島村卯月「漁夫。いっぱい」 (26)


※キャラ崩壊



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島村卯月「う~……」チラ

モバP「……」

卯月「う~、う~……」チラチラ

速水奏「Pさん、この後の予定だけど」

モバP「おー、雑誌のカバー撮影が一件入ってる。付き添いいる?」

奏「ん、お願いするわ」

モバP「りょーかい」

卯月「うー!!」

奏「……反応してあげたら?」

モバP「あざとい構ってちゃんは、そっと見守っとくのが最適解だと思ってるんだけど、どうだろうか」

奏「面倒を回避する危機管理、という意味では正解ね。けど、プロデューサーとしては否と言わざるを得ないわ」

モバP「……そっか」

卯月「……む~」

モバP「……」

卯月「……」

モバP「……」

卯月「……?」

モバP「……」

奏「……卯月。どうやらこの人、プロデューサーという立場より、面倒を回避する方を選んだみたいよ」

卯月「なっ!?」

モバP「危機管理としては正解って、奏のお墨付きだからね。そりゃそっと見守るよね」

卯月「プロデューサーとしては否っ!プロデューサーとしては否ぁ!!!」バンバン

モバP「あ、こらっ!アイドルが癇癪を起こすなんて許しませんよ!プロデューサーとして見過ごせません!」

卯月「っっ、んっふぅんっ!!……言葉が出なくて変な吐息になっちゃったじゃないですか!!」

モバP「プロデューサーとしては、卯月にお色気路線をやらすつもりは無いからな」

卯月「~~!プロデューサーとしてはもういいですっ!!」

モバP「プロデューサーとしてはもういい……やっぱり見守ることが正解だったか」

卯月「も゛お゛お゛!!プロデューサーさんの方が面倒くさいじゃないですか!!いいから私を気にかけてくださいよぅ!!悩んでいるんですからっ!!」

モバP「なら、最初から素直に言いなさい。黙ってても助けて貰えるなんて甘いですよ!そんな考えじゃ、欲望と幻想が渦巻くこの芸能界を生き抜くことなんて出来ません!お母さん、卯月ちゃんの為を想って言ってるんですからね!分かった?分かったなら反省なさいな」

卯月「あぁ!?」

モバP「やだ……ぶちぎれ……」

奏「……Pさん。流石にふざけ過ぎ」

モバP「ごめんごめん、つい。けど、実際言ってくれないと分からん時もあるからな?あんまり俺の洞察力に期待しちゃ駄目だぞ」

卯月「う~……それでも、女の子は気にかけて欲しいんです。自分からじゃ言いにくいことだってあるんですから」

モバP「りょーかい。気をつけるよ。で、どうしたんだ?」

卯月「どうしたというか……えっと……昨日のドラマ収録の後に……その……」

モバP「後に?」

卯月「……あぅ~」

奏「何か失敗したの?」

卯月「いえ……そうじゃなくて……共演者の方から……」

モバP「方から?」

卯月「お付き合いを申し込まれまして……」

モバP「……」

奏「あら。色のある話ね、Pさん?」

モバP「……うん。卯月、どこの誰だか教えてくれるか?」

卯月「え?あ、あの……」

奏「……怒ってる?」

モバP「あぁ、すまん。相手次第で対策が変わってくるから……っと、その前に一番大事な事を聞かないとな。卯月はどうしたい?その人と男女の関係になりたいか?」

卯月「まさかっ!なんでそんなこと聞くんですか!?プロデューサーさんは私がそんな尻軽だと思ってるんですか!?」

モバP「す、すまん……卯月の気持ちも考慮しなきゃと思って……。そんな怒らんでも……」

奏「男女の関係とか言うからよ。でも、考慮するとか意外ね。アイドルは恋愛禁止じゃないの?」

モバP「基本的にはそういうスタンスだよ。ただ、契約には無い。個人の意思は尊重されてる。だから、お互いが真剣ならうちの事務所は全力でサポートするよ」

奏「へぇ……ふふ」

モバP「……お互いが真剣ならな?それを見極める為の審査が厳重に行われるからな?それもうちの事務所はってことで、相手方が駄目だったらそこで終了だからな?」

奏「なら、同じ事務所同士だったらハードルは下がる訳ね?Pさん?」スス

モバP「下がりません!こ、こら、近いって!」

奏「そんな慌て方は逆に嗜虐心を煽るだけよ?……ねぇ、キスしていい?」

モバP「またそんな事言って。ホントにしようとすると、照れて慌てるタイプなくせに」

奏「ふ~ん?じゃ、試してみましょう。ん」スー

モバP「ちょっ!?ば、ばかっ!なにをマジでっ!!」

奏「……ふふふ。照れて慌てるタイプはPさんじゃない。かわいいわね?」

モバP「ぐっ……。ぬぅ……その余裕……。君、ホントに未成年?年齢偽ってない?」

奏「菜々さんに誓って偽ってないわ」

モバP「疑いが強まってるじゃん」

奏「……ふふ」

モバP「おっと、意味深な笑い」

奏「ううん。違うの。やっぱりPさんと会話するの心地いいなって思って」

モバP「そう?あんまり口が上手い方だとは思わんけど」

奏「そういう事じゃないのよ。わかるでしょ?私が伝えたいこと」

モバP「……さあ?」

奏「はっきり言いましょうか?」

モバP「駄目です」

奏「ふふ、ちゃんと伝わってるじゃない」

モバP「知らんけど」

奏「はいはい。私は真剣だからね?いつかお互いが真剣になれたらいいな?」スー

モバP「とか言いつつ、キスしようとすんな!俺の意思をぶっ飛ばして……!?」


卯月「な゛あ゛あ゛あ゛!!」ダンッ


奏「!」サッ

モバP「ぬあぁ!!あぶねぇ!!!」ガシッ

卯月「ふー!ふー!!」

奏「卯月がぶっ飛んできたわね……」

モバP「こ、こら!素人がフライングボディアタックしたら怪我するだろ!?やる方も受ける方も技術があるからこそ成立するエンターテイメントなんだぞ!?」

奏「……その突っ込みはどうなのかしら」

卯月「私を怒らせた流れで、なんでイチャイチャ駆け引きタイムが始まってるんですか!!尻軽とか言ってしまって若干キャラじゃ無かったな……ってヘコんでもいたのに!そんな私をモブにして!もうっ!もうっ!!」

モバP「ご、ごめん。でも、キャラに関してはフライングボディアタックのほうが……」

卯月「なんですか!?」

モバP「……なんでもないです」

卯月「う~!ふん!ふんっ!ふーん!!」

モバP「取り敢えず降りない?」

卯月「やです!」

モバP「お、おぉ……。どうしよ、これ」

奏「……完全にガードされたわね。残念」



モバP「――――――じゃあ、奏。そういう訳で、今日は卯月に付き添うから、すまん」

奏「ええ。理由が理由だからね。袖にされちゃうのも受け入れるわ」

モバP「……やな言い方すんなよ」

卯月「ぁぅ……ごめんなさい」

奏「ふふ、冗談よ。Pさん、卯月のことしっかり守るのよ?うちのシンデレラを泣かせたら承知しないから」

モバP「任せとけ。と言っても、相手は裏方にも評判のいい真面目な奴だし、真摯に話し合えばわかってくれるだろう。一応、あっちの事務所にも話つけとくしな」

奏「そう。……でも、真面目な人がアイドルに交際を申し込むかしら」

モバP「あらゆるリスクを考えられないほど、卯月への想いが溢れ出たんじゃないかな。けど……あそこの事務所、厄介なタレントが一人いるな」

奏「あぁ、あの軽薄という概念をそのまま人の形にしたようなペラッペラの男ね。あんなのが近くにいたら、多少影響を受けているかも」

モバP「辛辣……。けど、それとなく探っておこうかな」

卯月「あ、あの……あんまり大事には……」

モバP「大事にしない為の事だよ。あ、そうだ。断るのはちゃんと卯月から言ってあげような。俺から言うと、大人の都合で無理矢理引き裂かれたと思って逆に燃え上がるかもしれん」

奏「確かに、その手の話は自意識が過剰になりがちな十代には刺激的かもね。自己陶酔に陥って暴走しかねないもの」

モバP「うん。だから、卯月……出来るか?」

卯月「……はい。でも、傍には居てくれますか?」

モバP「もちろん。相手に圧力を与えん程度の距離は保つけど……姫の御身は、この私めが身命を賭して守りましょうぞ」

奏「Pさん。寒い」

モバP「……奏が言ったんじゃん。しっかり守れって言ったんじゃん。シンデレラを泣かせたら承知しないって言ったんじゃん。ていうか、自意識が過剰になりがちな十代って奏もじゃん」

奏「何か言った?言ったのならその口、私の唇で塞いじゃうわよ?」

モバP「……」

奏「そこで黙られるのも傷付くわね」

モバP「どうしろと」

卯月「……ふふ」

奏「……うん。人を傷つける事はとても勇気がいる事で不安もあるだろうけど、卯月は笑顔がいいわ。彼も自分の事で卯月を落ち込ませたくないでしょう。だから……気負わずに振ってきなさい?それがお互いの為よ」

卯月「そう……ですね。はい!誠実に、でもキッパリと振っちゃいます!!」

奏「変に希望を持たせないように」

卯月「ズバッと言っちゃいますっ!」

奏「よし。ふふ」

卯月「えへへ」

モバP「……じゃあ、そろそろ行くか」

卯月「はい!行きましょう!!」

モバP「奏、色々サンキューな」

奏「いつか見返りがあることを期待してるわ」

モバP「はいよ。埋め合わせはまた」

卯月「それじゃ行ってきます!!……ん!頑張ります!!」



―――――――――

――――――

―――


城ヶ崎美嘉「へ~、昨日そんな事があったんだ」

モバP「うん。今回は相手も真面目な奴だったし、卯月も事前に相談してくれたから事なきを得たよ」

卯月「最初スルーしようとしたのは忘れませんけど、ちゃんと相談して良かったです。私だけだと上手く対処出来なかったと思うから……ありがとうございます、プロデューサーさん!!」

モバP「お、おう。……最初スルーしようとしたのは忘れない?あれネタじゃん?」

卯月「いやです!」

モバP「……いい笑顔で拒否るなぁ」

美嘉「あはは。でも、ホント相談して正解だよ。卯月優しいから、グイグイ押されるとなし崩し的にオッケーしちゃいそうだもん」

卯月「そんな事ないよ!いざとなったら華麗に躱すことくらい出来……ます?」

モバP「聞いてくるんかい。けど、まあ……卯月はこう見えて芯はしっかりしてるから、流されるようなことは無いと思うよ」

美嘉「ま、そうだよね。こう見えてブレない強さはあるよね」

卯月「褒められてるようでほんのり褒められてない気がするんですが。こう見えてって所を詰めていきたいんですが」

美嘉「無垢で可愛くて誰からも愛される、やわらかい空気をまとった可憐な乙女に見えるんだよ」

卯月「え?ぁ……ありがと……えへへ」

美嘉「チョロ!プロデューサー、やっぱアタシこの子心配だわ」

卯月「な!?」

モバP「…………そうだな」

卯月「あ!もうっ!プロデューサーさんまで!!……プロデューサーさん?」

モバP「……フフ」

美嘉「くふふ。卯月はかわゆいの~」

モバP「けど、美嘉の事も心配だけどな」

美嘉「……え?」

モバP「卯月のこと優しいからって言ってたけど、美嘉も負けないくらい優しいよ」

美嘉「な、なに?どうしたの?」

モバP「お姉ちゃんだからか年下の子に甘えられると、困りつつも受け入れて面倒を見てるところとかさ……凄い、愛おしい気持ちになるっていうか」

美嘉「な……な……」

モバP「そんな美嘉だから、惚れて迫ってくる奴だって出てくるだろ?それを考えると優しい美嘉は受け入れてしまうんじゃないかと」

美嘉「な、ないからっ!!」

モバP「あるよ。美嘉は人の痛みが分かってしまう優しくて思いやりのある澄んだ心の子」

美嘉「ぁ……ぅ……」

モバP「そして……」

美嘉「……」ウルウル

モバP「チョロイ」

美嘉「…………は?」

卯月「ですね。明らかに胡散臭いセリフと表情なのに瞳をウルウルさせちゃうなんて……もう一言二言でキスくらいは許しちゃいそうでしたね」

モバP「いや、ホントに。こっちがちょっと焦ったわ」

美嘉「~~!!~~~っ!!!」ウネウネ

卯月「すっごいウネウネしてる」

モバP「……そういえば、今日美嘉の現場にあの軽薄な奴がいるな」

卯月「もしかして、私に告白してくれた方を唆した人ですか?」

モバP「そうそう。ホントに影響与えてたんだもんな……好ましくないタイプの人たらしだよ」チラ

美嘉「あ~~っ!!あ~~~っ!!!も~~~!!!」ゴロゴロ

卯月「転がりだした……」

モバP「……マジで心配になってきた。美嘉、今日の現場俺が付き添うから」

美嘉「いらない!アタシ、チョロくないし!カリスマギャルなめんな!!迫られてもめっちゃいなすしっ!はたくしっ!!うっちゃるしっ!!!」

モバP「うっちゃるってことは土俵際まで追い込まれてんぞ。じゃなくて、本気で心配なんだって」

美嘉「大体、声かけられる前提なのが、なんかいたたまれないし!」

モバP「俺が勝手に心配してるだけだから」

美嘉「う~……でも、大丈夫だし。あーし、カリスマギャルやし……」

モバP「よくわからんキャラになってるぞ。あのな?さっき言った事、別に嘘ではないんだぞ?」

美嘉「……愛おしい気持ちになる?」

モバP「そこを抜粋するのか……。まあ、そうだな。さっきの一連の流れで言ったこと全般だよ」

美嘉「……ホント?」

モバP「うん。その上、美嘉は人並み以上にカワイイんだからそこは自覚してくれ。声かけてくる奴なんて山ほどいるから」

美嘉「か、かわっ……ん゛ん!……わ、わかった。それじゃ、お願いしようかな。ありがと……」

モバP「よし!こちらこそありがとうだな!」

美嘉「ふふ、なにそれ。ただ、言ったからにはちゃんと守ってよね!!頼りにしてるよ!!」

モバP「おっしゃ!任せとけ!」


卯月「美嘉ちゃん、美嘉ちゃん」

美嘉「なに?」

卯月「プロデューサーさん、一連の流れが嘘ではないって言ったんだよ」

美嘉「……?うん。優しくて思いやりのある澄んだ心の子……へへへ」

卯月「そして」

美嘉「……何?」

卯月「チョロイ!」

美嘉「この子はっ!!」



―――――――――

――――――

―――


美嘉「ほぁ~……」

奏「……どうしたの、アレ。スイーツバイキング直後のかな子みたいになってるけど」

卯月「日菜子ちゃん的な雰囲気も醸し出していますね。どうしたんでしょう?傍のうえきちゃんが変な気を放出してるのかな」

美嘉「プロデューサー……むふふ……」

奏「美嘉?恍惚とするのはいいけれど、涎は垂らさないようにね。結構ギリギリよ」

美嘉「……え?うぉっと……あぶなっ。垂れてない垂れてない、セーフ!」

卯月「口を拭った時点でアウトかな?カリスマポイント減点!」

美嘉「くっ……油断した……」

奏「カリスマポイントが無くなるとどうなるのよ……」

美嘉「卯月みたいになるよ」

卯月「そうそう、無個性で普通な女の子に……って、こら!誰がニュートラルの権化だよっ!」

奏「……」

卯月「あ、すべったわ」

美嘉「……はふん」フルフル

卯月「ででーん。美嘉ちゃんアウトー。……やあっ!」バンッ

美嘉「いったー!な、なんで!?」

卯月「ディスボケをノリ突っ込みさせた挙句、火傷させた罪は重いよ」

美嘉「うぅ……ドリザッパを隠し持ってるとは……お尻痛い……」

奏「その、柔らかい棒を隠し持ってる時点で普通の子では無いと思うけれど……。それは置いといて、何をボーとしていたの?恋する乙女の様だったわよ?」

美嘉「あー……うん。あながち間違って無いっていうか……へへへ……」

奏「え?ホントにそうなの?何々、詳しく聞かせてくれる?」

美嘉「お?珍しく奏のテンションが上がってるね。実は昨日色々ありまして……ふふ」

卯月「昨日……」

奏「もったいぶるわねー。そんなにいい事があったの?」

美嘉「いい事ってうか、女冥利に尽きる?……昨日ね、卯月が告白された件からの流れで」

卯月「美嘉ちゃん!ちょっと待って!」

美嘉「うん?どうしたの?」

卯月「突然だけど、宣言しとくね。私、プロデューサーさんが好きなの!応援よろしくお願いします!!」

美嘉・奏「「……」」

卯月「以上です!では、続きをどうぞ!」

美嘉「……卯月」

卯月「……何かな?」

美嘉「仲良しグループにありがちな、先に好きな人を言って他を牽制するやり方、アタシには通用しないから」

卯月「えぇ!?恋愛テクニック本には鉄板の手段だって書いてあったのにっ!!」

奏「そんな本燃やしてしまいなさい。にしても、美嘉もPさんに……ね」

美嘉「うん……。昨日、あのチャラい○○と収録が一緒だったんだよ。それで、あいつから粉かけられないか心配だーって、プロデューサーが付き添ってくれたんだ」

奏「……あー。もう、読めたわ」

卯月「美嘉ちゃんやっぱりチョロイよ!チョロチョロだよ!!このチョロヶ崎さんは、初めて見た動くものを親と思い込むひよこくらいチョロイよ!!!」

美嘉「収録が終わったらさ、マジであいつアタシに声かけてきたんだ。不意をつかれたからアタシもしどろもどろになっちゃって……そしたらプロデューサーが『君はうちの大切な美嘉に何をしようとしてるか分かってる?それ、君だけの責任で終われるものじゃないよ?』って、間に入ってくれてさ。そりゃ、多少大人気ない感じもするけど、アタシの事で感情的になってるんだって思うとキュンってくるじゃん?それにアタシの盾になるような状態だったから、その背中を見てると、あぁ……アタシ守られてる、この人について行けば不安になる様なことはない、ずっと安心していられるとか思って……いや、違う。本能がそう言ってたんだ。そうか……本能と感情が同一性を持つとき、それが愛になるんだ。だからこんなに愛しい想いでいっぱいなんだ。あぁもう、プロデューサー大好きっ」

卯月「な、長いっ!ていうか聞いて!?その想いをすりこみ扱いにしたんだよ!?聞いてよ、みーかーちゃーん!!!」ユサユサ

美嘉「へへへ……プロデューサーの背中大きかったな……」

奏「……完全にトリップしてるわね」

モバP「お疲れー。お前ら何騒いでんだ?外まで聞こえてたぞ」

奏「お帰りなさい。ちょっと仲良く喧嘩してるだけよ」

モバP「どっちがトムでどっちがジェリーなのよ」

奏「強いて言えば、どっちもトム?」

モバP「それガチの喧嘩になるじゃん」


美嘉「あ!プロデューサーおかえりっ!昨日はアリガトね!」

モバP「おぉ。ホント付き添って良かったよ」

美嘉「うん!それで、お礼ちゃんとしてなかったからさ。……ん」チュ

卯月「なぁ!?」

モバP「こ、こら!ほっぺだからってキスはご法度!しかも奏の前でっ!」

美嘉「いいじゃん別に~。お礼なんだし、嬉しいでしょ?」

モバP「そういう事じゃなくて!」

奏「お礼名目なら、キスしてもいいのね。ふふ」

モバP「ほら~!!」

美嘉「まあまあ。アタシのこと守ってくれたように、プロデューサーのことはアタシが守るからさ」ギュ

奏「む……」

モバP「だからって抱き付かんでもいいだろ」

卯月「そうだよ!はーなーれーてー!」グイグイ

美嘉「いーやーだー!」ギュウ

奏「……子供ね」

モバP「ほら、言われてるぞ。変な意地の張り合いすんなって」

美嘉「変って!好きな人と触れ合いたいのは当然のことでしょ!?」

モバP「はあ!?」

美嘉「昨日の事でプロデューサーのこと好きになったの!別にチョロイ女だと思ってもいいよ!でも、気が多い訳じゃないからね!これでも一途だからっ!信じられないなら、ずっと傍で見てればいいよ!」

卯月「なにシレッと独占しようとしてるの!?美嘉ちゃんっ!」

美嘉「だって好きなんだもん!卯月だってそうでしょ!?」

モバP「う、卯月も……?」

卯月「えっ!?……わ、私は別に好きじゃありません!あ、アイドルなんですから、そういうのは卒業してから……です!」

モバP「だ、だよな。ふぅ……」

美嘉「日和った!勝った!!」

卯月「ぁぅぅ……」

奏「卯月は真面目ね。でも、それでいいのかしら?」

卯月「っ……。あ、あのプロデューサーさん!実はまた告白されまして……この際暫く一緒に居てくれたら安心できるというか」

美嘉「あ!嘘吐いた!この子嘘吐いたよ!プロデューサー!!」

卯月「う、嘘じゃないよ?」

美嘉「じゃあ、誰?言ってみて。はい、3・2・1」

卯月「ピ、ピピン板橋さん?」

美嘉「……ホント誰?」

卯月「ピピンさんはピピンさんです!とにかく、美嘉ちゃんはプロデューサーさんからはーなーれーてー!」グイグイ

美嘉「いーやーだー!卯月はプロデューサーのこと好きじゃないんだから関係ないでしょー!」ギュウ

卯月「アイドルとしてのマナーを正そうとしてるのー!」グイグイ

モバP「お前らいい加減に……」


うえきちゃん「ちょっとまったー」


卯月「うえきちゃんが喋っ……目が合ったぁ!!」ダッ

美嘉「わっわっ!動きだし……こっち来たぁ!!」ダッ

うえきちゃん「ほっほっほっ」ピョンピョン

奏「……何してるの。フレちゃん」

宮本フレデリカ「うえきちゃんの中に入れる程度に技術が進歩してねー。試しにうえきちゃんになりきってみた。脱がせて脱がせてー」

奏「はいはい」

フレデリカ「ふぅ……。はい、フレちゃんだよ。ヌルっと出てきたけど、うえきちゃんのホルモンじゃないからねー」

モバP「……暇なの?」

フレデリカ「一連の流れを汲んで出てくる第一声がそれかー。これでもプロデューサーの帰りを待ってたんだよ」

モバP「普通に待っときなさいよ。んで、どしたん?」

フレデリカ「美嘉ちゃんが言い寄られた○○っているでしょ?」

モバP「情報が早いな」

フレデリカ「うえきちゃんでバッチリ盗聴してたからね」

モバP「こらこら。まあいいや、それで?」

フレデリカ「実はフレちゃんもここ最近彼に絡まれてて、難儀してるんだよー」

モバP「マジで?お前でも面倒と思う奴だったか」

フレデリカ「そうそう。だから明日の収録一緒に行って欲しいの。彼もいるからさー……ね、お願い」

モバP「ん、了解。昨日クギは刺しといたけど、フレデリカにまでちょっかいかけられてたと知っちゃ黙っとれんな。任せとけ」

フレデリカ「ふっふー。ありがと。……ん~」

奏「どうしたの?」

フレデリカ「せっかくだから流れに乗るのも悪くないかなーって。なんか二人逃げてあっちにいるし」

奏「……?」

フレデリカ「プロデューサー、プロデューサー。カムカム」

モバP「どした?」

フレデリカ「ん」チュ

モバP「!」

卯月・美嘉「「はぁ!?」」

奏「あらあら……」

フレデリカ「お礼の先払い!じゃ、フレちゃんは帰るねー。オルボワール」


モバP「あいつ口にしやがった……」

美嘉「奏!近くに居たのになんで止めないの!?」

卯月「そうだよぉ!」

奏「無茶言わないで。Pさんを置いて逃げた二人の隙でしょ?」

美嘉「ぐぬぅ……。プロデューサー!アタシさっきほっぺだったからやり直させて!」

卯月「駄目に決まってるでしょ!美嘉ちゃん、二度付け禁止!!」

美嘉「乙女の口づけを串カツみたく言うな!」

卯月「大体、最初に美嘉ちゃんがほっぺにチューなんて慣れないことするから、フレデリカさんにもってかれるんだよ!」

美嘉「あ!自分は日和って出来ないからって、人の所為にしてっ!!」

卯月「ひ、日和ってないもん!アイドルとしての自覚だもん!」

美嘉「そうやってまた真面目なこと言って好感度を上げようとする!」

卯月「そう!積み重ねが大事っ!」

美嘉「認めた!?」



奏「二人共テンションがとっちらかってるわね」

モバP「もう、そっとしこう」


渋谷凛「お疲れ様です」カチャ


モバP「おーお疲れ。って、今日オフだったよな?」

凛「うん。……あの二人どうしたの?なんか騒がしいけど」

モバP「ほっといて大丈夫。ただのじゃれ合いだから。それで、どうした?遊びにでも来たのか?」

凛「ううん。プロデューサーにお願いがあって来たんだ。これから暇だったらでいいんだけど」

モバP「今日はもう特別やらないといけない事はないから、暇といえば暇かな。定時退社出来る喜びよ」

凛「う……、そう言われると気が引けるな。仕事関係だし」

モバP「仕事関係じゃ、逆に聞かん訳にもいかんって。遠慮されるほうが困るよ」

凛「じゃあ……。今度デートスポット特集のレポーターを頼まれてさ、引き受けようかと思うんだけど」

モバP「そう言えばそんな話が上がってきてたな。いいと思うぞ。会議でも反対意見は出んかったし」

凛「うん。それで、本番前に下見に行きたいんだ。やるからにはちゃんとしたいし。だから、それに付き合ってくれると嬉しいんだけど……」

モバP「なるほど。そういう事なら喜んで付き合うよ」

凛「良かった……。友達と行って騒ぎになったら大変だし、かと言って一人で観覧車に乗る勇気は無いし……お父さんもお母さんも忙しいから、実はプロデューサーだけが頼りだったんだ」

モバP「そうか。今日仕事が少なくて良かったよ。にしても、観覧車か……」

奏「……二人で観覧車に乗るの?大丈夫、それ」

モバP「凛は一応変装させるけど、純粋に取材なんだから問題無いだろう。個人的にちょっと照れるのがネックだな」

奏「ふ~ん……それで、凛?観覧車だけなの?」

凛「番組の企画では夕暮れに観覧車に乗って、そのあと完全予約制のお店でディナーだよ」

奏「分かりやすいデートプランね」

モバP「完全予約制ってことは今日そこに行くのは無理か」

凛「ううん。予約は入れてるよ。道玄坂登で」

モバP「予約してんのか……しかも、わりと正解に近い偽名だな」

奏「思い切ったことするわね。Pさんが駄目だったらどうしたの?」

凛「その時は大人組の誰かにプレゼントしようかなって。もう前金払っちゃったし」

モバP「……それ経費で落とすからちゃんと領収書持ってこいよ。っと、もう五時だな。それじゃ行くか」

凛「うん。あ、変装するなら一旦家寄ってもらえるかな」

モバP「はいよ。それじゃ奏、また明日な」

奏「ええ、お疲れ様」


卯月「んも~美嘉ちゃん、ちょっとハイになり過ぎだよ!プロデューサーさんも何か言って……あれ?プロデューサーさん?」

美嘉「いない……トイレ?」

奏「Pさんなら凛とデートに行ったわよ」

卯月・美嘉「「……は?」」

奏「二人がコントしてる間に、凛がスッ……ってもっていったわ」

卯月・美嘉「「……はぁ!?」」

奏「観覧車に乗って夕暮れに黄昏たあとディナーに行くって。シンプルだけど楽しそうよね」

卯月「な、なんで止めなかったんですか!?」

美嘉「奏はそれでいいの!?フレちゃんに続いて凛にもしてやられて、それでいいの!?」

卯月「そうですよ!悔しくはないんですか!?」

奏「あなた達の都合を私に置き換えて言われても……。いや、そうね……フフ。確かにPさんには一言言っておきたいわ」スッ

美嘉「よし!アタシは凛に電話する!」スッ

卯月「美嘉ちゃん、スピーカーにして!凛ちゃんにアイドルの心得を説かないとっ!」

美嘉「オッケー!」



モバP「ん?奏から?……もしもし?どした」

凛「私も電話だ……美嘉?あ、充電もうきれそうだったんだ。ま、いっか……もしもし?」


美嘉「ヘーイ!!」

凛『な、なに?どうしたの?ヘレンさんごっこ?』

卯月「凛ちゃん!アイドルが男の人とデートなんてしていいと思ってるの!?二秒で答えてっ!!」

凛『は?卯月?どうしたの?……ホントに卯月?』

美嘉「今の卯月は凛の裏切りでキマッてるの!!脳内麻薬でガンギマリっ!!」

凛『う、裏切り?ごめん二人が訳わかんなさ過ぎて恐怖を覚えるんだけど』

卯月「プロデューサーさんとデートすることを裏切りと言わないでなんと言うの!?凛ちゃん!!」

凛『デートって……なんでそれが裏切りになるか分かんないけど、今から行くのは仕事…………付きあ……だ―――――― 』

美嘉「もしもし!?もしもし!?凛!?凛っ!!りーーんっ!!!」

卯月「きれ……た……」ドッ

奏「ってことで、よろしくね?……うん、こっち?騒がしいのはいつも通……なんか卯月が膝から崩れ落ちてるわ」

卯月「~~~っ!!」ゴロゴロ

奏「そして膝を抱えて転がりだしたわ。お皿強打して痛かったみたいね」

美嘉「う、卯月?大丈夫?」

奏「あら、美嘉が卯月を見て冷静に……え?……うん、ちょっと待ってて。……卯月、美嘉?凛から伝言よ。電池切れたごめん。あと二人共怖い。だって」

美嘉「こ、こわ……?そんなに変になってたかな……」

卯月「ぅぅ……痛いですよ~プロデューサーさ~ん……」

奏「……もしもしPさん?二人はダウナーになったから心配しないで?」

卯月・美嘉「「どういう事!?」」

奏「あ、もう車乗っちゃうの?分かったわ。じゃあ最後に改めて……埋め合わせの件忘れないでね?今日行くお店で私ともディナーよ?もちろん二人きりで。……ん、よろしい。ふふ、じゃあ気をつけてね」

美嘉「え?……今」

卯月「なんて?」

奏「卯月の件で貸しがあったから、一言言っておいたの。私ともディナーしてねって」

美嘉「う、卯月!?」

卯月「っ!あれは……とにかく、プロデューサーさんに電話をっ」

奏「あ、Pさん運転中だから電話したら駄目よ」

卯月「うぐぅ……」

美嘉「それなら、また後で……!」

奏「いいけど、もう約束したのよ?美嘉はPさんを不誠実な男にしたいの?」

美嘉「な!?い、言い方がズルい!!」

奏「ふふ。二人が煽ってくれたおかげで、スムーズにPさんを誘えたわ?ありがとう」

卯月「美嘉ちゃんがけしかけるからっ!」

美嘉「卯月だってノッてきたじゃない!」

卯月・美嘉「「もー!!」」

奏「……まあ、アレね。二人共」

卯月・美嘉「「何!?」」

奏「チョロイわ」

卯月・美嘉「「あ!」」

奏「いつまでも扱いやすい二人でいてね?じゃ……お疲れ様っ!!」ダッ

卯月・美嘉「「こ、こらぁ!!」」ダッ

奏「キャー!暴力はんたーい!!」ガチャ

卯月・美嘉「「笑いながら逃げるなー!!」バタン








                                         ハッピーエンド

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