男「ハーレム?」友「おう」 (9)


「最近のラノベやアニメはそんなんばっかでよー。嫌な訳じゃないけど、そんなんで惚れるかフツー? みたいな感じな訳よ」


「そうか。悪い、私はあまりそちらの趣味に理解が深くない」


「男にそっちは期待してないからいーって」


「ふむ……例えば、どんなものがあるんだ?」


「例えばな……そうだ、男がその主人公だと思って聞いてくれ」


「分かった」

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~妄想~


「ここが、○×高校か……」


「ちょっとあなた! 部外者は立ち入り禁止ですわよ!」


「む、私は部外者ではない。今日からこちらの学校の世話になる者だ。名を男と言う。よろしく頼む」


「え? あ、あぁ……あなたが……私は女ですわ」


「うむ。良い名だ」


「……え?」


「そうだ、私はこちらの学校が初めてで右も左も分からない。よければ案内を頼みたいんだが、時間は大丈夫だろうか?」


「えぇ……大丈夫ですわ」


「ありがたい。それでは、職員室の場所を教えてほしい」

~妄想終了~


「うーむ……」


「お前がやると、まぁそうなるよな……いやそうじゃないんだって。邪険にされまくるんだよ、とにかく。そうだ、その女は男が大嫌いってことにしよう」


「男嫌いか……さぞ、生きにくいだろうな……」


「理由! 理由はあれだ、男はみんなどうしようもなく無能とか考えてるんだよ!」


「なるほど……それは一度じっくりと話し合いたいものだ」


「うーんなんか違うんだよなぁ……。お前がいると正統派にしかならん。ちょっと話進めるぞ」


「まぁとにかく、女は男といがみ合うんだよ。んで、テストの話になるんだ」


「テストか」


「そこで、まぁズタボロに言われる訳だよ。「男なんかが私に勝てる訳ありませんわ!」とかなんとか」


「なるほど」


「で、お前はなんだかんだあって勝っちゃうんだ」


「ふむ……」


「そしたら「好き! あなたが好きなの!」ってなっちゃうんだ」


「……能力の有無で判断されると、どうにも嫌な気持ちになるな」


「だろ? ちょっと妄想してみろよ」

~妄想~


「あなたに勝負を挑みますわ!」


「勝負?」


「ええ。あなたがもし私に勝てたら、あなたの言うことをなんでも聞いてあげましょう! ですが……私が勝てば、あなたはこの学校から出ていってもらいますわ!」


「……それは、悲しい話だ……。私は、そこまで君に嫌われていたのだな……。すまない、汲んでやれなくて……」


「え、いや……」


「なるべく君の目に触れぬように生活をしよう……すまなかった……」


「え、あ……」

~妄想終了~


「まて、引き下がるな、なんだかんだあって勝てよ」


「すまない……私にはこの選択をするしかなかった……」


「説明しただろ! その通りに動いてくれよ!」


「争いは、無益だ……こと個人の争いは特に……」


「悟るな。はー……じゃあ、もういいや、勝ったあとの妄想をしてくれよ」


「事が終わった後だな……分かった」

~妄想~


「こんな……私が負けるなんて……!」


「……男! 男はどこですの!?」


「私はここにいるよ。どうかしたのかな?」


「……~~ッ! さぁ、勝ったのはあなたですわ! なんでも好きなことを命令しなさい!」


「む……すまない、なにも考えていなかったな……」


「なんですって!?」


「……そうだ、女さん。よければ私と仲良くしてはもらえないだろうか。私は、君が嫌いではない」


「……え?」


「少し周りが見えない所もあるが、素直で一直線で、行動的だ。私にはどうにも、君は眩しい。だからこそ、君のような人と友人になりたいんだ。どうだろう、これは命令ではなくお願いで、勿論強制する気はないんだ」


「そうだな……ではこうしよう。私と友人になってくれないか? そして命令権を使う、「この私の申し出に承諾か拒絶で今答えてくれ」」


「…………………………ふふ……。あなたって、本当に……」


「良いですわ。あなたと友達になりましょう。好きですわ、あなたの事が」


「……良かった」

~妄想終了~


「良かった……」


「話は大団円かもしんねーけど、もうそんなこと言われたら惚れるに決まってるじゃねーか」


「む……? よく分からないが、仲良くなれたぞ」


「ふぁー。だからね? 意味不明な状況なのに好感抱かれる状況なんだよ、俺が言ってるのは」


「うーむ……仲良くできたのなら良いと思うんだが……」


「いいこちゃんか。……いいこちゃんか……」

おやすみ

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