ヴィーネ「ガヴにチョコつくるわ」 (30)

ヴィーネ「失敗した」


ヴィーネ(もう何度も作っているけど、納得の味ができない)

ヴィーネ(これじゃ、ガヴは喜んでくれない)

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ヴィーネ(そもそもガヴは私からのチョコを受け取ってくれるのか)

ヴィーネ(食糧に困っているはずだから食べ物は喜ぶはず・・・)

ヴィーネ(そう、喜んでくれるよガヴは)



ガヴ「サンキュ、ヴィーネ。今月課金し過ぎだから助かるわ」



ヴィーネ「うーん、素直に喜べない」

ヴィーネ(でも、私は喜ぶガヴの顔が見たい)

ヴィーネ「つくるのは辞めた」

ヴィーネ「明日、買いにいこう」

―学校―

ガヴ「おいヴィーネ、一緒に帰ろうぜ」

ヴィーネ「ごめん、ガヴ。今日は寄るところがあるの。それじゃあ」

ガヴ「何だよあいつ。急いで出て行って。つれないな」

ガヴ「ちぇっ」

―デパート―

ヴィーネ(バレンタインデー直前だから混んでいるわ)

ヴィーネ(皆、想い人のために真剣だ)

ヴィーネ(私も想い人のために・・・)

ヴィーネ(って違う、違う、ガヴはそんなんじゃない)

ヴィーネ(あくまで普段の感謝の気持ちで)

ヴィーネ(ガヴに感謝?)

ヴィーネ(感謝されるのは私の方じゃない?)


ヴィーネ(このチョコ美味しそう。試食できるから便利ね)

ヴィーネ(うーん、これはガヴには苦すぎるかな)

ヴィーネ(これは美味しいけど、お酒入りだし)

ヴィーネ(! これ美味しい)

ヴィーネ(この甘さはガヴにはちょうどいいかな)

ヴィーネ「あの、これください」

店員「ラッピングはいかがしますか?」

ヴィーネ「あ、お願いします」

ヴィーネ(あ、このチョコ、ハートの形だった・・・)

ヴィーネ(ガヴ、勘違いしないよね・・・?)


ラフィ「あれは、ヴィーネさん?」

ラフィ「ふふふ」

―学校・下駄箱―

ヴィーネ「緊張する・・・」

ヴィーネ(ガヴ、受け取ってくれるかな)

ヴィーネ(受け取ってくれなかったら・・・)

ヴィーネ(いや、大丈夫。頑張るのよヴィーネ)

ヴィーネ(喜んでくれるかな、ガヴ)

―教室―

ヴィーネ(ガヴは・・・、珍しくもう来てる)

ヴィーネ「おはよう、ガ」


ヴィーネ(見てしまった)

ヴィーネ(ガヴの手に綺麗な包装紙で包まれたものを)


ガヴ「おはよう、ヴィーネ」

ガヴ「おい、どうした、固まって」

ガヴ「あっ、これ?何か来たら机の中に入っていて」

ガヴ「おい、ヴィーネ、大丈夫か?」

ヴィーネ「・・・」

ヴィーネ(私は何も言わずに自分の机に戻り、顔を伏せていた)

ヴィーネ(ガヴが誰からかチョコを貰っていた)

ヴィーネ(ガヴを好きな人がいる)

ヴィーネ(ガヴも満更じゃなかった)

ヴィーネ(・・・苦しい)

ヴィーネ(苦しい、苦しいよ)

教師「月乃瀬、大丈夫か?ずっと顔を伏せて・・・」

ヴィーネ「・・・大丈夫です」

教師「そ、そうか。無理するなよ。いつでも保健室行っていいからな」

ヴィーネ「はい、大丈夫です」

ガヴ「・・・」

―昼休み―

ヴィーネ(授業中もずっと伏せていた)


ヴィーネ(私、何で浮かれていたんだろう)

ヴィーネ(私だけじゃなかった、ガヴのことを想っていたのは)


ガヴ「おい、ヴィーネ。食堂行こうぜ」

ヴィーネ(私はガヴの声に顔をあげる)

ヴィーネ「・・・いい」

ガヴ「元気ないな、大丈夫か」

ヴィーネ「大丈夫だから」

ガヴ「そう、無理するなよ」

ヴィーネ「うん」


ヴィーネ(ガヴが去っていく)

ヴィーネ(ガヴが心配するなんて珍しい)

ヴィーネ(そんな私、ひどい顔しているかな)


ヴィーネ(でも、ガヴの気遣いが余計苦しかった)

ヴィーネ(消えてなくなりたい)

―廊下―

ラフィ「うふふ、ヴィーネさん、想像以上にへこでいますね」

ラフィ「私がガヴちゃんの机に入れたチョコがあそこまで効果てきめんとは」


サターニャ「あーラフィエル。何、私の教室の前でニヤニヤしているの、気持ち悪い」

ラフィ「ふふふ、可愛い玩具で遊んでいるのですよ」

サターニャ「玩具?何処にあるのよ、それは」

サターニャ「それより、チョコよこしなさいよ。今日バレンタインなんでしょ」

サターニャ「いきなりガヴリールからチョコ押し付けられて知ったわ」

ラフィ「ふふふ」

サターニャ「師匠の私によこしなさいよ」

ラフィ「ふふ、もう渡しましたよ」

サターニャ「へ?何も貰ってないんだけど」

ラフィ「ガヴちゃんからのチョコは美味しかった?」

サターニャ「何か全然甘くなくて、真っ赤だったけど、美味しかったわよ」

ラフィ「うふふ」

―放課後―

ガヴ「おい、ヴィーネ起きろ」

ヴィーネ「あれ、もう放課後?」

ガヴ「優等生のお前がずっと居眠りなんてどうしたんだよ」

ヴィーネ「何もないよ」


ヴィーネ(無理やり笑顔をつくっていた)

ヴィーネ(もうガヴに心配されたくない)

ガヴ「じゃあ帰ろうぜ」

ヴィーネ「私、寄るところあるから」


ヴィーネ(ガヴが私の腕を掴む)

ガヴ「いいから行くぞ」

―デパート―

ヴィーネ(ここはデパート?)

ヴィーネ(昨日私が買いに来た場所)

ヴィーネ「あのガヴ?どうしてデパートなんかに?」

ガヴ「今日バレンタインデーなんだろ?」

ヴィーネ(胸がズキリと痛む)

ガヴ「だから試食のチョコが食べ放題だと思って」

ヴィーネ「ああ、そういうことね」

ガヴ「今月課金しすぎて厳しいんだよ」

ヴィーネ「本当だらしないんだから」

ヴィーネ(でも、そのだらしなさは私だけのものじゃなくなる)

ヴィーネ(ガヴが試食のチョコをひたすら食している)

ガヴ「これは甘ったるい。甘すぎる」

ヴィーネ(次のチョコに手を伸ばす)

ガヴ「これは苦い・・・」

ガヴ「最近のチョコは両極端だな」

ガヴ「ヴィーネも試食しなよ、もったいないぞ」

ヴィーネ(そして、次のチョコに手を伸ばす)


ヴィーネ(そのチョコは昨日私が買ったものだ)

ヴィーネ(私のカバンに入っているものだ)


ガヴ「あっ、これ美味しいな」

ガヴ「ほらヴィーネも」

ヴィーネ(ガヴが私の口元にチョコを欠片を近づける)

ヴィーネ「うん、美味しい」

ガヴ「だろ?」

ガヴ「おばちゃん、これ一つ頂戴」

ヴィーネ「えっ?」

ヴィーネ(ガヴが私の目の前でチョコを買いだす)

ヴィーネ(そのチョコは)

ヴィーネ(嬉しそうにチョコを買うガヴ)

ヴィーネ(そのチョコは誰に渡すものなの?)

―駅前―

ヴィーネ(その後のことはよく覚えていない)

ヴィーネ(デパートから出た私たちは何も喋らずに歩いていた)



ガヴ「ああ、もう」

ヴィーネ(ガヴが立ち止まる)

ガヴ「はい、これ」

ヴィーネ(ガヴが先ほど買ったチョコを私に差し出す)


ヴィーネ(え?)


ヴィーネ(私に?)


ガヴ「いつもお世話になっているだろ」

ガヴ「それに今日元気なかったし」

ガヴ「私からのバレンタインデーだ」

ヴィーネ(冷え切った私の中から温かいものが溢れてくる)

ヴィーネ(ガヴが私にチョコレート?)


ガヴ「改まって渡すと恥ずかしいだよ」


ヴィーネ(ガヴが私のために)


ガヴ「早く受け取れよ」


ヴィーネ(気づいたら私はガヴを抱きしめていた)

ガヴ「!!」

ヴィーネ(ガヴの小さな体が私の腕の中で動揺している)

ガヴ「おいヴィーネ、急に抱き着くなよ」

ヴィーネ(温かい)

ガヴ「どうしたんだよヴィーネ」

ヴィーネ(嬉しい、嬉しいよガヴ)

ヴィーネ「ありがとう、ありがとうね」

ガヴ「痛い、痛い、そんな強く抱きしめるなよ」

ヴィーネ(そういいながらもガヴは私が離れるまで、暴れずにじっと立っていてくれた)


ガヴ「やっと離してくれた」

ガヴ「ヴィーネがそこまで喜んでくれるとは思わなかったよ」

ヴィーネ「課金しすぎたんじゃないの?」

ガヴ「私だってバイトしているんだから」

ヴィーネ「ありがと、ガヴ」

ガヴ「味は私もお前も食べたんだから保証する」

ヴィーネ「うん、知ってるよ」

ヴィーネ「あのね、ガヴ」

ガヴ「何だ?」

ヴィーネ「朝貰ったチョコは・・・」

ガヴ「ああ、あれ。あれはサターニャの悪戯だ」

ヴィーネ「サターニャの!?」

ガヴ「中を開けたらスパイスたっぷりの真っ赤なチョコが入っていて」

ガヴ「これは怪しいと思ったら紙が出てきて」

ガヴ「これを食べたからには私の配下にくだりなさい、大魔王サタニキアと書かれていたんだ」

ガヴ「そんなもん食えるわけないからサターニャに押し返したら」

ガヴ「あいつすげー喜んで自分のチョコ食べたんだ」

ガヴ「サターニャは本当に馬鹿だ」

ヴィーネ「・・・ハハ」


ヴィーネ(良かった、勘違い)

ヴィーネ(私の勘違いだったんだ)

ガヴ「でもあいつのおかげで今日バレンタインと気づいたんだ」

ガヴ「あの馬鹿に感謝だな」

ヴィーネ(バッグからガヴへのチョコを取り出す)

ヴィーネ「ガヴ、これ」

ガヴ「あれ、この包装紙?」

ヴィーネ「私も同じところで買ったの」

ガヴ「まじか。それなら早くいってくれよ、被らないようにしたのに」

ヴィーネ「いいの、私はこれが嬉しいの」

ガヴ「同じの選ぶなんて気が合うな」

ヴィーネ「そうね、味は保証するわ」

ガヴ「私も選んだからな」

ヴィーネ(ガヴが私のチョコを受け取る)

ガヴ「ありがとうな、ヴィーネ」


ヴィーネ(私は彼女のその笑顔に溶かされるのだ)

ラフィ「ふふふ、ヴィーネさん良かったですね」

ラフィ「あっ、手なんか繋いじゃって」

ラフィ「ガヴちゃん、恥ずかしがっちゃって」


サターニャ「あのー双眼鏡見ながら、鼻血流して、いったい何を見ているの?」

ラフィ「ふふ、至福の時ですよ、サターニャさん」

サターニャ「いい加減寒いから早く帰りたいんですけど・・・」

ラフィ「チョコ代です」

アニメ見て勢いで書いた。
明日も仕事だけど、バレンタインデーで百合っぷるが幸せなら、私は嬉しい。

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