカいですね

乙です

引退済の大物揃いじゃないか!
乙です

一気読みしてしまった。面白いので期待します。
ところで好感度ってどれ位上げれば「好き」「大好き」とかになるのか決めてるんですか?
決めてるなら表にしてもらえるとわかりやすいかも。

>>687
乙ありです。
走力の高い選手は強いて言うならかおりんくらいでしょうか。
>>690>>694
乙ありです。
>>691
乙ありです。その辺も考慮しての久のカードが金城でもありますからね……。
>>692-693
乙ありです。
シノチャーのカードはこの後公開します。が、まあ監督のカードはフレーバー的なものなのでそこまで気にせずとも結構です。
また、監督のカードは今のところは選手は持ってないです。
>>695
乙ありです。金城、井端、小笠原のネームバリューは凄いですね。
>>696
ご期待に添えられるよう、頑張りたいと思います。
好感度についてですが、25から名前呼び解禁なので、そのくらいを目安にと思ってます。
表にするとこんな感じでしょうか。

~24 知り合い
25~49 友人、好意
50~100 異性としての好意

もうちょっとしたら再開します。

カキーンッ! カキーンッ!!

その後も、誠子のバットからは快音が響き渡る。
ライト方向、レフト方向へと広角に打ち分け、死角は無し。
柵越えも最初の一球のみならず、数多もの白球がフェンスの向こうへ消えていく。

京太郎達のチームにも、やえというホームランを量産する和製大砲はいる。
しかし、やえは長打力こそ誠子には匹敵するかもしれないが、巧打力においては遠く及ばない。
今のやえには、広角に打ち分ける程の技術は無いのだ。
だが、誠子は違う。ただ長打を打つだけでなく、ヒットコースへと白球を飛ばす技術を持つ。

美穂子「凄い……」

先ほどまでいた久も、哩も、打力においては決して低くないものを持っていた。
ただ、次元が違う。
バッターとしての能力が、正しく圧倒的に違うのである。

思わず美穂子がそう呟いてしまうのも仕方ない一方、京太郎は些細な違和感を覚える。

京太郎「(確かに凄い……凄い、けど……)」

全く、驚異を感じないのだ。

まだ監督に直接言われた訳ではないが、まず間違いなく、明日の試合の先発は京太郎だろう。
途中、スタミナが切れれば睦月にリリーフを願う場面もあるかもしれないが、
少なくとも試合の大半は京太郎が投げ切るものとみて間違いない。

それはつまり、誠子とも対戦の機会があるという事だが――。
その場面を想像しても、京太郎は誠子に対して強いプレッシャーを感じるという気がしない。

実際にその打撃を見て、凄いとは思う。
ただ、それだけ。対戦する恐怖も、何も感じない。
なんなら久の練習を見た時の方が、対戦するのが怖いと京太郎は感じていた。

睦月「………………」

そんな京太郎の傍らでは、睦月が難しい顔をしながら誠子の練習を見つめている。
彼女もまた、投手のカードを持ち――そして、誠子の持つカードのその強さも知っていた筈だ。
果たしてそんな彼女は、誠子の打撃を見て何を感じているのだろう。

京太郎「津山さん、あの……」

良子「練習が終わったようですね」

思わず問いかけようとしたところで、丁度タイミング悪くと言うべきか、誠子は練習を終えた。
ヘルメットを取り、汗を拭うと、彼女はやはり表面上は好意的に見えそうな柔和な笑みを浮かべながら京太郎達の方へと近づいてくる。

誠子「どうだったかな? わかった、私の持つカード?」

京太郎「はい。 小笠原ですよね?」

誠子「正解」

隠すつもりなど毛頭ないのだろう。
それだけ彼女も自信を持っているという事なのだろうが、彼女はニッと笑いながらポケットから1枚のカードを取り出す。
そこには確かに、フルスイングをする巨人のユニフォームを着用した小笠原道大の姿。
やはりか、と京太郎が息を飲むのを見て誠子は機嫌を良さそうにしながら、更に言葉をつづける。

誠子「竹井さんや白水さんのカードも、その様子だとわかったみたいだね」

京太郎「はい。 幸運にも、うちには野球に詳しいのは俺だけじゃないんで」

睦月「うむ」

誠子「……へぇ」

京太郎の言葉を聞いて頷く睦月を見て、面白そうに誠子は呟く。

誠子「こっちは、殆どわからなかったな。 精々、福路さんと小走さんのカードくらいか」

美穂子「(このカードってそんなに有名なのかしら……)」

やえ「ふふふ、まあこの王者は何をしても目立ってしまうから仕方ないな」

話題に上げられた2人は困惑するなり自慢げになるなりといった反応をするが、
京太郎はその誠子の態度に、やはり言外に著名な選手カードは持ってないのだろうと言っているように感じる。
否、それは感じるではなく、そう言っているのだろう。

京太郎「(実際、名前だけで見れば金城、井端、小笠原なんてどれもが野球を知ってる人ならだれでも知ってる名前だ。
     逆にこっちは……うん……)」

京太郎の持つ三嶋と国吉。
睦月の持つ高崎と乙坂。
美穂子の持つ石川。
霞の持つ戸柱。
やえの持つT-岡田。

どれもその球団のファンなら知っているかもしれないが、他球団のファン――別リーグのファンからしてみればいまいち知らない選手ばかりだ。
強いて言うなら球団の顔になってしまっていた石川と、名前が特徴的で同じく球団の顔でもあるT-岡田くらいだろう。
どう考えても、名前だけでなら負けている。
実績、実力、どれも比べ物にならない。

京太郎「(でも……)」

1.「野球は名前でやるスポーツじゃないですよ。白糸台のレギュラーさん」
2.「野球はピッチャー。 俺が抑えればいいだけの話です」
3.「そっちのチーム……全員外様か生え抜きでも出て行った選手ばかりじゃないですか?」

↓1 コンマ下1桁が誠子の初期好感度

3

>3.「そっちのチーム……全員外様か生え抜きでも出て行った選手ばかりじゃないですか?」

久の持つ金城、哩の持つ井端、誠子の持つ小笠原、いずれも他球団からの移籍組。
佳織の持つ大田はトレードで他球団へ。
そして、そもそも泉の斎藤はハムの人である。
なんというか、それでいいのか。と、京太郎としては思わず突っ込みたくなった。

誠子「ま、そうだね」

京太郎「いやそうだねって……」

しかし、この京太郎の言葉を聞いても誠子はどこ吹く風である。
むしろそれがどうしたと言わんばかりの表情だ。

誠子「別にいいんじゃない。 そもそもカードを持ってる私たちですら寄せ集めなんだから」

実際、誠子の言う事はある意味では正しくある。
ユニフォームこそある一定の統一感が出せるよう特定の球団のものを模したものを着用しているが、
そもそもこの企画においてのチームは各高校からランダムで振り分けられた寄せ集め集団である。
生え抜きだ、外様だ、というのも関係ない。

誠子「生え抜きだとか外様だとか気にするのは、結局の所そういう移籍ごとで出て行かれるだけの球団が拘ってるだけじゃない」

誠子「寄せ集め同士のチーム。 戦って勝つのは、強いカードを持ってる方だ」

ビシ、とその手に持つカードを見せつけるようにしてそう宣言する誠子。
その表情は、やはり、自信に満ち溢れている。
だが……。

00~25 睦月
26~50 美穂子
51~75 やえ
76~99 霞
ゾロ目 良子

↓1

ゾロ目

>>697
って言う事は監督カードと同じ名前の選手カードが存在するって言う事でしょうか?
私てっきり監督カードの中にその監督の選手時代のポジションと能力とスキルも反映して居る物と思って居ました
だって監督だって元から監督って訳じゃ有りませんからね

>>704
ちょっとよくわからないです。
とりあえず、監督(良子さんとか)が持ってるカードは、例えばラミレスとかではありますが、
別にそれでこちらはポジションとか能力とかスキルとかは設定してないです。
試合に出ないので。
ただノックとかはするので、監督としての能力とかは多分あるでしょう。そしてそれはフレーバー的なもので、実際の試合とかでどうこうとかは無いです。
また、監督(良子さんとか)が所持してるカードは、選手たち(京太郎とか、雀士)は持ってないという事です。
ラミレスのカードは他の人は持ってませんという事です。

>>705
其れは勿体無さすぎますよ!
やっぱり監督カードに選手時代の能力が付くか
もしくは監督カードと同名の選手カードが存在しないと
引退組の選手カードの中で監督経験者の選手カードが全く存在しないって言う事に成るじゃないですか!
同じ名前のカードが複数存在しないってするならば選手時代のポジションや能力も付加しませんと

>コンマ94 霞

霞「あらあら、それはどうかしら?」

誠子の言葉に言い返したのは、意外な事にここまで黙り事態を静観していた霞であった。
思わぬ所から反撃があった事で誠子は眉を潜め訝しむ表情を浮かべるが、
霞は相変わらずどこか人を食ったような微笑みを浮かべて続ける。

霞「確かに結成してから一週間足らず。 だけど相応の時間を、寝食を共にして1つの目標に向かって練習してきたのだもの。
  それはただの寄せ集めではないと、私は思うけれど?」

誠子の言う寄せ集めという言葉も正しいように、霞の言う事もまた正しい。
始めはバラバラだったチームだったかもしれないが、この一週間足らずの間に、
京太郎達は少なからず交流をし、練習をし、共に切磋琢磨をしてきた。
期間にしてみれば本当に短い間だろうが、それでもその密度は寝食を共にした分どうしても濃い。
毎日を合宿して過ごしているようなものだ。

もしもチームを結成してすぐに試合をする、という事ならば誠子の言う通りカードが強い方が勝っていただろう。
しかし、今は少なくても積み重ねたものがある。
霞の言葉を聞いて、誠子は特に言い返さなかったのだが、それを見て更に霞は二の句を告げる。

霞「それに、須賀くんのボールを貴女が打ち返せるとも私は思わないから」ニコッ

誠子「へぇ……」

これには流石に誠子も、その表情を歪めざるを得なかった。
面白くない、といった風にすこぶる不機嫌な様子となる。

誠子「根拠は?」

霞「正捕手だもの。 エースの投げるボールについては、誰よりも把握しているわ」

言いながら、霞が翳すのもまた彼女の持つカード。

誠子「……ジャイアンツの背番号10ならともかく。 それじゃあね」

霞「そちらは捕手はザコプロさんみたいだけどね。 それに、このカードは強いみたいよ? ねぇ、津山さん」

睦月「う、うむ! 戸柱はルーキーながら開幕スタメンを勝ち取って、殆どの試合に出場しました!
   結果、暴投や後逸といったバッテリーエラーも減って手堅い野球も出来るようになって……」

誠子「あ、うん、ごめん、聞いて無い」

睦月「うむぅ……」シュン

>>706
うーん?つまり監督経験者はカードとして選手(雀士)が所持していないと勘違いされてるとかいう感じでしょうか?
ならそれは違います。
現在の12球団の監督にしろ、過去の監督経験者にしろ、カードを持ってる選手(雀士)はいます。
ラミレスは良子さんが持ってますが、金本なり真中なり緒方なり由伸なり谷しげなりは選手が持ってる可能性があるという事ですね。
勿論、全員が全員カードとなっている訳でもないですが。

またもベイスターズの自慢をする機会を失われた睦月がしょげる横で、
京太郎は霞の啖呵を聞きながら、それに追従をする。

京太郎「石戸さんの言う通り。 打たせませんよ」

誠子「………………」

キッパリと、強く宣言するようにして言われたそれを聞いて、誠子もついには閉口をした。
別に、京太郎たちに恐怖を持ったという訳でもないだろう。
ただ、これ以上議論を交わしても、平行線になると感じたに違いない。

やえ「そうだそうだ! 試合ではこの私の方がホームランを打ってやる!」

ついでにやえも追従する中で、美穂子はそっと口を開く。

美穂子「明日になれば、わかることですもの。 今日の所は、ここで失礼しましょう。
    亦野さん、今日はありがとうございました」

誠子「ええ、こちらこそありがとうございました。 お疲れ様です」

雌雄を決するのは、明日の試合で。
これ以上話し合うよりは、そちらの方がよほどわかりやすい。

美穂子のなるべくこの場を穏便にという思いを察知したのか、そちらの方が手っ取り早いと感じたのか、
誠子は帰り支度をする京太郎たちに一瞥をやるとそのまま去って行った。

………

慕「ごめんね、誠子ちゃんも悪い子じゃないんだよ。 本当に、寮ではいつもいい子なの」

良子「ノープロブレム。気にしないでください。こちらもヒートアップしすぎた所もありました」

それからしばらくして、帰り支度を終えてバスに向かう一同を慕が見送る。
彼女曰く、普段の誠子は決してあのように挑発的でもなければ好戦的でも無いらしく、
むしろ至って温厚で真面目で、少なくともあのような態度を取るような人物ではないという事だった。

誠子の事をよく知らない一同としては、信じがたい事でもあったが。

良子「ではこれで失礼します、また明日」

慕「うん、明日はよろしくね」

そのままバスに乗り込もうとした京太郎達であったが、不意に気になる事があった。

京太郎「そういえば……えーっと」

慕「白築プロでも、白築さんでも、なんでもいいよ」

京太郎「じゃあ、白築さんの持ってるカードってなんなんです? 聞いていいのかわかりませんけど」

慕「そういえば言ってなかったっけ。 私たちは直接戦う訳じゃないから、隠さなくてもいいんだけどね。
  えーっと……はい、これ」

言いながら慕が取り出したカードには、壮年の男性が写っている。
やはりユニフォームはオレンジを基調とした、ジャイアンツカラー。
恐らくはホームランを打った選手を出迎える為に、ベンチを出て出迎える姿がそこにある。
ある、のだが……。

慕「ちょっと変な顔してるけどね。 でも、なんだかすっごく愛着があるんだぁ」ニコニコ

そう、それは、明らかに変な顔をしていた。
ブサイクという訳ではない。顔芸をしているのである。
その人物の名は――。

睦月「う、うむ……」

京太郎「原……」

良子「ハラサン……」

【原辰徳】
元読売ジャイアンツ所属。後に監督となる。
現役時代は長嶋・王の世代に続く世代の目玉選手として取り上げられ、ついたあだ名は『若大将』。
残した成績は一流選手と呼んで差支えの無いものだったが、前時代の長嶋・王が凄すぎた為か、あまり評価をされる事は少ない。

監督となってからは、所有戦力がいいという事もあるがそれでも長年Aクラスに入り続け、
また、優勝経験・日本一経験も豊富。
第二回WBCでは日本代表の監督も務め、見事に世界一へと導いた。
これらの実績から評価は分かれるが、大多数からは名将として評価をされている。

そして、とにかく顔芸が有名。『原 顔芸』でググってみよう。

最後に。現在、日本球界でトップクラスの投手の中に、菅野智之という投手がいる。
彼は大学卒業後のドラフトで彼の肉親である『おじさん』のいるジャイアンツに行こうとしていた。
しかしながら、他球団との競合指名の結果、その他球団が交渉権を獲得。一時はジャイアンツへの入団が危ぶまれる。
が、そこからなんと彼はプロ入りを拒否し1年浪人。翌年にようやくジャイアンツへと指名され入団をした。
ある意味、強烈な『おじさん』愛である。

この『おじさん』こそ、原辰徳その人である事は言うまでもない。

>>709
えぇと…監督経験者のカードは監督としてのカードのみなのか?
其れとも監督としてのカードだけで無く選手時代のデータを扱ったカードも存在するのか?って言う話です
つまり…監督としてのラミちゃんのカードを持って居る戒能プロの他に選手としてのラミちゃんを保有する高校生雀士が存在するのか?って言う話です
其れで存在しないって言う回答を頂いて勿体無さすぎって答えた迄です
如何でしょうか?

………
……


京太郎「(白築さんも、あんな顔芸するんだろうか……いや、流石にしないよな。しても精々グータッチくらいだろう)」

慕のカードを見て、なんとも言えない気持ちになりながら、京太郎達は帰路についていた。
その道中、しばらくは誰もが無言だったのだが……。

京太郎「そういえば石戸さん、珍しかったですね」

霞「あら、何が?」

京太郎「いや、あんな風に強く言い返すって……そういうイメージ無かったですから」

近くに座っていた霞に、思わずそう質問をぶつける京太郎。
実際、時たま殺気を感じてしまう事はあれども、霞は基本的に温厚な性格である。
美穂子と共に、いつもどこかで一歩引いた所で見守ってくれているような存在だ。
しかしながら、あの時、誠子の挑発めいた言葉を受けて霞が取った行動は、京太郎としてもあまり知らないような一面である。
この質問を受けて霞は苦笑しながらも、返答。

霞「そうね、確かに珍しいかもね。 でも、私だって一応はキャプテンですもの。 あれくらいは言い返さなきゃね」

やえ「ああ、かっこよかったぞ石戸! 私が言ってやってもよかったんだがな!」

睦月「小走さんが口出ししてたら色々とややこしくなってたような気も……」

やえ「そんなことはないぞ! こう見えて口喧嘩は強い! 母にもよく、屁理屈だけは上手いと言われる!」

睦月「(それはほめて無いんじゃ……)」

美穂子「口喧嘩でも、喧嘩はいけないわ」

>>713
そういう事なら同一人物のカードは現状は存在しないという答えになります。
今のところ構想している中で、一応雀士それぞれにプロ野球選手(OB・監督含め)のカードを関連付けてますが、そんな感じになります。
ラミレスにしろ原にしろ確かにいい選手ではあるのですが、雀士自体の数もすこぶる多いとはいえプロ野球の選手(OB・監督含む)はもっと多いので。
ただ今のところなので、今後予定が変わったりすればありえるかもしれないです。
ただ今のところは構想してないです。

あまり野球に詳しくはないとはいえ、このチームのキャプテンは霞である。
普段は温厚とはいえど、怒れば怖いというのは京太郎も時たま感じる。
そんな彼女が、誠子の挑発に言い返したのも、そう聞いてみれば納得でもあった。

霞「言ったように、短い期間とはいえこのチームも上手く纏まれてきた気がするもの。
  それを寄せ集めと言われたら、やっぱり少しね……」

睦月「うむ!」

霞「それに、本当に須賀くんなら彼女を含め、相手打線を抑えられると思ってるのよ?」

京太郎「うっ……」

霞「期待しているからね」ニコッ

そういわれては、京太郎としても頷くより他にない。
いや、抑える気ではあるが――こう真正面から言われると、多少なりとプレッシャーも感じてしまう。

霞「大丈夫よ、私も頑張ってリードをするから」

京太郎「(石戸さんのリード……)」ウヘヘ

霞「………………」ゴッ

京太郎「ひぇっ」

なお、続いた霞の言葉を受けて京太郎の考えた不埒な事のせいで、今度は多少なりどころではないプレッシャーも感じてしまうもよう。

>>715
其れなら監督カードを保有する大人組全員がそのカードの選手時代のカードも保有して居るって言う風にした方が手っ取り早いと思いますよ
大体大人組の年齢ってプロ野球選手が現役やって居る年齢と代わり有りませんから
特に高三の面々と2歳しか違わない戒能プロが選手をやらないって言うのはおかしいと思いますよ
所でハギヨシさんは監督役でしょうか?
其れとも選手役でしょうか?
はたまた審判役でしょうか?
もし選手役でしたら同学年の戒能プロも選手兼任にしないといけませんが
監督役や審判役でしたら戒能プロは監督専任で構わないと思いますよ

ただ、霞の言葉を受けて、京太郎以外の者たちも色々と感じ取ったようだ。
……無論、不埒な事とかではなく。

美穂子「そうね。 私も、出来る限り守って、走って、打って、助けられるように頑張るわ」

やえ「私は……私はとりあえず、打つぞ! 守備はまぁ、そこそこに」

特有のゲッツーを取れないステップを矯正した今の美穂子は、中々に高水準で纏まった選手である。
巧打もあり、足もあり、守備もそこそこそつなくこなす。
バントも上手いという事もあり、どのような面でも頼れる存在となるだろう。

一方でやえは足も速くなければ守備も上手くは無い。
しかしながら、チームになくてはならない長打力を持つ選手だ。
彼女の打席結果如何が、明日の試合の行方を左右すると言っても過言ではない。

彼女たちもまた、試合に対して闘志を燃やしている。
京太郎は己の妄想を恥じ入り、そして彼女たちを頼もしく思った。
確かに敵は強いかもしれないが、こちらにも頼れる仲間たちがいる。

京太郎「お、俺も頑張ります! 完封……とまでは行かないかもしれませんけど、出来うる限りは投げます!」

霞「声が震えて無ければちょっとかっこよかったのだけど」

京太郎「ちょっとですか……」ガクッ

霞「ふふ。 でも本当に、期待しているからね」

負けじと拳を握って決意表明をしたところで霞のからかう声を聴いてガクッと肩を落とす京太郎。
その様子をここまで見ていた睦月は、いつものようにうむ、と一言つぶやいてから口を開く。

睦月「亦野さんに言われたようにあっちの方がネームバリューはあるかもしれないけど……野球の勝敗を決めるのはそれだけじゃないからね」

野球は名前でやる訳ではない。

やえ「なら津山は野球で勝つには何が重要だと思うんだ?」

睦月「投手の力、打線の繋がり、守備の安定、まあ色々ありますけど……つまりは総合力。
   そして、チームの雰囲気」

やえ「……雰囲気? そんな曖昧なものが重要なのか」

睦月「うむ」

やえの問いかけに、睦月はしっかりと頷く。
麻雀もそうであるが、野球もまた人がやる競技である。
ならばこそ、そこに必要なのは技術・体力だけでなく、心の強さもまた不可欠。
そして、その強い心を作るのは、空気・雰囲気でもある。

京太郎「(そういえば初日に監督も言ってたな。メンタルが重要だって……)」

睦月「強いチームには強いチームの雰囲気があるし、弱いチームには弱いチームの雰囲気がある。
   歴代、監督になっていった人たちはよくそう言っていたんだ」

睦月「私はどんな雰囲気が強いチームのものかは、知らないけれど……でも、多分……」

睦月「今の私たちは、結構いい雰囲気、なんだと、思う……」

………

やえ「……結構恥ずかしい事を言ったな、津山」

睦月「う、うむぅ……」カァッ

美穂子「いえ、とても素敵だわ! 津山さんの言う通りね」ニコニコ

霞「ええ、本当に。初日に比べると、ずっと今のチームの居心地はいいもの」ニコニコ

美穂子「これが津山さんの言う、いい雰囲気なのね」ニコニコ

睦月「うむうむぅ……」カァァッ

霞「あらあら真っ赤になって可愛いわ」ナデナデ

良子「皆さん、津山さんをからかうのも程ほどに。 まぁそれがいいムードを維持する為というならば止めませんが」ニヤニヤ

睦月「うむーっ!」カァァァッ

こうして割といい雰囲気のまま、バスの帰りは一同はしゃいで帰った。

京太郎「(なんか急に居心地が悪くなってきたぞ)」

なお京太郎はいまいち居心地が悪いもよう。

その後、無事に寮に帰り着いた一同は、揃って夕食を取った。
明日の試合は昼過ぎから――とはいえ、事前に準備も必要であるし、試合会場への移動もある。
また、試合についてからも軽く調整程度とはいえ体を動かすという事もあって、
当日朝の練習は良子から厳重に禁止令が出された。

京太郎「まあ当然だよな。 練習で疲れて試合では動けませんでしたとか話にもならない。
    さて……いよいよ明日、試合だ。
    早く寝た方がいいんだろうけどまだ寝るにしても早すぎる時間だし、興奮で目が冴えて眠れそうにないな……」

夜行動1回目(1/1)

チームメイト
【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】

入手連絡先
【優希・まこ・久・和・咲・穏乃】

↓1 交流or電話する相手

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
明日夜の処理と、試合までを書いて、月曜日には試合に入れたらなと思います。
それでは。

>>717
年齢とかでなくプロか高校生雀士かで区切ってますので、こういう感じになってます。
また、ハギヨシさんとかについても追々です。出るかどうかもわかりませんね。
答えられる範囲では答えたいですが、やっぱりシークレットにしたい部分やあまり変える気も無い所もあるので、了承願えたらと思います。

乙ー
気の早い話だけど試合後の引き抜きに関する質問です
引き抜けるのは試合毎に一人か二人って書いてあるのは毎回二人加入はできないからなの?

乙ー

>>725
了解です!
所で監督役ってプロの皆さん(慕ちゃー、はやりん、すこやん、のよりん、咏たん、カツ丼さん、良子ちゃん)だけなんでしょうか?
麻雀部の監督達(熊倉先生、雅枝監督、比与森先生、いくのん、貝瀬監督、ヴィントハイム監督)は入らないんでしょうか?

乙です

1回戦のイージーで金城、井端、小笠原が出てくるのか…
最終戦近くになったら8のドラフ島の伝説最強メンバーとか出てくるのかなー

乙です

>>726-727 >>729 >>732
乙ありです。
>>728
乙ありです。そうですね。最大で2名、最低で1名となります。
試合開始前に条件を提示しようと思ってましたがついでなので公表しておくと、点差を3点差以上つけて勝てば2名加入。それ以下での勝利で1名加入です。
また、もしも試合に負けた場合は試合中のどこかしらからリセットをと思ってます。
>>730
そこらへんは追々判明していけばと思います。
>>731
乙ありです。
今はまだ名有選手の数が少ない為、投手の事とかを考えての難易度設定にもなってます。

昨日処理を忘れてたのでここで追記。
>>701以降の流れで
※誠子の初期好感度が9になりました。
※誠子の好感度が+1され、10になりました。

>>703以降の流れで
※霞の好感度が+2され、9になりました。


もう少ししたら再開します。

>良子

良子「おや、須賀くん。 まだ部屋に戻らないのですか?」

京太郎「監督……いや、なんというか落ち着かなくて」

何をするでもなく、ただ暇そうに食堂で時間を潰す京太郎を見つけたのは良子だった。
彼女も明日の試合に向けてやることもあったのだろうが、その途中、喉でも乾いたのか。
水でも飲みに食堂へとやってきた所、食堂で何するでもなくぼうっとする京太郎と顔を合わせたらしい。

京太郎「あ、何か飲み物ですか? 俺が用意しますよ」

良子「いえ、構いませんよ。 私がやります」

京太郎「いやいや、流石に監督が自分で飲み物用意してる所を無視する訳にはいかないですって。
    何飲みます?」

良子「ソーリー。 では、ホットコーヒーを」

夏場にも関わらず、ホットコーヒーを注文する良子。
恐らくは眠気を覚ます為なのだろうと思いながら、
京太郎はキッチンへと向かうと手早く用意をし、良子の前へと差し出す。

良子「サンキュー」

京太郎「いえいえ。 監督こそ、いつもお疲れ様です」

良子「これが仕事ですからね。 それに、以前も言ったかもしれませんが楽しいものですよ」

ズズ、と一口コーヒーを啜りながら京太郎に返答をする良子。
監督業のみならず、この中にいる大人として、一同を引率する義務もまた彼女にはある。
肉体的なものだけでなく、精神的な疲労も京太郎達に比べて多大なものだろう。

良子「ああでもない、こうでもないと自分が直接参加しない競技において采配を振るう。
   これもまた、1つの楽しみではあります」

京太郎「そういうもんですかね」

良子「イエス。 それに、皆さんいい子ですからね。 この程度の苦労は苦労になりません」

微笑みながらそう言う良子。恐らくは、本心なのだろう。

良子「私は高校卒業後、すぐにプロになりましたからね。
   以前も言ったかもしれませんが、こういった指導者という立場にあこがれもしない訳でもありませんでした。
   麻雀と野球、という他競技であってもね」

京太郎「指導者ってそんなにやりたいもんですかね? 面倒そうですけど」

良子「ふふ、こうしていると大人になったみたいじゃないですか」

京太郎の疑問に、良子は笑いながら答える。
何度かこういったやり取りはした事があるが、存外、良子も背伸びをしたがる年頃なのかもしれない。
京太郎にとっては、あまりわからない世界であったが。

京太郎「(でもまぁ、世間一般で言えば普通なら学生って年齢だもんなぁ……)」

良子「そういえば……指導者といえば、ですが」

京太郎「なんです?」

良子「清澄には指導者はいなかったんですか?」

良子は、このチームを結成する際にあたり、チームメイトの情報を集めている。
一応親戚の更に親戚という間柄である霞についてはそれなりに知っていたが、
それ以外のメンバーについてはまるで知らない。
どのような人となりなのか、どのような経歴なのかを調べたというのは、当たり前の事である。

良子「津山さんのいた鶴賀もそうですが、どちらも少人数での部活動のようで」

京太郎「そうですね。 まあ、どっちも団体戦に出られる人数ギリギリです」

良子「一応監督者の名前自体は見ましたが、あなたがたの口からきいた覚えが無い」

京太郎「ま、名ばかりの顧問でしたから」

良子の疑問に、京太郎はあっけらかんと答えた。
清澄麻雀部にも、勿論顧問はいる。
ただ、それは本当に名ばかりで、少なくとも京太郎は部室で一度も見かけた事が無い。
睦月のいる鶴賀においても、きっとそれは同じなのだろう。

京太郎「去年まで2人しかいなかったような部活ですから」

良子「熱心な指導者がいなかったという事ですかね」

京太郎「だと思いますよ、俺も直接は聞いて無いですけど。 正直、同好会に格下げされててもおかしくないです」

京太郎の言葉を聞いて良子は納得したかのように頷きながら、その際浮上した疑問について更に口を開く。

良子「つまりはほぼ団体戦メンバーと、あなただけで活動をしていたと」

京太郎「そうですね」

良子「それはまぁ……なんというか……確か、麻雀は高校からはじめたんですね?」

京太郎「はい」

良子「……非常に、初心者には優しくない環境ですね」

部員は団体戦に出た女子5人と、京太郎1人。
団体戦に出た女子たちは初出場ながら県大会突破、全国制覇。
その一方で京太郎は県大会個人戦――その本戦にすら出られない、予選での敗退である。

周囲が全国でもトップクラスの雀士達で、初心者は京太郎だけ。
仲間たちと卓を囲めば高い確率でトビ、運が良くても3位。
同レベルの仲間もいなければ、慰め励まし支えてくれるような指導者もいない。

野球で言えば、メジャーリーグにいきなり草野球の少年が放り込まれたようなものである。

良子「こう言ってはなんですが、津山さんのいた鶴賀はまだマシだったようです。
   全国レベルの雀士こそいれど、初心者もいたそうですしね」

京太郎「まあ確かに、清澄のレベルが高すぎるってのはわかります。 なんせ全国制覇ですし」

京太郎「でも……」

1.「不思議とやめたいとは思わなかったですね」
2.「普段のあいつら、麻雀の時に見せる顔とは全然違うんですよ」
3.「俺はまだみんなに勝つ事を諦めた訳じゃないですよ」

↓1

>3.「俺はまだみんなに勝つ事を諦めた訳じゃないですよ」

良子「ふむ?」

確かに清澄の女子たちは、全国制覇という偉業を成し遂げた。
部活で卓を囲む際はいつも京太郎はとぶか焼き鳥、一矢報いた経験もほぼ無い。
何度か和やまこらに指導を受けた記憶もあるが、それでもまだまだ彼女たちは雲の上だ。
しかし、それでもあきらめた訳ではない。

京太郎「こう見えて俺も結構負けず嫌いではあるんです」

良子「……なるほど。 いい傾向ですね」

京太郎「はい?」

ニッ、と笑いながらそう言う京太郎に、良子もまた笑いながら返す。

良子「初日の君と今の君、客観的に見ても、相当違います。
   今の君には、やる気、覇気、闘争心――そういった、戦うという強い意志が満ち溢れている」

良子「言いましたよね、初日に。君には覇気というものを全く感じないと」

そういえば、と京太郎は思い返す。
確かに初日、いきなり野球をしろとチームを結成され途方に暮れていた所、良子に声をかけられた際、そういわれた記憶はある。
そして、実際、あの時の自分は――今思い返しても、それなりには情けない感じで、
流されるままに決まった事に対して文句や恨みつらみを心の中で呟いていた筈だ。

ただ、今の京太郎は――少なくとも、今の環境に文句などは一切無い。

良子「それはとても良い事です。 心がファイティングポーズを取れている」

良子「清澄の人たちが悪いという訳ではない、ただ、それは腐るには十分過ぎる環境でした」

良子「こういった、逆に、ほぼ全ての人が初心者とも言える環境に放り込まれて、君にとってそれはプラスの方向に働いたという事なのでしょうね」

誰もそう言った訳ではないが、清澄麻雀部においての京太郎はまるで目立たない。
麻雀が強い訳でもない、全国に出場をした訳でもない、卓を囲んで誰かに勝てる訳でもない。
そんな環境で、闘志を常に燃やし続けろと言う方が無理難題なのだろう。

京太郎「……でも、それって要は俺がこらえ性が無いって事じゃないです?」

良子「ふむ?」

京太郎「ずっと目的に闘志を燃やし続ける事が出来ないって、根性が無いって事と同じじゃないですか」

良子「そうですかね。 私は違うと思いますが」

思わずついて出た京太郎の弱音を、良子は否定する。

良子「モチベーションというものを維持し続けるのは、どんな人間でも難しい事です。
   維持し続けるには、努力に見合う成果が常になければ難しい」

目標というものは、手に届く範囲にあるから目標足り得るのだ。
出来る範囲から、コツコツと積み重ね、そして目標を達成するのが普通である。
京太郎にしてみれば、例えば、部内の誰かに振り込まない、直撃を取る、例えばそういった目標を持っていたとしても、
相手は遥か上の存在だ。その目的が達成される事など、天文学的数字であり得ない。

良子「階段は足が上がる範囲にあるから登れるのです。 あれが手を伸ばして届かないなら、誰でも諦めるでしょう」

京太郎「……つまり、俺が清澄の連中相手に勝つのは手を伸ばしても届かない程の階段を上ろうとしてるのと同じような事って事です?」

良子「実際そのようなものです。 君は清澄の麻雀部が強い、という事実は知っているかもしれないですが、どれくらい強いかは想像もついてないのでしょう。
   恐らくは、そのくらい初心者なようですから」

京太郎「…………」

1.「なら、届く範囲の階段から登り始めればいいですよね」
2.「それでも俺は諦めませんよ。そして折れるつもりもないです」
3.「監督……俺に麻雀を教えてくれませんか」

↓1

>1.「なら、届く範囲の階段から登り始めればいいですよね」

良子の言葉は、癪ではあるが京太郎としても理解できるものだった。
実際、今の京太郎が、清澄の面々と卓を囲んでおいそれと勝てるとは思わない。
良子の言う通り、京太郎のレベルでは清澄の面々と京太郎との実力差がまだ上手く理解できてないのだろう。
それくらい、差があるのだ。

ならば、出来る範囲からやっていく。

モチベーションの維持というものが、階段を上って目標に近づいているという事を確認するようなものなら。
まずは登れる階段を探し、そしてそれを駆け上がる。

良子「上れたとして、それが必ずしも頂点に届くとも限りませんよ?」

京太郎「それでもやりますよ。 さっきも言いましたけど、負けず嫌いなんです」

良子「ふむ……」

ぐっ、と握りこぶしを作ってそういう京太郎に……良子は真剣なまなざしを向け。

良子「…………」フッ

良子「ベリーグッド。 実に、エキサイティングです」

やがてその表情を綻ばせ、笑みを浮かべるのだった。

良子「それでもあきらめないとか言っていれば、引っぱたいていた所ですね」

京太郎「マジすか……」

良子「勇猛と蛮勇は似て非なりますから」

言いながら、良子は冷めたコーヒーを一口啜った。
一拍置いて、続ける。

良子「ホットな情熱を持ちながら、クールな思考も出来る。 そうでなくては、なりません。
   野球においても、麻雀においても」

ただ冷静なだけでも駄目、ただ熱いだけでも駄目。
心は熱く、頭は冷静に。
果たして京太郎が、それだけの器量を持っているのか――良子としては、半ば先ほどまでの問答はそれを試していたのだろう。

良子「初日を見て、君は至ってクールな人物かと思いました。
   が、次の日から君は練習にも熱心に取り組みはじめた。 一過性のものではないかと不安ではありましたね」

良子「しかしながら、改めて問いかけてみると存外クールでもある」

良子「エースはそうでなくてはいけません」

何があっても動じず、しかし味方を鼓舞する熱意を持って。
良子が求めるエース像は、それである。

良子「無論、野球から離れた所でも……そういった性格は、非常に好ましい」

京太郎「えっ!?」

良子「ライクですよ」

京太郎「ですよね……」

良子「何を考えているんですか」クスッ

何を考えているかと問われれば、ナニである。
青い春を生きる青少年は、色々と純粋なのだ。
綺麗で胸の大きい美人のお姉さんから好ましいとか言われては、色々と想像してしまう。

良子「さて、私は部屋に戻ります。データの見直しなどもしたいので」

京太郎「わかりました。 食器は片づけておきますね」

良子「ソーリー……手間をおかけします」

そして、いい区切りだと感じたか、良子は席を立つ。
京太郎はそのまま良子が飲んでいたコーヒーカップを手に、キッチンへと向かおうとした。
その背中に、声がかかる。

良子「須賀くん、1つ」

京太郎「はい?」

良子「明日のスターターは君です」

京太郎「!」

そうだろう、とは予想はしていた。というか、前日のこの時間になっての本人への要請とはどういうことなのだろうかとも思うが、
ともかく、良子の口からハッキリとそういう言葉を聞いて、京太郎は背筋を伸ばす。

良子「我々のチームには津山さんもいます。 2枚、ピッチャーがいるのです。
   あまり気を張らず、自身のペースで投げて欲しい」

京太郎「はい」

良子「エースらしい投球、というものを意識しすぎないように。後ろには仲間がいます」

良子「どうか、思うように投げてください」

それだけを言うと、良子は食堂を出て自室へと戻って言った。
彼女の言うように、データなどの確認などがあるのだろう。

後に残った京太郎は、しばし呆然としながら食器を洗いながら先ほどの言葉を反芻する。

京太郎「(先発……)」

負ければ終わりのトーナメント。
試合を作るのは、投手である。
どれだけ野手が打った所で、それ以上に点を奪われては負ける。
仮に野手が打てなかった所で、相手に点を奪われなければ負けない。

野球は投手という言葉もあるように、この競技ではそのポジションは大きなウェイトを占めている。

特に先発となれば、試合の大部分を任される、重要な役割である。

京太郎「(頑張ろう……俺に出来る限りの力で。 部長たちを……)」

脳裏に浮かぶのは、対戦相手。
選手カードを把握し、いずれも名選手ばかりだと(一部そうでもない)驚異にも感じた選手たち。

京太郎「(俺が抑えるんだ……!)」

彼女たちを、必ず抑える。
強い意志を持って、闘志を燃やして、しかし、あくまでも頭は冷静に。
エースになろうとする男、須賀京太郎はこうして試合前最後の夜を過ごしていくのだった。

キュキュッ

京太郎「よし、終わりっと」

なおちゃんと食器は洗って元にもどしておくもよう。

※良子の好感度が+4されました。
※良子の好感度が11になりました。

7日目 試合当日

京太郎「……いよいよだな」

翌日、京太郎は気持ちのいい朝を迎えた。
睡眠をたっぷりととり、そして程よい緊張感と高揚感を持ったまま眠りについた為か、いつになく寝覚めもいい。

顔を洗い、着替えを済ませると食堂へ。
そこには既にチームメイトたちが揃っており、京太郎は朝の挨拶をしながら食卓につく。

京太郎「おはようございます、すみません遅くなって」

やえ「気にすることは無い。 十分、球場に向かう時間には余裕がある」

美穂子「須賀くん、どうぞ」

京太郎「あ、ありがとうございます。すみません」

良子「皆さん配膳は渡りましたね? では、いただきましょう」

美穂子の配膳を受け、そのまま食事をする京太郎。
相変わらず、なんとも美味。
今日一日を生きる活力がわいてくるような味であり、試合にもなんだか勝てそうな気がしてくる。

良子「食べながらでいいので聞いてください。 この後の予定ですが、食後、ユニフォームなどの用具を持ったうえでロビーにすぐ集合です。
   バスでそのまま試合会場へと移動をします」

霞「試合開始は13:00からですよね? 今から向かうのは早くないかしら?」

睦月「いえ、試合前に練習もありますからむしろ遅いくらいじゃないでしょうか」

良子「津山さんの言う通りですね。 準備や、ウォーミングアップの時間もあります。
   なので、直行です」

良子「試合開始は、事前に言いました通り13:00から。
   ちなみに、観客も入れる試合となっていますのでそのつもりでいてください」

京太郎「はぁ!? か、観客がいるんですか!?」

そして、続いて飛び出す良子の爆弾発言。
てっきり無人の球場で試合をするものだと思っていた京太郎だったが、よもや観客、観衆がいるとは思ってもいない。

良子「言ったでしょう、中継もあると。 それに、この島はもともと野球好きな人たちが多く島民として存在する島なのです。
   そのような島で野球の企画があるとなれば、それはもう見に来ますよ」

京太郎「(そういえばこの島、『冥球島』って言うんだっけ……)」

良子「皆さんは大丈夫ですかね?」

やえ「大多数に注目されるような場で戦うというのは慣れているからな!」

霞「そうね……県予選でも、IHでも、中継のカメラ自体はあったし」

美穂子「問題は無いんじゃないでしょうか」

良子「グッド。問題は無いようですね」

睦月「(……大丈夫、かなぁ。 麻雀と野球の、1番の違いって生の観客の声が聞こえてくる所だと思うけど)」

不安に思う睦月であったが、さりとてそれを煽ったりするような事はしない。
その後、京太郎たちは食事を終えるとすぐさま準備を整え、バスへと乗車。
ザコプロ達は直接現地で合流するという事で、バスはそのまま目的地へと直行をしていた。

京太郎「いよいよ試合ですね」

やえ「ふふふ、とうとうこの私の実力を全国に見せつける時が来たようだな。
   まあ心配しなさんな、5打数10安打30打点くらいはしてやる」

京太郎「(全盛期のイチローかな?)」

相変わらず野球のルールをわかっているのかいないのかわからないやえに内心溜息を吐きつつ、
京太郎は窓の外の流れてゆく景色を眺めていた。

京太郎「そういえば……試合会場ってどれくらいで着くんですか?」

良子「もうすぐですよ。 ……ああ、見えてきました」

ハンドルを切りながら、交差点を左折する良子。
彼女の言葉を聞いて京太郎のみならず、ほかのメンバーもバッと外へと視線を向ける。

京太郎「あ、あれは……!」

下コンマ1桁偶数 東京ドーム……にそっくりな何か
下コンマ1桁奇数 横浜スタジアム……にそっくりな何か

↓1

>横浜スタジアム……にそっくりな何か

睦月「ハマスタだあああああああああああああああ!!!!」

京太郎「ひぇっ」

京太郎達の視界に入ったのは、どこからどう見ても、横浜スタジアム――。
横浜DeNAベイスターズが本拠地とする球場――を、真似たものであった。
これを見て、当然熱狂的ベイスターズファンである睦月は絶叫するのだが。

霞「津山さん」

睦月「あぁぁぁ……はい」

霞「急に大きな声を出さない。 ね?」

睦月「うむー……」ウツムキ

京太郎「(巫女さんって凄い、改めてそう思った)」

霞が窘め、事なきを得た。やっぱり巫女さんって凄い。

美穂子「ところで、あの球場は……やっぱり、私たちの持ってるカードの?」

京太郎「そうですね。 やえさん以外の俺達が持ってる横浜の選手の本拠地です」

やえ「……別に寂しくないぞ」クスン

睦月「凄い、凄い……! 関内駅の方からやってきて横断歩道を渡ってまず目に入るチケット売り場の横の剣道場まで表現されてる!!」

【TIPS・ハマスタの剣道場】
横浜スタジアムのチケット売り場の横では、剣道場が開かれている。
因みに実際に剣道少年がそこに通っている所は>>1は見た事が無い。が、多分いるんだろう。
ハマスタが改装されると本格的に球団から発表があり、かなり近代的な改修案がされていたが、
この剣道場がどうなるかもちょっと気になる所である。

目を潤ませながら、感動に浸る睦月。
しかし、彼女の想いも――京太郎、そして他の面々もわかる。
その球団のファンにとって、これからその球場で試合をする事が出来るというのは、本人にとって何より幸せな事なのだろう。

睦月「は、はやく……早く中に!」

京太郎「お、落ち着いて。 監督、早く中にバスを」

良子「オーライ、急いで安全に超特急で行きましょう」

放っておいたら窓を蹴破ってでも出て行きそうな睦月を抑えながら、バスは無事にハマスタ内の駐車場へ。
選手用の通用口をとおって一同は球場内へと入っていく。
そして、向かった先はロッカールーム。

睦月「うわぁ……うわぁ……!」キラキラキラ

霞「本当に嬉しそうね、津山さん」

睦月「だ、だってロッカーまで再現されて……ああっ、私たちの名前!!」

目をキラキラさせながら、ロッカールームではしゃぎまわる睦月。
彼女が見つけたのは、自分たちの名前が刻まれたプレートの張られたロッカー。
睦月は『33.TSUYAMA』と書かれたその前に立ち、感慨深げにぷるぷると震えている。

睦月「い、生きてて良かった……」グスン

やえ「そこまでか」

睦月「だって、そりゃ、本物じゃないかもしれませんけど……でも、そっくりな場所に、入れてるんです。
   一般人なら絶対入れないんです。 本当……ダグアウトの向こうに出てたのと同じだぁ」

【TIPS・ダグアウトの向こう】
横浜DeNAベイスターズが出した、ドキュメンタリーDVD。
本来ならば外部に流出させないような、ベンチ裏。
いわゆるダグアウトの向こう側で、選手・監督・コーチ。
彼らがその時何を想い、何を感じ、何をしていたかを生々しく映した名作。
派生形として2016には『FOR REAL』という初のCS出場への軌跡を映したDVDも発売した。みんなも買おう。

自分たちが、本物ではないかもしれないにせよ、ベイスターズの一員になったかのような錯覚。
睦月が感動に打ち震える中で一同は今後の予定について話し合う。

京太郎「ところで球場にはつきましたけど、これからは?」

良子「まずは着替えを……と、申し訳ありませんが須賀くんは別室でお願いします」

京太郎「(ロッカールームなのに着替えが出来ないとはこれいかに。とはいえ当然か)わかりました」

良子「現在は相手チームが練習中ですので、追ってアナウンスで連絡をします。
   それまでは自由に散策をしてくださって結構ですよ」

美穂子「わかりました」

その後、京太郎は荷物を抱えてそそくさと移動。
ロッカールームを離れて着替えを済ませ、ほかのメンバーが着替え終わったのを確認してから荷物をロッカーへと片付け。
そのまま外へと出てみる。

京太郎「しかし散策って言ってもなぁ……どうしようかな」

【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】 から選択

↓1

>美穂子

美穂子「須賀くん」

京太郎「福路さん? どうしたんです?」

ロッカーを出た所で、背後から声をかけてきたのは美穂子。
彼女もまた着替えを済ませており、背中には燦然と『7』の背番号が輝いている。

美穂子「球場を見て回るなら、一緒になれないかな……っと思って」

京太郎「そりゃ、こちらこそお願いしたいくらいですけどいいんですか? 津山さんの方がきっと詳しいですよ」

美穂子「そうだけど、その……私、あまりこういう所には疎いから」

横浜スタジアム。睦月。相性は抜群である。
ここを案内させれば、彼女の右に出る者は少なくともチーム内にはいないだろう。
だが、彼女はあまりにも相性が良すぎる。
マニアック過ぎて行き過ぎる解説は時として初心者にとって害悪以外の何者でもない。

無論、美穂子としてはそこまで考えての事ではないのだが、
それでも睦月に案内を頼むというのは少し二の足を踏んでしまう所だった。

それならば、まだそこそこに野球に詳しい、という程度の京太郎の方が、言い方は悪いが無難である。

京太郎「丁度今、球場の案内図貰った所なんで見てみましょう。どこか行きたい所とかってあります?」

美穂子「……よくわからないわ。 どういう所があるのかしら」

京太郎「(ふおっ……)」

係員からもらったパンフレットを開き、どこに行こうかと相談をする京太郎だったが、
美穂子が彼の想像以上に身を乗り出してパンフレットを覗き込んできた事に思わず驚く。
なんというか、近い。身長差、そしてパンフレットを開く京太郎に除く美穂子という構図。
丁度美穂子の頭が京太郎の顔下に来る形になり、彼女の匂いが京太郎の鼻孔を擽る。

京太郎「(いい匂い……何食べたらこんないい匂いがするんだ!?)」

美穂子「須賀くん?」

京太郎「あ、いえ……なんでもっ! ふおっ!」

美穂子「?」

そして、これを受けて挙動不審だった京太郎に、不思議に思った美穂子が首を傾げて問いかける。
これだけでもダブル役満だが、おまけに身長差のお蔭で上目遣いだ。
トリプル役満。京太郎、飛ぶ。

京太郎「い、いえ……大丈夫。なんでもないです」

それでもなんとか意地で平静を装う。
周囲を女性で囲まれた清澄麻雀部での日常が無ければ即死だった。(清澄麻雀部でバラ色の生活があったとは言ってない)

京太郎「でも、色々ありますよ。 グルメも結構揃ってるみたいですし……まあさっき飯食ったばかりですけど、
    2人で分け合えば軽く食える程度の量でしょ、こういう所の飯って」

美穂子「興味はあるわ。こういう所のごはん」

京太郎「後は……あ、こっちの方行くと歴代の選手の記念ボールを展示してるみたいです。
    外に行けばトランポリンで遊べるみたいですよ」

美穂子「まあ、私、トランポリンで遊ぶ程子供じゃないわよ」プゥ

京太郎「(なんだこの人可愛い)」

ちょっとすねたように頬を膨らませる美穂子。
京太郎はショック死をしないだけでも精一杯だった。

京太郎「じゃあ、とりあえず歩いてみましょうか? 近い所をのぞいてみるって感じで」

美穂子「そうね。 練習時間までという制限時間付きだし……まずは移動しましょうか」

京太郎「とりあえず、外に出てみます?」

美穂子「もう、須賀くんの意地悪!」プゥ

京太郎「じょ、冗談ですって(やばいこの人可愛い)」

こうして京太郎たちは揃ってハマスタの中を散策するのだが……。

↓1 高校生雀士1名

>恭子

モムモム

京太郎「結構美味いですね、このホットドッグ」

美穂子「そうね。ちょっとこの唐辛子が辛いけど……」ヒリリ

京太郎「抜けばよかったですかね。 俺はこれくらいが丁度いいですけど」

【TIPS・ベイスターズドッグ】
ハマスタ新ご当地グルメの1つ。
自家製ソーセージを使ったホットドッグ。
ふんだんに使われた大きな輪切りの青唐辛子――ハラペーニョが特徴で、その大きさのインパクトは抜群。
ピリリと痺れる辛さはビールのお供としても合う。
辛いのが苦手な人は、青唐辛子抜きでも注文できます。球場に来た時はぜひ食べてね。

こうして、2人で仲良く1つのホットドッグを食べながら、球場内を散策する京太郎たち。
そんな時である。

恭子「ん?」

京太郎「ん?」

美穂子「あら?」

バッタリ、出くわす。初対面ではあるが、知らない人ではない人物。互いにとって。

京太郎「(確か……姫松の、末原さんだったよな?)」

京太郎は決して記憶力が良い方とは言えないが、それでも彼女の事を記憶していた。
幼馴染である咲と、大将戦で2回当たる。
試合の中でも特に注視する中で、2回も見た顔なのである。
忘れようと思っても、中々忘れられない。

大阪の名門、姫松高校の大将――末原恭子が確かにそこにはいた。

京太郎「えっと、確か末原さん……ですよね?」

恭子「? なんやあんた、私の事知ってんのか」

京太郎「え? ああいや、まあ、はい」

恭子「まあそらええ。 それより……福路美穂子やんな?」

美穂子「は、はい」

ただ、恭子の方が京太郎の事を知っているかと言えば答えはノーだった。
最初の反応。
京太郎は確かに恭子の姿を見て驚いたが、恭子は京太郎ではなく、美穂子の姿を見て驚いたのである。

全国的に京太郎の知名度がある訳ではないので、致し方ない。

逆に美穂子は魔境とも呼ばれる長野での個人戦トップ。
データ派理論派である恭子が、その名前を知っていても何ら不思議ではない事だった。

美穂子の返答を受けた恭子は、ずかずかと京太郎たちへと近づいてきた。
アカン、怖い、よくわからないけどいちゃもんをつけられるのだろうか。
大人しそうに見えて常識人に見えるけど、やっぱり大阪人って怖いんだろうか。
などと考えている京太郎だったが……。

恭子「すまん! 情けない話やけど、この子の事どっかで見てへんか?」

彼女は京太郎たちの前までやってくると、1つの紙を見せた。
それは何かの絵のようであり……。

京太郎「……っていうか、絵?」

写真でもなく、絵、という点に京太郎は疑問を抱いた。

恭子「一緒にここに来たはええけど……はぐれてしもてなぁ。
   どこほっつき歩いとるんやか」

京太郎「いや、それはまぁ、良くあることなんで」

恭子「よくあるんか」

京太郎「ええ。 あ、末原さんもよく知ってるうちの咲とかもよく迷いますから」

恭子「…………」カタカタ

京太郎「えぇ……」

末原、カタる。

京太郎「ま、まぁともかく。 迷うのはわかりますけど絵しかないんですか?
    写真とかの方がわかりやすいんですけど……」

恭子「…………」カタカタカタ

美穂子「末原さん? 末原さーん?」

恭子「ハッ! い、いや、大丈夫……大丈夫や」

とりあえず正気に戻った恭子に事情を聴くと、つまりはこういう事である。
一緒にこの球場に来たまではいいが、到着するなり色々と面白そうな事に付き添いが誘われはぐれ、
相手は携帯の電源を切ってしまっているのか携帯は繋がらない。
手元にあるのは写真ではなく、彼女が描いたという絵――自画像のみである。

恭子「それでどうや。 見てへん? 結構特徴的や思うんやけど」

京太郎「確かになんというか……特徴的ではありますね」

見せられた絵は確かに上手く、そして、特徴的であった。
モノクロである為に細部まではわからないが、どこか異国情緒のある顔立ちをした、洋風美人。
いや、美人というよりは愛らしいという表現をした方がいい顔立ちかもしれない。
ただ、残念ながら京太郎は彼女を見かけた記憶が無い。

京太郎「すみません、俺は見てないです……福路さんは?」

美穂子「私も……ごめんなさい、末原さん」

恭子「ああいや、駄目で元々やし……しゃーない、切り替えていく」

美穂子も同様のようであり、2人が謝罪をすると恭子は苦笑しながら「ほな、また……」とその場を離れようとするのだが……。

?????「シローッ!!!」

京太郎「おぼふっ!?」

その瞬間、京太郎の背後から突撃するようにして飛びついてくる1人の少女がいた。

京太郎「ごふぅ……」

??「シロッ! ヨカッタ、アエタ!」

思わず勢いのまま倒れこんだ京太郎に、なおも抱き付いたまま離れない少女。
心底嬉しそうにしている彼女だったのだが……。

??「シロ……シロ?」モミュモミュ

京太郎「あひゅん」

何故だか胸をもまれて、思わず情けない声を出す京太郎。
逆に少女は首を傾げる。

??「シロ、チヂンダ? デモ、オオキクナッタ! セナカ!」

どうやら少女の言う『シロ』さんは京太郎の胸よりは豊満らしい。
という事を脳内にインプットしながらも、京太郎はむくりと立ち上がり少女と相対する。

京太郎「あ、あの……」

??「………………」

スケッチブックを首から下げ、両耳にペンを挟み、そして驚いた顔でこちらを見つめる少女。
その少女の顔は、確かに京太郎の記憶にもある。
――何故かその記憶は、曖昧だが。

京太郎「確か、えーっと……」

少女の名前を聞こうとした所で……。

エイスリン「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

恭子「エイちゃん、それシロちゃんちゃう! おはじきや!!」

京太郎「(いやおはじきじゃねーよ!!)」

少女――エイスリンの絶叫と、恭子の突っ込みが響き渡り。
それに対して京太郎が追撃の突っ込みを入れるのだった。

………
……


恭子「ほらエイちゃん、ちゃんと謝りーな」

エイスリン「ゴメンナサイ!」カキカキ

『土下座してる人の絵』

京太郎「いや、そこまでしなくても……」

その後、しばらくしてから落ち着き、互いに状況の確認をした。
彼女――エイスリンはただでさえ異国にいた所、この企画に参加し、途方に暮れていた。
無論、チームメイトたちはよくしてくれたそうだが、それでも不安はあったのだろう。
そこでこの場にやってきた際、恭子とはぐれた所で見つけた、元いた宮守女子高校の仲間。
『シロ』――によく似た京太郎に、思わず抱き付いてしまった、という話のようである。

京太郎としては、そもそも身長が違うだろうとか髪の色も違うんじゃないかとか色々あるが。
それはそれとして、ともかく彼女も寂しかったんだろうと納得をした。

なんだかんだで美少女に間違いとはいえ抱き付かれたのは役得だったというのもある。

京太郎「ウヘヘ……」

美穂子「須賀くん……あの、顔が……」

京太郎「ハッ」

なお、ドン引きされるもよう。

京太郎「と、ところで末原さん達はどうしてここに来たんです?」

このままでは自分の名誉の危険が危ないと感じた京太郎は、
無理やり話題を転換して恭子たちに話題を振る。
2人揃ってこのハマスタ――によく似た建物にやってきたという事は聞いたが、その目的までは聞いて無い。
ジト目をしていた恭子とエイスリンだったが、その質問には答えてくれた。

恭子「そら偵察や。 決まってるやろ」

京太郎「偵察……ですか?」

恭子の言う事では、こうである。

恭子「私らも今日試合組まれてるけど、ナイトゲームやからな。
   まあ、途中で抜けるかもしれへんけど……それまでにある程度試合は見れる。
   当たるかどうかはわからんけど、どっちにしても、ほかのチームがどんだけの力持ってるんかっていうのは見ておきたいやろ?」

それは理論派である恭子としては至って普通の行動であった。
自分たちの今の実力を知る為には、結局は相対的に図る事の出来るサンプルが必要である。
将来的に当たるかどうかはともかく。
まずは他チームがどれだけの力量を持っているのか、それを理解する事が自分たちがより一層強くなる為に重要になるものだと考えたのである。

エイスリン「ワタシハ、ミンナトアイタカッタカラ!」

逆に、そんな恭子についてきたエイスリンの目的は、
バラバラとなった宮守の仲間たちともしかしたら会えるかもしれないという淡い期待を抱いたからである。
ただ、残念な事に……。

京太郎「……ここでの今日の試合、宮守の人たちいませんよ」

エイスリン「!!」カキカキ

『手を組んで天に昇っていくエイスリンの絵』

京太郎「いやそこまでショック受ける事ないでしょう!?」

恭子「エイちゃんの1人ネタは絶好調やな」

幾らかオーバー過ぎる反応。これが外国人というものか。
という感想を抱きながらも、律儀に突っ込みを入れる京太郎。
と、そんな折……。

アナウンス『ビジターチーム打撃練習終了、10分前。 ビジターチーム打撃練習終了、10分前』

京太郎「っと……そろそろ、時間ですかね?」

美穂子「そうね」

球場にアナウンスが木霊し、今練習を執り行っているビジターチーム。
即ち、京太郎たちの敵対するチームの練習終了10分前を知らせる。
それは京太郎たちホーム側の練習開始時間を知らせるものであり、そろそろ準備に向かわなくてはならない。

京太郎「えっと……すみません、それじゃ、俺達はこれで失礼します」

恭子「ああ、ありがとうな。 私らは客席で気楽に見させて貰うから」

エイスリン「タノシミ!」カキカキ

『団扇で己を仰ぎつつ、優雅に足を組んでふんぞり返ってるエイスリンの絵』

京太郎「そんな豪華な客席多分空いてないですよ!?」

色々とズレているエイスリンの絵に突っ込みを入れ、その場を去っていく京太郎と美穂子。
その背中を、恭子とエイスリンは見つめ……。

↓1 恭子初期好感度 コンマ下1桁(選択効果+3)
↓2 エイスリン初期好感度 コンマ下1桁

>恭子 初期好感度10
>エイスリン 初期好感度8

恭子「しかしなんやなぁ、エイちゃん。 あの須賀っちゅうのそんなに小瀬川に似とるか?」

エイスリン「クリソツ!」フンス

改めて思うが、恭子としてはエイスリンの感覚を理解しがたい。
確かに顔のつくりなどは似ているかもしれないが、背格好も髪色も全く違う。
何よりエイスリンが飛びついた際、見ていたのは背後からだ。
顔を見て似ていると感じた訳では当然無いだろう。

恭子「ま、ええわ。 それよりさっさと客席取ろうや。 はよせんと埋まるで」

エイスリン「ダイジョブ! ハマスタ、ゼンブシテイセキ!」フンス

【TIPS・ハマスタ全部指定席】
横浜スタジアムでの試合は、オープン戦などを除き全てが指定席。
チケットを取ったらその座席は確保されます。
自由席で早く行って席を確保しなきゃ!という使命感に追われなくても済むので安心安全。
なのでぜひとも試合を見に行きましょう。

恭子「……埋まらんでも、練習から見ときたいやん」

エイスリン「サッキノスガクン、フクジサン、ドッチモツヨソウ!」

恭子「せやな。 まあ、だからこそ練習から見んとあかん訳や」

そこまで言って、恭子は肩を竦めながら続ける。

恭子「……まあ、私とエイちゃんのバッテリーなら、誰が相手でも抑えれる思うけどな」

エイスリン「オマカセアレ!!」

恭子「……エイちゃん、それどこで習ってきたんや。真似したらアカンで」

………
……


京太郎「すみません、遅れました!」

良子「ノープロブレム。問題ありませんよ、定刻通りです」

一方そのころ、京太郎は美穂子と共にチームに合流。
既に対戦チームは練習を終えており、京太郎たちのチームの打撃練習が開始されている。

良子「福路さんは次、バッターボックスに入って下さい。 須賀くんはウォーミングアップを軽くしつつ、準備が出来たらブルペンへお願いします」

美穂子「はい!」

京太郎「わかりました!」

とはいえ、打撃練習中に京太郎自身がやる事など無い。
彼の今日の役割は先発投手。
打撃よりも何よりも、まずは投球である。

良子の言葉を受け、京太郎は入念にストレッチをしウォーミングアップで軽く汗を流していく。

【睦月・美穂子・やえ・霞・良子】
【久・哩・誠子・佳織・泉】

から選択

↓1

本日は一旦ここで区切らせていただきます。
明日には試合に取り掛かれればと思います。
遅い時間にも関わらず、いつもご参加ありがとうございます。
それでは。

乙です

>>777-778
乙ありです。

また>>756の所での処理を忘れていました。
※美穂子の好感度が+2され22になりました。

もう少ししたら再開します。

>霞

京太郎「あれ、石戸さん?」

霞「待ってたわ、須賀くん」

京太郎がブルペンへと移動をすると、果たしてそこにいたのは霞だった。

霞「打撃練習は早い時間に私は割り当てて貰ったから。 それよりも、こっちで須賀くんの球を受けておいた方がいいと思ってね」

京太郎「なるほど。 すみません、遅れてしまったみたいで」

霞「気にしないで、私も今さっき来たばかりだから」

今日の先発投手である京太郎の調子を判断するのは、正捕手の義務でもある。
霞の言葉を聞いて納得をしながら、京太郎は早速マウンドへ。
相手打線を想像しながら、集中をして投げ込んでいく。

ビュッ! ズバンッ!!

霞「うん、いい調子ね。 ナイスボール」ピュッ

京太郎「うす」パシッ

今日の京太郎の調子は、いつもの練習と比べても大差が無い。
ストレートは走り、スライダーは切れ、チェンジアップもよく沈む。
特別いいという訳ではないが、これならば特に問題は無いだろうと霞としても太鼓判を押せる球筋だ。

その後も何球か投げ込みを続け、肩がある程度温まった所で時計を見やる。
そろそろ打撃練習をしている他のチームメイトたちの練習時間も終わる頃。
そして、スタメン発表の時間も近づいてきていた。

京太郎「ここらで止めましょうか」

マウンドから降り、息を吐きながらそう言う京太郎。
霞もそろそろチームメイトたちと合流するべきだろうと思っているのか同意をし、
プロテクター、マスクを外しながら京太郎の元へと駆け寄ってくる。

霞「そうね。 でも、安心したわ。 試合当日だからって特別緊張をしている訳ではなさそうね」

京太郎「いやー、どうっすかね。 実際に試合が始まったら緊張するかもしれないですし」

ブルペンではいい球を投げられても当の本番ではまるで力を出せない。
いわゆるブルペンエースと呼ばれる存在がいる事もまた、京太郎は知っている。
自分がそうなるつもりは当然毛頭ないが、彼としても多少不安はあるようだ。
少しばかり弱音が出てしまうが、そんな京太郎の背中をポンポンと叩きながら霞は言う。

霞「大丈夫。 須賀くんの球ならある程度は球威で押せるわ。 いつも通り、自信を持って投げれば抑えられるわよ」

霞「もしも緊張するというのなら、ただ私のミットだけを見て、集中して投げ込んでちょうだい」

言いながら、その左手に嵌めたキャッチャーミットを翳す霞。
励ましを受けた京太郎は、そこまで言われてはやらない訳にはいかないと強くうなずきつつ、
しかし霞もまた予想以上にやる気になっている様子に疑問を持つ。

京太郎「やれるだけやってみます。 でも、石戸さんも結構……なんというか……」

霞「あら、もしかして思った以上に試合にやる気があるから驚いた?」

京太郎「ですね」

霞「心外ね。 以前偵察に行った時も言ったけれど、私は今のチームが上手く纏まってきていると思うの」

以前、対戦チームの戦力を確認しに行った際、確かに霞は誠子の挑発を受けて言い返し、その理由についてそう説明した。
キャプテンとして、面と向かって啖呵を切る様子は今でも京太郎は覚えている。

霞「勝っても、負けても、小蒔ちゃんたちと会えるのはもしかしたら1ヵ月以上先の事になるかもしれないわ。
  それなら、今いるこのチーム――折角出来た、縁ですもの。
  1回戦なんかで消えてしまうなんて、寂しすぎるでしょう」

各学校の中では、やはり学校内で強い絆などで結ばれた雀士達がいる。
霞の通っていた永水にしてもそれは同じで、霞にとって彼女たちはとても大切な存在である。
だが、こうして新たに結成されたチームの一同もまた、今の霞にとっては大事にしたい存在でもあった。

……無論、色んな役目だとかもあって、どちらを選ぶか――と聞かれれば永水を選ぶのだろうが。

それでも、大事にしたいという気持ちに嘘偽りがある訳でもない。

京太郎「……そうですね。 俺も、こんな所で負けたくないです」

霞「ええ。 だから……頑張りましょう、須賀くん」

京太郎「はい!」

お互い、ミットとグラブを合わせて気合を入れる京太郎たち。
今日の試合が初陣となるバッテリーは、そのまま笑顔で仲間たちとの合流を急ぐのだった。

※霞の好感度が+2され、11になりました。

………

ワーワー キャーキャー

京太郎「うわ……すっげー人」

良子「まあ、ちらほらと空席は目立ちますがね。 今もまた同時刻に他球場では試合が行われていますから」

そして合流した京太郎がベンチから見たものは、この試合を見にやってきた観衆。
良子の言う通り空席もあるが、パッと見ても半数以上は埋まっている。

良子「そろそろスタメン発表の時間です」

睦月「うむ! 1-9が流れる頃合いですね!」

やえ「い、1-9?」

京太郎「スタメン発表と同時に応援歌流すんですよ。
    まあ今回はうちがホームですから、発表は相手チームからですね」

ワァァアアアアアアアアアアッ!!

スタジアムDJ「それではこれより、読売ジャイアンツ対横浜DeNAベイスターズ――のユニを着た違うチーム。
        第1回戦、スターティングラインナップを発表します」

そうこうしている内に時間となり、スタジアムDJの声が球場に響き渡る。
観客たちは待っていましたと言わんばかりに声を張り上げ、
京太郎達は相手チームのオーダーに注目しスコアボードへと視線を向ける。

DJ「まずは先行、読売ジャイアンツのスターティングラインナップ」

………

DJ「1番 ショートストップ 白水哩」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

哩「(私ば1番に使われたんはいっちゃんに塁ば出る為ばい。
   初回で4番にランナーばいる状況で回す……そん為にも気合ば入れてかんと)」

DJ「2番 セカンドベースマン ザコプロくん!」

DJ「3番 センターフィールダー 竹井久」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

久「結構お客さんも入ってくれてるのねー。 ま、だからって訳じゃないけど、そう簡単に負けてあげられないわね」

DJ「4番 ファーストベースマン 亦野誠子」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

誠子「(竹井さんの言う通り、客がいる……沢山の人の目があるって事だ。
    無様を晒す訳にはいかないんだ……)」

DJ「5番 レフトフィールダー 妹尾佳織」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

佳織「うわわ……(急に帰りたくなってきたけど……でも、逃げ出す訳にもいかないよね。 津山さんじゃないけど、私なりに精一杯、頑張らなきゃ!)」

DJ「6番から8番 それぞれザコプロくん!」

DJ「9番 ピッチャー 二条泉」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

泉「うちの攻撃からですね。 初回からバンバン点取ってくれるの期待してますよ!」

1 遊 白水
2 二 ザコプロ
3 中 竹井
4 一 亦野
5 左 妹尾
6 右 ザコプロ
7 三 ザコプロ
8 捕 ザコプロ
9 投 二条

スコアボードに表示された、相手チームのオーダー。
ある程度は京太郎、睦月、良子の想定していた範囲のものであり、それを見て特段驚くという事は彼らは無い。
強いて言うならば、泉が2番に入っていてもいいだろうかという程度だ。

良子「他に気になる所はありますか、須賀くん津山さん?」

京太郎「妹尾さんがレフトって所くらいですか。 正直言うと、その……妹尾さんの守備は穴ですから」

睦月「うむ……。ただ、ショートに白水さんがいる。 ある程度は妹尾さんの守備難をカバーされちゃいそうだね」

京太郎「(白水一級介護士……)」

脳裏にそんな単語が思わず浮かぶ京太郎。
ともかく、あまりレフト方向を意識して佳織という穴を狙おうとしてもさしたる効果は無さそうであると共通で意識を持つ。

良子「妹尾さんが2番でなく5番というのは当てる技術が無くても当たれば飛ぶから、という事ですかね。
   2番のザコプロさんは完全にバント要員に近いでしょう。
   白水さん、竹井さんで出て亦野さんで返す。あわよくば妹尾さんにも一発出てくれれば、という感じでしょうか」

美穂子「(初回から久の打席が見れるのね)」

良子「さて……」

DJ「続きまして後攻、横浜DeNAベイスターズのスターティングラインナップ」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

良子「次は我々の番です」

【アナウンス】
一応最適と思われるオーダーについて、>>1側で組んでみました。
が、他に何かいい案があるというのがあればお好きにオーダーの変更をお願いします。
京太郎が2番に入っていますが、描写上はピッチングに負担がかかるかもとか書いたりするかもしれませんがシステム上のデメリットは無いです。
また、ザコプロくんの能力は(相手チームも含めて)全員一律全能力20です。

1 二 福路
2 投 須賀
3 中 津山
4 左 小走
5 捕 石戸
6 一 ザコプロ
7 遊 ザコプロ
8 三 ザコプロ
9 右 ザコプロ

↓1 変更するかこのままか。変更する場合は併記してください。

>このまま

DJ「1番 セカンドベースマン 福路ぃーっ! 美穂子ぉーっ!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ピッピッピッ

観客「「「栄冠掴むその日まで恐れず飛び込めベースへ 君の熱き血潮で燃えろ~ 美穂子~」」」

観客「「「かっ飛ばせ~ 美穂子~!」」」

美穂子「以前津山さんが歌っていた応援歌……え、なんで見てるお客さんたちが歌ってるのかしら?」オドオド

ザコプロ「俺達が仕込んでおいたぜ!」

睦月「流石ザコプロさん!」

美穂子「そ、そうなの。 えぇと……ありがとう? でいいのかしら」

.          /                           ヽ
         /             ′              :.
.        /   ′i i i     i      i           :.
        ′   ′ i i ii  i  i i      i   i   i  :.
.        i    i   i i_」iLi _i  i i       i   i   i   :
.        i    i i i ´i i i i`  i i  ii i  _i_!_ ,′   i } i
        八 i ii i ii i { i !{  ii i  ii i  从  /`ヽ   i ′i
.           ヽ从小「八八八从__i从__ハノ__//ハ//   ノ ノ/ i |
.           ′|{   ___      x''丐ミメ、ヽィイl/   |
            ′   i ゞ=≠''      し':::::::::ハV/^   i  |
           ′   i :::.:.:.           r辷'゚シ′/     i  |
          ′    i       ,       ̄^` /     i |
          ′    人            :::.:.:  ///    i   |
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       ,′   / /  // ト .         .イ //      ii  |
       ,′    /  // /  }  ー   ´{ |//      jj   |
       ,′  / /  // /..斗ノ      ト .」.'/ / /        |
.     {{{ { i{  {>'" r{       ノ〉 `ヽ/ /        |
     r‐くく { i{  |     |ー-、     ,′  { {     //从ノ
    /`ヽ \ヽハ i |     |________,′   ヽヽ从///ヘ、

・福路美穂子

右投げ左打ち 守備位置:二塁手/遊撃手

所有カード:石川雄洋(De)

巧打60 長打30 走力60 守備40

【痛恨のミス】
守備時能力。
得点圏にランナーがいて投手側が勝利して打球方向が自身の守備位置に絡んでいた判定の際、
投手合計コンマの下1桁が7の際エラーで出塁される。

【サンキューキャップ】
守備時能力。
得点圏にランナーがいて打球方向が自身の守備位置に絡んでいた判定の際、
投手側合計コンマの下2桁が07・77の場合アウトにする。

【バントが上手い】
バント選択時、バント判定を+20する。

【開眼】
7回以降発動。全能力+10。

DJ「2番 ピッチャー 須賀ぁ! 京太郎ぉーっ!!」

ピーッピッ!!

観客「「「ゆけーよ ゆけゆけ 京太郎! うてーよ 打て打て 京太郎!
     すすーめ 進めよ 京太郎! さあ打つーぞ 京太郎!」」」

観客「「「かっとばせー! 京太郎ー!」」」

良子「オーダーしておいてなんですが、2番に置いて大丈夫でしたか須賀くん?」

京太郎「ええ、はい。 まああまり打撃には期待しないで欲しいですけど」タハハ

良子「そうですね。 勿論本腰を入れて欲しいのはピッチングです。 が、バッティングでも……チャンスメイクに期待してますよ」

京太郎「(言っちゃなんだけどザコプロさん達より俺の方が打撃上手いしなぁ……)」

                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |

            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|

・須賀京太郎

右投げ右打ち 守備位置:投手

所有カード:三嶋一輝(De)、国吉佑樹(De)

球威70 変化40 制球E 体力60
巧打30 長打30 走力40 守備30

【テンポ○】
ランナーを出さないまま2アウトを取った際、次の打者との対戦時に球威・変化+20。
その回が終わる、ランナーを出すとリセットされる。

【???】
相手投手が【???】のカードを所有していた際、球威・変化+30。制球2段階上昇。

DJ「3番 センターフィールダー 津山ぁー!睦月ぃーっ!!」

ピーピッピッ!!

観客「「「Oh! 横浜の誇り 胸に抱いて 道を切り開けムッキー! ツヤマムッキー!」」」

ドドドン ドドドン

観客「「「ツヤマムッキー!」」」

ドドドン ドドドン

観客「「「走れ! 飛ばせ! ツヤマムッキー!」」」

睦月「うむ……うむ……」ジーン

霞「津山さん、泣きそうになってるのだけど……」

睦月「うぅ……。 だって、ああやって本当に応援団に応援歌を歌われるなんて……」

やえ「………………」

京太郎「こちらもちょっと泣きそうになっているのがいるんですが」

  |..:|....::..::     /     /|.:|...ト、...:....゙、::......::.:|
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  |::|:{ ヘ/::::::::/丶 ー"          ̄  !
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・津山睦月

右投げ左打ち 守備位置:投手/外野手

所有カード:高崎健太郎(De)、乙坂智(De)

球威40 変化40 制球E 体力50
巧打30 長打50 走力50 守備30

【高さ危険太郎/低め安全花子】
試合開始前に判定。
出たコンマが偶数の場合投手時制球力一段階上昇、奇数の場合二段階下降。

【筋肉がエキサイトしている】
ツーベースヒット以上を打った以降の打席で長打力+20。

【横浜愛】
試合に出場中の横浜所属カードを持った選手の数×3、全能力上昇。

DJ「4番 レフトフィールダー 小走ぃーっ! やえーっ!!」

やえ「知ってるぞ。 どうせ私は横浜じゃないから無いんだろう?」スネッ

京太郎「すねないでくださいよ……大丈夫ですって、汎用応援歌とかはありますから」

やえ「汎用なんて王者らしくない」

京太郎「我がまま言わないでくださいよ」

睦月「大丈夫だよ、小走さん」

やえ「何?」

ザコプロ「俺達を甘く見て貰っちゃ困るぜ!」

ピーピッピ!!

観客「「「Y! HOMERUN QUEEN! Y! Y! Y.esan!!
     遠く遠く 派手に飛ばせ 王者の豪砲!!」」」

観客「「「こっばしりー! こっばしりー! かっとばせー やーえ!!」」」

………

やえ「なにぃ!?」

睦月「なんとか調べて応援歌の方を用意してもらいました」

前回、睦月が作った(パクった)応援歌の中に自分だけ他球団の選手カードを持っているという事で入っていなかったやえ。
流石にそれは不憫に思ったのか、睦月とザコプロ達は協力して、新たにやえの分を用意していた(パクっていた)。

睦月「T-岡田の応援歌もかっこいいですよね」

やえ「そ、そうか。 そうか……私専用の応援歌か!」

京太郎「(小走さんすげぇ喜んでる……っていうか、ぴょんぴょんドリル部分が揺れてる。引っ張りてぇ……)」

霞「ところでY.esanってなんて発音するのかしら?」

睦月「やえさんです」

美穂子「(間の.はなんなのかしら……)」

                      __
                    ´        ` 、 r―ァ
                     ' . : : : : : : : : : : : : : ヾ  /
                ′: /: : /:::::/i∧:::i:::: i::::::::く

                  |: : /: : : :/⌒ヽ:/}:::::ト::.. ハ::\
                V/:::i: ::f斧刈 / /⌒i:::::::::i }:::〉

     _rvヘ^ヽ         / ミ/|::::| " `    f斧/::::://::/
    比∧}く>'7     /::::::::/\:::ト  、 __ ` {::::イ-==く
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   / __彡ヘ__ -==ニ¨¨ヽ\  `ー-y< ≧ニ=<
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     \: : : :/: :::::::::::::::\_: :二ニ=-----へ:::::::|:::::::::::::|::::::::/::∧

・小走やえ

左投げ左打ち 守備位置:外野手/一塁手

所有カード:T-岡田(Bs)

巧打40 長打70 走力30 守備20

【チャンスに強い】
得点圏にランナーがいる際、巧打力+10。

【4番の一振り】
4番に置いている時のみ発動。得点圏にランナーを置いた際、長打力+20。

【王者の打ち筋】
第1打席の時のみ任意発動。読みが一致した際、巧打・長打+20。外した場合巧打・長打-20。

DJ「5番 キャッチャー 石戸ぉーっ! 霞ぃーっ!!」

観客「「「奮い立て 横浜の 大黒柱よー!
     さあ打て飛ばせ 勝利への 扉を開けー!!」」」

観客「「「かっとばせー! いっわっとー!!」」」

霞「5番に置かれても、正直バッティングには自信が無いのよね……」

やえ「心配しなさんな。石戸の前には私が綺麗に塁を掃除しておいてやる」

京太郎「ゲッツーで掃除とかはやめてくださいね……」

                ---
           ...::´:::::::::::::::::::::::::`::...、
         /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\

.          /::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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         |:::八从斧苧ミxl厶厶イ- 、从::::|:::|l::|
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         |:::: 人|l  、、     Vツ }/:::::::::/ ノ
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・石戸霞

右投げ左打ち 守備位置:捕手

所有カード:戸柱恭孝(De)

巧打30 長打30 走力30 守備50

【円熟したフレーミング】
捕手時能力。投手の制球判定を2段階上昇。

【体で止める】
捕手時能力。投手の変化力+10。

【苦手分野】
任意発動。守備時スキル・守備力-30して巧打・長打力+20。一度発動すると試合終了まで継続。

その後、6番からのザコプロ達にも汎用応援歌を歌っていく応援団。
なんというか、実に律儀である。
そして9番のザコプロまでが発表された後――。

パラララー オイ! パラララー オイ!!
<オオキナコエデー

観客「「「かいのーよしこーっ!」」」

パラララー オイ! パラララー オイ!! パラララパラパラプー

良子「私のまであるんですか……」

睦月「勿論です!」グッ

京太郎「(津山さん、本当に生き生きしてるなぁ……)」

良子の分まで流される。良子自身も珍しく驚いた表情を浮かべていたが、何もおかしな事は無い。
実際のベイスターズにおいても、1-9の締めに監督であるアレックス・ラミレスの選手時代の応援歌を流すのが定例なのだ。

ともかく、互いのオーダーが発表され、いよいよ試合開始時刻が迫ってくる。

睦月「よし、円陣組みましょう! 円陣!」

美穂子「え、円陣?」

睦月「みんなで輪になって声出しするんです!」

そして、このタイミングで睦月が提案したのは円陣を組む事。
美穂子たちは思わず困惑をするのも無理はない。麻雀では試合開始前に円陣を組む事など無いのだから。
しかしながら、それが野球の慣習ならばとザコプロも含めて円陣を組む。組むのはいいが……。

ジーッ

京太郎「(これ誰が声出すんだ?)」

【京太郎・睦月・美穂子・やえ・霞】 から選択

↓1

>やえ

やえ「よし、じゃあ僭越ながらこの私が気合を入れてやろう!」

キャプテンである霞に振ろうと考えた京太郎だったが、その前にやえがそう発言する。
やはりというかなんというか、彼女もやる気十分だ。

やえ「いいかお前たち! 相手の持ってるカードが強いだかなんだかで臆しているかもしれんが、心配しなさんな!
   どう考えても、私たちの方が強い!」

鼻息荒く、そう断言するやえ。
3塁側ベンチにいる対戦相手にも聞こえそうな程の大声だったが、大丈夫だろうか。
それとも、あえて聞こえるように言ったのか。

やえ「何故なら私はお前たちの努力を知っている。
   津山はこの中で1番野球に詳しい。色々と助言をしながら、応援歌までザコプロ達と作ってくれた。
   石戸はキャプテンになってチームをよく取り纏めている。
   福路は寮での雑事をよくこなし、ほかの者たちが野球に集中を出来る環境を作ってくれた。
   須賀は誰よりもこの中で練習をし、この試合に向けて情熱を注いできたんだ」

京太郎「(……小走さん)」

普段の言動こそアレだが、彼女は決してバカではない。少々、ぽんこつ気味だが。
伊達や酔狂で全国常連の晩成のエース兼部長を務めていた訳ではなく、チームの事をよく見ていた。
故に、彼女は断言する。相手チームの練習量などは知らないが、少なくともうちが負けている筈はない。
練習だけでなく、全員が1つの方向を向いて努力をしていたという事を知っていたからである。

やえ「そして当然この王者たる私がいる! 4番としての格はどう考えてもこちらが上だな!」フンス

カードとして、ならばどう考えて向こうの誠子の方が格上である。比べるのも烏滸がましい程に。
しかしそれでも、やえは自信たっぷりだ。

やえ「カードがどうした、実際に試合をするのは私たちだ!
   まずは気合から負けずに行くぞ!」

京太郎「はい!」

睦月「うむ!」

霞「ええ!」

美穂子「頑張りましょう!」

やえ「ニワカは相手にならんという事を、教えてやろうじゃないか! 王者の野球を見せてやるぞ!」

やえ「えい、えい、おー!」

一同「「「おー!!」」」

最後にグッと拳を上に突き上げて鬨の声を上げるやえ。
他の者たちも大声を張り上げて追従し、気合を入れる。
それと同時に円陣は解かれ、選手たちは試合開始までの時間を待ちわびる。
その表情は、やはり気合を改めて入れた為か、先ほどまでのものとは雲泥の差だ。

睦月「小走さん!」

やえ「津山……えぇと、なんだ。 あれでよかったのか?」

睦月「うむ! 勿論です。 内容もそうですけど、やっぱりみんなに気合を入れる、試合に入るというスイッチを入れる。
   それをする為に行うのが円陣なんですから」

やえ「そうか。 ならいい」

京太郎「なんというか……小走さん、意外と回りを見てるんですね」

やえ「ふふん、そうだろうそうだろう。 王者は常に周囲に気を配らないとならないからな!」

京太郎「(意外と……って言ったんだけどそこはいいのか)」

※やえの好感度が+2され、21になりました。

………

誠子「(4番として……あっちが格上?)」

一方そのころ、3塁側ベンチにいたジャイアンツ――に似たユニフォームを着た違うチーム――の面々は、
京太郎たちの作った円陣を見ていた。
誠子としては、やえの言い放った『やえの方が格上』という発言に、引っかかる。

誠子「(どう考えてもこっちの方が分があるんだけどな……)」

実際、誠子の考えは正しい。カードを見比べた場合、誰もが誠子と同じ事を思うだろう。
麻雀ならば、雀士としての格ならばわからないが――と、そこまで考えて、誠子は首を振る。

誠子「(今は野球に集中だ。 そう、野球なら……)」

ちら、と視線を移動させれば、そこにいるのは久と哩。
どちらもこの中では雀士として……誠子の格上だろう。
だが、今は違う。野球をしている間は、誠子は彼女たちと同格――いや、或いはそれ以上である。

慕「あっちは凄く気合入ってるね~。 こっちも同じ事してみようか?」

泉「でももう時間ありませんよ、試合開始時間すぐです」

久「じゃ、試合終わってからやってみる?」

哩「そいじゃ意味がなかとやろ……」

彼女たちの声を聴いて時計を見れば、確かにもう試合開始時刻だ。

誠子「そろそろ行った方がいいんじゃないですか、監督? メンバー表の交換がありますよ」

慕「あ、そうだった! それじゃ準備しないと」

誠子が声をかけると、慕は慌ててベンチ裏へと戻ってメンバー表を取りに行く。
その姿をなんとはなしに見ていると、おずおずと佳織が誠子に話しかけてくる。

佳織「ま、亦野さん」

誠子「? どうしたの、妹尾さん?」

佳織「なんだか緊張してきちゃって……緊張が取れるおまじないとかってないかなぁ」

言われてみれば、確かに佳織の表情はぎこちない。体もぷるぷると震えている。
元々こういった勝負事に慣れていないうえ、観衆の前での試合という事で緊張をしているのだろう。
それを見た誠子はふっと笑いながら、安心させるように口を開く。

誠子「大丈夫、妹尾さんは心配しなくていい」

佳織「?」

誠子「妹尾さんに打順が回る前に、私がランナーを全部掃除する。 だから、安心してくれていいよ」

奇しくも、それはベイスターズ側の4番も言った言葉であった。
そんなことも露知らず、誠子はベンチ裏から出てきた慕がグラウンドへと駆けていく後ろ姿。
そして、1番打者である哩が準備を始める所を見続けるのだった。

………
……


【アナウンス】
という事で、ここから試合が開始します。
ルールなどについては>>83-84 >>99 >>105 >>111 >>113などを参照してください。
対戦チームのステータスは以下の通りです。
佳織 >>492
泉 >>622
久 >>650
哩 >>672
誠子 >>683

恭子「……うーん、しかしなんやな」

エイスリン「…………」

恭子「あの須賀とかいうのから聞いとったけど、ほんまに宮守の面子も姫松の面子もおらんのやなぁ」

バックネット裏といういい座席で観戦をしていたのは、この試合に偵察にやってきた恭子たちである。
誰だかわからない、多分この島の偉い人が始球式を務め。
スタジアムDJの紹介がありながら選手たちがポジションに散っていく。

マウンドには京太郎の姿。

そして、3塁側ベンチからは哩が出てきて、バッターボックスへと向かっている。

スコアボードへ目を向ければ、やはりその中に知っている名前はいない。
いや、正確には知っているのはいるのだが――彼女たちが元いた高校の知り合いは、1人もいない。

エイスリン「ザンネン!」カキカキ

『ギターを持ってる侍の絵』

恭子「古っ! っていうか何で知ってるんや」

エイスリン「ジャパニーズ・コメディアン! スキ!」

恭子「チョイスが微妙過ぎるやろ……ま、ともかくや」コホン

恭子「いずれ当たる相手かもしれへんのや。 しっかり見とこうな、エイちゃん」

エイスリン「ウン!」

京太郎「ふー……」

審判「プレイボール!!」

京太郎「………………」

主審の試合開始の声を聴いて、吐いた溜息を飲み込み、ぐっと全身に力を込める京太郎。
視線の先には、1番バッター。

哩「(どっからでもかかってこんね!)」

白水哩が、バットを構えて右打席に立っている。

京太郎「(いよいよ始まったな……そして、これが最初の投球だ。
     練習して、準備はしてきたつもりなんだ。 抑えられる!)」

霞「………………」

霞とサインを交換し、頷く。

京太郎「(先頭を出す訳にはいかない。 いくぞ!)」

津山睦月の【横浜愛】発動中       全能力+12
石戸霞の【円熟したフレーミング】発動中 京太郎の制球判定2段階上昇
石戸霞の【体で止める】発動中      京太郎の変化力+10

【偵察効果】              白水哩の全能力-10

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81


↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆c0ehvMsdxlNN=マイセンター 【センター返し】
>京太郎:変化50+コンマ07=57
>哩:巧打40+コンマ96=136

>京太郎:球威70 哩:長打20 差は50
>守備判定に+50
>センター側合計守備力:182

>打撃結果判定 31 守備を抜ける
>【シングルヒット】

気合を込めて投球する京太郎。その気迫は、正に鬼気迫るというものである。
それほどまでにこの試合に向けて闘志を燃やしていた京太郎だったのだが……。

カキーンッ!!

京太郎「あうっ!」

美穂子「届かないわ……」

逆に気合が入りすぎたか、ボール先行で苦しいカウント。
そこから置きに行ったボールを簡単にセンター方向へとはじき返されてしまう。
基本に忠実なセンター返しは京太郎の脇をすり抜け、美穂子がグラブを伸ばすも届かずセンター前へと抜けていく。

バンバンバン!

観客「いいぞ、いいぞ! 白水!」「いいぞ、いいぞ! 白水!」「いいぞ、いいぞ! 白水!」

哩「(さっきん打球ば、私ならとれちょったかな? ……長野の個人戦1位福路。 野球の方じゃそがん守備ば得意じゃなさそうばい)」

1塁ベース上でバッティンググローブを1塁コーチャーを務めるザコプロに渡しながら、
初回先頭でいきなり出塁をした哩はそんな事を考えていた。

慕「………………」サッサッサー

そして、続いてバッターボックスに入るのは2番のザコプロくんである。
彼はベンチから出ている慕のサインにコクリと頷き。

ザコプロ「…………」

当然のようにバントの構えを取る。

京太郎「くっそ!(あっさり先頭出して、まあそりゃバントしてくるよなぁ)」

後ろに久、誠子、佳織と続く打順。
バント要員として2番で起用されているだろうザコプロが、ここでバントをしない訳もない。

霞「(そう簡単にはさせたくないけれど……あまり意識しすぎないようにね。 ここで1番駄目なのが四球よ)」

ランナーを進めない為にも難しい球で、しかし集中力を乱されて四球を出さないように。
霞の要求は中々厳しいが、当然の事でもある。
京太郎はサインに頷くと、ノーワインドアップから速球を投げ込んだ。

↓1 バント判定(コンマ70以下で成功。1アウトランナー2塁。71以上で失敗、ランナー入れ替わり1アウト)

>コンマ88 バント失敗!

カツンッ!

ザコプロ「うげっ……」

ザコプロはそのストレートを、初球からバントした。
しかしながら、思った以上に京太郎のストレートには球威があり、ノビる。
結果として、ザコプロのバントはボールの勢いを殺しきれずに……。

京太郎「よっしゃ!」パシッ!

霞「セカンド!」

京太郎「はいっ!」ビュッ!!

バントをすると共に猛チャージをかけた京太郎が華麗に捕球。
霞の声を聞きながら反転し、そのままセカンド目掛けて送球をする。

哩「くっ……!」

ショートザコプロ「よし!」パシッ!

2塁塁審「アーウツッ!!」

哩の足は、遅いという訳ではないが特別早い訳でもない。
ザコプロのバントが悪いという事もあったが京太郎の送球に間に合わず、2塁塁審からはアウトのコールが上がる。

ザコプロ「やっちまったぁ……」

バント要員としていたのにそのバントが決められなかった事に、思わずザコプロは頭を抱えるのだった。

ちょっと半端ですが、いったんここで区切らせていただきます。
明日はクリーンナップから。
それではお疲れ様でした。

乙です
所で末原さんとエイちゃんって霞さんとは顔見知りですよね?(末原さんはインハイ団体戦二回戦で同卓、エイちゃんは霧島神鏡で一緒にお風呂に入ったりしてました)
キャッチャーのフル装備の影響で分からなかったりするんでしょうか?

乙です
ザコプロさん、バント特訓っすね

>>815-818
乙ありです。
>>819
乙ありです。末原さんもエイスリンも霞さんを知ってますけど、そこまで深い仲でもないので特に反応無しという感じですね。
>>820
乙ありです。しかしザコプロさんが初期値から変動したりスキル習得をしたりする事は無いのです……。

もう少ししたら再開します。今永が心配……。

哩「…………」

久「残念ねー。 折角チャンスで回ってくると思ったんだけど」

哩「バントば必ず成功する訳じゃなかけん、しょんなか」

2塁から戻ってくる哩に対し、バッターボックスに向かっていた久は声をかける。

久「で、どうだった? 須賀くんのボールは」

哩「がばい球威ばあるが、そがんだけばい。 勝手にカウントば不利にしてストライクば入れようとしたのを叩けばよか」

久「ま、実際哩はそうやって打った訳だしね」

哩「私のアドバイスばいらんとやろ。 竹井もみちょったけん」

思った通りの返答があったと言わんばかりに肩を竦める久に対して、
哩は訝しむように久へと視線を向ける。
すると久は楽しそうに笑みを浮かべながら……じっと視線をマウンド上の京太郎へと向け、口を開く。

久「ちょっと他の人から見た須賀くんの評価ってのが聞いてみたくてね」

哩「?」

久「ま、後は任せなさい。 ランナー進めて4番につなげてあげるわ」

哩「ん……任せた」

DJ「3番 センター 竹井」

その名がコールされ、左打席へと入る久。
マウンドの京太郎は一呼吸入れてから、久へと視線を向ける。

久「さあ須賀くん、いつでもいらっしゃい! バックスクリーンへ叩き込んであげるから!」

と、久はその視線を交錯させ、大仰にバットを前方へと向けてそう宣言をする。
あからさまな挑発行為――というよりは、単に京太郎をからかっているような言動、行動である。

京太郎「(津山さんから聞いた所によると……左だと単打コツンコツンタイプらしいしなぁ)」

睦月「(とはいえ左でホームラン打てないって訳じゃないから注意は必要だけどね)」

それでも久のそういった突拍子もない行動には京太郎も慣れている。
誰よりも久の持つカードの能力をよく知る睦月の助言を思い出しながら、
京太郎は霞とサインを交換し――。

霞「………………」サッサ

京太郎「……………」コクリ

久「無視は悲しいわね……っと」

一度1塁ランナーのザコプロへと視線を向けた後、
今度こそバットを構え、真剣なまなざしをして打席に立つ久を相手にボールを投げ込むのだった。

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆D1h23UcHSs=久センター
>京太郎:変化50+コンマ91=141
>久:巧打50+コンマ81-センター返し読み外し10=121
>京太郎>久の数値が20 【アウト】

ズバンッ!!

アァァァァァァァイッ!!

久「(……って、ちょっと待って。 よく当てたわね哩)」

打席に入り、京太郎の球筋を見て内心冷や汗を垂らす久。
相変わらず、京太郎のボールは荒れている。荒れているが、それで押せるだけの球威がある。
初球、二球目と立て続けにボール球を投げたが、二球目には久も思わず手が出てしまい1-1。
冷静に見送れば糞ボールもいい所なのだが、それでも手が出てしまう程に手元で伸びる。

練習で、泉を相手に打席に入った時とはまるで違う感覚である。

そして、投じられた3球目。

ビュッ!

久「(内角!? くっ……)」

ガキンッ!!

霞「!」

落ちるボールと読んでいた久だったが、京太郎はあくまでも強気にストレートでごり押しをしてくる。
しかも、内角を抉るような渾身のストレート。
これもまた見送れば際どい所であったが、久の出したバットは止まらずボールは小フライへ。
慌てて霞がそのまま捕球し、久の第一打席の結果はキャッチャーファウルフライに終わる。

ワアアアアッ!!

観客「よしよし、よく取った!」「いいぞ、いいぞ、石戸!!」

霞「(……なんでファウルフライを取ったくらいで歓声が上がってるのかしら?)」

観客たちの歓声に思わず疑問を持つ霞。
一方で久は苦笑いをしながらベンチへと戻ろうとし、ネクストから歩いてきていた誠子とすれ違う。

久「あっちゃー……うまくやられちゃったわね」

誠子「ドンマイです。 大丈夫、私が返しますよ」

久「ええ、期待してるわ」

久「(しかし須賀くん……なんとまぁ、自信満々な顔でマウンドに立っちゃって。
   ……しばらく、あんな顔は見てない。 っていうか、そもそも初めてかしら?)」

そんな事を考えながらベンチに戻っていく久。
一方で誠子は1つ、2つと素振りをしてから威風堂々とバッターボックスへと向かう。

DJ「4番 ファースト 亦野」

名前がコールされ、ヘルメットをかぶり直し、大きく息を吐いて打席に立つ。
2アウト。バントは失敗し、ランナーは1塁。
単打では、返ってこれない。長打――スタンドにぶち込めば、ランナーは文句なしで返ってくる。

誠子「練習の時から見ていますけど、いいボールを投げますね」

霞「ええ。 うちの自慢のエースだもの」

誠子「そうですか……」

視線は合わせないまま、キャッチャーの霞と言葉を交わす誠子。
そして、そのバットを大きく構える。

誠子「そのエースを打ち砕いてこそ、4番ですね」

グッ!

誠子「…………」

独特のフォームで、バットを構え京太郎と相対する誠子。
京太郎の脳裏に、前回練習で見せた誠子の右に左にと広角に打ち分け、
白球が次々と柵を越えたバッティングが思い浮かぶ。

しかし――やはり、違和感を拭いきれない。
そのフォームが、その構えが、京太郎の知る小笠原のものとまるで違うように思えるのである。

京太郎「(何かおかしい……なんだ?)」

霞「………………」サッサ

京太郎「(いや、集中しろ集中! 今は石戸さんのサインを見て、俺は腕を強く振って投げる事だけに集中すればいいんだ!)」

それでも、京太郎はその違和感を掻き消すように小さく溜息を吐き。
霞の出したサインに首を縦に振る。
投球動作に入り、ピタリとバットを止めて待ち構える誠子。

それをセンターから眺めていた睦月は、京太郎の持った疑問の答えにいち早く気づいていた。

睦月「(……やっぱりだ)」

※誠子の【???】発動 常時巧打・長打力-50。打ち取られた判定の際、1塁にランナーがいる場合は必ずダブルプレーとなる。

睦月「(バットの角度が違う……! あれは……!)」

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆y.QASqSgJ2n1=フル引っ張り
>京太郎:変化50+コンマ19=69
>誠子:スキル【???】発動 巧打力-20 長打力+30
>   巧打70+【???】-50+【フルスイング】-20+コンマ33=33
>京太郎>誠子の数値が36 【アウト】 【3アウトチェンジ】

熱狂的なベイスターズファンである睦月だが、しかし、何も彼女が知っているのはベイスターズの選手だけではない。
偵察の際、良子や京太郎らからも頼られる程度に、他球団の選手についても相応には詳しい。
ベイスターズが好きであると同時に、野球が好きなのが彼女である。
そんな彼女は当然、ベイスターズと同じセ・リーグの球団であるジャイアンツ。
そこに所属をしていた、誠子が持つカード『小笠原道大』の事も知っていた。

数々のタイトルを獲得し、野手としては初めての2つのリーグに渡ってのシリーズMVPを獲得。
30本の本塁打を、数年に渡って量産し続け、ジャイアンツの救世主となった存在。
しかしながら、彼にも苦悩の時代があった事を。

所謂、『飛ばないボール』というものが導入され、調子を崩す選手が多い中、小笠原もまたその例に漏れず調子を落とした。
それだけではなく、怪我にも泣き、思うような成績を残せなかった時がある。
34本の本塁打を打った次の年は、一気に激減したったの5本。
翌年には、ついにルーキー時以来となる本塁打無しをも記録したその時期。

睦月の知る小笠原道大は、その成績の下降と同時に、バットの構えも変化していった。
丁度、今の誠子が構えているのと同じように。

睦月「(あれは……スランプだった時の、小笠原だ!)」

※誠子のスキル【スランプ】が判明しました。
※誠子のスキル【フルスイング】が判明しました。

【スランプ】
常時、巧打・長打力-50。
打ち取られた判定の際、1塁にランナーがいる場合は必ずダブルプレーとなる。

【フルスイング】
任意発動。巧打力-20、長打力+30。

睦月がそんな事を考えているとは露知らず、打席に立っていた誠子はよく京太郎の球を観察していた。
久の際とは打って変わって、霞も警戒をしているのだろう。
初球は大きく外したボールから入り、次もまた落ちるスライダーで空振りを誘おうとするも見逃す。

誠子「(そろそろ次は入れたい筈。 須賀くんの制球は、決していいとは言えない。
    次はストライクに来る……それも……)」

霞「…………」サッサッ

京太郎「…………」コクリ

ビュッ!!

誠子「(さっき竹井さんを打ち取った、内角攻めだ!!)」

ブォオンッ!!!

代名詞とも言えるフルスイングで、ボールを打ちぬこうとする誠子。
読み通りだった、バットの出も、悪くない。
球速はある、球威もある、しかし、それでも芯を食えばスタンドに叩き込める――はずだった。

ガギンッ!!

誠子「!?」

美穂子「え、えいっ!」パシッ

誠子「なっ……くっ!!」シャカシャカシャカ

しかし、誠子の思惑通りにボールは飛ばなかった。外野にすら飛ばない。フライにすらならなかった。
なんでもない打ち損じは、セカンドへのボテボテのゴロ。
安全に行く為か待って取った美穂子はそのままファーストへと送球し、急いで走った誠子も間に合わず、アウト。
3アウトチェンジとなる。

京太郎「よしっ! ナイスです、福路さん!」

美穂子「飛んできて、ちょっと驚いたけど……でも、早めにボールが来てくれてよかったかもしれないわ。
    やっぱり練習と実際の試合とじゃ、緊張感が違うわね」

霞「須賀くん、まずは初回抑えられたのはよかったわね」

京太郎「あざっす! でも、白水さんにいきなり打たれたのはまずかったですね」

霞「その後、バントを上手く処理出来たのだもの。 打たれる時は打たれるもの。 うまくフォローが出来たのはよかったわ」

まずは初回、3者凡退とはいかずとも4者凡退で終える事が出来た京太郎は、
最後にアウトを取った美穂子とグラブをタッチしつつベンチへ。
マスクを取りながら声をかけにきた霞とも会話を交わしつつ、ホッと安堵の溜息を吐く。
まだ初回。しかし、1つも点を取られずに3つのアウトを取れた事は彼にとっても大きな自信となった。

誠子「………………」

一方、誠子はといえば茫然としたまま立ち尽くしていた。
練習ならば、間違いなくスタンドに叩き込めていたはずの打球。
しかし、今さっき打った打球には――そんな感触も無ければ、実際のボールも飛んでいない。

誠子「(な、なんで……?)」グラッ

読みを間違えた訳でもない、ヘマをした訳でもない。
自分に出せる最大限のフルスイングで、完全に捉えた筈だった。しかし、捉えきれていなかった。
その事実は誠子を混乱させるには十分で……。

久「誠子、誠子」ツンツン

誠子「うひゃっ、た、竹井さん?」

久「なに突っ立ってんの、ほら、私たちの守備よ」

いつまでたっても戻ってこない久が呼びに来るまで、ただじっと棒立ちになっていたのだった。

哩「1打席で結果ば出るもんじゃなかやろ。 先は長い、まずはこの後しっかり守るこつばい」

誠子「そ、そうですね……」

誠子「(そうだ……今のは、初めての試合で少し緊張していただけ。 ……大丈夫、大丈夫だ)」

苦笑をしながら励ます先輩方の言葉を聞きつつ、誠子は自分にそう言い聞かせながら守備に向かっていくのだった。

………

良子「グッドです」

ベンチに戻るなり、京太郎たちを出迎えた良子はそう声をかける。
まずは初回、しっかりと無失点で切り抜けられた事に監督である彼女もホッとしているのだろう。

良子「さあ、次は我々の攻撃です。 当然ながら、好打順。 ここで点を入れておきましょう」

京太郎「(援護があるとやっぱり安心できるもんな……実際のプロ野球選手とかもこんな気持ちなんだろうか)」

良子「まずは福路さん、須賀くん、津山さん。 1人出塁しましょう。 そして、小走さんに繋ぐ」

美穂子「はい」

良子「ファーストストライクを狙っていきましょう。 追い込まれる前に、叩きます。
   相手の泉さんもタフなピッチャーです。 追い込まれては、こちらがカウントを悪くするだけですからね」

京太郎「わかりました!」

睦月「うむ!」

泉「ふー……初回から点入らんかったんは残念やなぁ」

京太郎が降りたマウンドには、今度はジャイアンツ側の先発――二条泉が立っていた。
特別製のノースリーブユニフォームは相変わらず。
燦々と照り付ける太陽の紫外線は気にならないのだろうかと疑問を持つ者もいるが、
これが彼女のアイデンティティーでもあるから仕方ない。

泉「ま、ええか。 点が入るまで私が抑えたらええだけの話やし!」

ニッ、と自信満々な笑みを浮かべながらグラブをパンッ!と叩いて気合を入れる泉。
そして、それと同時にスタジアムには1番打者の登場曲が流れ、名前がコールされる。

DJ「バッターは 1番 背番号7ァ! 福路ぃーっ! 美穂子ぉーっ!!」

美穂子「よろしくお願いします」ペコリ

ビジター側の名前をコールする時とは気合の入りようがまるで違うDJの声と同時に、
ペコリと主審と捕手、投手である泉に頭を下げながら打席に入る美穂子。

泉「(さーて、亦野さんの話やと福路さんの持ってるカードってそんなに強くないらしいけど……。
   ま、油断はしたらアカンわなぁ)」

美穂子「………………」

泉「(いきなり初戦でノーヒットノーランとかしたらかっこええし! いっちょ気合入れていくで!)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

失礼しましたトリップ忘れです。もう一度

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆5yYJKrZJHY=ソト
>美穂子:巧打60+コンマ80-引っ張り読み違い30=110
>泉:変化30+コンマ96=126
>泉の勝利。 【アウト】

美穂子「…………」ポンポン

何故かお腹をポンポンと叩いた後、バットを構える美穂子。
その一連の動作に何の意味があるのかはわからない。恐らく、美穂子にとっては意味があるのだろう。
ともかく、既に彼女の方の準備は万端――泉も投球動作に入ろうとする。

観客「横浜ベイスターズ~」

睦月「勝利の~」

そして、同時に観客たちも応援歌を歌い始めた。
初回の攻撃が始まる際、手を前に出して合唱をする『勝利の輝き』。
思わずベンチにいた睦月も歌いだすのだが……。

ビュッ!

美穂子「えいっ!」

ガキンッ!!

観客「めざぁぁぁ~……」

睦月「あぁぁぁ~……」

美穂子は、泉の投じた初球――外へのストレートを叩き、これがファーストへの内野ゴロとなる。
当然のように誠子はこれを捕球しそのまま自分でベースを踏んでアウト。

美穂子「…………な、なんだかすごく罪悪感が」

初球で凡退したという事実以上に、何か悪い事をしてしまったような罪悪感を抱いてしまう美穂子であった。

美穂子「ご、ごめんなさい須賀くん」

京太郎「ドンマイです」

シュンとしょげ返りながら戻ってくる美穂子を励ましながら、京太郎は素振りを二度、三度としてバッターボックスへと向かう。
本職は投手。当然、本腰を入れなければならないのは投球であるが、
自らを楽にする為にも出来ればここで塁に出て得点に絡みたい所である。

睦月「頑張って、須賀くん! ジエンゴは横浜のエースの必須条件だよ!」

京太郎「ま、頑張ってみます」

ネクストに入れ替わって現れた睦月の言葉を背に受けながら、京太郎は左打席に立つ。
投手でありながら、彼は両打ちである。

DJ「2番 背番号17ァ! 須賀ぁぁぁぁーっ! 京太郎ぅぅぅーっ!!」

京太郎「(読みが合えば俺でも打てそうではあるんだけどな……。
     ただ、なんだかんだで長打力は無いけど巧打力はある福路さんが打ち取られてるんだし、
     そう簡単にはいかないかな)」

泉「(ピッチャーに打たれたら話にならんしなぁ。 ここはサクッともう1アウトや!)」


レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆ZnMUf0oGQ2kJ=ソーサ・ソト
>京太郎:巧打30+コンマ14=44
>泉:変化30+コンマ40=70
>泉の勝利。 【アウト】

京太郎「(……うーむ。 前に見た時より球が走ってるか?)」

泉の初球、先ほど美穂子に投じたのと同じようなコースに決まったストレートを見送り、ストライク。
手が出なかった、というよりは球筋を見る為に一球見逃した形だが、
京太郎は以前練習で見た時の泉のそれよりも球が走っていると感じる。

続く2球目は大きく外れ、3球目も際どいコースがボールの判定。
そして4球目。

ビュッ!

京太郎「!」

カンッ!!

京太郎「……っかー!(打ち損じた!)」

少し甘く入ったおじぎするストレートをレフト方向へと意識してバットを振るが、
芯を外したボールはファウルゾーンを転々と転がる。
おじぎをした為に芯を外れたのか、それとも単に京太郎の技術不足か。
いずれにせよこれでカウントは2-2。そして……。

ビュッ!!

アァァァァアイッ!!

泉「っしゃあ!!」

京太郎「あー……ちっくしょう!(4球目だったなぁ)」

投じた5球目は外角低めギリギリに決まり、見逃しの三振。
手を出していても打てたとは言えないそのコースに、京太郎は4球目の甘いボールを打てなかった事を悔いるのだった。

悔しげに歯噛みをしながら、ヘルメットを取りつつベンチへと戻る京太郎。

ザコプロ「須賀、キャッチボールするぞ」

京太郎「あ、はい。 わかりました(投手って忙しいなぁ……)」

これで2アウトとなった為、京太郎はザコプロと共に肩を冷やさない為にもキャッチボールを開始する。
打席に立った後にすぐさまキャッチボール。
やはり投手というポジションは大変だ、としみじみ感じる京太郎である。

一方、京太郎が去ったバッターボックスには睦月の姿。
彼女もまた、左打席に立っている。

DJ「3番 背番号33ンッ! 津山ぁぁぁーっ! 睦月ぃぃぃーっ!!」

睦月「(球場で名前がコールされる……うぅ……生きてて、生きてて本当に良かった……)」ジーン

泉「(……今更やけど、左多すぎへんか、あっちのチーム。 確か次の4番も5番もそうやろ)」

感動をする睦月を後目に、げんなりとした表情でネクストに立つやえ、ベンチでザコプロと何やら確認している霞に視線を向ける泉。
彼女の考える通り、1番から5番まで、全員左打者である。
京太郎は両打ちではあるが。

泉「(まぁ……左だろうがなんだろうが、1番2番と抑えたんや。 ここも抑えて、三者凡退でスタートや!)」

睦月「(このハマスタで、この観衆の前で野球が出来るんだ! 私なりに……精一杯!)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆30wmws4Fmc=デビルソト
>睦月:巧打42(横浜愛発動中)+コンマ34=76
>泉:変化30+コンマ15=45

>睦月:長打62(横浜愛発動中) 泉:球威30 差は32
>打撃結果判定46+長打補正32=78

>【ツーベースヒット!】

睦月「(第一打席、福路さんは初球凡退。 それは参考にはならなかったけど……須賀くんの打席のお蔭で、傾向が見えた)」

打席に入った睦月は、冷静に努めてなろうと集中しながら考える。
京太郎への配球は、外、大きく外れたボール球、際どい外へのストレート、甘く入ったストレート、そして外の隅に決まったストレート。
狙ってなのか、撒き餌なのかは知らないが、基本的に徹底して外を攻めている。

睦月「(相手のザコプロさんの配球かもしれないけれど、とにかく外を攻めて長打は無くそうという考えに思える。
    だけど……)」

ビュッ!!

睦月「(流して長打を打てない訳じゃない!)ふっ……!」

カキィイイイイイインッ!!!

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

泉「ふぉあああっ!?」

睦月の予想通り、泉が投じた第一球もまた、外へのストレートだった。
予想を的中させた睦月が降りぬいたバットはボールを的確に捉え、レフト方向へ。
ぐんぐんと伸びていく打球はそのまま外野の頭を超え……。

パンッ!!

佳織「あ、あっ!」

惜しくもフェンスを越えなかったものの、そのままフェンス直撃、ダイレクトの長打となる。

良子「グッド! グッド! ランニングランニング!」

美穂子「津山さん、2塁!」

睦月「!!」ダダダダッ!!

ベンチで監督である良子が身を乗り出して手を回す中、睦月は1塁ベースを蹴って2塁へ。
一方、打球を追っていたレフトの佳織はクッション処理に手間取る。

佳織「え、えっと、えっと……」

哩「妹尾、こっちばい! はよせんね!!」

佳織「あ、は、はい! えいっ!!」

それでも哩の声を聞いて落ちたボールを取り、中継に入った哩へ送球。
しかしながらもたついた事もあってか、睦月は楽々と2塁を陥れるのだった。

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

DJ「ナァイスバッティング! 津山ぁぁぁぁぁ!睦月ぃぃぃぃぃ!!!」プァーン

観客「いいぞ、いいぞ、津山!」「いいぞ、いいぞ、津山!」「いいぞ、いいぞ、津山!!」

良子「ベリーグッド……実にエキサイティングなバッティングでした」

美穂子「チーム初ヒットは津山さん……やっぱり、凄いわ」

観客が歓声を上げ、DJが名を呼び、ベンチが沸き立つ中。
2塁ベース上でバッティンググローブを外しながら睦月は笑みを浮かべ……。

睦月「うむっ!」ピッ

両手の人差し指をピシッとベンチへと向けるのだった。

美穂子「……ところであのポーズは何かしら」

泉「アカン(アカン)」

ベイスターズ側が盛り上がる一方、打たれた泉といえば気落ちをしていた。
テンポ良く2アウトまで取ったはいいものの、睦月にはあっさりと初球をはじき返されツーベース。
しかも次は4番である。
睦月の足も速く、一打先制の場面だ。

誠子「落ち着いて、二条さん」

しかしながら、ここで声をかけてきたのは誠子である。
自信家ではあるが割と打たれ弱いという泉の性格は、ここまでの共同生活の中で割と周囲に認知されている。
気持ちを落ち着ける為に誠子が声をかけると、ほかの内野陣も声をかける。

ザコプロ「そうそう、2アウトなんだ。 ここは落ち着いていけば大丈夫」

ザコプロ「歩かせてもいいくらいの気持ちで勝負していこうぜ」

哩「後ろば私らが守ったるけん、腕振って投げんね」

泉「うっ……は、はい!」

泉「(……そうや。 流石にノーヒットノーランなんて甘い夢や。 それよりも、まずは目の前の打者を打ち取る事や。
   ザコプロさんの言う通り、2アウト……1塁は空いてるから、歩かせてもいいくらいの気持ちで。
   腕振って、投げるんや! 大丈夫、打たれてもバックがついとる!)」

哩「(さて……気合ば入れて守らんといかんな)」

二条泉の【???】が発動条件を満たしました。スキル判明。
二条泉の【打たれて取ってもらう】が発動中。 守備側全選手守備力+5。

DJ「4番 背番号55ォ!! 小走ぃぃぃ! やえぇぇぇぇ!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

マウンドに一旦集まった内野陣が解散した所で、泉は打席に向かう打者を見つめる。
やはり、左打席。本当にベイスターズ側は左打者が多い。異常に多い。
そんな多くの左打者の中で、4番を任された少女――小走やえ。

DJがコールをし、登場曲が流れると、観客たちは何故かタオルを回し始める。

やえ「ふっ……初回からいきなり見せ場が来たな。 ここでランナーをかえしてこそ、王者!」

ヘルメットから飛び出したドリルはぴょこぴょこ跳ね、彼女のテンションの高さを示しているかのよう。
咆哮すると共にくるりとバットを手の中で回し、そのまま構えを取る。
一旦バットを寝かせ、そこからリズムを取るようにして上下に揺らす彼女のフォーム。

泉「(亦野さんの話やと、長打力はあっても率は残されへん、ほんまに典型的なホームランバッターってタイプらしいけど。
   ……でも妹尾さんよりは当てられるやろしなぁ)」

捕手ザコプロ「(二条さん、とにかく低く、低くだ。 長打だけは打たれたらまずい。 低めでゴロを打たせるぞ)」

泉「…………」コクッ

やえ「…………」

サイン交換を終え、投球動作に入る泉。

睦月「(小走さん……出来れば、ここで打って欲しい。 相手もそうだけど、この試合、1番から4番までの流れの中でしか基本的に得点に期待出来ないんだから)」

京太郎「………………」

キャッチボールを一旦止め、やえの打席に注目をする京太郎。
睦月が集中してリードを取る中、泉の手の中から白球は投じられた。

小走やえの【チャンスに強い】発動中 巧打力+10
小走やえの【4番の一振り】発動中 長打力+20
小走やえの【王者の打ち筋】発動可能 任意発動。読みが一致した際、巧打・長打+20。外した場合巧打・長打-20。

レフト側守備力合計:25+75+5+27.5=130.5
センター側守備力合計:25+75+25+55=180
ライト側守備力合計:45+25+25+27.5=122.5

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)【王者の打ち筋】使用時は併記
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆hfSoCbvb9k=low泉
>やえ:巧打50+コンマ81+読み一致【王者の打ち筋】20=151
>泉:変化30+コンマ99=129

>やえ:長打70+【王者の打ち筋】20+【4番の一振り】+20=110 泉:球威30 差は80
>打撃結果判定23+長打補正80=102

>【タイムリーツーベースヒット!】

ザコプロの要求通り、泉は低めに集めようとする。
ここで一番打たれてはならないのは長打。
ならばゴロを打たせようと、低めに集めるのは当然。
また、これならば例え読まれても打球方向はジャイアンツの中で1番信頼できるセンターラインに飛んでくれると踏んでの事である。

しかし、だ。

やえ「ふん、ニワカめ……!」

甘く入る。低めに決めようとした球は、やや浮いていた。
どれだけ声をかけられても、緊張は解けなかったらしい。
そして、その甘いボールを見逃す程、ベイスターズの4番は甘くはない。

やえ「お見せしよう!」

                      __
                    ´        ` 、 r―ァ
                     ' . : : : : : : : : : : : : : ヾ  /
                ′: /: : /:::::/i∧:::i:::: i::::::::く

                  |: : /: : : :/⌒ヽ:/}:::::ト::.. ハ::\
                V/:::i: ::f斧刈 / /⌒i:::::::::i }:::〉 「王者の打ち筋を!!」

     _rvヘ^ヽ         / ミ/|::::| " `    f斧/::::://::/
    比∧}く>'7     /::::::::/\:::ト  、 __ ` {::::イ-==く
.     人  _ノ     ヾ::::::/ ⌒ヾ 、      人⌒>:::::::}
   / __彡ヘ__ -==ニ¨¨ヽ\  `ー-y< ≧ニ=<
    ∨  _ 人   `ヽ       \:ヽ/^ヽ{ ∧ `≫
    ∨    /}          }:::r≠‐rァ=ミVi {{ r'^ヽ
      \         __,  /::八///⌒7/〈  { `ヽ ヘ
       \  _,. =-   Y^ヽ/::::::::::∨∧::{//>ハ f   /
                     |::::::i : : : : : ⌒~:::|。: : :::iヘ〉  ∧
                   \:::: : : : : : : : : :|. : ::::::| | V/〉ヘ
                       Y: : : : : : : :::::|:::::::::::1j ∨7 }\
                    >ァ: : : : :::::::|。:::::八  \/  ヽ
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     \: : : :/: :::::::::::::::\_: :二ニ=-----へ:::::::|:::::::::::::|::::::::/::∧

ガキィイイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!!

泉「」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

強くたたいた白球は、センター方向へと一直線。
強烈な打撃音を残して勢いよくノビ、あわやバックスクリーンに直撃かという角度で飛んでいく。

やえ「(打ち損じた!)」

が、これでもやえとしては打ち損じらしい。
実際、白球は途中で速度を落として落下――惜しくもフェンスを越えるという事はなかったのだが……。

ボフッ

先ほどの睦月の打球と同じく、フェンス直撃となるのだった。

久「ああ、もうっ!!」

センターの久は急いでクッション処理をし返球しようとするも、大きな弧を描いて滞空時間の長かった打球がフェンスに直撃する頃にはやえはもう1塁を回っている。
そして、当然……。

霞「ナイスラン……でいいのかしら?」

睦月「うむっ!!」パチン

霞「ふふ、ナイスラン、津山さん」パチン

2塁ランナーの睦月は悠々とホームへと帰り、ネクストに立っていた霞とハイタッチを交わすのであった。

De1-0巨

という所でいったん区切らせていただきます。
巨人戦をイージーに設定した理由は、大体ここまでの流れとかでわかってもらえたと思います。
それではお疲れ様でした。

乙~
この調子でなんとか3点差つけて勝ちたいな


打たれる時の斎藤佑樹リアルに再現じゃないかw

おつです


王者の風格ここにあり

乙です
今永投手大丈夫みたいですね。良かったです。

>>873
乙ありです。うまく1番から繋げていければ大量点も狙えますね。
>>874-875 >>877
乙ありです。
>>876
乙ありです。その斎藤も明日先発予定らしいですね。
>>878
乙ありです。守備走塁が駄目な分、やえさんは打撃極振りですからね。
>>879
乙ありです。足を攣っただけだったようで、抹消もしてないですしローテは飛ばさなくて大丈夫そうですね。安心しました。

もうちょっとしたら再開します。

ワイワイ ガヤガヤ

DJ「ナァイスバッティング! 小走ぃぃーっ! やえぇぇーっ!!!」

ワアアアアアアアアアアアッ!!

観客「「「Oh Oh WOW WOW 横浜ベイスターズ 燃える星たちよー! レッツゴー!
     Oh Oh WOW WOW 横浜ベイスターズ 夢を追いかけろー!」」」

観客「「「バンザーイ! バンザーイ!! バンザーイ!!!」」」

2アウトまであっさりと取られながら、2本の長打での先制。
これにはベイスターズ側を応援しているライトスタンドの観客たちも大盛り上がりであり、歓声を上げる。
2塁ベース上のやえは、当然とも言うべきか腕を組み自慢げだ。

やえ「ニワカは相手にならんよ!」ドヤヤァ

泉「(ニワカ……)」ガクッ

一方、打たれた泉はといえばガックリと肩を落とす。
初回からいきなり失点。しかも、あわやホームランかと思う程の大飛球だったのだ。
気落ちをしても無理からぬ事ではある。

泉「(いや、いや……まだ1点取られただけやし。 次を抑えればええだけの話や!)」

ただ、それでも今度は内野陣が声をかけるまでもなく自力で立ち直った。
幸いとも言うべきか、次の霞は決してバッティングが上手い訳ではない。
事実上は、ベイスターズ側の攻撃は4番までで途切れているのだ。

泉「(あと1個アウト取るだけや!)」

霞「さて……私も続ければいいのだけど」

そして、打席には霞が入る。
やはりその表情は少し困った様子で、出来れば出塁をしたい所ではあるが、
とはいえ自身のバッティングには彼女もまた不安を抱えているというのがありありと見受けられる。

やえ「石戸、続けー! 相手はそれ程大したことないぞ!!」

泉「(やかましいなぁもう!)」イラッ

霞「あらあら」

2塁ベース上から声を張り上げるやえに、一瞬視線を向けて苛立ちを露わにする泉。
打たれた本人に『大したことが無い』と言われれば、怒り心頭となるのもまた当然だろう。

霞「(カッカしてそうね……そこに付け込めればいいのだけど……)」

石戸霞の【苦手分野】発動可能 守備時スキル除去・守備力-30して巧打・長打力+20。一度発動すると試合終了まで継続。

レフト側守備力合計:25+75+5+27.5=130.5
センター側守備力合計:25+75+25+55=180
ライト側守備力合計:45+25+25+27.5=122.5

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)【苦手分野】使用時は併記
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆XcgHwxA0bA=霞にin
>霞:巧打30+コンマ39=69
>泉:変化30+コンマ44=74
>【アウト】 【3アウトチェンジ】

霞の読み通り、いらだった様子の泉は強く腕を振ってボールを投げ込んでくる。
とはいえ、それだけ精神状態が不安定であれば、制球も荒れるというもの。
打者より大きく手前で落ちるフォーク、おじぎをするストレート。
一度もバットを振る事が無いまま、3-0の打者有利のカウント。
或いは歩かせにくるかと霞は一瞬頭をよぎるが……。

泉「…………」ブンブン

霞「ふんふむ(やけに首を振っている……と)」

ここで泉はザコプロの出すサインに、二度、三度と首を振る。
比較的冷静であろうザコプロがここで何を要求するだろうか。
そして、熱くなっている泉が何を拒否するだろうか。

泉「…………」コクリ

霞「(……来るわね)」

霞の読みは勝負。歩かせて後ろのザコプロからアウトを取るのではなく、霞との勝負。
しかも、熱くなっているからこそ、恐らく投げたいのは……。

ビュッ!

霞「(内角への速球! 捉えたわ!!)」

カキィイインッ!!

泉「えっへぇ!?」

3-0からなら、普通ならば見逃すのがセオリーではある。
しかしながら、そのカウントになれば投手が所謂ボールを『置きに来る』事が多い為、甘い球が比較的きやすい。
また、監督である良子の方針からも、出塁を意識するのは大事だが、それで甘い球を見逃すのはやめようという意識がベイスターズ側には根付いている。
よって、霞は自身の読み通りに来た、甘い内角へのストレートを強くたたいた。

引っ張った打球は痛烈なゴロとなって一塁線を――。

誠子「ふっ!」パシッ!!

抜けなかった。
抜けそうになるゴロを、誠子が飛び込みながら辛うじてグラブに収める。

霞「あ、あらあら……」ドタバタ ブルンブルン

泉「ま、亦野さん!」

誠子「はいっ!」ピョイ

1塁塁審「アーウツッ!!」

急いでカバーに入った泉に、誠子は起き上がりながら送球。
その動きは比較的ゆっくりだったが、ドタバタと走りブルンブルンと一部を揺らしながら1塁に向かう霞の足は悲しいかな遅く、余裕のアウト。
これで3アウト、チェンジとなる。

泉「た、助かりましたぁ……」

誠子「気にしない気にしない。 よく1点で抑えたね」

抜けていれば更に失点といった状況であり、ホッと安堵の溜息を吐くのは泉。
これに笑顔で答えながら、誠子たちはベンチへと引き上げる。

一方で霞はヘルメットを外しながら、残念そうな表情だ。

やえ「惜しかったな、石戸」

霞「出来れば畳みかけたかったのだけどね……いい流れだったんだし。 観客さんも怒ってるんじゃないかしら」

観客「足遅すぎィ!」「そりゃあれだけ重そうなの持ってたら遅くもなるよ」「いいの見れたからよし!」

なお観客は喜んでいたもよう。

………

そして、京太郎らの攻撃は終わり、再び守備の時間がやってくる。
点を取ってもらった直後の守備。
京太郎としては、すぐに援護を吐き出すような展開にはしたくない所だ。

霞「須賀くん、この回は5番の妹尾さんを抑えれば後はザコプロさんだけよ。
  しっかりと3人で仕留めていきましょう」

京太郎「はい!」

捕手の霞と相談をしながら、マウンドへと向かう京太郎。
一方で外野席にいる観客たちからは、守備に走っていく睦月とやえに声援が飛んでいる。

観客「「「津山! 津山! 津山!!」」」

睦月「…………」ペコリ

ワアアアアアアアアアアアッ!!

観客「「「小走! 小走! 小走!!」」」

やえ「ふふふ、いや、いいな! 麻雀とは違って観客の声がダイレクトに聞こえるのはなんだか嬉しいぞ!」

得点に貢献をした2人に浴びせられる賛辞の声。
睦月は帽子を取って一礼をし、やえもまた帽子を取って手を振りながらそう呟く。
確かに、こうやって観客たちからの歓声を受けられるというのは、麻雀では中々無い事であり、野球をする中で醍醐味というものかもしれない。
しかし、である。

レフト側の観客「アホー!」「ボケー!!」「何打ってるんじゃー!!」

やえ「えぇっ!?」

忘れてはならない。観客は全員が全員やえ達を応援している訳ではない、という事に。
悲しい事にやえの守るレフトの位置、レフトスタンドはビジターチームのファンが多い。
彼らから謂れのない罵声を受けて、やえは困惑するのだった。

睦月「(よかった……初めての試合が西の方のあの球団じゃなくて)」

DJ「5番 レフト 妹尾」

佳織「うぅ……(とうとう出番来ちゃった……!)」

そんなこんなでやえが色々と洗礼を受けていたころ。
バッターボックスにはジャイアンツ側の5番打者、妹尾佳織が入っていた。
先頭打者、ランナーがいる訳ではないという事で特にプレッシャーがかかる場面でもないが、
それでも彼女は些か緊張気味のようではある。

佳織「(なんとか足を引っ張らないようにしなくちゃ……! 頑張ろう!)」

京太郎「………………」ポンポン

そんな佳織に視線を向けながら、京太郎はロジンを手につけつつ。
やがて投球動作に移りかかろうとする。

京太郎「(さて、折角攻撃の方でいい流れを作ってくれたんだ。ここは俺も3者凡退でリズムを作りたい。
     その為にも先頭は切りたい所だけど……)」

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆cnns3blyAw=かおRin
>京太郎:変化50+コンマ57=107
>佳織:巧打0+コンマ04-読み違い-30=-26
>【アウト】

京太郎「…………」ビュッ!

佳織「ええいっ!」ブゥンッ!

初球、落ちるスライダーを空振り。

京太郎「…………」ビュッ!

佳織「やあっ!」ブゥンッ!!

二球目、落ちるスライダーを空振り。

京太郎「…………」ビュッ!!

佳織「とお~っ!!」ブブゥンッ!!

三球目、落ちるスライダーを空振り。空振り三振!

佳織「うぅ……全然駄目だったよぉ……」

主審からのアウトコールを聞き、ガックリと肩を落としながらベンチに下がってゆく佳織。
その背中を見ながら、京太郎もまた思わず脱力しそうになる。

京太郎「(本当に落ちる球3つだけで三振取れちゃったよ……)」

カードの力はげに恐ろしいと、しみじみ感じる京太郎だった。

何はともあれ、これで1アウト。
そして、ここから相手チームはザコプロ達が続いていく。
基本的に京太郎達の能力からは一段落ちる彼らなら、ここからは多少なりとくみし易い。

ザコプロ「オイラにお任せでヤンス!」

別にメガネをかけている訳でもないザコプロが打席に入り、
京太郎は霞とサインを交換をしてから再び投球動作に入る。

霞「…………」サッサッ

京太郎「…………」コクリ

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆MNvYEGzkqtG9=流すでやんす
>京太郎:変化50+コンマ93=143
>ザコプロ:巧打20+コンマ29-読み違い-20=29
>【アウト】

ストンッ! クルー!

アァァァイッ!!

ザコプロ「お任せでヤンス、と言ったでヤンスが、お任せではないが正しかったでヤンス。申し訳ないでヤンス」

直球で押し込んで、ザコプロにバットを振らせても前には飛ばさせない。
そのまま2ストライクに追い込んだ所で、再び落ちるスライダー。
ワンバウンドになるがザコプロはこれを空振りし、霞もボールをそらす事なく三振。
別にメガネをかけている訳ではないザコプロは全然申し訳なさそうにはしていなかったが、
それでもそう言いながら打席を後にすると、次もまた別のザコプロがやってくる。

ザコプロ「くそっ、あまり俺達を舐めるなよ!」

京太郎「(別に舐めてる訳じゃないけど……)」

吠えるザコプロを見ながら、小さく溜息を吐く京太郎。
ここまでサクサクと2アウトを取り、残りは1つ。

京太郎「(このままのリズムで、もう1つアウトを取る!)」

連続三振、連続アウトといういい流れは彼のリズムを作り、いつも以上の投球を可能とする。

須賀京太郎の【テンポ○】が発動 球威・変化+20

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

コンマがもしも同じだったらどうなる?

>>907
投手側打者側の合計コンマが同一だった場合は、投手側の勝ちとなります。

>◆ibnQqMinlk=ザコ流し
>京太郎:変化70+コンマ97=167
>ザコプロ:巧打20+コンマ96+読み外し-20=96
>【アウト】 【3アウトチェンジ】

ズバンッ!

ザコプロ「……!」

アァァァァイッ!!

ザコプロ「(入ってるかぁ……)」ガクッ

意気込んで打席に立ったザコプロだったが、彼もまたあっさりと追い込まれた。
そして、1-2から投じられた際どい低めのボール。
読みを外したザコプロはピタリとバットを止めた。際どいコースであった為、これが彼に出来る精一杯である。
しかしながら、主審からはアウトコール。
僅かに、入っていたようだ。

霞「…………」ニコッ

――訂正、入れたようである。

京太郎「よっし!」パンッ!

3つのアウトを1人のランナーも出さずに取った京太郎は、グラブを叩きながらベンチへ。
しかも全てのアウトが三振。投手としてはこれほど気持ちのいい事は無い。

美穂子「凄いわ須賀くん」

京太郎「あざっす。 まあ、5番からでしたからね。 3人でピシャリと抑えないとって所ですし」

良子「ベリーグッドですね。 さあ、守備のリズムから攻撃へ。 こちらもザコプロさん方の打席からですが、まずは塁に出る事を考えていきましょう」

ザコプロ「お任せあれ!」

ファインプレーやエラー、三凡でバフデバフがかかっても面白いな

泉「……1点が遠いなぁ」

佳織「ご、ごめんなさい」

先制点を挙げ、その次の守備を無失点で切り抜けた京太郎たちとは違い、ジャイアンツ側の空気はやや重い。
特にすぐに失点をした泉、それにあっさりと三球三振をした佳織は責任を感じている様子でもある。

久「なーに情けない声出してるのよ。 まだこっちの攻撃は7回もあるんでしょ」

誠子「そうだよ。 まだまだ焦るような時間じゃないって」

それを久と誠子が慰めつつ、彼女たちもまた守備に散っていく。
麻雀も野球も、回と局という区切りがある。
序盤で負った失点は、後半の局で返せば問題が無い。

哩「そん為にも、ここは気合ば入れておさえんね。 こっちも3人で仕留めんと」

泉「わ、わかってますよ!」

とはいえ、メンバーの大半をザコプロが占める構成上、どうしてもビッグイニングは作りにくいのが現状だ。
出来る事ならばここは無失点で切り抜け、今の1点差ビハインドという状況を維持したい。
哩の言葉を聞いて泉は上擦った声で返答しつつ、マウンドへと上がる。

泉「(あっちの須賀いうんも同じ1年! あいつが出来て私が出来ん訳がないんや!
   ……カードの格で言うたら私の方が上やろし)」

泉「(私もこの回、3人で切って取ったる!)」

闘志を燃やしながらマウンドに立つ泉。
相対するのは、今日の試合6番を打つザコプロである。

泉「(6番からやから……7,8で3人で切れれば次の回は9番からや。
   1アウトで1番の福路さんを相手にするんと、ノーアウトからやとは全然ちゃう。
   ここはなんとしても3人で切ってとらんとアカンねや)」

戦術的な意味でも、ここで3人で攻撃を終わらせる意味は大きい。
泉は一つ、呼吸を入れてフゥと溜息をついてからザコプロとサイン交換をする。

打者ザコプロ「(なんとか打順調整だけでもしたいなぁ……)」

泉「(いくで……この回は無失点や!)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

この場合はどうなるの?
コンマは負けているけどそんなに差はないけど

ルールは>>83>>84

>>916
野球に関する判定のルールについては>>917さんの安価先のレスの通りです。
簡易的に言えば、打撃側は読みが一致しても巧打・長打が+補正される訳ではないので(スキルなどがあれば別ですが)
打撃側巧打+コンマと投手側変化+コンマで投手側が勝っている場合は基本的にアウトです。

>◆2.TBEJLLHU=内閣
>ザコプロ:巧打20+コンマ33+読み外し-10=43
>泉:変化30+コンマ36=66
>【アウト】

泉の持つ斎藤佑樹のカードは、決して強い訳ではない。
が、とはいえ、ザコプロにしてもそこまで強い訳でもなかった。
気迫を込めて内角を厳しく攻めてくる泉に、ザコプロはあっさりと翻弄され、
最後はとんでもないボール球を打ちあげさせられる。

カンッ!

泉「よっしゃ……っと!」パシッ

小フライになったボールを、ピッチャーの泉がそのまま捕球。
まずは幸先よく、泉が1アウトを取った形である。

ザコプロ「初回の攻撃で崩れてくれると思ったんだけどなぁ」

ネクストバッターザコプロ「流石にそれは期待し過ぎだろ」

愚痴を垂れながら引き下がるザコプロに、代わって入る次のザコプロ。
今更であるが、敵味方合わせて全員同じ顔に同じ名前がいるというのは色々と怖いものがある。

京太郎「(でも慣れちゃったなぁ……最初は結構違和感あったけど)」

ベンチでそんな事を思いながら、応援をする京太郎。
なんにせよ、まずは出塁しなければ始まらない。

ザコプロ「さあ来い! 俺はさっきのザコプロとは一味違うぞ!」

泉「同じ顔して何言うとるんや!」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆fzytKdzOBW1v=インハイにインハイに
>ザコプロ:巧打20+コンマ02-読み外し-20=2
>泉:変化30+コンマ01=31

泉「あんまり私を舐めんなやっ!」ビュッ!!

ザコプロ「おうっふ!」ブ……ピタッ!

泉「振ったやろ! 審判!!」

主審「…………」

1塁塁審「…………」アウトノポーズ

主審「アァァイッ!!」

泉「よっしゃ!」

続いてバッターボックスに立ったザコプロに対し、またも泉は内角を中心に徹底的に攻める。
先ほどまでは弱気が顔を出していたが、基本的に彼女は自信家だ。
分不相応な事を考えたりする程度には、自身の実力を信じている。
1つのアウトを取れた事でそれがいい方向に作用したのか、この時ばかりはコントロールもある程度改善され、
更に速球も伸びてザコプロに1つも掠らせない。

そして、最後は強くえぐりこむようなインハイへのストレート。
これにザコプロは中途半端なスイングをしてしまい、ハーフスイング。
これを空振りと取られ、あえなく三振を喫してしまう。

泉「へっへっへ、よーし、やっと肩温まってきたで!」フンス

哩「(ようやく調子ば出てきたようばい……が、さっきはこっから点ば入れられたちゅう事覚えとるやろか?)」

上機嫌でキャッチャーからの返球を受け取る泉を見て、哩はそんな事を考えながらぐっと腰を落とす。
2アウトまで綺麗に取れたのはいい。
が、2アウトまでならば初回もあっさりと取っている。
その後、連打を浴びたのが失点の原因。最後のアウトを取るまで、何が起こるかわからないのが野球なのだ。

哩「(流石に……ザコプロに打たれるちいう事はないやろけど)」

ちら、と視線を動かせばそこには三度バッターボックスに現れるザコプロ。
……ではなく、またまた同じ顔をした先ほどまでのとは違う別のザコプロである。

誠子「(きっちり3人で終わらせてくれればいいんだけど)」

泉「(ここでアウト取って3者凡退や! 3連続三振といかんかったのは残念やけど!)」

ザコプロ「(くっそー、調子乗ってんなー。 なんとかハナ明かしてやりてー!)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆DLg1cnI7wY=徹底イン
>ザコプロ:巧打20+コンマ86-読み違い-10=96
>泉:変化30+コンマ93=123
>【アウト】 【3アウトチェンジ】

強気になり、イケイケモードとなった泉は徹底的にインを攻めた。
攻めた、のだが――。

ピョイッ!

ザコプロ「うおっ!?」バッ

泉「うへっ……」

途中、そのイン攻めが過ぎたかすっぽ抜けたボールがザコプロの頭部付近へ。
間一髪交わしたザコプロであったが、一歩間違えばデッドボール。
頭部死球で危険球退場になってもおかしくはないボールだった。

ザコプロ「(腹立つなぁ、帽子くらい取れよ。 ……でもまぁ、さっきのアレだ。 今度は様子見で外に)」

バシンッ! アァァァァアイッ!!

ザコプロ「ハァ?」

泉「うっし! これで三振2つ目や! ごちです!」

このボールを受けて、これで内角には投げにくくなっただろうと考えるザコプロであったが、
割と泉はそこらへん厚顔無恥というべきか、遠慮が無いというべきか。
ともかく、あまり気にしないタチであった。
よって続けざまに内角に決め、予想外の所にボールが来たザコプロはあっさり見逃し。
見逃し三振。3アウト、チェンジである。

ワアアアアアアアアアアアアアッ!!

レフトスタンド観客「いいぞ二条!」「ようやった、それでこそ千里山の時期エースや!」「背番号18!」

泉「へへへ……いやぁ、気分ええですね」ニコニコ

三者凡退。内、2つが三振。
三者連続三振であった京太郎には見劣りするが、それでも立派な結果である。
ジャイアンツ側を応援するレフトスタンドからは泉への拍手喝采が起こる。
たかだか1回を三者凡退で仕留めただけ。しかも相手は全員ザコプロなのだが、これも彼女の持つカードの効果か。
とにかく、人気はあるのだ。

佳織「凄いね、二条さん。 こっちに一度もボール飛んでこなかったよ」

哩「そん調子ばい。 こん後もしっかり頼んだ」

泉「はい!」

久「バットの方でも期待してるわよー。 次、9番まで打順回るんだから」

泉「はは……そっちはまあ、程ほどでたのんます」

帰ってくる守備陣と笑顔で話す泉。

慕「(なんとか下位打線を打ち取れて、これで調子に乗ってくれるかなぁ?
   とはいえ1点が遠い。 次は7番から……哩ちゃんに回るまでにランナーが出てくれるといいんだけど)」

訂正

×慕「(なんとか下位打線を打ち取れて、これで調子に乗ってくれるかなぁ?
   とはいえ1点が遠い。 次は7番から……哩ちゃんに回るまでにランナーが出てくれるといいんだけど)」

○慕「(なんとか下位打線を打ち取れて、これで調子に乗ってくれるかなぁ?
   とはいえ1点が遠い。 次は8番から……哩ちゃんに回るまでにランナーが出てくれるといいんだけど)」

………

ザコプロ「すまんな」

京太郎「気にしないでください、そう簡単に繋がる訳でもないですし」

睦月「うむ。 ともかく、次の回しっかり守っていく事に注意しよう。
   次は白水さんまで回っちゃうし……」

ベンチから出て、守備へと向かっていく京太郎たち。
この回、相手の攻撃は7番からの打順――つまり、1番に戻る。
相手チームの打線の中で、注意をすべきはやはり上位。
出来る事なら先ほどヒットを打たれている哩の前に、ランナーは出したくない。

霞「須賀くんの投球なら、テンポよくいければ白水さん相手でも有利になれる筈よ」

京太郎「ええ。とにかく、頭2人を切る事を考えていきます」

霞「……相手の2番はザコプロさんですものね」

2アウトまで取れば、最悪哩に出塁をされても次の打者はザコプロだ。
当然、くみし易さは他の打者の比ではない。

ザコプロ「…………」

京太郎「(さて……)」

マウンドに上がり、8番に入ったザコプロと相対する京太郎。
霞たちにも言われた通り、そして、自分自身も言ったように。
とにかく、まずは頭の2人を切る事。

京太郎「(体力を考えてもあまりランナーは出したくないしなぁ……津山さんがいるとはいえ、出来れば1人で投げ切りたい。
     その為にも、とにかく塁には出さないように……!)」

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆IFfFmZTwI230=基本のセンター返し
>京太郎:変化50+コンマ78=128
>ザコプロ:巧打20+コンマ31-読み外し-10=41
>【アウト】

という所で結果だけ出してちょっと半端ですが本日は一旦ここで区切らせていただきます。
>>910
一応そういう感じのスキルなども、考えていたりはします。
こんな感じのスキルがあったらいいんじゃないか、というのは、あってもらえると私自身も思いつかない事とかもあるので、
何かあれば言ってもらえたらなと思います。

最後に現在のスコアを貼っておやすみなさい。

   1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H
G  0 0               0 1
De 1 0               1 2

乙~

仕方がないけど試合は結構長いのかな?
できればコールド勝ちしたいところだけど

乙っす

好感度あがったら友情タッグ的なやつあるんかな。特別なスキルとか覚醒とかも

>>940 >>942 >>944
乙ありです。
>>941
システム上9回までダレてしまうのはスレ開始時も懸念してた事ではあります。特に現状ザコプロさんが大半を占めるとダレますし。
ある程度、これ以上やっても敵チームが勝てないだろうなと感じた時点でダイジェストは考えます。
今回の試合だと5回で3点差くらいでしょうか。
>>043
乙ありです。
【劇場型】9回限定。先頭の2人の打者相手に球威・変化-20、制球判定1段階減少。以降3人まで球威・変化+20、制球判定1段階上昇。
こんな感じでしょうか。
>>945
好感度が一定値に達する毎に全能力が上昇する予定です。
覚醒については追々。

もうちょっとしたら再開します。

>◆IFfFmZTwI230=基本のセンター返し
>京太郎:変化50+コンマ78=128
>ザコプロ:巧打20+コンマ31-読み外し-10=41
>【アウト】

ガキィンッ!!

京太郎「よっし!」

ザコプロ「く、くそっ!」

初球、やや甘く入ったのは京太郎の投じたボールである。
好球必打と意気込んでいたのか、これをザコプロは思い切りたたくのだが、
多少甘く入っても球威が違う。
ザコプロはバットを振り切れず、打球はボテボテのピッチャーゴロに。
これを京太郎は落ち着いて処理し、一塁転送。まずは1アウトである。

霞「(……須賀くん、打ち取れたのはいいけれど、今のは甘いわ。 気を付けてね)」

京太郎「(ういっす。 すみません)」

非難するような霞の表情に帽子を取って反省しつつ、京太郎は次に打席に入る者の姿を見る。

DJ「9番 ピッチャー 二条」

京太郎「ふぅ…………」

打席に立つのは、二条泉。
ラストバッターであり、京太郎と違いカードの力だけでなく根本的な肉体としての能力として、
特別運動神経が良さそう――という事も無さそうな彼女である。
然程、バッティングが得意という訳ではないのだろうが……。
……だからといって、ただの置物としてバッターボックスに立っている訳ではないようである。

泉「(自信は無いって言うたけど……私が取られた失点や。 私のバットで出来るだけ返す)」

京太郎「(……厄介だなぁ)」

こういう場合、なるべく次の投球に支障をきたさないようにとバットを振らない投手の方が守る側としてはありがたい。
ただ、遮二無二になって出塁をしようとしてくる投手というのはそれだけで厄介である。

京太郎「(白水さんに回る前にランナーは出したくない。 ここも仕留める!)」

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆PwBIBh390I=izuminIN
>京太郎:変化50+コンマ80=130
>泉:巧打20+コンマ94-読み外し-30=84
>【アウト】

京太郎「(つってもあんだけ気合籠ってるんだ! 何を狙ってるかなんてバレバレだっての!!)」

京太郎「オラァッ!!」ビュッ!!

泉「うっぐ!?」

ガギィンッ!!

コロコロコロ

美穂子「よいしょ……えいっ!」パシッ ピュッ

初球、二球目と立て続けに高めに抜けた球を投じたボール球。
しかしながら、これは京太郎の撒き餌でもある。
次に置きに来るだろうと泉が察知した中で、やや制球はアバウトながらも今度はストライクからボールになる落ちる球。
外目のボール球を泉は引っ張り、これはやはりボテボテの内野ゴロ。
当然のように美穂子は安全に待って取り、一塁に転送。
焦る必要はないとはいえ前に出れないのだろうかと京太郎は少し不安を抱きつつも、泉はアウトとなる。

美穂子「ふふっ、2アウト2アウト! ね」

京太郎「はい! ナイスです、福路さん」

京太郎「(試合に慣れてないだけだよな……あそこまで待たなくてもいいとおもうけど)」

ともかくとして、これで2アウトである。
2回とは違いどちらも内野ゴロ、今度は打たせて取るピッチングでサクサクと追いつめる。
連続三振もいいが、これはこれで守備でリズムを作れる形でもあった。
そして、迎えるバッターは先頭に返り1番の哩。

哩「(長打ば狙えんけん……後ろに繋ぐ事ば考えればよか。
   球数放らせるだけでも、後々に響いてくるけん)」

京太郎「(さーて、先頭に立ち返った所だ。 ここをしっかり抑えて次の回の攻撃に弾みをつけたいな)」

須賀京太郎の【テンポ○】が発動 球威・変化+20

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆PkIWZ.V0YEY4=参るセンター
>京太郎:変化70+コンマ87=157
>哩:巧打40+コンマ00-読み外し-10=30
>【アウト】 【3アウトチェンジ】

先ほどはヒットを打てた哩であったが、この打席、彼女は京太郎のボールを捉えるのに四苦八苦をしていた。
第一打席では、京太郎が勝手にカウントを悪くし、
半ば自滅的な形で置きに来たボールを簡単にセンターへとはじき返した。
だが、この打席では違う。
2アウトまであっさりとこぎつけ、また、ここまで1安打ピッチングで抑えている事が京太郎の心理を軽くしたのか、
程よくボールは散らばりながらも哩に打たせる事はなく、2-2の平行カウントまでやってくる。

そして、投じられた5球目。

京太郎「……っ!!」ビュッ!!

哩「ぐっ!」ブンッ!!

アァァァァアアイッ!!

京太郎の投じた球は、内角へと突き刺さる渾身のストレート。
ここまで立て続けにストレートで押され、そして追い込まれていた哩は一旦落としてくるだろうと読んでいたが、
霞の強気なリードの結果かこれを読み違え振り遅れる。
結果、哩のバットは空を切り――空振り三振。

京太郎「っし!!」パァンッ!!

哩「…………」

苦々しく空振りをしたフォームのまま動けずにいる哩を後目に、京太郎はやはりグラブを強く叩いて手ごたえを感じつつ、
それでも表面上はポーカーフェイスを貫いてベンチへと駆け足で戻っていくのだった。

睦月「凄いよ須賀くん、1回の先頭から、まだ塁に誰も出してないね」

京太郎「ありがとうございます! でも、まだ3回表終わったとこっすよ?」

睦月「それでもいいテンポだよ。 ここまで四球も出してないしね」

良子「球数も、かなり抑えめでいけてます。 ベリーベリー、グッド。
   次の回もこの調子でお願いします。 2番からの好打順ですからね」

京太郎「はい!」

睦月「……そういえば」

京太郎「?」

睦月「次の回……。 相手は4番の亦野さんまで回るけど……」

………
……


久「あっちゃー。 上手く須賀くんに翻弄されてるわねー。 ……っていうか、翻弄っていうよりはゴリ押されてる感じかしら」

哩「……………」

誠子「大丈夫です。 次の回は2番から……1人でも出てくれれば、私が絶対に返します」

久「まぁ、まだ3回の表が終わっただけだしね」

泉「(やっぱり1点が遠すぎるわ……全然打てる気せぇへんかった)」

慕「中々打てないのはしょうがないよ。 それよりも、次にしっかり守る事だよ泉ちゃん」

哩「次ん相手は9番からばい。 まずは先頭ば切るこつ考えていかんといけんね」

慕「相手の須賀くんも、きっと哩ちゃんの前にランナー貯めない事を考えてただろうからね。
  同じことだよ。 とにかく、相手の上位に回る前に、ランナーを貯めない。
  泉ちゃん、お願いね」

泉「はい!(バットで貢献出来ん分は、私がなんとか抑えるしかないんや……抑えるしか……!
  1点差でいければ、うちの打線なら返してくれる!)」

………
……


恭子「初回以降は中々試合が動かへんなぁ」

エイスリン「ジョチョウギミ!」シャクシャク

恭子「……エイちゃん、何食べてるんや」

エイスリン「ミカンゴオリ!」

【TIPS・みかん氷】
古来からのハマスタ名物。かき氷の上に、みかんを乗せた。ただそれだけ。
しかしながら暑い夏には欠かせないお供である。

試合を観戦していた恭子たちは、ここまで初回以降目立った動きの無い両軍に溜息を吐く。
もっとも、まだ3回の表。
おまけにチームの大半はザコプロ達が占めるという状況だ。
ヒットが生まれにくい、点が入りにくいというのも頷けるだけのベースはある。
シャクシャクとみかん氷を食べているエイスリンを後目に、恭子はマウンドに向かう泉へと視線を向ける。

恭子「でもまぁ、この回がターニングポイントになるやろな」

エイスリン「Why?」

恭子「点が入りにくいのは両軍一緒。 ってことは、や。 1点が重い。 それも両軍わかってる筈や」

エイスリン「fmm……」

恭子「ただでさえ重い1点が、2点、3点差になったらそれだけで致命傷や。
   つまりは、あの千里山の1年がどれだけこの回踏ん張れるかにかかってる」

恭子「1人でもランナー出したら、3番のさっきツーベース打った鶴賀の奴に回ってくるんやからな」

泉「…………」フー

恭子の指摘通り、そして慕に言われた通り、泉もまたこの回がどれだけ試合を動かす中で重要な局面かというものを理解している。
とにかくこの回を3者凡退、無失点で切り抜け、ランナーを出さないまま次の回に望みを繋げる。
それが今の彼女の至上命題である。

泉「(その為にも、この回先頭は絶対出す訳にはいかへんな……)」

ザコプロ「………………」

バッターボックスに立つのは、9番、ラストバッターであるザコプロ。
もしも彼が出塁すれば次に回ってくるのは巧打力もあり、バントという選択肢もある美穂子だ。
当然ながら、出塁はなんとしても阻止しなければならない。
捕手であるザコプロとサイン交換をし、泉は投球動作に入る。

泉「………………」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆PBq/TqhykQ=ひくいずみ
>ザコプロ:巧打20+62-読み外し-20=62
>泉:変化30+コンマ94=124
>【アウト】

短いですが、結果だけ出して本日は一旦ここで区切らせていただきます。
明日には次スレを立てられれば?と思います。
ダイジェストについてですがどうしようかなとも悩んでます。
ちょっとシステムについての見直しとかも必要かもしれないですね。

お疲れ様でした。

>>965-967
乙ありです。

ダイジェストについて考えましたが、当初の予定通り5回以降3点差以上がついた時点でとします。
それまではテンポが悪いかもしれませんが、このままで。

もう少ししたら再開します。

>◆PBq/TqhykQ=ひくいずみ
>ザコプロ:巧打20+62-読み外し-20=62
>泉:変化30+コンマ94=124
>【アウト】

ガキンッ!

哩「……ふっ!」パシッ! ピシュッ!!

ザコプロ「抜けないか、あれが……」

泉の投じた三球目。
読みを外したザコプロは当てただけのバッティングになるが、それは三遊間を破りそうな打球となる。
しかしながら、これをショートの哩があっさりと捕球。
深い位置ながらも強い送球で1塁はアウトとなり、懸命に走っていたザコプロは悪態を吐く。

泉「ナイスです、白水さん!」

哩「こっちん方向ば転がせば取れる球ば全部取ってやるばい。 気合入れていかんね」

泉「はい!」

投じた自身も一瞬抜けたかと思うような当たりを、バックがしっかりと好捕する。
投げるピッチャーを勇気づけるかのようなその守備に、泉はホッと安堵を吐き、
哩はクールに笑みを浮かべながらもビッと指さし、そのまま定位置へと戻る。

泉「(せや、これくらいでホッとはしてられへん……こっから相手は……)」

DJ「1番 背番号7ァ! 福路ぃぃぃ!! 美穂子ぉぉぉお!!!」

ワアアアアアアアアアアアアアッ!!!

今日は投下無しなのか?

泉が次の打者に意識をやった所で、コールされる名前。
そして、怒号のように鳴り響く観客席からの熱い――熱すぎる声援。
ベイスターズの誇る、1番打者。
福路美穂子の打席が回ってくる。

バンバンバン!!

観客「「「栄冠掴むその日まで 恐れず飛び込めベースへ 君の熱き血潮で 燃えろ」」」

バババン

観客「「「美穂子ー!!」」」

観客「「「かっ飛ばせー! みっほっこー!!!」」」

美穂子「…………」ポンポン

相変わらずポンポンとお腹を叩きながら、観客たちの応援歌を背に打席に立つ美穂子。
1アウト、初回に比べれば、泉としてはやりやすい状況ではある。
しかしながら、先ほどは打ち取れたとはいえ彼女の実力も決して低くはない。
消去法的に選ばれ続けたとはいえ、長年ベイスターズの顔として戦い続けたカードを所有する美穂子である。

泉「(油断はせぇへん……ここで切って取って、次の須賀でもアウトを取る。 この回も3者凡退で後に繋ぐんや!)」

美穂子「(二条さん……鬼気迫る表情だけど、決して冷静さは失ってないようね。
     となると慎重にきたいはずだけど……)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆ZVv66bDtHo=低いずみ
>美穂子:巧打60+コンマ53-読み外し-30=83
>泉:変化30+コンマ89=119
>【アウト】

キィンッ!!

美穂子「………………」

泉「ハァ、ハァ……阿呆。 凡退するならさっさとしてくれや」

慎重に攻めようとする泉に、大胆に一発を狙おうとする美穂子。
両者の戦いは、異様に粘る美穂子のペースで進んだ。
内角攻めを一点読みした美穂子は、ほかのコースへのボールは全てカット。
ストライクゾーンに入っているボールも含めてとにかく擦る、当てるだけを狙い、泉に球数を投げさせる事に成功する。
カウントこそ2-2の平行カウントであるが、投じさせた球数は11球。

そして、12球目。

泉「ええ加減……くたばれっ!!」ビュッ!!

ズバンッ!!

美穂子「………………」

アァァァァイッ!!

美穂子「入ってるのね……」フゥ

美穂子が見送ったボールは、審判の基準において僅かにではあるがストライクゾーンを掠めていた。
これは外れているだろうと見送った美穂子はそう独り言をつぶやくが、審判に文句がある訳ではない。
単純に、それに手を出せなかった自身を恥じ入る呟きだ。

ヘルメットを脱ぎ、続いて打席に向かう京太郎に頭を下げる美穂子。

美穂子「ごめんなさいね、須賀くん。 なんとか出塁するつもりだったんだけど……」

京太郎「何言ってんすか。 12球も投げさせればそれだけで十分すぎる仕事ですよ。
    野球は結果だけじゃないです」

美穂子「ありがとう……後はお願いね」

それを励ましながら、京太郎は再び左打席に立つ。
美穂子に対して京太郎が慰めた言葉は、本心である。
無論、出塁をした方がいいのは当然である――が、野球というスポーツは結果が全てではない。
例え凡退したとしても、その内容如何によっては単純にヒットを打つよりも価値あるものというケースが多々ある。

泉「フー……」

溜息を吐き、額に滴る汗をハンカチで拭う泉を打席に立って見守る京太郎。
ハンカチを出した瞬間、レフトスタンドからは黄色い歓声が上がったが気にしない。

京太郎「(そろそろいっぱいいっぱいって感じだな……福路さんが球数を稼いでくれたお蔭だ)」

泉「ハァ……ハァ……」

京太郎「(5回まで持てば上等って所か? でも、どうせならここで決めたい所だ!)」

レフト側守備力合計:20+70+0+25=115
センター側守備力合計:20+70+20+50=160
ライト側守備力合計:40+20+20+25=105

↓1 打者選択肢・コンマ判定(引っ張り・流し打ち・センター返し)
↓2 投手側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

>◆bWF3rlT.qY=泉lowlow
>京太郎:巧打30+コンマ01-読み違い-30=1
>泉:変化30+コンマ25=55
>【アウト】 【3アウトチェンジ】

しかしながら、その仕留めたいという気持ちが必ずしもいい方向に作用するとは限らない。
どれだけスタミナが切れかけていようと、相手は(一応)エース格の投手。
そして、京太郎は決してバッティングが得意という訳でもない。

ガギィンッ!!

京太郎「うあっ……(打たされた!)」

甘く入ったかと思った浮いたフォークは、しかしながら京太郎の予想以上に落ちた。
ボールの上っ面を叩かされ、高いバウンドになりながらもボールはゴロに。

泉「っし! それっ!」パシッ ビュッ!!

ザコプロ「ナイス!」バシッ

これを泉は慌てずにゆっくりと捕球。
そのまま一塁へと転送し、アウト。3アウトチェンジである。

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

レフトスタンド観客席「いいぞ、いいぞ、泉!」「初回さえなければ」「立ち上がりだけが課題だな」

あくまでまだ3回を投げ終えただけである。本当に、ただそれだけである。
しかしながら、やはり、泉には謎の人気があった。
ジャイアンツ側を応援する者たちからはやはり拍手喝采があり、泉はそれを聞いて笑みを浮かべるのだが……。

久「いいわね泉、サクサクっとアウト取れてるじゃない」

佳織「何よりボールがライトに飛んでこないのが安心できます!」

誠子「……妹尾さん。 妹尾さんが守ってるのはライトじゃなくてレフトだよ。 ……って、どうかした? 二条さん?」

泉「あ、あはは……。 いえ、なんでもないですよ」

泉「(アカン……手に痺れが出てきてもうた)」

しかしながら、彼女にも疲弊が溜まり始める。
京太郎が美穂子に言った通り――結果は出なくとも、間違いなく彼女は今、窮地に立たされようとしていた。

………
……


エイスリン「センリヤマフンバッタ! マダワカラナイ!」

恭子「……結構ギリギリそうやけどな」

この回、3者凡退で仕留めた泉を見ながら、観客席にいる2人は語る。
この攻撃が始まる際、恭子が言っていたランナーを出さずに泉が踏ん張れるかどうかという局面。
しっかりと泉は抑えきり、次の攻撃に繋いだ。

恭子「そうなると今度はベイスターズ側や。 あの須賀がこの回を踏ん張れるかになる」

言いながら、バッターボックスに視線を向ければありふれた顔のザコプロくんの姿。
当然、恭子たちのチームにもいる。
しかしながら、彼は2番のザコプロくん。

恭子「ここでアレを仕留めても、後に清澄の悪待ちと白糸台のフィッシャーがおる。
   つまりはここが須賀の鬼門や」

エイスリン「サエニフサイデモラオウ!」カキカキ

『塞がモノクルをキラッとさせてる絵』

恭子「……エイちゃん、いつも思うけどよう一瞬でそんだけの絵描けるな」

エイスリン「ソレガ、ジマン」

恭子「それ他の人の持ちネタやで。 前もお任せあれとか言ってたしあんまりパクるんはやめような」

エイスリン「ウン!」

京太郎「ふーっ……」

そして、マウンドに再び立つのは京太郎である。
先ほどの打席からすぐにマウンドに立たされるのは些か忙しいが、仕方ない。
これもまた野球の醍醐味でもある。

京太郎「(4回表……打者も一巡して、仕切り直しって所だな)」

手の中でボールを弄びながら、そうごちる京太郎。
一巡目は上手く相手を手玉にとれたが、この回は注意が必要だ。
2番からの好打順――ザコプロの後には久、誠子、佳織と相手の主軸打者が軒並み並んでいる。

ザコプロ「(さっきのバント失敗の分をなんとしても取り戻さないと……)」

当然、先頭のザコプロを出す訳にもいかないのだが。
相手のザコプロとしてもそう簡単にはアウトを取られないと強い意識を持っている様子である。

久「………………」ニッ

ネクストにはこちらを、いつもの意地の悪い笑みを浮かべて見つめている久の姿。

京太郎「………………」

霞「(相手の竹井さんを注意してるみたいね。 でも、まずは目の前に集中よ須賀くん)」サッサ

京太郎「…………うす」コクッ

少しばかり注意するような視線を向けて、サインを送る霞に頷く京太郎。
彼女の言うように、まずは目の前のザコプロからだ。

京太郎「(1つ1つのアウトを積み重ねるだけだ。 あと、18個のアウトで俺達の勝ちなんだから!)」

レフト側守備力合計:20+20+20+21=81
センター側守備力合計:30+40+20+42=132
ライト側守備力合計:20+20+20+21=81

↓1 投手選択肢・コンマ判定(内角攻め・外角攻め・低めに集める・くさいところ・敬遠)
↓2 打者側コンマ判定
↓3 打撃結果判定

もうちょっとで1000なので、次スレを立ててきます。
テンプレとかも準備しないとと思うので、ちょっと時間かかります。ごめんなさい。
テンプレは野球のルールと仲間のステータスくらいで大丈夫でしょうか?

いいんじゃないですかね

>>990
ありがとうございます。
スレ立てもはじめてだったので、次スレタテもはじめてなので。とりあえず立ててきます。

【安価】京太郎「冥球島?」睦月「バントをしない2番打者」【咲-Saki-】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491581198/)

次スレを立ててきました。
続きは次スレでやっていこうと思いますので、何か残りは質問や何かがあればで。
特になければ適当に後で埋めたいと思います。

>>1000の願いはありですか?

>>993
叶えられる範囲なら。
好感度をいきなり上げてとか、強いスキルを与えてとか、仲間に出来る選手を増やしてとかはちょっと難しいですが。
仲良くなるイベントを挟んでとか、練習機会を与えてあげてとか、あの人は今的に誰がどんな所にいるか描写してとかなら叶えられます。

京太郎達はこの後に他チームの試合を観戦してくんですか?
その場合、観れるのは同じ球場か近場でやってる試合だけなの?

>>970
更新しない際は、事前に報告。当日でも当日に報告はなるべく入れるようにしたいなと思います。
ただ基本的には毎日更新したいなと思います。ちょっと時間は遅くなったりとかはあるかもしれませんし、短い更新だけの時もあるかもしれませんが。
>>995
いえ、観戦はしない予定です。
というのも、実のところ他のチーム自体まだ未定な所が大きかったりするので。
1回戦で当たる可能性があった選択肢に出した4チームや清澄の他の面子がいるチームはある程度決まってますが、
大まかにこのキャラとこのキャラを合わせてみようとかそういう感じだったりするので。アバウトですみません。
あと、1回戦で観戦をすると、負けてもう試合が出来なくなるチームとかも出てきますので。

独り言。
プロ野球選手と咲キャラを関連付けたら面白そうかなと思って始めたのがこのスレ。
すぐに思い浮かんだのは美穂子、池田、和、ネキ、モモ、衣、エイスリン、淡、クロチャー、穏乃、怜、すばら先輩、哩姫コンビ、メガン、ネリー、爽あたりでした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年05月28日 (日) 18:13:55   ID: oBAGokSo

ハメカスかよ出直してこい

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