モバP「もう限界なんです」 (59)

ー事務所ー

モバP「ちひろさん」

ちひろ「はい?」

モバP「ちょっとお話が」

ちひろ「なんですか、また乃々ちゃんに逃げちゃいました?」

モバP「いや、あいつは見当たりませんがそれとは別のことで相談が」

ちひろ「?」

モバP「実は、あいつらのマネジメントをやめたいんです」

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ちひろ「え、どういうことですか?」

モバP「だから、俺もう彼女たちをを車で送迎したりスケジュールの管理をしたくないんです」

ー事務所の廊下ー

乃々「…隠れて聞いてたら、た、大変なことになってるんですけど……」

乃々「とりあえず大人組に相談しなきゃ…確か近くのスタジオに……」


ー事務所ー

ちひろ「辞めちゃうんですか?」

モバP「……」

ちひろ「こ、困りますよプロデューサーさんがいなくなっちゃったら」

ちひろ「小さい子たちを送る人もいなくなっちゃうし…」

モバP「そこですよ!!」

ちひろ「!?」


モバP「そもそもなんで俺がアイドルの送迎をやってるんですか!?俺は企画を考えるためにこの職に就いたのに!」

ちひろ「それは、うちが小規模な事務所だからプロデューサーさんにマネジメントもお願いするしかなくて……」

モバP「200人近く所属タレントがいるこの事務所のどこが小規模じゃい!!」

モバP「確かに最初の頃は?3人くらいしかいなかったし?あまり仕事もなかったから?なんとか仕事こなせましたけど?」

モバP「正直受け持つアイドル10人超えたあたりからキャパオーバーだったんですよ!」


モバP「杏とか乃々とか手のかかる子も入ってくるし!」

モバP「大人組には毎晩飲み会に連れていかれますし!」

モバP「イヴとかライラはビザ切れてるし!」

モバP「なんか仕事の書類に婚姻届紛れてて危うく記入しそうになるし!」

モバP「あいつらどんどん売れて忙しくなるし!」

モバP「とにかくもう限界なんです……!」

ちひろ「ひええ」


モバP「マネージャー、いや、人員を補充して下さい…」

モバP「もう、もうホントに無理なんです……」

ちひろ「はあ……」

ちひろ(思ったより大変だったみたいですね……)

ちひろ「分かりました、部長には私から話しておきます」

ちひろ(絶対人員なんて増えないでしょうけど)


モバP「本当ですね?」

ちひろ(だってうちの事務所、プロデューサーさんのためにアイドルやってる子ばっかですし)

ちひろ「ホントデスヨー」

モバP「お願いしますよ?」

ちひろ「は~い」

ちひろ(まあスタドリちょっと濃くすればいいか)



ースタジオー

乃々「……というわけなんです」

早苗「なるほど、それは深刻ね…」

楓「マネジメントさせられるのが大変だから辞めたい、と……」

美優「…とりあえず事務所のラインにプロデューサーさんに迷惑かけないようにって送っておきますか?」

瑞樹「いえ、それだけじゃ足りないわ。モバPさんの負担をできるだけ減らさなきゃ」

あい「ふむ、免許を持っている人は積極的に年少組を送り届ける、とかかな」



留美「なら中学生以上は自分で現場に向かわせましょう」

乃々「……高校生以上の方がいいと思います」

留美「え?」

乃々「あ、あの、くるみちゃんとか、ほたるちゃんとかが……」

早苗「……そうね、不安な子も何人かいるし、一人で現場に行かせるのは高校生からにしましょう」

乃々(……よし)

楓「……」ジー

乃々「ひっ……!」

乃々(ね、狙いがバレてるんですけど……!)


文香「…あと、飲み会に誘うのも控えたほうがいいと思います……」

楓「!!」

文香「プロデューサーさん…いつも二日酔いで寝起きも辛そうでした……」

早苗「うぐっ」

文香「それに…辛い日に限って書類に婚姻届が紛れてて油断できないと……」

留美「……」

瑞樹「…仕方ないわね、なるべく控えましょう」

美優「では、その旨皆さんに送っておきます」


美優『プロデューサーさんが仕事が大変だから辞めたいとちひろさんに相談したみたいです』既読188

美優『皆さんには、自分でできることはなるべく自分でやってほしいと思います。そうやってプロデューサーさんへの負担を減らさないと、いつか本当に辞めてしまいます』既読188

美優『よろしくお願いします』既読188

???「うふ…プロデューサーさんがプロデューサーをやめれば一般人……結婚をしても何も問題は……」
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乃々「それから事務所は一変しました」

ーーーーーーーーーーーーー


ー事務所ー

モバP「ありす!送るぞ」

ありす「結構です、レナさんに送ってもらうので」

モバP「…そ、そうか」

モバP「……」

モバP「あ!くるみ、鼻水出ちゃってるぞ、拭いてあげるからこっち来なさい」

くるみ「ふぇぇん…じ、自分で拭きましゅ…」

モバP「…お、おう」

モバP「……!」

モバP「おーい奈緒、今日初めての現場だろ?一緒に挨拶行こうか」

奈緒「い、いいって!一人で出来るから!」

モバP「……了解」


早苗「いや本当にあそこの店お酒の種類多いの!」

瑞樹「いいわね、今日行きましょうか」

楓「ふふ、楽しみです」

モバP「!!」

モバP「皆さん、今日飲みに行くんですか?」

早苗「!」

早苗「え、えーと、あはは」

瑞樹「……」

美優「…今日は行かないです」

モバP「え?……わかりました」

モバP「……」

モバP「……はあ」ヴーッヴーッ



モバP「……あ、トレーナーさんから電話」

モバP「もしもし、どうしました?」

モバP「えっ、乃々がレッスンに来ていない?」

モバP「すみません、すぐ見つけて連れて行きます」

モバP(まったくあいつは……!)

モバP「行ってきまーす!」ガチャ


早苗「……なんか悪いことしちゃったわね」

美優「でもこうでもしないと…」

留美「それにしてもなんで乃々ちゃんを探しに行くのにあんなに元気だったのかしら?」

瑞樹「分からないわ…」

ー車内ー

モバP「まったく乃々は!どうして逃げようとするんだ!」

乃々「うう…こんなにすぐ捕まるとは思わなかったんですけど……」


モバP「乃々は俺がいないとダメだな!マジで!」

乃々「……怒ってるはずなのになんで笑顔なんですか…理解できないんですけど…」

モバP「……もっと逃げ回っていいからな?」

乃々「え……」

モバP(何故だか事務所のみんなが俺を避けるようになった今)

モバP(乃々だけでも俺に今まで通り接してほしいなんて、わがままなのかな)

乃々(い、意味不明なんですけど…!)

ーーーーーーーーーーーーー

乃々「もりくぼは変わりませんでした……。いきなり性格変えるなんてむーりぃ…」

乃々「でも、こんな雰囲気がしばらく続いたある日、またもりくぼは聞いてしまいました」

ーーーーーーーーーーーーー


ー事務所ー

モバP「ちひろさん」

ちひろ「はい?」

モバP「ちょっとお話が」

ちひろ「なんですか、また乃々ちゃんに逃げちゃいました?」

モバP「いや、あいつは見当たりませんがそれとは別のことで相談が」

ちひろ「?」

モバP「実は、プロデューサーをやめたいんです」

ちひろ「え、なんでですか?」

モバP「俺にはもう彼女たちを輝かせる自信がないんです」


ー事務所の廊下ー

乃々「…隠れて聞いてたら、た、大変なことになってるんですけど……」

乃々「とりあえず大人組に相談しなきゃ…確か下の自販機コーナーに……」

ー事務所ー

ちひろ「辞めたいんですか?」

モバP「……」

ちひろ「こ、困りますよプロデューサーさんがいなくなっちゃったら」


ちひろ「ライブや番組を企画する人がいなくなっちゃいます」

モバP「そこです…」

ちひろ「え?」

モバP「アイドルに嫌われてる俺が彼女たちの魅力を伝える企画やライブが作れるのかって…」

ちひろ「いや、嫌われてるわけないでしょ……」

モバP「200人近くいる所属タレントがほぼ全員よそよそしくなったんですよ?」


モバP「最初からいた凛も卯月も未央とも今は距離を感じますし…」

モバP「訂正すら嫌になったのか、ありすを名前で呼んでも注意してこなくなったり……」

モバP「杏も真面目に働くようになったし……」

モバP「大人組は俺に内緒で毎晩飲んでるし……」

モバP「起きたら文香がじっとこっちを見てるし……」

モバP「イヴもライラもなぜか国籍こっちに移したし…」

モバP「なんか仕事の書類に猫の写真挟まってるし……」

モバP「あいつら、俺に対してよそよそしくなった頃からどんどん売れて行ってるし…」

モバP「もう俺なんていらないんじゃないかな、なんて思って」

ちひろ「ひええ」


モバP「新しいプロデューサーなりマネージャーなりを手配して下さい…」

モバP「もう、もうホントにキツいんです……」

ちひろ「はあ……」

ちひろ(思ったより大変だったみたいですね……)

ちひろ「分かりました、アイドルには私から話しておきます」

モバP「いや、アイドルに何か言ったところで何も変わらないでしょ」

ちひろ「まあ、ちょっと待ってて下さいよ」

早苗「モバPくん!まだいる!?」バーン


モバP「え、早苗さん、それに大人組のみなさんも……」

早苗「辞めちゃうってどういうこと!?」

モバP「聞かれてましたか」

美優「そんなのダメです、せっかくモバPさんと一緒に輝けるはずだったのに…!」

モバP「一緒に……」

瑞樹「あなたが私をここまで引き上げてくれたのよ」

留美「責任取ってくれるんじゃなかったの?」

モバP「責任……責任?あ、責任……」

???「ちょっと待って下さい」


楓「あ、まゆちゃん」

まゆ「モバPさんはもう限界なんですよ?」

まゆ「頼んでいた人員補充もされてないですし」ジロッ

ちひろ「ちひっ」

まゆ「このままじゃモバPさんが潰れてしまいます。だから辞めるべきなんです」

モバP「……ん?」

まゆ「辞めて家庭に入るべきなんです」

モバP「んん?」

まゆ「専業主夫はもう珍しいことじゃないですよ」

モバP「ちょっと待って」

まゆ「子供はいらないです。二人っきりでずっといられたら…」

モバP「まゆ、俺は仕事が辛いから辞めたいんじゃないぞ」

まゆ「え」

モバP「みんなが構ってくれないから辞めるんだぞ」

まゆ「え」



まゆ「それは…どうなんでしょう」

モバP「だってみんな俺を避けるし…そこの大人組だって」

早苗「……私たち、遠慮して誘わなかっただけで飲み会の話題はいつもモバPくんのことだったわよ」

モバP「えっ」

美優「他の子たちもモバPさんに負担をかけないようにできることは自分でやるようになりました」

モバP「そんなことが…」

モバP「じゃあ俺は嫌われてるわけじゃないんですね?」

まゆ「まゆ、まゆはずっとモバPさんのことが…」留美「それは無いわ」

留美「みんなあなたを信頼しているわ」

まゆ(ちっ)

モバP「……よ、よかったです…」

森久保「……」

モバP「…あ!森久保!!お前レッスンサボってるだろ!」

森久保「……えっ」

モバP「もう本当にお前は!!すいません!こいつレッスン連れて行きます!」

森久保「ううあうあうううう」



早苗「……あの二人はずっと変わらないわね」

楓「なんかずるいです」

ちひろ「…では失礼して」

ちひろ『モバPさんが寂しがってます!寂しすぎてプロデューサー辞めるなんて言ってます!』既読188

ちひろ『皆さん、どんどんモバPさんに頼っちゃいましょう!』既読188

美嘉『えっ!?!Σ('???’)ホントに!?』

みりあ『またたくさんお医者さんごっこするー!!』

らいら『たよっても だいじょぶですか』

ほたる『こ、これ、モバPさんが気になるってチェック付けてた映画のリストです、皆さんぜひ参考にして下さい』画像の送信に失敗しました

ブリッツェン『ぶもーー!!ぶもーー!!』

モバP「……みんなから恐ろしい量の連絡が入っている」

モバP「これはしばらく休めそうにないな!!!!」

乃々「嬉しそうなんですけど……」

モバP「よーし、こいつらのためにも頑張るぞ!!」

乃々「ま、巻き込まないでほしいんですけど~~~~」

ー事務所ー

ちひろ「やれやれ、プロデューサーさんのわがままっぷりには困っちゃいますね」

???「マネージャー雇わないんですかぁ?」

ちひろ「!!???」

???「うふ」

終わり

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