明石さん車を買う (19)
※スレ立てとかSSとか慣れて無いから変だったらごめんね☆
明石が艦娘として生まれたとき、対深海棲艦との戦いは始まったばかりであった。
この先さらに激化するであろう戦局に対する布石として最初期に建造されたものの、その頃はまだ明石の工作艦としての力が必要なほど切迫した状況とはなっていなかった。
さらに、専用艤装の研究開発が遅れていたことも有り、彼女はとりあえず鎮守府の売店の店番を任されていた。
ところが、はっきり言ってその仕事は暇であった。買い物に来る客が皆無の売店の店番など暇の極みだった。
快活である彼女にはその暇は耐えられるものではなく、何らかの暇つぶしを毎日求めていた。
そんな折、売店で販売していた一冊の雑誌が目に止まった。
それは車の整備やレストアについて書かれた月刊誌であったが、その内容は明石の燻っていた工作艦魂を燃焼させるのに十分なものだった。
明石「これは…すごい…!」
明石がまだ艦だった頃の車といえば軍需用トラックかタクシーやハイヤー、ごく一部の上流階級が自家用車を持っている程度だった。
その車の構造も極シンプルなもので、悪い言い方をすれば現代の車とは比較にならないほど原始的だった。
それに比べて雑誌に書かれている車の構造はかなり複雑で実に興味をそそる。
これを自分の手で好きにしてしまいたい…その衝動にいてもたってもいられなくなった明石は早速執務室へ向かった。
ノックもそこそこに執務室に飛び込み書類仕事をしていた提督に言い放った。
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明石「提督!車!車が欲しいです!」
提督「え?いやちょっとまってなんて?」
明石「あ、大丈夫です!自分のお給金で買います!中古車を買える程度には貰ってます!」
提督「いや問題はそこじゃなくてね」
明石「とりあえず情報誌に気になる車が載ってたので早速見に行きたいんですが外出の許可がほしぃなぁなんて」
提督「だから待てって…まず明石さん免許持ってないよね?」
明石「」
提督「っていうかなんで車?」
明石「それはその…ひまつぶ…おもち…機械構造に対する見識を深めるため…?」
提督「め?って聞かれても」
提督「とはいえ…ふむ…今後のことを考えれば自動車を運転できたほうが何かと便利か…」
明石(キラキラ)
提督「しょうがないにゃぁ…」
そのあとなんやかんやあって艦娘も自動車運転免許を取得できるようになった。
許可が降りるやいなや明石はすぐに免許を取りに行き、3週間ほどで免許を取得したのだった。
免許を取得した次の日、明石は提督と街に出ていた。無論、車を買うためである。
明石「わぁー!車がこんなにたくさん!」
提督「さすが、常時在庫600台、東北最大規模の中古車販売店カーメッ◯ジャンボだ」
提督「で、明石はどんな車が欲しいの?」
明石「うーん…色々悩んだんですが、最初の車なのでなんというかベーシックな感じのがいいですね」
提督「ベーシックな感じか…となるとセダン…いや、今どきならハッチバックか…」
明石「ちなみに最近の子供に車の絵を描かせると1ボックスカーを描く子ばかりらしいですよ」
会話をしつつ展示されている車を眺めていると提督が一台の車が目を付けた。
提督「ベーシックといえばこいつか…?」
明石「これは?」
その車とは――――――――――――――
「AE-110 カローラ 後期型」
1966年に初代カローラが発売されてから全世界で4000万台を超す販売台数を誇り、ギネスブックにもその販売台数が記録されている。
日本人ならば知らない人はいないと言っても過言ではない国民車の中の国民車。その8代目のモデルである。
ベーシックな車といえばこれ以上ないほどベーシックだ。
先代型のE10#型はバブル景気の煽りを受け豪華であったが、バブル崩壊後に設計されたこの車はコストダウンが図られ前期型はとても簡素な作りであった。しかし、バブルに慣れた市場からの評価は芳しくなく後期型では装備の向上が行われた。
質素な作りの恩恵で車重がとても軽く、操作性がよい。
装備や外観は簡素であるがバブルの影響が抜け切れておらず、使われる部品の品質はとても高く耐久性に優れる。
搭載されるエンジンは名機5A-FE。熟成された作りのエンジンは素直な出力特性と必要十分な馬力、燃費性能にも優れ故障知らずともはや非の打ち所がない。
GOAボディーの採用やデュアルエアバッグとABSが標準装備で安全面も年式の割にかなり高い水準にある。
アフターパーツも兄弟車であるカローラレビン・スプリンタートレノのものを使用できるため実用セダンにしては恵まれている。
製造からすでに20年が経過する個体ばかりだが今でも一線級で活躍できる実力を持つ優れた自動車である。
提督「というわけだがどうかな?」
明石「提督…車の話になるとすごい早口になるんですね…」
提督「やめろその技は俺に効く」
明石「冗談はおいておいてそうですね…確かにいい車なんですが…もう少し面白みのある車がいいかなぁ…なんて…」
提督「おい、それはカローラの前で言ってはいけないセリフNo1だ!いいんだよ初心者はこのくらいで!…と言いたいところだがまぁビビット来ないならしょうがない」
明石「なんだかすみません…」
提督「いいんだ。車選びはフィーリングが一番重要だったりするしな」
提督「お、それじゃあれなんてどうだ」
「AE-101 スプリンターマリノ 後期型」
AE-10#型カローラの兄弟車であり、基本設計は同一だがボディーをサッシュレスハードトップとしたのがこの車である。
E-10#カローラシリーズは何と言っても豪華。その一言に尽きる。内装の品質はマークⅡレベルであり格上車にも引けを取らない。
ダッシュボードやドアトリムの至る所が合皮に覆われ、使われる材料の品質も高く、耐久性抜群。メーカーOPで本皮の内装やシート、当時流行だったデジタルメーターなど豪華なものが用意されていた。
このマリノGtypeに搭載されているエンジンはかの有名な4A-GEである。この後期型で搭載されるのは5バルブエンジンの改良型通称黒ヘッド。排気量1600ccで絞り出すその出力は165馬力トルク16.5kg・m。
一般的に4A-GEは高回転の伸びばかりが取り立たされるが、VVT-i採用以後のエンジンで注目するべきは低~中回転域での扱いやすさである。
ライバルであるB16Bのように4A-GEではバルタイの切り替わりで豹変することはない。しかし、それによってどこまでも回るかのようなフィーリングを得ている。
VTECが高回転を重視し出力を増したのに対し、VVT-iでは高回転高出力化によって損なわれた低、中回転域での出力特性を改善し扱いやすさを重視したのだ。
これは車の設計に対する考え方の違いでどちらがいいと言い切れるものではないが、初心者が普段乗りに使うとなれば4A-GEに軍配が上がる。
また組み合わせられるはC160型6速MT。多段化によって加速性能、巡航燃費性能の向上が図られている。
そしてこのスプリンターマリノはカローラがE-11#型に移行しても駆動系などをE-11#のものに更新しつつとE-10#型のまま併売されていた。
E-10#の快適さとE-11#の駆動系が組み合わされた至高の存在と言っても過言ではない。
明石「へぇ~何だかカワイイですね!丸っこくて いいかも…」
提督「しかもそこそこ速い」
明石「いや別に速さはそこまで求めてないんですけど…」
提督「走行距離も…まぁそこそこだけどちゃんと手入れもしてあって程度もわるくないしどうですかお客さん!」
明石「うーん…よし決めました!この子にしちゃいます!」
こうして明石はスプリンターマリノを購入した。
結構書いたつもりだったのにレスにすると7レス分しかない…
こんな感じのですがもう少し続けてみたいと思います。
つぎはもっと書き溜めてから…
車は売買契約をしてから手元に届くまでの時間が長い。
それが生涯初めての自分の車ともなればなおさらで、1周間が1ヶ月、1ヶ月が1年にも匹敵するほどの体感時間になる。
そして、気がつけばまだ手元に届いていない車のパーツを買い漁っていた…なんていうのもよくある話だ。
明石「納車まで3週間…長いなぁ...」
明石(とりあえず車について調べておこうっと)
明石(とは言っても提督さんが結構喋ってたけど(苦笑))
明石(とりあえずインターネットをで...スプリンターマリノっと)
明石(へぇ…マリノってイタリア語で「海の女神」って意味なんだなんだか親近感)
明石(カスタム…なる程そういうのもあるのか)
明石(ショックショックアブソーバーとスプリングの交換でローリングを抑えトラクションが…)
明石(イリジウムプラグ…ほうほう…排気管や吸気フィルターを交換することで出力特性がねぇ…)
明石(吸排気を変えたら燃調も変えるべき…確かに...でも昔みたいにキャブレターってわけでもないのにどうやって)
明石(サブコン....ふむふむ...フルコン....艤装の制御とどっちが難しいかな…)
明石(ゆくゆくは自分で部品を作りたいけどまずは既製品の研究からかな…)
明石「とりあえず提督に話を聞いてみようかな」
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