タプリス「天真先輩を更生させてみせます」 (25)
ピンポーン!
ガヴリール「ん?誰だよこんな朝早くにまあ眠いし無視しとけばいっか」
タプリス「天真先輩開けてくださいお願いですから開けてください出て来てください」
ガヴリール「なんだタプリスか、仕方ない」
タプリス「開けてくだ・・・あっこんにちわ天真先輩!」
ガヴリール「おはようタプリス」
タプリス「今は朝じゃなくてお昼ですよ天真先輩」
ガヴリール「まじかーまあ寝る前には外明るかったような気がするしそんなもんかな」
タプリス「まだそんな不規則で不健康な生活を送っているのですか?」
ガヴリール「私にとってはこれが規則正しい生活なんだよ」
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タプリス「全然規則正しくありません!今すぐやめてください」
ガヴリール「今更やめらんないってのいい加減諦めて欲しいんだけど」
タプリス「天真先輩があの優しくて完璧だった元の先輩に戻るまで私は諦めませんから」
ガヴリール「あんな窮屈な生き方すんのはもう二度とごめんだよ」
タプリス「本当に変わってしまったんですね・・・天真先輩・・・」
ガヴリール「だからそう言ってんじゃん」
タプリス「いいでしょう今日のところは帰ります」
ガヴリール「いや何しに来たんだよ・・・」
ー後日ー
ピンポーン!ピンポーン!
ガヴリール「誰だようるさいな私は寝不足なんだぞ」
タプリス「うるさいとはなんですか!」
ガヴリール「うわ、なんでタプリスがここに?帰ったんじゃ・・・というかなんで入れてんの?」
タプリス「天界から許可をもらってしばらくここに住むことになりました」
ガヴリール「は?」
タプリス「しばらくですがよろしくお願いします天真先輩」
ガヴリール「いやいやいやいやおかしいって!普通こっちに住む時には一人一つの部屋じゃん」
タプリス「それは私がこちらに一人で滞在するにはまだ早いということで学年主席だった天真先輩に面倒を見てもらえということらしいです」
ガヴリール「そんな話聞いてない!」
タプリス「事後承諾みたいですね、明日くらいに通知書が来るんじゃないでしょうか」
ガヴリール「そもそもなんでこっちに住むんだよ人間界での修行が始まるまでまだだろ」
タプリス「天真先輩を元の先輩に戻すために決まってるじゃないですか!」
ガヴリール「ぇー諦めたんじゃ・・・」
タプリス「ええ、数日程度で先輩を元に戻すことは諦めましたが最初の目的は変わっていません」
タプリス「どんなに時間がかかっても絶対に元の天真先輩に戻ってもらいます」
ガヴリール(うわーめんどくさい)
ガヴリール「無理だってヴィーネにだって出来ないんだから」
タプリス「諦めなければきっと先輩は変わってくれると信じてます!」
ガヴリール「勝手に信じられてもな・・・」
ー学校ー
ガヴリール「ということなんだ匿ってよヴィーネ」
ヴィーネ「駄目よせっかく千咲ちゃんが来てくれたのに可哀想じゃない」
ヴィーネ(でもガヴの家にお泊まりか・・・いいなぁ・・・)
ガヴリール「タプリスがいたらゲームに集中できないんだよ夕方のお菓子も禁止されるし宿題やらされるし」
ヴィーネ「今日珍しく宿題をやって来たと思ったらそういうことだったのね」
ガヴリール「前来た時は大人しかったのにどうしてこうなった・・・」
ヴィーネ「いいじゃないそのまま元のガヴに戻ったら」
ガヴリール「絶対やだヴィーネは今の私が嫌いなの?」
ヴィーネ「そんなわけないじゃない、ただ昔のガヴも懐かしいなって思うだけで」
ガヴリール「ヴィーネそんなこと思ってたのか」
ヴィーネ「いや、思うだけよ思うだけ今のガヴだって十分魅力的よ」
ガヴリール「具体的にどこが?」
ヴィーネ「・・・」
ガヴリール「・・・」
ヴィーネ「ちょっとお手洗いに行って・・・」
ガヴリール「ヴィーネさん?!」
ヴィーネ「とにかく今のガヴも昔のガヴも私は好きよ、はいこの話終了!」
ガヴリール「まったく・・・」
ー次の日ー
ガヴリール「今日バイトだから遅くなる」
タプリス「天真先輩!バイトしてるんですか?どこでですか?行ってもいいですか?」
ガヴリール「駄目だ」
タプリス「なんでですか?まさか人に見せられないようなバイトを・・・」
ガヴリール「普通の喫茶店だよ客が一人くると仕事増えるから来ないでほしいってこと」
タプリス「ぅーちょっとくらいいいじゃないですかー」
ガヴリール「絶対駄目、じゃあ行くから」
タプリス「いってらっしゃい天真先輩、車には気をつけるんですよ」
ガヴリール(保護者かよ)
タプリス(まさか天真先輩がバイトをしてるなんて・・・これは更生に繋がる第一歩になるかもしれません!)
タプリス(これは放課後待ち伏せるしかありませんね)
ー放課後ー
ガヴリール「あーバイトだるいー」
タプリス(天真先輩発見です・・・ん?あれはいつぞやの悪魔!先輩を尾行するなんて許せません)
タプリス(とはいえ私も今は先輩を尾行する身、今は手が出せません)
タプリス(別に前に負けたからというのは関係ありません全然関係ありませんとも)
タプリス(あ!先輩がお店に入って行きました、あそこがバイト先ですか)
タプリス(悪魔も入ろうとしてる・・・?まさか天真先輩の邪魔を・・・」
タプリス「そうはさせません!」
サターニャ「あら?あなたはこの前の天使じゃない、また私に負けに来たのかしら?」
タプリス「天真先輩のバイトは私が守る」
サターニャ「はたしてそれがあなたにできるのかしら?」
タプリス「できるかできないかじゃない、やるんです!」
サターニャ「天使にしてはなかなかいい根性してるじゃない、いいわまた相手をしてあ・・・グフッ」
ガヴリール「店の前でうっせぇ」
タプリス「天真先輩!」
ガヴリール「タプリス・・・来んなって言ったのに」
タプリス「ごめんなさい・・・でもどうしてもバイトをしている天真先輩を見たくて」
ガヴリール「しゃあないな今回だけだぞ」
タプリス「天真先輩!」
サターニャ「ちょっと待ちなさいよガヴリール」
ガヴリール「まだいたのかサターニャ」
サターニャ「いるわよ!客なんだから」
ガヴリール「そもそもなんで私の週一シフトで毎回鉢合わせすんだよ」
サターニャ「この私がガヴリールに命令できるチャンスを逃すわけないじゃない」
ガヴリール「毎回シフト入ってすぐお前が来るのはそういうことだったのか」
「まあまあ天真くん落ち着いてお客様に暴力はいけないよ」
ガヴリール「客じゃなくてサターニャなんで大丈夫です」
サターニャ「大丈夫じゃないわよ!」
ガヴリール「客なら客で早く入れよ他のお客様の迷惑になるだろ」
サターニャ「私はお客様よ!もう少し態度を改めなさいよ」
タプリス「お、おじゃまします」
ガヴリール「全く困った客だ」
サターニャ「やる気のない店員に言われたくないわよ!」
ー家ー
タプリス「それにしても意外に普通に働いてるんですね」
ガヴリール「意外にってどういう意味だよ」
タプリス「別に変な意味はありません、それよりもなんで働こうと思ったか教えてください」
タプリス(今の天真先輩が働くなんてよっぽどの事情があるはず・・・)
ガヴリール「課金のためだけど」
タプリス「課金?なんですかそれ」
ガヴリール「強さを得るために必要なことだ」
タプリス(よく分かりませんね後で調べておきましょう)
ガヴリール「とりあえず晩飯食うか、タプリスどれがいい?」
タプリス「・・・天真先輩これ全部カップ麺じゃないですか、健康に良くないですからやめて下さい」
ガヴリール「美味しいんだから別にいいじゃん」
タプリス「よくありません!私が何か作るのでちょっと待ってて下さい」
タプリス「って冷蔵庫にはお菓子しか入ってないじゃないですか!」
ガヴリール「ソーセージはあるよ?」
タプリス「賞味期限切れてます!もういいです、材料買ってくるのでちょっと待ってて下さい」
ガヴリール「ポテチとかよろしくー」
タプリス「絶対買って来ませんから!」
タプリス(部屋は荒れてるし栄養のないものばかり食べてるしずっとゲームしてて天真先輩を元に戻せるか心配になってきました)
タプリス「はぁ・・・今日の晩御飯は何にしましょうか・・・」
ヴィーネ「あれ千咲ちゃん?」
タプリス「あ、月乃瀬先輩こんばんわです」
ヴィーネ「こんな所で奇遇ね、千咲ちゃんも買い物?ガヴとは一緒じゃないの?」
千咲「天真先輩が来るとお菓子ばかり買いそうなので・・・」
ヴィーネ「た、大変ね」
タプリス「月乃瀬先輩一緒に買い物しませんか?」
ヴィーネ「ええ、いいわよ」
タプリス「月乃瀬先輩に聞きたいんですけど今日の晩御飯は何がいいと思いますか?」
ヴィーネ「わ、私に聞くの?えーとカレーとかでいいんじゃない?」
タプリス「カレーですか・・・先輩のお家にお米が残ってるといいんですが・・・」
ヴィーネ「流石のガヴもお米くらいは買い置きしてるんじゃない?」
タプリス「でも台所には見た感じカップ麺しかなかったですよ」
ヴィーネ「ガヴ・・・」
ヴィーネ「仕方ないわね、私も今日ガヴの家に行こう・・・と思うんだけどいい?」
タプリス「月乃瀬先輩なら大歓迎です、私の家じゃありませんけど」
ピンポーン!
タプリス「天真先輩ー開けてくださーい」
ガヴリール「やっと帰ってきたのか・・・というか鍵あるだろしょうがないな」
ガヴリール「自分で開けろよーってうわ、買い込みすぎだろそれにヴィーネまでいるし」
ヴィーネ「あんたが千咲ちゃんに迷惑かけてると思うとね」
ガヴリール「別に迷惑かけて・・・」
タプリス「それよりも天真先輩そこのいて下さい、お米重たいです」
ガヴリール「無理して買ってこなくてよかったのに」
タプリス「あんな食生活見せられたら無理したくもなります」
ヴィーネ「最近あまり来れなくてごめんねガヴ、今日は美味しいご飯作ってあげるからね」
ガヴリール「別に私はあれで満足してるっての」
タプリス「味じゃなくて栄養を満足にとって下さい、今日から私がみっちり栄養管理しますから」
ガヴリール「ぇーまぁ作ってくれるなら別に文句ないけど」
タプリス「とりあえず荷物を運ぶのを手伝って下さい」
ガヴリール「へいへい」
ヴィーネ「あ!ガヴその袋には卵が入ってるからもっと優しくしないと」
ガヴリール「割れたって食えるって」
ヴィーネ「そういう問題じゃない!」
タプリス「天真先輩・・・」
ガヴリール「あー疲れた一年分の労力使った気がする」
ヴィーネ「それは体力なさすぎよガヴ」
タプリス「そうですよ、明日から体力作りのランニングを一緒にしましょう!」
ガヴリール「絶対やだ」
タプリス「そんなぁ」
ガヴリール「それと腹減りすぎてもう動けないな~あ、こんな所にポテチが・・・」
タプリス「駄目ですって天真先輩!すぐ作るのでちょっと我慢して下さい」
ガヴリール「無理だなもうポテチの気分だし」
タプリス「月乃瀬先輩、天真先輩を抑えてて下さいその間にカレー作っちゃうので」
ヴィーネ「私も手伝うわよ」
タプリス「月乃瀬先輩はお客様なんですからゆっくりしてて下さい、それと天真先輩を見てて下さい」
ガヴリール「私は子供かよ」
ヴィーネ「似たようなものじゃない」
ガヴリール「あぁ口煩い母親が二人になった気分だよ」
ヴィーネ「私がガヴの母親・・・?ふふふふふっ」
ガヴリール「なんで嬉しそうなんだよ」
ヴィーネ「べ、別に嬉しくなんかないんだからっそれと今日は千咲ちゃんと三人で川の字になって寝ましょ」
ガヴリール「なんでだよ、というか泊まる気かよ」
ヴィーネ「め、迷惑だった・・・?」
ガヴリール「いや別にいいけど私ゲームしないといけないから川の字になって寝るのは無理だぞ」
ヴィーネ「一応明日も学校なんだけど・・・」
ガヴリール「起こして学校まで連れていってくれるって信じてる」
ヴィーネ「そんな気はしてた・・・」
タプリス「カレー出来ましたよ、今日のは腕によりをかけて作りました」
ヴィーネ「お皿を出すくらいはするわ、ほらガヴも少しは手伝いなさい」
ガヴリール「いまいそがしー」
ヴィーネ「手伝いなさい」
ガヴリール「・・・はい」
タプリス「天真先輩、いっぱい食べてくださいね」
ガヴリール(山のようによそわれた・・・これを食いきるのはきついな・・・)
ヴィーネ「せっかく千咲ちゃんが作ってくれたんだから残しちゃ駄目よ」
ガヴリール「そ、それくらいわかってる・・・」
ガヴリール(物理的に難しいんだって言いたいけどタプリスの笑顔見てると言い出せないな)
ガヴリール「あ、美味しいなこれ」
タプリス「そうですか、先輩に気に入ってもらえたようで何よりです」
ヴィーネ「あらほんと美味しいわ」
タプリス「ふふん♪」
ガヴリール「な、なんとか・・・食い切れた・・・」
ヴィーネ「ごちそうさまでした」
ガヴリール「よし、腹ごなしのゲームだな」
タプリス「少しはゲーム控えてください天真先輩」
ガヴリール「ヴァルハラ王国の平和を維持するのが私の使命だから無理」
タプリス「へ・・・ヴァルハラ王国・・・ですか?」
ヴィーネ「ただのゲームの話だから間に受けなくていいのよ」
ガヴリール「まぁ二人は将棋でもして遊んでなよ」
ヴィーネ(なんで王の裏に神って手描きで書いてあるのかしら?)
ー朝ー
ヴィーネ「起きなさいガヴ」
ガヴリール「嫌だ後もうちょっとだけでいいから寝させて」
ヴィーネ「やっぱりこうなるのね、ほら学校遅刻するから早くしなさい」
タプリス「月乃瀬先輩の言う通りですよ」
ガヴリール「わかった、わかったからあともうちょっと・・・」
タプリス「全然分かってないじゃないですか!」
ヴィーネ「無理やりにでも起こすわよ」
タプリス「はい!」
ガヴリール「ふわぁ・・・なんか気分悪い・・・たぶん風邪だわ今日休む・・・」
ヴィーネ「それはただの寝不足よ」
タプリス「ほら早く着替えてください、遅れちゃいますよ」
ガヴリール「へいへい」
ヴィーネ「さてと、ガヴ行くわよ」
タプリス「二人とも気をつけていってらっしゃいです」
タプリス「はぁ全く世話の焼ける先輩になってしまいましたね・・・」
タプリス(あれ、天界から通知が来てますね・・・これは・・・)
ーガヴリール家ー
ガヴリール「あれタプリス荷物まとめてどうした?」
タプリス「はい突然ですが天界に帰ることになりました・・・短い間でしたがお世話にになりました」
ガヴリール「ほんとに突然だな・・・えっと、たまになら遊びに来てもいいからな」
タプリス「はい!また来ます天真先輩!」
ー天界ー
タプリス「はぁ結局天真先輩を元に戻すことはできませんでした・・・せっかく特別に滞在許可がもらえたというのに・・・」
タプリス(でも今の先輩をお世話するのは楽しかったですし、頼ってもらえるというのも悪くはありませんでしたね)
タプリス(元の先輩に戻ってもらうのはもう少しお世話してからでも遅くはありませんよね・・・?)
終わり
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