一部ホモネタ有ります。
苦手な方は閲覧注意でお願いします。
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武内Pが死にました。
全ての元凶は私、浜口あやめが起こした事です。
私が親戚の伊賀忍者の末裔のお爺さんから秘伝の毒を手に入れ、
それを用いた事が原因で武内Pは死にました。
武内Pに恨みが有った訳ではありません。
むしろ常務にバラエティ班の活動を白紙にされた時などは、
その後の活動について大いに手助けをして頂きました。
恩が有ると言っても過言では無いでしょう。
そんな私が何故武内Pを毒殺したのか……
先程、恨みが有った訳では無い、と書きましたが、正確には違います。
知らずに私は彼を死ぬほど恨み、妬んでいました。
私が殺そうと思っていたのは、別の人物。
当時誰とも名も姿も知らない、私の思い人、プロデューサー殿の本命の相手…。
そう、私は嫉妬の余りに、武内Pとは知らずに彼に毒を盛ったのです。
事の始まりは私がアイドルになる前のオーディションの時にまで遡ります。
時代劇のオーディションと間違えて参加した田舎者の少女に、
参加者は元より審査員の殆どが嘲笑の笑みを私に向けていました。
私は恥ずかしさの余り顔を真っ赤にして俯いて座っていましたが、そんな中、
審査員の中で一人だけ私を笑わず、真剣な目で見つめてくる人物が居ました。
それがプロデューサー殿でした。
彼は真剣に私の話を聞き私の忍術を見て驚いた顔を浮かべ、その後に初めて穏やかに微笑み、
アイドルになってみないか、と誘ってくれました。
私はその問いに戸惑いながらも、知らずの内にその微笑みに釣られる様に頷いていました。
その後忍ドルとしてデビューした私は、アイドルとしても活躍し始め、念願だった時代劇出演も果たしたのです。
田舎の祖父は涙を流して大喜びしていました。
未だにアイドルとしてデビューした事を幾ら説明しても解ってはくれないのですが……。
ともかく想像とは違う形になりましたが、子供の頃より愛してくれた祖父に何よりの孝行が出来た事は確かです。
私はプロデューサー殿に深く感謝すると共に、彼に対しての想いが段々に強くなっているのを感じていました…。
その後は只管、彼に対するアタックの日々だったのを覚えています。
「アイドルとプロデューサーが交際する訳にはいかないよ」
と軽くかわされ続けましたが、諦める気はありませんでした。
プロデューサー殿を誘惑する為に衣装さんにお願いして、露骨に衣装の露出度を増やしたりもしました。
プロデューサー殿は最初は戸惑っていた様でしたが、露出度の高い衣装で迫るJkの魅力には抗えなかったと見て、
その内、私を見る視線に熱が籠る様になるのを感じる様になっていきました。
そうなればもうこちらのモノです。
プロデューサー殿に好意を見せ、更なるアピールを重ねる日々。
プロデューサーが私の誘惑に負け、二人が身体の関係になるのもそう時間は掛かりませんでした。
しかし、上手くいったのは其処まででした。
幾ら夜を共にしても身体を重ねても、プロデューサー殿の気持ちは一向に私には向いてくれなかったのです。
行為が終わると、ベッドに横たわる私に背を向ける様にして早々にスマホを手にし、誰かに連絡しているようでした。
やがてスマホから返事の帰ってきた音が鳴り、その返信の画面を見る時の嬉しそうな顔と言ったら――
プロデューサー殿は私には一度だって向けてくれた事のない、満面の笑みを浮かべていたのです…。
それでも何時かは私に振り向いてくれるだろう――
そう思った私はプロデューサー殿に誠心誠意尽くしました。
それこそ望まれればどんな恥ずかしい行為だって恰好だって、やり遂げたのです。
しかし、彼の気持ちは一向に私に向かず、名も知らない本命の人物にその想いのほぼ総てを傾けていたようでした。
そして春夏秋冬、一年が過ぎ去る内に、私は漸く理解しました。
私はプロデューサー殿にとって、ただの都合の良い性処理用の道具にしか過ぎない事を――
そして、知らず知らずの内に私の心の中で歪んだ感情が芽生えていきました。
プロデューサー殿の本命に気も狂わんばかりに嫉妬し、ただ只管にその存在を取り除く事しか頭に無い――
私の心はそんな般若の様な有様になっていたのです――
その後、三重の田舎に里帰りした私は、祖父の知り合いの伝手を頼り、
忍者の末裔と言う噂の有るお爺さんから毒を手に入れました。
昔から孫の様に可愛がってくれた方で、私が忍者に傾倒した理由の一つでもあります。
子供の頃に聞かされた忍者の超人的な能力、忍びの技の素晴らしさ、その話の中に、
未だに受け継ぐ家伝の毒の話が有ったのを思い出した私は、密かに毒を譲ってくれる様に頼みに行ったのです。
お爺さんは驚いた顔で私の顔を見詰め黙って座っていましたが、その間も思いつめた顔で座っている私の顔を見て、
全てを察したのか、溜息をつくと黙って毒を手渡してくれました。
お爺さん曰く、
「この秘伝の毒は皮膚に塗っても衣服に塗っても何も変化はないが、口から入ると三日の後、
急激に心の臓を止める劇薬である」
との事でした。
如何にして口に入れるかが問題ですが、相手が死ぬ時に近くに居なくても良いので、犯行はバレにくそうです。
「訳は聞かぬが、上手くやりなされよ……」
悲しそうに私に告げるお爺さんに返す言葉も無く、頭を下げて礼をした私は毒を受け取り早々に東京へ戻りました。
そして、プロデューサー殿との面会時、何時もの様に逢瀬の後にお掃除モゴモゴをした時に、
こっそりとプロデューサー殿の陰茎を拭く振りをして、ティッシュに染み込ませた毒を塗り込んだのです。
泥棒猫が知らずにプロデューサー殿と行為に及んだ際、
毒はひっそりと相手に入り込み、三日の後に相手息の根を止めるでしょう。
これで泥棒猫はこの世から去り、プロデューサー殿は私だけのモノになる。
私はその事を思うと心が昏く浮き立ち、自然と濁った笑みが顔に浮かんできました――
こうして私は、人としても忍びとしても、許される事のない魔道へと堕ちたのです――
数日後、武内Pが死にました。
原因不明の心臓発作で、明らかに私が用いた毒の所為です。
事務所全員で参加した武内Pの葬式で、プロデューサー殿が武内Pの棺に縋りつき、大号泣しているのを見て、
参加しているアイドルの殆どが彼等の友情に貰い泣きしていました。
でも、私だけは知っています。
友情じゃなくて愛情なんですよね……、たまげたなぁ…。
私は思わぬ事の成り行きに呆然としていました。
まさか、プロデューサー殿の本命が女性ではなく、武内Pとは夢にも思いませんでした…。
つか、あの男、武内Pの武内Pに突っ込んだモノを私に咥えさせていたのか。
もうコレは許されざるよ。
一気に私のプロデューサー殿に対する恋心は醒めていきました。
つうか、もうプロデューサーも殺しちゃっていいよね??コレ。
幸い薬はまだ余っています。
次回、あの男を慰める振りして行為に及ぶその際に、私の股間に毒を塗っておきましょう。
知らずに舐めたあの男は、三日の後にはあの世行きです。
あの男は愛した人を失った気持ちも癒えぬ儘、全く原因不明の死を迎えるのです。
散々私の純情を弄び、身体を貪った男には相応しい末路と言えるでしょう。
私はそう思い定めながら、棺の後ろにある花に囲まれた遺影で微笑む武内Pに、
(安心して下さい…、直に貴方の思い人もそちらに送って差し上げますからね……)
と、昏い微笑みを向けつつ、合掌するのでした。
【終】
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