レジスタンス兵士A「クロムクロ?」兵士B「そうだ」 (15)

クロムクロ2プロローグな感じで

クロムクロ最終話で由希奈が地球から出発する少し前の物語

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兵士A「俺は明日には死ぬのだろうな……」。

ここはとある銀河の辺境の惑星の小規模な基地。兵士Aは独り呟いた。

エフィドルグに侵略され、今まさに滅びへの道を歩む星でもある。

この惑星が所属する銀河にエフィドルグが現れ、侵略を開始してからこの星に彼らが来るまでにそう長い時間は掛からなかった。

彼らの戦術は常に変わらない。まず惑星の衛星軌道上に偵察のため彼らの母艦が一隻現れる。その後、母艦からグロングルと呼ばれる大型の起動兵器がその惑星の主要な施設を攻撃しつつ、その星に住む人々の生態や軍事レベルを調査する。

最後に母艦に搭載された枢石とよばれる転送装置を用いてエフィドルグの大艦隊が衛星軌道上にやってくる。そして大艦隊の圧倒的な戦力で瞬く間に制圧されてしまう。

大艦隊が来てしまっては、すべてが手遅れになる。エフィドルグに侵略された星には宇宙軍ある星も多くあった。しかし、それらの星でもエフィドルグを打ち負かすことは遂にできなかった。

兵士Aはエフィドルグの大艦隊が来る前に最後の攻勢をかける作戦を控えたレジスタンスメンバーだった。

「この戦いに勝利すれば、この惑星は救われる。」といったのはこの基地の司令官だ。確かにその通りである。

しかし勝算はほとんどないことはこの基地の誰もが感じていることだった。これが玉砕覚悟の作戦だと、もう後がないと。

エフィドルグに我々が勝利することができないのは、大きな所はその技術力だった。彼らの機体および船には、重力制御装置、慣性制御装置、ナノマシンが標準として組み込まれている。

超巨大質量の兵器を重力制御装置によって動かす。慣性制御装置でこちらの砲弾等を無力化する。ナノマシンによって損傷を与えても、数刻経過すれば再生して元に戻ってしまう。

この銀河においてグロングルを撃破したという話は聞いたことがない。この基地の全戦力を投入する明日の作戦、(全戦力といっても戦艦一隻と数期の艦載機のみであるが、)そんなグロングルが何機もいる彼らの母艦に突撃して無事では居られるはずはない。兵士Aは憂鬱だった。

兵士Aは明日の出撃に備えて最後の装備の点検を終えようとしているところだった。この点検が終わりの夜には宴が予定されていた。宴といえば聞こえがいいが最後の晩餐というやつである。

そんなとき兵士Bが話かけてきた。

兵士B「今日の宴は酒が振舞われるらしいぞ。酒なんてずいぶん飲んでないから嬉しいぜ」

そんな呑気なことを言っている。兵士Aは呆れた。

兵士A「明日死ぬかもしれないってのに」

兵士B「明日死ぬ心配を今日してどうすんだよ、それにクロムクロが来てくれるかもしれないだろ」

兵士A「クロムクロ?」

兵士B「そうだ」

兵士Aは大真面目に言い放つ兵士Bに哀れみを感じた。

クロムクロその噂話は聞いたことがある。隣の銀河の頭に角の生えた人々が住むエフィドルグに侵略された星に突如としてクロムクロを名乗る黒きグロングルが現れ、その星を開放したというおとぎ話だ。この星には惑星間通信の技術はあるが、銀河間通信の技術はない。隣の銀河の情報を入手する手段がない。第一、再生するグロングルを破壊できるはずがない。

「勝利の女神がついているのだから、我々が負けるはずがない」、「正義はこちらにある、最後に勝つのは我々だ」、そんな言葉を出撃のたびに聞いた。

だが実際には違った。女神などいなかったし、正義など戦場では意味がなかった。クロムクロは死と隣り合わせの兵士のすがる哀れな幻想だった。

兵士Bはそんなおとぎ話を信じているのだ。

兵士Aが兵士Bに対して何を言おうか迷っていると放送が入った。

「装備の最終確認を終えたものは、ブリーフィングルームに集合、明日の作戦の最終確認を行う。繰り返す。装備の最終確認を終えたものは、ブリーフィングルームに集合、明日の作戦の最終確認を行う。」

放送が入ったことで会話が途絶えたので兵士Aは

兵士A「先に行く」

と会話を切り上げブリーフィングルームに向かった。

兵士A「クロムクロなどいるはずがない………。」

兵士Aは独り廊下を歩きながら呟いた。

翌日




兵士A「やっぱり女神などいなかったし、正義なんて意味がない………」

兵士Aは歩兵として戦場で敵に包囲されつつあった。つい先ほどまで応答があった兵士Bの声も通信機からは聞こえない。持っている銃の弾薬も残り少ない。

作戦はこうだった。こちらの艦載機で陽動をかけ敵の母艦からグロングルをおびき出す。そしてこちらの戦艦による突撃をかけて敵の母艦に取り付き、白兵戦をかける。外側からの攻撃で壊せないなら内側からという作戦である。グロングルの格納庫を制圧するところまではよかったがそこから先が進めない。敵のグロングルをあわよくば鹵獲してこちらの戦力にする予定であったが、敵のグロングルは動かすどころかコンソールを起動することすらできなかった。

こちらの戦艦は敵の母艦に取り付いた時にすでに航行不能。今しがたこちら艦載機の最後の反応も途絶えた。引くことも進むこともできない。こちらの艦載機がすべて落とされたとあっては、敵のグロングルがこちらにくるのは時間の問題だ。今は4mほどの赤くて細長い手足を備えた無人機だけを相手にしているため、すぐに制圧されることはなかったがグロングルには抗いようがない。瞬く間に蹂躙されるだろう。

見上げると、格納庫の開きっぱなしの発進口から敵のグロングルが戻ってくるのが見える。

兵士A「せめて敵のグロングルをこちらが動かせれば………」

グロングルがどんどん近づいてくる。

兵士A「もうだめだ……」

兵士Aが全てを諦めかけた時、宇宙に穴が開いた。

こちらに近づいていたはずの敵のグロングルが突然動きを止めた。よくみると敵のグロングルを刃が貫いていて、その背後に黒い影が見える。

兵士B「……クロムクロだ!」

兵士Bの声が突然通信機に響きわたった。兵士Bが生きていたことよりに喜びを感じつつ、兵士Aは頭上で行われている光景に目が離せない。黒い影は敵のグロングルから刃を抜き放ち、

他の敵のグロングルに向き直った。そこで兵士Aは初めてその正体を見た。

兵士A「黒いグロングル……クロムクロ……」

兵士Aは思わず言葉が漏れた。

時を同じくしてクロムクロのコックピット内



剣之助「ムエッタ殿。枢石を使った転移の影響は?」

ムエッタ「問題ない。後続のゼル殿もまもなくこちらに合流する。それより敵陣のど真ん中だがどうする?」

剣之助「決まっております。一番槍は侍の誉れ。それと、この場にいる全てのものに我が言葉を」

ムエッタ「了解した。全周波数で広域に呼びかける」

ムエッタが外部との通信可能の状態にし、クロムクロがエフィドルグに襲いかかる。そして剣之助は力の限り叫んだ。

剣之助「我こそは青葉剣之助時貞!!!!!!!!!!無垢なる民を守れ、との誓いにより我がクロムクロと共に助太刀をいたす!!!!!!!!いざ!!!!参る!!!!!!!!。」



終わり

読んで頂きありがとうございました。百点満点で読んだ評価とか、ここが良いとか悪いとかの具体的な感想を頂けると嬉しいです。


クロムクロ良いよね。決戦の黒部ダムとかいう声に出して読みたいサブタイトルもいい。二期があるとしても地球外が舞台になりそうだし、フルメタルパ二ックと同じで戦闘パートと学園パート両方面白かったのに学園パートできなくなるし。二期はないのかな。由希奈が来て、剣之助を取られそうになって焦るムエッタ殿とか、ムエッタ殿と兼之助が由希奈が地球にいる間に男女の仲になっているのではないかと妄想して、不安になってアタフタする由希奈とかそういうの良いよね。次はラブコメを書きたい。しかし剣之助を喋らせると侍口調が難しい。諺とか慣用句とかをうまく取り入れるとそれっぽくなると思うが作者の教養が足りない。あとスパロボ参戦してほしい。

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