ジョゼ「定ちゃーんおなかすいたあ」【ブレイブウィッチーズ】 (49)


下原「いきなり何、ジョぜ?」

ジョゼ「あのね…」

ひかり「下原さん、ごめんなさい」

下原「?どうして雁淵さんが謝るの」

ジョゼ「ひかりさんが走り込みしてたら転んじゃったみたいで」

ひかり「ジョゼさんに治癒してもらったんです」

下原「ああ…それで」

ジョゼ「うん、それでね…何か作ってくれないかなって」

下原「ええ、いいわよ」

ジョゼ「やったー!」

ひかり「あの…私もちょっとお腹が…」

下原「ふふ、もちろん雁淵さんの分も作りますよっ」

ひかり「えへへ、ありがとうございます!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485541466


ジョゼ「ねえ、手伝ってもいいかな」

下原「えー大丈夫よ、座って待ってて」

ジョゼ「いつも作ってもらうだけじゃ悪いから…それにね、ちょっとでも空腹が紛らわせられるかなって//」

ひかり「そうですよ、それに私もたまにはお手伝いしたいです」

下原「そう?じゃあお願いしようかな」


ジョゼ「ひかりさんはあんまりお料理しないんだっけ?」

ひかり「お母さんと一緒に料理してましたよ」

下原「へえ、どういうの」

ひかり「おにぎり握ったりお弁当におかず詰めたりです!」

ジョゼ「お、お料理…?」

下原「じゃあ今日はレパートリー広げられるように頑張って作りましょうね」

ひかり「はい!」


ひかり「早速ですけど何を作りますか?」

下原「うーんそうね」

ジョゼ「…あっそういえば今日産み立ての卵があるって給仕班の人が言ってたよ」

下原「本当に!…卵……卵…そうだ、オムライスなんてどう?」

ひかり「オムライス!?私洋食あんまり食べたことないから食べてみたいです」

ジョゼ「洋食?」

ひかり「扶桑から見た欧州の料理のことです」

下原「でもレシピ通りに食材を揃えられないから扶桑風にアレンジされたものも洋食って言うわね」

ジョゼ「そうなんだ、私定ちゃんの作る洋食好きだよ」

下原「もぉージョゼは何でも美味しくて好きって言うんだから」

ジョゼ「えーそうかなー」

ひかり「オムライス!オムライス!」


下原「ではこれからオムライスを作りたいと思います」

ひかりジョゼ「「はい、下原先生」」

下原「先生!?」

ひかり「なんとなくそういう空気かなって」

ジョゼ「ねー」

下原「なんだか恥ずかしいです//……こほん、気を取り直して最初はデミグラスソースから」

ひかりジョゼ「「はーい」」

下原「じゃあ雁淵さんは玉ねぎとキノコを、ジョぜは鶏肉を切ってもらえる?」

ひかり「分かりましたー」

ジョゼ「うん、分かったよ」


ジョゼ「まずは皮を剥がしてーそれから筋に沿って切り離してーっと」

ジョゼ「ひかりさんは…」チラッ

ひかり「まずは玉ねぎの皮を剥がしてー」

ひかり「雁淵ひかり、行きます」プルプル

ジョゼ「!?」

下原「待って雁淵さん、包丁を両手で持つのはダメよ!」

ひかり「え、学校で照準がブレるから両手でしっかり持てって」

下原「それは銃の扱い方では…」

ひかり「厨房は戦場って言いますよね?」

下原「確かに言いますけど…」

ジョゼ「もしかしてひかりさん天然なのかな…?」


下原「えっとね、両手で使う包丁もあるんだけど普通は食材を片方の手で押さえてもう片方の手で包丁を持つの」

ひかり「ごめんなさい…」

下原「ううんいいの、教えなかった私の方こそごめんなさい」

ジョゼ「最初はみんなそうだから気にしなくても大丈夫よっ」

ひかり「そうなんですか?」

下原「ええ、少しずつ覚えていこうね」

ジョゼ「頑張ろうね!」

ひかり「うぅ、最初からつまづいちゃいました」

ジョゼ「定ちゃん、私はみじん切りやっておくね」

下原「ええお願い、あと鶏肉も炒めてくれる?」

ジョゼ「はーい」


ジョゼ「半分にした玉ねぎを繊維に沿って上の方を残しながら細かく切り込み入れて」

ジョゼ「残した方の反対側から横に2回切り込み入れて」

ジョゼ「繊維と垂直に端から細かく切っていくとー」

ジョゼ「玉ねぎのみじん切りの出来上がりっ♪」


下原「右手の中指薬指小指で柄の部分を握って、親指と人差し指で刃をしっかり固定してね」

ひかり「こう…ですか?」

下原「そうそう、それで左手は猫の手にして食材を抑えるの。親指は伸ばすと危ないから」

ひかり「分かりましたっ」

下原「じゃあ玉ねぎに包丁を宛がってみて」

ひかり「こう…?」

下原「ええ、いいわよ」

下原「そうしたら前に押すように切ってみて」

ひかり「はい…」トン

ひかり「で、できましたっ!」

下原「ふふ、上手くできたね」

ジョゼ「やったね」

ひかり「凄くドキドキしました~」

下原「慣れてきても慎重にしなきゃいけないからそのドキドキは忘れないでね」

ひかり「はいっ!」


―――――


ひかり「玉ねぎとヤマドリタケ切り分けられました♪」

下原「上手に切れましたっ」

ひかり「教えてくれてありがとうございました!」

下原「いいのよ、分からないことは何でも聞いてね」

ジョゼ「そういえば玉ねぎ切ってる時涙出なかったよね?」

下原「ああこれはね、ちょっとしたテクニックよ」

ひかり「テクニック、ですか?」

下原「うん、玉ねぎを切って涙が出るのは硫化アリルが原因なの。これは揮発性の物質で切って細胞が壊されると飛び出て鼻や目に入るからなんだけど、先に冷やしておくと揮発を抑えられるの。しかも水溶性だから包丁を濡らしておくと切り口の所で溶けて効果的なんですよ。加熱してから切るのも良いんだけど今回はしなかったわ」

ひかり「???」

ジョゼ「な、なるほど~」


※通常の硫化アリルは不溶性


和気藹々食事してるだけのSSにしたかったんだけどなんか思ってるのと違う方向に展開してしまったせいで書きにくい
更新もっと早くした方がいいですよね


下原「バターを溶かして小麦粉を炒めます」

下原「そして炒めておいた玉ねぎとキノコを加え水、ケチャップ、ウスターソース、牛乳、醤油、砂糖、コンソメを入れて煮立てたら…」

下原「デミグラスソースの完成っ!」

ひかりジョゼ「「わー」」パチパチパチ

ひかり「とっても良い匂いです!」

ジョゼ「すごーいお店に出せそう」

下原「本当は赤ワインがあるともっと良かったんですけどね」

ジョゼ「なかったの?」

下原「クルピンスキーさんが全部持ってちゃったみたいで」

ジョゼ「ああ…」


下原「ソースはもう少し煮詰めるのでその間にチキンライスを作ります」

下原「簡単だから雁淵さんやってみましょうか」

ひかり「分かりましたっ」

下原「まずはジョゼにみじん切りをしてもらった玉ねぎを炒めて、先に火を通してた鶏肉を加えます」

ひかり「はいっ」ジュー

下原「塩コショウ、コンソメ、オイスターソース、ケチャップで味付けして馴染ませます」

ひかり「はいっ」ジュー

下原「そこにご飯を加えてぐちゃぐちゃにならないように気を付けながら混ぜ混ぜします」

ひかり「はいっ」ジュー

下原「完成です」

ひかり「完成です!」

下原「一回お皿に移しましょうね」

ひかり「はいっ、本当に簡単でしたね」

ジョゼ「具材に味付けしてからご飯混ぜるんだね」

下原「ええ、そっちの方がべちゃってならないからね」

ジョゼ「ふーんそうなんだあ」


下原「じゃあ最後に卵を焼きますよ」

下原「ジョゼやってみる?」

ジョゼ「うん、任せてっ」

ひかり「さっきから思ってたんですけどジョゼさんも料理上手ですよね」

ジョゼ「実家がペンションでね、厨房に入り浸ってはシェフが作る姿を見てたからかな」

ひかり「へえー」

ジョゼ「食べる方が好きなんだけどね、えへへ」

ひかり「美味しそうに食べますもんね」

下原「それを言うなら雁淵さんだって」

ジョゼ「そうだよー」

ひかり「えーそうですかー?」


ジョゼ「手早く卵をかき混ぜてー牛乳入れてまた混ぜる」カカカ

ジョゼ「バターは…これくらい?」

ジョゼ「家だと強火でやってたかな…でも弱火と中火の間くらいでいいよね定ちゃん?」

下原「ええ、いいと思うわ」

ひかり「火の強さで変わるんですか?」

ジョゼ「うん!特にね、卵は火加減が重要なんだよ」

下原「お店で出されるのは一気に火を通しながらかき混ぜてふわとろって感じなんですけど」

ジョゼ「ちょっと難しいだよね」

下原「だから普段作る時は火を弱めて失敗しにくいようにするの」

ジョゼ「勢いに任せて作ると固まりすぎちゃうなんてことになるから」

ひかり「はあー勉強になります」


ジョゼ「ふんふーん♪」

ジョゼ「…っと、できたー」

ひかり「やっと完成ですね!」

下原「そうですね!」

ひかり「ぐー…あっ」

ジョゼ「ふふ、もうお腹ペコペコだね」

下原「思ったより時間かけちゃったからね、早速頂きましょう」

ひかり「はーい」


ジョゼ「ぱくっ」

ジョゼ「ん~美味しい」

ひかり「すごくすごいおいしいです!」

下原「二人のおかげで上手に出来たね、私は今日教えただけだから」

ジョゼ「あはは、そういえば最初定ちゃんに何か作ってほしいって話だったのにね」

ひかり「でも初めて作ったのにこんなにちゃんとできると思いませんでした、下原さんのおかげです!」

ジョゼ「そうだね、ひかりさん包丁もちゃんと使えるようになったし」

下原「それは良かったです!」

ひかり「また料理教えてもらってもいいですか?」

下原「ええ、いつでもいいわよ」

ジョゼ「じゃあその時は呼んでね、味見してあげる」

ひかり「はい、お願いします!」

下原「もぉージョゼは調子いいんだから」

ジョゼ「えへへ」


―――


ダダダダダバタン

管野「腹減ったー!」

ニパ「下原さん、何かある!?」

サーシャ「こらーちゃんと手を洗ってから食堂に入りなさい!」

管野「銃触った手でメシ食うこともあるのに今更気にしてどうすんだよなー」

ニパ「ねー」

サーシャ「そういう問題じゃありません!」

下原「あ、皆さん訓練お疲れ様です。ちょうど恵方巻きを作ったところなので良かったらどうぞ」

管野「ホントか!?」

下原「でも、手を洗ってからにしてくださいね」

管野「ったくしょうがねえな、おいニパ行くぞ」

ニパ「はーい」

サーシャ「…なんで私の言うことは聞いてくれないのかしら」

下原「あ、あはは…気にしたらダメですよきっと」


サーシャ「ところで恵方巻きって何かしら?」

管野「俺は詳しく知らねえんだけど、確か関西の慣習なんだろ」

下原「ええ、立春の前日を節分と言って豆を撒いて一年の厄払いをするんです。それで関西では豆撒きの他に恵方を向いて太巻きを食べることで縁起を担ぐ習わしがあるみたいで」

サーシャ「なるほど、その太巻きのことを恵方巻きと言うのね」

下原「そうなんです、願い事をしながら丸かじりするんですよ」

ニパ「えっ、こんな太いの入らないよ」

管野「バカだなーニパは」

ニパ「何だと―!」

管野「別に頬張らなくてもいいし、切って一口ずつ食べてもいいんだぜ。罰が当たるわけでもねえし、な?」

ニパ「え、そうなの?」

下原「そうね、そんなことで罰が下るほど扶桑の神様は狭量じゃありません」

管野「いや、それはどうだろうな」

ニパ「そうなんだ、まあカレワラとは違うよね」


※カレワラ-スオムスの叙事詩


管野「あれ、横の部分も海苔巻いてんだな」

下原「それは…食べてみてからのお楽しみということで」

管野「まさか全部中身違うのか?」

下原「えへっ」

ニパ「わ、私なんだか嫌な予感がするんだけど…」

サーシャ「まあ下原さんのことだから食べられないものは入れてないでしょ大丈夫よ」

ニパ「でもそんなこと言って前ゼリーの中にウナギ入ってたじゃん、しかも私のだけ!!」

下原「あれはウナギの煮凝りってどんな味か気になって」

管野「下原ってそういうとこあるよな」


サーシャ「じゃあニパさんから選んでもらいましょうか」

ニパ「えっなんで?」

サーシャ「だってそうした方が遺恨が残らないでしょ?」

管野「遺恨って…」

ニパ「うぅじゃあ……これ」

サーシャ「なら私はこっちにしようかしら」

管野「俺はそうだなあ…これで」

ニパ「待って!」

管野「なんだよ」

ニパ「やっぱり残った方と交換してもいいかな」

管野「もう選んでからそれはないだろ」

ニパ「でも…」

サーシャ「でも?」

ニパ「こういう時違うの選んだ方がハズレになりにくいから」

下原「ああ、モンティ・ホール問題ね」

サーシャ「あれは当たりがきちんと明示されてないと意味がないわよ」

ニパ「私以外の人が選んだ時点でそれは当たりじゃないか!」

管野「無駄に説得力あんな…」

ニパ「ね、お願い」

サーシャ「だそうよ」

下原「私はいいですよ、では代わりにニパさんが選んだの食べますね」

ニパ「やったー」


ニパ「…ごくっ」

管野「武士は食わねど高楊枝なんて言うけどさ、食わねえとやってらんねえよな」

下原「食事はモチベーションを保つにも大事ですからね」

サーシャ「この前線で米粒一つでも無駄にはできないわ」

ニパ「ねえ、なんで食べる前にプレッシャーかけるの!?」

管野「ほら、食べるぞ」

ニパ「ちょ、もう少し心の準備を」

下原「頂きます」

管野「あーん」

さーしゃ「はむっ」

ニパ「ああ、もうなるようになれっ…ぱくっ」


管野「む?…エビとアボカドとサーモンか」

サーシャ「私はマグロとイカとイクラだったわ」

下原「管野さんとサーシャさんは海鮮系だったんですね、私はきゅうり・伊達巻・かまぼこでした」

管野「おお、俺のもうまかったが二人のも良いな」

サーシャ「ニパさんは?」

ニパ「ぅぐっ」

管野「やっぱりか」

下原「ニパさん!?」

ニパ「~~~~!」

管野「おいおい大丈夫かよ、具は何だったんだ?」

ニパ「な、納豆…」

管野「なんだ、ゲテモノでも何でもないじゃねえか」

下原「すみません、シュールストレミングが食べられるなら納豆もいけるだろうと思って」

サーシャ「なんか失礼な言い方のような…でも私も納豆は遠慮したいわね」

ニパ「あれとは臭さのベクトルが違うんだって!」

管野「まあ俺もこっち来て最初チーズを口にした時なかなか慣れなったな」

ニパ「それは管野がバカ舌だから」

管野「何だとぉ」

サーシャ「こらっ喧嘩しないの」


ニパ「はあエライ目に遭ったよ」

管野「じゃあ口直しに豆でも食おうぜ」

ニパ「別の恵方巻き食べたいなあ」

下原「あれは他の方の分なので、ごめんね」

ニパ「そっかぁ、じゃあ豆貰おうかな」

サーシャ「待って、まずは豆撒きの鬼を決めないとね」

下原「ええ、頂くのはそれが終わってからです」

ニパ「なっそんなルールが」

管野「おっしゃジャンケンするぞ」

管野「じゃーんけーん」

下原管野ニパサーシャ「「ぽん!」」

ニパ「あっ…負けた」

サーシャ「…そういうこともあるわよね」

管野「へへへ、たっぷりぶつけてやるぜ」

下原「ちょ、ちょっと管野さん、あんまり強く投げないでね」

ニパ「くそぅ…そうだ、鬼が反撃しちゃダメなんてルールはないよね!?」

下原「え、うん、ないけれど」

ニパ「ならこっちから攻めてやる、おりゃ!」

管野「いてぇ、やったなこのー」

ニパ「ふん、先手必勝だよ!」

管野「こっちだってやってやる!」

ニパ管野「「おりゃあああ」」

サーシャ「あ、そんな暴れたら物が壊れ…ああ」

ちょっと方向修正した
軽く放置してたけどエタらないようにします


―――


ロスマン「こんにちは、下原さん」

クルピンスキー「下原ちゃん何かつまめるものない?」

下原「あ、ロスマンさん、クルピンスキーさん…遅めの昼食ですか?」

クルピンスキー「いやあ先生が中々放してくれなくてさあ」

ロスマン「アナタがまた他所の部隊の子に手を出すからでしょ!」

下原「ふふ、"いつもの"ですね」

クルピンスキー「下原ちゃんからも何か言ってやってよ」

下原「『夫婦喧嘩は犬も食わない』ので私からは何もありませーん」

ロスマン「私と伯爵がいつ夫婦になったのかしら」


下原「食べたいもののリクエストはありますか?」

ロスマン「そうね…サッと作れるものをお願いできるかしら」

クルピンスキー「僕もそれでお願いするよ、あんまり手間取らせたくないしね」

下原「ありがとうございます、ではパスタなんてどうでしょう?」

クルピンスキー「いいねパスタ!前線でパスタを食べるなんて中々の贅沢だよ」

ロスマン「その言い回しはロマーニャ軍のこと馬鹿にしてるでしょ」

クルピンスキー「いやあ、そんなことはないさ」

下原「ふふ、砂漠パスタは冗談なんですよね。確かに上の方はパスタを食べていたらしいですけど、それはスープパスタ…というよりは煮込みパスタと言った方が正しいのでしょうか、で水を無駄にはしていなかったって」

クルピンスキー「そう、いわゆるブラックジョークさ」

ロスマン「前線の方はパスタを茹でる水どころか飲み水も碌に確保できなかったという話ね」

下原「それだけロマーニャ人のパスタに対する情熱が強いということを表しているんですね」

クルピンスキー「ま、あんまり笑えないネタだけどね」

ロスマン「アナタも『クルピンスキーは女の子を助けて堕ちた』なんて風評被害受けたくないでしょ?」

クルピンスキー「いや僕はそれで笑われても構わないよ、助けられなくて堕ちるよりずっとマシさ」

ロスマン「はぁ、これだから伯爵は…」

下原「ロスマンさんも苦労しますね」


クルピンスキー「そうだ下原ちゃん、ニンニクある?」

下原「ええ、たっぷり冷凍してありますよ…あ、もしかしてアレですか?」

クルピンスキー「そ、僕はペペロンチーノがいいな」

ロスマン「え゛っ」

クルピンスキー「せっかくだしいいだろ」

下原「いいんですか、ロスマンさん?」

ロスマン「んー…まあ今日は誰とも会う予定ないからいいけれど」

クルピンスキー「僕も!僕も!」

ロスマン「女の子に呼ばれたら二つ返事で行くくせに」

クルピンスキー「そりゃもちろん」

ロスマン「下原さん、伯爵用のはニンニクたっぷりにしていいわよ」

下原「はーい」

クルピンスキー「むっそれは困るな、誤魔化しが効く程度で頼むよ~」

下原「ふふ、冗談ですよ」

クルピンスキー「なんだぁ、驚かさないでくれよ」

下原「ニンニクは身体に良いですけどいっぱい食べると毒になっちゃいますからね」


下原「下原定子のペペロンチーノ講座~」

下原「正式名称はアーリオ・オリオ・ペペロンチーノ。アーリオがニンニク、オリオが油、ペペロンチーノは唐辛子という意味ですね」

下原「パスタを茹でる時はたっぷりのお湯で、これは他のパスタ料理を作る時と同じですね。少ないお湯だと溶けだした小麦粉の濃度が高くなってねとぉっとなります」

下原「しかし、ペペロンチーノは乳化のための材料を入れないのでお店等ではその濃い茹で汁で仕上げることが多いようです」

下原「食感が気にならないなら試してみてはいかがでしょうか」

下原「入れるニンニクの量は一人前10g前後。これはニンニク一片の重さとほぼ同じです、覚えておきましょう」

下原「ニンニクの芯の部分は焦げやすいので気を付けてください」

下原「オリーブオイルは大さじ二杯分の30ml、ちょっと多い感じもしますが大丈夫です。追いオリーブはしません」

下原「オリーブオイルは高温に弱いのでフライパンを熱し過ぎて風味を逃さないように気を付けてください」

下原「作り方はオリーブオイルとニンニクを炒め、十分火が通ったら唐辛子を入れて馴染ませる。そして茹で汁50ml程を入れて軽く沸いたらパスタを絡ませて完成です!」

下原「茹で汁が少ないなと感じたら少しずつ足してください。あとお好みで刻んだパセリなどアレンジしても美味しいですよ」



下原「お二人とも出来ましたよー」

クルピンスキー「お、待ってましたー」

ロスマン「流石早いわね」

下原「どうぞ食べてください」

ロスマン「ええ、頂くわ」






クルピンスキー「んーピリッとした辛さが最高!」

ロスマン「ええ、薫り高くてハマる味よね」

下原「気に入ってもらえたようで嬉しいです」

クルピンスキー「やっぱり下原ちゃんが作るのが一番だね」

ロスマン「伯爵が作ると悲惨なことになるから」

下原「クルピンスキーさん料理するんですか?」

ロスマン「アナタ達が遭難した日にね」

下原「ああ、あの日にですか」



クルピンスキー「いやーあれはなかなか刺激的だったね、自分でもビックリしたよ」

ロスマン「あんな紫のスープ、刺激的ってレベルじゃなかったわよ」

下原「えっ紫芋のポタージュとかじゃなくて?」

クルピンスキー「僕が作れると思うかい?」

下原「…ごめんなさい、思いません」

ロスマン「なんでそんなに自慢げなのよ。はぁ…素直にサーシャさんに頼めば良かったわ」

下原「今度雁淵さんに料理を教える約束をしているんですけど、クルピンスキーさんもどうですか?」

クルピンスキー「んー魅力的なお誘いだけど…断るよ」

ロスマン「どうして?」

クルピンスキー「僕が料理できるようになったら下原ちゃんや他の子に作ってもらえなくなるじゃないか」

ロスマン「その回答は予想してたわ、でも…ふん!」ゲシッ

クルピンスキー「だあああぁぁあ!何するんだ酷いじゃないか!」

ロスマン「余りにも現を抜かしているからよ」

下原「さっきから流れが天丼のような…」




クルピンスキー「ごちそうさま、美味しかったよ」

ロスマン「ご馳走様、ところでそれは?」

下原「あっこれ口臭消し用のリンゴと牛乳です、食べてから行ってくださいね」

クルピンスキー「おお気が利くね」

ロスマン「へえよく知ってるわね。ありがとう、助かるわ」

下原「いえ、午後からも頑張ってください!」


―――


ラル「…」ペラッ

ラル「…」カキカキ

ラル「………下原か?」

下原「あ、バレちゃいました?」

ラル「どうした、こんな時間に」

下原「隊長こそこんな時間までお疲れ様です」

下原「また上への報告書ですか?」

ラル「そうだ、戦況を把握しておきたいのは分かるがこうも頻度が高いとな」

下原「大変ですね」

ラル「で、そんな詮索をしに来たわけではないだろう?」

下原「はい、差し出がましいようですが差し入れを、と」

ラル「いや待ってた」


ラル「今日はなんだ?」

下原「サンドウィッチとエスプレッソです」

ラル「ほう。んっ?このパンは…黒糖を練りこんでいるのか」

下原「ええ、疲れた脳には糖分が一番です」

ラル「なるほど」

下原「でもエスプレッソにはあんまり砂糖を入れてません」

下原「隊長が普段飲まれてるみたいにジャリジャリするまで砂糖を溶かすのは身体に良くないですから」

ラル「………そうか」

下原「どうぞ召し上がってください!」

ラル「ああ、頂こうか」

ラル「はむっ」


ラル「」モグモグ

下原「ふふ」

ラル「…見てて楽しいか?」

下原「ええ、とっても。私の料理を食べて喜んでくれると私も嬉しくなりますし、隊長はとっても美味しそうに食べてくれますから」

ラル「そんなに顔に出てるか?よく表情が乏しいと言われるのだが」

下原「いえ、そんなことはないですよ。隊長は感情を押し殺そうとすると逆に顔に出ちゃうタイプだと思います、今も顔が綻んでますし」

ラル「…」

ラル「この話は終わりにしないか?」

下原「じゃあ黙って眺めていますね」

ラル「…」

ラル「お前も食べろ。外でも見ながら」

下原「え~しょうがないですねえ」


ラル「今日も旨かったよ」

下原「ありがとうございます、じゃあ食器を下げますね」

ラル「ああ、しかし差し入れは嬉しいがもっと自分の身体に気を使え。お前はただでさえ少ない夜戦要員なんだ、こんなことで無駄に消耗してもらっては困る」

下原「すみません…」

ラル「…だが、負担にならない程度に作ってもらえると助かる」

下原「!…ふふっ、はい」

下原「では失礼します」


―――


下原「さあて今日は何を作ろうかな」

ジョゼ「じー」

下原「そんなに見つめてどうしたの?」

ジョゼ「定ちゃん太った?」

下原「ふとっ!?」

ジョゼ「うん、なんか前よりふっくらした感じするもん」

下原「そ、そんな…あ、でも最近皆の間食作った時毎回一緒に食べてたようなでもでもでも」

ひかり「下原さん、今日のお昼なんですか?」

下原「きょ、今日は……お昼抜きです!!」

ひかり「えぇ!?」

ジョゼ「そんなー」



終わり

以上です

ダメだー全然書けない

読む必要のない過去作

ネウロイE「下原ちゃんの下の原で○○○したい」【ブレイブウィッチーズ】
オチのない話【ブレイブウィッチーズ】
下原定子「わたしにできること」【ブレイブウィッチーズ】
ロスマン「zzZ」【ブレイブウィッチーズ】
シャッフルウィッチーズ【ブレイブウィッチーズ】


-おまけ-


ひかり「チョコ溶けたんですけど大丈夫ですか?」

下原「ん~うん、バッチリよ」

ひかり「ならお湯から上げますね」

下原「粗熱が取れたら練ったバターと、グラニュー糖を入れてホイップさせた卵黄を加えて混ぜ合わせるのよ」

ひかり「分かりましたっ」マゼマゼ

下原「そしたらメレンゲを1/4ずつ加えては混ぜる。そして薄力粉、ココアパウダー、アーモンドパウダーも同じように少しずつふるってさらに混ぜ合わせましょう」

ひかり「一気にしたらダメなんですか?」

下原「ええ、生地にムラができちゃって美味しくなくなるの」

ひかり「なるほど~、慎重にやらないとですね」

下原「じゃあその生地を型に流してオーブンで焼きましょう」

ひかり「はーい」


ひかり「あっ焼けたみたいです」

下原「いいですね、上手に焼き上がりましたー」

ひかり「わあこれで完成ですか?」

下原「ううん、まだなの。糖衣やグラサージュと言うのだけどチョコでコーティングをするの」

ひかり「それも慎重にかけるんですか?」

下原「グラサージュは一気にかけて大丈夫よ」

ひかり「へー慎重に行く時と大胆に行く時の使い分けが大事なんですね、奥が深いです!」

下原「うん、でも料理でもお菓子作りでも決まった順番をちゃんと守るのがコツなんですよ」

ひかり「そのためにレシピがあるんですね」

下原「うん、私は料理が下手な人っていないと思うんです…苦手な人はいるかもしれないけど」

ひかり「それってどういう意味ですか?」

下原「味が変になっちゃうとか不出来な形になるとか…それは正しい作り方を知らないだけで知ってしまえば皆上手に作れるはずなんです」

下原「だって私がそうだから」

ひかり「私も下原さんみたいになりたいです」

下原「それは雁淵さん次第かな。でもきっと大丈夫です、雁淵さんは絶対に諦めない人だから」

ひかり「そうですね、私は諦めたくないです!」

下原「じゃあこれからいっぱいお料理しようね」

ひかり「はいっご指導お願いします!」

下原「ではまずはこれを完成させちゃいましょう」

ひかり「思いっきりチョコかけますね」

下原「うんっそれが固まったら完成よ」


下原「はあい、ザッハトルテの出来上がりでーす」

ひかり「わーいやったー!」

下原「雁淵さんはチョコ渡したい相手がいるんですか?」

ひかり「えーっと…内緒です、えへへ」










ひかり「2月11日秋葉原で待ってます!」

ひかり「気持ちを込めて作ったので私からのチョコ受け取ってください!!」

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終わり

画像こっちだった

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