ある日の日曜日、さくら家はまる子と友蔵以外の皆は、それぞれの用事で外出していた。
まる子と友蔵は特に用事がなく、家で留守番している。
友蔵は退屈しのぎに、家の屋根裏の中を探索していた。
その際、友蔵は何かを発見した。
友蔵「何故こんなところにドアがあるんじゃ?」
それは、どこの家にもありそうな木製のドアであった。
友蔵「前に屋根裏に入ったのは、30年程前じゃが、こんなものあったかのう?」
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ちびまるのSSかよ
友蔵「とりあえず開けてみるかのう」
キートン「友蔵は自分の部屋の押入れから屋根裏に入り、まる子とお姉ちゃんの部屋の上を通って、現在居間の真上にいる。友蔵が発見したドアはちょうど真下に居間の戸棚がある位置である(さくら家見取り図参照)。
つまり、普通に考えてこのドアの向こうに部屋や廊下が続いているわけがない。馬鹿でも分かることだ」
キートン「だが、友蔵は76のじじいであるため、そのことに気づけないのであった」
ガチャ
ドアを開ける友蔵。
友蔵「何だかわくわくしてきたぞ」
開けたドアの先は…
暗い闇に包まれた長い廊下が、限りなく続いていた。廊下の左右の壁には西洋風の微笑む美女の顔の絵画が無数に飾られており、不気味な雰囲気を漂わせていた。
友蔵「おー、何かゲームのダンジョンみたいじゃのう」」
キートン「馬鹿な、こんなのあり得るはずがない!」
無論キートンのナレーションは友蔵に伝わってはいない。
友蔵「そうじゃまる子を呼ぶか」
友蔵は一旦屋根裏を出て、まる子のいる部屋に行った。
友蔵「まる子や面白いものを見つけたぞ」
まる子「え、何?」
まる子を連れて、再び屋根裏に入る友蔵。
まる子「おじいちゃん、こんなほこりだらけの屋根裏に何があるのさ?」
友蔵「ついてくれば分かるぞ」
そして、あのドアの先の不気味な廊下に戻った。
友蔵「どうじゃ、まさかうちにこんな場所が眠っていたとは驚愕の事実じゃのう!」
まる子「いやいや、うちの土地の広さを考えて何でこんな長い廊下があるのさ!?おかしいよ!」
キートン「流石にまる子でも分かることである」
友蔵「あ、言われてみれば、確かに不自然じゃの」
まる子「しかも、暗いしなんか怖くなってきたよ」
「ただいま~」
その時、下の玄関から誰かが帰宅する声が響いてきた。
まる子「あ、お母さんが帰ってきたみたい。とりあえず戻らない?」
友蔵「お、そうじゃのう」
屋根裏を降りて、玄関で帰宅した母親(すみれ)を出迎えるまる子。
まる子「おかえり、お母さん」
すみれ「ただいま、まるこ」
まる子「お母さん聞いてよ、おじいちゃんが屋根裏で…」
まる子は、友蔵が発見した屋根裏にあった謎の廊下のことをすみれに説明しようとした。
その時のことだった…
フッ
突然まる子の視界が暗闇に覆われた。
まる子「え?」
突然の状況に呆気にとられるまる子。
だが、呆気にとられた時には既に暗闇は消え、視界には見覚えのある場所が映っていた。
それは、いつも勉強したり遊んだり寝たりとしている自分と姉(さき子)の部屋だ。
まる子「え?」
自分はあおむけの体制でいる。そのそばには数冊の漫画やポテチの袋が散乱していた。
まる子「あれ?今帰ってきたお母さんと玄関でちょっと話していたはず…」
まる子「いったいどうなって…」
まる子「あ、そうか夢でも見てただけか、それにしては現実ぽかったけど…ま、いいか」
その時、友蔵が部屋にやって来た。
友蔵「まる子や面白いものを見つけたぞ」
まる子「え!?」
友蔵「どうしたんじゃ?」
まる子「あ、えっと…いや…ううん何でもない。で、面白いものって何?」
友蔵に案内されて 着いた場所は、屋根裏の中にあるドアとドアの向こうの長い廊下であった。
まる子(これって夢にでてきたよね?)
友蔵「どうじゃ、まさかうちにこんな場所が眠っていたとは驚愕の事実じゃのう!」
まる子「え、あ、うん…でも、うちの土地の広さを考えて…何でこんな長い廊下が…あるのかな?お…おかしいよね?」
キートン「流石にまる子でも分かることである」
友蔵「あ、言われてみれば、確かに不自然じゃの」
まる子「」
「ただいま~」
その時、下の玄関から誰かが帰宅する声が響いてきた。
まる子「あ、お母さんが帰ってきたみたい」
友蔵「お、そうじゃのう。とりあえずいったん戻ろう」
まる子(あれ?これって確か、夢ではわたしのセリフだったよね?)
屋根裏を降りて、玄関で帰宅した母親(すみれ)を出迎えるまる子。
まる子「おかえり、お母さん」
すみれ「ただいま、まるこ」
まる子「お母さん聞い…」
まる子は、友蔵が発見した屋根裏にあった謎の廊下のことをすみれに説明しようとした
まる子「はっ!」
が、それを躊躇った。
すみれ「どうしたの?まる子」
まる子「あ、いや、その…何でもない」
まる子はすみれの買い物袋に視線を向ける。
まる子「わー、けっこう買ってきたんだね。重かったでしょ。台所まで運ぶよ」
すみれ「あら、普段やらないのに珍しいわね」
まる子は買い物袋を持ち、台所まで運び始めた。
まる子(確か、ここでお母さんに屋根裏のこと話したら、何かまずいことが起こっていたかもしれない)
夕食のこと。家族6人で食卓を囲んで、テレビを見ながら食事をしている。
トシ『くだらん事言ってないで、さっさとこの壁の白蟻駆除するぞ』
タカ『あらやだ、虫触るの嫌いなのよね~』
トシ『女子か!!仕事だろーが!』
ヒロシ「ハハハハハ!!」
テレビのタカ&トシのコントに爆笑しているヒロシ。
さき子「ちょっとお父さん、ご飯粒飛ばさないでよ」
ヒロシ「あ、スマンスマン」
友蔵「タカトシはどのコントもおもしろいのう」
まる子「……」
まる子(ダメだ…さっきまでのことが気になって、みんなテレビで面白いお笑いやってるのに笑えない…)
数十分後、お笑い番組が終了し…
ヒロシ「いやー、久しぶりに腹痛くなるほど笑ったぜ」
友蔵「特に「安心して下さい履いてません」とかなかなか…」
さき子「「履いてます」でしょおじいちゃん!」
キートン「履いてなかったら捕まっている」
友蔵「あ、そういえば昼間、屋根裏でドアを見つけたんじゃが…」
まる子「!!」
友蔵は家族に屋根裏にあった謎の廊下のことをすみれに説明しようとした
が、友蔵は説明しかけたところで口が止まった。
友蔵「……」
まるこ「…おじいちゃん」
こたけ「どうしたんや、じいさん?」
ヒロシ「何だよ言い出しといて急に沈黙かよ」
すみれ「何か様子がおかしいわね…」
その時…
バタッ
友蔵の体が仰向けに倒れた。
友蔵「」
それは、賑やかで平穏だったさくら家の明るい日常に終止符が打たれた瞬間だった。
さき子「おじいちゃん!噓でしょ!!」
すみれ「早く救急車を!!!!」
ヒロシ「心臓マッサージだ!!!」
ザワザワ
友蔵が倒れたことにより、騒然となるこの居間一帯で、唯一まる子だけは一切言葉を発しず、黙り込んでいた。
まる子「……」
まる子「……」
まる子「……」
まる子「……」
まる子「…!!!」
まる子(もし…あれが夢じゃなかったら…)
医者いわく治療を始めた時には既に死後硬直が起こっており、状倒れた時点で友蔵は死亡していたらしい。それを聞いたさくら家家族はそんな彼の突然の死に受け入れられる者はいなかった。
ただ一人を除いては…
総合病院内。一人用の病室のベットで友蔵の遺体が顔にタオルをかけた状態で寝かせられていた。その周りをヒロシら5人が囲んでいた。
さき子「うっ…おじいちゃん…何で…嘘よね…」ポロポロ
友蔵の遺体に抱きつくさき子。
すみれ「せめて…最後に何かしてあげたかった」ポロポロ
両手で顔を隠しつつ泣き崩れるすみれ。
ドン!!
壁を拳で叩くヒロシ。
ヒロシ「クソっ!嘘つきやがって…80まで生きると言ってたじゃねーか!!」
こたけ「…やっぱり人生は思い通りにいくことはないのね」
こたけ「でも…こんな後味の悪い終わり方はいくら何でも…うっうっうっ」ポロポロ
まる子「……」
まる子「……」
まる子「……」
まる子「……」
まる子「……」
皆が涙を流して友蔵の死の悲しみに浸ってる中、まる子はこの場に来たときからずっと病室の隅っこの椅子に座って下を向きながら一切声を出すこともなく、黙り込んでいた。(明日のジョーのラストシーンの構図に似ている)
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