エルフ幼女「まほうしょうじょ?になりたいのですが!」(50)

エルフ友達「ねえねえ、エルフ幼女ちゃん! 宿題終わった?」

エルフ幼女「うん!」

エルフ友達「本当? 凄いなー、さすがエルフ幼女ちゃん! 『将来の夢』なんて私思い付かないよー」

エルフ友達「それでエルフ幼女ちゃんは何になるの?」

エルフ幼女「まほうしょうじょ!」

エルフ友達「まほうしょうじょ? 何それ?」

エルフ幼女「まほうしょうじょは、なんかすごいの! この本に書いてあった!」

エルフ友達「ええ? 私聞いたことないよ、まほうしょうじょなんて。それきっと嘘が書いてある本だよ」

エルフ幼女「違うもん! まほうしょうじょは本当にいるもん!」

エルフ友達「いないよ! 私知らないもん!」

エルフ幼女「うぅ! いるの! まほうしょうじょはいるの! 絶対いるんだもん! >>2がいるって言ってたもん!」

魔族のおねいさん(元魔法少女)

エルフ幼女「うぅ! いるの! まほうしょうじょはいるの! 絶対いるんだもん! 魔族のおねいさんがいるって言ってたもん!」

エルフ友達「ええっ!? エルフ幼女ちゃんダメだよ! 魔族なんかと仲良くしちゃ!」

エルフ幼女「魔族のおねいさんはいいの! 優しいんだもん!」

エルフ友達「お母さんもお父さんも魔族とは関わっちゃダメだって言ってたよ! ダメだよ!」

エルフ幼女「もういい、友達ちゃんなんて大嫌い!!」 タッタッタッ

エルフ友達「幼女ちゃんのバカー!」


エルフ幼女「……」 トボトボ

魔族のおねいさん「あらあら、どうしたの?」

エルフ幼女「おねいさん」

魔族のおねいさん「ほら笑って、可愛いお顔が台無しよ」

エルフ幼女「う、うぅ、おねいさん! まほうしょうじょは、まほうしょうじょはいるんだよね!」

魔族のおねいさん「そう、誰かに良くないことを言われたのね。ええ、いるわ。魔法少女はいる」

ちょっと世界の果てでウンコして来るから誰か続き書いといて

エルフ幼女「でもっ、友達ちゃんは知らないって。……そんなの嘘だよ、って」

魔族のおねいさん「まぁ、そんな事が」

エルフ幼女「それに……それにっ! おねいさんと仲良くしちゃダメだって!!」

魔族のおねいさん「そう……けれど、ダメよ? その友達ちゃんも、きっと意地悪のつもりは無いのよ」

魔族のおねいさん「ただ、本当のコトを知らないだけ。 だから、あまり責めてはダメ」

エルフ幼女「……おねいさん」 グスッ

魔族のおねいさん「ほら、こっちにいらっしゃいな。 もっと近くで、可愛いお顔を見せてちょうだい」 スッ

エルフ幼女「……っ!」タタッ...ギュッ!

魔族のおねいさん「……大丈夫、大丈夫よ。 お友達もきっと分かってくれる。そうしたら、すぐに仲直りできるわ」 ナデナデ

エルフ幼女「おねいさん……でも、友達ちゃんに大嫌いって言っちゃった。 どうしよう、どうしたら良いのかな」 グスッ

魔族のおねいさん「そう……幼女ちゃんは、その友達ちゃんのことが大好きなのね」 ナデナデ

エルフ幼女「……」 ...コクリ

魔族のおねいさん「なら、きっとお友達ちゃんも幼女ちゃんと仲直りしたい筈よ? だから、明日になったら友達ちゃんに」

エルフ幼女「友達ちゃんは、好き。 でもっ、魔族のおねいさんは大好き!」 ギュウッ

魔族のおねいさん「……幼女ちゃん」

エルフ幼女「まほうしょうじょは、嘘じゃないもん! 魔族のおねいさんと仲良くしゃダメなんて、イヤだもん!!」

エルフ幼女「ゴメンなさいは、ウソついたり悪いことした時に言うんだもん。 わたしは、ウソも悪いこともしてないもん!」

魔族のおねいさん「……」

エルフ幼女「まほうしょうじょ……魔族のおねいさん、早くまほうしょうじょに、なりたいよぅ 」 グスッ

エルフ幼女「そしたら、友達ちゃんにまほうしょうじょはウソじゃないよって言うの。 それに、魔族のおねいさんのことも」

魔族のおねいさん「……本当に、魔法少女になりたいの?」

エルフ幼女「!! うん! まほうしょうじょに、なりたい!」

魔族のおねいさん「楽しい事ばかりじゃ、無いわよ? 辛い事も……有るかもしれないわ、それでも?」

エルフ幼女「それでも、なりたい! だって、まほうしょうじょはスゴイんだもん!」

魔族のおねいさん「そう…………分かったわ。 幼女ちゃん、貴女の望みを叶えてあげる」

エルフ幼女「……! それじゃあ」

魔族のおねいさん「えぇ、幼女ちゃん。 貴女を私が、立派な魔法少女にしてあげる」 ニコッ

エルフ幼女「魔族のおねいさん! ホントに? 嘘じゃないんだよね!?」

魔族のおねいさん「えぇ、勿論。 今まで、私が幼女ちゃんに嘘をついたことなんて有ったかしら?」

エルフ幼女「……! おねいさん! ありがとう! 好き! 大好きっ!」 ギュウッ

魔族のおねいさん「ふふっ、幼女ちゃんったら。 私もよ? 私も貴女のことが、とってもとっても大好きよ」 ナデナデ

・・・

エルフ幼女「~~♪ ~~♪ えへっ、えへへっ」 ニコニコ

魔族のおねいさん『それじゃあ、必要な物を用意してくるわ。 だから、明日も同じ時間にここで待ってるわね』

エルフ幼女「やったぁやったぁ♪ まほうしょうじょになれるんだ~♪ 嬉しいなぁ嬉しいなぁ~♪」 ルンルン

エルフ幼女「まほうしょうじょになったら、何しようかなぁ~♪」

エルフ幼女「可愛いお洋服を出して……それからそれから! たくさんお菓子を出してパーティーが良いなっ!」

エルフ幼女「パーティーには、おね……うぅん、魔族のおねいさんを呼んで、それに……友達ちゃんも」

エルフ幼女「うんっ、そうしよう! そうしたら、きっと友達ちゃんもまほうしょうじょがホントで、魔族のおねいさんが優しいって分かってくれるよね!」

エルフ幼女「ん~~っ♪ 明日が楽し……っ」 ササッ

「……ん? おい、いま声が聞こえなかったか?」

「なに? こんな時間に? ……どっちから聞こえた?」

「結界の外側から……の気がしたんだが」

「外側? おいおい……どんな声だった?」

「そう、だな……少しハシャいだ子ども、みたいな声だったような」

「なんだい、そりゃ。 それじゃあ大方、森の妖精が獣の巣穴にイタズラでも仕掛けてたって所だろ」

「……だな、流石に。 子どもが結界の外側にいるなんて、あり得ないよな」

「ほら、見回りなんざサッサと済ませて帰ろうぜ。 チンタラしてたら日が暮れちまう」

ザッザッザッザッザッ...

エルフ幼女「………………」 ホッ

エルフ幼女「あぶなかったぁ……気をつけなくっちゃ」 コソコソ

・・・

エルフ幼女「うんしょ、うんしょ……ぷはっ」 ガサガサッ

エルフ幼女「ん……誰もいない」

エルフ幼女「暗くなってきちゃった。 急いで帰らなきゃ」 タタッ

エルフ幼女「お家に帰ったらご飯の準備して、お片付けして、それから……」

エルフ友達『ええ? 私聞いたことないよ、まほうしょうじょなんて。それきっと嘘が書いてある本だよ』

エルフ幼女「……まほうしょうじょは、嘘じゃないもん」

エルフ友達『お母さんもお父さんも魔族とは関わっちゃダメだって言ってたよ! ダメだよ!』

エルフ友達『幼女ちゃんのバカー!』

エルフ幼女「……だいじょうぶ。 まほうしょうじょになったら、友達ちゃんだってきっと」

バ ヂ バ ヂ バ ヂ バ ヂ バ ヂ ィ ィ ィ ィ ! !

エルフ幼女「ひきゃっ!?」 ビクーン‼︎

エルフ幼女「な、なに? 大っきな音が上、から……っ!?」

バヂバヂッ!! バチチィッ! バツンッ! ヒュルルルル……

エルフ幼女「お空から、何か落ち……っ!」

ガササッ! バキバキバキッ! ザサササッ! ドサッ

エルフ幼女「…………」 ソロリソロリ

……………ゥ……

エルフ幼女「!!」 ビクッ

「……カッ……ケフッ……」 ズル...ズル...

エルフ幼女「……! まっくろな……えっ、と……ネコ、さん?」

「……エ……ル、フ……く……そが……」 トサッ

エルフ幼女「…………ネコさんが……しゃべった」

・・・

キィッ、パタン

エルフ幼女「ふぅ……えとえと、まずはタオル。 それからそれから……ええっと~」 ワタワタ

ゴンゴン! ゴンゴンゴン!!

エルフ幼女「……!!」 ビクーン!

「幼女ちゃん!! 幼女くん!! いるかね!? 幼女くん!!」 ゴンゴンゴンゴン!

エルフ幼女「あっ、友達ちゃんのパ……ま、待って! いま、開け」 バタバタバタ

友達パパ「すまない! 開けさせてもら……失礼、お着替え中だったとは」 ガチャ...パタン

エルフ幼女「だ、だいじょぶです。 それより、えっとパパさんはどうしたです?」 ソワソワ

友達パパ「む、そうだったな。 だがなに、幼女くんが家にいてくれたなら用件の半分は済んだような物だ」

友達パパ「残り半分についてだが……明日の朝、うちの家内が来るまで決して家を出ないで欲しい。 良いね?」

エルフ幼女「それって……ひょっとして、さっきの?」

友達パパ「あぁ、そうだ。 何者かが結界に触れたらしい。 全く、結界が里の上空も覆ってる事を知らぬ訳も無かろうに」 ハァ

友達パパ「しかし、あれだけ盛大に結界と接触したであろうに、弾かれた残骸も逃げ帰る何かの影すら見た者は無い」

友達パパ「厄介な事に、その何者かが結界を抜けてしまった可能性がある。 だから夜明けまでに里の男衆で結界の内部の捜索を行う」

エルフ幼女「……」 ゴクッ

友達パパ「……なに、恐らくは結界に触れて跡形も無く消し飛んでしまったと言った所だろう。 捜索も念の為だから安心して良い」 ポンポン

友達パパ「しかし、そうだな。 もし良ければ今夜は我が家に泊まるかい? きっと、娘も家内も喜ぶと思うのだが」

エルフ幼女「それは……だいじょぶ、です。 ご心配、ありがとです」 ペコッ

友達パパ「そうか……分かった。それでは、そろそろお暇させて貰うのだが……それは、どうしたんだい? 」

エルフ幼女「それ? ……あっ! これは、そのっ!」 ワタワタ

友達パパ「それは確か、大切にしていたローブだろう? なのに、随分とドロドロな様だが」

エルフ幼女「えっと、あの、これは、お外で遊んでたら転んじゃって。 ぬかるみで、ズルッと」

友達パパ「なんと、そうだったのか。 それで着替えを……っと、申し訳ない。 薄着のまま長々と話を」

エルフ幼女「お、お気になさらずです」

友達パパ「さて、それでは今度こそ失礼するよ。」 ガチャ

エルフ幼女「……あ、の」

友達パパ「? どうしたんだい?」

エルフ幼女「……気をつけて、です」

友達パパ「あぁ、ありがとう。 それでは、おやすみ。 良い夢を」 パタン

エルフ幼女「……はふぅ」

ゴソ……モゾ……

エルフ幼女「……!」 グッ...ズリズリ

・・・

エルフ幼女「これでだいじょぶ、かな? ん~……うん、だいじょぶ。 きっと、たぶん」 クルクル...キュッ

「……」 ゼィ...ゼィ...

エルフ幼女「……苦しそう。 こんな時は、んと、んと」

エルフ幼女「……」 ソロソロ...ナデッ

「……っ」 ピクッ

エルフ幼女「! 気がついt」

「グルルアアァァァァァ!!」 ンバッ

エルフ幼女「っ、ひゃあ!?」 ズルッ

ゴ ツ ン ! !

「ッゴ!? ガァァッ……ゥ!ググゥ」 ジタバタ

エルフ幼女「あてて……あっ! お鼻、柱にぶつけちゃったの? だいじょぶ?」 ワタタッ

「グ……ゴルルルゥ……!」 ジリッ

エルフ幼女「お鼻はだいじょぶ、かな? だけど、ケガしてるんだから急に動いちゃダメだよ」

「グルルルルルッ」 ジリリッ

エルフ幼女「えっと、それからそれから……あっ」 キュルルルゥ

「グルッ…………?」 ジッ

エルフ幼女「そ、そうだ! ごはん! ネコさんお腹すいてるよね! 待っててね、いますぐ持ってくるから!」 イソイソ

「……ッ!」 ジリッ

エルフ幼女「あれ?でも、ネコさんって何が好きなのかな? ん~……」 ブツブツ

ガチャ、パタン

「……なんなんだ。 何が、どうなってやがる」 ボソリ

ガチョ、パタム

エルフ幼女「んしょ。 お待た、せっ! 」 コトッ、カラコロ

「……」 ジッ

エルフ幼女「んっと、これはクルミでこっちはキイチゴ、このキノコはちゃんと食べれるのだからね」

「……」 ジロッ

エルフ幼女「このスープは、森でとれた草と鳥肉が入ってるの。 友達ちゃんのママが作ってくれたんだけどね? とっても美味しいんだよっ」

「……」 ジィィッ

エルフ幼女「あとは、あとちょっとだけなんだけど……ハチミツもね、あるよ」 コトッ

エルフ幼女「いま、お家にある食べものはこれで全部なんだけど。 ネコさん、食べられそう?」

「……」 フイッ

エルフ幼女「お腹、すいてないのかな? ……はぅ」 キュルルルルッ

「……」

エルフ幼女「もしかして、食べれるものが無い、のかなぁ」 クュルルル

エルフ幼女「そういえば、ネコさんはお魚が好きってお姉ちゃんが言ってたような」 クゥクゥ

エルフ幼女「お魚、きのう食べちゃったからなぁ……う~」 クゥキュルルゥゥウ

「…………ルせぇ」 ボソッ

エルフ幼女「……! ……」 ジィッ

「っ…………」

エルフ幼女「……いま、おはなしした、よね?」 ジィィッ

「………………」 フイッ

エルフ幼女「~~~~っ」 ジィィィィッ‼︎

「……チッ……あぁ、話した話した。 話しましたよ、えぇ。 これで満足か? エルフのガキ 」

エルフ幼女「やっぱり! 聞きまちがいじゃ、無かった!! うわぁぁっ! すごい! すごぉいっ!」 キラキラキラ

「……おい、ガキエルフ。 テメェ、いま歳は幾つだ?」

エルフ幼女「? 何才かってこと? もうすぐ、8才だよ!」

「マジかよ、実年齢一桁のエルフとか初めて見たぞ」

エルフ幼女「はいはいはい! 質問! 次はわたしが聞く! ねぇねぇねぇ! ネコさんはどk」 ズイズイズイズイ

「うるっせぇよ」 デチッ

エルフ幼女「はぅっ!?」 ドテッ

「顔が近い。 声が煩い。 お前の質問は俺のが済んでから。 分かったか?」

エルフ幼女「……うんっ」 サスサス

「よし、良い子だ……それじゃあ、先ず……ここは、何処だ?」

エルフ幼女「ここ? ここは、わたしのお部屋!」

「……まぁ、そうだろうな。それは 」

エルフ幼女「……? うん!」

「よし、あ~……そうだな、聞き方を変えよう。 ここは、お前の家の、お前の部屋だ」

「それじゃあ、お前の住んでる家がある此処は、何処なんだ?」

エルフ幼女「 ええっと、お家があるのは里。 エルフの隠れ里、って言うんだっ」

「隠れ里。へぇ、そんなモンが……それで、どの辺。 いや、どの地方になるんだ? 此処は」

エルフ幼女「ちほー? えと……?」 キョトン

「分かりません。 って面だな……まぁ、人里離れてるってのは間違いないか」 ハァ

「それじゃあ、それに関してはもう良い。 次の質問だ」

「俺が此処……お前の家にいるって事を、知ってる奴は他にいるか?」 ジロッ

エルフ幼女「ううん! いないよっ!」 キッパリ

「…………」

エルフ幼女「……?」 ニコニコ

「……お前はさっき、それが家にある食べ物全部だって言ってたよな」

エルフ幼女「うん! 言ったよ」

「それなら、部屋に食料全部を持ち込むのに、家族には何て言い訳したんだ?」

エルフ幼女「してない」

「あん?」

エルフ幼女「いいわけ。 お家は、わたし1人だけだもん」

「……留守にしてるって事か? なら、いつ戻る」

エルフ幼女「しらない」

「オイ、こっちは真面目に聞いてるんだ。 お前も、真面目に……」

エルフ幼女「……」

「……少なくとも、2、3日で帰って来るって事は無い。 どうだ?」

エルフ幼女「……」 コクン

「そうか、なら良い。 最後の質問だ、俺の目を見てハッキリと答えろ」

エルフ幼女「……うんっ! なんでも聞いて!」

「お前、どうして俺を助けた」

エルフ幼女「えっ?」

「お前、俺が落ちた所を見てたろ。 あの感じからして、外からの侵入を防ぐ為の……結界、だったか?」

「それを突き抜けて来たんだ。 まともな奴ならその場で殺っちまうか、ガキなら大人に知らせるだろう」

「なのに、どうしてお前はそうしなかった。 ガキでも、その位の分別は出来るだろう。 お前が本当にガキだとして、だが」

「……何か目的がある、って言うなら今の内だ。 正直に言え。ただし、嘘は辞めておけ。 こうしていれば、絶対に、分かるからな」 ジリッ

エルフ幼女「……え~っと」 フイッ

「目を逸らすな、こっちを向け。 次は無い」 ジリッ

エルフ幼女「あっ、ゴメンね! えっと……それ、わたしが質問した後じゃダメ?」

「あ? ……ダメだな。 俺の質問が済んだら、そう言う約束だ。 嫌なら、その話も無しだ」

エルフ幼女「う~……あのね? わたし、まほうしょうじょになるの!」

「……ん?」

エルフ幼女「まほうしょうじょってね! すごいの! 色んなすごいことができて! えっと、とにかくすごいの!」

「はぁ」

エルフ幼女「だからね! わたし、まほうしょうじょになって! い~~っぱいね!」

「ちょっと待て、ストップ、落ち着け。 分かった。いや、何一つとして分からんが、分かった。 そう言うことにしておく」

「その、まほうしょうじょ? だかは、今はいい。 俺の質問は、"どうして俺を助けたのか"だ。 それに関してだけ、簡潔に答えろ」

エルフ幼女「かん、けつ?」

「簡単に、要領を……一番大事な事だけハッキリ言えって事だ」

エルフ幼女「いちばん、だいじなこと……え~っと」

エルフ幼女「ネコさん、おともだちになって下さい。 お願いします」 ペコリ

「おぉ良いぞ、そんな感じ……ん?」

エルフ幼女「……いま、いいって言っ」

「違う、言ってない。 そこは、返事として言ったんじゃあ無い。 それは誤解だ、良いな」

エルフ幼女「え~……」

「それにしても……友達だ? お前……いや、今度はもう少し詳しく話してみろ」

エルフ幼女「くわしく?」

「あぁ、どうして俺と……そうなりたいのか、ってことをだ」

エルフ幼女「うんと~もうすぐ、まほうしょうじょになるんだけどね?」

「またそれか……いや、まぁ良い続けろ」

エルフ幼女「うん! でね? まほうしょうじょは、お話ができる動物さんと、いつもいっしょなの!」

「……ふむ」

エルフ幼女「だから、おはなしができるネコさんが、おともだちになってほしいなぁ、って」

「……まぁ、大まかには分かった。 それに、納得だ。 要するに、お前は俺を使い魔にしたいって事か」

エルフ幼女「つかいま? ちがうよ? おともだちに」

「だが、そのまほうしょうじょ? だかの友達とやらはいつも一緒なんだろう? なら違わないし、俺の答えはこうだ」

「お断りだ、使い魔なんざ絶対になるもんかよ!」 ギラッ

エルフ幼女「え~……ちぇっ、やっぱりダメだったかぁ」

「諦めないってんなら、相手に……やっぱり? いまお前やっぱりって言ったか?」

エルフ幼女「だって、まだおはなしできてなかったし」

「……いや、話してた所で答えは変わらないぞ。 と言うか今後も含めて絶対に無い」

エルフ幼女「えぇ~……なんで?」

「何で、って……そりゃあ、誰かの下になるのなんざプライドが許さ無いと言うか」

エルフ幼女「……じゃあ上にのらなきゃ、いいの?」

「いや、下ってそう言う意味じゃ……あぁぁ! 兎に角! ならないったらならない! 俺は、誰かに命令されたく無いんだ!」

エルフ幼女「じゃあ、しない。お願いとかも、しない。 だったら?」

「ダメだ! そもそも俺は、ずっとここに長居するつもりは無い! 此処を、出て行くんだよ!」

エルフ幼女「……っ」 ビクッ

「分かったか? 分からないなら、今度こそ! ……? 」

エルフ幼女「……そっかぁ。 それじゃあ、仕方がない、よね」 ニヘッ

「……あぁ、そうだ。 この事だけは、何があろうと変えるつもりは無い。」

「わかった。 もう、言わないね。 聞き分けないこと言って、ゴメンナサイ」 ペコッ

「……分かれば、良い」

エルフ幼女「……」 モジモジ

「……」

エルフ幼女「…………」 ...チラッ

「……」

エルフ幼女「………………」 チラッチラッ

「……まだ、何か有るのか?」 ジロッ

エルフ幼女「っ! んっ、と……ネコさんの質問はおしまい? なのかなって」 ソワソワ

「……そうだな。 差し当たって、聞くべき事については済んだ」

エルフ幼女「! それ、なら……わたしの、質問も……良い、かな?」

「お前……やっぱり、まだ」

エルフ幼女「うぅん! 言わない! おともだちのことは、言わない! 質問は、ちがうこと! だから……ダメ?」

「…………約束は、したからな」 フイッ

エルフ幼女「……っ!」

「ただし、際限なく答えてたらきりが無いからな。 質問は……3つまでだ、良いな」

エルフ幼女「うんっ! 3つ、3つか~。 えっと~えっと~……っ、好きな、ごはんはっ!?」

「…………お前って奴は」

エルフ幼女「あ、あれ? 聞いちゃ、ダメなこと……じゃ、ないよね?」 アセアセ

「いや…………肉、だな。 モノは問わない。と言っても、肉以外も食えない訳じゃ無い、寧ろ食えない物は特に無い」

エルフ幼女「やっぱり、お肉かぁ。 あ、でも何でも食べれるならここにあるのも大丈夫?」

「……それが2つ目の質問で良いのか?」

エルフ幼女「へっ? ……あぁっ!? まっ、まって! いまのは、ちがくて! あっ、でも」 オロオロ

「冗談だ。 まぁエルフに食べられて、俺に食えない物も無いだろうが。 コレは、食った事が無いな……何なんだ?」

エルフ幼女「……む~……ソレは、クルミだよ。 たべたこと、ないんだ?」

「何処かで見た覚えは、ある。 だが、見た目からしてこれは種だろう? 見るからに硬いし、美味そうには思えないが」

エルフ幼女「うん、だから割ってから食べるんだよっ。 これは……割ってある、からっ……はいっ」 スッ

「…………」 ジトッ

エルフ幼女「あっ、ウソだと思ってるでしょ? ふんだっ! イイもん、食べちゃうから」 ポリッ

「……本当に美味いのか? それ」

エルフ幼女「質問は、わたしの番! 次は……あ、そうだ! おケガ! だいじょうぶ!?」

「は? ……ソレが質問で良いのか?」

エルフ幼女「そうだよっ? だから、だいじょうぶ? 動かせないところは、ない?」

「……痛むには痛むが、動けない程じゃあない。 明日には、多少走ったりできる程度には治る」

エルフ幼女「そっかぁ、それは……あれ? それじゃあ、もしかして……すぐに、行っちゃうの?」

「あぁ、そのつもりだ」

エルフ幼女「……そっかぁ……あ、でも、お外に出るときはだいじょうぶなの?」

「あ? それは……そうか、そうだったな。 結界かあるんだったな」

「……忌々しい。 あれだけ盛大にぶち当たったんだ、壊れないまでも、弱まるなりしてりゃ良いんだが」

エルフ幼女「それは……わかんないや」

「だが、そうなると……さて……」

エルフ幼女「……ネコさんは、お外に出られないってこと?」

「現状では、そうなるな。 と言ってもある程度体が回復すれば、出て行く分には問題無くなるだろうが」

エルフ幼女「……っ、それなら、おケガが良くなるまで、ここにいなよ!」 ズイッ

「……はぁ?」

エルフ幼女「だって、ネコさんのおケガ、すごく痛そうだし……ここなら、ゆっくりお休みできるし、ごはんもあるよ!」

「……」

エルフ幼女「それに、それに……えっと~」

「……分からないな。」

エルフ幼女「え?」

「俺を治療して、食糧を恵もうとした事、それが俺を使い魔にする為の行為だったと言うことは理解した」

「だが、俺はその申し出を断った。 今後、意見を翻すつもりも無いとも確かに言った筈だ」

「だと言うのに、どうして俺の事を匿おうとする? 最後にもう一度言うが、俺は絶対に使い魔にはならんぼ」

エルフ幼女「……うん、それは、わかってる。 ネコさんは、ここに居られないんだもんね」

「……本当に分からないな。 お前は確かに、俺の言っている事を理解して、納得しているようだ」

「なら、お前はどうして、そうまで俺を助けようとする? 理由を話せ」 ジッ

エルフ幼女「えっ? それは……その」

「……」

エルフ幼女「わたしね、里のお外に出たことはあるけど……森より先には、行ったことがないの」

エルフ幼女「行ったことがあるって大人はいるけど、子どもは知らなくていいって、教えてくれないの」

エルフ幼女「だから、お家でおケガを治してるあいだ。 お外のおはなしを、聞かせてくれないかなぁ……って」

「…………それだけか? 他には?」

エルフ幼女「他に? 他は……えっと」 チラッ

「無いなら良い。だが、有るなら話せ。 何であれ責めはしない……本当の事を包み隠さず話す限りはな」

エルフ幼女「……それじゃあ、言う。んと……わたし、ネコさんを見つけた時から、そのぉ……っ」 グッ

エルフ幼女「かわいいなぁ、って思って。 ナデナデしたりとか、ギュッてしたりしたいなぁって……そのぉ」 モジモジ

「……………………お前、馬鹿だろ」

エルフ幼女「え、えぇっ!? なんでっ!」

「いや、馬鹿と言うより大馬鹿だな。 本当の本気でソレが理由って辺りが本当に馬鹿」

エルフ幼女「ば、バカじゃない! わたし、バカしゃないもん!」

「 いいや、馬鹿だ。色々と真剣に考えてたのが馬鹿馬鹿しくなってくる馬鹿さ加減だ」

エルフ幼女「うぅぅ、そんなに、バカバカ言わないでよぉ」

「本当の事を言って何が悪い。 まったく……馬鹿が相手じゃ、これ以上は何を考えた所で無駄だな」

エルフ幼女「……」 ショボン

「……まぁ、少なくとも何を勘ぐる必要もなさそう、って事は確かみたいだ……だから」

「怪我が治るまでの間だが、ここに留まろうかと思う」

エルフ幼女「……えっ、ホ、ホントに!?」

「お前は、食事と住処を提供する。 俺は、里の外の話を提供する。 それで良いな?」

エルフ幼女「! うn……ナデナデとか、ギュッてするのは?」

「それは拒否する」

エルフ幼女「……ナデナデだけでも」

「くどい」

エルフ幼女「……っ」 ウルウルウル

「………………お前の働き次第で、俺の気が向いたら、考えてやらん事も無くはない」 ハァ

エルフ幼女「うん! いっしょーけんめーおせわするよっ!」

「……」 フゥ

エルフ幼女「あ、そうだ! もういっこ、だいじなこと、聞いてなかった!」

「あん? もう一個だ?」

エルフ幼女「ま、まだ質問は2つだから! もういっこ聞いてもだいじょぶだよね!」

「……それで最後だな?」

エルフ幼女「うん! あのね、まだネコさんのお名前を聞いてなかったよね!」

「…………名前、ねぇ」

エルフ幼女「あっ! わたしは、エルフ幼女だよ! ネコさんは?」

「さて、忘れちまったよ。そんな物が、あったかどうかもな」

エルフ幼女「えぇっ!? ネコさん、お名前わすれちゃったの!!? ……じゃあ、ネコさんのことなんて呼んだら」

「どうだって良いだろ、そんなの。 どうせ、此処には俺とお前だけだ。 お前の呼びたいように呼べば良い」

エルフ幼女「ホント? それじゃあ…………うん! 決めた!!」 ビシッ

エルフ幼女「>>49ってよぶ!!」

ブリッツ

「うん? 何だそれは、聞きなれない単語だが……どう言う意味だ?」

エルフ幼女「わかんない!」

「は?」

エルフ幼女「なんとなく、ブリッツ! って気がしたから!」

「それはつまり適当、と言う事か」

「ちがうよ! ネコさんにはブリッツがピッタリ!ってかんじだからだモン!」

「だから…………いや、いい。 呼びたいように呼べ、と言ったのは俺だしな。どの道、この場限りの呼び名だ」

エルフ幼女「……でも、イヤじゃ、ない?」

「嫌と言う程ではない。 寧ろあからさまにおかしな呼ばれ方をするよりマシだろう。 それに」

エルフ「それに?」

「……音の響きに関してだけ言えば、悪くない」 フイッ

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