オレンジペコ「ローストビーフ、ですか?」
ローズヒップ「そうなのですわ!ほら、イギリスで日曜日にお世話になってる人たちの
労をねぎらってお肉を焼くやつ!なんでしたっけ、ほらあの…、サンデー毎日?」
オレンジペコ「サンデーローストですね…」
ローズヒップ「そう!それですわ!日頃お世話になってるダージリン様やアッサム様に
多少なりともお返しをしたいのですわ!それで、オレンジペコさんにも手伝っていただけたらと…」
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オレンジペコ「はあ、それは良いのですが…」
ローズヒップ「ありがとうございますですわ!もう既に肉のハナマサ聖グロ支店でお肉を
購入してありますの!オージービーフの安売りやってましたの!そんじゃレッツらゴー!」
オレンジペコ(大丈夫かなあ…)
ローズヒップ「じゃあまず、お肉を冷蔵庫から出して常温に戻しましょう、その間に
道具や食器を準備しましょう」
オレンジペコ「あの…、ローズヒップさん、本当に大丈夫なんですか?ローストビーフって
よく『これが上手くできるようになったらシェフとして一人前』なんて言われてますけど…」
ローズヒップ「あー大丈夫、ローストビーフって『難しそうに見えるけど実際にやってみたら
意外と簡単だった料理』の上位に入るヤツですわ。まあ慣れないと全然火が通らなくて巨大な
牛たたきになったり、逆に中まで完全に火が通ってしまって牛肉のチャーシューになったり
することがありますけど」
オレンジペコ(ちょっと心配になってきた…)
ローズヒップ「そろそろ良さそうですわね、それにしても、こういう大きなお肉を見ると、
テンション上がりません?『さあどうしてやろうか』って」
オレンジペコ「はあ…」
ローズヒップ「常温にしたお肉にクレイジーソルトと挽きたての粒コショウを擦り込んでっと。
クレイジーソルトってホント万能調味料ですわー。こんな格言ご存知かしら?『クレイジーソルト
は9998の料理に合いますが、チョコレートとアイスクリームには合いません』」
オレンジペコ「ジェーン・シマンズですね」
ローズヒップ「手元に紅茶がないのが残念ですわー」
ローズヒップ「温めたフライパンに油を引いてっと、よーし、全体を焼き固めますわ」
オレンジペコ「手際いいですね、意外って言ったら失礼ですけど、ローズヒップさんって
お料理上手なんですね」
ローズヒップ「幼い弟や妹や甥っ子姪っ子の世話をしてたら自然とこうなりますわ」
オレンジペコ「そういえば18人家族でしたね…」
ローズヒップ「まあこの手の小洒落た料理は聖グロに来てから覚えたんですけど」
ローズヒップ「よし、こんなもんでしょ。アルミホイルで包んでオーブントースターに入れて…、
焼き時間はこのくらいかしら?」
チーン♪
オレンジペコ「焼けたみたいですよ」
ローズヒップ「うまくできてるといいのですけど…、お肉を冷ます間に付け合わせとソースを作りますわ」
オレンジペコ「ローストビーフの付け合わせといえば定番はヨークシャープティングでしょうか」
ローズヒップ「あれは自分で作るのめんどいのでマッシュポテトと温野菜で妥協しましょう、オレンジペコさん、
ジャガイモの皮を剥いてくださいます?」
オレンジペコ「はい、でも私、お料理久しぶりなんでうまくできるかどうか…」
ローズヒップ「どうせ茹でてから潰すんですから多少皮が残ってても平気ですわ。私はその間に温野菜を作りますから」
ローズヒップ「そういえば以前から気になってたんですけど、イギリスの人ってどうしてあんなに
お野菜が真っ茶色になるまで茹でるんでしょ?最初に見たとき野菜スープの出汁ガラが盛り付けて
あるのかと思いましたわ」
オレンジペコ「私も初めて見たときはびっくりしました」
ローズヒップ「普通、『菜っ葉は沸騰したお湯でゆでる、おイモは水から茹でる』って小学生のときに
おばあちゃんやひいおばあちゃんに教わることだと思いますけど」
オレンジペコ「まあそれはお宅によって違うと思いますけど…」
ローズヒップ「おイモが茹で上がったみたいですわね、茹で汁を捨ててっと。オレンジペコさん、
こいつをマッシャーで潰してくださいな」
オレンジペコ「はい、わかりました」
ローズヒップ「グーニグーニとーつーぶせー♪」
ローズヒップ「いい塩梅に粘り気が出てきましたわね、ここでバターと牛乳を投入!オレンジペコさん!
更に混ぜて混ぜて!」
オレンジペコ「はい!」
ローズヒップ「塩とコショウで味を調えてっと、隠し味に粒マスタードも少々入れてみましょう」
ローズヒップ「次はソースですわね、すりおろしたタマネギにおろしニンニクを少々、砂糖と赤ワインに
蜂蜜も少々、そんで忘れちゃならないのがモルトビネガー!全部合わせて煮立ててっと。あ、そうだ、
隠し味にお醤油も忘れずに。『牛肉に一番よく合う調味料は醤油だ』って頭がリーゼントの新聞記者が
言ってましたわ」
オレンジペコ「誰ですかそれ…」
ローズヒップ「そんで、更にお肉を焼いたときに出た肉汁もソースに投入!これでもうちょい煮立てますわ」
オレンジペコ「お肉、うまく焼けてるといいんですけど…」
ローズヒップ「そんじゃお肉を切ってみますわ!緊張の一瞬!」
とんっ
ローズヒップ「わああっ!この色!今回は大成功ですわ!」
オレンジペコ「本当においしそうにできましたね」
ローズヒップ「じゃあはいこれ!」
オレンジペコ「え?」
ローズヒップ「ローストビーフでもチャーシューでも味の染みた切り落とした端っこを食べるのは作った人の特権ですわ!
私は反対側をいただきますから!」
オレンジペコ「じゃあいただきます」
ローズヒップ「じゃあテーブルの用意をしてみなさんを呼んできますわ!」
ダージリン「今日のお昼なんだけど…」
アッサム「はい、ローズヒップとオレンジペコがサンデーローストをやってくれたのですが…」
ルクリリ「ちょっと不安ですね…」
ローズヒップ「ダージリン様!今日のはうまくできましたわ!」
オレンジペコ「どんなふうに盛り付けましょうか?」
ダージリン「私は厚く切ってお皿に盛り付けたのをナイフとフォークでいただくわ」
オレンジペコ「かしこまりました、アッサム様は?」
アッサム「私は薄く切ってパンに挟んでいただくわ」
ルクリリ「私はトーストに乗せて食べるのが好きですね」
オレンジペコ「じゃあすぐにパンをご用意しますね」
ローズヒップ「皆さん甘いですわ!ローストビーフの一番おいしい食べ方がこれ!丼に熱々のご飯を盛って
その上に薄く切ったお肉を乗っけて、刻みネギとちぎった焼き海苔を散らして、ワサビ醤油をぶっかけて
豪快に掻っ込む!これに勝る食べ方はありませんわ!」
アッサム「うわぁ…」
ルクリリ(ゴクリ…)
オレンジペコ「あの…、ローズヒップさん、ほっぺたがご飯粒だらけですよ…、あと、歯に海苔が…」
ローズヒップ「あら、私としたことが」
ダージリン「ローズヒップ、確かにおいしそうな食べ方ではあるけど、聖グロリアーナの生徒として
それはどうかしら?もっと淑女としての嗜みとか、そういったものが…」
ローズヒップ「もー何カッコつけてらっしゃるですかー、どうせ私たちみんな日本人なんですし」
一同「!」
ダージリン「ローズヒップ、今、なんと言いました?」
ゴゴゴゴゴゴゴ
オレンジペコ「ひぃぃぃ…」
アッサム「あわわわわ」
ルクリリ「ヤロウ…、タブー中のタブーに触れやがった…」
ローズヒップ「あ、あら?なんか雰囲気が…」
ダージリン「ローズヒップ、あなたはまだ聖グロリアーナの精神というものがわかっていないようね。
そこの3人、どこに行こうというの?いい機会だわ、全員に英国淑女の精神というものを再教育して
あげましょう!」
一同「あわわわわわ」
その後、地獄のような戦車訓練が全員が過労で倒れるまで3日3晩続いた。
終
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