提督「幽霊?」 (28)

提督「ふぁ......ねむ......」

提督「流石にマルマルマルマルを超えると暗いな......」

提督「皆寝てるのか静かだし」

提督「......俺もさっさとトイレに行って寝るかな」

提督「ん?」

ドタドタ......

提督「足音か?なんだか慌ただしいな......」

ドタドタドタ

提督「あれは......電に雷?おーい、どうしたー?」スタスタ

電「わっ、し、司令官さん!」

雷「た、助けてー!」

提督「どうした、そんなに慌てて?」

雷「し、仕方ないでしょ!出たのよ!!」

電「た、大変なのです!!」

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提督「出たって......何が?Gか?」

電「違うのです!!」

提督「じゃあ何が......」

雷「ゆ、ゆ、幽霊が出たのよ!!」

提督「......幽霊?」

電「うぅ......怖かったのです」

提督「あー......幽霊、ねぇ」

雷「れ、霊とか司令官は怖くないの?」

提督「いやまぁ幽霊なんていないだろ」

電「いるのです!すぐそこにいるのです!」

提督「はいはい......」

ガタッ

提督「ん?」

電 ビクッ

雷 ビクッ

提督「落ち着けって......ちょっと見てくるから」

提督(まぁどうせ単なる家鳴りとかだろうし......)

提督「えーと、この辺りからだったよな?」キョロキョロ

提督「......ん、異常なし」

提督「おーい、やっぱり何にもなかっ......た?」

提督「あれ?いない?」

提督「......あー、逃げたか」

提督「こういうところ見てるとやっぱりあいつらまだまだ子供だな......」

提督「......うーん、他の奴らも案外幽霊怖かったりするもんなのかな」

提督「ふぁ......ま、いっか。さっさと寝よ」

提督「ふぁ......またマルマルマルマル回っちまったな......」

提督「ねむ......っと、そういやここ昨日電達が幽霊出たって騒いでたところか」

提督「......うん、やっぱり異常なしっと」

ドタドタドタ

提督「ん?」

川内「あ、提督!」

提督「......川内か」

川内「どうしたの、提督。こんなところで......あっ、もしかして提督もこれから夜戦!?」

提督「するかバカ。寝るとこだよ」

川内「なーんだ。でも勿体ないなぁ。折角の夜なのに寝ちゃうなんて」

提督「それが普通だからな?」

川内「えー?そうかなー?」

提督「ったく、程ほどにしておけよ?」

川内「はーい、分かってるって」

提督「全く......しかしお前は平気そうだな」

川内「え?なにが?」

提督「ん、いや昨日さここで幽霊が出たって騒ぎがあってな」

川内「え」

提督「お前はいつも夜に行動してるしそういうの平気そうだなぁって」

川内「......」

提督「ま、さっきも言ったが程ほどにな。それじゃあ俺は部屋に」ガシッ

川内「......」

提督「......あの」

川内「な、なに?」

提督「服、離してくれない?」

川内「え、あ、いやー、その」

提督「......」

川内「ほ、ほら!やっぱり夜戦って皆で楽しむものでしょ?」

提督「いや知らんけど」

川内「だからほら!一緒に夜戦しよっ?」

提督「......お前、まさか幽霊怖いの?」

川内「そ、そんなわけないじゃん!」ビクッ

提督「......」

川内「......」

提督「......なぁ、せんだ」

川内「あー!やっぱり今日の夜戦はやめにしよっかなー!」

提督「い、いきなりどうした」

川内「ほら!だから部屋に帰ろっ!ねっ!」グイグイ

提督「引っ張るなって......まぁそのつもりだからいいけど」

川内「ならはやく帰ろっ!」

提督「はいはい、じゃあ俺の部屋こっちだから」ガシッ

川内「......」

提督「......だから服を離してくれない?」

川内「い、いやーほら提督!私の部屋こっち」

提督「俺の部屋はこっち、ここでお別れだな」

川内「す、少しくらい付き合ってくれてもいいじゃん!」

提督「いやもう眠いし......なに?一人で帰るの怖いの?」

川内「こ、怖いわけないじゃん!」

提督「ならいいだろ?はい、かいさ」ガッシィ

川内「......」ギリギリ

提督「いでででで!?分かった!分かったから!行くから!」

川内「ほ、ほんと!?」

提督「ああ......ったく、特別だぞ?」

川内「......あ、あと、さ」

提督「ん?どうした?」

川内「......その......れ」

提督「?」

川内「だ、だから......と、トイレ......」

提督「......あー、付いていけばいいか?」

川内「......」コクリ

提督「分かったよ。ただし、子供じゃないんだから今日だけだぞ?」

川内「......う、うん......ごめん」ショボン

提督「......ま、いいけどさ」


ジャー

川内「お、お待たせ」

提督「ん、それじゃあ部屋に行くか?」

川内「......ん......」

提督「ほれ、部屋に着いたぞ」

川内「う、うん」

提督「ふぁ......それじゃ」

川内「あ、ま、待って!」

提督「ん?」

川内「ほ、ほら!折角だしさー、お茶とか......」

提督「はい?」

川内「いいじゃんかさ!ほら、たまにはさ!ゆっ、ゆっくりしていってよ!ねっ!」

提督「......はぁ、分かったよ」

川内「え?」

提督「ここまで来たら今日は1日付き合ってやるさ」

川内「ほ、ほんと!?あ、ありがとう!」パアッ

提督「しかし意外だな。お前が幽霊怖いなんて」

川内「だってよくわからないものなんだよ?そういう提督は怖くないの?」

提督「俺か?まあ子供の時は怖かったが今は平気だな」

川内「へー......」

提督「まぁお前もそのうちなれると思うが」

川内「そういうものなの?」

提督「だな」

川内「ふぅーん......何かコツとかないかな?」

提督「コツ?幽霊になれるためのか?」

川内「そうそうっ!どうかな?」

提督「コツねぇ......うーん、幽霊がいるって思うからダメなんじゃないか?」

川内「え?」

提督「ほら、毎日夜戦していてさ、幽霊見たことあるか?」

川内「それはないけど」

提督「だろ?俺だってこの歳になるまで幽霊なんて見たことない。ならそんなもんいないのと同じだろ?そう思えば......」

川内「......」

提督「......って、こんな考えで幽霊恐怖症が治るなら苦労しないか」ハハッ

川内「......」

提督「ん?川内?どうし」

川内「なるほど!確かにそうだね!」パアッ

提督「へ?」

川内「いやー、そうだよね!言われてみれば確かに見たことないや!」

提督「......」

川内「もう幽霊なんて怖くないぞー!これでバリバリ夜戦ができるよ!ありがとう提督!」

提督「そ、そう......良かったな」

川内「うん!それじゃあ提督!私は夜戦に行ってくるから!」ダッ

提督「......」

提督「......ま、まぁあいつが嬉しそうだしいいか。うん」

提督「......ん?」

『夜戦の時間だー!!!』

提督「は、ははっ......すっかり元気になりやがったな」

『やったー!!!』ドタドタ

提督「......」

提督「......あれ?これ、変に克服しない方が良かったんじゃ」

提督「ま、まぁいいや。とりあえず部屋に......ってもうこんな時間か」

提督「はぁ、どうするかなぁ。戻って寝ても少ししか寝れんし」

提督「......」ンー

提督「......あ、そろそろ遠征組が帰ってくる時間か」

提督「いい機会だし迎えに行ってみるかな」

古鷹「通商破壊作戦完了です。皆、お疲れ様!」

電「お疲れ様なのです!」

雷「お疲れさまっ!」

青葉「いやー、久しぶりの鎮守府ですねー」

暁「ふぅ......」

響「暁、お疲れかい?」

暁「そ、そんなことないわよ!暁はレディなんだからこれくらい!」

古鷹「ふふっ、でも皆今日は早めに寝ようね?」

電「了解なのです!」ビシッ

提督「おっ、戻ってきたか。おーい、お疲れさん」

青葉「あれ?司令官?どうしたんですかこんな時間に」

提督「ん、いやたまたま起きてたからたまには迎えに来ようかと。それで成果は?」

電「大成功なのです!」

雷「しっかり敵後方補給線を遮断してきたわ!」

青葉「写真もありますよー。六駆の皆さんのとか!この写真の電さんなんておすすめですよ!」

提督「お前作戦中に写真なんか撮ってたのか......」

古鷹「あーおーばー!」

青葉「ま、まーまー!ちゃんと作戦はやりましたから!」

提督「......ったく、まあ皆のおかげで通商破壊作戦は成功だ!2日近くの遠征で疲れただろうから皆ちゃんと休んでくれ!」

「「「「「「はーい!!」」」」」」

提督「ふふっ......さて俺もトイレに行って寝るかな」

提督「......ん?」

提督「電に、雷?」

電「な、なんですか?」

雷「どうしたの?」

提督「え、あれ?今、帰って、来たんだよな?」

電「は、はい......そうなのです」

提督「......昨日は海にいたんだよね?」

雷「そうね、そうなるわ!」

提督「......」

電「し、司令官さん?なんだかお顔が真っ青なのです」

雷「だ、大丈夫?何かあったの?」

青葉「いい顔ですねー。一枚いただいときますか」パシャッ

古鷹「ちょ、ちょっと青葉!」

青葉「......あれ?」

響「どうかしたのかい?」

青葉「あ、いえ今とった写真、なんだかぼやけてて......このデジカメ買ったばっかりなのに」

古鷹「本当だ......なんだか不気味ですね。まるで心霊写真みたい」

暁「しっ、心霊しゃ」ビクッ

提督「ひぃいいいいいいいいいいいいい!!?」ダダダッ

電「し、司令官さん!?......は、走って行っちゃったのです」

雷「そんなに怖かったのかしら......?」

響「......暁じゃなくて司令官が怖がるなんて」ボソッ

暁「ちょ、ちょっと響!」

青葉「そうですねー、意外です」

暁「もー!なんなのよ!」プンスカ

川内「やっせんーやっせんー♪」ルンルン

川内「......ん?」

ドタドタドタ......

提督「せ、川内!!ちょうどいいところに!」

川内「あれ、提督?どうしたの?」

提督「い、いやその......ほ、ほら!今日は1日付き合ってやるって言ったじゃん?だからさ!」

川内「あ、そういえば......じゃあ夜戦に一緒に行く!?」

提督「い、いやそうしたいのは山々なんたけど......その前に......あの」

川内「ん?なに?」



提督「......一緒にトイレに付いてきてくれない?」

川内「え」


提督「幽霊?」
おしまい

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